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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1249418
審判番号 不服2010-23094  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-13 
確定日 2012-01-04 
事件の表示 特願2008-162193「パチンコ遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月30日出願公開、特開2008-259874〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年11月5日に出願した特願2004-322971号の一部を、平成20年6月20日に分割出願したものであって、平成22年7月7日付けで拒絶査定がされ、これに対し平成22年10月13日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされ、当審において、平成23年7月12日付けで、平成22年10月13日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶の理由が通知され、これに対し平成23年9月15日付けで手続補正がされた。

2.本願発明
平成23年9月15日付けの手続補正により特許請求の範囲は、
「【請求項1】
始動条件の成立に伴い乱数値を抽出する主制御手段を有し、該主制御手段からの前記乱数値に関するデータに基づき所定回数、可変入賞装置を閉成状態から開成状態へと繰り返し可変動作させる特別遊技状態が生起されるように構成したパチンコ遊技機において、
動画像を表示する画像表示手段と、
前記特別遊技状態の開始から終了までの期間に対応した再生時間を有する特別遊技状態動画像データを記憶した記憶手段と、
前記主制御手段により前記特別遊技状態が生起された際に、前記記憶手段に記憶された前記特別遊技状態動画像データを読み出して、前記特別遊技状態中に、前記可変入賞装置の複数の開閉動作に跨って、前記特別遊技状態動画像データに応じた動画像を前記画像表示手段に表示する表示制御を行う副制御手段と、
を備えていることを特徴とするパチンコ遊技機。」
と補正された。
そして、上記請求項1に係る発明を、以下「本願発明」という。

3.対比
(1)引用刊行物記載事項
当審で通知した拒絶の理由において引用例1として引用した特開2004-159891号公報には、図面とともに、以下の記載がある。

(ア)「【0012】
図1には、パチンコ機10の機表側が略示されており、機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、各種の遊技用構成部材をセットする縦長方形の中枠12が開閉及び着脱自在に組み付けられている。中枠12の前面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視保護するためのガラス枠を備えた前枠14と上球皿15が共に横開き状態で開閉可能に組み付けられている。前枠14の周囲前面側及び遊技盤13の遊技領域13aには、各種遊技の状態(図柄変動、大当り状態など)に応じて点灯(点滅)又は消灯し、発光装飾に基づく遊技演出(発光演出)を行う電飾ランプ(発光装置)16が設けられている。外枠11の下部(パチンコ機10の下部)には、前記遊技の状態に応じて各種音声を出力し、音声出力に基づく遊技演出(音声演出)を行うスピーカ(音声装置)17が配置されている。また、中枠12の下部には、下球皿18及び発射装置19が装着されている。
【0013】
遊技盤13の遊技領域13aの略中央には、液晶画面からなる可視表示部Hを備えた図柄表示装置(表示演出装置)20が配設されている。この液晶式の図柄表示装置20では、変動画像(又は画像表示)に基づく遊技演出(表示演出)が行われるようになっている。そして、図柄表示装置20では、表示演出に関連して、複数種類の図柄(識別情報)を複数列で変動させて図柄組み合わせを導出させる図柄組み合わせゲームが行われるようになっている。本実施形態では、図柄組み合わせゲームにおいて3列の図柄による図柄組み合わせを導出し、該図柄組み合わせを構成する各列の図柄の種類を0?9の10種類の数字と定めている。
【0014】
そして、遊技者は、図柄表示装置20(可視表示部H)において、最終的に停止(確定停止表示)した図柄組み合わせから大当り又ははずれを認識できる。可視表示部Hに停止した全列の図柄が同一種類の場合には、その図柄組み合わせ([111][222]など)から大当りを認識できる。以下、大当りを認識できる図柄組み合わせを「大当り組み合わせ」と示す。そして、大当り組み合わせで停止した場合、遊技者には、遊技者にとって有利となる大当り状態(特別遊技状態)が付与される。また、可視表示部Hにおいて停止した全列の図柄が異なる種類の場合又は1列の図柄がリーチを構成する図柄とは異なる種類の場合には、その図柄組み合わせ([234][121]など)からはずれを認識できる。また、本実施形態のパチンコ機10は、遊技者側から見て左列(左図柄)→右列(右図柄)→中列(中図柄)の順に図柄変動が停止するようになっている。そして、図柄変動の停止によって導出された左図柄と右図柄が同一種類の場合にはリーチを認識できる。このリーチは、可視表示部Hにおいて、ゆれ変動状態(一旦停止表示)とされた左図柄と右図柄の図柄組み合わせ([1↓1]など、「↓」は図柄変動中を示す)から認識できる。
【0015】
図柄表示装置20の下方には、図示しないソレノイドにより開閉動作を行う普通電動役物21を備えた始動入賞口22が配設されている。始動入賞口22の奥方には、入賞した遊技球を検知する入賞検知センサSE1(図3に示す)が設けられている。始動入賞口22は、遊技球の入賞検知を契機に、図柄組み合わせゲームの始動条件(図柄変動の開始条件)を付与し得る。
【0016】
また、始動入賞口22の下方には、アクチュエータAC(図3に示す)の作動により開閉動作を行う大入賞口扉23を備えた大入賞口24が配設されている。前記アクチュエータACは、モータ、ソレノイドなどにより構成されている。前記大入賞口24は、図柄組み合わせゲームによって導出され、最終的に停止した図柄組み合わせが大当り組み合わせになったことに関連して大入賞口扉23が開閉動作し、開状態又は閉状態を取り得るようになっている。大入賞口24が開状態を取り得る場合には、大入賞口扉23が開放されて、遊技球の入賞が許容された状態となる。その一方で、大入賞口24が閉状態を取り得る場合には、大入賞口扉23が閉鎖されて、遊技球の入賞が許容されていない状態(入賞が阻止される状態)となる。そして、大当り状態が付与されると、大入賞口24の取り得る状態が開状態となり、遊技者は、多数の遊技球(賞球)が獲得できるチャンスを得ることができる。
【0017】
前記大入賞口24は、所定時間(例えば30秒間)が経過する間又は規定入賞個数(例えば10個)の遊技球が大入賞口24に入賞する間、大入賞口扉23の開放によって開状態を取り得るようになっている。一方で、大入賞口24は、前記所定時間の経過後又は規定入賞個数の入賞後、大入賞口扉23の閉鎖によって閉状態を取り得るようになっている。この大入賞口24の開状態及び閉状態は、所定の継続条件の成立(1ラウンド中に特定入賞(V入賞)が有る)によって、予め定めた規定ラウンド数だけ繰り返し行われるようになっている。なお、「1ラウンド」は、大入賞口24の取り得る状態が閉状態から開状態に変換され、該開状態が再び閉状態に変換される迄である。そして、大入賞口24には、通常入賞口(図示しない)が配設されており、該通常入賞口の奥方には、入賞した遊技球を検知するカウントセンサSE2(図3に示す)が設けられている。また、大入賞口24には、特定入賞口(V入賞口)が配設されており、該特定入賞口の奥方には、入賞した遊技球を検知する特定通過カウントセンサSE3(図3に示す)が設けられている。前述した所定の継続条件は、特定入賞口に1個以上の遊技球が入賞することにより成立し、大入賞口24は、両入賞口に入賞した遊技球の合計個数が規定入賞個数に達すると閉状態を取り得るようになっている。
【0018】
本実施形態のパチンコ機10では、予め定めた規定ラウンド数を5ラウンドに設定している。そして、可視表示部Hに大当り組み合わせが停止すると、大当り状態が付与されて大当り状態中の遊技(図2に示す)が行われるようになっている。この大当り状態中の遊技は、最初にオープニング演出(以下、「オープニング」という)が行われ、該オープニングの終了後、大入賞口24が開状態を取り得ることにより1ラウンド(1R)目の遊技が開始する。この1ラウンド目の遊技において特定入賞口に遊技球が入賞すると、1ラウンド目の遊技終了に伴って閉状態となった大入賞口24が再び開状態となり、2ラウンド(2R)目の遊技が開始する。以下、同様に、所定の継続条件の成立によって、3ラウンド(3R)目の遊技→4ラウンド(4R)目の遊技→5ラウンド(5R)目の遊技の順に行われる。そして、5ラウンド目の遊技が終了すると、エンディング演出(以下、「エンディング」という)が行われ、該エンディングの終了後、大当り状態中に保留されていた図柄組み合わせゲームがあれば、該ゲームを開始する。このように本実施形態においては、オープニングの開始からエンディングの終了までの期間が、大当り状態中に行われる遊技となっている。なお、1ラウンド目?4ラウンド目の遊技において、特定入賞口に遊技球が入賞しなかった場合には、該ラウンドの終了と共にエンディングが行われるようになっている。また、各ラウンドの遊技間には、大入賞口24が閉状態から開状態を取り得るまでの所定の時間(インターバル時間、通常2?3秒程度)が設定されている(図2にはインターバル時間を図示していない)。
【0019】
一方、図3に示すように、パチンコ機10の機裏側には、遊技機全体を制御するメイン制御手段としての主制御基板(主制御部)25が装着されている。主制御基板25は、遊技機全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて各種の制御コマンドを演算処理するようになっている。そして、主制御基板25は、前記制御コマンドを制御信号(メイン制御信号)として出力するようになっている。また、機裏側には、図柄表示装置20で行われる表示演出の制御(表示制御)を実行する表示制御基板(表示制御部)26が装着されている。また、機裏側には、電飾ランプ16で行われる発光演出の制御(発光制御)を実行するランプ制御基板(発光制御部)27が装着されている。また、機裏側には、スピーカ17で行われる音声演出の制御(音声制御)を実行する音声制御手段としての音声制御基板(音声制御部)28が装着されている。本実施形態において表示制御基板26、ランプ制御基板27及び音声制御基板28は、遊技演出を実行する演出実行手段である図柄表示装置20、電飾ランプ16及びスピーカ17を制御する演出制御手段として機能する。また、各制御基板26?28は、前述のように制御対象が各別に定められており、該制御対象を専門的に制御することから、メイン制御手段である主制御基板25に対してサブ制御手段となる。」

(イ)「【0027】
これらの演出内容パターンは、演出内容パターン振分乱数の値と予め対応付けられており、統括CPU29aが、RAM29cから読み出した演出内容パターン振分乱数の値に基づき、指定された演出パターンに対応する一つの演出内容パターンを決定する。例えば、オープニング用の演出パターンPSを指定する演出パターン指定コマンドを入力した場合、統括CPU29aは、演出パターンPSに振分けられた演出内容パターンPS-a,PS-bの中から一つの演出内容パターンを決定する。そして、統括CPU29aは、決定した演出内容パターンを指定する制御コマンド(演出内容パターン指定コマンド)を演算処理し、該演出内容パターン指定コマンドを各制御基板26?28の各サブCPU26a?28aに出力する。
【0028】
このように統括制御基板29は、各制御基板26?28の制御により行わせる遊技演出の具体的な演出内容を特定するための演出内容パターンを決定し、該決定した演出内容パターンを指定する演出内容パターン指定コマンドを各制御基板26?28に出力している。そのため、各制御基板26?28は、統括制御基板29で決定した同一の演出内容パターンに基づき、夫々、遊技演出(表示演出、発光演出、音声演出)の制御を実行することになる。その結果、表示制御基板26の制御による図柄表示装置20の表示演出、ランプ制御基板27の制御による電飾ランプ16の発光演出及び音声制御基板28の制御によるスピーカ17の音声演出を同調させることができる。即ち、パチンコ機10で行われる遊技演出を同調させることができる。「遊技演出が同調する」とは、各々の遊技演出の演出内容が同じ調子となるように行われていることであり、例えば、「犬が走っている様子」を示す表示演出が行われている場合に、その表示演出に見合った(又は関連した)発光演出(激しく点滅など)や音声演出(犬が走っている時の音など)が行われることである。
【0029】
次に、表示制御基板26、ランプ制御基板27及び音声制御基板28について説明する。 前記表示制御基板26は、サブCPU26aを備えており、該サブCPU26aにはROM26b及びRAM26cが接続されている。ROM26bには、複数種類の表示演出用の演出実行データや、各種の画像情報(図柄の画像情報、各種背景画像、文字画像、登場キャラクタの画像など)が記憶されている。RAM26cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報が記憶(設定)されるようになっている。前記表示演出用の演出実行データは、サブCPU26aが、図柄表示装置20(可視表示部H)の表示内容(図柄変動、キャラクタの動作、可視表示部Hの背景、表示される文字など)を制御するための情報である。そして、ROM26bには、一つの演出内容パターンに対して一つの表示演出用の演出実行データが対応付けられて記憶されている。図4(c)には、大当り状態中に行われる遊技演出の演出内容パターンに対応付けられた表示演出用の演出実行データが例示されている。
【0030】
従って、サブCPU26aは、演出内容パターン指定コマンドを入力すると、指定された演出内容パターンに対応する表示演出用の演出実行データをROM26bから読み出し、該演出実行データに基づき可視表示部Hの表示内容を制御する。この制御により、図柄表示装置20では、表示演出が行われる。」

(ウ)「【0033】
前記音声制御基板28は、サブCPU28aを備えており、該サブCPU28aにはROM28b及びRAM28cが接続されている。ROM28bには、複数種類の音声演出用の演出実行データが記憶されている。RAM28cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報が記憶(設定)されるようになっている。前記音声演出用の演出実行データは、サブCPU28aが、スピーカ17の音声出力態様(効果音の種類、音声出力時間など)を制御するための情報である。そして、ROM28bには、一つの演出内容パターンに対して一つの音声演出用の演出実行データが対応付けられて記憶されている。図4(c)には、大当り状態中に行われる遊技演出の演出内容パターンに対応付けられた音声演出用の演出実行データが例示されている。本実施形態における各演出実行データには、所定の歌(曲)を出力するための情報が示されており、選択された演出実行データに応じて複数種類(本実施形態では2種類)の異なる歌が出力可能とされている。より詳しくは、演出実行データDP1-a,DP2-a,DP3-a,DP4-a,DP5-aに示された情報を同一内容とし、これらの演出実行データには1曲目の歌を出力するための情報が示されている。また、演出実行データDP1-b,DP2-b,DP3-b,DP4-b,DP5-bに示された情報を同一内容とし、これらの演出実行データには1曲目の歌とは異なる2曲目の歌を出力するための情報が示されている。そのため、何れの分類(1曲目か、2曲目か)に属する演出実行データが選択されたかに応じて異なる曲が出力されるようになっている。」

(エ)「【0035】
そして、本実施形態のパチンコ機10は、遊技演出をなす複数の形態の演出(表示演出、発光演出、音声演出)を同調させて行わせる場合と、前記複数の形態の演出の一部を他の形態の遊技演出と独立させて行う、即ち、非同調状態で行わせる場合ができるように構成されている。より詳しくは、所定の条件下で、音声制御基板28の制御による音声演出を、表示制御基板26の制御による表示演出及びランプ制御基板27の制御による発光演出と独立させて行わせるように構成されている。
【0036】
以下、音声演出のみを独立させて行わせるための構成について説明する。
本実施形態では、大当り状態中において、1ラウンド目の遊技が開始してから最終ラウンドの遊技(エンディングが行われる直前のラウンドの遊技)が終了する迄の間(所定の期間)、音声演出を独立させて行わせるようになっている。そして、音声制御基板28のサブCPU28aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンの内容を判定し、該内容に応じて、指定された演出内容パターンに基づく音声演出を実行するか否かを判定するようになっている。前記サブCPU28aは、前記判定によって音声演出を実行すると決定した場合、従前に行っている音声演出の制御を終了し、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンに基づき、新たな音声演出の制御を実行する。その一方で、サブCPU28aは、前記判定によって音声演出を実行しないと決定した場合、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンを無視して実行中の音声演出の制御を継続実行する。このとき、表示制御基板26のサブCPU26aとランプ制御基板27のサブCPU27aは、指定された演出内容パターンに基づき、新たな遊技演出(表示演出、発光演出)の制御を実行する。その結果、音声演出が表示演出及び発光演出と独立する。」

(オ)「【0040】
次に、前記ステップS10の判定結果が否定の場合、サブCPU28aは、入力した演出内容パターン指定コマンドにおいて、エンディング用の演出内容パターンPE-a,PE-bが指定されたか否かを判定する(ステップS15)。この判定結果が肯定の場合、サブCPU28aは、指定されたエンディング用の演出内容パターンに対応する演出実行データをROM28bから読み出す(ステップS16)。続いて、サブCPU28aは、読み出した演出実行データに基づき音声演出の制御を実行する(ステップS17)。このステップS17において、スピーカ17の音声出力態様が制御され、スピーカ17では、エンディング用の音声演出が開始する。そして、サブCPU28aは、音声用の制御フラグをリセット、即ち、「1」→「0」に設定し(ステップS18)、処理を終了する。前記ステップS18において音声用の制御フラグに「0」が設定されると、音声演出を独立させて行わせる状態を終了するための終了条件が成立する。即ち、サブCPU28aは、最初に入力したラウンド用の演出内容パターンを指定する演出内容パターン指定コマンドに基づく継続実行中の音声演出の制御を終了し、エンディング用の音声演出が行われるように制御を開始する。」

(カ)「【0044】
本実施形態では、音声制御基板28のサブCPU28aが、信号判定手段及び演出実行判定手段として機能する。そして、ラウンド用の演出内容パターンを指定する演出内容パターン指定コマンドが、遊技演出(音声演出)の開始を指示する開始信号としてサブCPU28aに入力される。また、エンディング用の演出内容パターンを指定する演出内容パターン指定コマンドが、継続実行中の遊技演出(音声演出)の終了を指示する終了信号としてサブCPU28aに入力される。また、前記演出実行判定手段となるサブCPU28aは、従前に入力した開始信号(演出内容パターン指定コマンド)に基づき、所定の遊技演出(ラウンド用の音声演出)を既に実行している場合、新たに入力した開始信号(演出内容パターン指定コマンド)に基づく遊技演出(音声演出)を実行しないと判定する。」

(キ)「【0046】
前記主制御基板25のメインCPU25aは、入賞検知センサSE1からの入賞信号を入力すると、大当り判定用乱数の値をRAM25cから読み出し、該読み出した値をRAM25cの所定の格納領域に格納(記憶)する。そして、図柄組み合わせゲームの開始直前に、RAM25cに格納されている前記大当り判定用乱数の値とROM25bに記憶されている大当り判定値とを比較して大当り判定を行う。前記大当り判定によって大当りを決定すると、メインCPU25aは、図柄表示装置20(可視表示部H)に最終的に停止させる停止図柄を、全列が同一種類となるように決定すると共に、ROM25bに記憶されている大当り演出用の演出パターン(図4(a)には図示しない)を決定する。そして、メインCPU25aは、決定した大当り演出用の演出パターンを指定する演出パターン指定コマンド及び決定した図柄を指定する図柄指定コマンドを、統括制御基板29の統括CPU29aに出力する。前記大当り演出は、図柄組み合わせゲームが、大当り組み合わせで停止するように展開される演出である。」

(ク)「【0048】
前記表示制御基板26のサブCPU26a及びランプ制御基板27のサブCPU27aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンに対応する演出実行データ(図4(c)には図示しない)を読み出し、遊技演出(表示演出、発光演出)の制御を実行する。一方、音声制御基板28のサブCPU28aは、各ラウンド用あるいはエンディング用の演出内容パターンではないことから、図5に示すステップS10,S15の判定結果が否定となり、ステップS19の処理を実行する。即ち、サブCPU28aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンに対応する演出実行データ(図4(c)には図示しない)を読み出し、音声演出の制御を実行する。その結果、図柄表示装置20の表示演出、電飾ランプ16の発光演出及びスピーカ17の音声演出は、同一の演出内容パターンに対応付けられた演出実行データに基づき、互いの遊技演出が同調し合うように行われる。この遊技演出により、可視表示部Hでは、図柄組み合わせゲームが開始し、所定時間の経過後、大当り組み合わせ(図6では[777])が表示される。この表示された大当り組み合わせが確定すると、遊技者には、大当り状態が付与される。
【0049】
そして、メインCPU25aは、大当り状態中の遊技に移行するために、最初に、オープニング用の演出パターンPSを指定する演出パターン指定コマンドを統括CPU29aに出力する。前記統括CPU29aは、指定された演出パターンPSに対応する一つの演出内容パターンを決定する(演出内容パターンPS-aを決定したとする)。そして、統括CPU29aは、演出内容パターンPS-aを指定する演出内容パターン指定コマンドを各サブCPU26a?28aに出力する。
【0050】
前記表示制御基板26のサブCPU26a及びランプ制御基板27のサブCPU27aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンPS-aに対応する演出実行データDPS-aを読み出し、遊技演出(表示演出、発光演出)の制御を実行する。一方、音声制御基板28のサブCPU28aは、オープニング用の演出内容パターンであることから、図5に示すステップS10,S15の判定結果が否定となり、ステップS19の処理を実行する。即ち、サブCPU28aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンPS-aに対応する演出実行データDPS-aを読み出し、音声演出の制御を実行する。その結果、オープニングにおける図柄表示装置20の表示演出(「大当り」の表示)、電飾ランプ16の発光演出(「大当り」に対応した発光)及びスピーカ17の音声演出(「大当り」の音声出力)が開始する。このオープニングの開始時には、ラウンドの遊技がまだ開始されていないため、音声制御基板28に設定された音声用の制御フラグが初期状態の「0」のままとなっており、各サブCPU26a?28aは、同一の演出内容パターンに基づきオープニングの遊技演出の制御を実行する。」

(ケ)「【0052】
前記表示制御基板26のサブCPU26a及びランプ制御基板27のサブCPU27aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンP1-aに対応する演出実行データDP1-aを読み出し、遊技演出(表示演出、発光演出)の制御を実行する。一方、音声制御基板28のサブCPU28aは、図5に示すステップS10の判定結果が肯定となり、ステップS11の処理を実行する。このとき、音声用の制御フラグは、従前にラウンド用の演出内容パターンを指定する演出内容パターン指定コマンドを入力していないため初期状態の「0」のままとなっている。そのため、サブCPU28aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンP1-aに対応する演出実行データDP1-aを読み出し(ステップS12)、音声演出の制御を実行する(ステップS13)。その結果、1ラウンド目の遊技における図柄表示装置20の表示演出(「1R」の表示)、電飾ランプ16の発光演出(「1R」に対応した発光)及びスピーカ17の音声演出(歌が流れる)が開始する。この1ラウンド目の遊技の開始時、各サブCPU26a?28aは、同一の演出内容パターン指定コマンドに基づき1ラウンド目の遊技演出の制御を実行する。一方で、サブCPU28aは、1ラウンド用の演出内容パターンP1-aを指定する演出内容パターン指定コマンドの入力により、ステップS14で音声用の制御コマンドに「1」を設定する。この状態において、前述の開始条件が成立したことになる。そのため、サブCPU28a(音声制御基板28)は、1ラウンド目の遊技演出(所定の遊技演出)を開始したため、以降、終了条件が成立する迄の間、音声演出を表示演出及び発光演出とは独立させるように制御を実行する。従って、音声演出は、各ラウンドの遊技間に設定されたインターバル時間も含めて独立して行われる。」

(コ)「【0055】
前記表示制御基板26のサブCPU26a及びランプ制御基板27のサブCPU27aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンP2-aに対応する演出実行データDP2-aを読み出し、遊技演出(表示演出、発光演出)の制御を実行する。その結果、2ラウンド目の遊技における図柄表示装置20の表示演出(「2R」の表示)及び電飾ランプ16の発光演出(「2R」に対応した発光)が開始する。一方、音声制御基板28のサブCPU28aは、図5に示すステップS10の判定結果が肯定となり、ステップS11の処理を実行する。このとき、音声用の制御フラグは、1ラウンド用の演出内容パターンP1-aを指定する演出内容パターン指定コマンドの入力により、既に「1」に設定されている。そのため、サブCPU28aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンP2-aに対応する演出実行データDP2-aを読み出すことなく、図5の処理を終了する。即ち、サブCPU28aは、音声演出を独立して行わせるための開始条件が既に成立していることから、実行中の演出実行データDP1-aに基づく制御を継続実行し、1ラウンド目の遊技の開始時から行っている音声演出(歌が流れる)を継続する。
【0056】
以下、前述同様に、メインCPU25aは、各ラウンドの遊技中に行う継続判定及び入賞判定の判定結果に応じて開信号又は閉信号をアクチュエータACに出力する。また、メインCPU25aは、継続判定の判定結果に応じて、統括CPU29aに対して、演出パターンP3→演出パターンP4→演出パターンP5を指定する演出パターン指定コマンドを順に出力する。前記統括CPU29aは、演出パターンP3,P4,P5を指定する演出パターン指定コマンドを入力する毎に、指定された演出パターンに対応する一つ演出内容パターンを決定し、演出内容パターン指定コマンドを各サブCPU26a?28aに出力する。そして、音声制御基板28のサブCPU28aは、ラウンド用の演出内容パターンを指定する演出内容パターン指定コマンドを入力している間は、図5に示すステップS10の判定結果が肯定となり、ステップS11の処理を実行する。何れの場合も音声用の制御フラグは「1」に設定されているため、サブCPU28aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンに対応する演出実行データを読み出すことなく、図5の処理を終了する。その結果、継続条件が成立している場合において、音声演出は、5ラウンド目の遊技が終了する迄の間、表示演出及び発光演出とは独立して行われる。即ち、1ラウンド目の遊技の開始時から1曲の歌が継続して出力されることになる。
【0057】
そして、メインCPU25aは、最終ラウンド(5ラウンド目)の遊技演出が終了するタイミングでエンディング用の演出パターンPEを指定する演出パターン指定コマンドを統括CPU29aに出力する。前記統括CPU29aは、指定された演出パターンPEに対応する一つの演出内容パターンを決定する(演出内容パターンPE-aを決定したとする)。そして、統括CPU29aは、演出内容パターンPE-aを指定する演出内容パターン指定コマンドを各サブCPU26a?28aに出力する。
【0058】
前記表示制御基板26のサブCPU26a及びランプ制御基板27のサブCPU27aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンPE-aに対応する演出実行データDPE-aを読み出し、遊技演出(表示演出、発光演出)の制御を実行する。一方、音声制御基板28のサブCPU28aは、エンディング用の演出内容パターンであることから、図5に示すステップS10の判定結果が否定となり、ステップS15の処理を実行する。このステップS15の判定結果が肯定となるため、サブCPU28aは、入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンPE-aに対応する演出実行データDPE-aを読み出し(ステップS16)、音声演出の制御を実行する(ステップS17)。その結果、エンディングにおける図柄表示装置20の表示演出(「またね」の表示)、電飾ランプ16の発光演出(「またね」に対応した発光)及びスピーカ17の音声演出(「またね」の音声)が開始する。このエンディングの開始時には、ラウンドの遊技が既に終了しているため、各サブCPU26a?28aは、同一の演出内容パターンに基づきエンディングの遊技演出の制御を実行する。即ち、サブCPU28aは、エンディング用の演出内容パターンPE-aを指定する演出内容パターン指定コマンドの入力により、ステップS18で音声用の制御コマンドに「0」を設定する。この状態において、前述の終了条件が成立したことになる。そのため、音声制御基板28のサブCPU28aは、継続実行中の演出実行データDP1-aに基づく制御を終了し、演出実行データDPE-aに基づく制御を新たに開始する。」

(サ)「【0062】
(4)音声制御基板28は、大当り状態中、1ラウンド目の遊技が開始した後、最終のラウンドの遊技が終了する迄の間、新たにラウンド用の演出内容パターンを指定する演出内容パターン指定コマンドを入力しても、該演出内容パターンに基づく音声演出を実行せず、実行中の音声演出の制御を継続するようにした。そのため、1ラウンド目の遊技が開始した後、最終のラウンドの遊技が終了する迄の間、音声演出を、表示演出及び発光演出と独立させて行うことができる。また、大当り状態中は、ラウンド毎に遊技がインターバルを介して一旦区切られるものの、実質的には一つの遊技であり、この大当り状態中に遊技演出(実施形態では音声演出)を独立させ、かつ、所定の演出内容を継続して行うことで、大当り状態が継続していることを遊技者に対して印象付けることができる。特に、音声演出を独立させることにより、可視表示部Hにラウンドの情報(何ラウンド目かなど)を表示しつつ、大当り状態が継続していることを遊技者に聴覚を通じて認識させることができる。
【0063】
(5)音声演出を独立させる際、開始条件が満たされている間(1ラウンド目の遊技が開始した後、最終のラウンドの遊技が終了する迄の間)、所定の歌を継続して出力するようにした。そのため、所定の歌が途切れることなく、1曲が連続して出力され、面白みのある遊技演出(音声演出)を実現することができる。」

(シ)「【0071】
・前記実施形態において、統括制御基板29を省略し、各制御基板26?28が主制御基板25から直接制御コマンド(演出パターン指定コマンドなど)を入力して各種の処理を実行するようにしても良い。即ち、音声制御基板28のサブCPU28aは、図5に示す処理を、入力した演出パターン指定コマンドの内容に応じて実行する。また、各制御基板26?28の各ROM26b?28bには、演出パターンに対応付けられた演出実行データが記憶される。この場合、主制御基板25のみによって演出指示手段が構成される。
【0072】
・前記実施形態において、大当り状態中、音声演出を独立させて行わせる期間は任意に変更しても良い。例えば、オープニングの遊技が開始してからエンディングの遊技が終了するまでの間、音声演出を独立させて行わせるようにしても良い。この場合、オープニング用の演出内容パターンを指定する演出内容パターン指定コマンドが開始信号としてサブCPU28aに入力され、該サブCPU28aは、音声用の制御フラグに「1」を設定するように構成する。」

(ス)「【0075】
・前記実施形態では、音声演出を独立させて行わせるようにしているが、他の遊技演出を独立させて行わせるようにしても良い。例えば、表示演出を、発光演出及び音声演出と独立させて行わせるようにしても良い。この場合、図5に示す処理を、表示制御基板26のサブCPU26aが実行するようにすれば良く、サブCPU26aが、信号判定手段及び演出実行判定手段となる。また、前述した振動装置、可動装置又は香気発生装置が設けられている場合、これらの装置による遊技演出を独立させて行うようにしても良い。即ち、独立させて行わせる遊技演出の種類は任意に変更しても良い。そして、独立させて行わせる遊技演出の制御を実行する制御基板(制御部)に信号判定手段及び演出実行判定手段を設ければよい。また、前記実施形態のように表示制御基板26、ランプ制御基板27及び音声制御基板28が遊技演出の制御を行う場合、各制御基板26?28のサブCPU26a?28aを信号判定手段及び演出実行判定手段として機能させても良い。」

(セ)「【0081】
(ロ)遊技機全体を制御するメイン制御手段と、該メイン制御手段が出力するメイン制御信号に基づいて複数のサブ制御手段を統括的に制御する統括制御手段と、該統括制御手段が出力するサブ制御信号に基づいて遊技演出の制御を実行する複数のサブ制御手段とを備えた遊技機において、前記複数のサブ制御手段のうち少なくとも一つのサブ制御手段には、入力したサブ制御信号の内容を判定する信号判定手段と、該信号判定手段により遊技演出の開始を指示する開始信号であると判定された場合に該開始信号に基づき遊技演出を実行するか否かを判定する演出実行判定手段を設け、前記演出実行判定手段が遊技演出を実行しないと判定したサブ制御手段については前記開始信号に基づく遊技演出の制御を実行しない一方で、他のサブ制御手段については前記開始信号に基づく遊技演出の制御を実行するように構成された遊技機。」

摘記した上記(ア)?(セ)の記載や図面等によれば、引用例1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「入賞した遊技球を検知する入賞検知センサSE1が設けられた始動入賞口22は、遊技球の入賞検知を契機に、図柄組み合わせゲームの始動条件を付与し、主制御基板25のメインCPU25aは、前記入賞検知センサSE1からの入賞信号を入力すると、大当り判定用乱数の値をRAM25cから読み出し、該読み出した値を前記RAM25cの所定の格納領域に格納し、図柄組み合わせゲームの開始直前に、前記RAM25cに格納されている前記大当り判定用乱数の値とROM25bに記憶されている大当り判定値とを比較して大当り判定を行い、前記大当り判定によって大当りを決定すると、図柄表示装置20に最終的に停止させる停止図柄を、大当り組み合わせである全列が同一種類となるように決定し、最終的に停止した図柄組み合わせが前記大当り組み合わせになったことに関連して大入賞口24の大入賞口扉23が開閉動作し、開状態又は閉状態を取り得る大当り状態が付与され、所定の継続条件の成立によって、大入賞口24の取り得る状態が閉状態から開状態に変換され、該開状態が再び閉状態に変換される迄を1ラウンドとして当該ラウンドを予め定めた規定ラウンド数だけ繰り返し行われるパチンコ機10において、
変動画像に基づく表示演出を表示する前記図柄表示装置20と、
前記大当り状態中に行われる遊技演出の演出内容パターンに対応付けられた表示演出用の演出実行データを記憶するROM26bと、
前記主制御基板25の前記メインCPU25aにより大当り状態が付与されると、前記メインCPU25aは演出内容パターン指定コマンドを表示制御基板26のサブCPU26aに出力し、該サブCPU26aは入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンに対応する演出実行データを読み出し、表示演出の制御を実行し、表示演出は、各ラウンドの遊技間に設定されたインターバル時間も含めて前記図柄表示装置20に独立して行われるパチンコ機10。」

(2)引用発明と本願発明との対比
引用発明の「入賞検知センサSE1からの入賞信号を入力」は本願発明の「始動条件の成立」に相当し、以下同様に、
「大当り判定用乱数の値をRAM25cから読み出し」は「乱数値を抽出する」に、
「主制御基板25のメインCPU25a」は「主制御手段」に、
「該読み出した値を前記RAM25cの所定の格納領域に格納し、図柄組み合わせゲームの開始直前に、前記RAM25cに格納されている前記大当り判定用乱数の値とROM25bに記憶されている大当り判定値とを比較して大当り判定を行い、前記大当り判定によって大当りを決定すると」「大当り状態が付与」は「前記乱数値に関するデータに基づき」「特別遊技状態が生起」に、
「大入賞口24」は「可変入賞装置」に、
「開閉動作し、開状態又は閉状態を取り得る大当り状態が付与」は「閉成状態から開成状態へと繰り返し可変動作させる特別遊技状態が生起」に、
「パチンコ機10」は「パチンコ遊技機」に、
「変動画像に基づく表示演出」は「動画像」に、
「図柄表示装置20」は「画像表示手段」に、
「演出実行データ」は「特別遊技状態動画像データ」に、
「ROM26b」は「記憶手段」に、
「前記主制御基板25の前記メインCPU25aにより大当り状態が付与されると」は「前記主制御手段により前記特別遊技状態が生起された際に」に、
「表示演出は、各ラウンドの遊技間に設定されたインターバル時間も含めて」「行われる」は「前記可変入賞装置の複数の開閉動作に跨って、」「動画像を」「表示する」に、
「表示制御基板26のサブCPU26a」は「表示制御を行う副制御手段」に、
それぞれ相当する。

ここで、請求項1の「所定回数、可変入賞装置を閉成状態から開成状態へと繰り返し可変動作させる特別遊技状態」との発明特定事項について検討すると、当該特定では、「所定回数」を上限とするものと、「所定回数」を必ず行うものの二つが考えられるが、明細書の段落【0011】の「…そして、抽出した乱数値に関するデータに基づき所定回数を上限として大入賞口15を閉成状態から開成状態へと繰り返し可変動作させる特別遊技状態が生起されるように構成している。」の記載を参酌して、「所定回数」が上限であると解釈する。
そうすると、引用発明の「所定の継続条件の成立によって、予め定めた規定ラウンド数だけ繰り返し行われる」は本願発明の「所定回数、」「繰り返し可変動作させる」に相当する。

次に、請求項1の「前記特別遊技状態の開始から終了までの期間に対応した再生時間を有する特別遊技状態動画像データ」との発明特定事項について検討をする。
請求項1で後に特定されている「前記主制御手段により前記特別遊技状態が生起された際に、前記記憶手段に記憶された前記特別遊技状態動画像データを読み出して、前記特別遊技状態中に、前記可変入賞装置の複数の開閉動作に跨って、前記特別遊技状態動画像データに応じた動画像を前記画像表示手段に表示する表示制御を行う副制御手段と、を備え」との特定事項とを併せて解釈すると、特別遊技状態中に特別遊技状態動画像データに応じた動画像を可変入賞装置の複数の開閉動作に跨って画像表示手段に表示することができる程度の再生時間を有した特別遊技状態動画像データであると解釈することができ、この解釈は、明細書の段落【0015】の「このように本実施の形態のパチンコ遊技機においては、フラッシュロム37に所定時間連続して再生するように構成された特別遊技状態動画像データと、特別遊技状態の終了後に新たな特典遊技を付与するか否かの抽選開始から抽選終了に至るまでの動画像を含み前記特別遊技状態の実行時間より短い時間で再生が終了するように構成された特典抽選報知動画像データとを記憶しておくようにする。…」、段落【0016】の「また、本実施の形態のパチンコ遊技機では、図柄制御基板22は、特別遊技状態動画像データの所定時間に渡る再生を行った後に、主制御基板21のCPU25により特別遊技状態の終了が検出されない際には、特別遊技状態動画像データに応じた動画像を繰り返し図柄表示装置9に表示するように制御する一方、主制御基板21のCPU25により特別遊技状態の終了が検出された際には、特別遊技状態動画像データの再生を停止するように制御するようにした。…このようにすれば、大当たりの開始から終了までの期間を主制御手段のCPU25が監視し、この期間中においては特別遊技状態動画像データと特別遊技状態用音声データを図柄表示装置9及びスピーカ8から繰り返し出力するように制御することができるため、フラッシュロム37に記憶しておく動画像データや音声データのデータ量を削減することができ、それだけ副制御手段の処理に要する負荷を軽減することができる」との記載とも整合している。
そして、引用発明では、サブCPU26a(本願発明の「副制御手段」に相当)は入力した演出内容パターン指定コマンドで指定された演出内容パターンに対応する演出実行データ(本願発明の「特別遊技状態動画像データ」に相当)を読み出し、表示演出(本願発明の「動画像」に相当)の制御を実行し、表示演出は、各ラウンドの遊技間に設定されたインターバル時間も含めて(本願発明の「前記可変入賞装置の複数の開閉動作に跨って」に相当)前記図柄表示装置20(本願発明の「画像表示手段」に相当)に独立して行われるのであるから、引用発明の「演出実行データ」は、「特別遊技状態の開始から終了までの期間に対応した再生時間を有」しているといえる。

以上を総合すると、両者は、
「始動条件の成立に伴い乱数値を抽出する主制御手段を有し、該主制御手段からの前記乱数値に関するデータに基づき所定回数、可変入賞装置を閉成状態から開成状態へと繰り返し可変動作させる特別遊技状態が生起されるように構成したパチンコ遊技機において、
動画像を表示する画像表示手段と、
前記特別遊技状態の開始から終了までの期間に対応した再生時間を有する特別遊技状態動画像データを記憶した記憶手段と、
前記主制御手段により前記特別遊技状態が生起された際に、前記記憶手段に記憶された前記特別遊技状態動画像データを読み出して、前記特別遊技状態中に、前記可変入賞装置の複数の開閉動作に跨って、前記特別遊技状態動画像データに応じた動画像を前記画像表示手段に表示する表示制御を行う副制御手段と、
を備えていることを特徴とするパチンコ遊技機。」
の点で一致し、両者に相違点はない。
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明である。

なお、審判請求人は平成23年9月15日付け意見書において「本願発明と引用発明1を対比しますと、引用発明1では、演出実行データがラウンド用の演出内容パターンに対応するデータであるのに対して、本願発明では、特別遊技状態動画像データが、可変入賞装置を閉成状態から開成状態へと繰り返し可変動作させる特別遊技状態の開始から終了までの期間に対応した再生時間を有するデータである点において相違します。従って、本願発明は引用発明1とは明らかに異なりますので、本願発明は特許法第29条第1項第3号に該当しないと確信しております。
さらに上記した相違点について検討しますと、引用発明1は、ラウンド用の音声演出、表示演出、及び発光演出を同調させて実行する一方で、ラウンド用の遊技演出をインターバル時間も含めて独立して行うようにしております。このため、音声演出、表示演出、及び発光演出の各演出実行データを、本願発明のように特別遊技状態の再生時間に対応した特別遊技状態動画像データにより構成することはできません。
これは引用発明1の段落[0062]の記載「1ラウンド目の遊技が開始した後・・・、新たにラウンド用の演出内容パターンを指定する演出内容パターン指定コマンドを入力しても、該演出内容パターンに基づく音声演出を実行せず、実行中の音声演出の制御を継続するようにした。そのため、・・・表示演出及び発光演出と独立させて行うことができる。」等からも明らかであると思料いたします。
従って、引用発明1における演出実行データを、本願発明の特別遊技状態の開始から終了までの期間に対応した再生時間を有する特別遊技状態動画像データにより構成することは当業者であっても引用発明1から想到し得る技術事項でもないと思料いたします。」と主張しているものの、引用例1の段落【0056】の「…即ち、サブCPU28aは、音声演出を独立して行わせるための開始条件が既に成立していることから、実行中の演出実行データDP1-aに基づく制御を継続実行し、1ラウンド目の遊技の開始時から行っている音声演出(歌が流れる)を継続する。」及び段落【0063】の「(5)音声演出を独立させる際、開始条件が満たされている間(1ラウンド目の遊技が開始した後、最終のラウンドの遊技が終了する迄の間)、所定の歌を継続して出力するようにした。そのため、所定の歌が途切れることなく、1曲が連続して出力され、面白みのある遊技演出(音声演出)を実現することができる。」の記載から、引用発明はラウンドを跨って各ラウンドの遊技間に設定されたインターバル時間も含めて継続して実行することが可能な演出実行データを記憶していることは明らかであるため、上記3.(2)で検討したとおり、引用発明は、少なくとも、特別遊技状態中に特別遊技状態動画像データに応じた動画像を可変入賞装置の複数の開閉動作に跨って画像表示手段に表示することができる程度の再生時間を有した特別遊技状態動画像データを備えているといえ、上記主張は採用することができない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-10-31 
結審通知日 2011-11-01 
審決日 2011-11-15 
出願番号 特願2008-162193(P2008-162193)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安久 司郎瀬津 太朗  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 吉村 尚
澤田 真治
発明の名称 パチンコ遊技機  
代理人 鈴木 均  

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