ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 H04N |
---|---|
管理番号 | 1249692 |
審判番号 | 不服2009-16319 |
総通号数 | 146 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-09-03 |
確定日 | 2012-01-04 |
事件の表示 | 特願2004-236729「情報処理システム、記録装置、通信装置、情報処理方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月23日出願公開、特開2006- 54818〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成16年8月16日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。 手続補正 :平成17年12月28日 上申書(補正の根拠) :平成17年12月28日 拒絶理由通知 :平成20年 7月10日(起案日) 意見書 :平成20年 9月16日 手続補正 :平成20年 9月16日 拒絶理由通知(最後) :平成20年11月 4日(起案日) 意見書 :平成21年 1月 5日 手続補正 :平成21年 1月 5日 補正の却下の決定 :平成21年 6月 1日(起案日) 拒絶査定 :平成21年 6月 1日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成21年 9月 3日 手続補正 :平成21年 9月 3日 前置審査報告 :平成21年10月15日 審尋 :平成23年 1月12日(起案日) 回答書 :平成23年 3月14日 第2 平成21年9月3日付けの手続補正についての補正却下の決定 平成21年9月3日付けの手続補正(以下、本件補正という。)について次のとおり決定する。 [結論] 平成21年9月3日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正における補正は、以下の補正を含む。 請求項1、7、12および13における発明特定事項「前記(外部の携帯型の)通信装置と通信し、前記通信装置からの要求に応じて、前記EPGデータまたは前記予約状況情報を送信する(させる)(第1の)通信手段(ステップ)」を「前記(外部の携帯型の)通信装置と通信し、前記通信装置からの要求に応じて、前記EPGデータまたは前記予約状況情報を送信し、前記通信装置に前記EPGデータを送信する場合、前記EPGデータにより表示される画面のレイアウトが変更されるように、前記EPGデータを処理してから、前記EPGデータを送信する(させる)(第1の)通信手段(ステップ)」とする補正 2 補正の適合性 (1)補正の範囲の適否 上記請求項1、7、12および13の補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0059】ないし【0061】および【0175】に基づくものであり、願書に最初に添付した明細書及び図面に記載した範囲内においてする補正である。 (2)補正の目的の適否 上記請求項1、7、12および13の補正は、形式上、補正前に記載のあった(第1の)通信手段(ステップ)を特定する態様による補正であるものの、実質的には、補正前の請求項1、7、12および13が(第1の)通信手段(ステップ)として特定していた「前記(外部の携帯型の)通信装置と通信し、前記通信装置からの要求に応じて、前記EPGデータまたは前記予約状況情報を送信する」という通信処理とは異なる「前記EPGデータにより表示される画面のレイアウトが変更されるように、前記EPGデータを処理してから」という処理を新たに導入し、追加する補正というべきであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当しない。また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない。 よって、本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むところ、その補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当しない。また、同改正前特許法第17条の2第4項第1号,第3号,第4号でそれぞれ規定する請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しない。 3 まとめ したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反しているものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 4 独立特許要件についての予備的検討 仮に上記請求項1、7、12および13の補正が、特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正後発明」という。)は、以下に示すように、独立特許要件(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定)を満たさない。 (1)補正後発明 本願の請求項1から請求項13までに係る発明は、平成21年9月3日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1から請求項13までに記載したとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(補正後発明ともいう)は、下記のとおりのものであると認められる。 記(補正後発明) 番組を受信して記録する記録装置と、前記記録装置と通信する携帯型の通信装置とからなる情報処理システムにおいて、 前記記録装置は、 番組と、EPG(Electronic Program Guide)データとを受信する受信手段と、 前記EPGデータと、番組の記録の予約状況に関する予約状況情報とを記憶する記憶手段と、 前記予約状況情報にしたがって番組を記録する予約記録処理を行う予約記録処理手段と、 前記通信装置と通信し、前記通信装置からの要求に応じて、前記EPGデータまたは前記予約状況情報を送信し、前記通信装置に前記EPGデータを送信する場合、前記EPGデータにより表示される画面のレイアウトが変更されるように、前記EPGデータを処理してから、前記EPGデータを送信する第1の通信手段と を備え、 前記通信装置は、 前記記録装置と通信し、ユーザの操作に応じて、前記EPGデータまたは前記予約状況情報の要求を送信するとともに、その要求に応じて、前記記録装置から送信されてくる前記EPGデータまたは前記予約状況情報を受信する第2の通信手段と、 前記第2の通信手段が受信した前記EPGデータまたは前記予約状況情報を提示する提示手段と を備え、さらに、 前記記録装置の前記記憶手段は、前記予約記録処理手段の前記予約記録処理により録画済となった1以上の番組の各番組録画情報を含む録画済情報をさらに記憶しており、 前記通信装置は、前記ユーザの操作に応じて、前記録画済情報の要求を前記第2の通信手段を介して送信し、 前記記録装置は、前記通信装置からの要求に応じて、前記録画済情報を前記第1の通信手段を介して送信し、 前記通信装置は、前記記録装置から送信されてくる前記録画済情報を前記第2の通信手段を介して受信し、その録画済情報を前記提示手段により前記ユーザに提示させ、 前記ユーザの操作に応じて、提示された前記録画済情報の編集として、録画済となった所定番組の削除を要求する削除要求を前記第2の通信手段を介して送信し、 前記記録装置は、前記通信装置からの前記削除要求に応じて、前記所定番組を削除するとともに、前記録画済情報に含まれる前記1以上の番組録画情報のうち前記所定番組に対応する前記番組録画情報を削除する削除手段をさらに備える 情報処理システム。 (2)引用例 ア 引用例1の記載事項 原査定の拒絶理由に引用された特開2000-13697号公報(以下「引用例1」という。)には、次の記載a.乃至f.(以下、「記載a」・・・「記載f」などという。)がある。 a.発明の属する技術分野 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョン信号に多重伝送されるテレビ番組表情報を基に、視聴又は録画記録予約する番組予約システムにおいて、特に、前記テレビジョン信号を受信する受信機器から離れた遠隔地点から番組予約を可能とするテレビ番組予約装置及び番組予約機能付き受信機に関する。 b.発明が解決しようとする課題 【0016】 【発明が解決しようとする課題】従来のテレビ番組の予約は、新聞や雑誌などに記載された番組表から所望のテレビ番組の放送チャンネルや日時、あるいはGコードをユーザが直接入力するか、又は、テレビ信号に多重伝送されたテレビ番組表情報を基に、テレビ番組表をテレビ画面に再生表示し、その画面に表示された番組表から所望の番組を選択して予約を行っている。これらの番組予約は、ユーザがテレビ信号を受信する受信機と対面した状態で番組予約の入力設定を行っており、前記受信機が直視できない遠隔地からの番組予約はできなかった。 【0017】又、電話回線を用いて遠隔地から番組予約する方法も実用化されているが、この電話回線を用いる場合にも、番組予約入力するユーザは、予約番組の正確な放送チャンネルと日時、あるいはGコードを把握する必要があり、番組予約入力が煩雑であり、データ入力に過ちが生じやすい課題があった。 【0018】本発明は、テレビ信号を受信する受信機を直視できない遠隔地からでも放送当日を含む複数日のテレビ番組情報をユーザが認識できると共に、そのテレビ番組表情報から予約番組の選択と前記受信機の番組予約設定を可能とするテレビ番組予約装置及び番組予約機能付き受信機を提供することを目的とする。 c.発明の実施の形態 【0024】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明に係るテレビ番組予約装置とテレビ番組予約機能付き受信機の一実施の形態の回路構成を示すブロック図である。 【0025】図中の符号10はテレビ番組予約機能付き受信機を示し、符号30はテレビ番組予約装置を示している。 【0026】テレビ番組予約機能付き受信機10は、テレビチューナ11、テレビ映像/音声信号処理回路12、EPGデコーダ13、番組表情報メモリ14、予約番組情報メモリ15、番組予約処理手段16、予約番組制御手段17、番組表表示処理手段18、送信部19、受信部20、マイクロコンピュータ(以下、CPUという)21、操作キーボード22から成っており、テレビチューナ11は、アンテナで受信した複数のテレビ信号から所望のチャンネルを選局すると共に、中間周波数に変換される。テレビ映像/音声信号処理回路12は、前記テレビチューナ11からの中間周波数から映像信号と音声信号を分離し、かつ、信号処理されて、ブラウン管等のテレビ画面やスピーカに所定の映像と音声を出力したり、あるいは、録画記録用の磁気ヘッドに所定の映像と音声信号を出力する。 【0027】EPGデコーダ13は、前記テレビチューナ11で選局されたテレビ信号に多重されているEPG情報を分離復調する。このEPGデコーダ13で復調されたEPG情報は、CPU21の制御の基で、番組表情報メモリ14に記憶される。CPU21には、操作キーボード22が接続されており、この操作キーボード22からユーザによって入力された受信機10の各種操作入力により、CPU21はその入力に応じた制御を行ったり、後述する各種処理手段の処理動作を制御する。 【0028】操作キーボード22から番組表表示又は番組予約の入力がなされると、CPU21は番組予約処理手段16に格納されている番組予約モードを読み出し、その番組予約モードの基で、前記番組表情報メモリ14に記憶されているテレビ番組表情報を読み出し、番組表表示処理手段18に供給する。番組表表示処理手段18はテレビ番組表情報を所定の番組表形式に編集し、かつ、番組選択のカーソルを付加した映像信号に変換して、テレビ画面に出力する。テレビ画面に再生表示された番組表から所望の番組を探索し番組予約する際には、操作キーボード22のアップ・ダウンキーを用いてCPU21を介して番組表上のカーソルを移動させて、所望の番組にカーソルを移動後、操作キーボード22の番組予約設定キーを操作する。この番組予約設定キーの操作により、CPU21を介して、番組予約されたテレビ番組表情報は、予約番組情報メモリ15に記憶される。 【0029】予約番組情報メモリ15に記憶された予約番組情報の番組開始と終了時刻は、予約番組制御処理手段17によって、常時現在時刻と比較され、予約番組の開始時刻に到達すると、その時刻の予約番組の情報を基に、前記テレビチューナ11で該当番組を放送するチャンネルを選局する制御信号を生成して供給すると共に、受信機10の各種テレビ信号処理回路を動作させて予約番組の再生表示又は録画記録を開始する。又、予約番組の終了時刻に到達すると、前記受信機10の各種テレビ信号処理回路の動作を停止する。 【0030】送信部19と受信部20は、後述するテレビ番組予約装置30との間で、無線又は赤外線を用いて各種データの交信を行うもので、送信部19は、前記番組表情報メモリ14に記憶されているテレビ番組表情報をテレビ番組予約装置30に伝送送信する機能を有し、受信部20は、テレビ番組予約装置30から伝送送信される操作モードやデータ信号を受信する機能を有している。 【0031】テレビ番組予約装置30は、受信部31、送信部32、スイッチ33、番組表情報メモリ34、予約番組情報メモリ35、番組表表示処理手段36、ディスプレー37、番組予約処理手段38、CPU39、及び操作キーボード40から成っている。このテレビ番組予約装置30の受信部31、送信部32、番組表情報メモリ34、予約番組情報メモリ35、番組表表示処理手段36、番組予約処理手段38、CPU39及び操作キーボード41は、前記受信機10の番組表情報メモリ14、予約番組情報メモリ15、番組表表示処理手段18、番組予約処理手段16、CPU21、操作キーボード22、送信部19、及び受信部20とほぼ同じ機能と処理を行うものである。スイッチ33は、受信部31と送信部32の切換用である。 【0032】このテレビ番組予約装置30は、受信機10のリモートコントロール用の端末器と兼用され、その外観構成を図2に示している。 【0033】テレビ番組予約装置30の外観構成は、主としてディスプレー37と操作キーボード40から成り、ディスプレー37は液晶素子を用いた表示画面である。操作キーボード40は、受信機10の電源をオン・オフ制御する電源キー41、放送チャンネルを選択するテンキー42、放送チャンネルをアップ・ダウン選局するチャンネルアップ・ダウンキー43、音声の主副切換用の音声主副キー44、音質切換用の音質キー45、音量調整用の音量大・小キー46、番組表表示あるいは番組予約用モードの番組表キー47、番組予約設定用の番組予約キー48、及び前記ディスプレー37に表示される画面を上下・左右にスクロールさせるスクロールキー49から構成されている。 【0034】前記テレビ番組予約装置30の動作を図2の外観図と併用して説明する。 【0035】操作キーボード40の電源キー41を操作すると、CPU39は電源キー41の操作に応じて、前記スイッチ33を送信部32に切り換えると共に、電源操作信号を生成して、送信部32から受信機10の受信部20に伝送する。受信機10の受信部20の伝送された電源操作信号に基づき、CPU21から図示されていない受信機10の動作電源をオン・オフ制御する。又、操作キーボード40のテンキー42やチャンネルアップ・ダウンキー43を操作すると、電源キー41の操作と同様にチャンネル選択用信号がテレビ番組予約装置30から受信機10に伝送され、テレビチューナ11のチャンネル選局信号を生成供給する。さらに、音声主副切換キー44、音質キー45、及び音量キー46についても同様な動作を行う。 【0036】番組予約時の動作は、番組表キー47が操作されると、CPU39でテレビ番組表情報の伝送指示信号を生成し、スイッチ33と送信部32を介して、受信機10の受信部20に伝送する。受信機10の受信部20で受信したテレビ番組表情報伝送指示信号を基に、受信機10のCPU21は、番組表情報メモリ14に記憶されているテレビ番組表情報を読み出し、送信部19を介して、テレビ番組予約装置30へ送信する。受信機10から送信されたテレビ番組表情報は、テレビ番組予約装置30の受信部31で受信しスイッチ33を介して番組表情報メモリ34に記憶すると共に、番組表表示処理手段36で所定の形式に編集して、ディスプレー37に番組表を表示する。このディスプレー37には、図2のディスプレー37に表記されているように、放送局名又はチャンネル名、放送日付、及び複数の番組開始/終了時刻、と番組名を表示すると共に、カーソル37’も同時に表示する。 【0037】このディスプレー37に表示されたカーソル37’をチャンネルアップ・ダウンキー43を用いて複数の番組の中から所望の番組を選択する。又、ディスプレー37に表示されていない日時の番組や異なる放送チャンネルの番組を表示させる際には、スクロールキー49の上下・左右キーを用いて番組表の表示を換え、所望の番組にカーソルを移動して番組予約キー48を操作すると、CPU39は、番組予約キー48が操作されたときのカーソル37’の位置を検出し、その位置に表示されている番組のテレビ番組表情報を抜き出して、予約番組情報メモリ35に記憶すると共に、スイッチ33を介して送信部32から受信機10へ予約番組のテレビ番組表情報を送信し、受信機10の予約番組情報メモリ16へ記憶させる。 【0038】つまり、テレビ信号に多重伝送されるテレビ番組表情報を受信機10で分離し、その分離されたテレビ番組表情報を受信機10からテレビ番組予約装置30に転送し、テレビ番組予約装置30に設けたディスプレー37に番組表を表示すると共に、その表示された番組表を基に番組予約し、その予約した番組情報をテレビ番組予約装置30から受信機10に転送することにより、番組予約の設定を行う。 【0039】この結果、受信機10のテレビ画面に表示される番組表を用いることなく、手元のテレビ番組予約装置30に表示される番組表を基に番組予約が可能となる。この受信機10とテレビ番組予約装置30の送信部19、32と、受信部20、31との間の交信をある特定の無線周波数信号を設定することにより、受信機10が直視できない遠隔地域からでもテレビ番組予約装置30での番組予約が可能となり、又、番組予約を行う際には、最新のテレビ番組表情報を受信機10からテレビ番組予約装置30に送信させ、その送信された最新テレビ番組表情報を基に、手元のテレビ番組予約装置で番組予約が可能となる。 d.発明の実施の形態(他の実施形態) 【0040】次に、本発明の他の実施形態を図3を用いて説明する。この他の実施形態は、テレビ番組予約装置に、携帯電話機能を有するもので、図1と同一部分は同一符号を付しその詳細説明は省略する。 【0041】受信機10の電話回線モデム25は、電話回線を介して送受信するテレビ番組表情報を電話回線信号に変換するものである。テレビ番組予約装置30の送受信モジュール45は、電話回線を介して送受信する音声及びテレビ番組表情報を電話回線信号に変換するモジュールである。復号/分離回路46は、電話回線信号の音声信号とテレビ番組表情報を復号したり、または、分離する回路である。音声信号処理回路47は、前記復号/分離回路46で分離された音声信号を増幅処理して、スピーカ48に出力したり、マイクロフォン49から入力された音声を増幅して、前記復号/分離回路46を介して前記送受信モジュール45で電話回線信号に変換して電話回線に送信する。電話用メモリ50は、例えば、電話番号、発着新記録等の各種電話機能の記憶用メモリであり、電話用処理手段51は、電話の発着信時の各種電話機能モードの処理手順が格納されている。電話番号/番組表表示処理手段52は、ディスプレー37に表示され各種文字図形等の表示をの内、電話機能の際には、発着信電話番号の表示を行ったり、テレビ番組予約時には、テレビ番組表を表示するための表示切換と表示形態の生成処理手段である。 【0042】つまり、このテレビ番組予約装置30でテレビ番組の予約を行う際には、まず最初に、操作キーボード40の図示していない電話モードキーの操作により、複合/分離回路46と送信モジュール45を介して、受信機10との電話回線接続を行う。次に、操作キーボード40の番組表キーを用いて、受信機10に対してテレビ番組表情報の伝送指示信号を送信し、受信機10から送信された番組表情報を番組表情報メモリ34に格納する。以後、図1の動作と同様に、ディスプレー37に番組表を表示しつつ、番組予約処理を行い、その予約された番組のテレビ番組表情報を受信機10の予約番組情報メモリ15へと転送する。 【0043】この結果、電話回線を使用してテレビ番組表情報と予約番組情報を相互に交信するために、受信機10とテレビ番組予約装置30がいかなる遠隔地に離れていても、ユーザは、手元のテレビ番組予約装置30で最新テレビ番組表情報を必要に応じて入手表示し、その場で選択した予約番組の番組表情報は、受信機10に伝送して番組予約を実行することが可能となる。 e.変形例 【0046】さらに又、受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組表情報を読み出し、テレビ番組予約装置30に送信する機能を付加すると共に、テレビ番組予約装置30に受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組情報を読み込む機能を付加することにより、テレビ番組予約装置30にて受信機10に記憶されている予約番組の情報をディスプレー37に表示することも可能であり、さらに、音声機能を用いて音声にて告知することも可能である。 f.発明の効果 【0047】 【発明の効果】本発明は、テレビ信号を受信する受信機を直視できない地点、又は受信機から遠く離れた遠隔地点においても、最新のテレビ番組表情報を手元のテレビ番組予約装置に表示できると共に、その表示された最新テレビ番組表情報を基に番組予約を行い、受信機に転送することにより、所望のテレビ番組を常時に予約設定できるテレビ番組予約装置の提供が可能となる。 イ 引用例2の記載事項 原査定の拒絶理由に引用された特開2003-69928号公報(以下「引用例2」という。)には、次の記載g.乃至j.(以下、「記載g」・・・「記載j」などという。)がある。 g.携帯電話のイン-ターネット接続機能 【0050】さらに、その端末装置は例えば勤務先にあるパソコン、移動中の携帯電話を用いて行なう例を中心として述べたが、それらの端末装置がインターネット接続機能を有しており、後述のプロトコルに対応しているものであればいずれの端末装置を用いて録画予約のサービスシステムを構築することができる。 h.遠隔操作の内容 【0067】一方、番組予約の操作が、遠隔地からではなく、ハードディスクレコーダを直接操作して行なう番組予約操作の場合には、録画予約の一覧表など録画予約に関係する情報を表示器に一覧表示し、表示された内容に基づいてリモコンキー、ないしはハードディスクレコーダの前面ボタンが操作されて録画予約が行なわれる、録画済み番組が再生される、ないしは録画済み番組の削除が行なわれるが、それと同様な操作を遠隔操作により行なうようにする。 i.電子番組表 【0153】そして、サーバー側で電子番組表の情報を有しているときは、その電子番組表の情報を端末側に伝送し、端末側ではその電子番組表の所望の番組をクリックすることにより、そのクリックされた番組に係る情報を録画予約フォームに供給するようにしてもよく、また既に録画予約済みである番組の電子番組表上での表示は、表示色を変えるなどにより更に好適な電子番組表として表示することができる。 j.録画済み番組の削除 【0154】それと同様な方法を用いてデコーダの録画済み番組の一覧を表示し、保存の不要な番組を削除してハードディスクの録画容量を増やすこともできる。即ち、前述の図6に示したトップメニューから「録画内容一覧」を選択してハードディスクに記録されている番組を表示し、その一覧により消去すべき番組を選択して消去する。 【0155】図10に、ハードディスクに記録されている番組内容一覧の表示例を示す。同表示において、番組名、録画日、記録開始?終了時刻、放送チャンネル、録画モード、及び録画が毎週連続的になされているか否かの情報が表示されているが、その一覧より消去すべき番組、ないしは消去する複数の番組を選択して「削除」ボタンを操作することによりそれらの選択された番組の削除が実行される。 ウ 引用発明(引用例1に記載された発明) (ア)対象とする引用発明・引用発明の概要 記載aによれば、引用例1には「テレビジョン信号に多重伝送されるテレビ番組表情報を基に、視聴又は録画記録予約する番組予約システム」に関する発明が記載されており、記載bによれば、「テレビ信号を受信する受信機を直視できない遠隔地からでも放送当日を含む複数日のテレビ番組情報をユーザが認識できると共に、そのテレビ番組表情報から予約番組の選択と前記受信機の番組予約設定を可能とするテレビ番組予約装置及び番組予約機能付き受信機」が記載されており、この「テレビ番組予約装置及び番組予約機能付き受信機」が該「番組予約システム」として提供される。 つまり、引用例1には、「テレビ信号を受信する受信機を直視できない遠隔地からでも放送当日を含む複数日のテレビ番組情報をユーザが認識できると共に、そのテレビ番組表情報から予約番組の選択と前記受信機の番組予約設定を可能とするテレビ番組予約装置及び番組予約機能付き受信機」からなる「番組予約システム」の発明が記載されており、 具体的には、「他の実施形態」(記載d)が示され、記載dが参照する図3によれば、 「携帯電話機能を有する」「テレビ番組予約装置30」と「受信機10」により「番組予約システム」が構成され、 「テレビ番組予約装置30」は、「送受信モジュール45」、「ディスプレー37」を備えており、 「受信機10」は、「テレビチューナ11」、「番組表情報メモリ14」、「予約番組情報メモリ15」、「予約番組制御処理手段17」および「電話回線モデム25」を備えている。 さらに、記載eには「受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組表情報を読み出し、テレビ番組予約装置30に送信する機能を付加すると共に、テレビ番組予約装置30に受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組情報を読み込む機能を付加することにより、テレビ番組予約装置30にて受信機10に記憶されている予約番組の情報をディスプレー37に表示すること」が記載されている。 したがって、この「他の実施形態」に示された「番組予約システム」に、記載eに記載された「機能」を付加したものを、普通に想定することができ、これを補正後発明1と比較する引用発明とする。 (イ)引用発明の詳細 A 番組予約機能付き受信機 「他の実施形態」における(番組予約機能付き)「受信機10」は、 記載dの段落【0040】によれば、「この他の実施形態は、テレビ番組予約装置に、携帯電話機能を有するもので、図1と同一部分は同一符号を付しその詳細説明は省略する」とされ、図1およびその説明(記載cの段落【0026】)によれば、「録画記録用の磁気ヘッドに所定の映像と音声信号を出力する」ものであり、 以下の(A)ないし(D)の構成を備えている。 (A)「テレビチューナ11」 記載cの段落【0026】によれば、「テレビチューナ11は、アンテナで受信した複数のテレビ信号から所望のチャンネルを選局すると共に、中間周波数に変換される。テレビ映像/音声信号処理回路12は、前記テレビチューナ11からの中間周波数から映像信号と音声信号を分離し、かつ、信号処理されて、ブラウン管等のテレビ画面やスピーカに所定の映像と音声を出力したり、あるいは、録画記録用の磁気ヘッドに所定の映像と音声信号を出力する。」、段落【0029】によれば、「前記テレビチューナ11で該当番組を放送するチャンネルを選局する制御信号を生成して供給すると共に、受信機10の各種テレビ信号処理回路を動作させて予約番組の再生表示又は録画記録を開始する」とされており、 「テレビチューナ11」は「所望のチャンネルを選局する」ものであり、「テレビ映像/音声信号処理回路12」を通して、「番組」の「再生表示又は録画記録」ができるから、 「テレビチューナ11」は「番組」を受信するものである。 また、記載cの段落【0027】によれば、「EPGデコーダ13は、前記テレビチューナ11で選局されたテレビ信号に多重されているEPG情報を分離復調する」から、「テレビチューナ11」は、「EPG情報」も受信する。 よって、「番組」および「EPG情報」を受信する「テレビチューナ11」を認めることができる。 (B)「番組表情報メモリ14」および「予約番組情報メモリ15」 記載cの段落【0027】によれば、「EPG情報は、CPU21の制御の基で、番組表情報メモリ14に記憶され」、 段落【0028】によれば、「番組予約されたテレビ番組表情報は、予約番組情報メモリ15に記憶される」から、 「EPG情報」を記憶する「番組表情報メモリ14」および「番組予約されたテレビ番組表情報」を記憶する「予約番組情報メモリ15」を認めることができる。 (C)「予約番組制御処理手段17」 記載cの段落【0029】には「予約番組情報メモリ15に記憶された予約番組情報の番組開始と終了時刻は、予約番組制御処理手段17によって、常時現在時刻と比較され、予約番組の開始時刻に到達すると、その時刻の予約番組の情報を基に、前記テレビチューナ11で該当番組を放送するチャンネルを選局する制御信号を生成して供給すると共に、受信機10の各種テレビ信号処理回路を動作させて予約番組の再生表示又は録画記録を開始する。又、予約番組の終了時刻に到達すると、前記受信機10の各種テレビ信号処理回路の動作を停止する。」と記載されており、 「予約番組情報メモリ15に記憶された予約番組情報」を基に、「予約番組」の「録画記録を開始」し、「予約番組の終了時刻に到達すると、前記受信機10の各種テレビ信号処理回路の動作を停止」する「予約番組制御処理手段17」を認めることができる。 (D)「電話回線モデム25」 記載dの段落【0042】によれば、「このテレビ番組予約装置30でテレビ番組の予約を行う際には、まず最初に、操作キーボード40の図示していない電話モードキーの操作により、複合/分離回路46と送信モジュール45を介して、受信機10との電話回線接続を行う。次に、操作キーボード40の番組表キーを用いて、受信機10に対してテレビ番組表情報の伝送指示信号を送信し、受信機10から送信された番組表情報を番組表情報メモリ34に格納する。」ものであり、 段落【0040】によれば、「この他の実施形態は、テレビ番組予約装置に、携帯電話機能を有するもので、図1と同一部分は同一符号を付しその詳細説明は省略する」とされているから、記載c(段落【0036】)および図1を参照すれば、「受信機10の受信部20で受信したテレビ番組表情報伝送指示信号を基に、受信機10のCPU21は、番組表情報メモリ14に記憶されているテレビ番組表情報を読み出し、送信部19を介して、テレビ番組予約装置30へ送信する。」とされ、 さらに、記載eによれば、「受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組表情報を読み出し、テレビ番組予約装置30に送信する機能を付加すると共に、テレビ番組予約装置30に受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組情報を読み込む機能を付加することにより、テレビ番組予約装置30にて受信機10に記憶されている予約番組の情報をディスプレー37に表示する」から、 「テレビ番組予約装置30」と「電話回線接続」し、「テレビ番組表情報伝送指示信号」を受信し、「番組表情報メモリ14に記憶されているテレビ番組表情報を読み出し」、「テレビ番組表情報」を「送信」し、さらに、「受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組表情報」を「テレビ番組予約装置30に送信する」「電話回線モデム25」を認めることができる。 B テレビ番組予約装置 「他の実施形態」における「テレビ番組予約装置30」は、 記載dの段落【0040】によれば、「携帯電話機能を有する」ものであり、 以下の(A)および(B)の構成を備えている。 (A)「送受信モジュール45」 記載dの段落【0042】によれば、「このテレビ番組予約装置30でテレビ番組の予約を行う際には、まず最初に、操作キーボード40の図示していない電話モードキーの操作により、複合/分離回路46と送信モジュール45を介して、受信機10との電話回線接続を行う。次に、操作キーボード40の番組表キーを用いて、受信機10に対してテレビ番組表情報の伝送指示信号を送信し、受信機10から送信された番組表情報を番組表情報メモリ34に格納する。」とされ、 さらに、記載eによれば、「受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組表情報を読み出し、テレビ番組予約装置30に送信する機能を付加すると共に、テレビ番組予約装置30に受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組情報を読み込む機能を付加することにより、テレビ番組予約装置30にて受信機10に記憶されている予約番組の情報をディスプレー37に表示することも可能」とされていることから、 「受信機10との電話回線接続を行」い、「操作キーボード40の番組表キーを用いて、受信機10に対してテレビ番組表情報の伝送指示信号を送信」し、「受信機10から送信された番組表情報を」受信し、さらに、「受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組情報を読み込む」「送受信モジュール45」を認めることができる。 (B)「ディスプレー37」 記載dの段落【0041】によれば、「受信機10の電話回線モデム25は、電話回線を介して送受信するテレビ番組表情報を電話回線信号に変換するものである。」であり、 段落【0042】によれば、「受信機10から送信された番組表情報を番組表情報メモリ34に格納する。以後、図1の動作と同様に、ディスプレー37に番組表を表示しつつ」とされ、図1の動作の説明としては、記載cの段落【0036】によれば、「受信機10から送信されたテレビ番組表情報は、テレビ番組予約装置30の受信部31で受信しスイッチ33を介して番組表情報メモリ34に記憶すると共に、番組表表示処理手段36で所定の形式に編集して、ディスプレー37に番組表を表示する。」 さらに、記載eによれば、「受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組表情報を読み出し、テレビ番組予約装置30に送信する機能を付加すると共に、テレビ番組予約装置30に受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組情報を読み込む機能を付加することにより、テレビ番組予約装置30にて受信機10に記憶されている予約番組の情報をディスプレー37に表示する」から、 「電話回線モデム25」で受信した「テレビ番組表情報」を「所定の形式に編集」した「番組表」および「受信機10に記憶されている予約番組の情報」を表示する「ディスプレー37」を認めることができる。 (ウ)まとめ(引用発明) 以上、まとめると、下記の引用発明を認めることができる。 記(引用発明) 番組予約機能付き受信機10およびテレビ番組予約装置30とからなる番組予約システムであって、 前記番組予約機能付き受信機10は、 録画記録用の磁気ヘッドに所定の映像と音声信号を出力するものであって、 番組およびEPG情報を受信するテレビチューナ11と、 EPG情報を記憶する番組表情報メモリ14および番組予約されたテレビ番組表情報を記憶する予約番組情報メモリ15と、 予約番組情報メモリ15に記憶された予約番組情報を基に、予約番組の録画記録を開始し、予約番組の終了時刻に到達すると、前記受信機10の各種テレビ信号処理回路の動作を停止する予約番組制御処理手段17と、 テレビ番組予約装置30と電話回線接続し、テレビ番組表情報伝送指示信号を受信し、番組表情報メモリ14に記憶されているテレビ番組表情報を読み出し、テレビ番組表情報を送信し、さらに、受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組表情報をテレビ番組予約装置30に送信する電話回線モデム25と を備え、 前記テレビ番組予約装置30は、 携帯電話機能を有し、 受信機10との電話回線接続を行い、操作キーボード40の番組表キーを用いて、受信機10に対してテレビ番組表情報の伝送指示信号を送信し、受信機10から送信された番組表情報を受信し、さらに、受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組情報を読み込む送受信モジュール45と、 電話回線モデム25で受信したテレビ番組表情報を所定の形式に編集した番組表および受信機10に記憶されている予約番組の情報を表示するディスプレー37とを備える 番組予約システム エ 引用例2記載技術 記載gないし記載jによれば、引用例2には、 「携帯電話を用いて」「録画予約のサービスシステムを構築する」ために(記載g)、 番組予約の操作が、遠隔地からではなく、ハードディスクレコーダを直接操作して行なう番組予約操作の場合には、録画予約の一覧表など録画予約に関係する情報を表示器に一覧表示し、表示された内容に基づいてリモコンキー、ないしはハードディスクレコーダの前面ボタンが操作されて録画予約が行なわれる、録画済み番組が再生される、ないしは録画済み番組の削除が行なわれるが、それと同様な操作を遠隔操作により行なうようにするものにおいて(記載h)、 「番組に係る情報」を「電子番組表」から得る構成とし(記載i)、 「録画済み番組の削除」については、 「トップメニューから「録画内容一覧」を選択してハードディスクに記録されている番組を表示し、その一覧により消去すべき番組を選択して消去する」(記載j)といった処理を行うことが記載され、 該一覧は、録画した番組の各「番組名、録画日、記録開始?終了時刻、放送チャンネル、録画モード、及び録画が毎週連続的になされているか否かの情報」(「番組録画情報」と称しても差し支えない。)を含む(記載j)。 すなわち、引用例2には、 携帯電話を用いて録画予約のサービスシステムを構築するために、 録画予約、録画済み番組の削除といった操作を遠隔操作により行うものにおいて、 遠隔操作により録画番組の削除をするには、 録画した番組の各番組録画情報を含む録画内容一覧を要求して、 ハードディスクに記録されている番組を表示し、 その一覧により消去すべき番組を選択して、 消去する という処理を行う技術が記載されている。 (3)対比 ア 「番組を受信して記録する記録装置と、前記記録装置と通信する携帯型の通信装置とからなる情報処理システムにおいて、」「情報処理システム」について 引用発明は「番組予約機能付き受信機10およびテレビ番組予約装置30とからなる番組予約システム」を前提とする発明であり、 「番組予約システム」を「情報処理システム」と称しても差し支えないから、「情報処理システム」を前提とした発明である。 また、引用発明における「番組予約機能付き受信機10」は、録画記録用の磁気ヘッドに所定の映像と音声信号を出力するもの」であるから、「番組を受信して記録する記録装置」といえ、 引用発明における「テレビ番組予約装置30」は、 「携帯電話機能を有する」から「携帯型の通信装置」ということができ、「受信機10との電話回線接続を行」うものであり、「電話回線接続」は「通信」といえるから「記録装置と通信する」といえる。 したがって、引用発明における「テレビ番組予約装置30」は、「記録装置と通信する携帯型の通信装置」といえる。 よって、引用発明は「番組を受信して記録する記録装置と、前記記録装置と通信する携帯型の通信装置とからなる情報処理システム」を前提とした発明といえる。 イ (記録装置が備える)「番組と、EPG(Electronic Program Guide)データとを受信する受信手段」について 引用発明における「番組予約機能付き受信機10」は、「番組およびEPG情報を受信するテレビチューナ11」を備えており、 「EPG情報」は「EPGデータ」といえ、 「テレビチューナ11」は「受信手段」といえるから、 引用発明は、記録装置(受信機10)が備える「番組と、EPG(Electronic Program Guide)データとを受信する受信手段」を有している。 ウ (記録装置が備える)「前記EPGデータと、番組の記録の予約状況に関する予約状況情報とを記憶する記憶手段」について 引用発明における「番組予約機能付き受信機10」は、「EPG情報を記憶する番組表情報メモリ14および番組予約されたテレビ番組表情報を記憶する予約番組情報メモリ15」を備えており、 記録装置(受信機10)における「番組予約されたテレビ番組表情報」は、「番組の記録の予約状況に関する予約状況情報」と称しても差し支えないから、 引用発明は、記録装置(受信機10)が備える「EPGデータと、番組の記録の予約状況に関する予約状況情報とを記憶する記憶手段」を有している。 エ (記録装置が備える)「前記予約状況情報にしたがって番組を記録する予約記録処理を行う予約記録処理手段」について 引用発明における「番組予約機能付き受信機10」は、「予約番組情報メモリ15に記憶された予約番組情報を基に、予約番組の録画記録を開始し、予約番組の終了時刻に到達すると、前記受信機10の各種テレビ信号処理回路の動作を停止する予約番組制御処理手段17」を備えており、 「予約番組制御処理手段17」は、「予約番組の録画記録」の処理をしており、「予約記録処理手段」といえ、 その動作は、「予約番組情報メモリ15に記憶された予約番組情報を基に、予約番組の録画記録を開始」しており、「予約番組情報メモリ15に記憶された予約番組情報」とは、上述ウで検討したとおり「予約状況情報」といえるから、 「予約状況情報にしたがって番組を記録する予約記録処理を行う」といえる。 よって、引用発明は、記録装置(受信機10)が備える「前記予約状況情報にしたがって番組を記録する予約記録処理を行う予約記録処理手段」を有している。 オ (記録装置が備える)「前記通信装置と通信し、前記通信装置からの要求に応じて、前記EPGデータまたは前記予約状況情報を送信し、前記通信装置に前記EPGデータを送信する場合、前記EPGデータにより表示される画面のレイアウトが変更されるように、前記EPGデータを処理してから、前記EPGデータを送信する第1の通信手段」について 引用発明における「番組予約機能付き受信機10」は、「テレビ番組予約装置30と電話回線接続し、テレビ番組表情報伝送指示信号を受信し、番組表情報メモリ14に記憶されているテレビ番組表情報を読み出し、テレビ番組表情報を送信し、さらに、受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組表情報をテレビ番組予約装置30に送信する電話回線モデム25」を備えており、 「テレビ番組予約装置30と電話回線接続し」は、「通信装置と通信し」といえ、 (テレビ番組予約装置30と電話回線接続し)「テレビ番組表情報伝送指示信号を受信し、テレビ番組表情報を送信し」ており、 、「テレビ番組表情報」は「EPGデータ」といえるから、 「通信装置からの要求に応じて、EPGデータを送信し」といえ、 「さらに、受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組表情報をテレビ番組予約装置30に送信する」としており、「予約番組表情報」は「予約状況情報」といえるから、「予約状況情報を送信し」といえる。 そして、「テレビ番組表情報を送信」する場合は、「番組表情報メモリ14に記憶されているテレビ番組表情報を読み出し」てから「テレビ番組表情報を送信し」しており、 「電話回線モデム25」を「第1の通信手段」と称しても差し支えない。 よって、引用発明における「番組予約機能付き受信機10」は、「前記通信装置と通信し、通信装置からの要求に応じて、EPGデータを送信し、また、予約状況情報を送信し、前記通信装置に前記EPGデータを送信する場合、前記EPGデータを送信する第1の通信手段」を有しており、補正後発明も「前記通信装置と通信し、通信装置からの要求に応じて、EPGデータを送信し、また、予約状況情報を送信し、前記通信装置に前記EPGデータを送信する場合、前記EPGデータを送信する第1の通信手段」を有しているといえる点で両者は一致する。 もっとも、「予約状況情報を送信」することについて、 補正後発明は、「通信装置からの要求に応じて」とするのに対し、 引用発明は、そのようにしない点(→相違点1:予約状況情報の要求)と、 「通信装置にEPGデータを送信する場合」について、 補正後発明は、「EPGデータにより表示される画面のレイアウトが変更されるように、前記EPGデータを処理してから」、前記EPGデータを送信するのに対し、 引用発明は、そのようにしない点(→相違点2:レイアウトの変更)で相違する。 カ (通信装置が備える)「前記記録装置と通信し、ユーザの操作に応じて、前記EPGデータまたは前記予約状況情報の要求を送信するとともに、その要求に応じて、前記記録装置から送信されてくる前記EPGデータまたは前記予約状況情報を受信する第2の通信手段」について 引用発明は、「受信機10との電話回線接続を行い、操作キーボード40の番組表キーを用いて、受信機10に対してテレビ番組表情報の伝送指示信号を送信し、受信機10から送信された番組表情報を受信し、さらに、受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組情報を読み込む送受信モジュール45」を「テレビ番組予約装置30」が備えている。 そして、「受信機10」は上述アのとおり「記録装置」といえ、「電話回線接続」は「通信」といえるから、「記録装置と通信し」といえ、 「操作キーボード40の番組表キーを用いて」、「受信機10に対してテレビ番組表情報の伝送指示信号を送信し」、「受信機10から送信された番組表情報を受信し」は、それぞれ、「ユーザの操作に応じて」「EPGデータの要求を送信するとともに」、「その要求に応じて、記録装置から送信されてくるEPGデータを受信する」といえる。 また、「さらに、受信機10の予約番組情報メモリ15に記憶されている予約番組情報を読み込む」ものであり、 「受信機10」の「予約番組情報を読み込む」ことは、「受信機10」から送信されてくる「予約番組情報」を受信することにより行われることは明らかであるから、 「記録装置から送信されてくる予約状況情報を受信する」といえる。 さらに、「送受信モジュール45」を「第2の通信手段」と称しても差し支えない。 よって、引用発明は、「記録装置と通信し、ユーザの操作に応じて、EPGデータの要求を送信するとともに、その要求に応じて、前記記録装置から送信されてくる前記EPGデータを受信、または前記予約状況情報を受信する第2の通信手段」を有する点で補正後発明と一致する。 もっとも、「予約状況情報を受信する」ことについて、 補正後発明は「ユーザの操作に応じて」、「前記予約状況情報の要求を送信するとともに、その要求に応じて、前記記録装置から送信されてくる」とするのに対し、 引用発明は、そのようにしない点(→相違点1:予約状況情報の要求)で相違する。 キ (通信装置が備える)「前記第2の通信手段が受信した前記EPGデータまたは前記予約状況情報を提示する提示手段」について 引用発明における「テレビ番組予約装置30」は「電話回線モデム25で受信したテレビ番組表情報を所定の形式に編集した番組表および受信機10に記憶されている予約番組の情報を表示するディスプレー37とを備える」ものであり、 「電話回線モデム25」、「テレビ番組表情報」、「予約番組の情報」はそれぞれ、「第2の通信手段」、「テレビ番組表情報」、「予約状況情報」を称してもよいことは前述のとおりであるから、 引用発明は、通信装置が備える「前記第2の通信手段が受信した前記EPGデータまたは前記予約状況情報を提示する提示手段」を有している。 ク 「さらに、前記記録装置の前記記憶手段は、前記予約記録処理手段の前記予約記録処理により録画済となった1以上の番組の各番組録画情報を含む録画済情報をさらに記憶しており、前記通信装置は、前記ユーザの操作に応じて、前記録画済情報の要求を前記第2の通信手段を介して送信し、前記記録装置は、前記通信装置からの要求に応じて、前記録画済情報を前記第1の通信手段を介して送信し、前記通信装置は、前記記録装置から送信されてくる前記録画済情報を前記第2の通信手段を介して受信し、その録画済情報を前記提示手段により前記ユーザに提示させ、前記ユーザの操作に応じて、提示された前記録画済情報の編集として、録画済となった所定番組の削除を要求する削除要求を前記第2の通信手段を介して送信し、前記記録装置は、前記通信装置からの前記削除要求に応じて、前記所定番組を削除するとともに、前記録画済情報に含まれる前記1以上の番組録画情報のうち前記所定番組に対応する前記番組録画情報を削除する削除手段をさらに備える」について 引用発明は、このような構成を有さない点(→相違点3:録画済情報)で相違する。 ケ まとめ(一致点・相違点) 以上の対比結果によれば、補正発明と引用発明との一致点、相違点は下記のとおりである。 記(一致点) 番組を受信して記録する記録装置と、前記記録装置と通信する携帯型の通信装置とからなる情報処理システムにおいて、 記録装置は、 番組と、EPG(Electronic Program Guide)データとを受信する受信手段と、 EPGデータと、番組の記録の予約状況に関する予約状況情報とを記憶する記憶手段と、 前記予約状況情報にしたがって番組を記録する予約記録処理を行う予約記録処理手段と、 前記通信装置と通信し、通信装置からの要求に応じて、EPGデータを送信し、また、予約状況情報を送信し、前記通信装置に前記EPGデータを送信する場合、前記EPGデータを送信する第1の通信手段と を備え、 前記通信装置は、 記録装置と通信し、ユーザの操作に応じて、EPGデータの要求を送信するとともに、その要求に応じて、前記記録装置から送信されてくる前記EPGデータを受信し、また、前記予約状況情報を受信する第2の通信手段と、 前記第2の通信手段が受信した前記EPGデータまたは前記予約状況情報を提示する提示手段 を備える 情報処理システム 記(相違点) [相違点1] 「前記予約状況情報を送信」することについて、 補正後発明は、「前記通信装置からの要求に応じて」とするのに対し、 引用発明は、そのようにせず、 「予約状況情報を受信する」ことについて、 補正後発明は「ユーザの操作に応じて」、「前記予約状況情報の要求を送信するとともに、その要求に応じて、前記記録装置から送信されてくる」とするのに対し、 引用発明は、そのようにするとはしていない点 [相違点2] 「通信装置に前記EPGデータを送信する場合」について、 補正後発明は、「EPGデータにより表示される画面のレイアウトが変更されるように、前記EPGデータを処理してから、前記EPGデータを送信する」のに対し、 引用発明は、そのようにしない点 [相違点3] 補正後発明は、「さらに、 前記記録装置の前記記憶手段は、前記予約記録処理手段の前記予約記録処理により録画済となった1以上の番組の各番組録画情報を含む録画済情報をさらに記憶しており、 前記通信装置は、前記ユーザの操作に応じて、前記録画済情報の要求を前記第2の通信手段を介して送信し、 前記記録装置は、前記通信装置からの要求に応じて、前記録画済情報を前記第1の通信手段を介して送信し、 前記通信装置は、前記記録装置から送信されてくる前記録画済情報を前記第2の通信手段を介して受信し、その録画済情報を前記提示手段により前記ユーザに提示させ、 前記ユーザの操作に応じて、提示された前記録画済情報の編集として、録画済となった所定番組の削除を要求する削除要求を前記第2の通信手段を介して送信し、 前記記録装置は、前記通信装置からの前記削除要求に応じて、前記所定番組を削除するとともに、前記録画済情報に含まれる前記1以上の番組録画情報のうち前記所定番組に対応する前記番組録画情報を削除する削除手段をさらに備える」のに対し、 引用発明は、そのような構成を有さない点 (4)判断 そこで、以下、上記相違点について検討する。 ア 相違点1について 相違点1は、 補正後発明は、通信装置から「ユーザの操作に応じて」「前記予約状況情報の要求を送信」し、記録装置が、その「前記通信装置からの要求に応じて」「前記予約状況情報を送信」するのに対し、 引用発明は、そうとはしない点ということができる。 そして、引用例1には、「受信機10」と「テレビ番組予約装置30」との送受信について、「テレビ番組予約装置30」におけるユーザのキー操作をせずに、通信することは記載されておらず、 「受信機10」からの情報を受信することは、「操作キーボード40の番組表キーを用いて、受信機10に対してテレビ番組表情報の伝送指示信号を送信」(記載dの段落【0042】)した場合について記載されているのみであり、 「実施形態」の変形を示唆した記載eに接した当業者であれば、上記「番組表キーを用い」た場合と同様に、 何らかのキーを用いて、「受信機10に対して予約番組情報の伝送指示信号を送信」した場合に、受信機10が該「予約番組情報」を送信する構成を想到することはごく自然なことである。 したがって、引用発明において、 通信装置からユーザの操作に応じて前記予約状況情報の要求を送信し、 記録装置が、その前記通信装置からの要求に応じて前記予約状況情報を送信する構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点2について [補正後発明について] 本願明細書段落【0059】?【0061】、【0175】、図2に照らせば、本願発明の「EPGデータにより表示される画面のレイアウトが変更されるように、前記EPGデータを処理してから、前記EPGデータを送信する」は、「EPGデータを、TV受像機に表示するEPG画面とは異なるレイアウトのEPG画面が表示されるようにEPGデータを処理してから送信する」と理解される。 [検討] 携帯端末で表示するための番組情報を送信する際に、携帯端末の画面のサイズに適したページレイアウトにした番組情報のページを作成して携帯端末に送信することは、例えば引用例2の段落【0101】?【0103】等からも理解されるように周知の事項に過ぎない。引用例2以外の周知例としては、例えば、以下の周知例1,2が参照される。 周知例1:特開2004-207806号公報(段落【0036】?【0039】等参照。番組情報を送信する構成を携帯型地上デジタル放送受信機のEPG画面表示用フォーマットに変換して送信する例) 周知例2:特開2001-346270号公報(段落【0082】、【0085】、【0090】?【0093】等参照。EPG画面等を表示能力等に応じてC-HTML形式等に変換する例) よって、携帯端末に番組の情報を表示する引用発明において、 TV受像機の画面のサイズに適したレイアウトではなく「携帯端末の画面のサイズに適したページレイアウトにした番組情報のページを作成して携帯端末に送信する」ように、 「通信装置に前記EPGデータを送信する場合」に、「EPGデータを、TV受像機に表示するEPG画面とは異なるレイアウトのEPG画面が表示されるようにEPGデータを処理してから送信する」構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 相違点3について 上述(2)エのように、引用例2には、 携帯電話を用いて録画予約のサービスシステムを構築するために、 録画予約、録画済み番組の削除といった操作を遠隔操作により行うものにおいて、 遠隔操作により録画番組の削除をするには、 録画した番組の各番組録画情報を含む録画内容一覧を要求して、 ハードディスクに記録されている番組を表示し、 その一覧により消去すべき番組を選択して、 消去する という処理を行う技術が記載されている。 同様に、引用発明も遠隔地からの操作により番組に関する情報を通信して録画予約を行う点で、上記引用例2記載技術と共通するものであり、また、番組を記録する装置において、録画した番組を削除することは普通に想定されることであるから、引用発明に上記引用例2記載技術を適用する動機づけがあるということができる。 そして、引用発明に当該引用例2記載技術を適用し、削除する際、 必要となる「録画した番組の各番組録画情報を含む録画内容一覧」を取得する構成として、 引用発明において「記録装置の記憶手段」に「予約記録処理手段の予約記録処理により録画済となった1以上の番組の各番組録画情報を含む録画済情報をさらに記憶して」おく構成を採用することは、普通に想定され、 必要となる「録画内容一覧を要求」する構成を、 引用発明において「通信装置は、ユーザの操作に応じて、録画済情報の要求を第2の通信手段を介して送信」することにより行う構成とすることは、当業者が普通に想起し得たことである。 また、必要となる「ハードディスクに記録されている番組を表示」する構成を、 引用発明において「記録装置は、通信装置からの要求に応じて、録画済情報を第1の通信手段を介して送信し、通信装置は、記録装置から送信されてくる録画済情報を第2の通信手段を介して受信し、その録画済情報を提示手段によりユーザに提示させ」ることにより行う構成とすることも当業者が普通に想起し得たことであり、 必要となる「その一覧により消去すべき番組を選択して」を、 引用発明において「ユーザの操作に応じて、提示された録画済情報の編集として、録画済となった所定番組の削除を要求する削除要求を第2の通信手段を介して送信」することにより行う構成とすることも当業者が普通に想起し得たことである。 さらに、番組を消去する際に、番組とともに、削除する番組の選択の際に用いた一覧の番組情報も削除することは普通に想定されることであるから、 引用発明において「記録装置は、通信装置からの削除要求に応じて、所定番組を削除するとともに、録画済情報に含まれる1以上の番組録画情報のうち所定番組に対応する番組録画情報を削除する」ことにより行う構成とすることも、格別のこととはいえず、したがって、そのように削除する構成として、相違点3に係る「削除手段をさらに備える」とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 よって、引用発明に引用例2記載技術を適用して相違点3の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 エ まとめ 以上のように、上記相違点は、当業者が容易に想到し得たものと認められ、また、補正後発明を全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 したがって、補正後発明は、引用例1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本願の請求項1乃至13に係る発明は、本願明細書および図面(平成20年9月16日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至13に記載したとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、下記のとおりである。 記(本願発明) 番組を受信して記録する記録装置と、前記記録装置と通信する通信装置とからなる情報処理システムにおいて、 前記記録装置は、 番組と、EPG(Electronic Program Guide)データとを受信する受信手段と、 前記EPGデータと、番組の記録の予約状況に関する予約状況情報とを記憶する記憶手段と、 前記予約状況情報にしたがって番組を記録する予約記録処理を行う予約記録処理手段と、 前記通信装置と通信し、前記通信装置からの要求に応じて、前記EPGデータまたは前記予約状況情報を送信する第1の通信手段と を備え、 前記通信装置は、 前記記録装置と通信し、ユーザの操作に応じて、前記EPGデータまたは前記予約状況情報の要求を送信するとともに、その要求に応じて、前記記録装置から送信されてくる前記EPGデータまたは前記予約状況情報を受信する第2の通信手段と、 前記第2の通信手段が受信した前記EPGデータまたは前記予約状況情報を提示する提示手段と を備え、さらに、 前記記録装置の前記記憶手段は、前記予約記録処理手段の前記予約記録処理により録画済となった1以上の番組の各番組録画情報を含む録画済情報をさらに記憶しており、 前記通信装置は、前記ユーザの操作に応じて、前記録画済情報の要求を前記第2の通信手段を介して送信し、 前記記録装置は、前記通信装置からの要求に応じて、前記録画済情報を前記第1の通信手段を介して送信し、 前記通信装置は、前記記録装置から送信されてくる前記録画済情報を前記第2の通信手段を介して受信し、その録画済情報を前記提示手段により前記ユーザに提示させ、 前記ユーザの操作に応じて、提示された前記録画済情報の編集として、録画済となった所定番組の削除を要求する削除要求を前記第2の通信手段を介して送信し、 前記記録装置は、前記通信装置からの前記削除要求に応じて、前記所定番組を削除するとともに、前記録画済情報に含まれる前記1以上の番組録画情報のうち前記所定番組に対応する前記番組録画情報を削除する削除手段をさらに備える 情報処理システム。 2 引用発明 原査定の拒絶理由に引用された引用例1、2およびそれらの記載事項は、前記第2 4 (2)に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、前記補正後発明から、前記第2 2(2)で認定したとおりの上記本件補正で導入した処理を省いたものであるところ、上記処理を有する補正後発明が、前記引用例1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることは前記第2 4(3)、(4)で認定、判断したとおりであり、本願発明と引用発明とを対比・判断すれば、相違点としては、第2 4(3)の相違点1,3があり、その容易想到性は、第2 4(4)で判断したとおりである。 また、本願発明を全体としてみても格別なものはなく、その作用効果も、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 したがって、本願発明も、前記引用例1、引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上、本願の請求項1に係る発明は、引用例1、引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をするべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-10-31 |
結審通知日 | 2011-11-01 |
審決日 | 2011-11-21 |
出願番号 | 特願2004-236729(P2004-236729) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(H04N)
P 1 8・ 573- Z (H04N) P 1 8・ 574- Z (H04N) P 1 8・ 121- Z (H04N) P 1 8・ 571- Z (H04N) P 1 8・ 575- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 絢子、金田 孝之 |
特許庁審判長 |
藤内 光武 |
特許庁審判官 |
乾 雅浩 梅本 達雄 |
発明の名称 | 情報処理システム、記録装置、通信装置、情報処理方法、およびプログラム |
代理人 | 稲本 義雄 |