• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1248905
審判番号 不服2010-2662  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-08 
確定日 2011-12-15 
事件の表示 平成11年特許願第347653号「印刷装置、その制御方法、および、情報記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月22日出願公開、特開2001-166904〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成11年12月7日の出願であって、平成21年1月21日付け拒絶理由通知に対して平成21年3月25日付けで手続補正がなされたが、平成21年11月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年2月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成22年2月8日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成22年2月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
平成22年2月8日付けの手続補正により、特許請求の範囲は次のとおり補正された。

[補正前](平成21年3月25日の手続補正)
「【請求項1】 文字又は図形を印刷する印刷部と、音を発生する音響器とを備えた印刷装置において、
前記印刷装置が所定の異常状態にあるか否かを検出する検出部と、
前記印刷装置が前記異常状態にある場合に音による通知を行うか否かの設定を記憶する記憶部と、
前記検出部により前記所定の異常状態にあることが検出され、かつ前記記憶部に音による通知を行う旨の設定が記憶されている場合に、前記音響器を駆動し音を発生させる制御部とを備え、
前記記憶部は、前記異常状態の種類に対応付けて当該異常状態を通知する優先順位をさらに記憶し、
前記制御部は、前記検出部により複数の異常状態が検出された場合に、前記記憶部に記憶された前記優先順位に基づいて最も優先順位が高い異常状態を音により通知することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】 前記記憶部は、前記異常状態の種類に対応付けて発生させるべき音の情報をさらに記憶し、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記異常状態に対応する前記記憶部に記憶された前記音の情報に基づいて前記音響器を駆動することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】 前記記憶部は、前記異常状態の種類に対応付けて音を発生させる時間もしくは回数をさらに記憶し、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記異常状態に対応する前記音記憶部に記憶された前記音を発生させる時間もしくは回数に基づいて前記音響器を駆動することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】 ホスト装置に接続され、当該ホスト装置からの指令データを受信する受信部を備え、
前記制御部は、前記ホスト装置からの第1の指令データに基づいて前記音響器の駆動を停止することを特徴とする請求項1乃至3に記載の印刷装置。
【請求項5】 ホスト装置に接続され、当該ホスト装置からの指令データを受信する受信部を備え、
前記記憶部に記憶された前記音による通知を行うか否かの設定、前記音の情報、前記音を発生させる時間もしくは回数、前記優先順位の少なくとも一は、前記ホスト装置からの第2の指令データに基づいて変更可能であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の印刷装置。
【請求項6】 文字又は図形を印刷する印刷部と、音を発生する音響器とを備えた印刷装置を制御する方法において、
前記印刷装置が異常状態にあるか否かを検出する検出ステップと、
前記印刷装置が前記異常状態にある場合に音による通知を行うか否かの設定を記憶する記憶ステップと、
前記検出ステップにより前記所定の異常状態にあることが検出され、かつ前記記憶ステップにおいて音による通知を行う旨の設定が記憶されている場合に、前記音響器を駆動し音を発生させる制御ステップとを備え、
前記記憶ステップは、前記異常状態の種類に対応付けて当該異常状態を通知する優先順位をさらに記憶し、
前記制御ステップは、前記検出ステップにより複数の異常状態が検出された場合に、前記記憶ステップにおいて記憶された前記優先順位に基づいて最も優先順位が高い異常状態を音により通知することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項7】 前記記憶ステップは、前記異常状態の種類に対応付けて発生させるべき音の情報をさらに記憶し、
前記制御ステップは、前記検出ステップにより検出された前記異常状態に対応する前記記憶ステップにおいて記憶された前記音の情報に基づいて前記音響器を駆動することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項8】 前記記憶ステップは、前記異常状態の種類に対応付けて音を発生させる時間もしくは回数をさらに記憶し、
前記制御ステップは、前記検出ステップにより検出された前記異常状態に対応する前記記憶ステップにおいて記憶された前記音を発生させる時間もしくは回数に基づいて前記音響機器を駆動することを特徴とする請求項6または7に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項9】 ホスト装置に接続され、当該ホスト装置からの指令データを受信する受信ステップを備え、
前記制御ステップは、前記ホスト装置からの第1の指令データに基づいて前記音響器の駆動を停止することを特徴とする請求項6乃至8に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項10】 ホスト装置に接続され、当該ホスト装置からの指令データを受信する受信ステップを備え、
前記記憶ステップにおいて記憶された前記音による通知を行うか否かの設定、前記音の情報、前記音を発生させる時間もしくは回数、前記優先順位の少なくとも一は、前記ホスト装置からの第2の指令データに基づいて変更可能であることを特徴とする請求項6乃至9に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項11】 文字又は図形を印刷する印刷部と、音を発生する音響器とを備えた印刷装置を制御する方法を実現するプログラムを記録したコンピュータ読取可能な情報記録媒体において、
前記印刷装置が異常状態にあるか否かを検出する検出ステップと、
前記印刷装置が前記異常状態にある場合に音による通知を行うか否かの設定を記憶する記憶ステップと、
前記検出ステップにより前記所定の異常状態にあることが検出され、かつ前記記憶ステップにおいて音による通知を行う旨の設定が記憶されている場合に、前記音響器を駆動し音を発生させる制御ステップとを備え、
前記記憶ステップは、前記異常状態の種類に対応付けて当該異常状態を通知する優先順位をさらに記憶し、
前記制御ステップは、前記検出ステップにより複数の異常状態が検出された場合に、前記記憶ステップにおいて記憶された前記優先順位に基づいて最も優先順位が高い異常状態を音により通知することを特徴とする情報記録媒体。
【請求項12】 前記情報記録媒体は、コンパクトディスク、フロッピーディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、または、半導体メモリであることを特徴とする請求項11に記載の情報記録媒体。」

[補正後](平成22年2月8日付け手続補正)
「【請求項1】 文字又は図形を印刷する印刷部と、音を発生する音響器とを備えた印刷装置において、
ホスト装置に接続され、当該ホスト装置からの指令データを受信する受信部と、
前記印刷装置が所定の異常状態にあるか否かを検出する検出部と、
前記印刷装置が前記異常状態にある場合に音による通知を行うか否かの設定を記憶する記憶部と、
前記検出部により前記所定の異常状態にあることが検出され、かつ前記記憶部に音による通知を行う旨の設定が記憶されている場合に、前記音響器を駆動し音を発生させる制御部とを備え、
前記記憶部は、前記異常状態の種類に対応付けて、発生させるべき音の情報、音を発生させる時間もしくは回数、及び当該異常状態を通知する優先順位をさらに記憶し、
前記制御部は、前記検出部により複数の異常状態が検出された場合に、前記記憶部に記憶された前記優先順位に基づいて最も優先順位が高い異常状態を音により通知するよう前記音響器を駆動し、
前記制御部は更に、前記受信部で受信した第1の指令データに基づいて前記音響器の駆動を停止し、
前記記憶部に記憶された前記音による通知を行うか否かの設定、前記音の情報、前記音を発生させる時間もしくは回数、前記優先順位の少なくとも一は、前記受信部で受信した第2の指令データに基づいて変更可能である、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】 前記制御部は、前記検出部により検出された前記異常状態に対応する前記記憶部に記憶された前記音の情報に基づいて前記音響器を駆動することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】 前記制御部は、前記検出部により検出された前記異常状態に対応する前記音記憶部に記憶された前記音を発生させる時間もしくは回数に基づいて前記音響器を駆動することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】 文字又は図形を印刷する印刷部と、音を発生する音響器とを備えた印刷装置を制御する方法において、
ホスト装置に接続され、当該ホスト装置からの指令データを受信する受信ステップと、
前記印刷装置が異常状態にあるか否かを検出する検出ステップと、
前記印刷装置が前記異常状態にある場合に音による通知を行うか否かの設定を記憶する記憶ステップと、
前記検出ステップにより前記所定の異常状態にあることが検出され、かつ前記記憶ステップにおいて音による通知を行う旨の設定が記憶されている場合に、前記音響器を駆動し音を発生させる制御ステップとを備え、
前記記憶ステップは、前記異常状態の種類に対応付けて、発生させるべき音の情報、音を発生させる時間もしくは回数、及び当該異常状態を通知する優先順位をさらに記憶し、
前記制御ステップは、前記検出ステップにより複数の異常状態が検出された場合に、前記記憶ステップにおいて記憶された前記優先順位に基づいて最も優先順位が高い異常状態を音により通知するよう前記音響器を駆動し、
前記制御ステップは更に、前記受信ステップで受信したホスト装置からの第1の指令データに基づいて前記音響器の駆動を停止し、
前記記憶ステップにおいて記憶された前記音による通知を行うか否かの設定、前記音の情報、前記音を発生させる時間もしくは回数、前記優先順位の少なくとも一は、前記受信ステップで受信した第2の指令データに基づいて変更可能である、
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項5】 前記制御ステップは、前記検出ステップにより検出された前記異常状態に対応する前記記憶ステップにおいて記憶された前記音の情報に基づいて前記音響器を駆動することを特徴とする請求項4に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項6】 前記制御ステップは、前記検出ステップにより検出された前記異常状態に対応する前記記憶ステップにおいて記憶された前記音を発生させる時間もしくは回数に基づいて前記音響機器を駆動することを特徴とする請求項4または5に記載の印刷装置
の制御方法。
【請求項7】 請求項2に記載の印刷装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータに読取可能な情報記録媒体。
【請求項8】 前記情報記録媒体は、コンパクトディスク、フロッピーディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、または、半導体メモリであることを特徴とする請求項7に記載の情報記録媒体。」

(2)補正についての検討
上記補正は、補正前の請求項1に請求項4、5に記載した事項と請求項2、3に記載した一部の事項を追加し、補正前の請求項6に請求項9、10に記載した事項と請求項7、8に記載した一部の事項を追加し、補正前の請求項4、5、9、10を削除するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という)第17条の第4項第1号及び第2号の請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3)刊行物
原審拒絶理由で引用された、本願の出願日前である平成7年7月11日に頒布された「特開平7-172032号公報」(以下、「刊行物1」という)には、次の事項が記載されている。
なお、下線は当審において付した。

(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプリンタ、画像形成装置、複合機もしくはその他コンピュータ周辺装置等の制御装置に関する。」

(イ)「【0004】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、プリンタが正常な場合であっても、ホストからデータを送信して印刷させることができない状態は考えられ、また、プリンタの動作異常だけでなく、通常のプリンタ状態やその変化を音で知らせることができないという問題点があった。
【0005】
【発明の目的】本発明は、このような従来技術の欠点を解消し、小さく見づらいプリンタの表示パネルに頼ることなく、プリンタの状態やその変化を音で知らせるようにすることにより、ホストに向かう人がプリンタの状態確認を行うために席を立ったり、ホストのディスプレイから目を逸らすことなくプリンタの印刷状態を知ることができ、印刷作業を効率化したプリンタの制御装置を提供することを目的にしている。また、個別のユーザにとって煩わしい音を自由に制限したり変更することができるようにすることにより、ユーザの自由度を増し、余計な音で聞き間違えることによる判断ミスを防ぐことも可能としたプリンタの制御装置を提供するものである。」

(ウ)「【0011】
【実施例】以下、図面に示した実施例に基づいて、本発明に係るプリンタ制御装置を詳細に説明する。図1は本発明に係るプリンタ制御装置のコントローラのブロック図である。コントローラ1はCPU3、NVRAM5、プログラムROM7、フォントROM9、RAM11及びインターフェース13乃至19からなり、前記各インターフェース13乃至19には印字を行うエンジン21、パネル装置23、ホスト装置25及び音源装置27がそれぞれ接続している。
【0012】前記CPU3は前記プログラムROM7に格納されたプログラム及びパネル装置23から供給されるモード指示、ホスト装置から供給されるコマンドによってコントローラ全体を制御するCPUであり、前記NVRAM5はパネル装置23からのモード指示の内容を記憶しておく不揮発性記憶装置である。また、フォントROM9にはフォントのパターンデータなどが記憶されている。前記RAM11はCPU3のワークメモリ、入力データのインプットバッファー、プリントデータのページバッファー、ダウンロードフォント用のメモリ等に使用される。
【0013】図2は本発明に係るプリンタ制御装置の機能構成ブロック図であって、n個の状態判定手段の30?32の内、例えば状態判定手段30において判定条件を満たす状態iが発生した場合、音通知機能有効性判定手段33によって、その状態を音として通知するか否かの判定が行われる。この判定条件は音通知機能選択手段34を通じて手動操作パネルや上位装置からのコマンドで選択指定されたものであり、例えば図3に示したようなブザー通知の有効性を予め音通知機能選択手段33に設定しておくことにより行われる。
【0014】判定の結果、有効性判定が真の場合、音信号選択手段35により状態iに応じた音を信号伝達手段37を介して音信号変換手段38に出力するが、状態iに応じた音は音信号設定手段36に予め任意に設定することが可能である。音パターンの設定状態として簡単な例としては、図3に示したようなブザーパターンを挙げることができる。この例では、パターンが単純なため、ブザーでは音を重複することができず、したがって、ブザーが最大n個あるものとするが、音の種類に音程等の要素を含めた波形成形装置等を用いれば、単一の音源でも複数の音を出力することが可能である。
【0015】図4は本発明に係るプリンタ制御装置のタイムチャートの一実施例を示した図であって、各状態判定と通知音発生に関するフローチャート図5乃至図10に示したフローチャート図と併せて以下詳細に説明する。オンライン中のブザー通知に関しては、図5に示すようにオンライン・オフライン切り替え部により切り替えが行われるが、切り替え処理部におけるオフライン処理、オンライン処理は各々従来と同様の処理でありその説明を省略する。
【0016】オフライン処理の場合、音通知機能有効性判定手段によってオフライン音発生が有効か否かを評価し、有効であれば音信号選択手段によりブザーパターンを選択し、音信号伝達手段によってオフラインブザーパターンの選択及び連続指定により所定の音のブザーが鳴る。その後、パネル操作等によりオンラインに切り替わると、オンライン処理とオフラインブザー停止が実施される。」

してみると、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物1発明」という)が記載されている。

(エ)「印字を行うエンジン、パネル装置、ホスト装置、及び音源装置が接続しているプリンタ制御装置において、
ホスト装置から供給されるコマンドによってコントローラ全体を制御するCPUと、
判定条件を満たす状態iが発生した場合を判定する状態判定手段と、
その状態を音として通知する否かの判定を行う音通知機能有効性判定手段と、
音通知の有効性を予め設定しておく音通知機能選択手段と、
状態iに応じた音のパターン及び連続指定を予め任意に設定することが可能である音信号設定手段とを備え、
判定の結果、有効性判定が真の場合、状態iに応じた音を音信号変換手段に出力して音を発生させ、
その後、状態iが切り替わると音通知停止が実施されるプリンタ制御装置」

また、原審拒絶理由で引用された、本願の出願日前である平成5年11月16日に頒布された「特開平5-301425号公報」(以下、「刊行物2」という)には、次の事項が記載されている。
なお、下線は当審において付した。

(オ)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のようなエラーの優先順位は各画像形成装置で固定的に決定されているため、その各画像形成装置においては、複数のエラーが発生した時にはその決定されている優先順位に従って最も優先度の高いエラーしか表示されず、使用者はそのエラーしか把握できなかった。すなわち、使用者が優先的に知りたい他のエラーが発生していても、表示されているエラーを取り除かない限り、知りたいエラーに関する情報を得られないことは勿論、他のエラーについて発生の有無さえ知ることができなかった。
【0005】この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、複数のエラーが同時に発生した時に、使用者が発生の有無を知りたいエラーについて優先的に知ることができるようにすることを第1の目的とする。また、複数のエラーが同時に発生した時に、そのエラー数を容易に把握できるようにすることを第2の目的とする。さらに、複数のエラーが同時に発生した時に、その全てのエラーを知ることができるようにすることを第3の目的とする。

(カ)「【0010】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。図2はこの発明の一実施例を示すレーザプリンタのブロック構成図であり、プリンタコントローラ1とエンジン2,パネル装置3,ディスク装置4とからなる。ホスト装置5は、このプリンタの上位装置である。」

(キ)「【0026】図1は、CPU6によるエラー項目の優先順位登録処理を示すフローチャートである。このルーチンは、パネル装置3からの入力情報(例えばエラー項目のID(識別情報)と優先順位)あるいはホスト装置5からのコマンド等によりエラー項目及びその優先順位が指定されると、メインルーチンによってコールされてスタートし、その指定されたエラー項目の優先順位を指定された順位にして登録すると共に、それ以外のエラー項目の優先順位を割り当て直して登録する。」

(ク)「【0028】一方、エラーの解除とともに表示要求フラグをリセットする処理を行なうが、それと共にエラー数カウンタをデクリメント(-1)し、そのカウント値をLCD表示器21に表示させる。(図6参照)。図7に、2つのエラーが同時に発生した時のLCD表示器21の表示例を示す。この図を見て判るように、2つのエラーが同時に発生した時には、LCD表示器21に最も優先順位が高いエラーメッセージとエラー数が表示される。」

してみると、刊行物2には、以下の発明(以下、「刊行物2発明」という)が記載されている。

(ケ)「ホスト装置からのコマンドによりエラー項目とその優先順位が指定されると、その指定されたエラー項目の優先順位を指定された順位にして登録し、
2つのエラーが同時に発生した時には、最も優先順位が高いエラーメッセージが表示されるレーザプリンタ。」

(4)対比・判断

刊行物1発明の「印字を行うエンジン」、「音源装置」は本願補正後発明の「印刷部」、「音響器」に相当し、刊行物1発明のプリンタ制御装置はプリンタ本体と一体的に使用されることが明らかなものであることから、刊行物1発明と本願補正後発明とは「文字又は図形を印刷する印刷部と、音を発生する音響器とを備えた印刷装置」である点で一致すると言える。

刊行物1発明は「ホスト装置」から「コマンド」を「供給される」ものであることから、「ホスト装置」から送信された「コマンド」を受信する「受信部」を当然備えるものであって、当該「コマンド」は本願補正後発明の「指令データ」に相当するものであると言えることから、刊行物1発明と本願補正後発明とは「ホスト装置に接続され、当該ホストからの指令データを受信する受信部」を備える点で一致する。

刊行物1発明で判定を行う「状態i」は、刊行物1の記載を参酌するに、オフライン中、上位装置からのデータ受信中、プリンタエンジンのヒーター部等へ加熱している状態、一定時間以上プリンタに印刷データが残留した状態を指すものであって、上記(3)(イ)に記載があるように「プリンタの動作異常だけでなく、通常のプリンタ状態やその変化を音で知らせることができない」という問題点を解決するためのものであることを勘案すると、刊行物1発明の「状態i」は本願補正後発明の「所定の異常状態」に相当するものであると言える。
よって、刊行物1発明の「判定条件を満たす状態iが発生した場合を判定する状態判定手段」は本願補正後発明の「前記印刷装置が所定の異常状態にあるか否かを検出する検出部」に相当する。

刊行物1発明は「音通知の有効性」を設定する「音通知機能選択手段」と、「状態iに応じた音のパターン及び連続指定」を設定する「音信号設定手段」とを個々の手段として備えるものであるが、刊行物1発明を音通知の条件を設定する機能を備えた装置として全体としてみた場合には「音通知の有効性」及び「状態iに応じた音のパターン及び連続指定」の設定を記憶する記憶手段を備えるものであると言える。
そして、刊行物1発明の「音通知の有効性」の設定は本願補正後発明の「音による通知を行う旨の設定」に相当し、「当該状態iに応じた音パターン及び連続指定」は本願補正後発明の「発生させるべき音の情報、音を発生させる時間もしくは回数」に相当すると言えることから、刊行物1発明と本願補正後発明とは「前記印刷装置が前記異常状態にある場合に音による通知を行うか否かの設定を記憶する記憶部」を備え、「前記記憶部は、前記移動状態の種類に対応付けて、発生させるべき音の情報、音を発生させる時間もしくは回数を記憶」するものである点で一致する。
更に、刊行物1発明における「音通知の有効性」及び「状態iに応じた音パターン及び連続指定」は任意に設定可能であって、当該設定動作を行う際には装置内において何らかの指令データが生成され、当該指令データに従って動作が実施されることが明らかであることから、刊行物1発明と本願補正後発明とは、「前記記憶部に記憶された前記音による通知を行うか否かの設定、前記音の情報、前記音を発生させる時間もしくは回数の少なくとも一は、所定の指令データに基づいて変更可能である」点においても共通する。

刊行物1発明は「コントローラ全体を制御するCPU」を備えると共に、「その状態を音として通知するか否かの判定を行う音通知機能有効性判定手段」を備え、「判定の結果、有効性判定が真の場合、状態iに応じた音を音信号変換手段に出力して音を発生させ」るものであるが、当該「CPU」は「コントローラ全体を制御する」ものであり、刊行物1発明の「音源装置」も当然制御の対象とするものであって、刊行物1発明の「音源装置」が本願補正後発明の「音響器」に相当することは上述したとおりであることから、刊行物1発明と本願補正後発明とは「前記検出部により前記所定の異常状態にあることが検出され、かつ前記記憶部に音による通知を行う旨の設定が記憶されている場合に、前記音響器を駆動し音を発生させる制御部」を備える点で一致する。

刊行物1発明は「状態iが切り替わると音通知停止が実施される」ものであって、当該「音通知停止が実施される」際には刊行物1発明の装置内において音通知を停止するための何らかの指令データが生成されており、当該命令データに基づいて刊行物1発明の「CPU」が停止動作を行うものであることが当業者に自明であることから、刊行物1発明と本願補正後発明とは「前記制御部は更に、所定の指令データに基づいて前記音響器の駆動を停止」するものである点で共通する。

なお、刊行物1発明の「音通知停止」を実施するための指令データと、「音通知の有効性」及び「状態iに応じた音パターン及び連続指定」を設定するための指令データとは互いに異なるものであることは明らかである。

したがって、本願補正後発明と刊行物1発明とは、以下の点で一致し、相違する。

(一致点)
「文字又は図形を印刷する印刷部と、音を発生する音響器とを備えた印刷装置において、
ホスト装置に接続され、当該ホスト装置からの指令データを受信する受信部と、
前記印刷装置が所定の異常状態にあるか否かを検出する検出部と、
前記印刷装置が前記異常状態にある場合に音による通知を行うか否かの設定を記憶する記憶部と、
前記検出部により前記所定の異常状態にあることが検出され、かつ前記記憶部に音による通知を行う旨の設定が記憶されている場合に、前記音響器を駆動し音を発生させる制御部とを備え、
前記記憶部は、前記異常状態の種類に対応付けて、発生させるべき音の情報、音を発生させる時間もしくは回数をさらに記憶し、
前記制御部は更に、第1の指令データに基づいて前記音響器の駆動を停止し、
前記記憶部に記憶された前記音による通知を行うか否かの設定、前記音の情報、前記音を発生させる時間もしくは回数の少なくとも一は、第2の指令データに基づいて変更可能である、
ことを特徴とする印刷装置。

(相違点1)
本願補正後発明は、異常状態に対して「優先順位」を設定して、「異常状態を通知する優先順位」を変更可能に記憶し、「複数の異常状態が検出された場合に、記憶部に記憶された前記優先順位に基づいて最も優先順位が高い異常状態を音により通知する」ものであるのに対し、刊行物1発明では当該「優先順位」に関する構成について何ら言及がない点。

(相違点2)
音響器の駆動を停止する第1の指令データの出所について、本願補正後発明は、ホスト装置からの指令データを受信する「前記受信部で受信した」ものであるのに対し、刊行物1発明はそのような言及がない点。

(相違点3)
記憶部に記憶された各種設定値の設定を行う第2の指令データの出所について、本願補正後発明は、ホスト装置からの指令データを受信する「前記受信部で受信した」ものであるの対し、刊行物1発明はそのような言及がない点。

(5)相違点に対する当審の判断

(相違点1について)
印刷装置の異常状態を表示する印刷装置の技術分野において、異常状態に対して優先順位を設定し、異常状態を通知する優先順位を変更可能に記憶し、複数の異常状態が検出された場合に記憶部に記憶された優先順位に基づいて最も優先順位が高い異常状態を表示することは、刊行物2に記載されており、刊行物1発明における「複数の状態i」に対して刊行物2発明を適用して、本願補正後発明の構成とすることは、当業者にとって想到困難な事項ではない。

(相違点2について)
ホスト装置に接続された印刷装置の異常状態を音により表示する印刷装置の技術分野において、異常状態を表す音をホスト装置からの指令に基づいて停止することは、周知慣用された構成にすぎない。
例えば、本願の出願日前である平成11年7月30日に頒布された刊行物である特開平11-203098号公報(段落【0066】)にも、そのような技術が記載されている。
してみれば、刊行物1発明に上記周知慣用された技術を適用して本願補正後発明の構成とすることは、当業者にとって想到困難な事項ではない。

(相違点3について)
ホスト装置に接続された印刷装置の技術分野において、印刷装置の記憶部に記憶された各種設定値をホスト装置からの指令に基づいて設定することは、周知慣用された技術にすぎない。
刊行物2(前記(3)(ク)参照)にも、そのような技術が記載されている。
してみれば、刊行物1発明に上記周知慣用された技術を適用して本願補正後発明の構成とすることは、当業者にとって想到困難な事項ではない。

そして、これら相違点を総合的に考慮してみても当業者が推考し難い格別のものであることとすることはできず、また本願補正後発明の効果についてもみても、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるともいえない。

したがって、本願補正後発明は、刊行物1発明、刊行物2発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(6)まとめ

以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について

平成22年2月8日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成21年3月25日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は以下のとおりのものである。

「文字又は図形を印刷する印刷部と、音を発生する音響器とを備えた印刷装置において、
前記印刷装置が所定の異常状態にあるか否かを検出する検出部と、
前記印刷装置が前記異常状態にある場合に音による通知を行うか否かの設定を記憶する記憶部と、
前記検出部により前記所定の異常状態にあることが検出され、かつ前記記憶部に音による通知を行う旨の設定が記憶されている場合に、前記音響器を駆動し音を発生させる制御部とを備え、
前記記憶部は、前記異常状態の種類に対応付けて当該異常状態を通知する優先順位をさらに記憶し、
前記制御部は、前記検出部により複数の異常状態が検出された場合に、前記記憶部に記憶された前記優先順位に基づいて最も優先順位が高い異常状態を音により通知することを特徴とする印刷装置。」

(1)刊行物
原審拒絶理由で引用された刊行物1、刊行物2、及び、その記載事項は、前記2.(2)で記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.(1)で検討した本願補正後発明の限定事項である構成を除いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正後発明が、前記2.で検討したとおり、刊行物1発明、刊行物2発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1発明、刊行物2発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)まとめ
したがって、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび

以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-10-12 
結審通知日 2011-10-18 
審決日 2011-10-31 
出願番号 特願平11-347653
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 朋広  
特許庁審判長 吉村 博之
特許庁審判官 千葉 輝久
溝本 安展
発明の名称 印刷装置、その制御方法、および、情報記録媒体  
代理人 上柳 雅誉  
代理人 宮坂 一彦  
代理人 須澤 修  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ