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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1249134 |
審判番号 | 不服2010-21917 |
総通号数 | 146 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-09-29 |
確定日 | 2011-12-22 |
事件の表示 | 特願2007-266537「画像送信装置、画像送信方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 2月 7日出願公開、特開2008- 29038〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、特願2000-48260号(出願日:平成12年2月24日)の分割出願である特願2005-322918号の分割出願として平成19年10月12日に出願されたものであって、平成21年7月29日付け拒絶理由通知に応答して平成21年10月5日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、平成22年6月23日に拒絶査定がされ、これに対して平成22年9月29日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成22年9月29日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成22年9月29日付けの補正を却下する。 [理由] 1.補正後の本願特許請求の範囲 当該補正は特許請求の範囲の記載を、次のとおりとするものである。 【書類名】特許請求の範囲 【請求項1】 複数の宛先に対して同一の画像データに基づいた同報送信を行う画像送信装置であって、 第1の送信形式で送信する第1の宛先を登録することが可能であると共に、第1の送信形式と異なる第2の送信形式で送信する第2の宛先を登録することが可能な登録手段と、 利用者から、原稿を読み取って画像データを入力する第1の入力形式と蓄積手段により蓄積された画像データを入力する第2の入力形式とのいずれかの入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付けると共に前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることで、受け付けた入力形式が前記第1の入力形式である場合には原稿読み取り設定を設定させる設定画面を表示させ、当該設定画面で利用者により設定された原稿読み取り設定に基づいた原稿の読み取り処理を行って入力された画像データを、前記第1の宛先には前記第1の送信形式で送信可能とすると共に、前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御し、前記受け付けた入力形式が前記第2の入力形式である場合には、前記蓄積手段により蓄積された画像データの中から所望の画像データを選択させる選択画面を表示させ、当該選択画面で選択された所望の画像データを読み出すことで入力された画像データを、前記第1の宛先には前記第1の送信形式で送信可能とすると共に、前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御する制御手段と、 を有することを特徴とする画像送信装置。 【請求項2】 前記登録手段は、ファクシミリ形式で送信する第1の宛先を登録することが可能であると共に、電子メール形式で送信する第2の宛先を登録することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。 【請求項3】 前記少なくとも1つの入力形式並びに前記第1の送信形式及び前記第2の送信形式の組み合わせに関する情報を記憶する記憶手段をさらに備え、 前記制御手段は、前記記憶手段により記憶された組み合わせに関する情報に基づいて、前記原稿を読み取って画像データを入力する第1の入力形式と蓄積手段により蓄積された画像データを入力する第2の入力形式とのいずれかの入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付けると共に、前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることを特徴とする請求項1または2に記載の画像送信装置。 【請求項4】 画像送信装置で実行され、複数の宛先に対して同一の画像データに基づいた同報送信を行う画像送信方法であって、 第1の送信形式で送信する第1の宛先を登録することが可能であると共に、第1の送信形式と異なる第2の送信形式で送信する第2の宛先を登録することが可能な登録工程と、 利用者から、原稿を読み取って画像データを入力する第1の入力形式と蓄積手段により蓄積された画像データを入力する第2の入力形式とのいずれかの入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付けると共に前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることで、受け付けた入力形式が前記第1の入力形式である場合には原稿読み取り設定を設定させる設定画面を表示させ、当該設定画面で利用者により設定された原稿読み取り設定に基づいた原稿の読み取り処理を行って入力された画像データを、前記第1の宛先には前記第1の送信形式で送信可能とすると共に、前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御し、前記受け付けた入力形式が前記第2の入力形式である場合には、前記蓄積手段により蓄積された画像データの中から所望の画像データを選択させる選択画面を表示させ、当該選択画面で選択された所望の画像データを読み出すことで入力された画像データを、前記第1の宛先には前記第1の送信形式で送信可能とすると共に、前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御する制御工程と、 を含むことを特徴とする画像送信方法。 【請求項5】 前記登録工程は、ファクシミリ形式で送信する第1の宛先を登録することが可能であると共に、電子メール形式で送信する第2の宛先を登録することが可能であることを特徴とする請求項4に記載の画像送信方法。 【請求項6】 前記画像送信装置は、前記少なくとも1つの入力形式並びに前記第1の送信形式及び前記第2の送信形式の組み合わせに関する情報を記憶する記憶手段を備え、 前記制御工程は、前記記憶手段に記憶された組み合わせに関する情報に基づいて、前記原稿を読み取って画像データを入力する第1の入力形式と蓄積手段により蓄積された画像データを入力する第2の入力形式とのいずれかの入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付けると共に、前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることを特徴とする請求項4または5に記載の画像送信方法。 【請求項7】 請求項4?6のいずれかに記載された方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 2.当該補正前の特許請求の範囲 これに対し、当該補正前の特許請求の範囲の記載は、出願当初の特許請求の範囲を平成21年10月5日付けで補正したものであって、その請求項1から9は以下のとおりである。 「 【請求項1】 複数の宛先に対して同一の画像データに基づいた同報送信を行う画像送信装置であって、 第1の送信形式で送信する第1の宛先を登録することが可能であると共に、第1の送信形式と異なる第2の送信形式で送信する第2の宛先を登録することが可能な登録手段と、 利用者から、複数の入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付けると共に、前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることで、前記選択された少なくとも1つの入力形式によって入力された画像データを、前記第1の宛先には前記第1の送信形式で送信可能とすると共に、前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御する制御手段と、 を有することを特徴とする画像送信装置。 【請求項2】 前記登録手段は、ファクシミリ形式で送信する第1の宛先を登録することが可能であると共に、電子メール形式で送信する第2の宛先を登録することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像送信装置。 【請求項3】 前記複数の入力形式は、原稿を読み取る形式、自装置に蓄積される画像データを用いる形式又は他装置に蓄積される画像データを用いる形式を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画像送信装置。 【請求項4】 前記少なくとも1つの入力形式並びに前記第1の送信形式及び前記第2の送信形式の組み合わせに関する情報を記憶する記憶手段をさらに備え、 前記制御手段は、前記記憶手段により記憶された組み合わせに関する情報に基づいて、前記複数の入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付けると共に、前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の画像送信装置。 【請求項5】 画像送信装置で実行され、複数の宛先に対して同一の画像データに基づいた同報送信を行う画像送信方法であって、 第1の送信形式で送信する第1の宛先を登録することが可能であると共に、第1の送信形式と異なる第2の送信形式で送信する第2の宛先を登録することが可能な登録工程と、 利用者から、複数の入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付けると共に、前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることで、前記選択された少なくとも1つの入力形式によって入力された画像データを、前記第1の宛先には前記第1の送信形式で送信可能とすると共に、前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御する制御工程と、 を含むことを特徴とする画像送信方法。 【請求項6】 前記登録工程は、ファクシミリ形式で送信する第1の宛先を登録することが可能であると共に、電子メール形式で送信する第2の宛先を登録することが可能であることを特徴とする請求項5に記載の画像送信方法。 【請求項7】 前記複数の入力形式は、原稿を読み取る形式、自装置に蓄積される画像データを用いる形式又は他装置に蓄積される画像データを用いる形式を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像送信方法。 【請求項8】 前記画像送信装置は、前記少なくとも1つの入力形式並びに前記第1の送信形式及び前記第2の送信形式の組み合わせに関する情報を記憶する記憶手段を備え、 前記制御工程は、前記記憶手段に記憶された組み合わせに関する情報に基づいて、前記複数の入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付けると共に、前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることを特徴とする請求項5?7のいずれかに記載の画像送信方法。 【請求項9】 請求項5?8のいずれかに記載された方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 」 3.当該補正の適否 当該特許請求の範囲についてする補正が特許法第17条の2第4項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項)各号の事項に適合するものであるかの検討をする。 (以下、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる特許法を、単に平成18年改正前特許法と記す。) 両者を対比すれば、当該補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものでないことは明らかである。 そして、当該補正は、補正前の請求項1における制御手段について、 「 利用者から、原稿を読み取って画像データを入力する第1の入力形式と蓄積手段により蓄積された画像データを入力する第2の入力形式とのいずれかの入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付けると共に前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることで、受け付けた入力形式が前記第1の入力形式である場合には原稿読み取り設定を設定させる設定画面を表示させ、当該設定画面で利用者により設定された原稿読み取り設定に基づいた原稿の読み取り処理を行って入力された画像データを、前記第1の宛先には前記第1の送信形式で送信可能とすると共に、前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御し、前記受け付けた入力形式が前記第2の入力形式である場合には、前記蓄積手段により蓄積された画像データの中から所望の画像データを選択させる選択画面を表示させ、当該選択画面で選択された所望の画像データを読み出すことで入力された画像データを、前記第1の宛先には前記第1の送信形式で送信可能とすると共に、前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御する制御手段」 と補正するものであり、これは補正前の制御手段が、 「利用者から、複数の入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付けると共に、前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることで、前記選択された少なくとも1つの入力形式によって入力された画像データを、前記第1の宛先には前記第1の送信形式で送信可能とすると共に、前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御する」 であったことに、新たに、 「受け付けた入力形式が前記第1の入力形式である場合には原稿読み取り設定を設定させる設定画面を表示させ、」ることと、 「前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御し、前記受け付けた入力形式が前記第2の入力形式である場合には、前記蓄積手段により蓄積された画像データの中から所望の画像データを選択させる選択画面を表示させ」ること、 を付加する補正であることが明らかである。 端的にいえば、当該補正は、制御手段について、受け付けた入力形式を判断するとともに、判断に基づいて異なる画面を表示するという、補正前には存在しない画面表示に係る機能を新たに追加するものといえる。 そうすると、当該補正は、補正前の請求項1を減縮するものであっても、補正前の請求項1を限定的に減縮するものではない。 請求項4(補正前の請求項5)についての補正も同様である。 してみれば、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項各号に規定する次の、 一 第36条第5項に規定する請求項の削除 二 特許請求の範囲の減縮 (第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。) 三 誤記の訂正 四 明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。) の何れの事項をも目的とするものではない。 したがって、当該補正は平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するものである。 よって、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明の認定 平成22年9月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成21年10月5日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1から請求項9までに記載した事項(前掲)により特定されるとおりのものと認められる。 そのうち、請求項1に係る発明は、下記のとおりである。(再掲) 【請求項1】 複数の宛先に対して同一の画像データに基づいた同報送信を行う画像送信装置であって、 第1の送信形式で送信する第1の宛先を登録することが可能であると共に、第1の送信形式と異なる第2の送信形式で送信する第2の宛先を登録することが可能な登録手段と、 利用者から、複数の入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付けると共に、前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることで、前記選択された少なくとも1つの入力形式によって入力された画像データを、前記第1の宛先には前記第1の送信形式で送信可能とすると共に、前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御する制御手段と、 を有することを特徴とする画像送信装置。 (以下、これを本願発明という。) 2.引用例に記載の発明 原査定の拒絶理由に引用された刊行物1(特開平9-233216号公報)には、以下の(ア)?(エ)の事項が記載されている。 (ア)「【0005】 【発明が解決しようとする課題】 解決しようとする問題点は、従来の技術では、一括送信の対象となる全ての送信先に、送信対象のメディアを受信可能な装置が少なくとも1台は設置され、その通信アドレスがテーブルに格納されていなければ、一括送信を自動的に行なうことはできない点である。 本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決し、受信側に各メディア対応の装置の新たな設置負荷をかけることなく、マルチメディアの一括送信を可能とするマルチメディア一括通信制御システムを提供することである。 」 (イ)「【0006】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するため、本発明のマルチメディア一括通信制御システムは、(1)それぞれ異なる種別のメディアを異なる通信プロトコルで通信する複数の通信相手先装置への送信を一括して行なうシステムであって、予め各通信相手先装置(電子メール装置2、ファクシミリ装置3、マルチメディア装置4)で通信処理が可能な通信プロトコルとメディア種別を、各通信相手先装置のアドレスに対応付けて登録する通信情報登録部7と、一括しての送信先として指定された各通信相手先装置のそれぞれで通信処理が可能な通信プロトコルとメディア種別を、通信情報登録部7を参照して抽出する通信情報抽出部8と、各通信相手先装置に一括送信するオリジナルメディアが、通信情報抽出部8で各通信相手先装置別に抽出したメディア種別と異なれば、オリジナルメディアを各通信相手先装置別に抽出した種別のメディアに変換するメディア変換部9と、このメディア変換部9で変換したメディアを、もしくは、オリジナルメディアが通信情報抽出部8で各通信相手先装置別に抽出したメディア種別と同じであればこのオリジナルメディアを、各通信相手先装置別に、通信情報抽出部8で抽出した各通信相手先装置別の通信プロトコルで送信する送信処理部10とを少なくとも有することを特徴とする。 また、(2)上記(1)に記載のマルチメディア一括通信制御システムにおいて、通信情報登録部7は、各通信相手先装置のそれぞれで通信処理が可能な複数の通信プロトコルおよびメディア種別を、予め設定された優先順に登録し、各通信相手先装置への送信が正常に終了するまで、優先順に従っての通信情報抽出部8による通信プロトコルとメディア種別の抽出動作、および、抽出した通信プロトコルとメディア種別に基づくメディア変換部9と送信処理部10の各動作を繰り返すことを特徴とする。 また、(3)それぞれ異なるメディアを異なる通信プロトコルで通信する複数の通信相手先装置への送信を一括して行なうシステムであって、一括送信先の通信相手先装置から、この通信相手先装置に予め登録されている、この通信相手先装置で通信処理が可能な全ての通信プロトコルとメディア種別をそれぞれの優先度と共に取得する通信情報取得部17と、この通信情報取得部17で取得した通信相手先装置の通信プロトコルとメディア種別の内、自装置(送信側装置11)で通信処理可能な通信プロトコルとメディア種別を、優先度順に選択する通信情報選択部18と、通信相手先装置に一括送信するオリジナルメディアが、通信情報選択部18で選択した通信相手先装置で通信処理が可能なメディアの種別と異なれば、オリジナルメディアを、通信相手先装置で通信処理が可能な種別のメディアに変換するメディア変換部19と、このメディア変換部19で変換したメディア、もしくは、オリジナルメディアが通信情報選択部18で選択した通信相手先装置で通信処理が可能なメディアの種別と同じであればオリジナルメディアを、通信相手先装置に、通信情報選択部18で選択した通信プロトコルで送信する送信処理部20とを少なくとも有することを特徴とする。 」 (ウ)「【0007】 【発明の実施の形態】 本発明においては、送信側装置で、一括送信先の各装置で通信処理が可能な通信プロトコルとメディアの種別を予め管理する。そして、送信側装置で、一括での送信対象のメディアの種別を、各一括送信先の個々の装置で処理(受信)可能なメディア種別に変換する。例えば、送信するオリジナルメディアがファクシミリデータの場合、一括送信先の一つがファクシミリであれば、そのままファクシミリデータを、送信先ファクシミリで通信可能なファクシミリ通信プロトコルで送信し、また、一括送信先が電子メール端末であれば、ファクシミリデータを文字データに変換し、この変換した文字データを、送信先の端末で通信可能な通信プロトコルで送信する。このことにより、単一のメディアの通信機能しか有しない受信側装置が一括送信先に含まれている場合でも、任意の種別のメディアを、複数の送信先に一括送信することができ、送信側装置の操作の省力化を図ることができる。」 (エ)「【0010】 以下、本発明の実施例を、図面を用いて、より詳細に説明する。 図1は、本発明のマルチメディア一括通信制御システムの本発明に係る構成の 第1の実施例を示すブロック図である。 本図1において、1はCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)やメモリを具備して蓄積プログラム方式により少なくとも本発明に係るマルチメディアの一括送信処理を含む種々の処理を行なう送信側装置、2は送信側装置1の送信先(大森)に設置された電子メール装置、3は送信先(戸田)に設置されたファクシミリ装置、4は送信先(青山)に設置されたマルチメディア端末、5は送信側装置1と電子メール装置2、ファクシミリ装置3、マルチメディア装置4を接続する公衆電話回線である。 【0011】 電子メール装置2はテキストデータのみを通信対象とし、ファクシミリ装置3はファクシミリデータのみを通信対象とし、マルチメディア装置4は、ファクシミリデータと図・表・文字混在のデータファイル(DTPファイル形式)を通信対象としている。 送信側装置1は、一括送信制御部6を有し、この一括送信制御部6は、通信情報登録部7、通信情報抽出部8、メディア変換部9、送信処理部10からなり、電子メール装置2、ファクシミリ装置3、およびマルチメディア装置4に対する本発明に係るマルチメディアの一括送信処理を行なう。 すなわち、通信情報登録部7は、予め、電子メール装置2、ファクシミリ装置3、およびマルチメディア装置4の各一括送信相手先装置で処理可能な通信プロトコルとメディア種別を、各送信相手先の装置のアドレスに対応付けて、テーブル7aに登録する。 【0012】 通信情報抽出部8は、一括しての送信先として指定された各通信相手先装置で処理可能な通信プロトコルとメディア種別を、各通信相手先装置別に、通信情報登録部7のテーブル7aを参照して抽出する。 メディア変換部9は、電子メール装置2やファクシミリ装置3、マルチメディア装置4の各通信相手先装置に送信するメディアが、通信情報抽出部8で抽出したメディア種別と異なれば、送信するメディアを、各通信相手先装置別に抽出した種別のメディアに変換する。 そして、送信処理部10は、このメディア変換部9で変換されたメディア、あるいは変換する必要のなかったメディアを、通信情報抽出部8で抽出した各通信相手先装置別の通信プロトコルで、各通信相手先装置別に送信する。」 これらの記載を総合すれば、刊行物1には次の(オ)なる発明が記載されていると認められる。 (以下、これを「引用発明」という。) 【引用発明】 (オ)複数の通信相手に対して同一のデータに基づいたマルチメディア一括通信制御システムを構成する送信側装置であって、 ファクシミリの通信プロトコルで送信する宛先を登録することが可能であると共に、ファクシミリの通信プロトコルと異なるマルチメディア装置のプロトコルで送信する宛先を登録することが可能な登録手段と、 利用者から、前記ファクシミリの通信プロトコルで送信する宛先と前記マルチメディア装置のプロトコルで送信する宛先の選択を受け付けることで、画像データを、前記ファクシミリの通信プロトコルで送信する宛先には前記ファクシミリの通信プロトコルで送信可能とすると共に、前記マルチメディア装置のプロトコルで送信する宛先にはマルチメディア装置のプロトコルで送信可能とするように制御する制御手段と、 を有することを特徴とする送信側装置。 3. 対比・判断 本願発明と引用発明を対比する。 ファクシミリ装置は「画像」のデータを送信するものである。 そして、引用発明におけるマルチメディア装置は、上記(エ)から明らかなように、ファクシミリデータと図・表・文字混在のデータファイル(DTPファイル形式)を通信対象としているものであるから、引用発明におけるマルチメディア装置は「画像」のデータを送信するものである。 してみれば、引用発明における「データ」は実質的に「画像データ」であり、引用発明の「送信側装置」は「画像送信装置」に他ならない。 また、ファクシミリの通信プロトコル、マルチメディア装置のプロトコルは、本願発明における「第1の送信形式」、「第1の送信形式と異なる第2の送信形式」に相当する。 (なお、第1、第2の順序には格別の意味がないから、両者の対応関係は逆であってもよい。) そうすると、本願発明と引用発明とは、次の(カ)の点において一致し、(キ)の点において相違がある。 【一致点】 (カ)複数の宛先に対して同一の画像データに基づいた同報送信を行う画像送信装置であって、 第1の送信形式で送信する第1の宛先を登録することが可能であると共に、第1の送信形式と異なる第2の送信形式で送信する第2の宛先を登録することが可能な登録手段と、 利用者から、前記第1の宛先と前記第2の宛先の選択を受け付けることで、入力されたデータを、前記第1の宛先には前記第1の送信形式で送信可能とすると共に、前記第2の宛先には前記第2の送信形式で送信可能とするように制御する制御手段と、 を有することを特徴とする画像送信装置。 【相違点】 (キ)制御手段が、本願発明において、「複数の入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付ける」と共に、画像データが「選択された少なくとも1つの入力形式によって入力」されるものであるのに対し、引用発明においては、入力形式の選択について言及されていない点。 相違点(キ)について検討する。 画像データに何らかの処理を行う画像処理装置一般において、処理を行う画像データは何らかの手段で装置に入力されるものである。画像データとして入力するための手段は多種多様なものがあって、利用者が入力手段により画像データを入力することは自明のことである。 そして、画像データ入力手段を複数種備え、利用者がその何れかを選択して用いることは周知のことである。 例として、拒絶査定において、刊行物2(特開平06-131140号公報)等が既に示されている。 してみれば、引用発明において、処理(送信)しようとする画像について、そのような周知技術を組み合わせ、「複数の入力形式の中から少なくとも1つの入力形式の選択を受け付ける」と共に、画像データが「選択された少なくとも1つの入力形式によって入力」されるものとすることは設計的事項にすぎない。 そのような組合せを行うことに格別の困難性はなく、また、このことにより、当業者が予想し得ない新たな効果が生じたとものとは認められない。 したがって、本願発明は刊行物1に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとした拒絶査定は妥当なものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-10-19 |
結審通知日 | 2011-10-25 |
審決日 | 2011-11-07 |
出願番号 | 特願2007-266537(P2007-266537) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 酒井 伸芳、菅原 道晴 |
特許庁審判長 |
板橋 通孝 |
特許庁審判官 |
溝本 安展 千葉 輝久 |
発明の名称 | 画像送信装置、画像送信方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 |
代理人 | 酒井 宏明 |