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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1250829
審判番号 不服2010-11792  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-02 
確定日 2012-01-16 
事件の表示 特願2004-183574「メッセージカード配信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月12日出願公開、特開2006- 11519〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年6月22日の出願であって、平成21年11月18日付けで拒絶理由通知がなされ、平成22年1月15日付けで手続補正がなされたが、同年3月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成22年1月15日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「メッセージの差出人(1)の氏名/名称と、受取人(2)の氏名/名称と、差出人(1)が受取人(2)に伝えたい祝辞や弔意などのメッセージと共に、差出人(1)を個性化する画像情報(3)を含むメッセージ内容が配信業者(4)からコンピュータネットワークを介して催し会場(17)側へと配信され、前記催し会場(17)側で前記メッセージ内容をメッセージカード(5)に印刷し、前記メッセージカード(5)を受取人(2)へと提供するようにしたメッセージカード配信システムであって、前記画像情報(3)を、イメージファイル(11)として配信業者(4)が管理するサーバー(14)の会員用イメージデータベース(15)に予め登録するようにしていることを特徴とするメッセージカード配信システム。」

3.引用例及び周知例
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-49707号公報(以下、「引用例」という。)、及び、原査定の備考欄において周知例として引用された特開2001-350978号公報(以下、「周知例1」という。)、特開2003-58748号公報(以下、「周知例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引用例)
A.「【0029】[実施例1]図1は本実施例のシステム構成を示した図である。(1)は顧客の端末であるが、顧客が所有するパソコンに限定されるものではなく、インターネットに接続できる携帯電話等の移動端末であっても良いし、インターネットカフェや友人のパソコン等の一時的に利用可能なパソコン等であってもよい。顧客の端末(1)は常時接続されている必要はなく、必要なときにダイヤルアップでインターネットに接続できればよい。
【0030】(2)は仲介者のサーバであり、何時でも顧客からの依頼を受けられるように、常時インターネットに接続されている。又、サーバ(2)には顧客がアクセスして電報の依頼を行うためのホームページが記録されており、顧客がホームページ上で電報の台紙デザインを選択できるように複数の台紙見本が台紙情報として記録されている。
【0031】(3)は本電報システムのサービスは利用可能な会場に備えられた端末であり、インターネットに常時接続された端末である。会場としては、全国のホテル、教会、結婚式場、葬祭場、寺院、神社、ホール、会館、等が該当する。
【0032】各会場には、電報のメッセージを印刷するためのプリンタ(4)が備えられているが、プリンタ(4)は前記のインターネットに接続されている端末(3)に直接ケーブルで繋がれていても良いし、ケーブル又はFD、MO、PD、CD-R、メモリーカード等のリムーバブルメディアを介して前記の端末(3)から印刷情報を受け取ることができる会場内の別の端末に接続されていても良い。文字の色指定、カラー画像の印刷のようにカラーで印刷する必要がある場合はプリンタ(4)としてカラーレーザプリンタやインクジェットプリンタ等のカラープリンタを用意しておくとよい。」

B.「【0034】電報を打電したい顧客は自分の端末(1)からインターネットにより仲介者サーバ(2)のホームページにアクセスする。サーバ(2)にアクセスすると顧客の端末には注文画面が表示される。本実施例では祝電、弔電等の種類により別の入力画面が表示されるようにした。画面の壁紙も結婚祝電の場合はピンクやハート模様、弔電の場合はグレーにする等の演出を行っても良い。」

C.「【0036】顧客はまず、受取人に関する情報を入力する。具体的には、入力画面の所定箇所に挙式が行われる会場名、受取人の氏名、挙式の日時等を指定する。会場については本電報システムのサービスを受け付けている全ての会場が表示され、その中から受取会場を選択できるようにした。選択に際しては会場の所在都道府県や会場名の頭文字等から検索できるようにしても良い。」

D.「【0038】次に顧客についての情報を入力する。本実施例では「役職」又は「受取人との間柄」を示す「肩書き」と、顧客の氏名を記入する欄を設けている。ここで記入された顧客の肩書きと氏名は、電報印刷時にメッセージと共に印刷されることとなる。氏名は必要なら2名以上の連名とすることができるようにしても良い。
【0039】次に、メッセージ内容を記入する。送信や印刷の手間は同じであるので、料金は一律として文字数により変化する料金制は採用しなかった。そのため、顧客は料金を気にすることなく、メッセージとして十分な量の文章を書くことができる。」

E.「【0043】「送信する」ボタン(ボタン名称は適宜決めれば良く、例えば「確認する」でも良い)をクリックして一旦記載内容をサーバ(2)に送信すると、サーバ(2)から入力した各データが示された確認画面又は印刷状態を表す画面が送信され、顧客の端末(1)に表示される。確認して間違いがない場合、顧客は確認後にサーバ(2)に上記確認画面等に設けられた送信ボタンをクリックして最終確認するようにした。一方、確認の結果もし入力ミスがある場合にはブラウザの「戻る」ボタンをクリックして入力画面を再表示させ、入力内容を修正することができる。」

F.「【0050】[実施例2]実施例1は、文字情報(文章)のみのメッセージであったが、本実施例では文字に加えて画像もメッセージとして送れるようにしたものである。システム構成としては実施例1と異なることはないが、文字情報と共に画像情報もメッセージ情報として扱っている点が異なる。
【0051】依頼者は自らが書いた絵をスキャナで読み込んで画像情報としたり、デジタルカメラで撮った写真の画像情報などを注文時、又は注文後にEメールの添付ファイルとして仲介者のサーバ(2)に送信する。
【0052】サーバ(2)は、実施例1と同様に会場情報で指定されている会場の端末(3a)に、受取人に関する情報と、メッセージ情報と、台紙選択情報等をインターネットを介して送信する。」

G.「【0056】会場の端末(3a)は送られてきたメッセージ情報に基づいて所定の用紙に文字情報と画像情報とからなるメッセージを印刷する。このとき、上記のようにサーバ(2)側でメッセージ情報が加工されていると会場では単に印刷するだけでよいので会場における作業が楽になる。
【0057】このように、本実施例では画像もメッセージとして電報に印刷されるので、文章だけの電報よりも情報量が多く、受取人に与える印象も強くなる。例えば、「海外で暮らしている」、「入院している」等の理由で親戚の結婚式に参列できない場合でも、自分が結婚を祝福している写真が印刷された電報を結婚式の会場に送ることができる。受取人は「結婚式に来てもらえない」とあきらめていた親戚から自分たちを祝福してくれている写真が送られてくるので、驚くと共に嬉しさも一層大きくなる。
【0058】印刷された用紙(5)は、台紙選択情報で指定されている台紙(6)に貼られて受取人に渡される。本実施例の場合も、電報は会場で印刷されるので配達時間が必要なく、顧客からの注文後、極短時間で受取人に電報を渡すことができることは実施例1と同様である。」

上記A.?G.の記載及び関連する図面を参照すると、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例記載の発明」という。)
「電報を打電したい顧客の氏名と、受取人の氏名と、顧客が受取人に伝えたい祝電、弔電等のメッセージと共に、依頼者が自ら書いた絵やデジタルカメラで撮った写真の画像情報を含むメッセージ情報が仲介者からインターネットを介して会場の端末へと配信され、前記会場の端末で前記メッセージ情報を所定の用紙に印刷し、前記所定の用紙が貼られた台紙を作成し、前記所定の用紙が貼られた台紙を受取人へと提供する電報システム。」

(周知例1)
H.「【0026】さらに、他のサーバ2cには、印刷事業者Cが有する印刷装置5が通信回線を介して接続され、印刷業者Cのコンピュータシステム50cが構成される。この印刷事業者Cは、例えば、顔写真入りの名刺などの印刷に関して、各企業A,Bと印刷請負契約を交わしており、その印刷請負契約に基づいて、印刷事業者Cが画像入力装置4を各企業A,Bに提供し、これを各企業A,Bが自己の施設内に設置している。
【0027】各端末装置3は、パーソナルコンピュータより成るもので、コンピュータ本体31、ディスプレイ32、キーボード33、モデム34などで構成されている。企業A,Bの各社員は、自らが端末装置3を使用して、印刷事業者Cに自己の顔写真入りの名刺の印刷を発注する。なお、印刷の発注は、企業A,B内の端末装置3でなくても、例えば、社員が個人的に所有するパーソナルコンピュータでも行い得る。
【0028】印刷事業者Cのサーバ2cは記憶装置6を含んでおり、この記憶装置6に、各企業A,Bの全社員についての顔写真入りの名刺のモデルが記憶されている。各企業A,Bの社員は、端末装置3によって、記憶装置6より自己の名刺のモデルを呼び出して名刺のサンプルを作成した後、そのサンプルに印刷枚数などのデータを付加して注文データを作成し、これを印刷事業者へ送信して印刷の発注を行う。」

(周知例2)
I.「【0042】印刷受注装置101はクライアント装置102からWeb上で入力される等して取得した名刺の印刷内容データと印刷属性データとに基づいて名刺の印刷データを生成し、生成した印刷データ(文字情報、ロゴの画像データ、電子版)はネットワーク104を介して印刷機103に送信される。ここで、印刷受注装置101は取得した名刺の印刷内容データと印刷属性データとをHD(Hard Disk)等に蓄積する。ただし、印刷内容データと印刷属性データは印刷受注装置101が所有しているHDに蓄積しても良いし、ネットワーク104に接続されたHDにネットワークを介して蓄積しても良い。
【0043】図2は、印刷受注装置101に蓄積された名刺の印刷内容データテーブル201の一例を示す図である。
【0044】図2に示すように、名刺の印刷内容データテーブル201には、会社のシンボルマーク等であるロゴの画像データおよび文字情報が蓄積されている。
【0045】本実施例では、名刺の印刷内容データテーブル201には、「○○株式会社」のロゴの画像データと「○○株式会社」の社員である「富士太郎」、「富士華子」および「富士二郎」の名刺の文字情報として会社、氏名、所属、役職、郵便番号、住所、TEL、FAX番号、E-mailアドレス、URL等が蓄積されているが、上記以外の文字情報を蓄積しても良い。ここで、これらの名刺にはURLが記載されていないため、URLの各項目は空欄になっている。」

上記周知例1,2の記載を参照すると、次の技術が周知技術であるということができる。(以下、「周知技術」という。)
「会社の社員が印刷事業者のサーバに対して名刺印刷の発注を行うシステムにおいて、社員の顔写真や会社のロゴといった、前記名刺に印刷するための画像情報をイメージファイルとして前記サーバに予め登録するようにすること。」

4.対比
本願発明と引用例記載の発明とを対比すると、次のことがいえる。

(あ)引用例記載の発明における「電報を打電したい顧客」、「顧客の氏名」、「受取人の氏名」、「顧客」、「受取人」、「祝電、弔電等のメッセージ」、「メッセージ情報」、「仲介者」、「インターネット」、「会場の端末」は、それぞれ、本願発明の「メッセージの差出人(1)」、「差出人(1)の氏名/名称」、「受取人(2)の氏名/名称」、「差出人(1)」、「受取人(2)」、「祝辞や弔意などのメッセージ」、「メッセージ内容」、「配信業者(4)」、「コンピュータネットワーク」、「催し会場(17)側」に相当する。

(い)引用例記載の発明における「依頼者が自ら書いた絵やデジタルカメラで撮った写真の画像情報」は、依頼者である顧客の個性が表れた画像情報であるので、本願発明における「差出人(1)を個性化する画像情報(3)」に相当するものであるといえる。

(う)引用例記載の発明における「前記メッセージ情報を所定の用紙に印刷し、前記所定の用紙が貼られた台紙を作成」することと、本願発明における「前記メッセージ内容をメッセージカード(5)に印刷」することとは、「前記メッセージ内容を印刷することによってメッセージカードを作成」することである点において、共通するものである。

(え)引用例記載の発明の「電報システム」は、顧客が電報のメッセージとして入力したメッセージ情報を、インターネットを介して会場の端末に配信し、該会場の端末で前記メッセージ情報を印刷することによって作成したメッセージカードを受取人に提供するものであるので、本願発明の「メッセージカード配信システム」に相当するものであるといえる。

上記(あ)?(え)の事項を踏まえると、本願発明と引用例記載の発明とは、次の点で一致し、また、相違するものと認められる。

(一致点)
本願発明と引用例記載の発明とは、ともに、
「メッセージの差出人の氏名/名称と、受取人の氏名/名称と、差出人が受取人に伝えたい祝辞や弔意などのメッセージと共に、差出人を個性化する画像情報を含むメッセージ内容が配信業者からコンピュータネットワークを介して催し会場側へと配信され、前記催し会場側で前記メッセージ内容を印刷することによってメッセージカードを作成し、前記メッセージカードを受取人へと提供するようにしたメッセージカード配信システム。」
である点。

(相違点)
相違点1:本願発明においては、メッセージ内容を直接メッセージカードに印刷することによってメッセージカードを作成しているのに対し、引用例記載の発明においては、メッセージ情報を所定の用紙に印刷し、該所定の用紙を台紙に貼ることによってメッセージカードを作成している点。

相違点2:本願発明は、差出人を個性化する画像情報を、イメージファイルとして配信業者が管理するサーバーの会員用イメージデータベースに予め登録するようにしているものであるのに対し、引用例記載の発明は、そのようなものであるとはされていない点。

5.当審の判断
そこで、上記相違点1及び2について検討する。

(相違点1について)
一般に、メッセージカードにメッセージ情報を印刷する際に、メッセージカード用の台紙に直接印刷することは、ごく普通に行われることである。
よって、引用例記載の発明において、メッセージ情報を台紙に直接印刷することによってメッセージカードを作成することは、当業者が適宜になし得ることである。

(相違点2について)
会社の社員が印刷事業者のサーバに対して名刺印刷の発注を行うシステムにおいて、社員の顔写真や会社のロゴといった、前記名刺に印刷するための画像情報をイメージファイルとして前記サーバに予め登録するようにすることは、上記3.で説示したとおり周知技術である。
そして、上記周知技術は「メッセージカード配信システム」に係る技術ではないが、引用例記載の発明と同様に、ユーザがサーバに対してネットワークを介して印刷依頼を行い、前記サーバから送信された印刷データに基づいて印刷装置が印刷を行う技術分野に属する技術であることに変わりなく、上記周知技術を「メッセージカード配信システム」に係る引用例記載の発明に対して適用できない理由はない。
してみれば、引用例記載の発明に対して、上記周知技術を適用し、依頼者が自ら書いた絵やデジタルカメラで撮った写真の画像情報(差出人を個性化する画像情報)を、イメージファイルとして仲介者(配信業者)が管理するサーバーに予め登録するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、上記イメージファイルを登録するために、サーバー内にイメージファイルを記憶する何らかの記憶手段が必要であることは当然のことであるから、そのような記憶手段を会員のイメージファイルを記憶するために使用される「会員用イメージデータベース」とすることも、当業者が適宜になし得ることである。

(本願発明の作用効果について)
そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例記載の発明及び上記周知技術から当業者が容易に予測できる程度のものであって、格別のものとはいえない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-11-24 
結審通知日 2011-11-25 
審決日 2011-12-06 
出願番号 特願2004-183574(P2004-183574)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 伸次  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 間野 裕一
飯田 清司
発明の名称 メッセージカード配信システム  
代理人 辻本 一義  

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