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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1250312
審判番号 不服2010-17400  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-04 
確定日 2012-01-10 
事件の表示 特願2004-181706「回胴式遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月 5日出願公開、特開2006- 503〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年6月18日に特許出願されたものであって、
平成22年2月5日付けで拒絶理由が通知され、これに応答して同年4月12日付けで手続補正書が提出されたが、
同年5月7日付けで拒絶査定がされたため、
これを不服として同年8月4日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされ、
当審において、平成23年7月4日付けで、上記平成22年8月4日付け手続補正を却下するとともに、同日付けで拒絶理由通知が通知され、これに応答して同年9月1日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたものである。


2.本願発明
本出願に係る発明は、平成23年9月1日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲により特定されるとおりのものである。
そして、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「 【請求項1】
周面に複数種類の図柄が描かれた左リール、中央リール及び右リールと、前記左リール、前記中央リール及び前記右リールの回転開始操作を行うためのスタートレバーと、前記左リール、前記中央リール及び前記右リールの回転をそれぞれ停止させる操作を行うための3個のストップボタンとを備え、遊技者による前記スタートレバーの傾倒操作に基づいて前記左リール、前記中央リール及び前記右リールを回転させ始める処理と、複数の入賞役又はハズレを内部抽選する処理とを実行するように構成された回胴式遊技機であって、
何れかの前記ストップボタンの押圧操作を契機として、前記内部抽選の結果に対応する入賞役に係る前記図柄の組み合せを有効ライン上に停止可能な場合には、当該ストップボタンに対応する前記左リール、前記中央リール又は前記右リールを前記図柄の組み合せが前記有効ライン上に停止するように制御するストップボタン停止手段と、
前記スタートレバーによる前記左リール、前記中央リール及び前記右リールの回転開始から所定時間経過後に回転中の前記左リール、前記中央リール又は前記右リールを前記左リール、前記中央リール、前記右リールの順で停止させる自動停止手段と、
全ての前記左リール、前記中央リール及び前記右リールが停止状態である場合を除き、前記左リール、前記中央リール及び前記右リールの表示状態の全ての組み合せに応じて予め設けられた、自動停止させる前記左リール、前記中央リール又は前記右リールの各図柄について入賞を形成しない図柄を表示させるためのリール停止位置選択テーブルとを備え、
前記リール停止位置選択テーブルは、前記左リール、前記中央リール及び前記右リールの図柄毎に、既に停止している他の前記中央リール、前記右リール又は前記左リールが表示する図柄の配列との関係において全ての有効ライン上において入賞に係る図柄の組み合せが一致しない当該左リール、当該中央リール又は当該右リールの図柄の配列が予め設定され、
前記自動停止手段は、
全ての前記左リール、前記中央リール及び前記右リールが回転中の場合を含む前記左リール、前記中央リール及び前記右リールの表示状態に基づいて、自動停止させる前記左リール、前記中央リール又は前記右リールに対して一の前記リール停止位置選択テーブルを特定し、当該左リール、当該中央リール又は当該右リールが所定の有効ライン上に現在表示している図柄を特定し、特定した前記リール停止位置選択テーブルを参照して当該左リール、当該中央リール又は当該右リールの制動可能な範囲において表示される複数の図柄のうち、前記所定の有効ライン上を通過している図柄に最も近い、前記既に停止している他の前記中央リール、前記右リール又は前記左リールが表示する図柄とは入賞に係る図柄の組み合せを形成しない図柄を選択する停止図柄選択手段と、
前記停止図柄選択手段により選択された前記入賞に係る図柄の組み合せを形成しない図柄を表示する位置に当該左リール、前記中央リール又は前記右リールを停止させることにより、既に停止している他の前記中央リール、前記右リール又は前記左リールが表示する図柄の配列との関係において全ての有効ライン上において前記入賞に係る図柄の組み合せを形成しない図柄を当該左リール、当該中央リール又は当該右リールに表示させるリール制動手段とを備え、
前記左リール、前記中央リール又は前記右リールのうち、一のリールが停止状態にある場合において、前記内部抽選の結果にかかわらず、前記リール制動手段は、回転中の前記左リール、前記中央リール又は前記右リールを停止させる
ことを特徴とする回胴式遊技機。」


3.引用文献に記載された事項
平成23年7月4日付けの拒絶の理由において引用文献1として引用された特開2004-167098号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図10によって説明する。図1は本発明に係る遊技機をスロットマシン10に具体化したものの外観を示す斜視図である。スロットマシン10は箱状の筐体11を備え、この筐体11の前面には遊技者に向かって臨む前面パネル12が設けられている。
【0039】
この前面パネル12の背面側には、遊技者から見て左側から順に、回転リール部に対応する第1リール21、第2リール22、第3リール23が回転自在な状態で3個横並びに配されている。これら各リール21?23の表面には、複数の図柄が表記されている。各リール21?23は、例えばステッピングモータ等からなる、第1リール駆動モータ31、第2リール駆動モータ32、第3リール駆動モータ33により互いに独立して回転可能となっている。上述の前面パネル12の所定位置には遊技者が各リール21?23の図柄を視認できるように表示窓21a?23aが設けられている。この表示窓21a?23aからは各リール21?23につき上下3段の図柄を視認することができる。」

(イ)「【0041】
上述の表示窓21a、23aの側方には、コイン(有体物の遊技媒体に相当する。)の賭け数、又は所定枚数のコインがクレジットとして蓄積されている場合にはクレジット(無体物の遊技媒体に相当する。)の賭け数に対応して有効化された入賞ラインを表示する有効ライン表示ランプ18が設けられている。この有効ライン表示ランプ18は、例えば、コインが1枚賭けられた場合には、中央の有効ライン表示ランプ18aが点灯されて中段の横ラインだけが有効化されたことを示し、コインが2枚賭けられた場合には、中央の有効ライン表示ランプ18aに加えて上下の有効ライン表示ランプ18b、18bも点灯されて、上段、中段、下段の3本のラインが有効化されたことを示し、コインが3枚賭けられた場合には、全ての有効ライン表示ランプ18a?18cが点灯されて、3本の横ラインと、2本の斜めラインとが有効化されたことを示す。」

(ウ)「【0043】
段差部13の下方左側にはゲームを開始させるスタートレバー46が設けられている。段差部13の下方中央には押しボタン操作により各リールを停止させるための第1リール停止ボタン41、第2リール停止ボタン42、第3リール停止ボタン43が設けられている。」

(エ)「【0076】
(抽選処理)
遊技者がスタートレバー46を操作すると、BET処理SA4が終了し、抽選処理SA5が行われる(図5参照)。図7に抽選処理SA5のフローチャートを示す。この抽選処理SA5においては、まず乱数を生成して取得し(ステップSC1)、賭け数及び遊技状態に応じたテーブルを参照していかなる役に当選したかについて判定される(ステップSC2、SC3)。次に述べるいずれかの役に当選した場合には(ステップSC3で「YES」)、各当選役に対応した当選フラグが設定される(ステップSC4)。
ここで、各種の当選役について説明する。
▲1▼レギュラーボーナス役
レギュラーボーナス役に入賞すると、所定量のコインの払い出しがなされると共に、レギュラーボーナスゲームを行うことのできる特別遊技状態(以下、レギュラーボーナス又はRBと呼称する。)に移行することができる。このレギュラーボーナスにおいては、コインは1枚のみ賭けることが許容され、各リール21?23に表示された所定の図柄の組み合わせが表示窓21a?23aの中央の入賞ライン上に揃った場合に入賞が確定となる。このレギュラーボーナスゲームは最大12回行うことができるが、入賞確定は最大8回までしか許容されない。つまり、最大12回のレギュラーボーナスゲームが終了すること、又は最大8回の入賞が確定することにより、レギュラーボーナスは終了する。
▲2▼ビッグボーナス役
ビッグボーナス役に入賞すると、所定量のコインの払い出しと共に、ビッグボーナスゲームを行うことのできる特別遊技状態(以下、ビッグボーナス又はBBと呼称する。)に移行することができる。このビッグボーナスにおいては、小役ゲームと呼ばれるゲームを最大30ゲーム行うことができる。この小役ゲームでは、通常遊技状態よりも高い確率で小役入賞が発生する。ここで、小役とは、コインの払い出しのみ行われる入賞のことをいう。また、この小役ゲームにおいては、比較的高い確率で有効ライン上に「JAC、JAC、JAC」の図柄の組み合わせが揃うこと(JACIN)により、レギュラーボーナスへ移行し、小役ゲームに代わって最大12回のレギュラーボーナスゲームを行うことができる。なお、ビッグボーナス時におけるレギュラーボーナスは、3回までしか許容されない。つまり、最大30ゲームの小役ゲームが終了すること、又は最大3回のレギュラーボーナスが終了することにより、ビッグボーナスは終了する。
▲3▼押し順報知役
これは、コインの払い出しがある役ではないが、これに当選すると、停止ボタン41?43を押すべき順序が決定され(ステップSC6)、その押し順を後述するようにしてプラズマ管61?63の発光によって遊技者に報知する遊技状態(以下、押し順報知遊技状態と称する。)に移行する。この遊技状態では、報知された所定の押し順で停止ボタン41?43を押すことにより、小役入賞しつづけることが可能となる。この遊技状態は、ビッグボーナスに当選した場合、又は所定のゲーム数(例えば、100ゲーム)が終了した場合に終了する。」

(オ)「【0080】
(リール回転処理及びリール停止処理)
リール回転処理SA8では、可変表示装置20の各リール21?23をリール駆動モータ31?33にて回転させ始め、徐々に回転速度を上げた後、一定速度で各リール21?23を回転させる。各リールが一定速度で回転するようになると、リール停止処理SA9に移行する(図5参照)。
【0081】
リール停止処理SA9では、遊技者による停止ボタン41?43の操作に対応して各リール21?23を停止表示させる処理が行われる。図8に、このリール停止処理SA9の主要な内容を示す。なお図上では省略するが、リール停止処理SA9の処理が開始されると、停止ボタン41?43が有効化され、遊技者は任意に停止ボタン41?43を押すことができる。」

(カ)「【0083】
この各リール停止処理SD3においては、遊技者がいずれかの停止ボタン41?43を操作するまで待機状態にある。この状態で遊技者が停止ボタン41?43のいずれかを操作すると、そのタイミングで表示されていた図柄から4個の引き込み可能範囲内に、予め抽選処理SA5で行われた抽選結果と一致する図柄があれば、その図柄でいずれかのリール21?23を停止する引き込み処理が行われる。このとき引き込み可能範囲内に抽選結果と一致する図柄がない場合には、はずれ図柄でリール21?23のいずれかが停止する。また、抽選処理SA5でいずれの役にも当選しなかった場合には、遊技者が停止ボタン41?43を押したタイミングでリール21?23のいずれかが停止する。」

(キ)「【0087】
なお、抽選処理SA5でいずれの役にも当選しなかった場合でも、遊技者が特定の図柄を停止表示させる目押しを行うことにより、前述のリーチ状態を成立させることはできる。しかし、最終的には入賞図柄組み合わせが揃わないように制御され、最後のリールは必ずはずれ図柄で停止する。ステップSD3が終了すると、全てのリールが停止しているからステップSD4にて「NO」、ステップSD2にて「YES」となって、リール停止処理SA9を終了し、入賞判定処理SA10に移行する(図5参照)。
【0088】
なお、各リール停止処理SD3で、遊技者が停止ボタン41?43を操作しなかったために、予め設定された回転時間(例えば、60秒)を超過した場合には、回転しているリールが必ずはずれ図柄の組み合わせで停止する。すると、ステップSD4にて「NO」、ステップSD2にて「YES」となって、リール停止処理SA9を終了し、入賞判定処理SA10に移行する(図5参照)。」

(ク)「【0103】
(入賞判定処理)
入賞判定処理SA10では、全てのリール21?23が停止したときに、有効化された入賞ライン上に停止表示された図柄の組み合わせが、入賞図柄の組み合わせと一致するか否かを判定する。そして、入賞が発生したと判定された場合には、入賞した役に対応して、所定の発光態様でプラズマ管を発光させることにより、遊技者に入賞の確定を報知する。以下に、その発光態様を示す。」

以上、(ア)?(ク)の記載、および図面(特に、図5?6参照)を総合すると、引用文献1には、以下の発明が開示されている。
「遊技者から見て左側から順に配された第1リール21、第2リール22、第3リール23であって、表面に複数の図柄が表記されているものと、
スタートレバー46と、
押しボタン操作により各リールを停止させるための第1リール停止ボタン41、第2リール停止ボタン42、第3リール停止ボタン43とを備え、
遊技者がスタートレバー46を操作すると、BET処理SA4が終了し、抽選処理SA5が行われるスロットマシン10であって、
回転処理SA8において、可変表示装置20の各リール21?23をリール駆動モータ31?33にて回転させ始め、
各リール停止処理SD3において、遊技者が停止ボタン41?43のいずれかを操作すると、そのタイミングで表示されていた図柄から4個の引き込み可能範囲内に、予め抽選処理SA5で行われた抽選結果と一致する図柄があれば、その図柄でいずれかのリール21?23を停止する引き込み処理が行われ、
各リール停止処理SD3で、遊技者が停止ボタン41?43を操作しなかったために、予め設定された回転時間(例えば、60秒)を超過した場合には、回転しているリールが必ずはずれ図柄の組み合わせで停止する、スロットマシン10。」
(以下、この発明を「引用発明」という。)


4.対比
引用発明における「スロットマシン10」は、本願発明における「回胴式遊技機」に相当する。

引用発明における「遊技者から見て左側から順に配された第1リール21、第2リール22、第3リール23であって、表面に複数の図柄が表記されているもの」は、
本願発明における「周面に複数種類の図柄が描かれた左リール、中央リール及び右リール」に相当する。

引用文献1の図5?6の記載及びスロットマシンの技術常識を考慮すれば、引用発明における「回転処理SA8」は、遊技者による「スタートレバー46」の傾倒操作に基づいて実行されていると認められる。
よって、引用発明における「スタートレバー46」及び「リール回転処理SA8」は、本願発明における「前記左リール、前記中央リール及び前記右リールの回転開始操作を行うためのスタートレバー」及び「遊技者による前記スタートレバーの傾倒操作に基づいて前記左リール、前記中央リール及び前記右リールを回転させ始める処理」に相当する。

引用発明における「第1リール停止ボタン41、第2リール停止ボタン42、第3リール停止ボタン43」は、本願発明における「前記左リール、前記中央リール及び前記右リールの回転をそれぞれ停止させる操作を行うための3個のストップボタン」に相当する。

引用発明における「抽選処理SA5」は、「次に述べるいずれかの役に当選した場合」と、「抽選処理SA5でいずれの役にも当選しなかった場合」であって「最終的には入賞図柄組み合わせが揃わないように制御され」る場合とを、抽選している。
よって、引用発明における「遊技者がスタートレバー46を操作すると、BET処理SA4が終了し、抽選処理SA5が行われる」点は、
本願発明における「遊技者による前記スタートレバーの傾倒操作に基づいて」「複数の入賞役又はハズレを内部抽選する処理」を実行する点に相当する。

引用文献1の(イ)及び(ク)に記載された「有効化された入賞ライン」は、本願発明における「有効ライン」に相当する。
引用発明は、「各リール停止処理SD3において、遊技者が停止ボタン41?43のいずれかを操作すると、そのタイミングで表示されていた図柄から4個の引き込み可能範囲内に、予め抽選処理SA5で行われた抽選結果と一致する図柄があれば、その図柄でいずれかのリール21?23を停止する引き込み処理」を行う手段を備える。また、スロットマシンの技術常識を考慮すれば、当該「引き込み処理」が前記「有効化された入賞ライン」上においてなされることは、自明である。
よって、引用発明における前記「引き込み処理」を行う手段は、本願発明における「何れかの前記ストップボタンの押圧操作を契機として、前記内部抽選の結果に対応する入賞役に係る前記図柄の組み合せを有効ライン上に停止可能な場合には、当該ストップボタンに対応する前記左リール、前記中央リール又は前記右リールを前記図柄の組み合せが前記有効ライン上に停止するように制御するストップボタン停止手段」に相当する。

引用発明の「はずれ図柄」は、本願発明における「入賞を形成しない図柄」に相当する。

引用発明は、「各リール停止処理SD3で、遊技者が停止ボタン41?43を操作しなかったために、予め設定された回転時間(例えば、60秒)を超過した場合には、回転しているリールが必ずはずれ図柄の組み合わせで停止する」処理を行う手段を有する。
前記「各リール停止処理SD3」においては、前記「各リール停止処理SD3で、遊技者が停止ボタン41?43を操作しなかったために、予め設定された回転時間(例えば、60秒)を超過した場合」ではない場合、すなわち遊技者が停止ボタン41?43を操作する場合には、予め抽選処理SA5で行われた「抽選結果」と一致する図柄で停止する引き込み処理が行われるので、
前記「各リール停止処理SD3で、遊技者が停止ボタン41?43を操作しなかったために、予め設定された回転時間(例えば、60秒)を超過した場合」に行われる「回転しているリールが必ずはずれ図柄の組み合わせで停止する」処理は、前記「抽選結果」にかかわらず「必ずはずれ図柄の組み合わせで停止する」処理であると認められる。
引用文献1の(イ)及び(ク)に記載された「有効化された入賞ライン」及びスロットマシンの技術常識を考慮すれば、引用発明における前記「各リール停止処理SD3で?必ずはずれ図柄の組み合わせで停止する」処理が、全ての「有効化された入賞ライン」上で「必ずはずれ図柄の組み合わせで停止する」ように実行されることは、自明である。
よって、引用発明における前記「各リール停止処理SD3で?必ずはずれ図柄の組み合わせで停止する」処理を実行する手段は、“リールの回転開始から所定時間経過後に、内部抽選の結果にかかわらず、全ての有効ライン上において入賞を形成しない図柄を表示させる”点で、本願発明における「自動停止手段」と共通する。

以上のことから、両者は、
<一致点>
「周面に複数種類の図柄が描かれた左リール、中央リール及び右リールと、前記左リール、前記中央リール及び前記右リールの回転開始操作を行うためのスタートレバーと、前記左リール、前記中央リール及び前記右リールの回転をそれぞれ停止させる操作を行うための3個のストップボタンとを備え、遊技者による前記スタートレバーの傾倒操作に基づいて前記左リール、前記中央リール及び前記右リールを回転させ始める処理と、複数の入賞役又はハズレを内部抽選する処理とを実行するように構成された回胴式遊技機であって、
何れかの前記ストップボタンの押圧操作を契機として、前記内部抽選の結果に対応する入賞役に係る前記図柄の組み合せを有効ライン上に停止可能な場合には、当該ストップボタンに対応する前記左リール、前記中央リール又は前記右リールを前記図柄の組み合せが前記有効ライン上に停止するように制御するストップボタン停止手段と、
リールの回転開始から所定時間経過後に、内部抽選の結果にかかわらず、全ての有効ライン上において入賞を形成しない図柄を表示させる手段と、
を備えた、回胴式遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本願発明が、リールの回転開始から所定時間経過後に「前記左リール、前記中央リール又は前記右リールを前記左リール、前記中央リール、前記右リールの順で停止させる」のに対し、
引用発明は、リールの回転開始から所定時間経過後に各リールを停止させるものの、停止させる順は不明である。

<相違点2>
リールの回転開始から所定時間経過後に、内部抽選の結果にかかわらず、全ての有効ライン上において入賞を形成しない図柄を表示させる点について、
本願発明が、「リール停止位置選択テーブル」、「停止図柄選択手段」及び「リール制動手段」を用いた所定の処理を行うのに対し、
引用発明は、具体的にどのような構成を用いてどのような処理を行うのか、不明である。

<相違点3>
本願発明が、リールの回転開始から所定時間経過後に「制動可能な範囲において表示される複数の図柄のうち、前記所定の有効ライン上を通過している図柄に最も近い」図柄を選択し表示させるのに対し、
引用発明は、リールの回転開始から所定時間経過後に入賞を形成しない図柄を表示させるものの、どこに位置する図柄を表示させるのかは不明である。

<相違点4>
本願発明が、リールの回転開始から所定時間経過後に、「前記左リール、前記中央リール又は前記右リールのうち、一のリールが停止状態にある場合において」、「回転中の前記左リール、前記中央リール又は前記右リールを停止させる」のに対し、
引用発明は、リールの回転開始から所定時間経過後に各リールを停止させるものの、具体的にどのように停止させるかは不明である。


5.判断
前記<相違点1>?<相違点4>について判断する。

特開2003-236056号公報(以下「引用文献2」という。)には、スロットマシンの発明について、下記の点が開示されている。
(1) まだ停止していないリールを、第1リール(左リール)、第2リール(中リール)、第3リール(右リール)の順に自動停止させる。(【0076】?【0077】、【0142】、図13等)
(2) 内部抽選によって各入賞及びハズレに当選し、この当選に応じた入賞フラグが立てられる。(【0067】、【0081】等)
(3) 自動停止処理において、各リールの停止処理の開始によってリールの停止の契機を与え、その後に行われる図柄蹴飛ばし処理及び図柄引き込み処理によって、停止図柄を決定する。(【0142】、図14等)
(4) 「上記入賞フラグ及び既に停止しているリールの図柄によって停止位置テーブルを選択する(S151)。この停止テーブルは、停止操作や自動停止タイミングの到来等によって停止処理が開始されたタイミングからの移動可能コマ数が記載されているものであり、成立している入賞フラグ、選択されたテーブル及び既に停止しているリールによって表示されている図柄に基づいて、図柄蹴飛ばし処理(S152)、図柄引き込み処理(S153)が行われる。」(【0144】)
(5) 「図柄蹴飛ばし処理」及び「図柄引き込み処理」では、「リール停止ボタン7a?7cを操作したタイミングで有効ライン上にある図柄とそれ以降の4コマの中」から、停止図柄とする図柄を選択し表示させる。(【0145】?【0147】等)
(6) リール停止スイッチを操作することによる各リールの停止操作と、前記自動停止処理における各リールの停止処理の開始とは、リールの停止の契機を与えるだけである点で共通している。(【0141】?【0142】等)

<相違点1>について
引用発明に、引用文献2に開示された点(1) を適用して、<相違点1>に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものである。

<相違点2>について
・「停止図柄選択手段」及び「リール制動手段」について
前記(2)?(4)から、引用文献2には、各入賞又はハズレに応じた入賞フラグと、既に停止しているリールの図柄とに基づいて、「停止テーブル」を特定し、当該特定された「停止テーブル」を用いて停止図柄を決定し、各リールを自動停止させる処理を行う発明が開示されている。
そして、引用文献2に開示された発明における前記の処理は、テーブルを用いて停止図柄を決定し、各リールを自動停止させる点で、本願発明における「停止図柄選択手段」及び「リール制動手段」が実行する処理と共通する。

・「リール停止位置選択テーブル」について
前記(2)?(4)及び(5) から、引用文献2に開示された前記「停止テーブル」のうちハズレに対応するものは、既に停止している他のリールとの関係に基づき、全ての有効ライン上においてハズレの図柄の配列が得られるように、設定されていると認められる。
また、前記「停止テーブル」は、リールを停止させるためのテーブルであるから、全てのリールが停止している場合(すなわち停止させるリールが存在しない場合)についてのテーブルを有していないことは、自明である。
ところで、本願発明における「リール停止位置選択テーブル」は、「前記左リール、前記中央リール及び前記右リールの図柄毎に、既に停止している他の前記中央リール、前記右リール又は前記左リールが表示する図柄の配列との関係において全ての有効ライン上において入賞に係る図柄の組み合せが一致しない当該左リール、当該中央リール又は当該右リールの図柄の配列が予め設定され」るものであるが、
本願請求項1には「リール停止位置選択テーブル」の具体的なデータ構造は記載されていない点、
本願【0088】?【0092】及び図19には、前記「リール停止位置選択テーブル」の1実施例であって、本願請求項1において「リール停止位置選択テーブル」中に設定することが明記されていない[1]及び[0]を設定しているものが開示されている点(なお、本願【0076】?【0079】の記載から、当該[1]及び[0]は「停止ビット[1]」及び「蹴飛ばしビット[0]」と解される)、
とを考慮すると、本願発明でいう前記「設定」は、何らかのデータを何らかの様態で設定することにより、結果的に「全ての有効ライン上において入賞に係る図柄の組み合せが一致しない」ような図柄の配列が得られる任意の設定、を含むと解されるので、
引用文献2に開示された前記「停止テーブル」は、結果的に全ての有効ライン上において入賞に係る図柄の組み合せが一致しないような図柄の配列が得られるように設定されている点で、本願発明における「リール停止位置選択テーブル」と同様に「設定」されているといえる。
したがって、引用文献2に開示された前記「停止テーブル」のうちハズレに対応するものは、
全てのリールが停止状態である場合を除き、各リールの表示状態の全ての組み合せに応じて予め設けられた、各リールの各図柄について入賞を形成しない図柄を表示させるためのテーブルであり、
結果的に全ての有効ライン上において入賞に係る図柄の組み合せが一致しないような図柄の配列が得られるように設定されているので、
本願発明における「リール停止位置選択テーブル」に相当する。

・相違点2についてのまとめ
よって、引用発明に引用文献2に開示された発明を適用して、各リール停止処理SD3で遊技者が停止ボタン41?43を操作しなかったために予め設定された回転時間(例えば、60秒)を超過した状態になったことと、各リールの表示状態とに基づいて、回転しているリールが必ずはずれ図柄の組み合わせで停止するようになる停止テーブルを特定し、当該特定された停止テーブルを用いて停止図柄を決定し、各リールを自動停止させることにより、<相違点2>に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものである。

[平成23年9月1日付け意見書について]
請求人は当該意見書において、本願発明における「リール停止位置選択テーブル」が「自動停止処理」にのみ用いられるテーブルであって、「手動停止処理」に用いられるテーブルとは別個のものである旨主張するが、これは本願の請求項1には何ら記載されていない事項に基づく主張であるから、本願発明についての主張としては採用できない。
仮に採用できるとしても、引用発明に引用文献2に開示された発明を適用する際に、「各リール停止処理SD3で、遊技者が停止ボタン41?43を操作しなかったために、予め設定された回転時間(例えば、60秒)を超過した場合には、回転しているリールが必ずはずれ図柄の組み合わせで停止する」ためのテーブルを、他のテーブルと兼用するか、独立して設けるかは、当業者が適宜なしうるものである。
また、請求人は前記意見書において、「自動停止処理」と「手動停止処理」とでテーブルを兼用する場合には、「自動停止処理」用のテーブルと「手動停止処理」用のテーブルとを別個に設ける受ける場合と比較して、テーブルの総数が増える旨主張するが、
一般的には、「自動停止処理」用のテーブルと「手動停止処理」用のテーブルの一部又は全部を兼用すれば、「自動停止処理」用のテーブルと「手動停止処理」用のテーブルとを別個に設ける場合と比較して、テーブルの総数が減少するといえるし、
前記意見書、又は、本願の特許請求の範囲、発明の詳細な説明若しくは図面の記載を参酌しても、テーブルを兼用するとテーブルの総数が増えるとする具体的な根拠が不明であるので、
テーブルの総数についての当該主張は採用できない。

<相違点3>について
前記(2)?(6)から、自動停止処理における各リールの停止処理を契機として「図柄蹴飛ばし処理」及び「図柄引き込み処理」を行う場合、自動停止処理において各リールの停止処理を開始したタイミングで有効ライン上にある図柄及びそれ以降の4コマからなる範囲内から、停止図柄とする図柄が選択されると認められるものであり、
前記範囲内の図柄は、本願発明における「当該左リール、当該中央リール又は当該右リールの制動可能な範囲において表示される複数の図柄」に相当する。
このとき、前記範囲内から実際に選択される図柄が、前記有効ライン上を通過している図柄に最も近いものか否かは、不明であるが、そのような図柄を選択することは、前記範囲内から図柄を選択する上で、当業者が適宜なしうるものであり、その際に奏される効果も予測しうる程度のものである。
よって、引用発明に引用文献2に開示された発明を適用した上で、前記範囲内から選択する図柄を前記有効ライン上を通過している図柄に最も近いものとすることにより、<相違点3>に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものであって、その際に奏される効果も予測しうる程度のものである。

<相違点4>について
前記<相違点1>について述べたとおり、引用文献2に開示された発明は、まだ停止していないリールを、第1リール(左リール)、第2リール(中リール)、第3リール(右リール)の順に自動停止させているので、第1リール(左リール)を自動停止させた状態にある場合において、回転中の第2リール(中リール)を自動停止させている。
引用文献2の【0142】及び図13に、各リールを自動停止させる際に各リールが既に停止させた状態にあるか否かを判断している点が開示されていることからもわかるように、引用文献2に開示された発明においては、各リールを自動停止させる前に、各リールが既に停止している場合があるので、
引用文献2に開示された発明においては、第1リール(左リール)、第2リール(中リール)又は第3リール(右リール)のうち、一のリールが停止状態にある場合において、回転中の第1リール(左リール)、第2リール(中リール)又は第3リール(右リール)を自動停止させることがある。
したがって、引用文献2に開示された発明は、本願発明における「前記左リール、前記中央リール又は前記右リールのうち、一のリールが停止状態にある場合において」、「回転中の前記左リール、前記中央リール又は前記右リールを停止させる」処理に相当する処理を行っている。
よって、引用発明に引用文献2に開示された発明を適用して、<相違点4>に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものである。

<相違点1>?<相違点4>についてのまとめ
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に開示された発明から、当業者が容易に想到しうるものである。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に開示された発明から、当業者が容易に想到しうるものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-11-15 
結審通知日 2011-11-18 
審決日 2011-11-29 
出願番号 特願2004-181706(P2004-181706)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 和雄  
特許庁審判長 立川 功
特許庁審判官 秋山 斉昭
小原 博生
発明の名称 回胴式遊技機  
代理人 松嶋 芳弘  
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