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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1250210
審判番号 不服2010-13512  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-21 
確定日 2011-12-01 
事件の表示 特願2005-517002「メモリインタフェース装置、メモリインタフェース方法、およびモデム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月28日国際公開、WO2005/069152〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成17年1月5日(優先権主張、平成16年1月13日、日本)を国際出願日とする出願であって、平成22年3月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成22年6月21日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成22年6月21日付け手続補正について
[補正却下の決定の結論]
平成22年6月21日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
本件補正は、補正前の特許請求の範囲(平成21年10月2日付け手続補正)の請求項1?17を、補正後の請求項1?7に補正するものであるが、そのうち、補正前の請求項1、5、16及び、各請求項に対応する補正後の請求項1、4、7は次のとおりである。
補正前の請求項1、5、16
「【請求項1】
第1の機器と、メモリを有する第2の機器との間で、所定量単位でデータを相互に送受信し、
前記所定量単位で前記メモリにデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、次の前記メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み手順を遵守するメモリ書き込み装置、及び前記メモリからデータを読み出すメモリ読み出し装置、に対してメモリアクセスを制御するメモリインタフェース装置において、
前記第1の機器から前記メモリへの前記所定量単位のデータ書き込みを検出する書き込み検出手段と、
前記所定量単位のデータ書き込みが検出された場合に、前記第1の機器に対して、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを通知する信号を発生する信号発生手段と、
前記メモリ内のデータ蓄積量を計測するデータ蓄積量計測手段と、
前記メモリ内のデータ蓄積量が所定の読み出し開始蓄積量に到達した場合に、前記メモリ読み出し装置に対して割り込み信号を発生して前記メモリ内のデータを全て読み出すメモリ読み出し制御手段と、
を備えたことを特徴とするメモリインタフェース装置。
【請求項5】
第1の機器と、メモリを有する第2の機器との間で、所定量単位でデータを相互に送受信し、
前記所定量単位で前記メモリにデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、次の前記メモリへのデータ書き込みを書き込み行うメモリ書き込み手順を遵守するメモリ書き込み装置、及び前記メモリからデータを読み出すメモリ読み出し装置、に対してメモリアクセスを制御するメモリインタフェース方法であって、
前記メモリ書き込み装置から前記メモリへの前記所定量単位のデータ書き込みを書き込み検出手段により検出する過程と、
前記所定量単位のデータ書き込みが検出された場合に、前記第1の機器に対して、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを信号発生装置により通知する過程と、
前記メモリ内のデータ蓄積量データをデータ蓄積計測手段により計測する過程と、
前記メモリ内のデータ蓄積量が所定の読み出し開始蓄積量に到達した場合に、前記メモリ読み出し装置に対してメモリ読み出し制御手段により割り込み信号を発生する過程と、
を含むことを特徴とするメモリインタフェース方法。
【請求項16】
所定量単位でメモリに通信データ、制御コマンドのデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、次の前記メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み手順を遵守するデータ処理装置に接続され、
前記データ処理装置とのデータ交換を行うモデムインターフェースと、前記メモリと、
前記メモリから前記データを読み出すメモリ読み出し装置と、前記メモリ読み出し装置に接続され前記通信データを送受信する通信手段とを備えたモデム装置において、
前記メモリ読み出し装置は、
前記データ処理装置から前記メモリへの前記所定量単位のデータ書き込みを検出する書き込み検出手段と、
前記所定量単位のデータ書き込みが検出された場合に、前記データ処理装置に対して、
前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを通知する信号を発生する信号発生手段と、
前記メモリ内のデータ蓄積量を計測するデータ蓄積量計測手段と、
前記メモリ内のデータ蓄積量が所定の読み出し開始蓄積量に到達した場合に、前記メモリ読み出し装置に対して割り込み信号を発生して前記メモリ内のデータを全て読み出すメモリ読み出し制御手段と、
を備えたことを特徴とするモデム装置。」

補正後の請求項1、4、7
「【請求項1】
所定量単位でデータを書き込む度に、データの読み出しが完了したことを通知する読み出し完了通知を受信してから、次の前記所定量単位のデータの書き込みを行う手順を遵守する第1の機器と、メモリを有する第2の機器との間で、前記所定量単位のデータを相互に送受信し、
前記所定量単位で前記第1の機器から前記メモリにデータを書き込むメモリ書き込み装置、及び前記メモリからデータを読み出すメモリ読み出し装置に対してメモリアクセスを制御するメモリインタフェース装置において、
前記メモリ書き込み装置による前記第1の機器から前記メモリへの前記所定量単位のデータの書き込みを検出する検出手段と、
前記所定量単位のデータ書き込みが検出された場合に、前記第1の機器に対して、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを通知する前記読み出し完了通知を発生する信号発生手段と、
前記メモリ書き込み装置が、前記完了通知を受信した前記第1の機器から順次送信される前記所定量単位のデータを書き込むことで蓄積される前記メモリ内のデータのデータ蓄積量を計測するデータ蓄積量計測手段と、
前記メモリ内のデータ蓄積量が所定の読み出し開始蓄積量に到達した場合に、前記メモリ読み出し装置に対して割り込み信号を発生して前記メモリ内のデータを全て読み出すメモリ読み出し制御手段と、
を備えたことを特徴とするメモリインタフェース装置。
【請求項4】
所定量単位でデータを書き込む度に、データの読み出しが完了したことを通知する読み出し完了通知を受信してから、次の前記所定量単位のデータの書き込みを行う手順を遵守する第1の機器と、メモリを有する第2の機器との間で、前記所定量単位のデータを相互に送受信し、
前記所定量単位で前記第1の機器から前記メモリにデータを書き込むメモリ書き込み装置、及び前記メモリからデータを読み出すメモリ読み出し装置に対してメモリアクセスを制御するメモリインタフェース方法であって、
前記メモリ書き込み装置による前記第1の機器から前記メモリへの前記所定量単位のデータの書き込みを検出手段により検出する過程と、
前記所定量単位のデータ書き込みが検出された場合に、前記第1の機器に対して、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを通知する読み出し完了通知を信号発生装置により発生する過程と、
前記メモリ書き込み装置が、前記完了通知を受信した前記第1の機器から順次送信される前記所定量単位のデータを書き込むことで蓄積される前記メモリ内のデータのデータ蓄積量をデータ蓄積量計測手段により計測する過程と、
前記メモリ内のデータ蓄積量が所定の読み出し開始蓄積量に到達した場合に、前記メモリ読み出し装置に対してメモリ読み出し制御手段により割り込み信号を発生する過程と、
を含むことを特徴とするメモリインタフェース方法。
【請求項7】
所定量単位でメモリに通信データ、制御コマンドのデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、前記メモリへの次の前記所定量単位のデータ書き込みを行うメモリ書き込み手順を遵守するデータ処理装置に接続され、
前記データ処理装置とのデータ交換を行うモデムインターフェースと、前記メモリと、
前記メモリから前記データを読み出すメモリ読み出し装置とを備えたモデム装置において、
前記メモリ読み出し装置は、
前記データ処理装置から前記メモリへの前記所定量単位のデータ書き込みを検出する書き込み検出手段と、
前記所定量単位のデータ書き込みが検出された場合に、前記データ処理装置に対して、
前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを通知する信号を発生する信号発生手段と、
前記メモリ内のデータ蓄積量を計測するデータ蓄積量計測手段と、
前記メモリ内のデータ蓄積量が所定の読み出し開始蓄積量に到達した場合に、割り込み信号を発生して前記メモリ内のデータを全て読み出すメモリ読み出し制御手段と、
を備えたことを特徴とするモデム装置。」

1)補正前の請求項1を補正後の請求項1とする補正について
この補正は補正前の請求項1の
「第1の機器と、メモリを有する第2の機器との間で、所定量単位でデータを相互に送受信し、前記所定量単位で前記メモリにデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、次の前記メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み手順を遵守するメモリ書き込み装置、及び前記メモリからデータを読み出すメモリ読み出し装置、に対してメモリアクセスを制御するメモリインタフェース装置において、」との記載を、
「所定量単位でデータを書き込む度に、データの読み出しが完了したことを通知する読み出し完了通知を受信してから、次の前記所定量単位のデータの書き込みを行う手順を遵守する第1の機器と、メモリを有する第2の機器との間で、前記所定量単位のデータを相互に送受信し、前記所定量単位で前記第1の機器から前記メモリにデータを書き込むメモリ書き込み装置、及び前記メモリからデータを読み出すメモリ読み出し装置に対してメモリアクセスを制御するメモリインタフェース装置において、」とする補正を含むものである。

この補正は、書き込み装置について、「前記所定量単位で前記メモリにデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、次の前記メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み手順を遵守するメモリ書き込み装置」との限定を削除し、第1の機器についての限定「所定量単位でデータを書き込む度に、データの読み出しが完了したことを通知する読み出し完了通知を受信してから、次の前記所定量単位のデータの書き込みを行う手順を遵守する第1の機器」を付加するものであって、書き込み装置についての限定を削除し、第1の機器についての限定を付加する、あるいは、書き込み装置についての限定を第1の機器の限定に変更するものであって、特許請求の範囲を減縮するものではない。また、この補正は誤記の訂正あるいは、明りょうでない記載の釈明にも該当しない。

2)補正前の請求項5を補正後の請求項4とする補正について
補正前の請求項5を補正後の請求項4とする補正は、上記 1)と同様の補正を含んでおり、当該補正は、特許請求の範囲を減縮するものではなく、また、誤記の訂正あるいは、明りょうでない記載の釈明にも該当しない。

3)補正前の請求項16を補正後の請求項7とする補正について
補正後の請求項7は、補正前の請求項16に記載されたモデム装置に関し、「前記メモリ読み出し装置に接続され前記通信データを送受信する通信手段とを備えた」との限定を削除するものであって、特許請求の範囲を減縮するものではない。また、この補正は誤記の訂正あるいは、明りょうでない記載の釈明にも該当しない。

以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成22年6月21日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年10月2日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
第1の機器と、メモリを有する第2の機器との間で、所定量単位でデータを相互に送受信し、
前記所定量単位で前記メモリにデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、次の前記メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み手順を遵守するメモリ書き込み装置、及び前記メモリからデータを読み出すメモリ読み出し装置、に対してメモリアクセスを制御するメモリインタフェース装置において、
前記第1の機器から前記メモリへの前記所定量単位のデータ書き込みを検出する書き込み検出手段と、
前記所定量単位のデータ書き込みが検出された場合に、前記第1の機器に対して、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを通知する信号を発生する信号発生手段と、
前記メモリ内のデータ蓄積量を計測するデータ蓄積量計測手段と、
前記メモリ内のデータ蓄積量が所定の読み出し開始蓄積量に到達した場合に、前記メモリ読み出し装置に対して割り込み信号を発生して前記メモリ内のデータを全て読み出すメモリ読み出し制御手段と、
を備えたことを特徴とするメモリインタフェース装置。」

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物「特開平10-106143号公報」(以下「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータや画像処理装置などの外部記憶装置として使用され、光ディスクや光磁気ディスクに対してデータの記録及び再生を行う光ディスク記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光磁気ディスクを含む光ディスクに対しデータの記録及び再生を行う記録再生装置は、一般にホストコンピュータなどから書き込むべきデータを受信すると、光ディスク上にそのデータを書き込み、書き込みが終了すると終了コマンドをホストコンピュータに通知する。このため、ホストコンピュータからシーケンシャルな書き込み命令(論理アドレスが連続するような書き込み命令)が発行された場合は、その書き込みコマンド毎に装置側では光ディスクの回転待ち状態が発生する。従って、光ディスクの同一領域にデータを記録する場合、1回の書き込み命令で指定される処理セクタ数が小さい場合は、処理セクタ数が多い場合に比べてホストコンピュータから装置側に対するデータ転送レートが著しく低下するという欠点がある。
【0003】この欠点を補うために最近の光ディスク記録再生装置では、ライトバックキャッシュと呼ばれる手法を用いて高速化を実現するようにしている。このライトキャッシュバックの手法を用いると、ホストコンピュータからデータを受信してキャッシュメモリに格納した時点でホストコンピュータへ終了コマンドを通知し、実際の光ディスクに対する書き込みはその後で行う。そして、次にホストコンピュータから書き込みコマンドを受信したときには、前回発行された書き込みコマンドの最終論理アドレスに連続するアドレスへの書き込み命令であれば、前回のデータと一緒にまとめて光ディスクに書き込む。
【0004】このような手法を用いることによって、シーケンシャル書き込みの場合、書き込み処理セクタ数が小さい場合でも大きなセクタ単位で光ディスクにデータを書き込むことができ、従ってデータの転送レートを向上することができる。このようなライトキャッシュバック動作において、ホストコンピュータから書き込みデータを受信し、装置内のキャッシュメモリなどに保持する動作をキャッシングと呼び、キャッシングしたデータを光ディスクに書き込む動作をフラッシュと呼ぶ。一般にフラッシュのタイミングは、以下の5つの条件のうち何れかが成立したときに実行される。
【0005】即ち、まず条件○1としてキャッシュメモリを使う他の命令(例えばリード命令)を受信した場合
また、条件○2としてキャッシュ動作が完了した後、所定時間を経過してもホストコンピュータからコマンドが送信されない場合
また、条件○3としてキャッシングされたデータに対して不連続な領域を指定した書き込みコマンドが発行された場合
また、条件○4としてキャッシュメモリの空き容量が足りないためにキャッシュメモリにデータが格納できない場合
また、条件○5として連続する領域の書き込みであって、キャッシングされたデータ量が装置内で予め定められているしきい値を越えた場合
の各条件の何れかが成立した場合に、装置側では図3のステップ11に示すように、キャッシングされた全てのデータを光ディスクに書き込むフラッシュ動作を実行するようにしている。」(第2?3頁)(○付き数字については○1、○2、のように表記した。)

これら引用刊行物の記載から、引用刊行物には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「ホストコンピュータに接続され、光ディスクにデータの記憶及び再生を行う記録再生装置であって、ホストコンピュータからデータを受信してキャッシュメモリに格納した時点でホストコンピュータへ書き込み終了コマンドを通知し、実際の光ディスクに対する書き込みはその後で行い、1)キャッシュ動作が完了した後、所定の時間を経過してもホストコンピュータからコマンドが送信されない場合、2)キャッシングされたデータ量が予め定められているしきい値を越えた場合等にキャッシングされた全てのデータを光ディスクに書き込む、記録再生装置。」

(2)対比
本願発明と引用発明を対比すると、
引用発明の「ホストコンピュータ」、「記録再生装置」、及び「キャッシュメモリ」は、それぞれ、本願発明の「第1の機器」、「第2の機器」、及び「メモリ」に相当する。
また、引用発明の記録再生装置は、ホストコンピュータからデータを受信してキャッシュメモリに格納した時点でホストコンピュータへ書き込み終了コマンドを通知し、実際の光ディスクに対する書き込み(このとき、キャッシュメモリからデータが読み出されることは当然のことである。)が所定の条件の場合になされていることから、引用発明には明示の記載はないが、引用発明が、本願発明の「メモリ書き込み装置」、「メモリからデータを読み出すメモリ読み出し装置」、「メモリ書き込み装置」、及び「前記メモリからデータを読み出すメモリ読み出し装置に対してメモリアクセスを制御するメモリインタフェース装置」に相当する手段を有していることは明らかである。

したがって、両者は
「第1の機器と、メモリを有する第2の機器との間で、データを相互に送受信し、
メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み装置、及び前記メモリからデータを読み出すメモリ読み出し装置、に対してメモリアクセスを制御するメモリインタフェース装置において、
前記第1の機器から前記メモリへのデータ書き込みを検出する書き込み検出手段と、
データ書き込みが検出された場合に、前記第1の機器に対して、完了したことを通知する信号を発生する信号発生手段と、
前記メモリ内のデータ蓄積量を計測するデータ蓄積量計測手段と、
前記メモリ内のデータ蓄積量が所定の読み出し開始蓄積量に到達した場合に、前記メモリ内のデータを全て読み出すメモリ読み出し制御手段と、
を備えたことを特徴とするメモリインタフェース装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1
本願発明のメモリ書き込み装置は、第1の機器と、メモリを有する第2の機器との間で、所定量単位でデータを相互に送受信し、前記所定量単位で前記メモリにデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、次の前記メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み手順を遵守するメモリ書き込み装置であるのに対し、引用発明のメモリ書き込み装置は、第1の機器と、メモリを有する第2の機器との間で、データを相互に送受信し、前記メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み装置であるが、所定量単位でデータを相互に送受信されるのかどうか明らかではなく、また、前記所定量単位で前記メモリにデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、次の前記メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み手順を遵守するものではない点。

相違点2
本願発明の書き込み検出手段は、前記所定量単位のデータ書き込みを検出するのに対して、引用発明の書き込み検出手段は、どのような単位でデータ書き込みを検出するのか明らかではない点。

相違点3
本願発明の信号発生手段は、前記所定量単位のデータ書き込みが検出された場合に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを通知する信号を発生する信号発生手段であるのに対し、引用発明の信号発生手段は、データ書き込みが検出された場合に完了したことを通知する信号を発生しているが、前記所定量単位のデータ書き込みが検出された場合に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを通知する信号を発生するものではない点。

相違点4
本願発明のメモリ読み出し制御手段は、メモリ内のデータ蓄積量が所定の読み出し開始蓄積量に到達した場合に、前記メモリ読み出し装置に対して割り込み信号を発生して前記メモリ内のデータを全て読み出しているのに対し、引用発明のメモリ読み出し制御手段は、メモリ内のデータ蓄積量が所定の読み出し開始蓄積量に到達した場合に、前記メモリ内のデータを全て読み出しているが、前記メモリ読み出し装置に対して割り込み信号を発生することについては記載がない点。

(3)当審の判断
以下、上記相違点について検討する。

相違点1について
所定量単位で前記メモリにデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、次の前記メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み装置は、本願明細書中(【背景技術】を説明した段落【0004】の記載)にも従来技術として記載され、また、特開平5-197678号公報(以下、「周知刊行物1」という。従来技術を記載した段落【0006】?【0007】、送信側マイコン101のCPUはデータ出力命令114を出力し、送信バッファ手段107は一転送分のデータを取り込んで蓄え、送信バッファ手段107は当該一転送分のデータを出力すると出力完了通知135を出力し、出力完了通知135を受けた送信側マイコン101のCPUは送信データがまだある場合は続けて同様にデータの出力を行うことが記載されている。)に記載されているように周知である。
そして、所定の書き込み手順に従う当該装置について、所定の書き込み手順を遵守するように構成することも必要に応じて当業者が適宜になし得る設計的事項である。
そうすると、引用発明のメモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み装置を所定量単位で前記メモリにデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、次の前記メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み手順を遵守するメモリ書き込み装置として相違点1に係る構成とすることは当業者が容易になし得ることである。

相違点2?3について
引用発明のメモリ書き込み装置において、上記相違点1に係る構成である、「所定量単位でデータを相互に送受信し、前記所定量単位で前記メモリにデータを書き込む度に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを確認してから、次の前記メモリへのデータ書き込みを行うメモリ書き込み手順を遵守するメモリ書き込み装置」との構成を採用した場合に、引用発明のデータの書き込みを検出する書き込み検出手段を所定量単位のデータ書き込みを検出する書き込み検出手段とし、引用発明のデータ書き込みが検出された場合に、完了したことを通知する信号を発生する信号発生手段を、所定量単位のデータ書き込みが検出された場合に、前記メモリからのデータの読み出しが完了したことを通知する信号を発生する信号発生手段とすることは当業者が容易になし得ることである。

相違点4について
所定の条件を通知して、通知に基づいて所定の動作を行わせるために、割り込み信号を発生して通知することは周知であって、格別のことではなく、引用発明のメモリ読み出し制御手段が、メモリ内のデータ蓄積量が所定の読み出し開始蓄積量に到達した場合に、前記メモリ内のデータを全て読み出すにために、前記メモリ読み出し装置に対して割り込み信号を発生するように構成することに格別の困難性はない。

そして、本願発明のように構成したことによる効果も引用発明及び周知技術から予測できる程度のものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

(付言:
1.審判請求人は、審判請求理由、及び審尋に対する回答書において、引用文献1、4、5は、全て光学ディスクもしくは磁気ディスクへの書き込みのための装置の発明であり、本願発明のような、あらかじめ定められたデータ転送規格、例えばPCとPCカードとのデータ転送規格に則って、所定単位量毎にデータ転送が行われる機器の発明とは、一見類似しているが、その機能を全く異にするものであり、その構成も効果も異なるものであるから、引用文献1の発明をそのまま本願発明のようなデータ処理機器間のインターフェース装置に応用することは、当業者といえども到底想到し得ることではない旨主張している。
しかしながら、本願発明には、第1の機器、メモリを有する第2の機器、所定量単位で前記第1の機器から前記メモリにデータを書き込むメモリ書き込み装置、メモリインタフェース装置等が記載されているが、第1の機器、第2の機器がどのような機器であるのかについて具体的に何ら特定がなされておらず、また、転送規格についても所定量単位の転送がなされること以上の特定はなされておらず、審判請求人が主張するような、本願発明がPCとPCカードとの転送規格などの予め定められたデータ転送規格に従うものである点で引用発明と相違しているということはできない。(なお、仮に、そのような相違があるとしても、当業者であれば、引用発明を例えばPC、PCカード間のデータ転送に適用することに格別の困難性はない。)

2.審判請求人は審尋に対する回答書において請求項の補正案を提示しているが、上記「3.本願発明について」で記載した理由と同様の理由で拒絶すべきものである。(なお、請求項1?7の記載では、第1の機器、第2の機器と、メモリ書き込み装置、メモリ読み出し装置と、メモリインタフェース装置、相互の関係が必ずしも明確ではなく、この点に関し、メモリ書き込み装置、メモリ読み出し装置が発明の詳細な説明の実施形態及び図面の何れの手段に相当するものであるのか不明りょうであることにも留意されたい。))
 
審理終結日 2011-09-28 
結審通知日 2011-10-04 
審決日 2011-10-19 
出願番号 特願2005-517002(P2005-517002)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菅原 浩二梅景 篤  
特許庁審判長 大野 克人
特許庁審判官 近藤 聡
丸山 高政
発明の名称 メモリインタフェース装置、メモリインタフェース方法、およびモデム装置  
代理人 内野 則彰  
代理人 木村 信行  
代理人 久原 健太郎  
代理人 久原 健太郎  
代理人 内野 則彰  
代理人 木村 信行  

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