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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1250391
審判番号 不服2009-22979  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-24 
確定日 2012-01-11 
事件の表示 特願2006-303991「ユーザインターフェースを管理する装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 6月 7日出願公開、特開2007-141235〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年11月9日(パリ条約優先権主張、2005年11月17日、米国、2006年5月22日、韓国)の出願であって、平成21年7月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成21年11月24日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成21年11月24日付け手続補正について
[補正却下の決定の結論]
平成21年11月24日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は次のとおり補正された。
「ネットワーク上に装置が存在することを示す通知パケットを生成するパケット生成部と、
前記ネットワークを通じて伝送される所定アプリケーションのユーザインターフェースの状態に対して、前記通知パケットの配布結果として受信される前記状態の保存命令または抽出命令を管理するウェブサーバと、
前記保存命令に従ってアプリケーションを提供する少なくとも1つの遠隔サーバの状態およびアプリケーションの提供を受ける遠隔クライアントの状態を含む前記ユーザインターフェースの状態を保存する状態保存部と、
前記保存されたユーザインターフェースの状態のうち、前記抽出命令に従って抽出された特定ユーザインターフェースの状態をHTMLで送信する通信部と、
を備えるユーザインターフェースを管理する装置。」

上記補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特定ユーザインターフェースの状態を送信する通信部」を「特定ユーザインターフェースの状態をHTMLで送信する通信部」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物「特開2004-62873号公報」(以下「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
(イ)「【請求項7】
ブラウザを用いて確立されるアクティブセッションのランタイム状態を、マルチプラットフォームネットワークアプリケーションのプラットフォーム依存バージョン間で転送する方法であって、
ネットワークアプリケーションの第1のプラットフォームに依存するバージョンのブラウザ状態およびサーバ状態のうち少なくとも1の状態データおよびセッションデータを表す第1のプラットフォームに依存するスナップショットを生成するステップと、
前記第1のプラットフォームに依存するスナップショットをプラットフォーム非依存スナップショットに変換するステップと、
前記プラットフォーム非依存スナップショットを、前記状態データおよびセッションデータを表す第2のプラットフォームに依存するスナップショットに変換するステップと、
前記ネットワークアプリケーションの第2のプラットフォームに依存するバージョンにおいて、前記第2のプラットフォームに依存するスナップショットを用いて、前記ブラウザ状態およびサーバ状態のうち少なくとも1を再インスタンス化するステップと
を具備することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記第1のプラットフォームに依存するスナップショットを生成するステップは、サーバ状態とブラウザ状態の両方をそれぞれ異なるプラットフォームに依存するスナップショットとして取り込むステップを具備することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のプラットフォームに依存するスナップショットを生成するステップは、ドキュメントオブジェクトモデル、スクリプトオブジェクト、ブラウザ履歴、ブラウザキャッシュ、およびクッキーのうち少なくとも1を取り込むステップを具備することを特徴とする請求項7に記載の方法。」(第2?3頁)

(ロ)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、概してネットワーク上の装置間における通信に関し、特に、ブラウザを用いて確立される1以上の独立したアクティブセッションのブラウザ状態を保存し、同一もしくは異なるブラウザおよび/またはプラットフォームを用いて、保存されたセッションを後で読み出して再開する方法およびシステムに関する。」(第7頁)

(ハ)「【0017】
【発明の実施の形態】
本発明には、ブラウザを操作するユーザが1以上のアクティブセッションのブラウザ状態を保存することを可能にするブラウザ状態リポジトリ(BSR)サービスが含まれる。BSRサービスによれば、ユーザは、任意のブラウザおよび/または装置を使用して保存されたブラウザ状態のいずれかを選択的に読み出し、当該ブラウザ状態に対応する同一のアクティブセッションを再開できる。ブラウザの現状態は、アクティブセッション中に保存された時点と同じ状態に復元される。従って、BSRサービスによれば、ユーザはアクティブセッションのブラウザ状態を消失して、新しい装置上の新しいブラウザ状態で再びやり直すことなく、アクティブセッション中に新しい装置またはブラウザに切り替えることができる。さらに、BSRサービスによれば、任意の装置またはブラウザ上で任意のアクティブセッションを保存して後で再開することができるだけでなく、ユーザは複数のアクティブセッションのブラウザ状態を同時に管理することができる。
【0018】
図1は、ネットワーク12を介して動作するBSRサービス10の一実施形態を示すブロック図である。BSRサービス10は、第1の装置14および第2の装置16として示される少なくとも1の装置を有する。さらに、BSRサービスは、少なくとも1のリポジトリサーバ18を有する。図1に示すように、第1および第2の装置14、16およびリポジトリサーバ18はネットワーク12を介して通信接続されている。別の態様において、BSRサービス10は、任意の数の装置、リポジトリサーバ、および/またはネットワーク対応装置を有してよい。本明細書中において、「結合」、「接続」、または「相互接続」という用語は、電気的な結合、光学的な結合、無線による結合、および/またはシステム、装置、および/またはコンポーネント間にインターフェイスを提供するその他の結合を意味する。
【0019】
ネットワーク12は、例えばインターネット、公的および/または私的イントラネット、エクストラネット、および/またはデータおよびコマンド転送を可能にするその他のネットワーク構成である。ネットワーク12内で行われる通信で用いられる通信媒体は、有線通信システムおよび/または無線通信システムである。通信媒体は、例えば、通信チャンネル、電波、マイクロ波、有線通信、光ファイバー通信、またはデータ、音声、および/または動画像情報を送信可能なその他の通信媒体である。
【0020】
第1および第2の装置14、16は、ネットワーク12を介した通信接続が可能な任意のタイプのコンピュータ装置または同様のハードウェアである。さらに、第1および第2の装置14、16は、ユーザインターフェイス(UI)、メモリ、マイクロプロセッサ、および/またはその他のハードウェアと関連するオペレーティングシステム/アプリケーションを有する。第1および第2の装置14、16は、例えば携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ポケットパソコン(PC)、または無線通信が可能なその他の装置であってもよい。さらに、第1および第2の装置14、16は、例えばネットワーク端末、パソコン、サーバ、またはネットワーク12を介して有線通信が可能なその他の装置であってもよい。別の態様において、第1および第2の装置14、16は有線および無線通信機能の両方を有してもよい。
【0021】
図1に示すように、第1の装置14上では第1のブラウザ20が動作する。同様に、第2の装置16上では第2のブラウザ22が動作する。第1および第2のブラウザ20、22は、ネットワーク12上の別の装置からダウンロードしたページ特定して表示できる第1および第2の装置14、16上で動作する、任意のフォームのアプリケーションである。本実施形態において、第1および第2のブラウザ20、22は、例えばマイクロソフト(登録商標)インターネットエクスプローラ(登録商標)、および/またはネットスケープナビゲータ(登録商標)等のウェブブラウザである。別の態様において、第1および第2のブラウザ20、22は、ネットワーク12を介してダウンロードした任意の形式のページを特定して表示する機能を有する、任意の形式の同種同士または異種同士のブラウザでもよい。第1および第2のブラウザ20、22は、テキストおよびグラフィックの表示に加えて、動画像、音声、マルチメディアおよび/またはその他情報の表示をサポートしてもよい。BSRサービス10の動作も、第1および第2のブラウザ20、22によってサポートされることが望ましい。第1および第2のブラウザ20、22は第1および第2の装置14、16上で起動、操作され、リポジトリサーバ18と連携して動作する。
【0022】
リポジトリサーバ18は、少なくとも1のサーバ等の、ネットワーク12を介して要求を受信し応答を送信できる任意の形式のコンピュータ装置である。本実施形態において、リポジトリサーバ18はBSRサービス10のインフラストラクチャ内で動作し、第1および第2の装置14、16から要求を受信し応答を送信する通信機能を有する。ある態様において、リポジトリサーバ18はハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)サーバであってもよい。この態様において、第1および第2の装置14、16は、HTTPおよび/または高信頼ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTPS)を用いてリポジトリサーバ18と通信を行うようにしてもよい。別の態様において、ファイル転送プロトコル(FTP)、ネットニューズ転送プロトコル(NNTP)、簡易メール転送プロトコル(SMTP)、リモートメッセージインターフェイス(RMI:Remote Message Interface)、コルバ(CORBA:Common Object Request Broker Architecture)、コンポーネントオブジェクトモデル(COM:Component Object Model)、公的および私的専用プロトコル等のプロトコルを用いてもよい。
【0023】
BSRサービス10の動作中、ユーザは、第1の装置14上で動作する第1のブラウザ20を使用してアクティブセッションを確立する。「アクティブセッション」という用語は、ネットワーク12上の別の装置との任意の形式の対話を意味する。この対話では、別の装置から提供される情報が第1のブラウザ20を操作するユーザに対して表示、通信、伝達される。典型的なアクティブセッションとして、第1のブラウザ20を使用してウェブページおよび関連する資料の場所を特定した後、その情報をダウンロードして表示するウェブセッションがある。
【0024】
アクティブセッションを確立してカスタマイズした後、ユーザは、BSRサービス10を利用してアクティブセッションのブラウザの現状態を取り込んで(capture)保存することができる。本明細書中において、アクティブセッションの「カスタマイズ」または「カスタム化」という用語は、第1のブラウザ20を使用した対話によりブラウザ状態に蓄積されるアクティブセッションの変更を意味する。さらに、「ブラウザの現状態」または「ブラウザ状態」という用語は、ユーザがブラウザを使用して生成したアクティブセッションのカスタマイズされた状態を意味する。第1のブラウザ20を使用して確立されるアクティブセッションのブラウザの現状態とそれに関連する属性は格納可能な形式で取り込まれる。取り込まれたアクティブセッションのブラウザの現状態は、「スナップショット」または「ブラウザスナップショット」と呼ばれる。
【0025】
アクティブセッションのブラウザの現状態は、ブラウザキャッシュおよびブラウザ履歴により構成される。ブラウザキャッシュおよびブラウザ履歴には、ドキュメントオブジェクトおよびスクリプトオブジェクトの現状態に加えて、例えば第1のブラウザ20が最後に表示したページが含まれる。従って、取り込まれたアクティブセッションのブラウザの現状態に含まれるページは動的でも静的であってもよい。さらに、ブラウザキャッシュおよびブラウザ履歴は、以前におよび/または最後に表示されたページ上で変更あるいは入力された値、ブラウザ履歴、クッキー、および/またはユーザによってカスタマイズ可能なアクティブセッションのブラウザの現状態に関連するその他のパラメータを含んでもよい。ユーザは、リポジトリサーバ18を使用してネットワーク12内にアクティブセッションのブラウザの現状態を安全に保存できる。
【0026】
BSRサービス10によれば、ユーザは、保存されたアクティブセッションのブラウザの現状態を後で安全に読み出すことができる。ユーザは、リポジトリサーバ18および任意の装置上の任意のブラウザを使用して、保存されたブラウザの現状態を取り出すことができる。例えば、ユーザは、第1の装置14上で第1のブラウザ20、第2の装置16上で第2のブラウザ22、またはその他任意の装置とそれに付随するブラウザを用いてもよい。保存されたブラウザの現状態が読み出されると、アクティブセッションのブラウザ状態は復元され、同一のアクティブセッションをスナップショットが取り込まれた時点から再開できる。」(第10?12頁)

(ニ)「【0029】
ある態様において、BSRサービス10はインターネットのインフラストラクチャとそれに付随するプロトコルを用いて実施可能である。この態様では、BSRサービス10の導入にあたり、既存のウェブサイト、装置とそれに付随するブラウザにほとんど変更を加える必要がない。別の態様において、BSRサービス10はその他任意のインフラストラクチャとそれに付随するプロトコルを用いて実施してもよい。」(第13頁)

(ホ)「【0043】
図5に示すように、ユーザインターフェイスバー50は、BSRサービス10とユーザとを媒介するためのユーザ画面を表示する。本実施形態のユーザインターフェイスバー50は、認証装置ID欄60、ユーザID欄62、スナップショットボタン64、セッション名欄66、セッションパスワード欄68、復元ボタン70、セッション選択欄72、サインオフボタン74、およびBSRリポジトリモジュール欄76を備える。別の態様において、ユーザインターフェイスバー50は追加機能やBSRサービス10の動作に関する情報を備えてもよい。
【0044】
図2、3および5に示すように、ユーザから提供されたログイン情報が認証されアクセスが許可されると、本実施形態のユーザ画面がユーザインターフェイスバー50に表示される。従って、ユーザID欄62には、ログインに成功した正当なユーザの識別子が入力される。この識別子は、例えばユーザ名、番号、またはアクセスを許可されたユーザを示すその他の識別子である。
【0045】
ユーザは、スナップショットボタン64を選択することにより、BSR装置モジュール34の取り込みコンポーネント44を起動できる。上述したように、取り込みコンポーネント44を起動することによりスナップショットを取り込むことができる、すなわちアクティブセッションのブラウザの現状態を取り込むことができる。取り込みコンポーネント44は、スナップショットの取り込みが開始されるとアクティブセッションのブラウザ状態に関する複数のセッションパラメータを取り込む。ある態様において、このセッションパラメータには、ブラウザに表示中のページを構成する少なくとも1のドキュメントオブジェクトモデル(DOM)、現在のページを構成する少なくとも1のスクリプトオブジェクト、現在のセッションのブラウザ履歴、ブラウザキャッシュ、およびクッキーが含まれる。別の態様において、取り込みコンポーネント44は、アクティブセッションのブラウザの現状態を構成するその他の形式のセッションパラメータを取り込んでもよい。
【0046】
従来から周知なように、DOMは、HTMLおよびXML文書用の1組のアプリケーションプログラムインターフェイス(API)である。一般的に、DOMは文書の論理構造を定義し、ブラウザに表示される文書へのアクセスおよび操作のための標準のインターフェイスを提供する。DOMにより定義されたインターフェイスを用いて、文書構造とそれに含まれる要素の構築および変更に加えて、文書構造内の移動が行われる。
【0047】
例えば、マイクロソフト(登録商標)インターネットエクスプローラ(登録商標)を使用してHTMLページを解析すると、DOM構造が作成される。DOM構造は、ブラウザに表示されたHTMLページの構造を表す。DOM構造の各ノードはドキュメント情報を表す。ドキュメント情報には、HTMLページのHTML要素、XML要素、属性、および/またはテキストが含まれる。例えば、<a href=http://www.docomolabs-usa.com>DoCoMo</a>というHTMLの場合、”a”要素のノード、”href”属性のノード、およびテキスト内容の2つのノードの合計4つのノードで表される。
【0048】
従来から周知なように、各DOM構造の各ノードには、ブラウザにおける表示方法および動作を定義する1組の属性が含まれている。BSR装置モジュール34は、コンテンツおよびノードの属性を含むこのようなDOM構造をスナップショット内に取り込むよう指示される。別の態様において、Compact HTML(cHTML)、Wireless Application Protocol(WAP)、Wireless Markup Language(WML)、および/またはその他のプロトコルや言語を解析する機能を備えたブラウザを使用してBSR装置モジュール34により取り込み可能な構造を作成してもよい。
【0049】
例えば、マイクロソフト(登録商標)インターネットエクスプローラ(登録商標)にページをダウンロードして、BSRサービス10によりアクティブセッションのブラウザの現状態を保存する場合を想定する。ユーザがスナップショットボタン64を選択すると、取り込みコンポーネント44は、ブラウザに表示されているページの最上位フレーム内の全ドキュメントオブジェクトをたどる。取り込みコンポーネント44は最上位フレーム内の各ノードとその属性を取り込む。さらに、取り込みコンポーネント44は下位フレームに進み、DOM構造のノードとその属性を取り込む。
【0050】
取り込みコンポーネント44により取り込まれる別のセッションパラメータとして、スクリプトオブジェクトがある。VB ScriptやJavaScript等のスクリプトオブジェクトは、ブラウザにダウンロードされるページに含まれる。取り込みコンポーネント44はこのようなスクリプトオブジェクトをブラウザスナップショットの一部として取り込むようにしてもよい。スクリプトオブジェクトはDOMドキュメントとともに取り込まれてもよい。従って、取り込みコンポーネント44は、ページを構成するDOMおよびスクリプトオブジェクトの両方を同時に取り込む。また、取り込みコンポーネント44はスクリプトオブジェクトのみを取り込むようにしてもよい。
【0051】
例えば、マイクロソフト(登録商標)インターネットエクスプローラ(登録商標)を使用する場合、スクリプト変数は、IDispatchオブジェクトと表されるスクリプトタグで定義される。IDispatchオブジェクトは、実行時、マイクロソフト(登録商標)インターネットエクスプローラ(登録商標)が備えるスクリプトエンジンを用いてアクセスされる。ある態様において、マイクロソフト(登録商標)インターネットエクスプローラ(登録商標)を使用してスナップショットを取り込む場合、スクリプト変数に対応するIDispatchオブジェクトはシリアル化されて取り込まれるが、対応するスクリプト機能は取り込まれない。従来から周知なように、マイクロソフト(登録商標)インターネットエクスプローラ(登録商標)のスクリプト機能は一定である。別の態様において、スクリプト機能とスクリプト変数の両方が取り込みコンポーネント44により取り込まれてもよい。
【0052】
取り込みコンポーネント44により取り込まれるさらに別のセッションパラメータとして、クッキーがある。一般的に、クッキーは、ユーザ固有の情報を含む周知の装置識別子である。従来から周知なように、クッキーは、ダウンロードされるページとともにブラウザに提供される。取り込みコンポーネント44は、取り込みプロセスにおいて、クッキーをnameおよびvalue要素の対として解釈して保存する。、クッキーは取り込まれると、取り込みコンポーネント44により取り込まれるその他の情報に付加される。マイクロソフト(登録商標)インターネットエクスプローラ(登録商標)が使用される場合、クッキーは上述した各スナップショットのDOM構造に付加される。
【0053】
取り込みコンポーネント44により取り込まれるさらに別のセッションパラメータとして、アクティブセッションのブラウザ履歴がある。ブラウザ履歴は、ブラウザが以前に表示したページの集合である。従って、取り込みコンポーネント44はブラウザ履歴に登録されたページを取り込み、取り込まれたその他の情報に付加する。マイクロソフト(登録商標)インターネットエクスプローラ(登録商標)が使用される態様において、ブラウザは、URL履歴を検索および設定するためにIURHistoryStgインターフェイスを備える。この態様では、ブラウザ履歴を取り込む際に、URL履歴を列挙し、列挙されたURLを取得し、取得したURLをDOM構造およびクッキーに付加する。
【0054】
ユーザは、取り込みコンポーネント44を用いて、取り込まれたアクティブセッションのブラウザの現状態に対してセッション名とセッションパスワードを設定してもよい。ユーザは、図4に示されるセッション名欄66に固有のセッション名を入力する。あるいは、ユーザは、以前に取り込んだブラウザ状態のセッション名を選択してもよい。セッション名が設定されない場合、ウェブサイトのホスト名等をデフォルトセッション名として、取り込んだアクティブセッションのブラウザ状態を識別してもよい。
【0055】
ユーザは、図4に示されるセッションパスワード欄68に入力されるセッションパスワードを用いてブラウザスナップショットを保護してもよい。このセッションパスワードにより、取り込んだブラウザスナップショットへの不正アクセスを防止できる。別の態様において、セッションパスワードの入力方法には、音声パスワードやブラウザスナップショットへの不正アクセスを防止するその他のメカニズムが含まれる。
【0056】
ブラウザスナップショットは取り込まれると、取り込みを指示したユーザと関連付けられる。つまり、スナップショットは、ブラウザ状態を取り込んだブラウザおよび/または装置ではなく、ユーザと関連付けられる。スナップショットは、ユーザと関連付けられる際、ユーザのアカウント情報、ユーザ名、またはアクティブセッションをカスタマイズしてブラウザスナップショットを取り込んだユーザを一意に識別するその他のメカニズムと関連付けられる。各ユーザと関連付けられたブラウザスナップショットはネットワーク12内の安全な場所に保存される。
【0057】
本実施形態において、ブラウザスナップショットはBSRリポジトリモジュール36により保存される。本実施形態において、セキュリティコンポーネント42は、BSR装置モジュール34とBSRリポジトリモジュール36間の高信頼性接続を確立し、取り込んだアクティブセッションのブラウザ状態をネットワーク12を介して送信する。別の態様において、取り込んだアクティブセッションのブラウザ状態がネットワーク12内の他の場所に保存される場合、セキュリティコンポーネント42は、ネットワークに接続されたその他の装置と高信頼性接続を確立し、ブラウザスナップショットを安全に送信する。
【0058】
ある態様において、セッション名およびセッションパスワードの入力後、ブラウザスナップショットを自動的に保存するようにしてもよい。別の態様において、ユーザは、別のコマンドでおよび/または保存場所を選択してブラウザスナップショットの保存を開始してもよい。ユーザがアクティブセッションのブラウザ状態を取り込んだ後も当該アクティブセッションのカスタマイズを続けた場合、取り込みコンポーネント44は、取り込んだアクティブセッションのブラウザスナップショットとの不一致の可能性を警告してもよい。」(第15?18頁)

(ヘ)「【0092】
図10は、上述したネットワーク12を介して動作するBSMシステム300を示すブロック図である。同図に示すように、BSMシステム300は、アプリケーションサーバ302、第1および第2の装置304、306として示される通信装置、およびリポジトリサーバ308をそれぞれ少なくとも1ずつ備える。別の態様において、BSMシステム300は、任意の数のアプリケーションサーバ、通信装置、リポジトリサーバ、およびその他のネットワーク対応装置を備えてもよい。
【0093】
アプリケーションサーバ302は、第1および第2の装置304、306等の、ネットワーク12上の装置に対してアプリケーションを提供可能な任意のネットワーク対応装置である。アプリケーションサーバ302は、プロセッサ、メモリ、マルチプラットフォームウェブアプリケーション等の少なくとも1のマルチプラットフォームネットワークアプリケーション、サーバ状態モジュール312、およびプラットフォームアダプタモジュール314を備える。アプリケーションサーバ302は、オペレーティングシステムおよびプログラムもメモリに備え、通常のネットワークサーバコンピュータと同程度の能力を有する。ネットワークを介してネットワークアプリケーションを提供する周知のメカニズムでは、HTTP要求等の要求によりアプリケーションサーバ302とのアクティブセッションが開始される。
【0094】
この要求は、第1および第2の装置304、306等の対象プラットフォームからネットワーク12を介してアプリケーションサーバ302に送信される。アプリケーションサーバ302は、プラットフォームの種類(例えば、デスクトップパーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話等)と対象プラットフォームのために起動されるマルチプラットフォームネットワークアプリケーションの当該プラットフォームに依存するバージョンを特定する。次に、アプリケーションサーバ302は、サーバ状態モジュール312を用いてサーバ状態を生成する。このサーバ状態は、対象プラットフォームに対応するプラットフォーム依存ネットワークアプリケーションとともに動作する。プラットフォーム依存ネットワークアプリケーションとは、対象プラットフォームのブラウザとのアクティブセッションの確立および維持可能な、マルチプラットフォームネットワークアプリケーションのプラットフォーム依存バージョンである。
【0095】
図11、12、および13は、プラットフォームの異なるブラウザ表示例を示す図である。各プラットフォームは、ネットワークアプリケーションの各プラットフォームに依存するバージョンとともに動作するサーバ状態によりサポートされる、各プラットフォームに依存するバージョンは、バージョンが異なるマルチプラットフォームネットワークアプリケーション(この例では、ブックストアアプリケーション)である。図11、12、および13に示される各表示例は、各プラットフォームの表示画面のサイズ、ユーザインターフェイス装置、およびネットワーク接続のタイプ等の能力に最適化された各プラットフォームに依存するブックストアアプリケーションの表示である。別の態様において、マルチプラットフォームネットワークアプリケーションは任意の数のプラットフォームに対応してよい。
【0096】
図11に示される第1のブラウザ表示例324は、ブックストアアプリケーションの第1のプラットフォームに依存するバージョンにより生成される。第1のプラットフォームに依存するバージョンは、デスクトップまたはラップトップコンピュータ等の表示画面が比較的大きくネットワーク接続が比較的安定したプラットフォームによるアクティブセッションに用いられる。表示画面が比較的大きいため、このプラットフォームは、書籍目録タスク326、ショッピングカートタスク328、およびチェックアウトタスク330を一画面中に表示できる。ネットワーク12への高速接続と多様なユーザインターフェイス装置により、アクティブセッション中の操作にはスクロール、マウスクリック、キーボードによるデータ入力等が用いられる。」(第24?25頁)

(ト)「【0102】
図10に示されるプラットフォームアダプタモジュール314は、サーバ状態モジュール312と連携して動作する。プラットフォームアダプタモジュール314は、アクティブセッションのサーバ側ランタイム状態のプラットフォーム依存(PS)スナップショットを取り込む能力を有する。アクティブセッションのサーバ側PSスナップショットは、アクティブセッション中にブラウザおよびアプリケーションサーバ302間で進行中の対話に関連するプラットフォーム依存ランタイム状態データを含む。プラットフォームアダプタモジュール314によってサーバ側PSスナップショットに取り込まれるプラットフォーム依存ランタイム状態データの量、種類、および詳細については、マルチプラットフォームネットワークアプリケーションの開発者により指定される。サーバ側PSスナップショットに取り込まれるプラットフォーム依存ランタイム状態は、別のデータベースへのリンク、アクティブセッションに関連するキャッシュデータ、オープンファイル、入力/出力、JSPまたはCGI変数等を含んでもよい。サーバ側PSスナップショットは、プラットフォームアダプタモジュール314により、第1および第2の装置304、306、および/またはリポジトリサーバ308にネットワーク12を介して送信される。」(第26頁)

(チ)「【0107】
図14は、BSMモジュール316の一実施形態を示すブロック図である。BSMモジュール316は、上述したインターフェイスコンポーネント40、セキュリティコンポーネント42、取り込みコンポーネント44、および復元コンポーネント46に加えて、変換モジュール350および状態ハンドラモジュール352を備える。上述したように、取り込みコンポーネント44によって取り込まれるブラウザ側プラットフォーム依存(PS)スナップショットは、アクティブセッションのブラウザ側プラットフォーム依存ランタイム状態を含む。別の態様において、BSMモジュール316は、任意の数のモジュールまたはコンポーネントを備えてよい。
【0108】
変換モジュール350は、取り込みコンポーネント44と連携して動作し、ネットワークアプリケーションのプラットフォーム依存バージョンのブラウザ側ランタイム状態(ブラウザ側PSスナップショット)を選択的に変換する。プラットフォームアダプタモジュール314と同様に、ブラウザ側PSスナップショットは、マッピング記述ファイルを用いて、ブラウザ側プラットフォーム非依存ランタイム状態に変換される。具体的には、ブラウザ側PSスナップショットに含まれるブラウザ側プラットフォーム依存ランタイム状態データが、プラットフォーム非依存ランタイム状態データに選択的に変換される。また、変換モジュール350は、復元コンポーネント46と連携して動作し、ブラウザ側プラットフォーム非依存ランタイム状態を、ブラウザ側プラットフォーム依存ランタイム状態データを含むブラウザ側PSスナップショットに選択的に変換する。
【0109】
変換モジュール350は、マッピング記述ファイルを用いて状態データを選択的に変換する。プラットフォームアダプタモジュール314と同様に、マッピング記述ファイルには、アプリケーション開発者により、ブラウザ側PSスナップショットに含まれるブラウザ側プラットフォーム依存ランタイム状態データおよびブラウザ側プラットフォーム非依存ランタイム状態データ間の選択的な変換について記述される。
【0110】
ブラウザ側PSスナップショットが変換されると、状態ハンドラモジュール352は、ブラウザ側プラットフォーム非依存ランタイム状態を変換モジュール350から受信する。また、状態ハンドラモジュール352は、サーバ側プラットフォーム非依存ランタイム状態を含むPIスナップショットをプラットフォームアダプタモジュール314から受信する。サーバ側プラットフォーム非依存ランタイム状態は、PIスナップショット内において、ブラウザ側プラットフォーム非依存ランタイム状態と結合される。アクティブセッションのプラットフォーム非依存ランタイム状態を含むPIスナップショットは、リポジトリサーバ308に送信される。」(第27頁)

(リ)「【0115】
図15は、BSMリポジトリモジュール322の一実施形態を示すブロック図である。BSMリポジトリモジュール322は、図6に示される上述のログインセキュリティコンポーネント80、ページサーバコンポーネント82、スナップショット保存コンポーネント84、および通信セキュリティコンポーネント86に加えて、状態ハンドラモジュール354を備える。状態ハンドラモジュール354は、第1および第2の装置304、306、および/またはアプリケーションサーバ302のいずれかからブラウザ側PSスナップショットとサーバ側PSスナップショットを受信し、変換、結合してPIスナップショットを生成する。別の態様において、BSMリポジトリモジュール322は任意の数のモジュールを備えてよい。」(第28頁)

(ヌ)「【0118】
ユーザは、第1の装置304等の通信装置を用いてマルチプラットフォームネットワークアプリケーションの起動を要求し、アクティブセッションを開始する。第1の装置304上で動作する第1のブラウザ318とのアクティブセッションを確立、維持するために、マルチプラットフォームネットワークアプリケーションのプラットフォーム依存バージョンがサーバ状態とともに用いられる。アクティブセッション中、第1の装置304のユーザは、BSMシステム300を利用してアクティブセッションの取り込みを開始する。
【0119】
アクティブセッションのプラットフォーム依存ランタイム状態は、PSスナップショットとして取り込まれる。具体的には、第1の装置304上で動作する第1のブラウザ318のブラウザ現状態と、アプリケーションサーバ302のサーバ現状態が取り込まれる。ブラウザ現状態を含むPSスナップショットとサーバ現状態を含むPSスナップショットは結合され、アクティブセッションのプラットフォーム非依存ランタイム状態を含むPIスナップショットに変換される。PIスナップショットはリポジトリサーバ308に保存される。
【0120】
PIスナップショットは、第2の装置306等の対象装置を用いて後で読み出される。PIスナップショットは、第2の装置306のハードウェアおよび/またはソフトウェア能力(プラットフォーム)に基づいてPSスナップショットに変換される。サーバ側PSスナップショットには、サーバ側プラットフォーム依存ランタイム状態データが含まれ、ブラウザ側PSスナップショットには、ブラウザ側プラットフォーム依存ランタイム状態データが含まれる。プラットフォーム依存ランタイム状態はアクティブセッションとしてインスタンス化され、以前に確立されたアクティブセッションが再開される。アクティブセッションの再開には、アプリケーションサーバ302と第2の装置306上で動作する第2のブラウザ320が用いられる。従って、アクティブセッションは、あらゆるプラットフォーム上で復元可能である。」(第29頁)

(ル)「【0145】
図17は、図10に示されるBSMシステム300の動作例を示すフローチャートである。ここでは、アクティブセッションを表すPIスナップショットが保存される。まず、ブロック402において、ユーザは第1の装置304上で第1のブラウザ318を起動する。ブロック404において、ユーザは、第1の装置304を用いてリポジトリサーバ308にログオンする。ブロック406において、ユーザは、第1の装置304を用いてアクティブセッション開始要求をアプリケーションサーバ302に送信する。
【0146】
ブロック408において、アプリケーションサーバ302は、第1の装置304のプラットフォームの種類を特定する。ブロック410において、アプリケーションサーバ302は、第1の装置304のプラットフォームに対応する、マルチプラットフォームネットワークアプリケーションのプラットフォーム依存バージョンを起動する。ブロック412において、第1の装置304の第1のブラウザ318は画面を表示する。ブロック414において、ユーザがアクティブセッション中に操作を行うと、ブラウザ状態およびサーバ状態の変更が行われる。ブロック416において、ユーザは、第1の装置304を用いてアクティブセッションのスナップショット取り込みを開始する。
【0147】
ブロック418において、第1の装置304のBSMモジュール316は、ネットワーク12を介してプラットフォームアダプタモジュール314に保存要求を送信する。この保存要求はURL等のリソースロケータであり、第1の装置304のプラットフォームを特定するための少なくとも1の暗号化された変数が添付されている。ブロック420において、プラットフォームアダプタモジュール314は、アクティブセッションのサーバ側ランタイム状態(状態データおよびセッションデータ)をサーバ側PSスナップショットとして取り込む。ブロック422では、マスターマッピングファイルを用いて、保存要求で特定されるプラットフォームに対応するマッピング記述ファイルを特定する。ブロック424では、特定されたマッピング記述ファイルを用いて、サーバ側PSスナップショットがPIスナップショットに変換される。
【0148】
図18のブロック426において、プラットフォームアダプタモジュール314は、保存要求に対する応答として第1の装置304に対してPIスナップショットを送信する。ブロック428では、保存要求に対する応答として、特定されたマッピング記述ファイルがさらに第1の装置304に送信される。ブロック430において、BSMモジュール316は、サーバ側プラットフォーム非依存ランタイム状態を含むPIスナップショットを受信する。ブロック432において、BSMモジュール316は、ブラウザ側PSスナップショットとしてブラウザ側プラットフォーム依存ランタイム状態を取り込む。ブロック434において、BSMモジュール316は、マッピング記述ファイルを用いてブラウザ側PSスナップショットをブラウザ側プラットフォーム非依存ランタイム状態に選択的に変換する。ブロック436において、ブラウザ側プラットフォーム非依存ランタイム状態は、アプリケーションサーバ302から受信したPIスナップショットのサーバ側プラットフォーム非依存ランタイム状態と結合される。ブロック438において、アクティブセッションのプラットフォーム非依存ランタイム状態を含むPIスナップショットは、シリアル化されてリポジトリサーバ308に送信される。ブロック440において、リポジトリサーバ308はPIスナップショットを保存する。」(第34?35頁)

(ヲ)「【0150】
図19は、図10に示されるBSMシステム300の動作例を示すフローチャートである。ここでは、図17および18に示されるように第1の装置304を用いて保存されたPIスナップショットが、アクティブセッションに復元される。まず、ブロック502において、第2の装置306等の通信装置上でブラウザを起動する。ここでは説明のため、第2の装置306のプラットフォームが第1の装置304のものとは異なると想定する。ブロック504において、ユーザは第2の装置306を用いてリポジトリサーバ308にログオンする。ブロック506において、ユーザは、以前に保存されたアクティブセッションのPIスナップショットの復元を決定し、ネットワーク12を介してリポジトリサーバ308に復元要求を送信する。ブロック508において、リポジトリサーバ308は、復元要求の応答として、保存されたPIスナップショットをネットワーク12を介して第2の装置306に送信する。
【0151】
ブロック510において、第2の装置306のプラットフォームのIDがセッション再開要求に含まれる。このセッション再開要求には、第2の装置306上で表示される表示状態を特定するための少なくとも1の暗号化された変数と、URL等のリソースロケータが含まれる。ブロック512において、第2の装置306は、セッション再開要求により、保存されたPIスナップショットをアプリケーションサーバ302に送信する。ブロック514において、プラットフォームアダプタモジュール314はマスターマッピングファイルにアクセスして、第2の装置306のプラットフォームに対応するマッピング記述ファイルを特定する。ブロック516において、プラットフォームアダプタモジュール314は、特定されたマッピング記述ファイルを用いて、PIスナップショットに含まれるサーバ側ランタイム状態をサーバ側PSスナップショットに変換する。ブロック518において、プラットフォームアダプタモジュール314はサーバ側PSスナップショットに含まれるサーバ側ランタイム状態を再インスタンス化する。ブロック520において、プラットフォームアダプタモジュール314は、セッション再開要求に対する応答として、セッション再開要求で特定される表示状態に対応する、復元されたアクティブセッションのページを送信する。
【0152】
ブロック522において、プラットフォームアダプタモジュール314は、セッション再開要求に対する応答として、特定されたマッピング記述ファイルも第2の装置306に送信する。ブロック524において、第2の装置306のBSMモジュール316は、マッピング記述ファイルを用いてPIスナップショットをブラウザ側PSスナップショットに変換する。ブロック526において、第2の装置306の第2のブラウザ320は、アプリケーションサーバ302がら送信されたページを表示する。ブロック528において、BSMモジュール316はブラウザ側ランタイム状態を再インスタンス化することで、表示ページ中のフォームにデータが入力され、スクリプト変数、クッキー等が再び初期化される。ブラウザ側PSスナップショットが完全に復元されると、ブロック530において、ユーザは第2の装置306の第2のブラウザ320を用いて、スナップショットが取り込まれた時点からアクティブセッションを再開する。別の態様において、BSMシステム300の他の装置が、マッピング記述ファイルを用いてPIスナップショットをPSスナップショットに変換してもよい。」(第35?36頁)

(ワ)「【0157】
【発明の効果】
上述したBSMシステム300によれば、任意のプラットフォームおよび任意のブラウザ上におけるアクティブセッションの取り込み、保存、および復元が可能になる。マルチプラットフォームネットワークアプリケーションのプラットフォーム依存バージョンのランタイム状態は取り込まれると、プラットフォーム非依存ランタイム状態に変換されて保存される。同様に、プラットフォーム非依存ランタイム状態は読み出されると、異なるプラットフォームに依存するランタイム状態に変換されて、マルチプラットフォームネットワークアプリケーションの、異なるプラットフォームに依存するバージョンに対応するプラットフォーム上で使用される。従って、ランタイム状態とプラットフォームとが関連付けられることがない。さらに、ランタイム状態には、アクティブセッションのサーバ側およびブラウザ側ランタイム状態の両方が含まれるため、アクティブセッションは無期限に保存され、アクティブセッションの状態データおよびセッションデータが完全な状態で復元される。また、ブラウザ側ランタイム状態のみが保存される場合でも、ランタイム状態と特定のプラットフォームとが関連付けられることはない。
【0158】
以上、本発明を具体的な実施形態を参照して説明してきたが、請求の範囲に記載された本発明の意図および範囲から逸脱することなくこれらの実施形態に対して種々の変更が可能であることは明白である。従って、本明細書および図面は例示的なものであり、限定的なものではない。」(第36?37頁)

これら引用刊行物の記載(主として図10に関する記載)から、引用刊行物には、ネットワーク上の装置間の通信に関して、アクティブセッションのブラウザ状態を保存し、保存されたセッションを後で読み出して再開するシステムに関し、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「第1の装置にアプリケーションを提供可能な任意の数のアプリケーションサーバと、ブラウザを有する第1の装置と、ブラウザを有する第2の装置と、HTTPサーバであるリポジトリサーバとがネットワークを介して接続され、
リポジトリサーバは、スナップショット保存コンポーネントを有し、
第1の装置において、第1の装置のブラウザの現状態を含むスナップショットは、アプリケーションサーバから受信したスナップショットのサーバの現状態と結合されてリポジトリサーバに送信され、リポジトリサーバのスナップショット保存コンポーネントにより保存され、
ユーザは以前に保存されたアクティスナップショットの復元を決定し、リポジトリサーバは復元要求を受信すると、保存済みスナップショットをネットワークを介して第2の装置に送信し、
第2の装置はスナップショットが取り込まれた時点からのアクティブセッションを再開することができる、
ブラウザセッションモビリティ(BSM)システム。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明を対比すると、
引用発明の「スナップショット保存コンポーネント」は、本願補正発明の「状態保存部」に相当する。
引用発明の、第1の装置にアプリケーションを提供可能な「アプリケーションサーバ」は、本願補正発明の、アプリケーションを提供する「遠隔サーバ」に相当し、引用発明のブラウザを有する「第1の装置」は、本願補正発明の、アプリケーションの提供を受ける「遠隔クライアント」に相当する。
引用発明のリポジトリサーバは復元要求を受信すると、保存済みスナップショットをネットワークを介して第2の装置に送信しており、引用発明の「復元要求」は、本願補正発明の「抽出命令」に相当し、引用発明のリポジトリサーバも抽出命令を管理しているということができる。
引用発明の「HTTPサーバであるリポジトリサーバ」は、本願補正発明の「ウェブサーバ」及び「ユーザインターフェースを管理する装置」に相当する。
引用発明のユーザインターフェースを管理する装置(リポジトリサーバ)は、保存済みスナップショットをネットワークを介して送信しており、引用発明のユーザインターフェースを管理する装置も本願補正発明の「通信部」に相当する手段を有していることは明らかである。

したがって、両者は
「ネットワークを通じて伝送される所定アプリケーションのユーザインターフェースの状態に対して、受信される抽出命令を管理するウェブサーバと、
アプリケーションを提供する少なくとも1つの遠隔サーバの状態およびアプリケーションの提供を受ける遠隔クライアントの状態を含む前記ユーザインターフェースの状態を保存する状態保存部と、
前記保存されたユーザインターフェースの状態のうち、前記抽出命令に従って抽出された特定ユーザインターフェースの状態を送信する通信部と、
を備えるユーザインターフェースを管理する装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1
本願補正発明は、ネットワーク上に装置が存在することを示す通知パケットを生成するパケット生成部を有しているのに対して、引用発明は、ネットワーク上に装置が存在することを示す通知パケットを生成するパケット生成部を有していない点。

相違点2
本願補正発明のウェブサーバは、前記通知パケットの配布結果として受信される前記状態の保存命令または抽出命令を管理するのに対して、引用発明のウェブサーバは、受信される抽出命令を管理するが、抽出命令は通知パケットの配布結果として受信されるものではなく、また、状態の保存命令について記載がない点。
また、本願補正発明の状態保存部は、保存命令に従ってユーザインターフェースの状態を保存するのに対して、引用発明はユーザインターフェースの状態を保存しているが、保存命令に従って保存するのかどうか明らかではない点。

相違点3
本願補正発明の通信部は、特定ユーザインターフェースの状態をHTMLで送信するのに対して、引用発明の通信部は、特定ユーザインターフェースの状態を送信しているが、HTMLで送信するのかどうか明らかではない点。

(3)当審の判断
以下、上記相違点について検討する。

相違点1について
ネットワーク上に設けられたサーバ等の装置において、装置が存在することを示す通知パケットをネットワークに(定期的に)送信することは、特表2005-505196号公報(段落【0022】、UPnPにおいて、存在を通知するために通知(ssdp:alive)をマルチキャストチャネルに定期的に通知することが記載されている。国際公開WO2003/030452参照)、特開2005-293352号公報(段落【0018】、UPnPにおいて、定期的に自己の存在を告知するパケットを送信することが記載されている。)周知であって、引用発明のネットワーク上のユーザインターフェースを管理する装置に適用して、当該装置がネットワーク上に装置が存在することを示す通知パケットを生成するパケット生成部を有する構成とすることに格別の困難性はない。

相違点2について
引用発明には、抽出命令を受信して管理すること、が記載されている一方、保存命令を受信して管理することについて記載はないが、引用発明には、ユーザインターフェースの状態を保存することが記載されており、ユーザインターフェースの状態の保存を保存命令を受信して管理することにより行うようにすることは当業者が適宜になし得ることである。
そして、上記相違点1の構成を採用した場合に、ネットワーク上の他の装置は、ユーザインターフェースを管理する装置から送信される通知パケットにより、ユーザインターフェースを管理する装置の存在を知ることができ、引用発明のウェブサーバを通知パケットの配布結果として受信される状態の保存命令または抽出命令を管理するように構成することは当業者が容易になし得ることである。

相違点3について
ウェブサーバにおいて通信をHTML(HTTPパケット)により行うことは周知であること、また、この点、特開2004-58341号公報(段落【0016】?【0019】、設定情報、コマンド等をHTML文書で送信することが記載されている。)、特開2003-244151号公報(段落【0011】、装置の管理情報をHTMLで送信することが記載されている。)に記載されているように情報をHTMLで送信することは周知であること、引用刊行物の記載事項(ホ)段落【0045】?【0048】に記載されているように引用発明のユーザインターフェースの状態(ブラウザの現状態を含むスナップショット)には、HTMLページを解析したDOM構造が含まれており、引用発明のユーザインターフェースの状態として、HTMLページを解析したDOM構造に代えて、HTMLとすることにより、引用発明の通信部を、特定ユーザインターフェースの状態をHTMLで送信する通信部とすることに格別の困難性はない。

そして、本願補正発明のように構成したことによる効果も引用発明及び周知技術から予測できる程度のものである。

したがって、本願補正発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成21年11月24日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年4月22日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「ネットワーク上に装置が存在することを示す通知パケットを生成するパケット生成部と、
前記ネットワークを通じて伝送される所定アプリケーションのユーザインターフェースの状態に対して、前記通知パケットの配布結果として受信される前記状態の保存命令または抽出命令を管理するウェブサーバと、
前記保存命令に従ってアプリケーションを提供する少なくとも1つの遠隔サーバの状態およびアプリケーションの提供を受ける遠隔クライアントの状態を含む前記ユーザインターフェースの状態を保存する状態保存部と、
前記保存されたユーザインターフェースの状態のうち、前記抽出命令に従って抽出された特定ユーザインターフェースの状態を送信する通信部と、
を備えるユーザインターフェースを管理する装置。」

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物及びその記載事項は、前記「2.(1)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から、「特定ユーザインターフェースの状態を送信する通信部」を「特定ユーザインターフェースの状態をHTMLで送信する通信部」とする限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含みさらに限定を付したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-03 
結審通知日 2011-08-09 
審決日 2011-08-29 
出願番号 特願2006-303991(P2006-303991)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須藤 竜也  
特許庁審判長 大野 克人
特許庁審判官 青木 健
稲葉 和生
発明の名称 ユーザインターフェースを管理する装置及び方法  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  
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