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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1248387
審判番号 不服2010-20597  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-13 
確定日 2011-09-29 
事件の表示 特願2006-531475「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月16日国際公開、WO2006/016501〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成17年8月2日(優先権主張 平成16年8月9日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成22年6月9日付け(発送:6月15日)で拒絶査定され、これに対し、同年9月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日付けで手続補正がなされたものである。
その後、当審において、平成23年1月13日付けで審査官の前置報告書に基づく審尋がなされ、同年3月3日付けで回答書が提出された。

2.補正の内容
平成22年9月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、
「 【請求項1】
始動操作に基づいて、予め設定された役抽選が実行されると共に、当該始動操作をトリガとして、複数の図柄群で構成された複数の図柄変動列をそれぞれ独立して変動させると共に、各図柄変動列毎の停止操作に基づいて、前記変動している図柄変動列を停止させ、前記役抽選の結果を報知するための制御系ユニットを備えた遊技機であって、
前回遊技における前記始動操作から今回遊技の前記始動操作までの操作インタバル時間が、予め設定された基準時間よりも短い場合に、前記始動操作をトリガとする変動開始時期を前記基準時間となるまで遅延させる遅延制御手段と、
前記役抽選の結果に基づいて、所定の確率で役当選の予告をするか否かを決定する予告実行有無決定手段と、
前記予告実行有無決定手段で予告をすることが決定した場合、前記予告を変動開始時期に実行するか、始動操作開始時期を限度に前記変動開始に先行して実行するかを決定する予告時期管理制御手段と、
前記予告実行有無決定手段で予告をすることが決定した場合に、操作インタバル時間が前記基準時間よりも長いときは始動操作時に前記予告として予告種(1)を実行し、前記遅延制御手段により前記変動開始時期が遅延したときは前記予告時期管理制御手段により決定した予告時期に基づいて、変動開始時に前記予告として予告種(2)を実行する、或いは、変動開始に先行して前記予告として予告種(3)を実行する予告実行制御手段とを有することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記制御系ユニットが、前記役抽選、各図柄変動列の動作および停止を主として制御するための主制御部と、遊技の演出を制御するための副制御部と、に分類されており、
前記遅延制御手段、予告実行有無決定手段、予告時期管理制御手段及び予告実行制御手段として区分けされたそれぞれ機能を実行する構成部品を、選択的に前記主制御部又は副制御部の一部とすることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
少なくとも前記遅延制御手段として機能する構成部品を前記主制御部の一部としたことを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記遅延制御手段として機能する構成部品を前記主制御部の一部とし、かつ前記予告有無決定手段、予告時期管理制御手段及び予告実行制御手段として機能する構成部品の少なくとも1つを前記副制御部の一部としたことを特徴とする請求項2記載の遊技機。」
に補正された。

本件補正は、実質的に補正前(平成22年4月28日付け手続補正、以下同じ。)の請求項2を請求項1とするものであるから、請求項の削除を目的とするものである。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反しないので補正は認められる。

3.引用文献に記載された発明
原査定の拒絶の理由(平成22年2月26日付け拒絶理由通知)において引用文献1として引用された特開2004-24325号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【請求項1】
始動操作部の操作によって遊技装置の作動が開始され、遊技装置の作動停止時の停止態様に応じて特典を付与するゲームが繰返し行われるとともに、
直前のゲームにおける遊技装置の作動開始時から前記直前のゲーム終了後の次のゲームにおける始動操作部の操作時までに経過した時間が予め設定された最低遊技時間に満たない場合に最低遊技時間が経過するまで遊技装置の作動開始が待機される遊技機であって、
遊技装置の作動毎に、作動停止時に遊技装置がとり得る停止態様を決める内部状態を抽選する手段と、
その抽選手段により抽選される内部状態と関連する遊技演出を行なう手段とを有し、
その遊技演出手段の作動率が、遊技装置の作動開始が待機されたときと作動開始が待機されなかったときとで異なることを特徴とする遊技機。」

(イ)「【0007】
遊技演出手段が作動する作動タイミングがゲームの開始から終了までの間に複数設定されており、遊技演出手段の作動率が作動タイミング毎に異なることが好ましい。
このような構成によると、遊技演出手段が作動したタイミングによって、遊技者はその遊技演出がどのような作動率で行われたかを認識することができる。
【0008】
前記の設定された複数の作動タイミングには、始動操作部の操作から遊技装置の作動開始までの間に設定された第1作動タイミングと、遊技装置の作動開始以後に設定された第2作動タイミングが含まれることが好ましい。
すなわち、遊技装置の作動が待機されないと始動操作部の操作から遊技装置の作動開始までに要する時間は短いため、第1作動タイミングで遊技演出が行われても、その遊技演出が第1作動タイミングで行われたか、第2作動タイミングで行われたかを認識することはできない。このため、遊技演出が第1作動タイミングで行われたか否かを知りたければ、遊技者は遊技装置の作動が待機されるよう始動操作部を操作する必要がある。このため、上記の構成によると、(1)遊技装置の作動が待機された場合の遊技演出の作動率、(2)遊技演出が第1作動タイミングで行われたか否かの判別、という2つの事項を遊技者は検討して、遊技装置の作動を待機させるか否かを決定する必要がある。このため、遊技者の操作が遊技結果に与える影響度が大きくなり、遊技者にとってより面白みの高い遊技機となる。
【0009】
また、前記遊技演出手段によって行われる遊技演出は、抽選手段によって抽選された内部状態と一致する第1態様又は抽選された内部状態とは一致しない第2態様のいずれかであることが好ましい。
この場合には、第1作動タイミングと第2作動タイミングとでは、第1態様の遊技演出が行われる確率が異なることが好ましい。このような構成によると、第1態様で遊技演出が行われる確率(すなわち、ガセでない遊技演出が行われる確率)が第1作動タイミングと第2作動タイミングとでは異なるため、行われた遊技演出が第1作動タイミングで行われたものか第2作動タイミングで行われたものかを判別したいという遊技者の欲求が強くなる。このため、遊技者は、遊技装置の作動が待機されるよう始動操作部を操作することとなるため、遊技機で行われる単位時間当りのゲーム数が増加し、遊技機の稼動率を高めることができる。さらには、第2作動タイミングより第1作動タイミングの方が、第1態様の遊技演出が行われる確率が高いことが好ましい。このような構成によると、第1作動タイミングで行われる遊技演出がガセでない確率が高くなるので、遊技者は第1作動タイミングで遊技演出が行われた場合を明確に認識したいという欲求が強くなる。このため、遊技装置の作動が待機されるよう始動操作部を操作しようという遊技者のインセンティブが高まり、遊技機の稼動率をより高めることができる。
【0010】
また、遊技演出手段によって遊技演出を行うか否かの決定は、抽選手段によって内部状態が抽選された後に行われることが好ましい。このような構成では、内部状態が決まった後で遊技演出を行うか否かを決定できるため、遊技演出の信頼度(遊技演出がガセでない確率)を設定された値にコントロールすることができる。
この場合には、前記抽選手段によって抽選が行われる抽選タイミングがゲームの開始から終了までの間に複数設定されており、抽選手段によって抽選が行われた後の作動タイミングで遊技演出手段が作動することが好ましい。抽選手段による抽選タイミングが複数となるため遊技が多様化し、より面白みの高い遊技機となる。
さらには、前記の設定された複数の抽選タイミングには、始動操作部の操作から遊技装置の作動開始までの間に設定された第1抽選タイミングと、遊技装置の作動開始以後に設定された第2抽選タイミングが含まれ、第1抽選タイミングで抽選が行われると第1作動タイミング又は第2作動タイミングで遊技演出が行われ、第2抽選タイミングで抽選が行われると第2作動タイミングで遊技演出が行われ、第1作動タイミングにおける遊技演出手段の作動率が、第2作動タイミングにおける遊技演出手段の作動率よりも低くなることが好ましい。」

(ウ)「【0012】
【発明の実施の形態】上述した各請求項に記載の遊技機は、下記に示す形態で好適に実施することができる。
(形態1) 上述した各請求項に記載の遊技機は、スロットマシンである。
(形態2) 上述した各請求項に記載の遊技装置は、2以上の図柄が帯状に配置された図柄列の一部を複数列表示する図柄表示装置である。
(形態3) 上述した各請求項に記載の遊技機の遊技演出手段は、特定の内部状態が抽選されたことを告知する遊技演出を行う。
(形態4) 第1作動タイミングは始動操作部が操作されたタイミングであり、第2作動タイミングは遊技装置の作動が開始されたタイミングである。
(形態5) 第1抽選タイミングは始動操作部が操作されたタイミングであり、第2抽選タイミングは遊技装置の作動が開始されたタイミングである。」

(エ)「【0019】
上述したベットボタン22,23,24や払出し配当表26の下側には、始動レバー25、リール停止ボタン27,28,29が設けられている。
始動レバー25は、図柄表示装置の各リール5,7,9の回転を起動するための操作部材である。メダルが投入された状態で始動レバー25が操作されると、図柄表示装置の各リール5,7,9が回転を開始する。
リール停止ボタン27,28,29は、リール5,7,9のそれぞれに対応して設けられ、対応するリールの回転を停止させるボタンである。具体的には、左リール停止ボタン27は左リール5の回転を停止させ、中リール停止ボタン28は中リール7の回転を停止させ、右リール停止ボタン29は右リール9の回転を停止させる。
また、始動レバー25の左下方には、クレジット精算ボタン21が設けられている。クレジット精算ボタン21は、メダルの貯留(クレジット)を解除するボタンである。クレジット清算ボタン21が操作されると、スロットマシン1に貯留されていたメダルが払い戻される。」

(オ)「【0028】
表示/音声制御回路120は、CPU121、VDP122、ROM123、RAM124、入力制御回路125、出力制御回路126から構成される。
CPU121は、制御回路100から出力されたコマンドデータに基づいてビッグボーナス図柄テンパイ表示ランプ30等の各種ランプ、クレジット表示部20等の各種表示部及び液晶表示器44の表示制御を行なう。各種ランプ30等や各種表示部20等は、CPU121が出力制御回路126を介して出力する駆動信号により点灯する。また、CPU121は、後で詳述するように予告演出を行うか否かを決定する処理や、予告演出が決定されたときにスピーカ46から予告音を出力する処理を行う。
VDP122は、CPU121から出力された信号に基づいて所定の画像を液晶表示器44に表示させる。具体的には、VDP122は、ROM123に格納された表示用データを用いてCPU121から出力された信号に応じた画像データを作成し、作成した画像データを液晶表示器44に出力する。
なお、表示/音声制御回路120によって点灯されるランプとしては、他にもメダルラインランプ16?18B、ベットボタン22?24、リプレイランプ39等があり、また、表示/音声制御回路120によって表示制御される表示部としては、他にも払出し枚数表示部32、ゲーム数表示部31等があるが、図6ではこれらの図示を省略している。」

(カ)「【0031】
ステップS26では、演出決定処理を行う。演出決定処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。なお、ステップS26の演出決定処理は、表示/音制御回路120で行われる。
図8に示すように、演出決定処理では、まず、ビッグボーナスフラグ又はレギュラーボーナスフラグがONされているか否かを判定する(S50)。
ビッグボーナスフラグ又はレギュラーボーナスフラグがONされている場合〔ステップS50でYES〕は、次に、遊技演出(すなわち、ボーナス予告音)を行うか否か及び遊技演出を行うタイミングを決定する(S58)。
具体的な手順としては、まず、遊技演出を行うか否かを決定する。この際、遊技演出を行わないと決定される確率は50%に設定されており、その結果、2回に1回の割合で遊技演出が行われることとなる。
遊技演出を行わないと決定した場合は、そのままステップS58の処理を終了する。一方、遊技演出を行うと決定した場合は、次に、遊技演出を行うタイミングを決定する。すなわち、本実施例では、始動レバー操作時とリール回転開始時の2つのタイミングで遊技演出を行う。このため、当該ゲームの遊技演出をいずれのタイミングで行うかを決定する。本実施例では、始動レバー操作時に遊技演出を行う確率は40%(ステップS58で遊技演出を行うと決定された回数に対しては80%)に設定されており、リール回転開始時に遊技演出を行う確率は10%(ステップS58で遊技演出を行うと決定された回数に対しては20%)に設定されている。したがって、ガセでない遊技演出は、リール回転開始時よりも始動レバー操作時により多く行われるように設定されている。
なお、遊技演出を行うか否か、遊技演出をどのタイミングで行うかは、例えば、公知の乱数による抽選処理等を用いることができる。
【0032】
一方、ビッグボーナスフラグ又はレギュラーボーナスフラグがONされていない場合〔ステップS50でNO〕は、次に、全てのフラグがOFFされているか否かを判定する(S52)。
全てのフラグがOFFされていない場合〔ステップS52でNO〕はステップS60に進み、全てのフラグがOFFされている場合〔ステップS52でYES〕は、遊技演出(いわゆる、ガセのボーナス予告音演出)を行うか否か及びその遊技演出を行うタイミングを決定する(S54)。具体的な手順は、上述したステップS58の処理と同一であるが、ステップS54では、遊技演出を行う確率と、遊技演出を行う作動タイミング毎の確率が異なっている。すなわち、遊技演出を行う確率は10%(遊技演出を行わない確率は90%)に設定される。また、始動レバー操作時に遊技演出を行う確率は2%(ステップS54で遊技演出を行うと決定した回数に対しては20%)に設定され、リール回転開始時に遊技演出を行う確率は8%(ステップS54で遊技演出を行うと決定した回数に対しては80%)の確率に設定されている。したがって、ガセの遊技演出は、始動レバー操作時よりもリール回転開始時により多く行われるようになっている。」

(キ)「【0035】
ステップS32では、ウェイトタイマが予め設定した設定時間(すなわち、請求項でいう最低遊技時間に相当する)だけカウントしたか否かを判定する。ウェイトタイマとは、リール5,7,9の回転を待機するか否かを判定するためのタイマであり、直前のゲームにおいてリール5,7,9が回転を開始するときにスタートされる。
ウェイトタイマが設定時間だけカウントしていない場合〔ステップS32でNO〕は、設定した時間がカウントされるまでステップS32の処理を繰返し、ウェイトタイマが設定した時間だけカウントしている場合〔ステップS32でYES〕にはステップS34に進む。したがって、直前のゲームでリール5,7,9が回転を開始したときから設定時間が経過しない限り、次のゲームで始動レバー25が操作されてもリール5,7,9の回転は開始されない。すなわち、リール5,7,9の回転が待機されることとなる。」

(ク)「【0037】
ステップS42では次のゲームのためにウェイトタイマをスタートさせる。次いで、遊技者のリール停止ボタン27,28,29の操作に応じて各リール5,7,9を停止させる(S44)。詳しくは、リール停止ボタン27,28,29が適切に操作された場合は、ステップS24でONされたフラグと一致する図柄が入賞ライン上に揃うようリール5,7,9が停止する。例えば、ビッグボーナスフラグがONされている場合は、ビッグボーナス図柄70(すなわち、「7」)が入賞ライン上に揃うようリール5,7,9が停止する。一方、リール停止ボタン27,28,29が適切に操作されなかった場合は、ステップS24でONされたフラグとは異なる図柄が入賞ライン上に揃うようリール5,7,9が停止する。なお、ステップS44のリール停止制御は、従来公知のスロットマシンにおけるリール停止制御と同一であるため、ここではその詳細な説明を省略する。」

(ケ)「【0039】
上述の説明から明らかなように、上記スロットマシン1においては、始動レバー操作時とリール回転開始時の2つのタイミングのいずれかでボーナス予告音が出力される。
ここで、リール5,7,9の回転開始が待機されないときは、始動レバー操作時とリール回転開始時は略同一タイミングとなり、各タイミングにおける予告音演出を遊技者は区別することができない。このため、始動レバー操作時の予告音演出とリール回転開始時の予告音演出が同一のものと遊技者に認識され、始動レバー操作時(又はリール回転開始時)に予告音演出が行われる回数(スピーカ46の作動率)が増加したように遊技者は認識する。
一方、リール5,7,9の回転開始が待機されると、始動レバー操作時の予告音演出とリール回転開始時の予告音演出は、異なるタイミングで行われた異なる遊技演出と認識される。このため、リールの回転が待機されたときは、リール回転が待機されないときと比較して、各タイミング(始動レバー操作時又はリール回転開始時)において予告音演出が行われる回数(スピーカ46の作動率)が減少したように遊技者は認識する。したがって、遊技者はリール回転を待機させるか否かを決定することで、自己の好みにあった予告音演出の頻度(作動率)で遊技を行うことができる。すなわち、請求項1でいう「作動率が異なる」には、遊技演出の頻度が異なるように遊技者に認識される場合をも含まれる。」

(コ)「【0044】
【実施例3】次に、上述した各実施例を変形したスロットマシンについて説明する。実施例3のスロットマシンも、上述した各実施例のスロットマシンと機械的・制御的構成は同一構成となる。ただし、実施例3では、抽選タイミング及び遊技演出タイミングは1つに設定され、単にリールの回転が待機されたときと待機されないときで遊技演出の信頼性が異なるように設定されている点が異なる。すなわち、図10のフロチャートに示すように始動レバーが操作されると〔ステップS110でYES〕、当該ゲームが入賞可能か否かを決める乱数抽出を行い(S112)、次いで、ウェイトがあるか否かを判定する(S114)。すなわち、ウェイトタイマがタイムアップしているか否かを判定する。
ウェイトが発生している場合〔ステップS114でYES〕は第1演出決定処理を行い(S116)、ウェイトが発生していない場合〔ステップS114でNO〕は第2演出決定処理を行う(S118)。第1演出決定処理では予告音演出の頻度が低く(すなわち、ガセである確率が低く)なるように設定されており、第2演出決定処理では予告音演出の頻度が高く(すなわち、ガセである確率が高く)なるように設定されている。
そして、ウェイトタイマがタイムアップしたか否かを判定するまで待機し(S120)、ウェイトタイマがタイムアップすると、以下、リール回転(S122)、予告音演出(S124)、ウェイトタイマスタート(S126)、リール停止(S128)、入賞処理(S130)と処理を行う。」

(サ)「【0062】
パチスロ機300の制御系は、主制御部100を中心に構成されており、この主制御部100には、メダル投入部320から投入されたメダルを識別し、メダルの投入数や種類(不正又は純正)等を出力するメダルセレクタ102が接続されると共に、始動レバー354、上述したリール350A、350B、350Cのそれぞれに対応する停止ボタン356A、356B、356C、MAXベットボタン352B、1枚ベットボタン352A並びに遊技を中止する際に遊技機内部に貯留(クレジット)したメダルを戻すための精算ボタン103が、それぞれ操作状態を検出する不図示のセンサ等を介して接続されている。
【0063】
また、主制御部100は、CPUを含んで構成される主制御回路110を備えており、主制御回路110には、主として遊技の進行状況等を一時的に記憶するRAM128と、各種プログラム等が記憶されたROM130と、が接続されると共に、主制御回路110の動作の基準となるクロックパルスを生成するクロックパルス発生回路124が分周器126を介して接続されている。
【0064】
また、主制御回路110には、乱数発生器120及び乱数サンプリング回路122が接続されている。主制御回路110は、分周器126を介して入力されたクロックパルスに同期して乱数発生器120を制御して順次乱数を発生させ、乱数サンプリング回路122では、当該乱数発生器120により発生された乱数を取得(サンプリング)する。
【0065】
パチスロ機300では、始動レバー354による操作タイミングで大役、小役等の当落を決定する内部抽選(役抽選)が主制御部100により行われるようになっており、主制御回路110では、始動レバー354が操作されると上記乱数サンプリング回路122に対して、乱数の取得、サンプリング及び出力を指示し、これにより乱数サンプリング回路122から入力された乱数に応じて抽選結果を導出する。
【0066】
なお、内部抽選が当たり(役当選)の場合は、その後の停止ボタン356A、356B、356Cによる停止操作により当たり図柄が揃うと、遊技者は各図柄に応じた数のメダルを獲得できるほか、揃った図柄に応じて遊技者に有利な遊技状態となる。
【0067】
ここで、役には小役と大役とがある。このうち、大役には、ビッグボーナス(以下、適宜「BB」という)及びレギュラーボーナス(以下、適宜「RB」という)があり、それぞれに対応する遊技においては遊技者に対する有利さの度合いが異なる。RBに対応する遊技(以下、適宜「RBゲーム」という)は複数回の小役ゲームにより構成されており、BBに対応する遊技(以下、適宜「BBゲーム」という)は、その遊技状態中に、複数回のRBゲームを含んで構成されている。このため、当然、小役ゲームよりもRBゲームの方が、RBゲームよりもBBゲームの方が、遊技者にとってより有利な遊技状態となる。
【0068】
また、主制御部100には、モータ駆動回路132が接続されており、当該モータ駆動回路132には、左(L)、中(C)、右(R)用の各リールモータ106A、106B、106Cを介してそれぞれ左、中、右の各リール350A、350B、350Cが接続されている。
【0069】
さらに、主制御部100には、3個のリール350A、350B、350Cの回転位置を検出するためのリール位置検出回路134が接続されており、主制御部100では、各リール350A、350B、350Cの位置を把握することができるようになっている。
【0070】
また、パチスロ機300では、通常は、上記始動レバー354による操作タイミングで図柄変動部316による図柄変動を開始するようになっており、主制御部100は、始動レバー354が操作されると、モータ駆動回路132を介したリールモータ106A、106B、106Cの駆動をそれぞれ開始し、3個のリール350A、350B、350Cをそれぞれ回転させると共に、その後の停止ボタン356A、356B、356Cによる操作に基づいて、3個のリール350A、350B、350Cの回転を停止させる。」

以上、(ア)乃至(サ)の記載、及び図面を総合すると、引用例1には、
「 始動操作部が操作されると当該ゲームが入賞可能か否かを決める乱数抽出を行い、作動停止時に図柄表示装置がとり得る停止態様を決める内部状態を抽選する手段と、
始動操作部の操作によって2以上の図柄が帯状に配置された図柄列の一部を複数列表示する図柄表示装置の各リール5,7,9の回転が開始され、リール停止ボタン27,28,29の操作に応じて各リール5,7,9を停止させ、図柄表示装置の作動停止時の停止態様に応じて特典を付与するゲームが主制御回路110により繰返し行われるとともに、
直前のゲームにおける図柄表示装置の作動開始時から前記直前のゲーム終了後の次のゲームにおける始動操作部の操作時までに経過した時間が予め設定された最低遊技時間に満たない場合に最低遊技時間が経過するまで図柄表示装置の作動開始が待機される遊技機であって、
表示/音制御回路120は、
ビッグボーナスフラグ又はレギュラーボーナスフラグがONされているか否かを判定し、その結果に応じた確率で予告音演出を行うか否かを決定し、予告音演出を行うと決定した場合は、始動レバー操作時とリール回転開始時のいずれのタイミングで予告音演出を行うかを決定し、
予告音演出を行う場合に、リール5,7,9の回転開始が待機されないときは、始動レバー操作時とリール回転開始時は略同一タイミングとなり、各タイミングにおける予告音演出を遊技者は区別することができず、リール5,7,9の回転開始が待機されると、始動レバー操作時の予告音演出とリール回転開始時の予告音演出のいずれか行われれる遊技機。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認めることができる。

4.対比
引用発明と本願補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)とを対比する。
引用発明の「始動操作部が操作されると」は、本願補正発明の「始動操作に基づいて」に相当する。以下同様に、
「当該ゲームが入賞可能か否かを決める乱数抽出を行い」は「予め設定された役抽選が実行される」に、
「始動操作部の操作によって」は「当該始動操作をトリガとして」に、
「2以上の図柄が帯状に配置された」は「複数の図柄群で構成された」に、
「リール停止ボタン27,28,29の操作に応じて」は「各図柄変動列毎の停止操作に基づいて」に、
「各リール5,7,9を停止させ」は「前記変動している図柄変動列を停止させ」に、
「主制御回路110」は「制御系ユニット」に、
「直前のゲームにおける図柄表示装置の作動開始時から前記直前のゲーム終了後の次のゲームにおける始動操作部の操作時までに経過した時間」は「前回遊技における前記始動操作から今回遊技の前記始動操作までの操作インタバル時間」に、
「予め設定された最低遊技時間に満たない場合に」は「予め設定された基準時間よりも短い場合に」に、
「最低遊技時間が経過するまで図柄表示装置の作動開始が待機される」は「前記始動操作をトリガとする変動開始時期を前記基準時間となるまで遅延させる」に、
「ビッグボーナスフラグ又はレギュラーボーナスフラグがONされているか否かを判定し、その結果に応じた確率で」は「前記役抽選の結果に基づいて、所定の確率で」に、
「表示/音制御回路120」は「予告実行有無決定手段」、「予告時期管理制御手段」及び「予告実行制御手段」に、
「予告音演出」は「役当選の予告」に、
「予告音演出を行う場合に」は「予告をすることが決定した場合に」に、
「リール5,7,9の回転開始が待機されないときは」は「操作インタバル時間が前記基準時間よりも長いときは」に、
「リール5,7,9の回転開始が待機されると」は「前記変動開始時期が遅延したときは」に、
「始動レバー操作時の予告音演出」は「変動開始に先行して前記予告として予告種(3)」に、
「リール回転開始時の予告音演出」は「変動開始時に前記予告として予告種(2)」に、
それぞれ相当する。

引用発明は、2以上の図柄が帯状に配置された図柄列の一部を複数列表示しているのであるから、「複数の図柄変動列」を備えているといえる。
また、引用発明では、図柄表示装置の各リール5,7,9の回転が開始しているのであるから、「複数の図柄変動列をそれぞれ独立して変動」させているといえる。
また、引用発明では、図柄表示装置の作動停止時の停止態様に応じて特典を付与するゲームが繰返し行われており、停止態様に応じて抽選した内部状態の結果を報知しているのであるから、「前記役抽選の結果を報知」しているといえる。
また、引用発明では、直前のゲームにおける図柄表示装置の作動開始時から前記直前のゲーム終了後の次のゲームにおける始動操作部の操作時までに経過した時間が予め設定された最低遊技時間が経過するまで図柄表示装置の作動開始が待機されるのであるから、遅延制御手段に相当する手段を備えていることは明らかである。
また、引用発明では、リール5,7,9の回転開始が待機されないときも予告音演出を行うと決定した場合は、始動レバー操作時とリール回転開始時のいずれのタイミングで予告音演出を行うかを決定しているが、始動レバー操作時とリール回転開始時のいずれと決定された場合にも、両者のタイミングが略同一であるため、始動レバー操作時(或いはリール回転開始時)に予告音演出を行っている。そして、本願補正発明の特定事項では、予告種を決定する処理については特定されていないので、その点で引用発明と本願補正発明は明確な相違はないものの、本願明細書を参酌すると、操作インタバル時間が前記基準時間よりも長いときは、予告の時期を決定する処理を行うことなく始動操作時に予告として予告種(1)を実行している点で相違するが、両者は、その処理についてはともかく、操作インタバル時間が前記基準時間よりも長いときは始動操作時に予告が実行される点では共通する。

以上を総合すると両者は、
「始動操作に基づいて、予め設定された役抽選が実行されると共に、当該始動操作をトリガとして、複数の図柄群で構成された複数の図柄変動列をそれぞれ独立して変動させると共に、各図柄変動列毎の停止操作に基づいて、前記変動している図柄変動列を停止させ、前記役抽選の結果を報知するための制御系ユニットを備えた遊技機であって、
前回遊技における前記始動操作から今回遊技の前記始動操作までの操作インタバル時間が、予め設定された基準時間よりも短い場合に、前記始動操作をトリガとする変動開始時期を前記基準時間となるまで遅延させる遅延制御手段と、
前記役抽選の結果に基づいて、所定の確率で役当選の予告をするか否かを決定する予告実行有無決定手段と、
前記予告実行有無決定手段で予告をすることが決定した場合、前記予告を変動開始時期に実行するか、始動操作開始時期を限度に前記変動開始に先行して実行するかを決定する予告時期管理制御手段と、
前記予告実行有無決定手段で予告をすることが決定した場合に、操作インタバル時間が前記基準時間よりも長いときは始動操作時に前記予告を実行し、前記遅延制御手段により前記変動開始時期が遅延したときは前記予告時期管理制御手段により決定した予告時期に基づいて、変動開始時に前記予告として予告種(2)を実行する、或いは、変動開始に先行して前記予告として予告種(3)を実行する予告実行制御手段とを有することを特徴とする遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
本願補正発明では、操作インタバル時間が前記基準時間よりも長いときは始動操作時に前記予告として予告種(1)を実行しているのに対して、引用発明では、リール5,7,9の回転開始が待機されないときは(本願補正発明の「操作インタバル時間が前記基準時間よりも長いときは」)、始動レバー操作時とリール回転開始時は略同一タイミングとなるため、結果として各タイミングにおける予告音演出を遊技者は区別することができず、始動レバー操作時に予告が行われるものの、予告を行うタイミングを決定する処理を行っている点。

5.判断
<相違点>について
引用発明において、リール5,7,9の回転開始が待機されないときは、始動レバー操作時とリール回転開始時は略同一タイミングとなるため、予告音演出の実行タイミングを決定する処理を行ったとしても、結果的に、実行タイミングは遊技者にとって略同一であるから、当該処理は実質的に意味がない処理となることは明らかであって、そのような実質的に意味のない処理を省略し相違点に係る本願補正発明の構成とする程度のことは、当業者であれば、容易に想起し得る事項である。

そして、本願補正発明の作用効果は、引用発明に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。

なお、請求人は審判請求書において「この場合、フラグによる設定は忠実に実行されるものの、常に、始動レバーをゆっくり操作する(ウェイトタイム経過後に操作する)遊技者からすれば引用文献1の制御系は全く無駄なものとなることは明白です。レバー操作がウェイトタイムよりも短いか長いかの判断がないためです。」と主張するが、引用発明の処理の場合は、リール5,7,9の回転開始が待機されないときと待機されるときとで、同じ処理を利用することができるという利点があり、本願補正発明のように、操作インタバル時間が前記基準時間よりも長いときと変動開始時期が遅延したときとで、異なる処理を設け無駄な処理を行わない利点とのいずれを選択するかは、当業者が適宜決め得る程度の事項に過ぎない。
また、請求人は審尋に対する平成23年3月3日付けで回答書において「・・・予告実行制御手段と有し、前記予告時期の異なる予告種(1)、予告種(2)、予告種(3)がそれぞれ同じ種類の予告であっても、期待値が異なることを特徴とする遊技機。」と補正をする準備があると補正案を提示しているものの、予告時期によって期待値が異なることは、引用例1の段落【0040】に「・・・また、ガセでない予告音演出を行うときは始動レバー操作時に多く遊技演出を行い、ガセの予告音演出はリール回転開始時に多く遊技演出を行う。その結果、始動レバー操作時の予告音演出は回数は少ないがその信頼性(ガセでない確率)は高く、リール回転開始時の予告音演出は回数は多いがその信頼性(ガセでない確率)は低くなる。・・・」と記載されていることから、該補正案の請求項1に係る発明も引用例1に記載の発明から当業者が容易に発明できたものである。

6.まとめ
以上のように相違点は、当業者が容易に想到し得るものであり、本願補正発明の作用効果も、引用発明に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。
よって、本願補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
 
審理終結日 2011-07-28 
結審通知日 2011-08-02 
審決日 2011-08-18 
出願番号 特願2006-531475(P2006-531475)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高木 亨  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 澤田 真治
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 中島 淳  
代理人 加藤 和詳  
代理人 福田 浩志  
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