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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1249585
審判番号 不服2010-18696  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-19 
確定日 2012-01-05 
事件の表示 特願2003-389146「液晶表示装置の駆動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月 9日出願公開、特開2005-148606〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件審判事件の手続の概要は、以下のとおりである。

平成15年11月19日 特許出願
平成21年12月14日 拒絶理由通知(同年12月22日発送)
平成22年 2月17日 意見書
平成22年 3月 5日 拒絶理由通知(同年3月9日発送)
平成22年 4月20日 意見書・手続補正書
平成22年 5月17日 拒絶査定(同年5月25日送達)
平成22年 8月19日 本件審判の請求・手続補正書
平成23年 7月22日 審尋(同年7月26日発送)
平成23年 9月26日 回答書

第2 平成22年8月19日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成22年8月19日付け手続補正を却下する。

[理由1]目的要件違反

(1)補正の内容
平成22年8月19日付け手続補正(以下「本件補正」という。)により、本件補正前の請求項1は、
「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧信号によって駆動されるものであって、
前記電圧信号は、前記対向電極に印加される信号に対して正極性側の信号と負極性側の信号とを用意しておき、
前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにしたことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。」から
「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧信号によって駆動されるものであって、
前記電圧信号は、前記対向電極に印加される信号に対して正極性側の信号と負極性側の信号とを用意しておき、
第1のクロックの入力によりフレームを切換可能とし、
第2のクロックの入力により前記電圧信号の極性を切換可能とし、
前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くすることで、
前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにしたことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。」
に補正された。 (下線は、補正箇所を明示するために請求人が付した。)

そして、この補正により、補正前の「前記画素の液晶に印加される電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにした」との発明特定事項に関して、「第1のクロックの入力によりフレームを切換可能とし、第2のクロックの入力により前記電圧信号の極性を切換可能とし、前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くすることで」行われることが限定された。(以下、「補正事項」という。)

(2)当審の判断
上記補正事項について検討する。

発明の詳細な説明の段落【0049】等の記載を参酌すると、「第1のクロックの入力によりフレームを切換可能とし、第2のクロックの入力により前記電圧信号の極性を切換可能とし、前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くする」との特定事項(以下、「特定事項2」という。)は、各画素の各極性の印加時間に関し、液晶表示装置の液晶(パネル)の画素領域の最初のラインから所定のライン数分に位置する画素においては、正極性と負極性の印加時間の比は1:1となって、正極性と負極性の印加時間との間に差が生じないものである一方で、液晶表示装置の液晶(パネル)の画素領域の所定のライン数分から最後のラインまでに位置する画素においては、常に、負極性の映像信号が印加されるものを示すものである。(本件補正後の発明の液晶表示装置がこのような動作を行うことは、平成23年9月26日付けの回答書の「(1)(イ)」において、請求人が自ら認めていることである。)
一方、「前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにした」との特定事項(以下、「特定事項1」という。)は、字義どおり、各画素において、正極性の印加時間と負極性の印加時間との間に差を持たせたものを示すものである。

よって、上記補正事項は、各画素において、正極性の印加時間と負極性の印加時間との間に差を持たせた動作を行う特定事項1を限定するために、各画素において、正極性の印加時間と負極性の印加時間との間に差がない、もしくは、負極性の印加時間しかない動作を行う特定事項2でもって限定するものであるから、これらの特定事項により特定される液晶表示装置の駆動方法の動作が、つまるところ、特定事項1により特定される動作をするのか、特定事項2により特定される動作をするのか、不明である。
したがって、補正後の特許請求の範囲は明確でないから、補正前の特許請求の範囲に比べて、補正後の特許請求の範囲は、補正前の特許請求の範囲を限定したものとはいえない。したがって、上記補正事項は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当しない。

また、補正前の「印加時間」なる記載に関し、原審の審査官は、平成22年5月17日付けの拒絶査定において、意味が不明りょうであると指摘しているが、上記したように、上記補正事項は、依然として、意味が不明りょうであって、上記補正事項は、明りょうでない記載を釈明するものとはいえない。よって、上記補正事項は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第4号に規定される明りょうでない記載の釈明を目的とする補正に該当しない。
上記補正事項が、請求項の削除、誤記の訂正を目的とする補正に該当しないことは明らかである。
したがって、上記補正事項は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項に規定するいずれの事項を目的とする補正に該当しない。

よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
る。

[理由2]独立特許要件違反

本件補正の請求項1についてした補正が、全体としてみて、仮に、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮であるとした場合、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。

1 本願補正発明

本願の請求項に係る発明は、本件補正により補正された明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものである。
「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧信号によって駆動されるものであって、
前記電圧信号は、前記対向電極に印加される信号に対して正極性側の信号と負極性側の信号とを用意しておき、
第1のクロックの入力によりフレームを切換可能とし、
第2のクロックの入力により前記電圧信号の極性を切換可能とし、
前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くすることで、
前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにしたことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。」(以下「本願補正発明」という。)

2 記載不備(特許法第36条第6項第2号)について

本願補正発明は、「第1のクロックの入力によりフレームを切換可能とし、第2のクロックの入力により前記電圧信号の極性を切換可能とし、前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くすることで、前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにした」なる発明特定事項を有している。

しかしながら、上記[理由1]「(2)当審の判断」によれば、上記発明特定事項により特定される本願補正発明の液晶表示装置の駆動方法の動作が、「第1のクロックの入力によりフレームを切換可能とし、第2のクロックの入力により前記電圧信号の極性を切換可能とし、前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くする」との特定事項により特定される、各画素において、正極性の印加時間と負極性の印加時間との間に差がない、もしくは、負極性の印加時間しかない動作をするものであるのか、「前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにした」との特定事項により特定される、正極性の印加時間と負極性の印加時間との間に差を持たせた動作をするものであるのか、そのいずれであるのか、不明である。

したがって、本願補正発明である液晶表示装置の駆動方法の動作が不明であるから、本願補正発明は明確であるとは言えない。

以上のとおり、本願補正発明は明確であるとは言えないから、特許法第36条第6項第2号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 記載不備(特許法第36条第4項第1号)について

(1)発明の詳細な説明の記載

本願補正発明の「第1のクロックの入力によりフレームを切換可能とし、第2のクロックの入力により前記電圧信号の極性を切換可能とし、前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くすることで、前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにしたこと」との発明特定事項に関し、発明の詳細な説明には、以下の事項ア?ウが記載されている。

ア 「【0005】
ここで、各電極に印加する電圧は、液晶の分極を回避するため、その極性を交互に変えて行なう方法が知られている。
【0006】
たとえば、液晶表示部の各画素の駆動をフレーム単位として、各フレームにわたる各画素の順次駆動にあって、フレームごとに一対の電極に印加する電圧の極性を切り替えるようにしているものがある(いわゆるフレーム反転と称している)。
このような駆動方法は、たとえば下記の特許文献等に開示がなされている。
【0007】
【特許文献1】特開2002-40482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このようにした場合であっても、液晶の分極による劣化は免れないことが判明した。
【0009】
この原因を追求した結果、一対の各電極のたとえば形状あるいは材質等が異なることから、それらの間に電位的な偏りが発生し、一方の電極から他方の電極へのイオンの流れが、他方の電極から一方の電極へのそれと異なるからだと推定できる。実際、液晶層内にて一方の基板側において他方の基板側よりもイオンが多数偏って存在してしまうことが確かめられている。そして、この傾向は、光照射によるイオンの流れの活発化によって増大することも確認されている。
【0010】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、液晶の分極をさらに低減できる液晶表示装置の駆動方法を提供することにある。」

イ 「【0040】
《駆動方法》
このように構成される液晶表示装置は、図2に示した各ゲート信号線GLに、たとえば上方に位置づけられるゲート信号線GLから下方に位置づけられゲート信号線GLへと、順次、走査信号(オン信号)を供給し、各走査信号のそれぞれの供給のタイミングに合わせて、各ドレイン信号線DLに順次映像信号を供給するようにして駆動する。
【0041】
すなわち、x方向に並設される画素群からなる1ライン分の各画素は、同時にオンされる当該スイッチング素子SWを介して各画素電極PXに映像信号が供給されるようになり、この動作は次のラインの各画素へ移行される。
【0042】
また、このような動作が最後のラインにまで至った後は、液晶表示部の各画素をフレーム単位とし、次のフレームにおいて上述した駆動が繰り替えされるようになっている。
【0043】
一方、対向電極CTには、該映像信号に対して基準となる信号(対向電圧信号)が供給されており、この対向電極CTと画素電極PXとの間の電圧に対応する電界が該映像信号に対応した値で発生する。
【0044】
ここで、前記映像信号は、該対向電極に印加される信号に対して正側の信号と負側の信号とを用意しておき、たとえば1フレーム目の画像を表示する際には正側の信号を使用し、次のフレーム目の画像を表示する際には負側の信号を使用する駆動方法(交流化駆動方法)が採用されるのが一般的になっている。液晶に対して一方向の電界を印加し続けると、該液晶に分極を惹き起こし、該液晶の劣化等をもたらすことから、たとえばフレーム毎に液晶に印加される電界の方向を変えて該分極の発生を回避せんがためである。
【0045】
図4は、この駆動における各信号のタイミングを示した図である。図4(a)は、液晶表示装置に入力されるクロックCK1を示し、このクロックCK1の入力によってフレームが切り換るようになっている。図4(b)は、映像信号(VIDEO)の極性の切替えを行なうクロックCK2を示し、クロックCK1と同期している。図4(c)は、前記映像信号が、該クロックCK2に基づいて、同図において最初のフレームでは正側の信号(対向電極に印加される信号に対して)が供給され、次のフレームでは負側の信号(対向電極に印加される信号に対して)が供給され、以下、交互に繰り替えされていることを示している。この場合、図4(c)に示すように、たとえば奇数のフレームと次のフレームとの間において信号の正負の切替えがDuty比50%の比率となっている。
【0046】
ここで、Duty比とは、液晶に印加される電圧信号の正極性と負極性の書き込み繰り返し周期を1周期とした場合の正極性と負極性の時間的比率をいう。
・・・」

ウ 「【0046】
・・・
しかし、このようにした場合であっても、液晶の分極による劣化は免れないことが判明した。
【0047】
この原因を追求した結果、たとえば画素電極PXと対向電極CTとの形状あるいは材質等が異なることから、それらの間に電位的な偏りが発生し、画素電極PXから対向電極CTへのイオンの流れが、対向電極CTから画素電極PXへのそれと異なるからだと推定できる。実際、液晶層内にて一方の基板側において他方の基板側よりもイオンが多数偏って存在してしまうことが確かめられている。そして、この傾向は、光源等の光の照射によって、イオンの流れが活発化し、液晶の分極が増大してしまうことも確認されている。
【0048】
ここで、本実施例による駆動は、あるフレームと次のフレームとの期間において、そのDuty比の比率を変えていることにある。
【0049】
すなわち、図1は、図4と対応した図で、図1(a)は、液晶表示装置に入力されるクロックCK1を示し、このクロックCK1の入力によってフレームが切り換るようになっている。図1(b)は映像信号(VIDEO)の極性の切替えを行なうクロックCK2を示しており、図中最初のフレームの切替え時のクロックCK2の次に来るクロックCK2は次のフレームの切替え時よりも速めに設定され、さらに次に来るクロックCK2は次のフレームの切替え時に設定され、以下同様に繰り返されることを示している。図1(c)は、前記映像信号が、前記各クロックCK2に基づいて、最初のフレームの一部(たとえば最初のラインから所定のライン数分まで)では正側の信号(が供給され、該最初のフレームの残りの部分(最後のラインまで)では負側の信号が供給されるようになっている。そして、次のフレームでは負側の信号が供給され、以下、交互に繰り替えされていることを示している。
【0050】
これにより、あるフレームと次のフレームの期間において、同一の個所に位置づけられる各画素に供給される映像信号の極性は、たとえば図中に示すように、一方の極性が印加される時間が短く、他方の極性が印加される時間が長くなるというように駆動できる。」

エ 「【0051】
このことは、画素内において、上述したように画素電極PXから対向電極CTへのイオンの流れが、対向電極CTから画素電極PXへのそれと異なってしまう現象の発生を、印加する映像信号の正極の各時間的比率を変えることによって、防止できることを意味する。
・・・
【0053】
要は、各画素の液晶に対し、順次切り換って印加される信号(電圧)の各極性において、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なっていればよい。この場合、液晶に印加される信号(電圧)の極性は、対向電極CTに印加される電圧の値および画素電極PXに印加される電圧の値によって定まるものであり、対向電極CTに印加する基準電圧信号の極性が変化するように駆動させる場合、上記関係を有するように画素電極PXに印加される映像信号の極性が変化するように駆動される。」

(2)当審の判断

i)上記事項ア、エによれば、本願補正発明の課題は、液晶表示装置の液晶(パネル)において、一対の各電極のたとえば形状あるいは材質等が異なるために、イオンが偏って存在することにより、発生される液晶の分極を低減することであり、その課題を解決するために、極性反転駆動される各画素において、所定の期間内における、正極性の電圧信号が印加される時間と、負極性の電圧信号が印加される時間に差を持たせて、該時間の差に応じた実効電圧を一対の電極間に発生させて、イオンの流れを防止すること、すなわち、前記分極に応じて発生した電圧を低減するように作用させるものであることが理解できる。

ii)また、上記事項イによれば、発明の詳細な説明において、
・液晶表示装置にクロックCK1(本願補正発明の「第1のクロック」に対応する。)が入力されることにより、各フレームの切換が行われること、すなわち、液晶(パネル)の画素領域の最初に位置づけられたゲート信号線GLから下方に位置づけられたゲート信号線GLへと、順次、走査信号(オン信号)を供給するフレーム走査が開始されること、及び、
・液晶表示装置にクロックCK2(本願補正発明の「第2のクロック」に対応する。)が入力されることにより、液晶(パネル)の各ドレイン信号線DLに供給される映像信号の極性が反転されること
が理解できる。

iii)しかしながら、クロックCK1、CK2に応じてかかる動作を行う液晶表示装置において、上記事項ウの段落【0049】の第2文に記載されているように、「図中最初のフレームの切替え時のクロックCK2の次に来るクロックCK2は次のフレームの切替え時よりも速めに設定され、さらに次に来るクロックCK2は次のフレームの切替え時に設定され、以下同様に繰り返される」こと(本願補正発明の「前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くする」ことに対応する。)を行うと、同第3文、第4文に「図1(c)は、前記映像信号が、前記各クロックCK2に基づいて、最初のフレームの一部(たとえば最初のラインから所定のライン数分まで)では正側の信号(が供給され、該最初のフレームの残りの部分(最後のラインまで)では負側の信号が供給されるようになっている。そして、次のフレームでは負側の信号が供給され、以下、交互に繰り替えされていることを示している。」と記載されているように、液晶表示装置の液晶(パネル)の画素領域の最初のラインから所定のライン数分に位置する画素には、1フレーム目に正極性の映像信号が1フレームの期間分印加され、2フレーム目に負極性の映像信号が1フレームの期間分印加されることとなるから、正極性と負極性の印加時間の比が1:1となって、正極性と負極性の印加時間との間に、差は生じない。一方、液晶表示装置の液晶(パネル)の画素領域の所定のライン数分から最後のラインまでに位置する画素には、1フレーム目に負極性の映像信号が1フレームの期間分印加されると供に、2フレーム目にも負極性の映像信号が1フレームの期間分印加されることとなるから、常に、負極性の映像信号が印加されることとなる。

したがって、液晶表示装置の液晶(パネル)の画素領域の最初のラインから所定のライン数分に位置する画素においては、正極性と負極性の印加時間との間に、差は生じないから、前記「i)」で述べた液晶の分極により発生される電圧は、低減されることはない。一方、液晶表示装置の液晶(パネル)の画素領域の所定のライン数分から最後のラインまでに位置する画素においては、常に、負極性の映像信号が印加されるから、負極性の映像信号による直流成分が生じ、液晶の焼き付きを起こすものとなる。

すなわち、いずれの場所においても、液晶表示装置の液晶(パネル)の各画素において、所定の期間内における、正極性の電圧信号が印加される時間と、負極性の電圧信号が印加される時間に差を持たせて、該時間の差に応じた実効電圧を一対の電極間に発生させて、前記分極に応じて発生した電圧を低減することができないものである。

よって、発明の詳細な説明において、「前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くする」との発明特定事項を有する本願補正発明に対応する実施形態は、「液晶表示装置の液晶(パネル)において、一対の各電極のたとえば形状あるいは材質等が異なることにより、発生される液晶の分極を低減する」との課題を解決するために、「各画素において、所定の期間内における、正極性の電圧信号が印加される時間と、負極性の電圧信号が印加される時間に差を持たせて、該時間の差に応じた実効電圧を一対の電極間に発生させて、前記分極に応じて発生した電圧を低減する」ことができないものである。

したがって、本願補正発明に関し、発明の詳細な説明には、発明が解決しようとする課題を解決できるものが記載されているものとは言えない。

(3)小括

以上のとおり、発明の詳細な説明は、当業者が、本願補正発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものということはできないから、特許法第36条第4項第1号の規定により、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 進歩性(特許法第29条第2項)について

(1)本願補正発明

本願補正発明について検討する。
本願補正発明は、上記「2」、「3」において述べたように、当業者がその実施をできるものではなく、かつ、明確でもないが、発明の詳細な説明の記載を善解して、本願補正発明の「第1のクロックの入力によりフレームを切換可能とし、第2のクロックの入力により前記電圧信号の極性を切換可能とし、前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くする」との特定事項は、「第1のクロックの入力により、入力される映像信号の画像メモリ内の保存先を切換可能とし、第2のクロックの入力により液晶の画像領域の走査及び前記電圧信号の極性を切換可能とし、前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くする」ことを意味するものと解釈することができる。

したがって、本願補正発明は、上記解釈を踏まえ、以下のとおりのものと認める。
「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧信号によって駆動されるものであって、
前記電圧信号は、前記対向電極に印加される信号に対して正極性側の信号と負極性側の信号とを用意しておき、
第1のクロックの入力により入力される映像信号の画像メモリ内の保存先を切換可能とし、
第2のクロックの入力により液晶の画像領域の走査及び前記電圧信号の極性を切換可能とし、
前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くすることで、
前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにしたことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。」(下線は、当審が請求項1の記載とは異なる認定をした箇所を明示するために、付した。)

(2)引用発明
(A)引用発明1
(A-1)引用刊行物1の記載事項
本願の出願前に頒布された刊行物である特表2002-506540号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「ディスプレイ装置」(発明の名称)の発明に関して、以下の事項が記載されている。

<記載事項1>
「本発明は、第1及び第2の2つの基板間に電気光学材料を有するディスプレイ装置であって、これら基板のうちの少なくとも1つが透明であり、第1の基板には画素の位置に少なくとも1つの画像電極が設けられており、各画素は行電極及び列電極に結合されており、前記ディスプレイ装置は更に、選択信号を前記行電極に供給する第1駆動手段と、データ信号を前記列電極に供給する第2駆動手段とを有する制御手段を具えている当該ディスプレイ装置に関するものである。
この種類のディスプレイ装置は例えば、テレビジョン、モニタ、ラップトップ型コンピュータ等に用いられている。」(第4ページ第3行?第10行)

<記載事項2>
「上述した種類のディスプレイ装置は一般に知られており、通常、液晶材料の変質を回避するように画素の両端間の交流電圧により駆動(交流駆動)される。それにもかかわらず、他の原因により、液晶材料の層にまたがって寄生直流成分が生じるおそれがあることを確かめた。この場合は特に、例えば、(ディスプレイ装置が反射器を有するか、或いは一方の基板上の画像電極が反射性である)反射型ディスプレイ装置の場合のように画素が非対称構造を有する場合である。
上述した直流成分は、順次のフレーム時間での逆極性に対し、画素の駆動に異なるように影響を与える。画素の両端間の絶対値電圧が(同じデータで)順次のフレームで異なる場合、これにより使用フレーム周波数(一般に、50又は60Hz)の半分の周波数でフリッカを生ぜしめ、このフリッカは画像中で極めて目立つ。
本発明の目的は、特に、上述した欠点を少なくとも部分的に回避した上述した種類のディスプレイ装置を提供せんとするにある。
この目的のために、本発明によるディスプレイ装置では、このディスプレイ装置が測定素子を有し、前記制御手段は、選択期間中この測定素子に電圧を供給してこの選択期間後のこの測定素子の両端間の電圧の変化を測定しこの測定された電圧の変化に応じて当該制御手段が発生するディスプレイ装置の制御電圧のうちの少なくとも1つを調整する手段を有していることを特徴とする。
調整すべき制御電圧は例えば、ライン選択信号の電圧、データ信号の電圧、ディスプレイ装置の基準電圧(例えば、リセット電圧或いは制御電極の電圧)又は第2の基板が少なくとも1つの対向電極を有する場合のこの対向電極の信号の電圧とする。」(第4ページ第14行?第5ページ第7行)

<記載事項3>
「寄生直流成分は、異なる(正及び負の)フレーム期間での(測定)電圧変化を相違させるおそれがあることを確かめた。画素を駆動すると、この相違により前述したフリッカを生ぜしめる。2つの順次の選択期間(或いは2つの順次のフレーム期間)後の電圧の変化を互いに比較し、この測定結果に応じて制御電圧の一方を調整することにより、フリッカがかなり減少する。」(第5ページ第11行?第15行)

<記載事項4>
「図1は、例えば透明(ITO)画像電極6と反射対向電極5とが設けられた、例えばガラスより成る2つの基板3、4間に存在するねじれネマチック液晶材料2を有する液晶セルを具える、例えば数個の画素の寸法とした液晶ディスプレイ装置1の一部の線図的断面図である。この装置は更に、偏光方向が互いに直角に交差している2つの偏光子7、8を有する。この装置は更に、液晶材料を配向させる配向層9を基板の内壁上に有する。この場合、液晶材料は正の光学的異方性と、正の誘電的異方性とを有する。電極5、6が電圧により附勢されると、分子従って、配向ベクトルが磁界の方向に向く。」(第6ページ第11行?第18行)

<記載事項5>
「図3及び4は、ディスプレイ装置の駆動信号を示す。瞬時t_(0)で行電極17が信号V_(sel)(図3)により附勢され、これと同時にデータ信号V_(d)(図4)が列電極11に現れる。ライン選択時間t_(L)が経過した後の瞬時t_(1)で次の行の電極が選択され、以下同様となる。ある時間、例えばフィールド時間又はフレーム時間、通常20ミリ秒又は16.7ミリ秒後に、前記行電極17が信号V_(sel)により瞬時t_(2)で再び選択され、これと同時に反転データ信号V_(d)が列電極11に現れる(非変化画像の場合)。ライン選択時間t_(L)が経過した後の瞬時t_(3)で次の行の電極が選択され、以下同様となる。以上のことが瞬時t_(4)から繰返される。
データ電圧は1回置きの画素の選択毎に反転される為、画素の両端間の電圧は図5に示すように極性反転する。画素が選択されていない期間中は、この画素電圧の絶対値が減少する。この電圧の減少は、この極性に、特に、反射型ディスプレイ装置の場合又は例えば双方の基板上の配向層の材料又は厚さを異ならせた場合のように非対称構造とした画素の極性にも依存するも、これに限定されるものではない。この電圧の減少は、装置の構造にとって固有の直流成分によって決定される。期間t_(0)?t_(1)中の(正の)選択後、画素電圧V_(p)(の絶対値)は、特別な手段を講じない場合、フレーム時間(t_(F))の他の部分t_(1)?t_(2)中、V_(1)からV_(2)’に減少する(図5の破線25)。同様に、期間t_(2)?t_(3)中の(負の)選択後、画素電圧V_(p)(の絶対値)は、フレーム時間の他の部分t_(3)?t_(4)中、V_(3)からV_(4)’に減少する(図5の破線25’)。双方の極性に対する電圧減少ΔV_(a)’=V_(1)-V_(2)’及びΔV_(b)’=V_(4)’-V_(3)は非対称である為、これはフレーム周波数の半分(25又は30Hz)でフリッカとして見える。
本発明によれば、1つ以上の画素の両端間の電圧の変化を測定する。好ましくは、この目的のために、(実際の表示には用いられない)擬似画素の行を例えば中間の灰色に対するデータ電圧により制御し、1つ以上の制御電圧を(本例では)ΔV_(a)’=ΔV_(b)’となるように調整する。このように調整すべき制御電圧はデータ又は選択電圧とすることができるも、例えば対向電極の電圧とすることもできる。」(第7ページ第14行?第8ページ第11行)

(A-2)引用刊行物1に記載された発明
(A-2-1)
上記記載事項2には、「上述した種類のディスプレイ装置は一般に知られており、通常、液晶材料の変質を回避するように画素の両端間の交流電圧により駆動(交流駆動)される。」と記載され、また、上記記載事項4には、「図1は、例えば透明(ITO)画像電極6と反射対向電極5とが設けられた、例えばガラスより成る2つの基板3、4間に存在するねじれネマチック液晶材料2を有する液晶セルを具える、例えば数個の画素の寸法とした液晶ディスプレイ装置1の一部の線図的断面図である。」と記載されている。
これらの記載によれば、引用刊行物1には、「各画素の液晶が一対の画像電極6と対向電極5との間に印加される交流電圧によって駆動される液晶ディスプレイ装置1」の発明が記載されている。

そして、この「液晶ディスプレイ装置1」は「画素の両端間の交流電圧により駆動(交流駆動)される」のであるから、つまるところ、引用刊行物1には、「各画素の液晶が一対の画像電極6と対向電極5との間に印加される交流電圧によって駆動される液晶ディスプレイ装置1の駆動方法」の発明が記載されている。

(A-2-2)
上記記載事項5には、「データ電圧は1回置きの画素の選択毎に反転される為、画素の両端間の電圧は図5に示すように極性反転する。・・・期間t_(0)?t_(1)中の(正の)選択後、画素電圧V_(p)(の絶対値)は、特別な手段を講じない場合、フレーム時間(t_(F))の他の部分t_(1)?t_(2)中、V_(1)からV_(2)’に減少する(図5の破線25)。同様に、期間t_(2)?t_(3)中の(負の)選択後、画素電圧V_(p)(の絶対値)は、フレーム時間の他の部分t_(3)?t_(4)中、V_(3)からV_(4)’に減少する(図5の破線25’)。」と記載されている。
この記載及び図5の記載もあわせてみると、引用刊行物1に記載された「液晶ディスプレイ装置1の駆動方法」における交流電圧について、「前記交流電圧は、前記対向電極5の電圧に対して正極性のデータ電圧の信号と負極性のデータ電圧の信号とを有しており、フレーム毎の画素の選択毎に前記データ電圧の信号の極性を反転する」ものであるといえる。

(A-2-3)
上記記載事項1には、「この種類のディスプレイ装置は例えば、テレビジョン、モニタ、ラップトップ型コンピュータ等に用いられている。」と記載されている。
この記載によれば、引用刊行物1に記載された「液晶ディスプレイ装置1の駆動方法」において、「液晶ディスプレイ装置1にはテレビジョン等の映像信号が入力される」ものである。

(A-2-4)
上記記載事項2には、「他の原因により、液晶材料の層にまたがって寄生直流成分が生じるおそれがあることを確かめた。この場合は特に、例えば、(ディスプレイ装置が反射器を有するか、或いは一方の基板上の画像電極が反射性である)反射型ディスプレイ装置の場合のように画素が非対称構造を有する場合である。上述した直流成分は、順次のフレーム時間での逆極性に対し、画素の駆動に異なるように影響を与える。画素の両端間の絶対値電圧が(同じデータで)順次のフレームで異なる場合、これにより使用フレーム周波数(一般に、50又は60Hz)の半分の周波数でフリッカを生ぜしめ、このフリッカは画像中で極めて目立つ。」と記載され、また、上記記載事項5には、「この電圧の減少は、装置の構造にとって固有の直流成分によって決定される。期間t_(0)?t_(1)中の(正の)選択後、画素電圧V_(p)(の絶対値)は、特別な手段を講じない場合、フレーム時間(t_(F))の他の部分t_(1)?t_(2)中、V_(1)からV_(2)’に減少する(図5の破線25)。同様に、期間t_(2)?t_(3)中の(負の)選択後、画素電圧V_(p)(の絶対値)は、フレーム時間の他の部分t_(3)?t_(4)中、V_(3)からV_(4)’に減少する(図5の破線25’)。双方の極性に対する電圧減少ΔV_(a)’=V_(1)-V_(2)’及びΔV_(b)’=V_(4)’-V_(3)は非対称である為、これはフレーム周波数の半分(25又は30Hz)でフリッカとして見える。本発明によれば、1つ以上の画素の両端間の電圧の変化を測定する。好ましくは、この目的のために、(実際の表示には用いられない)擬似画素の行を例えば中間の灰色に対するデータ電圧により制御し、1つ以上の制御電圧を(本例では)ΔV_(a)’=ΔV_(b)’となるように調整する。このように調整すべき制御電圧はデータ又は選択電圧とすることができる・・・」と記載されている。(下線は、摘記箇所を強調するために、当審において付した。)
これらの記載によれば、引用刊行物1に記載された「液晶ディスプレイ装置1の駆動方法」において、「双方の極性のデータ電圧の信号の電圧値を調整することにより、前記液晶ディスプレイ装置1の画素の非対称構造等に起因する固有の寄生直流成分の影響を少なくした」ものである。

(A-2-5)
(A-2-1)?(A-2-4)によれば、引用刊行物1には、以下の発明が記載されている。
「各画素の液晶が一対の画像電極6と対向電極5との間に印加される交流電圧信号によって駆動される液晶ディスプレイ装置1の駆動方法であって、
前記交流電圧信号は、前記対向電極5の電圧に対して正極性のデータ電圧の信号と負極性のデータ電圧の信号とを有しており、
前記液晶ディスプレイ装置1にはテレビジョン等の映像信号が入力されるものであって、
フレーム毎の画素の選択毎に前記データ電圧の信号の極性を反転すると共に、双方の極性のデータ電圧の信号の電圧値を調整することにより、前記液晶ディスプレイ装置1の画素の非対称構造等に起因する固有の寄生直流成分の影響を少なくした
液晶ディスプレイ装置1の駆動方法。」(以下、「引用発明1」という。)

(B)引用発明2
(B-1)引用刊行物2の記載事項
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-337311号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、「液晶表示素子の駆動方法」(発明の名称)の発明に関して、以下の事項が記載されている。

<記載事項6>
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、液晶光変調型表示素子や液晶光変調器の如き、液晶表示素子の駆動方法に関する。」

<記載事項7>
「【0008】ところで、本出願人らは、すでに、半導体メモリーと強誘電性液晶を組み合わせた反射型ディスプレイを提案している。これは、フィールドシーケンシャル法と、光源の輝度変調とを組み合わせることにより、階調表現を可能とし、原理的には、人間の視覚特性としては転属的な階調まで表示できる表示技術である。
【0009】このような反射型強誘電性液晶表示素子は、例えば、図3に示すように、透明基板1aとシリコン基板(シリコンVLSI回路基板)2aとの間に強誘電性液晶4を封入した構造を有している。すなわち、この反射型強誘電性液晶表示素子は、ガラスなどの透明基板1aの内面上にITOなどの透明電極1b及びSiO斜方蒸着膜、または、ポリイミドに代表される高分子薄膜を焼成後、ラビング処理して液晶配向膜1cを順次積層した積層体を形成し、これと同様に、画素内に駆動回路を作り込んだシリコン基板2aの内面上に反射膜兼電極2b及びSiO斜方蒸着膜、または、ポリイミドに代表される高分子薄膜を焼成後、ラビング処理して液晶配向膜2cを形成し、これら透明基板1aとシリコン基板2aとを、順次積層して形成した積層体同士が互いに対向するように配置し、粒状のスペーサ3を挟むことにより所定のセルギャップを確保して液晶セルを構成し、このセルギャップに強誘電性液晶4を注入し、周囲を接着剤で封じることにより構成されている。
【0010】図3に示した強誘電性液晶光変調型表示素子11の画素は、二次元的に構成されている(なお、これは、線状でも構わない)。図4に示すように、この強誘電性液晶光変調型表示素子11への入射光5は、反射膜兼電極2bで反射され、反射光6として、強誘電性液晶光変調型表示素子11から射出される。そして、これら入射光5及び反射光6の光路上にある強誘電性液晶4の光透過率は、図2に示すように、電極1bと反射膜兼電極2bとの間の電界によって変化する。すなわち、反射光6の強度は、電極1bと反射膜兼電極2bとの間の電界強度により変調されるので、入射光の反射状態及び非反射状態を画素ごとに切替えることにより、画像を表示させることができる。」

<記載事項8>
「【0027】現在のところ、完全に液晶パネル内の不純物イオンを除去することは不可能といえる。
・・・
【0029】このようなイオンの挙動に際し、対向する2枚の電極基板、ならびに、駆動上で、以下に示すような非対称性が生じた場合には、液晶と配向膜との界面において、イオン挙動にも非対称性が生じる。
(1)対向する2枚の電極基板での構造上の非対称性(TFT基板側とITO基板側との間、反射型セルなどにおける反射側基板と透過側基板との間)。
(2)対向する2枚の電極基板上の配向膜の諸条件(膜厚、焼成条件、ラビング強度など)。
(3)電圧印加波形の非対称性(一般の駆動電圧波形は矩形波などの交流波形を用いるが、GND(接地レベル)に対して非対称性がある場合)。
【0030】これらの非対称性によって、カチオンおよびアニオンの配向膜界面における吸脱着平衡、ならびに、液晶中でのイオン種の分極状態が対向する2枚の電極基板で非等価な状況が作り出される。このように、イオンが分極した状態は、緩和しにくく、外部的にある極性の直流成分(V′)を液晶セル間に印加したときとほぼ類似した状況となる。
【0031】すなわち、その後に電圧印加を停止したとしても、液晶セル内部には、V′の電圧が印加された状態、すなわち、液晶分子に電圧が印加されている状態が維持さることになる。すなわち、液晶セルに対称な矩形波形電圧(振幅V)などを印加しても、液晶内部にかかる有効な電圧は、正側で、(V+V′)、負側では、(-V+V′)となり、液晶に印加される実効的な電圧が対称ではなくなる。このような非対称性により、「TN」系などのように、実効電圧が光透過率に反映されるような液晶表示素子においては、液晶分子がゆらつき、フリッカという減少として観測され、表示画像の質の劣化を生じることになる。
【0032】一方、「SSFLC」モードにおいて、オンまたはオフの二状態のうちの一方の状態を選択する電圧信号を正極性電圧信号(V)とし、かつ、他方の状態を選択する電圧信号を負極性電圧信号(-V)とするような場合には、V′が正の値とすると、逆極性の状態にする負極性電圧信号印加時には、実効的に(-V-V′)が、正極性電圧信号印加時には、(V-V′)が、それぞれ印加されることになる。したがって、負極性電圧信号によって選択される状態への応答速度は、実効電圧の増加分だけ速くなり、逆に、正極性電圧信号によって選択される状態への応答速度は、実効電圧の減少分だけ遅くなり、また、V′が大きくなると、(V-V′)が閾値に達しなくなり、応答しなくなる。
【0034】したがって、これまでの液晶表示素子の駆動電圧波形は、電気的に中性を保つことが当然とされ、オフセット電圧が0Vの矩形波や正弦波、余弦波、三角波などのように、正負電圧が交互に、かつ、0Vに対して正負電圧が対称になるような、いわゆる交流駆動を行うものであった。
【0035】例えば、「TN」モードのような液晶表示素子の場合には、オフセット電圧が0Vの矩形波による駆動、ならびに、矩形波でTFTのゲート素子による駆動を用い、常に駆動電圧波形が電気的に中性を保つように設定されている。
【0036】また、「SSFLC」モードの液晶表示素子のように、オンとオフとのうちの一状態を選択するパルス電圧を印加する際、これを打ち消す逆極性電圧波形を組み合わせて、一選択時間内で直流成分を相殺すること、もしくは、もっと長い時間、例えば複数のフレームにわたった平均として、直流成分を相殺するように、逆極性電圧パルスを挿入するなどの駆動方法がとられてきた。」

<記載事項9>
「【0039】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述のような電気的中性を保った駆動電圧波形にとらわれることなく、簡便な駆動電圧波形で実効的な直流成分を有することとなる駆動方法を積極的に検討した結果、液晶の劣化を起こさないうえ、不純物イオンが形成する内部直流電圧または電界の発生を極めて効果的に抑制することで、表示の異常を防止し、また、長期間に亘って表示の信頼性を確保できる駆動方法を見出し、本発明に至った。
【0040】この駆動方法においては、「TN」モードのように、理想的には内部直流電圧が発生しない、電気的に中性を保つようなオフセット電圧0Vの矩形波電圧による駆動、いわゆる交流駆動においても、素子特性のばらつきによって電気的中性からずれが生じることも生じ得るので、不純物イオンが形成する内部直流電圧の抑制という効果が得られる点で有効である。」

<記載事項10>
「【0042】本発明の効果を明確に実証するためには、オンまたはオフの二状態のうちの一方の状態を選択する電圧信号を正極性電圧信号のみの組合せとし、かつ、他方の状態を選択する電圧信号を負極性電圧信号のみの組合せとするのがよい。あるいは、オンまたはオフの二状態の少なくとも一方の状態を選択する電圧信号を正極電圧信号(当審注:「正極性電圧信号」の誤記と認める。)と負極性電圧(当審注:「負極性電圧信号」の誤記と認める。)の組合せとし、かつ、それらの電圧の絶対値または時間幅を異ならせることで、一状態の選択期間内に実効的に内部電圧の直流成分を生じさせるようにしてもよい。
【0043】すなわち、本発明に係る液晶表示素子の駆動方法においては、表示信号期間において、入射光の状態を選択する期間の駆動電圧波形は、正極性電圧信号、負極性電圧信号及び0V信号のいずれかの組合せであって、かつ、それらの電圧の絶対値、または、信号幅が異なり、印加電圧波形として、正極性と負極性との電荷が不均衡な、単位時間内における平均電圧が0でない状態となっている非対称性を有する波形であってもよいのである。
【0044】つまり、オンかオフの一状態を選択する際に、電気的中性が保たれておらず、必ず、両電極間に不純物イオンの分極による電位、すなわち、内部直流電圧が生じるようにする。例えば、任意の時間に亘って画像を表示する場合、オン及びオフの回数は同数とは限らないから、どちらか一方の選択波形の印加回数が多くなり、ある一定期間内においては、電極間には、内部直流電圧が生じることになる。」

(B-2)引用刊行物2に記載された発明
(B-2-1)
上記記載事項6には、「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、液晶光変調型表示素子や液晶光変調器の如き、液晶表示素子の駆動方法に関する。」と記載され、上記記載事項7には、「【0009】このような反射型強誘電性液晶表示素子は、例えば、図3に示すように、透明基板1aとシリコン基板(シリコンVLSI回路基板)2aとの間に強誘電性液晶4を封入した構造を有している。・・・【0010】図3に示した強誘電性液晶光変調型表示素子11の画素は、二次元的に構成されている・・・すなわち、反射光6の強度は、電極1bと反射膜兼電極2bとの間の電界強度により変調されるので、入射光の反射状態及び非反射状態を画素ごとに切替えることにより、画像を表示させることができる。」と記載されている。
これらの記載によれば、引用刊行物2には、「二次元的に構成された各画素の液晶が、電極1bと反射膜兼電極2bとの間の電界強度により変調される液晶表示素子の駆動方法」が記載されている。

(B-2-2)
上記記載事項8には、「【0029】このようなイオンの挙動に際し、対向する2枚の電極基板、ならびに、駆動上で、以下に示すような非対称性が生じた場合には、液晶と配向膜との界面において、イオン挙動にも非対称性が生じる。(1)対向する2枚の電極基板での構造上の非対称性(TFT基板側とITO基板側との間、反射型セルなどにおける反射側基板と透過側基板との間)。・・・【0034】したがって、これまでの液晶表示素子の駆動電圧波形は、電気的に中性を保つことが当然とされ、オフセット電圧が0Vの矩形波や正弦波、余弦波、三角波などのように、正負電圧が交互に、かつ、0Vに対して正負電圧が対称になるような、いわゆる交流駆動を行うものであった。【0035】例えば、「TN」モードのような液晶表示素子の場合には、オフセット電圧が0Vの矩形波による駆動、ならびに、矩形波でTFTのゲート素子による駆動を用い、常に駆動電圧波形が電気的に中性を保つように設定されている。【0036】また、「SSFLC」モードの液晶表示素子のように、オンとオフとのうちの一状態を選択するパルス電圧を印加する際、これを打ち消す逆極性電圧波形を組み合わせて、一選択時間内で直流成分を相殺すること・・・などの駆動方法がとられてきた。」と記載され、また、上記記載事項9には、「【0039】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述のような電気的中性を保った駆動電圧波形にとらわれることなく、簡便な駆動電圧波形で実効的な直流成分を有することとなる駆動方法を積極的に検討した結果、液晶の劣化を起こさないうえ、不純物イオンが形成する内部直流電圧または電界の発生を極めて効果的に抑制することで、表示の異常を防止し、また、長期間に亘って表示の信頼性を確保できる駆動方法を見出し、本発明に至った。【0040】この駆動方法においては、「TN」モードのように、理想的には内部直流電圧が発生しない、電気的に中性を保つようなオフセット電圧0Vの矩形波電圧による駆動、いわゆる交流駆動においても、素子特性のばらつきによって電気的中性からずれが生じることも生じ得るので、不純物イオンが形成する内部直流電圧の抑制という効果が得られる点で有効である。」と記載され、また、上記記載事項10には、「【0042】・・・あるいは、オンまたはオフの二状態の少なくとも一方の状態を選択する電圧信号を正極性電圧信号と負極性電圧の組合せとし、かつ、それらの電圧の絶対値または時間幅を異ならせることで、一状態の選択期間内に実効的に内部電圧の直流成分を生じさせるようにしてもよい。【0043】すなわち、本発明に係る液晶表示素子の駆動方法においては、表示信号期間において、入射光の状態を選択する期間の駆動電圧波形は、正極性電圧信号、負極性電圧信号及び0V信号のいずれかの組合せであって、かつ、それらの電圧の絶対値、または、信号幅が異なり、印加電圧波形として、正極性と負極性との電荷が不均衡な、単位時間内における平均電圧が0でない状態となっている非対称性を有する波形であってもよいのである。【0044】つまり、オンかオフの一状態を選択する際に、電気的中性が保たれておらず、必ず、両電極間に不純物イオンの分極による電位、すなわち、内部直流電圧が生じるようにする。」と記載されている。(下線は、摘記箇所を強調するために、当審において付した。)
すなわち、引用刊行物2には、液晶表示素子に印加される、正極性電圧信号と負極性電圧信号から構成された、本来、ひとまとまりの時間内における平均電圧が0に保たれているべき、ひとまとまりの駆動電圧波形(一状態の選択信号波形)に対して、画素の構造の非対称性等により不純物イオンが形成する内部直流電圧を抑制するために、一状態の選択期間内で実効的に内部電圧の直流成分を生じさせるように、正極性電圧信号、負極性電圧信号相互のバランスを異ならせる特性として、電圧の絶対値または時間幅の一方を異ならせる思想が記載されている。

よって、これらの記載及び上記事項によれば、引用刊行物2に記載された「液晶表示素子の駆動方法」は、「各画素のオンまたはオフの二状態の少なくとも一方の状態を選択する、ひとまとまりの駆動電圧波形として、正極性電圧信号と負極性電圧信号の組合せとし、かつ、画素の構造の非対称性等により不純物イオンが形成する内部直流電圧を抑制するために、一状態の選択期間内で実効的に内部電圧の直流成分を生じさせるように、前記駆動電圧波形内の正極性電圧信号、負極性電圧信号相互のバランスを異ならせる特性として、電圧の絶対値または時間幅の一方を異ならせた」ものである。

(B-2-3)
(B-2-1)?(B-2-2)によれば、引用刊行物2には、以下の発明が記載されている。
「二次元的に構成された各画素の液晶が、電極1bと反射膜兼電極2bとの間の電界強度により変調される液晶表示素子の駆動方法であって、
各画素のオンまたはオフの二状態の少なくとも一方の状態を選択する、ひとまとまりの駆動電圧波形として、正極性電圧信号と負極性電圧信号の組合せとし、かつ、画素の構造の非対称性等により不純物イオンが形成する内部直流電圧を抑制するために、一状態の選択期間内で実効的に内部電圧の直流成分を生じさせるように、前記駆動電圧波形内の正極性電圧信号、負極性電圧信号相互のバランスを異ならせる特性として、電圧の絶対値または時間幅の一方を異ならせた
液晶表示素子の駆動方法。」(以下、「引用発明2」という。)

(3)対比
本願補正発明と引用発明1とを比較する。

(3-1)
引用発明1の「液晶ディスプレイ装置1」は、本願補正発明の「液晶表示装置」に相当し、以下同様に、「画像電極6」は「画素電極」に、「対向電極5」は「対向電極」に、「交流電圧」は「電圧信号」に相当する。

よって、引用発明1の「各画素の液晶が一対の画像電極6と対向電極5との間に印加される交流電圧信号によって駆動される液晶ディスプレイ装置1」は、本願補正発明の「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧信号によって駆動される」「液晶表示装置」に相当する。

(3-2)
引用発明1の「正極性のデータ電圧の信号」は、本願補正発明の「正極性側の信号」に相当し、引用発明1の「負極性のデータ電圧の信号」は、本願補正発明の「負極性側の信号」に相当する。

よって、引用発明1の「前記交流電圧信号は、前記対向電極5の電圧に対して正極性のデータ電圧の信号と負極性のデータ電圧の信号とを有しており」は、本願補正発明の「前記電圧信号は、前記対向電極に印加される信号に対して正極性側の信号と負極性側の信号とを用意しておき」に相当する。

(3-3)
引用発明1の「テレビジョン等の映像信号」は、本願補正発明の「入力される映像信号」に相当する。
よって、本願補正発明の「第1のクロックの入力により入力される映像信号の画像メモリ内の保存先を切換可能とし」と、引用発明1の「前記液晶ディスプレイ装置1にはテレビジョン等の映像信号が入力される」とは共に、「入力される映像信号が処理される」点で一致する。

(3-4)
引用発明1の「フレーム毎の画素の選択毎に前記データ電圧の信号の極性を反転すると共に、双方の極性のデータ電圧の信号の電圧値を調整する」ことと、本願補正発明の「前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにしたこと」とを比較する。

ア 引用発明1の「フレーム毎の画素の選択毎に前記データ電圧の信号の極性を反転する」ことは、本願補正発明の「前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させる」ことに相当する。

イ 引用発明1の「正」と「負」の「双方の極性のデータ電圧の信号の電圧値」と、本願補正発明の「一方の極性」と「他方の極性」の「電圧信号」の「印加時間」とは共に、「双方の極性の電圧信号の印加特性」である点で共通する。

したがって、引用発明1の「双方の極性のデータ電圧の信号の電圧値を調整する」ことと、本願補正発明の「一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるように」することとは共に、「一方の極性の電圧信号の印加特性に対して、他方の極性の電圧信号の印加特性が異なるようにする」ことである点で共通する。

ウ よって、上記ア、イによれば、引用発明1の「フレーム毎の画素の選択毎に前記データ電圧の信号の極性を反転すると共に、双方の極性のデータ電圧の信号の電圧値を調整することにより、前記液晶ディスプレイ装置1に固有の寄生直流成分の影響を少なくした」ことと、本願補正発明の「前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにしたこと」とは共に、「前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の電圧信号の印加特性に対して、他方の極性の電圧信号の印加特性が異なるようにする」ことである点で共通する。

(3-4)
したがって、本願補正発明と引用発明1の両者は、
「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧信号によって駆動されるものであって、
前記電圧信号は、前記対向電極に印加される信号に対して正極性側の信号と負極性側の信号とを用意しておき、
入力される映像信号が処理され、
前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の電圧信号の印加特性に対して、他方の極性の電圧信号の印加特性が異なるようにした液晶表示装置の駆動方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
液晶表示装置に入力される映像信号の処理に関し、本願補正発明は「第1のクロックの入力により入力される映像信号の画像メモリ内の保存先を切換可能」となっているのに対し、引用刊行物1にはそのような発明特定事項が明示されていない点。

[相違点2]
双方の極性の電圧信号の印加特性に関し、本願補正発明では、「第2のクロックの入力により液晶の画像領域の走査及び前記電圧信号の極性を切換可能とし、前記第1のクロックに対して前記第2のクロックの出力タイミングを一方の極性で早くすること」で、「一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにした」のに対し、引用発明1では、「双方の極性のデータ電圧の信号の電圧値を調整する」とあるように、一方の極性の電圧値に対して他方の極性の電圧値が異なるようにした点。

(4)当審の判断
上記相違点について検討する。

まず、相違点1について検討する。
「表示装置の駆動制御」の技術分野において、映像信号の処理時間の余裕度をあげるために、映像信号を一時的に保存する画像メモリを、それぞれが1フレーム分の映像信号を記憶可能なバッファを2つ備えた、いわゆる、ダブルバッファ構成とし、映像信号を保存するバッファを、1フレームごとに切り換えることは、引例を挙げるまでもない周知・慣用の技術である。
よって、引用発明1は、映像信号が入力されているものであって、所定の信号処理がなされているところ、かかる信号処理時間の余裕度をあげるために、上記周知・慣用の技術を適用して、画像メモリをダブルバッファ構成として、映像信号を保存するバッファを、1フレームごとに切り換えることは、当業者が容易になし得たことである。ここで、液晶ディスプレイ装置1に入力される映像信号である垂直同期信号が入力される度に、映像信号を保存するバッファが切り換えられることとなるから、該垂直同期信号の入力が、本願補正発明の「映像信号の画像メモリの保存先を切換可能」とする「第1のクロックの入力」となる。
したがって、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項は、当業者が引用発明1及び上記周知・慣用の技術に基づいて容易に想到し得たことである。

次に、相違点2について検討する。
上記「(2)(B-2-3)」で述べたように、引用刊行物2には以下の引用発明2が記載されている。
「二次元的に構成された各画素の液晶が、電極1bと反射膜兼電極2bとの間の電界強度により変調される液晶表示素子の駆動方法であって、
各画素のオンまたはオフの二状態の少なくとも一方の状態を選択する、ひとまとまりの駆動電圧波形として、正極性電圧信号と負極性電圧信号の組合せとし、かつ、画素の構造の非対称性等により不純物イオンが形成する内部直流電圧を抑制するために、一状態の選択期間内で実効的に内部電圧の直流成分を生じさせるように、前記駆動電圧波形内の正極性電圧信号、負極性電圧信号相互のバランスを異ならせる特性として、電圧の絶対値または時間幅の一方を異ならせた
液晶表示素子の駆動方法。」

そして、引用発明2は、液晶を挟む一対の電極(電極1bと反射膜兼電極2b)間に極性の異なる2つの電圧信号(正極性電圧の信号と負極性電圧の信号)をひとまとまりの期間(一選択期間)に印加するものであって、画素の構造の非対称性等により不純物イオンが形成する内部直流電圧を抑制することを課題とするものである。
(また、引用刊行物2の上記記載事項8には「【0034】したがって、これまでの液晶表示素子の駆動電圧波形は、電気的に中性を保つことが当然とされ、オフセット電圧が0Vの矩形波や正弦波、余弦波、三角波などのように、正負電圧が交互に、かつ、0Vに対して正負電圧が対称になるような、いわゆる交流駆動を行うものであった。【0035】例えば、「TN」モードのような液晶表示素子の場合には、オフセット電圧が0Vの矩形波による駆動、ならびに、矩形波でTFTのゲート素子による駆動を用い、常に駆動電圧波形が電気的に中性を保つように設定されている。」なる記載、及び、上記記載事項9には「【0040】この駆動方法においては、「TN」モードのように、理想的には内部直流電圧が発生しない、電気的に中性を保つようなオフセット電圧0Vの矩形波電圧による駆動、いわゆる交流駆動においても、素子特性のばらつきによって電気的中性からずれが生じることも生じ得るので、不純物イオンが形成する内部直流電圧の抑制という効果が得られる点で有効である。」なる記載があり、一般的な交流駆動においても、引用刊行物2に記載された駆動方法が有効であるとの示唆がある。)

一方、引用発明1も、液晶を挟む一対の電極(画像電極6と対向電極5)間に極性の異なる2つの電圧信号(正極性のデータ電圧の信号と負極性のデータ電圧の信号)を正極性のフレームと負極性のフレームというひとまとまりの期間に印加するものであって、液晶ディスプレイ装置1の画素の非対称構造等に起因する固有の寄生直流成分の影響を少なくしたものである。

そして、引用発明1における「液晶ディスプレイ装置1の画素の非対称構造等に起因する固有の寄生直流成分」と、引用発明2の「画素の構造の非対称性等により不純物イオンが形成する内部直流電圧」とは、同一の技術的事項を示している。
よって、引用発明1と引用発明2とは「液晶表示装置の制御」という同一の技術分野に属し、共に、一対の電極間に極性の異なる電圧信号をひとまとまりの期間に印加するものであって、「液晶表示装置の画素の非対称構造等に起因する固有の寄生直流成分の影響を少なくする」との課題も共通する。
したがって、引用発明1は、画素に2つの電圧信号(正極性のデータ電圧の信号と負極性のデータ電圧の信号)に対して、ひとまとまりの期間である、正極性のフレームとその直後の負極性のフレームという2フレーム分の期間における、駆動電圧波形での2つの電圧信号のバランスを異ならせるために、2つの電圧信号の電圧値を異ならせたものであるところ、ひとまとまりの期間における2つの電圧信号のバランスを異ならせる電圧信号の印加特性として、引用発明2を適用し、2つの電圧信号の電圧値に代えて、その時間幅を異ならせることは、当業者が容易になし得たことである。そして、かかる適用により、正極性のフレームと負極性のフレームの2フレームにおいて、一方の極性のフレームの期間(時間幅)に対して、他方の極性のフレームの期間(時間幅)が異なるものとなる。ここで、フレームの切換ごとに電圧信号の極性も切り換わるのであるから、液晶の画像領域の走査の開始及び電圧信号の極性の切換のタイミングを一括して規定するクロックを設けることに、格別の困難性は認められない。また、かかるクロック(本願補正発明の「第2のクロック」に対応する。以下同様。)と相違点1において検討した液晶ディスプレイ装置1に入力される映像信号の垂直同期信号(「第1のクロック」)との時間的関係を考察すると、かかるクロックは、2フレーム単位の長さを維持したまま、一方の極性のフレームの期間の長さを長くし、他方の極性のフレームの期間の長さを短くするものであるから、当然に、かかるクロックと前記垂直同期信号とのタイミングは、2フレームごとに一致し、一方の極性についての切換タイミングで、かかるクロックが前記垂直同期信号のタイミングよりも早くしたもの、もしくは遅くしたものの一方となる。
したがって、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項は、当業者が引用発明1及び引用発明2、並びに、上記周知・慣用の技術に基づいて容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明によってもたらされる効果は、引用発明1及び引用発明2、並びに、上記周知・慣用の技術から想定することができない格別のものと認めることもできない。

したがって、本願補正発明は、引用発明1及び引用発明2、並びに、上記周知・慣用の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)小括

よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5 まとめ

以上のとおり、本件補正の請求項1についてした補正が、全体としてみて、仮に、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮であるとした場合であっても、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について

本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成22年4月20日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、次のとおりのものと認める。
「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧信号によって駆動されるものであって、
前記電圧信号は、前記対向電極に印加される信号に対して正極性側の信号と負極性側の信号とを用意しておき、
前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにしたことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。」(以下、「本願発明」という。)

第4 引用刊行物

1 引用刊行物3の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-174786号公報(以下、「引用刊行物3」という。)には、「半導体表示装置の駆動方法」(発明の名称)の発明に関して、以下の事項が記載されている。

<記載事項11>
「【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、液晶等の表示媒体を用いた半導体表示装置に好適な駆動方法に関する。特に本願発明は、アクティブマトリクス型液晶表示装置の駆動方法に関する。
・・・
【0003】アクティブマトリクス型液晶表示装置は、マトリクス状に配置された数十?数百万個もの画素にかかる電荷を、TFTで構成された画素のスイッチング素子(画素TFT)により制御して、画像を表示するものである。
【0004】なお、本明細書中における画素とは、スイッチング素子(画素TFT)と、前記スイッチング素子に接続された画素電極と、対向電極と、前記画素電極と対向電極の間に設けられた液晶とで主に構成されている。」

<記載事項12>
「【0013】
【発明が解決しようとする課題】通常スイッチング素子としてTFT等を用いた液晶パネルでは、液晶の劣化を防ぐために、各画素へ入力する信号の電位の極性を、対向電極の電位(共通電位)を基準として反転(交流化駆動)させる。交流化駆動の方法としては、フレーム反転駆動、ソースライン反転駆動、ゲートライン反転駆動、ドット反転駆動が挙げられる。以下に、各駆動方法について説明する。
【0014】図16(A)にフレーム反転駆動における各画素の極性パターンを示す。なお、本明細書中の極性パターンを示した図〔図16、図3、図5〕では、共通電位を基準として、画素に入力される映像信号の電位が正である場合は「+」で図示し、負である場合は「-」で示している。また図16に示した極性パターンは、図15(B)に示した画素の配置と対応している。」

<記載事項13>
「【0045】
【課題を解決するための手段】本願発明では、半導体表示装置を駆動させる際に、そのフレーム期間を1フレーム期間ごとにランダムに変化させる。つまり任意の1フレーム期間の長さと、その任意の1フレーム期間の直後の1フレーム期間の長さとが、常にランダムに異なるよう駆動する。そしてその隣り合うフレーム期間どうしの長さの差は、観察者にチラツキや縦縞及び横縞が視認されない程度に長くてランダムであることが必要である。なおかつ動画を表示させたときに、隣り合うフレーム期間どうしの長さの差によって、スムーズな動画の表示が妨げられない程度に短くすることが必要である。
【0046】上記構成を用いることで、交流化駆動を行う際に、駆動回路の周波数を抑えつつ、観察者に視認されていた画面上のチラツキ、縦縞及び横縞を防止することが可能になった。そしてなおかつ交流化駆動によって液晶の劣化を抑えることができる。
【0047】以下に、本願発明の構成を示す。
【0048】本願発明によって、複数の画素TFT及び複数の画素電極を含む複数の画素と、対向電極と、前記複数の画素電極と前記対向電極の間に設けられた液晶とを有する半導体表示装置の駆動方法において、前記複数の画素TFTを介して、前記複数の画素電極に映像信号が入力されており、前記複数の画素電極に入力される映像信号は、1フレーム期間ごとに前記対向電極の電位を基準として極性が反転しており、1フレーム期間ごとにフレーム期間の長さが異なっていることを特徴とする半導体表示装置の駆動方法が提供される。」

<記載事項14>
「【0078】そして本願発明では、フレーム期間の長さを全て同じにはせず、各フレーム期間の長さをランダムに異なるようにしている。言い換えると、フレーム期間を1フレーム期間ごとにランダムに変化させている。つまり任意の1フレーム期間の長さと、その任意の1フレーム期間の直後の1フレーム期間の長さとが、常に異なるように駆動する。」

2 引用刊行物3に記載された発明

(1)
上記記載事項11には、「【0001】・・・特に本願発明は、アクティブマトリクス型液晶表示装置の駆動方法に関する。・・・【0003】アクティブマトリクス型液晶表示装置は、マトリクス状に配置された数十?数百万個もの画素にかかる電荷を、TFTで構成された画素のスイッチング素子(画素TFT)により制御して、画像を表示するものである。【0004】なお、本明細書中における画素とは、スイッチング素子(画素TFT)と、前記スイッチング素子に接続された画素電極と、対向電極と、前記画素電極と対向電極の間に設けられた液晶とで主に構成されている。」と記載され、また、上記記載事項12には、「【0013】【発明が解決しようとする課題】通常スイッチング素子としてTFT等を用いた液晶パネルでは、液晶の劣化を防ぐために、各画素へ入力する信号の電位の極性を、対向電極の電位(共通電位)を基準として反転(交流化駆動)させる。・・・【0014】図16(A)にフレーム反転駆動における各画素の極性パターンを示す。なお、本明細書中の極性パターンを示した図〔図16、図3、図5〕では、共通電位を基準として、画素に入力される映像信号の電位が正である場合は「+」で図示し、負である場合は「-」で示している。」と記載されている。
これらの記載によれば、引用刊行物3には、「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧によって駆動されるアクティブマトリクス型液晶表示装置の駆動方法であって、前記電圧は、前記対向電極の電位を基準にして、前記画素電極に入力される信号の電位が正の極性のものと負の極性のものとにより発生され、前記画素電極に入力される電位の極性が、フレームごとに反転されるもの」が記載されている。

(2)
上記記載事項13には、「【0048】本願発明によって、複数の画素TFT及び複数の画素電極を含む複数の画素と、対向電極と、前記複数の画素電極と前記対向電極の間に設けられた液晶とを有する半導体表示装置の駆動方法において、前記複数の画素TFTを介して、前記複数の画素電極に映像信号が入力されており、前記複数の画素電極に入力される映像信号は、1フレーム期間ごとに前記対向電極の電位を基準として極性が反転しており、1フレーム期間ごとにフレーム期間の長さが異なっていることを特徴とする半導体表示装置の駆動方法が提供される。」と記載され、また、上記記載事項14には、「【0078】そして本願発明では、フレーム期間の長さを全て同じにはせず、各フレーム期間の長さをランダムに異なるようにしている。言い換えると、フレーム期間を1フレーム期間ごとにランダムに変化させている。つまり任意の1フレーム期間の長さと、その任意の1フレーム期間の直後の1フレーム期間の長さとが、常に異なるように駆動する。」と記載されている。
これらの記載よれば、引用刊行物3に記載された「アクティブマトリクス型液晶表示装置の駆動方法」において、「1フレーム期間ごとにフレーム期間の長さが異なっている、すなわち、任意の正極性のフレーム期間とその直後の負極性のフレーム期間とで、その長さが異なる」ものである。

(3)
(1)、(2)によれば、引用刊行物3には、以下の発明が記載されている。
「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧によって駆動されるアクティブマトリクス型液晶表示装置の駆動方法であって、
前記電圧は、前記対向電極の電位を基準にして、前記画素電極に入力される信号の電位が正の極性のものと負の極性のものとにより発生され、
前記画素電極に入力される電位の極性が、フレームごとに反転され、
1フレーム期間ごとにフレーム期間の長さが異なっている、すなわち、任意の正極性のフレーム期間とその直後の負極性のフレーム期間とで、その長さが異なる
アクティブマトリクス型液晶表示装置の駆動方法。」(以下、「引用発明3」という。)

第5 対比・判断

本願発明と引用発明3とを比較する。

(1)
引用発明3の「アクティブマトリクス型液晶表示装置」は、本願発明の「液晶表示装置」に相当し、以下同様に、「画素電極」は「画素電極」に、「対向電極」は「対向電極」に相当する。
よって、引用発明3の「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧によって駆動されるアクティブマトリクス型液晶表示装置の駆動方法」は、本願発明の「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧信号によって駆動される」「液晶表示装置の駆動方法」に相当する。

(2)
引用発明3において、画素電極と対向電極の間の電圧は、対向電極の電位を基準にして、画素電極に入力される信号の電位が正の極性のものと負の極性のものとにより発生されるのであるから、画素電極と対向電極の間の電圧は、対向電極の電位を基準にして、正の極性の電圧と負の極性の電圧があるものである。
よって、引用発明3の「画素電極に入力される信号の電位が正の極性のもの」により発生される、画素電極と対向電極の間の正の極性の電圧は、本願発明の「正極性側」の「電圧信号」に相当し、引用発明3の「画素電極に入力される信号の電位が負の極性のもの」により発生される、画素電極と対向電極の間の負の極性の電圧は、本願発明の「負極性側」の「電圧信号」に相当する。
したがって、引用発明3の「前記電圧は、前記対向電極の電位を基準にして、前記画素電極に入力される信号の電位が正の極性のものと負の極性のものとにより発生され」は、本願発明の「前記電圧信号は、前記対向電極に印加される信号に対して正極性側の信号と負極性側の信号とを用意しておき」に相当する。

(3)
引用発明3において、画素電極に入力される電位の極性が、フレームごとに反転されるものであるから、画素電極と対向電極の間の電圧の極性も、フレームごとに反転されているものである。
よって、引用発明3の「前記画素電極に入力される電位の極性が、フレームごとに反転され」は、本願発明の「前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させる」に相当する。

(4)
引用発明3の「正極性のフレーム期間」は、本願発明の「一方の極性の印加時間」に相当し、引用発明3の「負極性のフレーム期間」は、本願発明の「他方の極性の印加時間」に相当する。
よって、引用発明3の「1フレーム期間ごとにフレーム期間の長さが異なっている、すなわち、任意の正極性のフレーム期間とその直後の負極性のフレーム期間とで、その長さが異なる」は、本願発明の「一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにした」に相当する。

(5)
したがって、本願発明と引用発明3とは、
「各画素の液晶が一対の画素電極と対向電極の間に印加される電圧信号によって駆動されるものであって、
前記電圧信号は、前記対向電極に印加される信号に対して正極性側の信号と負極性側の信号とを用意しておき、
前記画素の液晶に印加される前記電圧信号の極性を順次切り換えて印加させるとともに、一方の極性の印加時間に対して他方の極性の印加時間が異なるようにしたことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。」の点で一致し、相違点はない。

よって、本願発明と引用発明3とは同一であり、本願発明は、引用刊行物3に記載された発明である。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用刊行物3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当するから、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり、審決する。
 
審理終結日 2011-11-07 
結審通知日 2011-11-08 
審決日 2011-11-24 
出願番号 特願2003-389146(P2003-389146)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09G)
P 1 8・ 537- Z (G09G)
P 1 8・ 57- Z (G09G)
P 1 8・ 121- Z (G09G)
P 1 8・ 536- Z (G09G)
P 1 8・ 113- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西島 篤宏  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 後藤 亮治
中塚 直樹
発明の名称 液晶表示装置の駆動方法  
代理人 秋田 収喜  
代理人 秋田 収喜  
代理人 特許業務法人はるか国際特許事務所  

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