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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E02D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E02D
管理番号 1249598
審判番号 不服2011-2400  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-02-02 
確定日 2012-01-05 
事件の表示 特願2004-332232「基礎構造体の修復方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 6月 8日出願公開、特開2006-144269〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成16年11月16日にされた出願であって,平成22年10月22日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成23年2月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされ,同時に手続補正がなされたものである。
平成23年7月21日付けで,審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ,同年10月3日に回答書が提出された。

第2 平成23年2月2日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成23年2月2日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容,補正後の本願発明
平成23年2月2日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲の請求項1を,補正前(平成22年3月23日の手続補正書を参照。なお,平成22年8月6日の手続補正は,平成22年10月22日付けの補正の却下の決定により却下されている。)のものから,次のとおりに補正しようとする補正を含む。

「【請求項1】
沈下,窪み,段差等を生じた建物の床やスラブ等の基礎構造体の修復方法であって,所定の高さにまで上昇させたい修復必要箇所の下方の地盤の内部に,フロンガスを発生しない膨張性樹脂として施工現場においてポリオールとイソシアネートを1:0.8?1.5の重量割合で20℃?70℃にて要時混合して用いられるノンフロン系膨張性樹脂を注入し,これを膨張させて,修復必要箇所の基礎構造体を所定の高さにまで上昇させ,前記膨張性樹脂を注入するために基礎構造体に設けた注入孔を無収縮性モルタルで閉塞することを特徴とする方法。」

上記補正は,補正前の特許請求の範囲の請求項1の沈下,窪み,段差等を生じた建物の床やスラブ等の基礎構造体の修復方法において,膨張性樹脂として用いられるポリオールとイソシアネートとの割合を1:0.8?1.5の重量割合とし,これらを施工現場において,20℃?70℃にて要時混合して用いるものに限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とする。

そこで,本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「補正発明」という。)が,特許出願の際,独立して特許を受けることができるものかについて検討する。

2 刊行物及びその記載内容
刊行物1 米国特許第4567708号公報

(1)本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された上記刊行物1には,以下の記載がある。
(1a)「 1. An improved method for levelling sunken or broken portions of earth-supported floors and slabs, comprising the steps of:
mixing components to form an expandable polymeric foam mixture; and
injecting the unexpanded mixture of said components beneath a sunken or broken portion of an earth-supported floor or slab, whereby the expansion of said foam between said portion and the earth creates a mould pressure which raises said portion toward a position level with the remainder of said floor or slab.
2. A method according to claim 1, wherein said foam is a closed cell polyurethane foam.
・・・
4. A method according to claim 1, further comprising the steps of:
drilling at least one hole through said floor or slab at said sunken or broken portion; and
injecting said mixture through said at least one hole.
(概訳)
請求項1 地盤に支持される床またはスラブの沈下ないし壊れた部分を水平にする改良された方法であって,以下の工程を含む方法。
-膨張性の高分子材料フォーム混合物を形成するために材料を混ぜる工程,
-膨張していない上記混合された材料を地盤に支持される床またはスラブの沈下ないし壊れた部分の下に注入し,フォームが前記部分と地盤との間で膨張することにより前記部分を床またはスラブの残りの部分の位置にまで上昇させるする工程。
請求項2 フォームは独立気泡ポリウレタンフォームである請求項1記載の方法。
・・・
請求項4 少なくとも1つの孔を前記床またはスラブの沈下ないし壊れた部分にドリルで開け,混合物を前記孔を通して注入する工程をさらに備える,請求項1記載の方法。」(第4欄第6?28行)

(1b)「1. Technical Field
The invention relates to methods for levelling earth-supported floor and slabs. More particularly, the invention concerns such methods in which a grout of some sort is forced beneath the floor to raise it to the desired position.
(概訳)
1 技術分野
この発明は,地盤に支持された床やスラブを水平にする方法,より具体的には,ある種のグラウトが床を所望の位置まで押し上げる方法に関するものである。 」(第1欄第7?12行)

(1c)「A conventional foam spraying apparatus 4, having a nozzle 5 sized to fit closely in holes 1, is then used to inject the components of the foam beneath the floor or slab. Apparatus 4 is connected to a hose 8, leading to a conventional high pressure mixer in which the components of the foam are mixed. A preferred foam is formed from two components. The first component may be a ready blended polyol mixture comprising a polyetherpolyol, catalysts and water, such as type RM109 made by Baxenden Chemicals of Denmark or type AL369 Resifoam made by Resina Chemie of Holland. The second component may be an MDI isocyanate, such as Desmador made by Bayer A.G. of Germany. The mixture of these two components produces a polyurethane foam having a density of 30 to 60 Kg/m^(3), a compressibility of 2 to 5 KP/cm^(2), a cell void diameter of 0.05 to 0.5 mm and at least 90% closed cells, as determined by the Remington method. Of course, other foams having similar properties in their hardened state and being suitable for injection in the manner described, may also be used without departing from the scope of the invention.
(概訳)
孔1にフィットするサイズのノズル5を有する慣用のフォームスプレイ装置4が床やスラブの下にフォームの材料を注入するのに用いられる。装置4は,フォームの材料が混合される慣用の高圧ミキサーとホース8でつながれる。好適なフォームは2つの材料で形成される。第1の材料は,デンマークのBaxenden Chemicals社製のRM109やオランダResina Chemie社のAL369 Resifoamのような,ポリエーテルポリオール,触媒,水が予めブレンドされたポリオールの混合物であり得る。第2の材料は,ドイツのBayer社によるDesmadorのようなMDIイソシアネートであり得る。これら2つの材料の混合物は,密度30?60kg/m^(3),圧縮率2?5KP/cm^(2),セル径0.05?0.5mmで少なくとも90%が独立気泡であるポリウレタンフォームとなる。もちろん,同様の固さの性状を有し,上記した注入法に適合する他のフォームも,発明のスコープを外れることなく使用し得る。」(第3欄第8?29行)

(1d) 刊行物1の図面には,地盤(the soil3)と床またはスラブ(floor or slub2)との間の空隙に発泡フォームが注入される様子が示されている。

上述の記載事項(1a)?(1d)の記載から見て,刊行物1には,以下の発明が記載されているものと認められる。(以下,「刊行物1記載の発明」という。)

「地盤に支持される床またはスラブの沈下ないし壊れた部分を水平にする方法であって,床またはスラブにドリルで孔を開け,床またはスラブの沈下ないし壊れた部分の下方の空隙に,膨張性樹脂として,ポリエーテルポリオール,触媒,水が予めブレンドされたポリオールの混合物とMDIイソシアネートを,フォームスプレイ装置とホースでつながれた高圧ミキサーで混合して用いられる膨張性樹脂を,ドリルで開けた孔を介して注入し,これを膨張させて,上記部分を床またはスラブの残りの部分の高さまで上昇させる,床またはスラブの沈下ないし壊れた部分を水平にする方法。」

3 対比
補正発明と刊行物1記載の発明とを対比する。
刊行物1記載の発明の「床またはスラブ」,「床またはスラブの沈下ないし壊れた部分」,「ポリエーテルポリオール」,「MDIイソシアネート」は,補正発明の「沈下,窪み,段差等を生じた建物の床やスラブ等の基礎構造体」,「(基礎構造体の)必要修復箇所」,「ポリオール」,「イソシアネート」に相当する。

刊行物1記載の発明の「基礎構造体(地盤に支持される床またはスラブ)の必要修復箇所(沈下ないし壊れた部分)を水平にする方法」は,修復必要箇所の基礎構造体を所定の高さにまで上昇させるものであるから,補正発明の「沈下,窪み,段差等を生じた建物の床やスラブ等の基礎構造体の修復方法」に相当する。
刊行物1記載の発明は,ポリオールとイソシアネートを,フォームスプレイ装置とホースでつながれた高圧ミキサーで混合するものであるから,施工現場において要時混合して用いられるものと認められる。

したがって,補正発明と刊行物1記載の発明との一致点,相違点は以下のように認定できる。

一致点
「沈下,窪み,段差等を生じた建物の床やスラブ等の基礎構造体の修復方法であって,所定の高さにまで上昇させたい修復必要箇所の下方に,膨張性樹脂として施工現場においてポリオールとイソシアネートを要時混合して用いられる膨張性樹脂を注入し,これを膨張させて,修復必要箇所の基礎構造体を所定の高さにまで上昇させ,ること
を特徴とする方法。」

相違点1
補正発明は,膨張性樹脂を地盤の内部に注入するのに対し,刊行物1記載の発明は,膨張性樹脂を基礎構造体の下部の空隙に注入するものであるが,地盤の内部に注入するか否か開示されていない点。

相違点2
補正発明は,膨張性樹脂が,フロンガスを発生しないノンフロン系膨張性樹脂であり,ポリオールとイソシアネートの配合割合が1:0.8?1.5の重量割合と特定され,また,温度が20℃?70℃と特定されているのに対し,刊行物1記載の発明は,発泡剤としてフロンガスを使用することが開示されたものではないが,フロンガスを使用しないことも明記されていないため,膨張性樹脂がフロンガスを発生しないノンフロン系か否かが不明であり,また,ポリオールとイソシアネートの配合割合及び温度について,補正発明のような特定がなされていない点。

相違点3
補正発明は,膨張性樹脂を注入するために基礎構造体に設けた注入孔を無収縮性モルタルで閉塞するのに対し,刊行物1記載の発明は,膨張性樹脂を注入するために基礎構造体に設けた注入孔をどのように処理するか明記されていない点。

4 判断
(1)相違点1について
膨張性樹脂を「地盤の内部」に注入することについて,本件明細書には以下の記載がある。
「【0008】
次に,図2と図3に示すように,図略のノンフロン系膨張性樹脂の貯留タンクと空気圧縮機とに連結されたガン4に備わるノズル5を注入孔2に挿入し,基礎構造体修復必要箇所1の下方の地盤6の内部に,ノンフロン系膨張性樹脂8を,基礎構造体修復必要箇所1と地盤6との間に存在する空隙7を介して注入する。この操作により,基礎構造体修復必要箇所1と地盤6との間に存在する空隙7は,ノンフロン系膨張性樹脂8で充填され,ノンフロン系膨張性樹脂8は,地盤6の内部にひび等を介して割裂注入される。その後,ノンフロン系膨張性樹脂8は,空隙7や地盤6の内部で膨張し,膨張に対する反力が,基礎構造体修復必要箇所1に加わる荷重よりも上回ることで,基礎構造体修復必要箇所1を所定の高さにまで上昇させるとともにこれを補強し,その修復を実現する(図4参照)。地盤6の内部で膨張したノンフロン系膨張性樹脂8は,膨張後の凝固によって地盤6と強固に結合して地盤6を圧密強化するので,その効果は長期に亘る。・・・」

該記載によれば,補正発明は,膨張性樹脂が空隙7を介して注入され,地盤6の内部にもひび等を介して割裂注入される実施例を含むものであり,空隙7を介して注入され,地盤6の内部にもひび等を介して割裂注入されることにより,空隙7や地盤6の内部で膨張して基礎構造体を所定の高さまで上昇させるとともにこれを補強するものと認められる。

一方,刊行物1記載の発明において,膨張性樹脂は空隙に注入されるものである。また,刊行物1に沈下の原因として土壌の圧密不足(insufficient compacting of the earth)が記載されるように,基礎構造体の下部が問題のある土壌であることは,当業者が容易に想定し得ることである。

そして,土壌に注入された膨張性樹脂が膨張して土壌を圧密強化することも,例えば特表2001-510514号公報に記載のように本件出願当時当業者に周知であったことを考慮すれば,刊行物1記載の発明において,膨張性樹脂を空隙を介して地盤にも内部のひび等を介して注入するものとし,補正発明の相違点1に係る発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

(2)相違点2について
まずに,膨張性樹脂が,フロンガスを発生しないノンフロン系膨張性樹脂であることについて検討する。
ポリオールとイソシアネートを反応させて発泡ポリウレタンフォームを形成するにあたり,水を添加し,イソシアネート基と水との反応により発生するCO_(2)により発泡させることは,1994年に,日刊工業新聞社から発行された,牧 廣 ほか3名編「図解 プラスチック用語辞典 第2版」に記載されるように,本件出願当時当業者に周知であったことである。
一方,刊行物1記載の発明も,ポリオールとイソシアネートとの発泡の際に水を添加しており,CO_(2)により発泡させる方法を採用することが示唆されているものといえる。
そして,本件出願当時には,地球温暖化防止のためにフロンガスの使用が規制されていたことをも考慮すれば,刊行物1記載の発明において,発泡剤としてフロンガスを用いないものとし,発泡性樹脂をフロンガスを発生しないノンフロン系膨張性樹脂とすることは,当業者が容易になし得たことである。

次に,ポリオールとイソシアネートの配合割合が1:0.8?1.5の重量割合と特定することについて検討する。
ポリオールとイソシアネートの配合の重量割合は,ポリオール,イソシアネートとして具体的にどのようなものを使用するかを考慮した上で当業者が好適な値を適宜決定すべきものである。
そして,ポリオールとイソシアネートとの配合割合は,ポリオール成分,イソシアネート成分に応じて決定すべきものであるが,強度のある発泡体に用いるポリオールとイソシアネートの配合割合として1:0.8?1.5程度の重量割合の数値範囲は,特開平8-60664号公報段落【0037】や特開平4-366225号公報段落【0016】においても採用されているように,一般的な値であって,このような値を選択することに何らの困難性もない。
したがって,刊行物1記載の発明においてポリオールとイソシアネートの配合割合を1:0.8?1.5の重量割合と特定することは,当業者が容易になし得たことである。

最後に,温度を20℃?70℃と特定することについて検討する。
ポリオールとイソシアネートを混合,発泡してポリウレタンを生成する際に,常温で生成し得ることは周知の事項であり,また,常温よりやや高い温度でも生成が可能であることも技術常識である(例えば,上記特開平8-60664号公報【0036】では,型枠を40?50℃に加温している)から,刊行物1記載の発明において,ポリオールとイソシアネートを混合する際の温度を20℃?70℃と特定することは,当業者が容易になし得たことである。

(3)相違点3について
工事のために部材に設けた孔を無収縮モルタルで閉塞することは,特開平7-279119号公報,特開平8-13627号公報,特開2002-61389号公報等に記載のように周知の技術であり,刊行物1記載の発明において,膨張性樹脂を注入するために基礎構造体に設けた注入孔を無収縮性モルタルで閉塞するものとすることは,当業者が容易になし得たことである。

(4)補正発明の効果について
基礎構造体を,その上に構築されている建築構造物や土木構造物を再構築や移動や移設等したりすることなく,短時間で所定の高さにまで上昇させて平らにしたり,補強したりすることができるとの効果は,刊行物1記載の発明も奏する効果である。
地球環境に優しいとの効果は,周知のノンフロン系膨張性樹脂の使用により奏される効果であって,周知技術から予測し得る効果である。
補正発明のその他の効果も,刊行物1記載の発明及び周知技術から予測し得る程度のものである。

(5)審判請求人の主張について
審判請求人は,審尋回答書中にて,概略以下のような主張をしている。
ア 本願発明における基礎構造体の修復という目的のもとにおいては、そこで使用される膨張性樹脂には優れた強度や耐久性が要求されるところ、これらの参考文献にはノンフロン系膨張性樹脂がこのような目的のもとで使用できるものであるかどうかについて記載も示唆もない。前置報告で示されたいずれの参考文献にも,ノンフロン系膨張性樹脂が本願発明における基礎構造体の修復という目的のもとで使用できるものであるかどうかについて記載も示唆もないので,本願の出願時点においてノンフロン系膨張性樹脂が存在していたという事実だけをもって,引用文献1に記載の発明において膨張性樹脂としてノンフロン系膨張性樹脂を使用することを当業者が適宜なし得る事項と判断することはできない。

イ 基礎構造体の修復という目的のもとでノンフロン系膨張性樹脂を使用するためには,この目的に適したノンフロン系膨張性樹脂が存在することのみならず,かかる樹脂に適した注入装置が存在することなどを要する。例えばフロン系膨張性樹脂に適した注入装置がそのままノンフロン系膨張性樹脂の注入装置として使用できるわけではない。

上記主張について検討する。
ア について
ポリウレタン等の発泡性樹脂を生成するにあたり,用いる高分子を選択したり,発泡倍率を調整することによって強度や耐久性等の性状を制御できることは技術常識である。
刊行物1には,ポリウレタンフォームの密度や圧縮性等に関して好ましい数値が記載されているものであり,発泡剤としてフロンを用いないノンフロン系発泡性樹脂を使用するに際し,このような数値を参考に所望の性能が達成できるように用いる高分子を選択したりすることは,当業者が適宜なし得ることである。
また,補正発明において膨張性樹脂に求められる強度や耐久性は,特許請求の範囲において数値で限定されたものではない上,明細書中にもどの程度の強度や耐久性が求められるか具体的に開示されたものではないから,その強度や耐久性の程度は,基礎の修復に用いられるという用途から類推するよりない。
一方,参考文献においても,地盤として地中に埋設して使用されるものも含まれるものであり,このような用途からみて,参考文献の膨張性樹脂に必要とされる強度や耐久性が本件発明のものと格別相違するものとは認められない。
以上に検討したように,膨張性樹脂に求められる強度や耐久性は当業者が適宜決定しうる事項であること,本願出願時には,フロンガスの使用が規制されていた事情ことを考慮すれば,本願出願時点に刊行物1を見た当業者が,刊行物1記載の発明において,膨張性樹脂として,本願の出願時点において周知であった参考文献のようなノンフロン系膨張性樹脂を使用することは,容易に想到しうることである。

イ について
用いる材料に応じて適当な装置を採用することは,当業者が適宜なすべきことである。また,補正発明は,ノンフロン系樹脂を採用するために,特別に工夫した装置を開示しているものでもないから,刊行物1記載の装置がノンフロン系樹脂にそのまま使えることが明示されていないからといって,補正発明の進歩性を認められるものではない。
よって,請求人の上記主張は採用できない。

5 進歩性の判断についてのむすび
したがって,補正発明は,刊行物1記載の発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成23年2月2日の手続補正は上記のとおり却下された。また,平成22年8月6日の手続補正は,平成22年10月22日の補正の却下の決定により却下されているので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成22年3月23日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「請求項1】
沈下、窪み、段差等を生じた建物の床やスラブ等の基礎構造体の修復方法であって、所定の高さにまで上昇させたい修復必要箇所の下方の地盤の内部に、フロンガスを発生しない膨張性樹脂を注入し、これを膨張させて、修復必要箇所の基礎構造体を所定の高さにまで上昇させ、前記膨張性樹脂を注入するために基礎構造体に設けた注入孔を無収縮性モルタルで閉塞することを特徴とする方法。」(以下,「本願発明」という。)

2 刊行物の記載内容
本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された上記刊行物1の記載事項は,前記「第2 2」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は,補正発明から,膨張性樹脂として用いられるポリオールとイソシアネートとの割合を1:0.8?1.5の重量割合とし,これらを施工現場において,20℃?70℃にて要時混合して用いるものとする限定を削除したものである。

前記「第2 4」で検討したとおり,本願発明において,さらに,膨張性樹脂として用いられるポリオールとイソシアネートとの割合を1:0.8?1.5の重量割合とし,これらを施工現場において,20℃?70℃にて要時混合して用いるものとするとの限定をした補正発明が,刊行物1記載の発明及び周知技術から容易になし得るものと判断されるものであるから,これらの限定をしない本願発明も,当然,刊行物1記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

よって,本願発明は,刊行物1記載の発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
したがって,本願発明は,刊行物1記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-11-04 
結審通知日 2011-11-08 
審決日 2011-11-22 
出願番号 特願2004-332232(P2004-332232)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (E02D)
P 1 8・ 121- Z (E02D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 砂川 充  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 中川 真一
土屋 真理子
発明の名称 基礎構造体の修復方法  
代理人 清水 善廣  
代理人 辻田 幸史  
代理人 辻田 幸史  
代理人 辻田 幸史  
代理人 阿部 伸一  
代理人 清水 善廣  
代理人 阿部 伸一  
代理人 清水 善廣  
代理人 阿部 伸一  
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