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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1249049
審判番号 不服2008-6658  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-18 
確定日 2011-12-21 
事件の表示 平成 9年特許願第 73647号「圧電抵抗作用を使用する歪みゲージセンサおよびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 1月23日出願公開、特開平10- 22510〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成9年3月26日(パリ条約による優先権主張1996年3月28日,仏国)の出願であって,平成19年3月16日付けの拒絶理由通知に対して,同年9月20日に手続補正書及び意見書が提出されたが,同年12月11日に拒絶査定がされ,これに対し,平成20年3月18日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,同年4月17日付けで手続補正がされ,その後当審において平成22年4月5日付けで審尋がされ,同年10月26日に回答書が提出され,さらに,同年11月19日付けで審尋がされ,平成23年5月24日に回答書が提出されたものである。

第2 平成20年4月17日付けの手続補正について

[補正却下の決定の結論]
平成20年4月17日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
平成20年4月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は,本件補正前の請求項1を,本件補正後の請求項1とする補正(以下「本件補正事項」という。)を含むものであって,本件補正前後の請求項1は,次のとおりである。
(1)本件補正前の請求項1
「自由に選択されるドーピング型を有する半導体材料から作られる少なくとも1つの歪みゲージの支持体として作用し,単結晶からなる構造体からなる,圧電抵抗作用を使用する歪みゲージセンサにおいて,歪みゲージがその圧電抵抗係数を改善するように決定された結晶学的平面に沿って作られた要素であり,前記構造体がそのエツチングを改善するように決定された結晶学的平面にエツチングされた要素であり,前記歪みゲージが前記センサを得るように結合手段により前記構造体上に結合されたことを特徴とする歪みゲージセンサ。」
(2)本件補正後の請求項1
「半導体材料から作られる少なくとも1つの歪みゲージの支持体として作用し,単結晶からなる構造体に,前記歪みゲージが結合手段により結合して構成される,圧電抵抗作用を使用する歪みゲージセンサにおいて,
前記歪みゲージが,前記構造体の支持体に結合して支持され,かつ,自由に選択されるドーピング型を有する半導体材料からなり,選択されたドーピング型に応じてその圧電抵抗係数を改善する結晶学的平面に沿って作られた要素であり,
前記構造体の支持体が,そのエツチングを改善するように決定された結晶学的平面にエツチングされた要素であることを特徴とする歪みゲージセンサ。」

2 新規事項の追加の有無,及び補正目的の適否について
本件補正事項は,語順の入れ替えのほかは,補正前の請求項1における「その圧電抵抗係数を改善するように決定された結晶学的平面に沿って作られた要素」との事項を,補正後の請求項1における「選択されたドーピング型に応じてその圧電抵抗係数を改善する結晶学的平面に沿って作られた要素」と限定するものであり,当該限定のために付加された「選択されたドーピング型に応じて」との事項は,本願の願書に最初に添付された明細書の【0031】?【0032】に基づくものである。
したがって,本件補正事項は,特許法第17条の2第3項の規定に適合し,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下「特許法第17条の2第4項」という。)第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件の検討
以上で検討したとおり,本件補正事項は,特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そこで,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて,以下で更に検討する。

3-1 本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)は,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである(上記1(2))。

3-2 引用例に記載された事項と引用発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用された,本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開昭63-237482号公報(以下「引用例」という。)には,第1,7,8図とともに,次の記載がある(下線は当審で付加。以下同じ。)。

ア 歪みゲージと圧力センサについて
「(従来の技術)
機械的応力を加える事によってピエゾ抵抗効果によりその抵抗値が変化することを利用して,単結晶シリコン基板の一部の肉厚を薄くしダイヤフラムを形成し,そのダイヤフラムに歪ゲージを拡散層等で形成して,ダイヤフラムに加わる圧力により歪ゲージを変形させ,ピエゾ抵抗効果による抵抗値の変化を検出して圧力を測定する半導体圧力センサが用いられている。」(第1頁右下欄第8行?第16行)

イ 第1の単結晶シリコン基板について
「第1図(a)?(g)は本発明の実施例を示す断面図であって,その製造工程を順に説明する。
まず,第1図(a)において,1は(100)面の第1の単結晶シリコン基板であり,2は第1の単結晶シリコン基板1の主表面上の所定領域に形成するシリコン酸化膜(SiO_(2))である。このシリコン酸化膜2をマスクとして水酸化カリウム(KOH)等による異方性のエツチング液を用いてエツチングし,同図(b)に示すような凹部3を形成する。次に,凹部3内にレーザビームによって20?50μm径の貫通孔4を形成する。尚,ここで用いる基板としてはその結晶面は(110)でもよく,又,パイレックスガラス,サファイア等に凹部及び貫通孔を形成したものであってもよい。」(第2頁右上欄第2行?第16行)

ウ ピエゾ抵抗層について
「一方,同図(c)に示すように,例えば,その比抵抗が3?5ΩcmのN型導電型であって,結晶面が(100)あるいは(110)の第2の単結晶シリコン基板5の主表面上の所定領域に,シリコン酸化膜6を形成し,そのシリコン酸化膜6をマスクとしてボロン(B)等のP型不純物を高濃度に拡散しピエゾ抵抗層7を,<110>方向に形成する。」(第2頁右上欄第17行?左下欄第4行)

エ BPSG層による接着について
「引き続き,シリコン酸化膜6を除去した後に,同図(d)に示すように第2の単結晶シリコン基板5の主表面上の全面にLPCVD法又はプラズマCVD法により膜厚が0.1?2.0μmのシリコン窒化膜(Si_(3)N_(4))8を形成し,さらにこのシリコン窒化膜8上にBPSG膜9を形成する。尚,この時,BPSG膜9の表面はほぼ平滑な状態となっている。
そして,同図(e)に示すように,第1の単結晶シリコン基板1の主表面上に,上下のパターンが設定通り重なるように例えば赤外顕微鏡で位置合せを行い第2の単結晶シリコン基板5に形成されたBPSG膜9を配置する。
ここで,本実施例においては第1,第2の単結晶シリコン基板1,5(あるいはそれらのウェハ)の周辺部を真空中でレーザにより溶融接着して仮止めを行う。しかる後に真空炉内に入れ約1000℃?1100℃に加熱し,BPSG膜9を溶融し第1,第2の単結晶シリコン基板1,5の両者の接着を行う。又,接着が完全に行われるように基板上に重しを乗せて行っている。」(第2頁左下欄第4行?右下欄第4行)

オ ピエゾ抵抗層と半導体圧力センサの構成について
「そして,同図(f)に示すように,第1の単結晶シリコン基板1の他主面(裏面)をワックス等で覆い(図示はしない),第2の単結晶シリコン基板5の他主面(裏面)側より,例えばエチレンジアミン(260ml),ピロカテコール(45g),水(120ml)を主成分とする異方性エツチング液により第2の単結晶シリコン基板5をエツチング除去する。この際,エツチングはN型導電型である領域を選択的に進行し,高温度にボロンを拡散したピエゾ抵抗層7部分及びシリコン窒化膜8はほとんどエツチングされずに残る。このようにして絶縁膜としてのシリコン窒化膜8上に単結晶のピエゾ抵抗層7が形成される。そして,同図(g)に示すように,表面保護膜10,及びAl等から成る配線層11を形成して本実施例の半導体圧力センサを構成する。」(第2頁右下欄第19行?第3頁左上欄第14行)

カ ダイヤフラムについて
「又,本実施例の場合,シリコン窒化膜8とBPSG膜9とで構成されるダイヤフラムは,凹部3の上部,及び凹部3の周辺である第1の単結晶シリコン基板1上にわたってほぼ平滑に形成されており」(第3頁右上欄第17行?左下欄第1行)

キ シリコン基板の面方位について
「又,本実施例ではレーザビームにより貫通孔4を形成したが第7図に示すようにシリコンの(110)面を用いて第8図に示す方位に貫通孔パターンを形成して,KOH溶液等の異方性エツチングを行なえば(111)面を側壁としてシリコン基板1に貫通孔4を形成できる。また(110)面の方位を傾けることにより,斜め方向に貫通孔を形成することも可能である。」(第4頁左下欄第9行?第16行)

ク 第1図について
第1図(g)によれば,第1の単結晶シリコン基板1の凹部3が形成された面上に,上記凹部3の上に,上記BPSG膜9とシリコン窒化膜8を介して,ピエゾ抵抗層7がパターニング形成されていることが見て取れる。

(2)以上を整理すると,引用例には次の事項が記載されている。
・第1図(g)及び上記(1)エ?オから,引用例には,「第1の単結晶シリコン基板1」と,上記シリコン基板上に「BPSG膜9」によって接着された「ピエゾ抵抗層7」とで構成された「半導体圧力センサ」が記載されている。
・上記(1)カから,引用例には,「シリコン窒化膜8とBPSG膜9」が,「第1の単結晶シリコン基板1」に形成された「凹部3」の上部においてダイヤフラムを構成することが記載されている。また,第1図(g)から,引用例の「ピエゾ抵抗層7」が当該ダイヤフラム上に形成されたものであることが見て取れる。これらの事項と,上記(1)アの説明を併せて読むと,引用例には,「ピエゾ抵抗効果による抵抗値の変化を検出して圧力を測定する半導体圧力センサ」が記載され,引用例の「ピエゾ抵抗層7」は「歪みゲージ」であることが理解できる。
・上記(1)ウから,引用例には,結晶面が(100)あるいは(110)の単結晶シリコンの主表面上の<110>方向に,P型の「ピエゾ抵抗層7」を形成することが記載されている。
・上記(1)イから,引用例の「第1の単結晶シリコン基板1」は,異方性のエッチング液を用いたエッチングにより凹部3が形成されたものであることが記載されている。

(3)上記(2)によれば,引用例には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「第1の単結晶シリコン基板1と,前記基板1上にBPSG層9によって接着された歪みゲージであるピエゾ抵抗層7とで構成された,ピエゾ抵抗効果による抵抗値の変化を検出して圧力を測定する半導体圧力センサにおいて,
前記歪みゲージであるピエゾ抵抗層7が,P型であり,結晶面が(100)あるいは(110)の単結晶シリコンの主表面上の<110>方向に形成されたものであり,
前記第1の単結晶シリコン基板1が,異方性のエッチング液を用いたエッチングにより凹部3が形成されたものであることを特徴とする半導体圧力センサ。」

3-3 補正発明と引用発明との対比
補正発明と,引用発明とを対比する。
(1)引用発明における「歪みゲージであるピエゾ抵抗層7」は,補正発明における「歪みゲージ」に相当する。また,上記3-2(1)ウで摘記した記載から,引用発明の「歪みゲージであるピエゾ抵抗層7」は,「半導体材料から作られる」ものであるといえる。
(2)引用発明における「BPSG層9によって接着」することは,補正発明における「結合手段により結合」することに,それぞれ相当する。
(3)引用発明における「第1の単結晶半導体シリコン基板1」は,その上に「歪みゲージであるピエゾ抵抗層7」が形成されるものであることから,「歪みゲージの支持体として作用」するものであるといえ,同様にして,引用発明における「歪みゲージであるピエゾ抵抗層7」が,「第1の単結晶シリコン基板1」に「支持される」ものであるといえる。また,「第1の単結晶半導体シリコン基板1」が「単結晶からなる構造体」であることは明らかである。
(4)引用発明の「半導体圧力センサ」は,「歪みゲージであるピエゾ抵抗層7」を用いたセンサであり,また,「ピエゾ抵抗効果」が「圧電抵抗作用」の一種であることは技術常識であるから,引用発明における「ピエゾ抵抗効果による抵抗値の変化を検出して圧力を測定する半導体圧力センサ」は,補正発明における「圧電抵抗作用を使用する歪みゲージセンサ」に相当する。
(5)平成23年5月24日に提出された回答書によれば,補正発明における「前記構造体の支持体が,そのエッチングを改善するように決定された結晶学的平面にエッチングされた要素である」との事項は,「前記構造体の支持体が,結晶学的平面を異方性エッチングしてなる要素である」と理解できるところ,引用発明の「単結晶シリコン基板1」も,構造体の支持体であり,異方性エッチングにより凹部3が形成されたものであるから,補正発明と引用発明とは,「前記構造体の支持体が,そのエッチングを改善するように決定された結晶学的平面にエッチングされた要素である」点で一致する。

そうすると,補正発明と引用発明の一致点及び相違点は,次のとおりである。

<一致点>
「半導体材料から作られる少なくとも1つの歪みゲージの支持体として作用し,単結晶からなる構造体に,前記歪みゲージが結合手段により結合して構成される,圧電抵抗作用を使用する歪みゲージセンサにおいて,
前記歪みゲージが,前記構造体の支持体に結合して支持され,かつ,半導体材料からなる要素であり,
前記構造体の支持体が,そのエツチングを改善するように決定された結晶学的平面にエツチングされた要素であることを特徴とする歪みゲージセンサ。」
である点。
<相違点>
補正発明では,「歪みゲージ」が「自由に選択されるドーピング型を有」し「選択されたドーピング型に応じてその圧電抵抗係数を改善する結晶学的平面に沿って作られた要素」であるのに対し,引用発明では,「歪みゲージであるピエゾ抵抗層7」がそのようなものであることが特定されていない点。

3-4 相違点についての判断
引用発明は,P型のピエゾ抵抗層7を「結晶面が(100)あるいは(110)の単結晶シリコンの主表面上の<110>方向に形成」したものであるところ,次の周知例1?4に示すとおり,P型のピエゾ抵抗層の場合,結晶面が(100)又は(110)の単結晶シリコンの<110>方向に形成したとき抵抗変化が最大となり,N型のピエゾ抵抗層の場合,結晶面が(100)の単結晶シリコンの<100>方向に形成したとき抵抗変化が最大となることは,当業者に周知の事項である。
・周知例1:特開昭49-76489号公報
本願の優先日前に日本国内で頒布された刊行物である上記周知例1には,次の記載がある。
「更に,他の半導体装置を同一ウエフア上に組み込むのが極めて好適であるため感圧素子は[110]結晶面に沿って切り出したP導電型単結晶珪素とする。他の用途に対しては,例えば[100]結晶面に沿って切り出したN導電型単結晶珪素を選択するのが有利であることもある。」(第2頁右下欄第20行?第3頁左上欄第6行)
・周知例2:特開平6-112121号公報
本願の優先日前に日本国内で頒布された刊行物である上記周知例2には,次の記載がある。
「ここで,シリコンのピエゾ抵抗効果はn型とp型とでその効果が最大となる結晶方位が異なっている。すなわち,(100)面のシリコンにおいては,n型シリコンの場合は電流方向を<100>方向にした場合にピエゾ抵抗効果が最大になる。これに対して,(100)面のシリコンでp型シリコンの場合には<110>方向にしたときにピエゾ抵抗効果は最大になる。」(段落【0031】)
・周知例3:特開平7-86618号公報
本願の優先日前に日本国内で頒布された刊行物である上記周知例3には,次の記載がある。
「格子面(100)の単結晶シリコン基板1を使用したP型拡散抵抗層の「感度」は,図7に示すP型拡散抵抗層の格子面(100)のピエゾ抵抗効果の状態図の如く,拡散抵抗層(シリコン基板)の結晶軸の方向に対する応力の方向により異なり,<110>に対して最大となる。」(段落【0009】)
・周知例4:特開平7-253364号公報
本願の優先日前に日本国内で頒布された刊行物である上記周知例4には,図8,10とともに次の記載がある。
「【0027】このような製造工程を経て作成された半導体素子3の平面は,図8に示す拡大図の如く構成されている。図8において,Si基板の面方位は(110)が用いられ,4つのピエゾ抵抗素子25a,25b,25c,25dにてブリッジ回路が構成されている。このうちの1対のピエゾ抵抗素子25aと25bは〈110〉方向に電流が流れるよう配置され,圧縮応力に対して抵抗値がピエゾ抵抗効果により増加する。残りの1対のピエゾ抵抗素子25cと25dは〈100〉方向に配置され,圧縮応力に対して抵抗値変化しない。この原理は,Siの結晶異方性によるもので,ー般にP型Si(110)面における圧縮応力に対する抵抗値変化量を各方向毎に示した図10のようになることは周知である。」
そうすると,引用発明が,P型において抵抗変化最大の方向を選択したものに当たることは,引用例に接した当業者が上記周知事項から直ちに察知し得たことである。
また,抵抗変化の最大化は,センサ効率改善のために当業者が普通に考慮する事項であるから,引用発明においてピエゾ抵抗層の導電型をN型に変更する場合に,抵抗変化が最大となるように,(100)結晶面の<100>方向を形成方向に選択することは,上記周知事項からみて自然な選択であるといえる。
さらに,上記3-1(1)イ,ウ,キの摘記から,引用例には,第1の単結晶シリコン基板とピエゾ抵抗層(第2の単結晶基板)として互いに異なる面方位の単結晶シリコンを選択することが開示されていると理解できるから,引用発明において,単結晶シリコン基板1の面方位とは独立に,上記周知事項に基づいてピエゾ抵抗層7の抵抗変化が最大となる結晶方向に形成することは,当業者が普通になし得たことである。
したがって,引用発明において,いずれのドーピング型の半導体材料に対しても,それぞれに抵抗変化が最大となる結晶方向を選択してピエゾ抵抗層を形成すること,換言すれば,「選択されたドーピング型に応じてその圧電抵抗係数を改善する結晶学的平面に沿って作られた要素」とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

よって,補正発明は,周知の事項を勘案し引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3-5 独立特許要件についてのまとめ
以上のとおり,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。よって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。

4 補正却下の決定についてのまとめ
以上検討したとおり,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであるから,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成20年4月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?17に係る発明は,平成19年9月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載された事項により特定されるものであり,その内の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,上記第2,1(1)に本件補正前の請求項1として摘記したとおりのものである。

2 引用発明
引用発明は,上記第2,3-2(3)で認定したとおりのものである。

3 対比・判断
上記第2,2で検討したように,補正発明は,実質的に,本件補正前の請求項1の「その圧電抵抗係数を改善するように決定された結晶学的平面に沿って作られた要素」について,「選択されたドーピング型に応じて」との点を限定したものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,これをより限定したものである補正発明が,上記第2,3において検討したとおり,引用発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものということができる。

4 本願発明についての結論
以上検討したとおり,本願発明は,引用発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 結言
以上のとおりであるから,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶をすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-15 
結審通知日 2011-07-19 
審決日 2011-08-05 
出願番号 特願平9-73647
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 英樹  
特許庁審判長 齋藤 恭一
特許庁審判官 西脇 博志
小川 将之
発明の名称 圧電抵抗作用を使用する歪みゲージセンサおよびその製造方法  
代理人 添田 全一  
代理人 本多 弘徳  
代理人 萩野 平  
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