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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E01C
管理番号 1250657
審判番号 不服2010-28899  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-21 
確定日 2012-01-19 
事件の表示 特願2006-156510「歩道縁石のバリアフリー用ブロック」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月13日出願公開、特開2007-321539〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年6月5日の出願であって、平成22年9月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1?5に係る発明は、平成22年3月24日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち請求項1に係る発明は、次のとおりである。
「歩道縁石のブロックにおいて、歩道と車道の境界部に敷設する歩道縁石の隅角部の形状を2段または3段からなる階段形状としたことを特徴とする歩道縁石の自転車乗り入れ用のバリアフリー用ブロック。」(以下「本願発明」という。)

3.引用刊行物の記載内容
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開2006-63793号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。
(1a)「【請求項1】
車道と歩道との段差または施設や駅構内や陸橋などのスロープなどに代表されるような高低差を有する2点間を結ぶために生じる段差あるいは傾斜を解消するために設置する、車椅子利用者、視覚障害者および高齢者などの交通弱者用の、バリアフリー用ブロックであって、その形状を段高さのある複数段からなる階段状の段とし、該階段状の段の各段の大きさは、各段の段高さを車椅子の前輪の径の1/50?1/20、各段の奥行きを車椅子の前輪の径の1/8?1/3とし、かつ、該階段状の段からなるバリアフリー用ブロックの傾斜形状は車椅子の前輪と後輪の範囲内において10/100?50/100の勾配を有することを特徴とする複数段からなる階段状の段を有するバリアフリー用ブロック。
・・・
【請求項3】
階段状の段は、その段数を2?20段とし、最上段の歩道に連続する天端部分に10?200mmの水平部分を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の複数段からなる階段状の段を有するバリアフリー用ブロック。
・・・
【請求項8】
バリアフリー用ブロックは、複数段の階段状の段の突状角部に面取りを形成したことを特徴とする請求項1?7のいずれか1項に記載の複数段からなる階段状の段を有するバリアフリー用ブロック。」

(1b)「【0001】
この発明は、歩道と車道との段差、または施設や駅構内、若しくは陸橋のスロープなどに代表される様な、高低差を結ぶために生じる段差や傾斜を、車椅子利用者、あるいは視覚障害者や高齢者などの交通弱者にとって特段の力を必要とすることなく移動しやすい形状とするためのバリアフリー用ブロックに関する。
・・・
【0003】
このようなことを背景に、近年、バリアフリー、ユニバーサルデザインの取り組みが国土交通省その他で推進されている。中でも、交通関係に関して道路関係では『道路の移動円滑化整備ガイドライン』が示され、歩道と車道の境界の縁石の段差について乳母車・車椅子利用者は0cmを、視覚障害者は白杖での確認から最小2cmを必要とし、高齢者には明確な段差が望まれている。・・・折衷案として2cmの確保が決められた。」

(1c)「【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、車椅子利用者や高齢者などの交通弱者にとって最小エネルギーで使用でき、さらに視覚障害者には段の確認が容易であるバリアフリー用ブロックを提案することである。すなわち、車椅子利用者にとっては昇降しやすく、視覚障害者にとっても連続的な段があることで確実に段差が認識できるバリアフリー用ブロックを提案することである。さらに自転車利用者にとっても安定して自転車で通りうる余地を有するバリアフリー用ブロックを提案することである。また、さらに雨天などにおいて階段面の全面に雨水を溢流しにくくしたバリアフリー用ブロックを提案することである。」

(1d)「【0009】
請求項3の発明では、階段状の段5は、その段数を2?20段とし、最上段の歩道2に連続する天端部分2aに10?200mmの水平部分を有する請求項1又は2の手段における複数段からなる階段状の段5を有するバリアフリー用ブロックである。すなわち、バリアフリー用ブロック4において、段数を2?20段とするのは、本発明の目的が歩道と車道との段差など車椅子利用者が容易に登り降り出来るようにするものであるから、この目的に合う段差のものとして最大で20段であり、この段差を健常者が容易に歩いて昇り降り出来るものとするとき仮に20段以上の段があると、段が細かくなり過ぎ健常者の階段昇降の歩幅に合致しなくなることによる。さらにその最上段の歩道に続く天端部分2aに10?200mmの水平部分からなる幅を持たせたので、自転車で安定して登り降りすることができるものとなっている。」

(1e)「【0015】
本発明のバリアフリー用ブロックは、視覚障害者が認識できる段差を十分に確保すると同時に、視覚障害者の持つ白杖で十分に認識できるシグナルを付与することができ、車椅子利用者には負担が最小限に押さえられ、車道と歩道を区画する縁石などにおいて、その縁石の段差0cmのものと同様に車椅子が上るときに勾配により自然に後退しないものとすることができ、従来、必要であった長いスロープをなくすことができ、さらに、階段の蹴込み板の角度を0°より大で最大が90°としたもので、適宜その段差の高さに応じてその角度を定めることで、車椅子の車輪が一層に昇り降りしやすくなり、さらに最上段の天端部分に10?200mmからなる幅の水平部分を設けたので、自転車を利用する人も容易に通り得ることができ・・・」

(1f)「【0025】
この実施の形態の段状からなるバリアフリー用ブロック4を車道1と歩道2の境界に設置して、60kgfの人が乗った車椅子で上る際の推力と距離の関係を図2の(a)に示す。この場合、段高さ5aが5.5mmと小さいので、前輪に掛かる推力も先端の段から小さく、かつ、突出することなく、130N前後であり、また、後輪に掛かる推力も140N前後で安定し、上記実験のBタイプのバリアフリー用ブロック4の場合に劣ることなく優れている。さらに図2の(b)に示すように、運動量と距離の関係においても、グラフの線は前輪側および後輪側ともに直線の一次グラフとして表されている。このバリアフリー用ブロック4を設置した横断歩道は、視覚障害者が歩行しても、障害者が認識できる縁石の段差の2?10cm内であるので、この実施例の段差を認識することが十分にでき横断歩道の車道1側から歩道2側に移行する状態を通常の間隔で認識できるものであった。
【0026】
このバリアフリー用ブロック4の幅9は図2の(b)の斜視図では900mmmであるが、実際に設置する場合は、横断歩道などの幅に合わせて、この実施例の整数倍とすることができるし、また、適宜必要な幅9を定めることができる。」
(なお、「900mmm」との記載は、「900mm」と記載すべきところの誤記と認める。)

(1g)「【0029】
さらに、請求項3の実施の形態では、図8に示すように、バリアフリー用ブロック4では、階段状の段5が、その段数を2?20段とし、最上段の歩道2に続く天端部分2aに10?200mmの水平部分からなる幅を持たせたので、自転車で安定して登り降りできるものである。なお、上記の請求項2の手段の蹴込み板5bに傾斜角度を持たせることと、請求項3の手段の段数2?20段とし、かつ、最上段の歩道2に続く天端部分2aに10?200mmの水平部分からなる幅を持たせた点は、これらを自由に組み合わせて使用できる。」

・記載事項(1a)のバリアフリー用ブロックは、記載事項(1c)の「車椅子利用者や高齢者などの交通弱者にとって最小エネルギーで使用でき、さらに視覚障害者には段の確認が容易であるバリアフリー用ブロック」で、「さらに自転車利用者にとっても安定して自転車で通りうる」ものであるので、「車椅子利用者や高齢者などの交通弱者にとって最小エネルギーで使用でき、さらに自転車利用者にとっても安定して通りうるためのバリアフリー用ブロック」といえる。

これらの記載事項及び図面の記載によれば、刊行物1には、次の発明が記載されているものと認められる。
「車道と歩道の境界に設置して、車道と歩道間の段差を解消するためのバリアフリー用ブロックであって、その形状を段数を2?20段とする階段状の段とし、該階段状の段の各段の大きさは、各段の段高さを車椅子の前輪の径の1/50?1/20、各段の奥行きを車椅子の前輪の径の1/8?1/3とし、かつ、該階段状の段からなるバリアフリー用ブロックの傾斜形状は車椅子の前輪と後輪の範囲内において10/100?50/100の勾配を有するとともに、最上段の歩道に連続する天端部分に10?200mmの水平部分を有する、複数段からなる階段状の段を有する、車椅子利用者や高齢者などの交通弱者にとって最小エネルギーで使用でき、さらに自転車利用者にとっても安定して通りうるためのバリアフリー用ブロック。」(以下、「引用発明」という。)

4.対比
(1)両発明の対応関係
引用発明の「その形状を段数を2?20段とする階段状の段」とした構成は、段数を2段又は3段としたものも含んでいるので、本願発明の「隅角部の形状を2段または3段からなる階段形状とした」構成に相当する。
また、引用発明の「車椅子利用者や高齢者などの交通弱者にとって最小エネルギーで使用でき、さらに自転車利用者にとっても安定して通りうるためのバリアフリー用ブロック」と、本願発明の「自転車乗り入れ用のバリアフリー用ブロック」とは、「バリアフリー用ブロック」である点で共通する。

(2)一致点
「隅角部の形状を2段または3段からなる階段形状としたバリアフリー用ブロック。」

(3)相違点
ア.本願発明のバリアフリー用ブロックが、「歩道縁石のブロック」であって、2段または3段からなる階段形状とした隅角部が、「歩道と車道の境界部に敷設する歩道縁石の隅角部」であるのに対し、引用発明は、「車道と歩道の境界に設置して、車道と歩道間の段差を解消するためのバリアフリー用ブロック」であるが、「歩道縁石のブロック」と特定されておらず、かつ、階段形状とした隅角部も、「歩道と車道の境界部に敷設する歩道縁石の隅角部」と特定されていない点。
イ.本願発明のバリアフリー用ブロックが、「歩道縁石の自転車乗り入れ用のバリアフリー用ブロック」であるのに対し、引用発明は、「車道と歩道の境界に設置して、車道と歩道間の段差を解消するためのバリアフリー用ブロック」であって、「車椅子利用者や高齢者などの交通弱者にとって最小エネルギーで使用でき、さらに自転車利用者にとっても安定して通りうるための」ものであるが、「歩道縁石の自転車乗り入れ用のバリアフリー用ブロック」と特定されていない点。

5.判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点ア.に関して、
(a)まず、引用発明の「車道と歩道間の段差を解消するためのバリアフリー用ブロック」は、記載事項(1b)の「歩道と車道との段差」や「高低差を結ぶために生じる段差や傾斜」を「移動しやすい形状とする」機能のものであり、さらに、刊行物1には、「車道と歩道間の段差」に関して、記載事項(1b)で「歩道と車道の境界の縁石の段差について乳母車・車椅子利用者は0cmを、視覚障害者は・・・最小2cmを必要とし、・・・折衷案として2cmの確保が決められた。」と、記載事項(1e)で「本発明のバリアフリー用ブロックは、・・・車道と歩道を区画する縁石などにおいて、その縁石の段差0cmのものと同様に車椅子が上るときに勾配により自然に後退しないものとすることができ」と記載されているので、引用発明は、歩道と車道の境界の縁石の段差を解消することにより、移動をしやすくするものといえる。
(b)一方、車道と歩道の境界部を、歩道と車道の境界部に敷設して構成すると共に、当該縁石ブロックの内、車道・歩道間の乗降を意図する個所の縁石ブロックを、段差が低いものとしたり、勾配を付けたりする等によって、歩道と車道との間の移動をしやすい構成とすることは、例えば、登録実用新案第3035326号公報の【0002】【0012】【図1】?【図7】、登録実用新案第3060219号公報の【0002】【0022】【図8】【図11】に記載されているように従来から周知慣用の技術である。
(c)そして、歩道道と車道の境界の縁石の段差を解消することにより、移動をしやすくするものである、引用発明の「バリアフリー用ブロック」を、歩道と車道との間の移動をしやすくするという目的で共通する、従来周知慣用の、車道・歩道間の乗降を意図する個所の縁石ブロックとして用いることは、当業者が容易になし得たことである。
(d)また、上記(c)に伴い、引用発明の「階段状の段」は、歩道と車道の境界部に敷設する縁石ブロックの隅角部に構成されることになることは自明である。

(2)相違点イ.に関して、
(a)まず、引用発明の「車椅子利用者や高齢者などの交通弱者にとって最小エネルギーで使用でき、さらに自転車利用者にとっても安定して通りうるためのバリアフリー用ブロック」との発明特定事項中の「自転車利用者にとっても安定して通りうる」との事項は、当該バリアフリー用ブロックを自転車利用者が通ることを意図した記載と認められる。
さらに、刊行物1の記載事項(1f)には、バリアフリー用ブロックが「横断歩道」で使用されることも記載されており、道路交通法の規定はさておき、通常「横断歩道」は、歩行者のみならず、自転車利用者も通行するものと認識されていることからも、引用発明のバリアフリー用ブロックは、自転車利用者が通る所に用いることを意図したものと認められる。
(b)また、引用発明のバリアフリー用ブロックは、記載事項(1b)の「歩道と車道との段差」や「高低差を結ぶために生じる段差や傾斜」を「移動しやすい形状とする」、すなわち、障壁を無くし(barrier free)移動しやすくするという機能を基本機能とするものであり、一般的に該段差等は自転車に対しても、移動の障壁となるものとして認識されているものであるので、上記バリアフリー用ブロックの障壁を無くし移動しやすくするという基本機能は、自転車利用者が通る場合においても有益に機能するものといえる。
(c)そうすると、引用発明のバリアフリー用ブロックは、自転車利用者が通ることを意図し、かつ、そのときも障壁を無くし移動しやすくするという基本機能を生じて、自転車のためにも有益に用いられるものであるので、「自転車乗り入れ用のバリアフリー用ブロック」ともいえるものである。

(3)相違点全体に関して、
そうすると、引用発明の「バリアフリー用ブロック」を、上記(1)に記載したように、従来周知慣用の車道・歩道間の乗降を意図する個所の縁石ブロックとして用いると共に、上記(2)に記載したように、「自転車乗り入れ用のバリアフリー用ブロック」と呼称して、相違点に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

(4)請求人の主張に関して、
A.なお、請求人は、審判請求書において、
(a)「自転車が単に通行可能であるというだけの引用文献1の発明と、本願発明のように自転車が車道から歩道へと斜めに走り上がる場合に適用可能な手段を提供しようとする本発明とでは、もともとの課題もその解決手段も大きく思想を相違しているのである。」
(b)「引用文献1の2段?20段という段数を有するバリアフリー用ブロックは、横断歩道の手前の車道側に設置するものであるから、本件発明の思想とは全く異にする車椅子利用者や交通弱者が直行する場面で適用される物品であって、およそ機能目的が本願発明の自転車乗り入れ用のバリアフリー用ブロックと違うことから、たとえ縁石ブロックであるとはいえ、本願発明での自転車乗り入れ用にそのまま適用することができないものである。」
(c)「本願発明の思想の狙いは、自転車が車道を走っているその勢いのままに、並行して路側に設けられている歩道へと斜めに乗り上がるときに、安全に通行できる手段を提供することにある。このような歩道の箇所は、自動車が歩道の奥の駐車箇所へ乗り入れる箇所でもあり、自動車の出入り時の車両の一旦停止などを誘起するものであるから、横断歩道用の極めて低い高さの縁石では、このような自動車の乗り入れ箇所の縁石の機能としては現実に十分とはいえない。他方、従来の1段の車両乗入部用の縁石や、本願発明の縁石ブロックである2段または3段のバリアフリー用ブロックには、こうした車道との境界を示す機能がある点で、引用文献1の発明とは構造を異にしていると言えるもので、この点は本願発明における引用文献1の発明とは意図的な相違点でもある。」とし、
(d)「引用文献1の発明は、自転車乗り入れ用の歩道縁石のバリアフリー用ブロックに適用できない。」と主張しているので、それらについて検討する。

B.(a)に関して、
そもそも本願請求項1には、バリアフリー用ブロックが、「自転車が車道から歩道へと斜めに走り上がる場合に適用」するものである事を、発明特定事項とするような記載はなされていない。
さらに仮に、本願発明のバリアフリー用ブロックが、そのようなものであったとしても、刊行物1の記載事項(1f)には、「バリアフリー用ブロック4の幅9は図2の(b)の斜視図では900mmmであるが、実際に設置する場合は、横断歩道などの幅に合わせて、この実施例の整数倍とする」旨記載されている。
そうすると、引用発明のバリアフリー用ブロック4は、「10/100?50/100の勾配を有する」ものであり、さらに、横断歩道などの幅に合わせた900mmの整数倍の長さで用いるものであるので、自転車が車道から歩道へと斜めに侵入したときに走り上がることができるものであり、この意味において請求人が主張するところの「解決手段」を提供しているものであって、(d)の「引用文献1の発明は、自転車乗り入れ用の歩道縁石のバリアフリー用ブロックに適用できない。」を導く理由として、採用出来るものではない。

C.(b)に関して、
刊行物1の【図1】等に図示された実施例においては、バリアフリー用ブロック4は、車道1の上に設置した態様で記載されたものであって、縁石ブロック自体として使用したものではない。
しかし、前記5.(1)に記載したように引用発明のバリアフリー用ブロックを、車道・歩道間の乗降を意図する個所の縁石ブロックとして用いることに特段の困難性が存在したとはいえない。
そうすると、(b)も(d)の「引用文献1の発明は、自転車乗り入れ用の歩道縁石のバリアフリー用ブロックに適用できない。」を導く理由として、採用出来るものではない。

D.(c)に関して、
そもそも、(1)本願請求項1記載の「歩道と車道の境界部」との特定では、刊行物1記載の横断歩道の境界部が排除されるようなものではななく、また、(2)本願請求項1には、ブロックの高さを特定するような記載も存在しない。
請求人は、「横断歩道用の極めて低い高さの縁石では、このような自動車の乗り入れ箇所の縁石の機能としては現実に十分とはいえない。本願発明は境界を示す機能がある。」旨主張しているが、本願請求項1には、縁石の高さを特定する様な発明特定事項は存在しない上、さらに、縁石ブロックの高さとしては、例えば、前記登録実用新案第3035326号公報に、従来技術で乗降口用縁石ブロックにおいて「車道Bの舗装面fとの間に形成される段差S」として、「約2cmほどの高さ」を例示しているように、「縁石ブロック」で有るからと言って、刊行物1の記載事項(1b)や(1f)に例示された「2cm」が排除されるようなものではない。
そうすると、(c)も(d)の「引用文献1の発明は、自転車乗り入れ用の歩道縁石のバリアフリー用ブロックに適用できない。」を導く理由として、採用出来るものではない。
さらに、引用発明のバリアフリー用ブロックは、上記(2)に記載したように、自転車のためにも有益に用いられるものであって、(d)の「引用文献1の発明は、自転車乗り入れ用の歩道縁石のバリアフリー用ブロックに適用できない。」ものではない。

(5)効果の予測性について、
本願発明全体の効果は、引用発明、及び周知慣用の技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものということができない。

(6)まとめ
したがって、本願発明は、引用発明、及び周知慣用の技術から当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、及び周知慣用の技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-11-01 
結審通知日 2011-11-02 
審決日 2011-12-06 
出願番号 特願2006-156510(P2006-156510)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石川 信也  
特許庁審判長 鈴野 幹夫
特許庁審判官 仁科 雅弘
中川 真一
発明の名称 歩道縁石のバリアフリー用ブロック  
代理人 横井 健至  
代理人 横井 知理  
代理人 横井 知理  
代理人 横井 健至  
代理人 横井 知理  
代理人 横井 健至  

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