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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16H
管理番号 1249403
審判番号 不服2010-18575  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-18 
確定日 2012-01-04 
事件の表示 特願2006-537488「プラネット・キャリアを有するギア・トランスミッション・ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成17年6月2日国際公開、WO2005/050059、平成19年7月12日国内公表、特表2007-518938〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、2004年11月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2003年11月19日 英国)を国際出願日とする特許出願であって、平成22年4月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年8月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明の内容

本願の請求項1ないし13に係る発明(以下、「本願発明1」?「本願発明13」という。)は、平成21年5月22日付け及び平成21年10月6日付けの手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものと認められ、そのうち、本願発明1は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
サンとプラネットとリング・ギアとプラネット・キャリアを備えるプラネタリ型のギア・トランスミッション・ユニットであって、前記プラネット・キャリアはプラネット・ボギー・プレートを支持する円周方向に離間したスタッドを備え、該プラネット・ボギー・プレートは円周方向に離間したシャフトを支持しており、該シャフトはプラネット・ギアが搭載される、円周方向に離間したプラネット・ギア・ベアリングを支持しかつ位置決めし、少なくとも前記ベアリングのいくつかはテーパー・ローラー・ベアリングである、プラネタリ型のギア・トランスミッション・ユニット。」

3.引用刊行物記載の発明

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物は、次のとおりである。

引用例1:国際公開第02/14690号
引用例2:実願平1-88288号(実開平3-26855号)のマイクロフィルム

(1)引用例1(国際公開第02/14690号)には、次の事項が図面とともに記載されている。 なお、丸括弧内は引用例1に対応する特表2004-506845号公報を参酌して作成した当審による仮訳である。

ア)「This invention relates to a drive assembly and to a gear transmission unit for a wind turbine.
There is a continuing demand for larger wind turbines especially for offshore sites due to scarcity of suitable sites and cost of civil works. At the same time the requirements for reduction of size and weight of the machines and their components become more and more important. Typically a wind turbine rotor drives the low speed shaft of a gear transmission unit, which transforms torque and speed of the rotor to the required torque and speed of an electrical generator.
Integration of the components in a wind turbine is a way to reduce the weight and to make the drive assembly more compact, but it is important that the design and execution of the drive assembly avoids mutual interference of the external and internal loads on the different components. It is also important that the construction of an integrated drive assembly allows effective lubrication to be achieved economically and reliably.
The present invention seeks to provide an improved drive assembly and an improved gear transmission unit for a wind turbine and which permits an advantageous integration of components.」(第1頁第2?18行)
(本発明は駆動組立体及び風力タービンのためのギヤトランスミッションユニットに関する。
適地の不足及び土木工事の費用不足のため、特に沖合用地向けのより大型の風力タービンに対しての継続的な需要がある。同時に、機械及びその構成部品の寸法及び重量の減少の要求がますます重要になっている。典型的には、風力タービンロータはトルク及びロータの速度を電気発電機の所要のトルク及び速度に変換するギヤトランスミッションユニットの低速シャフトを駆動する。
風力タービン内での構成部品の一体化は重量を減少させ、駆動組立体を一層小型にする方法であるが、駆動組立体の設計及び実行が種々の構成部品上の外的及び内的負荷の相互干渉を回避することは重要である。一体化された駆動組立体の構造が経済的に及び信頼をもって有効な潤滑を達成できることも重要である。
本発明は構成部品の有利な一体化を可能にする、風力タービンのための改善された駆動組立体及び改善されたギヤトランスミッションユニットを提供することを目的とする。)

イ)「A wind turbine 10 (see Figure 1) comprises a gear transmission unit 11 which acts to transmit torque from rotor blades 12 and rotor hub 14 to an electrical generator 13, the gear transmission unit comprising an epicyclic gear unit. The gear transmission unit and generator are housed in and supported by a nacelle 15.
The gear transmission unit 11 is now described in more detail with reference to Figures 2 and 3. The gear transmission unit 11 comprises an epicyclic gear unit having four planet gears 25, a sun gear 27 a planet carrier 28, and a ring gear 24 which is non-rotatably mounted relative to the nacelle structure 15.
The sun gear is connected to an output shaft (not shown) which connects either to a further gear unit or direct to the rotor of the generator 13.
The radially outer surface 29 of the ring gear 24 provides location and support for the inner ring 30 of a main bearing 23.
The outer ring 31 of the main bearing has secured thereto the rotor hub 14 and, interposed between the rotor hub and ring 31, the outer region 22 of the planet carrier 28.
The planet carrier 28 comprises four bearing support studs 26 uniformly circumferentially spaced to locate bearings 32 which rotatably support the four planet gears 25. The planet carrier 28 has an annular region 33 which extends radially between the radial position of the bearing studs 26 and the outer region 22 and is designed to be relatively stiff, in a circumferential direction about the Y axis, for transmission of torque between the region 22 and the bearing studs 26, but to be relatively flexible about the X and Z axis.
In the aforedescribed construction the torque acting on the rotor hub 14 under action of the rotor blades 12 is transmitted to the planet gears 25 via the planet carrier 28 rotatably mounted at is outer region 22 to the outer ring 31 of bearing 23. Bending moments and axial forces in the Y direction exerted by the rotor hub in this construction are transmitted direct to the bearing 23. The flexibility of the annular portion 33 of the planet carrier 28 assists to substantially isolate those forces from the planet gears.」(第5頁第3行?第6頁第5行)
(風力タービン10(図1参照)はロータブレード12及びロータハブ14からのトルクを電気発電機13へ伝達するように作用するギヤトランスミッションユニット11を有し、ギヤトランスミッションユニットは遊星歯車ユニットを有する。ギヤトランスミッションユニット及び発電機はナセル15内に収容され、これに支持される。
ここで、図2、3を参照してギヤトランスミッションユニット11を一層詳細に説明する。ギヤトランスミッションユニット11は4つの遊星ギヤ25、サンギヤ27、遊星キャリヤ28及びナセル構造体15に関して回転しない状態で装着されたリングギヤ24を備えた遊星歯車ユニットを有する。
サンギヤは別のギヤユニットに接続されるか又は発電機13のロータに直接接続された出力シャフト(図示せず)に接続される。
リングギヤ24の半径方向外側表面29は主軸受23の内側リング30のための位置及び支持を提供する。
主軸受の外側リング31はこれに固定されたロータハブ14を有し、ロータハブとリング31との間には、遊星キャリヤ28の外側領域22が介在する。
遊星キャリヤ28は4つの遊星ギヤ25を回転可能に支持する軸受32を位置決めするために円周方向で等間隔に離間した4つの軸受支持スタッド26を有する。遊星キャリヤ28は環状領域33を有し、この領域は軸受スタッド26の半径方向位置と外側領域22との間を半径方向に延び、Y軸線のまわりでの円周方向において比較的硬直になっていて、領域22と軸受スタッド26との間でトルクを伝達するようになっているが、X、Z軸線のまわりでは比較的可撓性を有するように設計される。
上述の構成においては、ロータブレード12の作用の下にロータハブ14上に作用するトルクはその外側領域22において軸受23の外側リング31に回転可能に装着された遊星キャリヤ28を介して遊星ギヤ25へ伝達される。この構成においてロータハブにより発生されるY方向での曲げモーメント及び軸方向力は軸受23に直接伝達される。遊星キャリヤ28の環状部分33の可撓性はこれらの力を遊星ギヤから実質上隔離する補助を行う。)

ウ)「Figure 4 shows a variation 40 in which the planet carrier 41 is provided with three integral and uniformly circumferentially spaced studs 42 which support a planet bogie plate 43. The planet bogie plate 43 provides support for three circumferentially uniformly spaced shafts 44 arranged each to self adjust in angular position on the plate 43. Each shaft 44 provides support, at opposite sides if the plate 43, for a pair of bearings 45,46 about which each of a pair of planet gears 47,48 are rotatably mounted for engagement with the ring gear 49.」(第6頁第6?12行)
(図4は変形例40を示し、この変形例では、遊星キャリヤ41は遊星ボギー板43を支持する3つの一体で円周方向に等間隔で離間したスタッド42を具備する。遊星ボギー板43は、それぞれが板43上で角度位置を自己調整するように配置された、円周方向に等間隔で離間した3本のシャフト44を支持する。各シャフト44は板43の両側で一対の軸受45,46を支持し、これらの軸受のまわりで、一対の遊星ギヤ47,48の各々がリングギヤ49と係合するように回転可能に装着される。)

これらの記載事項及び図面(特に、図4)からみて、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「サンギヤと遊星ギヤ47,48とリングギア49と遊星キャリア41を備える遊星歯車ユニットであって、前記遊星キャリア41は遊星ボギー板43を支持する円周方向に離間したスタッド42を備え、該遊星ボギー板43は円周方向に離間したシャフト44を支持しており、該シャフト44は遊星ギヤ47,48が搭載される、円周方向に離間した軸受45,46を支持しかつ位置決めした遊星歯車ユニット。」

(2)引用例2(実願平1-88288号(実開平3-26855号)のマイクロフィルム)には、次の事項が図面とともに記載されている。
カ)「第1図は本考案の第1実施例を示し、図において、サンギヤー1、キャリア2、リングギヤ3とプラネタリギヤ4で構成される遊星歯車機構において、キャリア2にはピン穴2a、2bがあけられているが、ピン穴2bは有底穴でその底部にはタップ孔2cが加工されている。キャリア2の両ボス2d、2e間にテーパローラベアリング5、カラー6を内蔵したプラネタリギヤ4を置き、プラネタリピン7をキャリア2のピン穴2a、2bに挿嵌させ、取付ボルト8をキャリア、ボス底部のタップ孔2cに締めつけると、プラネタリピン7のつば部分7aはテーパローラベアリング5の内輪カラー6を介してキャリアのボス2eと密着され、プラネタリピン7はキャリア2に固定される。」(第4頁第9行?第5頁第3行)

キ)「サンギヤー1が回転すると、プラネタリギヤ4はプラネタリピン7のまわりを回転するが、リングギア3が固定、されているの、で、プラネタリギヤ4は自転と、公転を行うため、キャリア2はサンギヤー1と同じ回転方向に回わされ、キャリア2に連結されているシャフト9が回わされる。」(第5頁第4?10行)

4.対比

そこで、本願発明1と引用発明とを対比すると、その機能又は構成からみて、後者の「サンギヤと遊星ギヤ47,48とリングギア49」は前者の「サンとプラネットとリング・ギア」に相当し、以下同様に、「遊星キャリア41」は「プラネット・キャリア」に、「遊星歯車ユニット」は「プラネタリ型のギア・トランスミッション・ユニット」に、「遊星ボギー板43」は「プラネット・ボギー・プレート」に、「軸受45,46」は「プラネット・ギア・ベアリング」にそれぞれ相当するから、本願発明1の用語を用いて表現すると、両者は、
「サンとプラネットとリング・ギアとプラネット・キャリアを備えるプラネタリ型のギア・トランスミッション・ユニットであって、前記プラネット・キャリアはプラネット・ボギー・プレートを支持する円周方向に離間したスタッドを備え、該プラネット・ボギー・プレートは円周方向に離間したシャフトを支持しており、該シャフトはプラネット・ギアが搭載される、円周方向に離間したプラネット・ギア・ベアリングを支持しかつ位置決めした、プラネタリ型のギア・トランスミッション・ユニット。」である点で一致し、次の点で相違する。
・相違点1
本願発明1のプラネット・ギア・ベアリングは、「少なくとも前記ベアリングのいくつかはテーパー・ローラー・ベアリングである」のに対して、引用発明は、軸受45,46がどのようなタイプの軸受であるか明確でない点。

5.当審の判断

(1)上記相違点1の検討
引用例2には、上記「3.引用刊行物記載の発明」(2)に摘記したように、遊星歯車機構において、プラネタリギヤ4をプラネタリピン7に支持する際に使用する軸受として、テーパローラベアリング5を使用することが記載されている。

そして、引用例1に記載された軸受45,46と引用例2に記載された遊星歯車機構のテーパローラベアリングとは、共に、リングギアが固定され、サンギアとプラネットギア間で動力を伝達する、動力伝達機構の遊星歯車を支持するのに使用される軸受である点で共通するから、引用発明に記載された軸受45,46の少なくともいくつかに、引用例2に記載されたテーパローラベアリングを採用して、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(2)審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求の理由の「 【本願発明が特許されるべき理由】 」の「2.本願発明と引用文献に記載された発明との違い」において、
「出願人の立場は、引用文献1-4からは、ボギー・プレートを有するプラネット・キャリア上にプラネット・ギヤを支持するためにテーパ・ローラー形のベアリングを選択することは容易でないとうことである。
引用文献1(審決注:上記「引用例1」と同じ。)は、プラネット・ギヤを支持するために使用される軸受のタイプについて、何等特別なことは教示していない。
…(一部省略)…
引用文献4(審決注:上記「引用例2」と同じ。)では、プラネット軸はその両端でケージタイプのプラネット・キャリア内に支持されているが、引用文献1では、各プラネット軸はボギー・プレート上に一箇所で支持されているだけである。
そのような異なった形状のタイプのものはダイナミックな挙動もまた完全に等しくないことも明らかであり、それは、風力、ロータ重量、ロータブレードの寸法による大荷重を受ける風力タービンにおけるような応用においては確実に異なる。
本願の出願時点で、(これは出願の時点の公知のデザインによっても証明されるものであるが)ボギー・プレートを有する形状において、歯車歯の早期の磨耗を避けるためにプラネット・ホイールを支持するのに高レベルの自由度が必要であると信じられていた。」と、主張している。
しかし、本願の明細書及び図面には、「ボギー・プレートを有する形状において、歯車歯の早期の磨耗を避けるためにプラネット・ホイールを支持するのに高レベルの自由度が必要であると信じられていた」根拠となるような技術的な事項は記載されておらず、本願発明1において、「プラネタリ型のギア・トランスミッション・ユニット」が風力タービンに用いられるものであることも特定されていない。そして、引用例1には、上記「2.引用刊行物記載の発明」(1)のウ)に摘記したように、軸受45,46を支持しているシャフト44は、遊星ボギー板43に対して、それぞれが、板43上で角度位置を自己調整するように配置されているものであるから、テーパローラベアリングを採用することで、軸受45,46が「自由度」を備えなくなったとしても、遊星ギヤ47,48に「自由度」があることは明らかであるから、請求人の上記主張は採用できない。

(3)本願発明1の作用効果の検討
本願発明1の作用効果は、引用発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が予測し得た程度のものである。

6.むすび

以上のとおり、本願発明1は、引用発明及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

そして、本願発明1、すなわち、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものである以上、本願の請求項2ないし13について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-10 
結審通知日 2011-08-11 
審決日 2011-08-23 
出願番号 特願2006-537488(P2006-537488)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F16H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 稔佐々木 芳枝  
特許庁審判長 川上 溢喜
特許庁審判官 冨岡 和人
倉田 和博
発明の名称 プラネット・キャリアを有するギア・トランスミッション・ユニット  
代理人 千葉 昭男  
代理人 小林 泰  
代理人 小野 新次郎  
代理人 富田 博行  
代理人 社本 一夫  
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