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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1249599 |
審判番号 | 不服2011-4985 |
総通号数 | 146 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-03-04 |
確定日 | 2012-01-05 |
事件の表示 | 特願2000-394818「遊技制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月10日出願公開、特開2002-191821〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年12月26日に出願したものであって、平成22年12月3日付け(発送:12月7日)で拒絶査定され、これに対し、平成23年3月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日付けで手続補正がなされ、当審において、平成23年6月3日付け(発送:6月7日)で審査官の前置報告書に基づく審尋がなされ、同年8月3日付けで回答書が提出されたものである。 2.平成23年3月4日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成23年3月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正は、補正前の請求項1に記載された 「【請求項1】 制御基板を容器に収納した遊技制御装置において、 前記容器に収納される単一基板を制御の機能分割毎の領域に区分し、 前記領域毎に機能分割された前記制御部品を実装するとともに、前記領域毎に制御名を表示する表示部を設け、 前記表示部に印刷、捺印、金属箔のエッチングのいずれかにより制御名が付与されたことを特徴とする遊技制御装置。」 という発明を、 「【請求項1】 制御基板を容器に収納した遊技制御装置において、 前記容器に収納される単一基板に溝を設けて制御の機能毎の領域を外部から視認し得るように区分し、 前記領域毎に、機能分割された制御部品を実装するとともに、溝により区分された各領域を、各領域を跨ぐ領域間コネクタにより接続し、前記領域毎に制御名を表示する表示部を設け、前記表示部に印刷、捺印、金属箔のエッチングのいずれかにより制御名が文字で表示されたことを特徴とする遊技制御装置。」 という発明に変更することを含むものである(下線部は補正箇所を示す。)。 (2)補正の適否 本件補正は、特許請求の範囲について、以下に挙げる補正事項を含むものである。 (a)補正前の請求項1における「前記容器に収納される単一基板を」という事項を、 「前記容器に収納される単一基板に溝を設けて」とする補正。 (b)補正前の請求項1における「制御の機能分割毎の」という事項を、 「制御の機能毎の」とする補正。 (c)補正前の請求項1における「領域に区分し、」という事項を、 「領域を外部から視認し得るように区分し、」とする補正。 (d)補正前の請求項1における「前記領域毎に機能分割された前記制御部品を」という事項を、 「前記領域毎に、機能分割された制御部品を」とする補正。 (e)補正前の請求項1の「実装するとともに、前記領域毎に制御名を表示する表示部を設け、」という事項を、 「実装するとともに、溝により区分された各領域を、各領域を跨ぐ領域間コネクタにより接続し、前記領域毎に制御名を表示する表示部を設け、」とする補正。 (f)補正前の請求項1の「前記表示部に印刷、捺印、金属箔のエッチングのいずれかにより制御名が付与されたこと」という事項を、 「前記表示部に印刷、捺印、金属箔のエッチングのいずれかにより制御名が文字で表示されたこと」とする補正。 上記補正事項についてそれぞれ検討する。 補正事項(a)については、単一基板の構成を具体的に特定するものであるから、限定的限縮を目的とするものに該当する。 補正事項(b)については、平成22年12月3日付け拒絶査定の備考の記載に基づき「分割」の記載を削除したものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 補正事項(c)については、領域を区分するための構成を具体的に特定するものであるから、限定的限縮を目的とするものに該当する。 補正事項(d)については、読点を追加すると共に、平成22年12月3日付け拒絶査定の備考の記載に基づき「前記」の記載を削除したものであるから、実質的な変更ではない。 補正事項(e)については、各領域間の構成を具体的に特定するものであるから、限定的限縮を目的とするものに該当する。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (3)引用文献に記載された事項 原査定の拒絶の理由(平成22年5月25日付け拒絶理由通知)において引用文献1として引用された特開平6-190121号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】表示状態が変化する可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、 遊技機による遊技を制御する遊技制御用マイクロコンピュータと、 前記可変表示装置を制御する可変表示制御用マイクロコンピュータとを含み、 遊技機に設けられた同一の制御用基板上に前記遊技制御用マイクロコンピュータと前記可変表示制御用マイクロコンピュータとが設けられていることを特徴とする、遊技機。」 (イ)「【0019】図3は、パチンコ遊技機に用いられている制御回路を示すブロック図である。パチンコ遊技機の制御回路20は、各種機器を制御するためのプログラムにしたがって遊技機制御を行なうためのメイン基本回路21と、始動口スイッチ11とVスイッチ17と10カウントスイッチ16とからの検出信号をメイン基本回路21に与えるためのスイッチ回路29と、メイン基本回路21の指令にしたがってソレノイド15を駆動し、メイン基本回路21から与えられるデータにしたがって装飾ランプ19を駆動し、大当たり情報、始動情報、有効始動情報をホール用管理コンピュータに対して出力するためのランプ・ソレノイド・情報出力回路28と、メイン基本回路21から与えられるデータにしたがって始動記憶表示器8とV表示LED35と入賞個数表示器18と開放回数表示器6とを駆動するための7セグ・LED駆動回路28と、メイン基本回路21から与えられる音データにしたがってスピーカ34を駆動し、効果音を発生させるための音回路26とを含む。」 (ウ)「【0021】メイン基本回路21およびクロック用リセットパルス発生回路23には、ドラムユニット38に含まれるドラムセンサ37a?37cの検出信号とメイン基本回路21からの指示とにしたがって、ドラムランプ7a?7iと、ドラムモータ左36aと、ドラムモータ中36bと、ドラムモータ右36cとによる可変表示を制御するためのサブ基本回路22が接続されている。」 (エ)「【0023】制御回路20のメイン基本回路21と、サブ基本回路22とは、共に同一の遊技機制御基板53上に設けられている。これが本発明の遊技機の特徴である。メイン基本回路21とサブ基本回路22とは、ケーブルではなく基板53上の配線で接続されており、その接続線の長さも、サブ基本回路22をメイン基本回路21の基板とは異なる可変表示装置制御用基板上に設けた場合と比較してはるかに短くなる。」 (オ)「【0025】クロック用リセットパルス発生回路23もメイン基本回路21およびサブ基本回路22が設けられた基板53と同一の基板上に設けられており、メイン基本回路21とサブ基本回路22とに同一のクロック信号を供給している。」 (カ)「【0047】図6は、ゲーム制御用基本回路を構成するメインCPU60(RAM内蔵)およびサブCPU22(表示制御用ROM、RAM内蔵のワンチップマイコン)が設けられた遊技機制御基板53の概略の平面図である。図6を参照して、基板53上の図示上方には、ドラムユニットとこのメインCPU60およびサブCPU22とを接続するケーブルのためのコネクタ61と、基板53と中継端子基板(各スイッチ類11、16、17やランプ19、ソレノイド15などと遊技機制御基板53とを中継するもので、遊技機1の裏面側に設けられている。)とを接続するケーブルのためのコネクタ62、63と、スピーカ34(図3参照)のケーブルのためのコネクタ64と、AC24V電源のためのケーブルが接続されるコネクタ65とが配置されている。基板53の図示右方部分は電源回路33、そのさらに下方は音回路26となっている。」 (キ)「【0051】図6に示されるように、同一の基板53上にメインCPU60とサブCPU22とが配置されるので、両者間の接続には基板53上の配線が利用でき、ケーブルを使用して接続する必要はない。・・・ 【0052】図7は、メインCPU60およびサブCPU22が設けられた遊技機制御基板53を収容する遊技機制御基板収容ボックス39を切断した状態を示す断面図である。遊技機制御基板収容ボックス39は、収容ボックス本体40、透明板50および透明カバー体75を備えている。・・・ 【0053】・・・サブCPU22、メインCPU60、ROM59等の電子装置58が実装された遊技機制御基板53の四隅には、取付穴55、56が形成されている。」 (ク)「【0059】遊技機制御基板53には、多数の貫通孔(図示せず)が設けられている。各種電子装置58の接地端子,電源端子は、これら貫通孔に挿入されることによりグランドラインのパターン層54Bまたは電源ラインのパターン層Cに接続されることになる。」 (ケ)図6には、遊技機制御基板53上において、点線、一点鎖線、実線を用いて、メイン基本回路21、サブ基本回路22、音回路26等の制御の機能毎の領域に区分した点が記載されている。 以上、上記(ア)ないし(ケ)の記載及び図面の記載を総合すると、引用例1には、 「遊技機制御基板53を遊技機制御基板収容ボックス39に収容したパチンコ遊技機において、 前記遊技機制御基板収容ボックス39に収容される同一の遊技機制御基板53上において制御の機能毎の領域に区分し、 前記領域毎に、機能分割されてCPU、ROM等の各種電子装置58を実装したことを特徴とするパチンコ遊技機」の発明が開示されていると認められる(以下、この発明を「引用発明」という。)。 (4)対比 引用発明の「遊技機制御基板53」は本願補正発明の「制御基板」に相当する。以下同様に、 「遊技機制御基板収容ボックス39」は「容器」に、 「収容」は「収納」に、 「同一の遊技機制御基板53上において」は「単一基板に」に、 「制御の機能毎の領域」は「制御の機能毎の領域」に、 「CPU、ROM等の各種電子装置58」は「制御部品」に、 「実装」は「実装」に、相当する。 さらに、引用例1の記載等からみて、以下のことがいえる。 a.引用発明のパチンコ遊技機は、制御基板53を収容した遊技機制御基板収容ボックス39を備えており、制御基板53を収容した遊技機制御基板収容ボックス39は遊技を制御している遊技制御装置であるといえるから、 引用発明は本願補正発明の「制御基板を容器に収納した遊技制御装置」を備えているといえる。 以上のことから、両者は、 <一致点> 「制御基板を容器に収納した遊技制御装置において、 前記容器に収納される単一基板を制御の機能毎の領域に区分し、 前記領域毎に、機能分割された制御部品を実装したことを特徴とする遊技制御装置。」 である点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点1> 本願補正発明は、「単一基板に溝を設けて制御の機能毎の領域を外部から視認し得るように区分し」たのに対して、 引用発明は、単一基板に制御の機能毎の領域に区分したものであるが、溝を設けて外部から視認し得るようにしていない点。 <相違点2> 本願補正発明は、「溝により区分された各領域を、各領域を跨ぐ領域間コネクタにより接続」するのに対して、 引用発明は、上記構成を有しない点。 <相違点3> 本願補正発明は、「領域毎に制御名を表示する表示部を設け、前記表示部に印刷、捺印、金属箔のエッチングのいずれかにより制御名が文字で表示され」るのに対して、 引用発明は、上記構成を有しない点。 (5)判断 <相違点1>及び<相違点2>について 相違点1と相違点2は関連するので、まとめて検討する。 前置報告書の内容を添付した審尋において引用文献4として引用された実願昭56-191696号(実開昭58-97860号)のマイクロフィルム(特に実用新案登録請求の範囲、第2頁第9行?第3頁第17行および第2?3図参照)には、単一の基板1に切込み2と溝6を設け、切込み2により複数の領域を分割すると共に、溝6により基板上の複数の領域の境界を規定し、溝6により境界を規定された各領域を、各領域を跨ぐジャンバー線6により接続した点が記載されている。 上記引用文献4は、単一の基板1において溝6により複数の領域の境界を規定するものであり、溝6により複数の領域の区分が外部から視認し得るようになるのは明かであるから、 上記引用文献4には「単一基板に溝を設けて複数の領域を外部から視認し得るように区分し、溝により区分された各領域を、各領域を跨ぐジャンバー線により接続」した点が開示されているといえる。 また、接続するための電気部品として、コネクタを用いることは例示するまでもなく周知慣用である技術であるから、 引用発明の制御の機能毎の領域に区分された遊技機制御基板53に、上記引用文献4に記載された発明を適用するときに、ジャンバー線の代わりに接続するための電気部品として周知慣用であるコネクタを用いて、上記相違点1及び相違点2の構成とすることは、当業者が容易に成し得る程度のことにすぎない。 <相違点3>について 原査定の拒絶の理由(平成22年5月25日付け拒絶理由通知)において引用文献3として引用された実願昭58-170008号(実開昭60-78167号)のマイクロフィルム(特に第4頁第13行?第5頁第1行および第2図参照)には、領域毎に制御名を表示する表示部を設け、前記表示部に印刷により制御名が文字で表示されている点が記載されており、 引用発明の制御の機能毎の領域に区分された遊技機制御基板53に、上記引用文献3に記載された発明を適用して上記相違点3の構成とすることは、当業者が容易に成し得る程度のことにすぎない。 そして、本願補正発明の効果は、引用発明、引用文献3及び引用文献4に記載された発明、及び周知慣用技術から当業者が予測できる範囲のものである。 以上のように、本願補正発明は、引用発明、引用文献3及び引用文献4に記載された発明、及び周知慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、その特許出願の際に独立して特許を受けることができない。 (6)本願補正発明についてのまとめ 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について (1)本願発明 平成23年3月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、請求項1に係る発明は、平成22年4月6日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。 そして、その請求項1により特定される発明は次のとおりである 「【請求項1】 制御基板を容器に収納した遊技制御装置において、 前記容器に収納される単一基板を制御の機能分割毎の領域に区分し、 前記領域毎に機能分割された前記制御部品を実装するとともに、前記領域毎に制御名を表示する表示部を設け、 前記表示部に印刷、捺印、金属箔のエッチングのいずれかにより制御名が付与されたことを特徴とする遊技制御装置。」(以下、この発明を「本願発明」という。) 一方、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-190121号公報(引用例1)に記載された発明は、前記「2.(3)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記2.(2)で検討した本願補正発明から実質的な変更とならない発明特定事項を除き、 (a)単一基板の具体的な構成について「溝を設けて」との限定を付加した部分を削除し、 (c)領域を区分するための具体的な構成について「外部から視認し得るように」との限定を付加した部分を削除し、 (f)表示部の制御名について「文字で表示」との限定を付加した部分を削除したものである。 そうすると、本願発明は、前記2.(4)に記載した<相違点1>及び<相違点2>となる発明特定事項が本願補正発明から除かれたものであり、本願発明と引用発明との相違点は<相違点3>から上記(f)の補正事項を削除した点となり、<相違点3>は上記2.(5)でも検討しているように引用発明に引用文献3に記載された発明を適用して当業者が容易に成し得る事項であるから、 本願発明は、引用発明及び引用文献3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-10-26 |
結審通知日 | 2011-11-08 |
審決日 | 2011-11-21 |
出願番号 | 特願2000-394818(P2000-394818) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 澤田 真治、河本 明彦 |
特許庁審判長 |
立川 功 |
特許庁審判官 |
秋山 斉昭 瀬津 太朗 |
発明の名称 | 遊技制御装置 |
代理人 | 宮園 純一 |