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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  H04N
審判 一部無効 原文新規事項追加の補正  H04N
審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04N
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  H04N
管理番号 1251343
審判番号 無効2010-800052  
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-03-26 
確定日 2011-02-21 
事件の表示 上記当事者間の特許第3195367号発明「ビデオカセットレコーダインデックスと電子番組ガイドの組み合わせ」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件の特許第3195367号についての手続の経緯の概要は以下のとおりである。

国際出願日 平成9年3月14日
(パリ条約による優先権主張外国庁受理1996年3月15日、米国)
設定登録 平成13年6月1日
本件無効審判請求 平成22年3月26日
手続補正書 平成22年5月14日
審判事件答弁書 平成22年7月20日
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成22年10月19日
口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成22年11月2日
口頭審理 平成22年11月9日

第2 本件特許発明
特許第3195367号の請求項1ないし18に係る発明のうち、請求項1ないし5、7及び8に係る発明(以下、各請求項の番号に対応して、「本件特許発明1ないし5、7及び8」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし5、7及び8に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
1-A 視聴のために番組を選択する方法において、

1-B 記憶媒体に記録された複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記記録された番組のタイトルと該記録された番組の位置とを含む、前記段階と、

1-C 複数の情報提供者から放送される複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記放送される番組のタイトルと該放送される番組のチャンネルとを含む、前記段階と、

1-D 記録された番組の前記ディレクトリと放送される番組の前記ディレクトリを二者択一的に表示する段階と、

1-E 前記放送される番組の内の1つからの番組あるいは、前記記録された番組の内の1つからの番組を、表示されるディレクトリと同時に二者択一的に表示する段階と、

1-F 前記表示する段階で表示された記録された番組の前記ディレクトリからの番組タイトルのうち1つを目立たせる段階と、

1-G 前記目立たせられた番組タイトルに対応する番組を検索する段階と、

1-H 前記表示された番組を前記検索された番組で置き換えることによって、前記表示されたディレクトリと同時に、前記検索された番組を表示する段階と、

を備えることを特徴とする方法。

【請求項2】
2-A 所望の番組を受信するチャンネルへテレビチューナーを同調させて前記所望の番組に代えて前記検索された番組にする段階を更に備える請求項1記載の方法。

【請求項3】
3-A 前記検索する段階は、前記目立たせられた番組をこの目立たせられた番組に対応する位置にて前記記憶装置媒体から検索することを備える請求項1記載の方法。

【請求項4】
4-A 前記検索する段階は、前記目立たされた番組が放送されているチャンネルへテレビチューナーを同調させることを備える請求項1記載の方法。

【請求項5】
5-A 前記ディレクトリと同時に前記検索された番組を画面上に表示する前記段階は、前記検索された番組をPIPウィンドウに表示する請求項1記載の方法。

【請求項7】
7-A 前記検索された番組を画面上に全画面フォーマットで表示する段階を更に備える請求項1記載の方法。

【請求項8】
8-A 所望の番組を受信するチャンネルへテレビチューナーを同調させて前記所望の番組に代えて前記検索された番組にする段階を更に備える請求項7記載の方法。」

なお、「1-A」から「8-A」までの符号は、請求人が付したものに基づき、合議体が付したものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件特許発明1ないし5、7及び8に係る特許を無効とする、との審決を求め、次のような無効理由を主張している。
なお、以下の無効理由1ないし4は、請求人の主張する無効の理由を、当審において、特許法の条文に沿ってまとめたものである。

1.無効理由1(特許法第29条第1項第3号)
(審判請求書6. 第17頁1行ないし第41頁最終行)
本件特許発明1ないし5、7及び8は、出願前に頒布された刊行物である、甲第2号証に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

2.無効理由2(特許法第29条第2項)
(審判請求書6. 第17頁1行ないし第41頁最終行)
本件特許発明1ないし5、7及び8は、出願前に頒布された刊行物である、甲第2号証に記載された発明と対比すると、本件特許発明1ないし5、7及び8の特許要件1-D、1-Eについて、甲第2号証に記載された発明では二者択一ではなく、四者択一が開示されており、この点が相違点であると評価する余地もあるが、甲第2号証の図8において、「次」のガイドへの切替、「分類」ガイドへの切替、「全チャンネル」ガイドへの復帰を可能とするか否かは単なる設計的事項であるから、甲第2号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

3.無効理由3(特許法第36条第6項第1号、第2号)
本件特許に係る特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定された要件を満たしておらず、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

ア.「ディレクトリ」は、その意味が不明確であり、特許法第36条第6項第2号の規定に違反する。
(特許法第36条第6項第2号)(審判請求書7. 第42頁1行ないし第47頁10行)

イ.「複数の情報提供者から放送される複数の番組のディレクトリを生成する段階」が、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていない。
(特許法第36条第6項第1号)(審判請求書8. 第47頁11行ないし第48頁9行)

ウ.「二者択一的に表示」(要件1-D)が、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていない。
(特許法第36条第6項第1号)(審判請求書9. 第48頁10行ないし第49頁6行)

4.無効理由4(特許法第123条第1項第5号)
本件特許に係る特許請求の範囲の記載は、その国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内になく、特許法第184条の18で読み替えて適用する同法第123条第1項第5号に該当し、無効とすべきものである。

ア.本件特許発明1の要件1-B「記憶媒体」との記載は、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にない。
(特許法第123条第1項第5号)(審判請求書10. 第49頁7行ないし第51頁10行)

イ.本件特許発明1の要件1-C「ディレクトリを生成」との記載は、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にない。
(特許法第123条第1項第5号)(審判請求書11. 第51頁11行ないし18行)

ウ.本件特許発明1の要件1-D、1-E「二者択一」との記載は、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にない。
(特許法第123条第1項第5号)(審判請求書12.、13. 第51頁19行ないし第52頁8行)

また、請求人は、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出している。
甲第1号証:特許第3195367号公報(本件特許公報)
甲第2号証:国際公開第96/07270号のパンフレット
甲第3号証:特表平11-501467号公報
甲第4号証:特許・実用新案審査基準(抜粋)
甲第5号証:IT用語辞典(抜粋)
甲第6号証:国際公開第97/34413号のパンフレット
甲第7号証:平成21年(ワ)第36145号の訴状
甲第8号証:情報蓄積制御インタフェース-一般ファイル管理・データベース管理編-(抜粋)
甲第9号証:「情報管理」(1987年5月、Vol.30、No2)「ファイルフォーマット標準化の動向 」
甲第10号証:特開平1-116819号公報
甲第11号証:国際公開第95/18449号のパンフレット(抜粋)

なお、甲第2、6、9、11号証の表示名は、請求人の提出した書証に基づき、当審が修正した。

第4 被請求人の主張
これに対して、被請求人は、平成22年7月20付け審判事件答弁書、及び平成22年11月2日付け口頭審理陳述要領書において、概略以下のとおり主張している。

1.無効理由1(特許法第29条第1項第3号)
本件特許発明1ないし5、7及び8は、出願前に頒布された刊行物である、甲第2号証に記載された発明ではなく特許法第29条第1項第3号に該当せず、無効とされるべきものではない。

2.無効理由2(特許法第29条第2項)
本件特許発明1ないし5、7及び8は、出願前に頒布された刊行物である、甲第2号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定に該当せず、無効とされるべきものではない。

3.無効理由3(特許法第36条第6項第1号、第2号)
本件特許に係る特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定された要件を満たしており、無効とされるべきものではない。

4.無効理由4(特許法第123条第1項第5号)
本件特許に係る特許請求の範囲の記載は、その国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第184条の18で読み替えて適用する同法第123条第1項第5号に該当せず、無効とされるべきものではない。

第5 当審の判断
本件特許明細書の記載要件についての無効理由3について判断してから、無効理由1、2、4の判断を行う。

1.無効理由3(特許法第36条第6項第1号、第2号)について
(1)無効理由3 ア.について
ア.「ディレクトリ」について
本件特許明細書の発明の詳細な説明の第6欄27行ないし45行に「テープインデックスガイドシステムは、番組タイトル、チャンネル、月日、放送番組の長さ、といった情報を解読するVBI解読器を備えたタイプのものであり、記録テープ上に貯えられた番組のディレクトリを提供する際とVCRを制御するのに当該情報を利用する。テープインデックスガイドシステムはまた、放映番組が現に記録されているテープ上の、ビデオトラックのVBI部分かテープの制御トラックのいずれかに、制御とディレクトリの情報を挿入するVBI暗号器も備えている。テープ上に貯えられた制御とディレクトリの情報から、テープインデックスガイドシステムは、画面上に表示されるべき番組ディレクトリを作り出す。ディレクトリにより視聴者は、自分のテープライブラリ中の記録番組の位置を決定し、VCRにロードされたテープ上の選択された番組の流れを制御できる。オンスクリーンディレクトリは、PIPウィンドウを含んでいる。番組一覧がディレクトリ内で選択される時に、PIPウィンドウは選択された番組全てないし番組から選択したビデオクリップを表示するのに使用することもできる。」と記載され、また、同じく発明の詳細な説明の第9欄4行ないし16行に「別の好適実施例で、VCRで流れているテープが制御とディレクトリの情報で暗号化されている場合、図7のテープインデックスガイド画面が表示される。VCR16にロードされたテープ上の番組ないし番組の部分のディレクトリが、番組一覧エリア58中に表示される。PIPウィンドウに表示される番組一覧は、カーソル60で強調表示され、番組に関する記述がエリア56に表示される。視聴者がカーソル60を別の番組一覧に動かした時、TIS装置22はテープ上に貯えられた制御とディレクトリの情報を使って番組サーチを開始させ、VCR16の位置を制御し、強調表示された番組を待機させ、テープを流し、新たに選択された記録番組をPIPウィンドウ50に表示するのが好ましい。」と記載されているから、
「ディレクトリ」は、VBI解読器で解読された番組タイトル、チャンネル、月日、放送番組の長さ、といった情報を利用して提供されるものであり、ディレクトリの情報から表示されるべき番組ディレクトリが作り出され、番組が一覧表示される。また、当該番組の一覧表示において、個々の番組を特定することができ、「ディレクトリ」は、当該特定された番組を表示するための制御に利用される情報であると理解される。
したがって、「ディレクトリ」は、その意味が不明確であるとはいえず、よって、本件特許発明1ないし5、7及び8は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであるということはできない。

(2)無効理由3 イ.について
イ.「複数の情報提供者から放送される複数の番組のディレクトリを生成する段階」について
本件特許発明1において「ディレクトリ」は、上記「(1)無効理由3 ア.」についてで述べたように、VBI解読器で解読された番組タイトル、チャンネル、月日、放送番組の長さ、といった情報を利用して提供されるものであり、ディレクトリの情報から表示されるべき番組ディレクトリが作り出され、番組が一覧表示される。また、当該番組の一覧表示において、個々の番組を特定することができ、当該特定された番組を表示するための制御に利用される情報であると理解される。
一方、本件特許明細書の発明の詳細な説明の第8欄37行ないし42行に「これはテレビ24に図3の画面を表示させることになる。こうしたやり方でEPGに直接入った時には、テレビモードでテレビ28が同調した最後のチャンネルが、例えばPBSチャンネル28と、番組一覧エリア58の先頭に表示され、EPG情報が一覧エリア58に表示される。」と記載され、本件特許明細書の第3図には、電子番組ガイド(EPG)画面の番組一覧エリア58にEPG情報として局名、チャンネル番号、番組名が左から順に各局毎に表示されることが示されている。
これらのことから、本件特許明細書の発明の詳細な説明及び第3図には、電子番組ガイド(EPG)画面の番組一覧エリアに、複数の情報提供者から放送される複数の番組のチャンネルと番組のタイトルを含む番組の一覧を表示することが記載されているといえ、このような電子番組ガイド(EPG)画面の番組の一覧を表示するためには、複数の情報提供者から放送される複数の番組の情報から、表示されるべき番組の一覧を生成すること、すなわち、表示されるべき複数の情報提供者から放送される複数の番組のチャンネルと番組のタイトルを含むディレクトリを生成することが必要であることは明らかであることから、本件特許発明の「視聴のために番組を選択する方法」が「複数の情報提供者から放送される複数の番組のディレクトリを生成する段階」を備えることは、詳細に説明されずとも自明な事項であるということができる。
そうすると、「複数の情報提供者から放送される複数の番組のディレクトリを生成する段階」が、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていないとはいえない。
したがって、本件特許発明1は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してなされたものであるということはできない。

(3)無効理由3 ウ.について
ウ.「二者択一的に表示」について
本件特許明細書の発明の詳細な説明の第8欄27ないし31行に「視聴者がGUIDE/TVボタン28を押すと、PIPチップ23はオンとなり、ガイドスイッチ20は、EPG装置18ないしTIS装置22をPIPチップ23に連結し、テレビ28はEPGないしテープインデックスガイドを表示する。」と、同じく第10欄10行ないし17行に「ガイドモードでは、INDEXボタン30はスイッチ20を制御する。従って視聴者は、図3に示すようなEPG画面から、図4に示すようなテープインデックスガイド画面に切り換えてもよく、図11A、11Bに示すようにその逆の切換をしてもよい。本発明によると、スイッチ20のみがINDEXボタン30で制御されるので、背景52がEPGとテープインデックスガイドの間で切り換ってもPIPウィンドウ50に表示中の番組は変わらない。」と、同じく第10欄43行ないし48行に「視聴者が望みの番組が記録されたビデオテープを識別してVCR16にロードした後、図7の画面が表示される。視聴者が事前にテープを知っている場合、INDEXボタン30を押す前にVCR16にテープをロードすることで、図4から図6のメニューをバイパスすることができる。」とあり、また、第3図に電子番組ガイド(EPG)画面の番組一覧エリア58にEPG情報として局名、チャンネル番号、番組名が表示されることが示され、第7図にテープインデックスガイド画面の番組一覧エリア58に番組のタイトル等が表示されることが示されている。
以上の記載からすると、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、視聴者がGUIDE/TVボタンを押すと、電子番組ガイド(EPG)画面またはテープインデックスガイド画面を表示すること、そして、INDEXボタンによりEPG画面からテープインデックスガイド画面への切り換え、また、その逆の切り換えができることが記載されているといえ、そうすると、「二者択一的に表示」(要件1-D)が、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていないとはいえない。
したがって、本件特許発明1は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してなされたものであるということはできない。

2.無効理由1(特許法第29条第1項第3号)について
(1)甲第2号証について
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第2号証(国際公開第96/07270号のパンフレット)には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、翻訳文及び翻訳文の記載箇所は甲第2号証の対応する日本国の公表公報(甲第3号証、特表平11-501467号公報)による。

(a)「SUMMARY OF THE INVENTION
According to the invention, the moving images of a television program are displayed in a PIP window on the screen of a television monitor and textual information related to the television program is displayed in the background on the screen. Preferably, the audio portion of the television program displayed inthe PIP window is also reproduced by the sound system of the television monitor. The textual information is arranged on the screen so none of it is covered by the moving images.
In one embodiment, the textual program related information (PRI) is a television program schedule. One of the program listings of the schedule identifies by title and time and/or channel the television program in the PIP window, which comprises moving images.
To facilitate channel grazing, a television viewer can use a PIP format for display of current television program listings from a program schedule data base in the background and moving, real time images of a program selected from the displayed listings in the PIP window. Specifically, as the viewer selects a particular program from the displayed current television program listings by means of a cursor or a code number, the corresponding program automatically appears in the PIP window. In this way, the viewer can channel graze by sequentially selecting the individual program listings in the background. When the viewer finds a program that the viewer wishes to watch, the viewer leaves the PIP format and returns to full screen television viewing, the tuner already being set to the desired program. To do this the viewer can reverse the background and PIP window and then collapse the window, leaving the desired program on the full screen or apparatus can be configured to return to full screen viewing in a single step.
To permit the viewing of programs scheduled for future broadcast without losing sight of the current program being watched, a television viewer can use a PIP format for display of television program listings for a specific channel from a program schedule data base in the background and moving, real time images of the current program on that channel in the PIP window. Specifically, as the viewer changes channels, the current program on that channel automatically appears in the PIP window. The viewer can control the background to display program listings for a period of days, e.g. a week, in the future. In this way, the viewer can continue to watch a television program while ascertaining the future programs on the channel to which the television tuner is set. When the viewer finds a program that the viewer wishes to watch, the background disappears, leaving the program on the channel to which the tuner isset on the full screen.
In another embodiment, a television viewer can use a PIP format for display of future television program listings from a program schedule data base in the background and moving images of a video clip of one of the program listings in the background display selected for example by a cursor.
In yet another embodiment, the textual program related information (PRI) is a message that is broadcast in the vertical blanking interval of the television signal contemporaneously with the television program displayed in the PIP window.」(第2頁1行ないし第3頁3行)
《翻訳》
「発明の要旨 本発明によれば、テレビ番組の動画像がテレビモニタのスクリーンのPIP窓に表示され、そしてそのテレビ番組に関連したテキスト情報がスクリーンの背景に表示される。好ましくは、PIP窓に表示されたテレビ番組の音声部分も、テレビモニタの音声システムによって再現される。テキスト情報は、そのいずれもが動画像で覆われないようにスクリーンに配置される。
1つの実施形態において、テキスト番組関連情報(PRI)は、テレビ番組スケジュールである。スケジュールの番組リストの1つは、タイトル及び時刻及び/又はチャンネルにより、動画像を構成するPIP窓のテレビ番組を識別する。
チャンネルグレージングを容易にするために、テレビの視聴者は、PIPフォーマットを使用して、番組スケジュールデータベースからの現在テレビ番組リストを背景に表示すると共に、表示されたリストから選択された番組のリアルタイム動画像をPIP窓に表示することができる。より詳細には、視聴者がカーソル又はコード番号により表示された現在テレビ番組リストから特定の番組を選択すると、それに対応する番組がPIP窓に自動的に現れる。このようにして、視聴者は、背景の個々の番組リストを順次選択することによりチャンネルグレージングすることができる。視聴者が見ようとする番組を見つけると、視聴者は、PIPフォーマットを出て、全スクリーンのテレビ視聴に戻り、チューナは希望する番組に既にセットされている。これを行うために、視聴者は、背景とPIP窓を逆転し、そして窓を壊し、全スクリーン上に希望する番組を残すか、又は単一のステップで全スクリーン視聴に戻るように装置を構成することもできる。
視聴している現在番組の視野を失うことなく将来の放送に対してスケジュールされた番組を視聴できるようにするために、テレビ視聴者は、PIPフォーマットを使用して、番組スケジュールデータベースからの特定のチャンネルに対するテレビ番組リストを背景に表示すると共に、そのチャンネルの現在番組のリアルタイム動画像をPIP窓に表示することができる。より詳細には、視聴者がチャンネルを切り換えたときに、そのチャンネルの現在番組がPIP窓に自動的に現れる。視聴者は、将来の日々の周期、例えば、一週間の周期で番組リストを表示するように背景を制御することができる。このように、視聴者は、テレビチューナがセットされたチャンネルの将来の番組を確認しながらテレビ番組を見続けることができる。視聴者が見ようとする番組を見つけると、チューナがセットされたチャンネルの番組を全スクリーンに残して背景が消える。
別の実施形態においては、テレビ視聴者は、PIPフォーマットを使用して、番組スケジュールデータベースからの将来のテレビ番組リストを背景に表示すると共に、例えば、カーソルで選択された背景表示の番組リストの1つのビデオクリップ(切り抜き映像)の動画像を表示することができる。
更に別の実施形態においては、テキスト番組関連情報(PRI)が、PIP窓に表示されるテレビ番組と同時にテレビ信号の垂直帰線消去インターバル中に放送されるメッセージである。」(第6頁8行ないし第7頁17行)

(b)「In a preferred embodiment, the invention displays information about television program schedules and content in a tripartite electronic television program guide. One screen format is a time specific program guide (TISPG); another screen format is a channel specificprogram guide (CSPG); and the third screen format is a theme specific program guide (THSPG). In each case, the moving images of a currently broadcast television program are displayed in real time in a PIP window.
With reference to FIG. 1, a source of television signals 10 such as a terrestrial antenna, or a cable is connected to a television tuner 11. The term "telecast" refers to a terrestrial, satellite, or cable transmission. The output of tuner 11 is a modulated intermediate frequency signal containing video and audio television information. Tuner 11 is connected by an intermediate frequency amplifier (IF AMP) 12 to a picture detector (PICTURE DET) 13 and a sound detector (SOUND DET) 14, which produce base band video and audio signals, respectively. The audio signal is coupled by a sound amplifier (SOUND AMP) 15 to a loudspeaker 16. The video signal is coupled by a video amplifier not shown to one input of a switch 18. Sound detector 14 and picture detector 13 are connected to the audio and video inputs, respectively, of a video cassette recorder (VCR) 17. (Alternatively, television signal source 10 could be directly connected to the RF input of VCR 17, if its internal tuner and demodulating circuitry is to be utilized.) The output of VCR 17 is connected to the other input of switch 18. The output of switch 18 is connected to one input of a conventional picture-in-picture (PIP) integrated circuit chip 19. The output of PIP chip 19 is connected to the video input of a television receiver or monitor (TV) 20 having a screen (not shown).
An updatable data base of the schedule of program listings of all the available channels for a prescribed period of time, e.g. a day or a week, is electronically stored in a program schedule memory 22. These program listings typically include for each program the title, a program description, the day of the week, the start time of the day, the program length, and the channel on which the program is transmitted and thus available for reception at source 10. In a preferred embodiment of the invention, the period of time for which the program listings are stored is different for the guides, depending upon viewer priorities and preferences. For example, the information needed to display the TISPG and CSPG may be stored for oneor two days and the information needed to display the TSPG may be stored for a week or more. The data base can be updated by a continuous data link in the vertical blanking interval(VBI) of one television channel broadcast to the television receiver in well known fashion.」(第4頁20行ないし第5頁14行)
《翻訳》
「好ましい実施形態において、本発明は、テレビ番組スケジュール及び内容に関する情報を3部分より成る電子テレビ番組ガイドにおいて表示する。1つのスクリーンフォーマットは、時間特定の番組ガイド(TISPG)であり、別のスクリーンフォーマットは、チャンネル特定の番組ガイド(CSPG)であり、そして第3のスクリーンフォーマットは、テーマ特定の番組ガイド(THSPG)である。各々の場合に、現在放送されているテレビ番組の動画像は、リアルタイムでPIP窓に表示される。
図1を参照すれば、地上アンテナ又はケーブルのようなテレビ信号源10がテレビチューナ11に接続される。チューナ11の出力は、映像及び音声のテレビ情報を含む変調された中間周波信号である。このチューナ11は、中間周波増幅器(IF AMP)12により映像検出器(PICTURE DET)13及び音声検出器(SOUND DET)14に接続され、これらは、各々、基本帯域映像及び音声信号を発生する。音声信号は、音声増幅器(SOUND AMP)15によりスピーカ16に接続される。映像信号は、映像増幅器(図示せず)によりスイッチ18の一方の入力に接続される。音声検出器14及び映像検出器13は、ビデオカセットレコーダ(VCR)17の音声及び映像入力に各々接続される。(或いは又、VCR17の内部チューナ及び復調回路を使用する場合にはテレビ信号源10をVCR17のRF入力に直結することができる。)VCR17の出力は、スイッチ18の他方の入力に接続される。スイッチ18の出力は
、従来型のピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)集積回路チップ19の一方の入力に接続される。PIPチップ19の出力は、スクリーン(図示せず)を有するテレビ受像機又はモニタ(TV)20の映像入力に接続される。
規定の時間周期、例えば、1日又は1週間の全使用チャンネルの番組スケジュールリストの更新可能なデータベースが番組スケジュールメモリ22に電子的に記憶される。これらの番組リストは、通常、各番組ごとに、タイトルと、番組記述と、曜日と、開始時刻と、番組の長さと、番組が送信され、ひいては、ソース10において受信に使用できるチャンネルとを含む。本発明の好ましい実施形態では、番組リストが記憶される時間周期は、視聴者の優先順位及び好みに基づきガイドごとに異なる。例えば、TISPG及びCSPGを表示するのに必要な情報は、1週間以上にわたって記憶される。データベースは、良く知られた形態でテレビ受像機に放送される1つのテレビチャンネルの垂直帰線消去インターバル(VBI)の連続データリンクによって更新することができる。」(第9頁13行ないし第10頁15行)

(c)「The formats of the electronic program guide are shown in FIGS. 2 to 5. Each format has a background area 40 and an overlaid PIP window 42 in the upper left-hand cornerof the screen. The real time, i.e., 6:15 p.m., is displayed in a sub-area 42a PIP window 42. Background area 40 includes a banner and message prompting area 43 at the top of the screen, a program description area 44 in the upper right-hand corner of the screen adjacent to PIP window 42, and a program schedule area 46 below areas 42 and 44. Program description area 44 includes the start time and length (duration) of the program being described. The viewer can move a cursor 48 vertically to highlight one of the program listings displayed in area 46. The highlighted background of cursor 48 and the background of program description area 44 are the same color or shade. In each format, the complete, moving images of a currently broadcast television program in real time and the current time are displayed in PIP window 42 and the audio portion of the television program displayed in PIP window 42 is reproduced by the sound system of monitor 20. The information displayed in areas 43, 44, and 46 varies depending upon the format.
One version of the TISPG screen format is shown in FIG. 2, namely a version that displaysprogram listings of television programs being broadcast at the current time. In the following description, this format is sometimes called the "NOW" guide or the "ALL CHANNEL" guide. Program schedule area 46 has a column for channel name or call letters, a column for channel number, and a column for program title; each line of area 46 represents a separate program listing. The moving, real time images of the current television program highlighted by cursor 48 are displayed in PIP window 42 and a brief program description of the highlighted program is displayed in area 44.
In FIG. 3 another version of the TISPG screen format displays in area 46 program listings being broadcast at a future time, i.e., 8:00 p.m. In the following description, this format is sometimes called the "NEXT" guide. The viewer can select the future time of the program listings to be displayed at intervals such as one-half hour. The selected future time, i.e., 8:00 a.m., for the program listings displayed in area 46 is shown in a sub-area 43a of area 43. A brief program description of the program listing highlighted in area 46 by cursor 48 is displayed in area 44. The current program being broadcast remains displayed in PIP window 42, and a banner 49 which identifies the current program by channel name, channel number, and program title is displayed between PIP window 42 and area 46 on a background having a different color or shade than cursor 48.
In FIG. 4, the CSPG screen format is shown. In the following description, this format is sometimes called the "THIS CHANNEL" guide. All the program listings for a selected channel, b.e., FOX Channel 7, are displayed in area 46, from the currently broadcast program into the future for a specified time period, e.g., 24 hours or until the end of the next day. Area 46 has a column for time and a column for program title; each line of area 46 represents a separate program listing. The moving, real time images of the current television program are displayed in PIP window 42. If the cursor also highlights the current program, a brief program description of the current program is displayed in area 44. If the cursor highlights another program listing, as shown in FIG. 4, a brief program description of the highlighted program isdisplayed in area 44 and the current program is identified in banner 49 by time and title.
In FIG. 5, the THSPG screen format is shown. In the following description, this format is sometimes called the "SORT" guide. The program listings for a selected theme or subtheme, i.e., ALL MOVIES, are displayed in area 46, from the next broadcast program into the future for a specified time period, e.g., one week. Area 46 has a heading 46a that identifies the theme or subtheme, date, and day, i.e., ALL MOVIES DEC 12 MON, a column for title, a column for start time, and a column for channel name or number; each line of area 46 represents a separate program listing. The moving, real time images of the current television program are displayed in PIP window 42 and the current program is identified in banner 49 by channel name or number and title. A brief program description of the program highlighted by cursor 48 is displayed in area 44.」(第5頁下から7行目ないし第7頁8行)
《翻訳》
「電子番組ガイドのフォーマットが図2ないし5に示されている。各フォーマットは、背景領域40と、スクリーンの左上角の重畳するPIP窓42とを有している。PIP窓42のサブ領域42aには、実時間即ち6:15 pmが表示される。背景領域40は、スクリーン上部の大見出し・メッセージプロンプト領域43と、PIP窓42に隣接するスクリーンの右上角の番組記述領域44と、これら領域42及び44の下の番組スケジュール領域46とを含む。番組記述領域44は、記述される番組のスタート時刻及び長さ(時間巾)を含む。視聴者は、領域46に表示された番組リストの1つを強調するように垂直にカーソル48を移動することができる。カーソル48の強調された背景及び番組記述領域44の背景は、同じカラー又は陰影である。各々のフォーマットにおいて、リアルタイム及び現在時間で現在放送されているテレビ番組の完全な動画像がPIP窓42に表示され、そしてPIP窓42に表示されたテレビ番組の音声部分がモニタ20の音声システムにより再現される。領域43、44及び46に表示される情報は、フォーマットに基づいて変化する。
図2には、TISPGスクリーンフォーマットの1つのバージョン、即ち現在時間に放送されているテレビ番組の番組リストを表示するバージョンが示されている。以下の説明では、このフォーマットは、「現在(NOW)」ガイド又は「全チャンネル(ALL CHANNNEL)」ガイドと称する。番組スケジュール領域46は、チャンネル名又はコールレターの欄と、チャンネル番号の欄と、番組タイトルの欄とを有し、領域46の各行は、個別の番組リストを表す。カーソル48で強調された現在テレビ番組のリアルタイム動画像はPIP窓42に表示され、そして強調された番組の簡単な番組記述が領域44に表示される。
図3において、TISPGスクリーンフォーマットの別のバージョンは、将来の時間即ち8:00 pmに放送される番組リストを領域46に表示する。以下の説明において、このフォーマットは、「次(NEXT)」のガイドと称する。視聴者は、30分のようなインターバルで表示されるべき番組リストの将来の時間を選択することができる。領域46に表示される番組リストに対する選択された将来の時間即ち8:00 pmは、領域43のサブ領域43aに示されている。カーソル48によって領域46に強調された番組リストの簡単な番組記述が領域44に表示される。放送されている現在番組は、PIP窓42に表示されたままであり、そしてチャンネル名、チャンネル番号及び番組タイトルにより現在番組を識別する大見出し49は、カーソル48とは異なるカラー又は陰影をもつ背景においてPIP窓42と領域46との間に表示される。
図4には、CSPGスクリーンフォーマットが示されている。以下の説明において、このフォーマットは、「このチャンネル(THIS CHANNNEL)」ガイドとも称される。選択されたチャンネル即ちFOXチャンネル7の全ての番組リストが、現在放送されている番組から将来に向かって特定の時間周期、例えば24時間、又は次の日の終わりまで領域46に表示される。領域46は、時間の欄と、番組タイトルの欄とを有し、領域46の各行は、個別の番組リストを表す。現在テレビ番組のリアルタイム動画像は、PIP窓42に表示される。又、カーソルが現在番組を強調する場合は、現在番組の簡単な番組記述が領域44に表示される。図4に示すように、カーソルが別の番組リストを強調する場合には、強調された番組の簡単な番組記述が領域44に表示され、そして現在番組が時間及びタイトルにより大見出し49において識別される。
図5には、THSPGスクリーンフォーマットが示されている。以下の説明において、このフォーマットは、「分類(SORT)」ガイドとも称される。選択されたテーマ又はサブテーマ、即ち「全映画」の番組リストが、次の放送番組から将来に向かって特定の時間周期、例えば1週間にわたり領域46に表示される。領域46は、テーマ又はサブテーマ、日付及び日、即ち「全映画 12月12日 月曜」を識別する見出し46aと、タイトルの欄と、スタート時間の欄と、チャンネル名又は番号の欄とを有し、領域46の各行は、個別の番組リストを表す。現在テレビ番組のリアルタイム動画像は、PIP窓42に表示され、そして現在番組は、チャンネル名又は番号及びタイトルにより大見出し49において識別される。カーソル48により強調された番組の簡単な番組記述は、領域44に表示される。」(第11頁9行ないし第13頁5行)

(d)「As represented by a box 88, in each of the guides of FIGS. 8 to 14, a return to theNOW guide of FIG. 7 occurs when the viewer presses blue button 62 on the remote control transmitter.
As represented by a box 90 in FIG. 8 and a box 92 in FIG. 9, when green button 64 is pressed from the ALL CHANNEL guide, a "THIS CHANNEL" guide in the CSPG format described above is displayed.」(第9頁11行ないし16行)
《翻訳》
「ボックス88で示されたように、図8ないし14の各ガイドにおいて、図7の「現在」ガイドへの復帰は、視聴者が遠隔制御送信器の赤のボタン62を押したときに行われる。
図8にボックス90でそして図9にボックス92で示されたように、「全チャンネル」ガイドから緑のボタン64が押されたときは、上記CSPGフォーマットの「このチャンネル」ガイドが表示される。」(第16頁4行ないし9行)

(e)「As represented by a box 105 in FIG. 8 and a box 106 in FIG. 11, a first level of "SORT" prompts is displayed when the viewer presses red button 68 while in the ALL CHANNEL guide. As depicted by a box 108 (FIG. 11), in addition to the blue NOW prompt, there are a first level of SORT buttons that comprise a green MOVIES prompt, a yellow SPORTS prompt, and a red OTHERS prompt in area 43. The ALL CHANNEL guide for the current time, i.e., NOW guide remains displayed in area 46. When the viewer presses green button 64, an "ALL MOVIES" guide is displayed in area 46, as represented by a box 109 in FIG. 11 and a box 112 in FIG. 12, and screen-1 of a second level, i.e., subtheme, of movie SORT buttons is displayed in area 43, as represented graphically in a box 114 in FIG. 12. When the viewer presses blue button 62, the NOW guide is displayed in area 46, as represented by a box 130 in FIG. 14 and screen-2 of the first level, i.e., the SORT buttons, is displayed in area 43, as represented graphically in a box 111 in FIG. 11 and a box 132 in FIG. 14.
In addition to the blue NOW prompt, the screen-1, second level movie SORT buttons (FIG. 12) comprise a green ACTION prompt, a yellow COMEDY prompt and a red OTHER prompt for calling up a screen-2 series of SORT buttons to permit selection of other subcategories of movies. In the ALL MOVIES guide, the sum of all the movies in all the subcategories are displayed. When the viewer presses green button 64, an ACTION MOVIES guide (not shown) is displayed in area 46. When the viewer presses yellow button 66, a COMEDY MOVIES guide (not shown) is displayed in area 46. In each of these cases, onlya blue prompt is displayed in area 43 because the electronic guide is at the bottom of the hierarchy and the only route the viewer can take is to return to the NOW guide (FIG. 7). 」(第9頁下から2行目ないし第10頁20行)
《翻訳》
「図8にボックス105でそして図11にボックス106で示したように、「分類」プロンプトの第1レベルは、「全チャンネル」ガイドにある間に視聴者が青のボタン68を押したときに表示される。ボックス108(図11)で示されたように、赤の「現在」プロンプトに加えて、「分類」ボタンの第1レベルも存在し、これは、緑の「映画」プロンプト、黄色の「スポーツ」プロンプト、及び青の「その他」のプロンプトを領域43に備えている。現在時刻に対する「全チャンネル」ガイド、即ち「現在」ガイドは、領域46に表示されたままとなる。視聴者が緑のボタン64を押すと、図11にボックス109でそして図12にボックス112で示すように、「全映画」ガイドが領域46に表示され、そして図12にボックス114でグラフ表示されたように、映画「分類」ボタンの第2レベル即ちサブテーマのスクリーン1が領域43に表示される。視聴者が青のボタン68を押すと、図14にボックス130で示されたように、「現在」ガイドが領域46に表示され、そして図11にボックス111でそして図14にボックス132でグラフ表示されたように、「分類」ボタンの第1レベルのスクリーン2が領域43に表示される。
赤の「現在」プロンプトに加えて、スクリーン1、第2レベルの映画「分類」ボタン(図12)は、緑の「アクション」プロンプト、黄色の「コメディ」プロンプト、及び青の「その他」のプロンプトを含み、これは、他のサブカテゴリーの映画を選択できるように「分類」ボタンのスクリーン2シリーズを呼び出すものである。「全映画」ガイドにおいて、全てのサブカテゴリーにおける全ての映画の総計が表示される。視聴者が緑のボタン64を押すと、「アクション映画」ガイド(図示せず)が領域46に表示される。視聴者が黄色のボタン66を押すと、「コメディ映画」ガイド(図示せず)が領域46に表示される。これらの場合の各々において、電子ガイドはハイアラーキの最下部にありそして視聴者がとれる唯一のルートが「現在」ガイド(図7)への復帰だけであるので、赤のプロンプトのみが領域43に表示される。」(第17頁3行ないし下から2行)

(f)「As described in more detail below, in program schedule memory 22, the program listings are coded by day of the week, time of day, and channel so that they can be accessed by microprocessor 24 when necessary to supply program schedule information to video processor 30 to compose the program listings and the program descriptions. Microprocessor 24 has a real time clock (not shown), the time of which is compared with the time of day and day of the week codes to select the program listings for the TISPG mode. The functional storage areas of cursor position register 32 are mapped to the storage areas of video processor 30 where the program schedule is formatted for display on background area 40 so cursor position register 32 points to the area of the screen, and thus the particular program, that is highlighted by cursor 48. By comparing the cursor position in register 32 with the channel corresponding to the highlighted area of video processor 30, the channel of the highlighted program is derived and coupled to microprocessor 24. Microprocessor 24 then sets tuner 11 tothis channel.」(第14頁15行ないし27行)
《翻訳》
「以下に詳細に述べるように、番組スケジュールメモリ22において、番組リストは、曜日、1日の時刻及びチャンネルでコード化され、必要なときにマイクロプロセッサ24によりアクセスされて、番組スケジュール情報を映像プロセッサ30へ供給し、番組リスト及び番組記述を構成できるようにする。マイクロプロセッサ24は、リアルタイムクロック(図示せず)を有し、その時間が1日の時刻及び曜日コードと比較され、TISGモードに対して番組リストを選択する。カーソル位置レジスタ32の機能的記憶領域は、番組スケジュールが背景領域40に表示されるようフォーマットされるところの映像プロセッサ30の記憶領域に対してマップされ、これにより、カーソル位置レジスタ32は、カーソル48により強調されたスクリーンの領域、ひいては、特定の番組を指す。レジスタ32のカーソル位置を、映像プロセッサ30の強調された領域に対応するチャンネルと比較することにより、強調された番組のチャンネルが導出されそしてマイクロプロセッサ24へ接続される。次いで、マイクロプロセッサ24は、チューナ11をこのチャンネルにセットする。」(第23頁17行ないし第24頁1行)

(g)「The television receiver of FIG. 1 can also be used with the format of FIGS. 3, 4, or 5 in an extension of the CSPG mode to display previews of future programming as video clips. The video clips are stored on a video tape cassette that is loaded into VCR 17. The addresses of the video clips on the tape of the video cassette are stored in program schedule memory 22 as part of the data base. These addresses are linked to the respective future program listings in the data base so that a video clip can be accessed on the tape when a program listing is designated in the database. When the viewer presses the CSPG mode key, in addition to the operation as described in connection with FIG. 4, microprocessor 24 places the current program title in banner 49, as illustrated in FIG. 4. So long as cursor 48 highlightsthe title of the current program, the CSPG mode operates as described above. When the viewer moves cursor 48 vertically by operating the cursor control key set on viewer input device 28 to highlight the title of a future program displayed in area 46, the address of the video clip of the highlighted program listing is retrieved by microprocessor 24 from program schedule memory 22 and transmitted to VCR 17. The video clip is retrieved from the tape in VCR 17 and coupled through switch 18 and PIP chip 19 to television receiver 20 for display in PIP window 42. The video clips on the tape of the videocassette are indexed and accessed in the manner described in co-pending application Ser. No. 08/176,852, filed on Dec. 30, 1993and entitled ENHANCING OPERATIONS OF VIDEOTAPE CASSETTE PLAYERS, the disclosure of which is incorporated fully herein by reference.」(第15頁11行ないし下から8行目)
《翻訳》
「又、図1のテレビ受像機は、CSPGモードの拡張において、図3、4又は5のフォーマットで、将来の番組の予告をビデオクリップとして表示するように使用することもできる。ビデオクリップは、VCR17にロードされたビデオテープカセットに記憶される。ビデオカセットのテープにおけるビデオクリップのアドレスは、データベースの一部分として番組スケジュールメモリ22に記憶される。これらのアドレスは、データベースの各々の将来番組リストとリンクされ、番組リストがデータベースにおいて指定されたときにビデオクリップをテープにおいてアクセスできるようにする。視聴者がCSPGモードキーを押すと、図4を参照して述べた動作に加えて、マイクロプロセッサ24は、現在番組のタイトルを図4に示すように大見出し49に配する。カーソル48が現在番組のタイトルを強調する限り、CSPGモードは、上記のように作用する。視聴者が、入力装置28のカーソル制御キーセットを操作することによりカーソル48を垂直方向に移動して、領域46に表示された将来番組のタイトルを強調したときには、その強調された番組リストのビデオクリップのアドレスがマイクロプロセッサ24により番組スケジュールメモリ22から検索され、そしてVCR17に送信される。ビデオクリップは、VCR17のテープから検索され、そしてスイッチ18及びPIPチップ19を経てテレビ受像機20へ接続され、PIP窓42に表示される。ビデオカセットのテープのビデオクリップは、参考としてここに取り上げる「ビデオカセットプレーヤの動作の改良(ENHANCING OPERATIONS OF VIDEOTAPE CASSETTE PLAYERS)」と題する1993年12月30日出願の米国特許出願第08/176,852号に開示されたように、インデックスされそしてアクセスされる。」(第24頁下から4行ないし第25頁18行)

(2)甲第2号証に記載された発明
ア.上記摘記事項(a)に、「According to the invention, the moving images of a television program are displayed in a PIP window on the screen of a television monitor and textual information related to the television program is displayed in the background on the screen.」(第2頁2ないし4行)(《翻訳》「本発明によれば、テレビ番組の動画像がテレビモニタのスクリーンのPIP窓に表示され、そしてそのテレビ番組に関連したテキスト情報がスクリーンの背景に表示される。」)、
「In one embodiment, the textual program related information (PRI) is a television program schedule. One of the program listings of the schedule identifies by title and time and/or channel the television program in the PIP window, which comprises moving images.
To facilitate channel grazing, a television viewer can use a PIP format for display of current television program listings from a program schedule data base in the background and moving, real time images of a program selected from the displayed listings in the PIP window. 」(第2頁8ないし14行)(《翻訳》「1つの実施形態において、テキスト番組関連情報(PRI)は、テレビ番組スケジュールである。スケジュールの番組リストの1つは、タイトル及び時刻及び/又はチャンネルにより、動画像を構成するPIP窓のテレビ番組を識別する。チャンネルグレージングを容易にするために、テレビの視聴者は、PIPフォーマットを使用して、番組スケジュールデータベースからの現在テレビ番組リストを背景に表示すると共に、表示されたリストから選択された番組のリアルタイム動画像をPIP窓に表示することができる。」)とあり、さらに、
「In another embodiment, a television viewer can use a PIP format for display of future television program listings from a program schedule data base in the background and moving images of a video clip of one of the program listings in the background display selected for example by a cursor.」(第2頁34ないし37行)(《翻訳》「別の実施形態においては、テレビ視聴者は、PIPフォーマットを使用して、番組スケジュールデータベースからの将来のテレビ番組リストを背景に表示すると共に、例えば、カーソルで選択された背景表示の番組リストの1つのビデオクリップ(切り抜き映像)の動画像を表示することができる。」)とあることから、
甲第2号証には、テレビモニタのスクリーンの背景に現在テレビ番組リストや将来のテレビ番組リストのスケジュールの番組リストを表示するとともに、表示されたリストから選択された番組のリアルタイム動画像やビデオクリップの動画像をPIP窓に表示することが記載されている。

イ.上記摘記事項(b)に、「In a preferred embodiment, the invention displays information about television program schedules and content in a tripartite electronic television program guide. One screen format is a time specific program guide (TISPG); another screen format is a channel specificprogram guide (CSPG); and the third screen format is a theme specific program guide (THSPG). In each case, the moving images of a currently broadcast television program are displayed in real time in a PIP window.」(第4頁20ないし25行)(《翻訳》好ましい実施形態において、本発明は、テレビ番組スケジュール及び内容に関する情報を3部分より成る電子テレビ番組ガイドにおいて表示する。1つのスクリーンフォーマットは、時間特定の番組ガイド(TISPG)であり、別のスクリーンフォーマットは、チャンネル特定の番組ガイド(CSPG)であり、そして第3のスクリーンフォーマットは、テーマ特定の番組ガイド(THSPG)である。各々の場合に、現在放送されているテレビ番組の動画像は、リアルタイムでPIP窓に表示される。」)とあり、
上記摘記事項(c)に、「One version of the TISPG screen format is shown in FIG. 2, namely a version that displaysprogram listings of television programs being broadcast at the current time. In the following description, this format is sometimes called the "NOW" guide or the "ALL CHANNEL" guide. Program schedule area 46 has a column for channel name or call letters, a column for channel number, and a column for program title; each line of area 46 represents a separate program listing. The moving, real time images of the current television program highlighted by cursor 48 are displayed in PIP window 42 and a brief program description of the highlighted program is displayed in area 44.」(第6頁8ないし15行)(《翻訳》「図2には、TISPGスクリーンフォーマットの1つのバージョン、即ち現在時間に放送されているテレビ番組の番組リストを表示するバージョンが示されている。以下の説明では、このフォーマットは、「現在(NOW)」ガイド又は「全チャンネル(ALL CHANNNEL)」ガイドと称する。番組スケジュール領域46は、チャンネル名又はコールレターの欄と、チャンネル番号の欄と、番組タイトルの欄とを有し、領域46の各行は、個別の番組リストを表す。カーソル48で強調された現在テレビ番組のリアルタイム動画像はPIP窓42に表示され、そして強調された番組の簡単な番組記述が領域44に表示される。」)、
「In FIG. 4, the CSPG screen format is shown. In the following description, this format is sometimes called the "THIS CHANNEL" guide. All the program listings for a selected channel, c.e., FOX Channel 7, are displayed in area 46, from the currently broadcast program into the future for a specified time period, e.g., 24 hours or until the end of the next day. Area 46 has a column for time and a column for program title; each line of area 46 represents a separate program listing. The moving, real time images of the current television program are displayed in PIP window 42.」(第6頁26ないし32行)(《翻訳》「図4には、CSPGスクリーンフォーマットが示されている。以下の説明において、このフォーマットは、「このチャンネル(THIS CHANNNEL)」ガイドとも称される。選択されたチャンネル即ちFOXチャンネル7の全ての番組リストが、現在放送されている番組から将来に向かって特定の時間周期、例えば24時間、又は次の日の終わりまで領域46に表示される。領域46は、時間の欄と、番組タイトルの欄とを有し、領域46の各行は、個別の番組リストを表す。現在テレビ番組のリアルタイム動画像は、PIP窓42に表示される。」)と、また、
「In FIG. 5, the THSPG screen format is shown. In the following description, this format is sometimes called the "SORT" guide. The program listings for a selected theme or subtheme, i.e., ALL MOVIES, are displayed in area 46, from the next broadcast program into the future for a specified time period, e.g., one week. Area 46 has a heading 46a that identifies the theme or subtheme, date, and day, i.e., ALL MOVIES DEC 12 MON, a column for title, a column for start time, and a column for channel name or number; each line of area 46 represents a separate program listing. 」(第6頁37行ないし第7頁5行)(《翻訳》「図5には、THSPGスクリーンフォーマットが示されている。以下の説明において、このフォーマットは、「分類(SORT)」ガイドとも称される。選択されたテーマ又はサブテーマ、即ち「全映画」の番組リストが、次の放送番組から将来に向かって特定の時間周期、例えば1週間にわたり領域46に表示される。領域46は、テーマ又はサブテーマ、日付及び日、即ち「全映画 12月12日 月曜」を識別する見出し46aと、タイトルの欄と、スタート時間の欄と、チャンネル名又は番号の欄とを有し、領域46の各行は、個別の番組リストを表す。」)とあることから、
甲第2号証には、テレビモニタのスクリーンの背景にスケジュールの番組リストを表示するフォーマットには、現在時間に放送されているテレビ番組のチャンネル番号と、番組タイトル等を含む番組リストを表示するフォーマット(TISPG、「現在」ガイド又は「全チャンネル」ガイドと称される。)、選択されたチャンネルの番組の時間と、番組タイトル等を含む番組リストが現在放送されている番組から将来に向かって特定時間表示されるフォーマット(CSPG、「このチャンネル」ガイドと称される。)、選択されたテーマ又はサブテーマの番組のタイトルと、スタート時間と、チャンネル名等を含む番組リストが次の放送番組から将来に向かって特定の時間周期にわたり表示されるフォーマット(THSPG、「分類ガイド」と称される。)が含まれ、また、各々のガイド表示の場合に、現在放送されているテレビ番組の動画像が、リアルタイムでPIP窓に表示されることが記載されている。

ウ.上記摘記事項(b)には、「An updatable data base of the schedule of program listings of all the available channels for a prescribed period of time, e.g. a day or a week, is electronically stored in a program schedule memory 22. These program listings typically include for each program the title, a program description, the day of the week, the start time of the day, the program length, and the channel on which the program is transmitted and thus available for reception at source 10.」(第5頁3ないし8行)(《翻訳》「規定の時間周期、例えば、1日又は1週間の全使用チャンネルの番組スケジュールリストの更新可能なデータベースが番組スケジュールメモリ22に電子的に記憶される。これらの番組リストは、通常、各番組ごとに、タイトルと、番組記述と、曜日と、開始時刻と、番組の長さと、番組が送信され、ひいては、ソース10において受信に使用できるチャンネルとを含む。」とあり、
また、上記摘記事項(f)には、「As described in more detail below, in program schedule memory 22, the program listings are coded by day of the week, time of day, and channel so that they can be accessed by microprocessor 24 when necessary to supply programschedule information to video processor 30 to compose the program listings and the program descriptions. Microprocessor 24 has a real time clock (not shown), the time of which is compared with the time of day and day of the week codes to select the program listings for the TISPG mode. The functional storage areas of cursor position register 32 are mapped to thestorage areas of video processor 30 where the program schedule is formatted for display on background area 40 so cursor position register 32 points to the area of the screen, and thus theparticular program, that is highlighted by cursor 48. 」(第14頁15ないし24行)(《翻訳》「以下に詳細に述べるように、番組スケジュールメモリ22において、番組リストは、曜日、1日の時刻及びチャンネルでコード化され、必要なときにマイクロプロセッサ24によりアクセスされて、番組スケジュール情報を映像プロセッサ30へ供給し、番組リスト及び番組記述を構成できるようにする。」、「カーソル位置レジスタ32の機能的記憶領域は、番組スケジュールが背景領域40に表示されるようフォーマットされるところの映像プロセッサ30の記憶領域に対してマップされ、これにより、カーソル位置レジスタ32は、カーソル48により強調されたスクリーンの領域、ひいては、特定の番組を指す。」)とあることから、
甲第2号証には、1日又は1週間の全使用チャンネルの、各番組ごとに、タイトルと、番組記述と、曜日と、開始時刻と、番組の長さと、番組が送信され、ひいては、ソース10において受信に使用できるチャンネルとを含む番組スケジュールリストの更新可能なデータベースが番組スケジュールメモリ22に記憶され、これらのデータを用いてテレビモニタのスクリーンの背景にスケジュールの番組リストが表示されることが記載されている。

エ.上記摘記事項(d)には、「As represented by a box 88, in each of the guidesof FIGS. 8 to 14, a return to theNOW guide of FIG. 7 occurs when the viewer presses blue button 62 on the remote control transmitter. As represented by a box 90 in FIG. 8 and a box 92 in FIG. 9, when green button 64 is pressed from the ALL CHANNEL guide, a "THIS CHANNEL" guide in the CSPG format described above is displayed.」(第9頁9ないし16行)(《翻訳》「ボックス88で示されたように、図8ないし14の各ガイドにおいて、図7の「現在」ガイドへの復帰は、視聴者が遠隔制御送信器の赤のボタン62を押したときに行われる。図8にボックス90でそして図9にボックス92で示されたように、「全チャンネル」ガイドから緑のボタン64が押されたときは、上記CSPGフォーマットの「このチャンネル」ガイドが表示される。」)とあり、
上記摘記事項(e)には、「As represented by a box 105 in FIG. 8 and a box 106 in FIG. 11, a first level of "SORT" prompts is displayed when the viewer presses red button 68 while in the ALL CHANNEL guide. As depicted by a box 108 (FIG. 11), in addition to the blue NOW prompt, there are a first level of SORT buttons that comprise a green MOVIES prompt, a yellow SPORTS prompt, and a red OTHERS prompt in area 43. The ALL CHANNEL guide for the current time, i.e., NOW guide remains displayed in area 46. When the viewer presses green button 64, an "ALL MOVIES" guide is displayed in area 46, as represented by a box 109 in FIG. 11 and a box 112 in FIG. 12, and screen-1 of a second level, i.e., subtheme, of movie SORT buttons is displayed in area 43, as represented graphically in a box 114 in FIG. 12. When the viewer presses blue button 62, the NOW guide is displayed in area 46, as represented by a box 130 in FIG. 14 and screen-2 of the first level, i.e., the SORT buttons, is displayed in area 43, as represented graphically in a box 111 in FIG. 11 anda box 132 in FIG. 14.」(第9頁下から2行目ないし第10頁11行)(《翻訳》「図8にボックス105でそして図11にボックス106で示したように、「分類」プロンプトの第1レベルは、「全チャンネル」ガイドにある間に視聴者が青のボタン68を押したときに表示される。ボックス108(図11)で示されたように、赤の「現在」プロンプトに加えて、「分類」ボタンの第1レベルも存在し、これは、緑の「映画」プロンプト、黄色の「スポーツ」プロンプト、及び青の「その他」のプロンプトを領域43に備えている。現在時刻に対する「全チャンネル」ガイド、即ち「現在」ガイドは、領域46に表示されたままとなる。視聴者が緑のボタン64を押すと、図11にボックス109でそして図12にボックス112で示すように、「全映画」ガイドが領域46に表示され、そして図12にボックス114でグラフ表示されたように、映画「分類」ボタンの第2レベル即ちサブテーマのスクリーン1が領域43に表示される。視聴者が青のボタン68を押すと、図14にボックス130で示されたように、「現在」ガイドが領域46に表示され、そして図11にボックス111でそして図14にボックス132でグラフ表示されたように、「分類」ボタンの第1レベルのスクリーン2が領域43に表示される。」)とあることから、
甲第2号証には、現在時間に放送されているテレビ番組の番組リスト表示の「現在」ガイド(TISPG)と、選択されたチャンネルのすべての番組リスト表示の「このチャンネル」ガイド(CSPG)と、選択されたテーマ、例えば、全映画の番組リスト表示の「分類(全映画)」ガイド(THSPG)とを切り替えてテレビモニタのスクリーンの背景に表示することが記載されている。

オ.上記摘記事項(g)には、「The television receiver of FIG. 1 can also be usedwith the format of FIGS. 3, 4, or 5 in an extension of the CSPG mode to display previews of future programming as video clips. The video clips are stored on a video tape cassette that is loaded into VCR 17. The addresses of the video clips on the tape of the video cassette are stored in program schedule memory 22 as part of the data base. These addresses are linked to the respective future program listings in the data base so that a video clip can be accessed on the tape when a program listing is designated in the database. 」(第15頁11ないし17行)(《翻訳》「又、図1のテレビ受像機は、CSPGモードの拡張において、図3、4又は5のフォーマットで、将来の番組の予告をビデオクリップとして表示するように使用することもできる。ビデオクリップは、VCR17にロードされたビデオテープカセットに記憶される。ビデオカセットのテープにおけるビデオクリップのアドレスは、データベースの一部分として番組スケジュールメモリ22に記憶される。これらのアドレスは、データベースの各々の将来番組リストとリンクされ、番組リストがデータベースにおいて指定されたときにビデオクリップをテープにおいてアクセスできるようにする。」)とあり、
「When the viewer moves cursor 48 vertically by operating the cursor control key set on viewer input device 28 to highlight the title of a future program displayed in area 46, the address of the video clip of the highlighted program listing is retrieved by microprocessor 24 from program schedule memory 22 and transmitted to VCR 17. The video clip is retrieved from the tape in VCR 17 and coupled through switch 18 and PIP chip 19 to television receiver 20 for display in PIP window 42. 」(第15頁17ないし26行)(《翻訳》「視聴者が、入力装置28のカーソル制御キーセットを操作することによりカーソル48を垂直方向に移動して、領域46に表示された将来番組のタイトルを強調したときには、その強調された番組リストのビデオクリップのアドレスがマイクロプロセッサ24により番組スケジュールメモリ22から検索され、そしてVCR17に送信される。ビデオクリップは、VCR17のテープから検索され、そしてスイッチ18及びPIPチップ19を経てテレビ受像機20へ接続され、PIP窓42に表示される。」)とあることから、
甲第2号証には、ビデオクリップがVCR17にロードされたビデオテープカセットに記憶され、ビデオカセットのテープにおけるビデオクリップのアドレスが、データベースの各々の将来番組リストとリンクされて番組スケジュールメモリ22に記憶され、番組リストがデータベースにおいて指定されたときにビデオクリップをテープにおいてアクセスできるようにすることにより、CSPGモードの拡張において、将来の番組の予告をビデオクリップとして表示するように使用することもできることが記載されており、また、CSPGモードの拡張において、視聴者が、カーソル48を垂直方向に移動して、領域46に表示された将来番組のタイトルを強調したときには、その強調された番組リストのビデオクリップが、VCR17のテープから検索され、そして、PIP窓42に表示されることが記載されている。

上記甲第2号証に記載された、テレビ番組及びテレビ番組に関連した情報の表示に関する技術事項は、テレビ番組及びテレビ番組に関連した情報の表示の方法の発明としてとらえることができることから、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認定できる。
「テレビモニタのスクリーンの背景に現在テレビ番組リストや将来のテレビ番組リストのスケジュールの番組リストを表示するとともに、表示されたリストから選択された番組のリアルタイム動画像やビデオクリップの動画像をPIP窓に表示する方法において、
テレビモニタのスクリーンの背景にスケジュールの番組リストを表示するフォーマットには、現在時間に放送されているテレビ番組のチャンネル番号と、番組タイトル等を含む番組リストを表示するフォーマット(TISPG、「現在」ガイド又は「全チャンネル」ガイドと称される。)、選択されたチャンネルの番組の時間と、番組タイトル等を含む番組リストが現在放送されている番組から将来に向かって特定時間表示されるフォーマット(CSPG、「このチャンネル」ガイドと称される。)、選択されたテーマ又はサブテーマの番組のタイトルと、スタート時間と、チャンネル名等を含む番組リストが次の放送番組から将来に向かって特定の時間周期にわたり表示されるフォーマット(THSPG、「分類ガイド」と称される。)が含まれ、また、各々のガイド表示の場合に、現在放送されているテレビ番組の動画像が、リアルタイムでPIP窓に表示され、
1日又は1週間の全使用チャンネルの、各番組ごとに、タイトルと、番組記述と、曜日と、開始時刻と、番組の長さと、番組が送信され、ひいては、ソース10において受信に使用できるチャンネルとを含む番組スケジュールリストの更新可能なデータベースが番組スケジュールメモリ22に記憶され、これらのデータを用いて、前記テレビモニタのスクリーンの背景にスケジュールの番組リストが表示され、
前記現在時間に放送されているテレビ番組の番組リスト表示の「現在」ガイド(TISPG)と、前記選択されたチャンネルのすべての番組リスト表示の「このチャンネル」ガイド(CSPG)と、前記選択されたテーマ、例えば、全映画の番組リスト表示の「分類(全映画)」ガイド(THSPG)とが切り替えてテレビモニタのスクリーンの背景に表示され、
ビデオクリップがVCR17にロードされたビデオテープカセットに記憶され、ビデオカセットのテープにおけるビデオクリップのアドレスが、データベースの各々の将来番組リストとリンクされて番組スケジュールメモリ22に記憶され、番組リストがデータベースにおいて指定されたときにビデオクリップをテープにおいてアクセスできるようにすることにより、CSPGモードの拡張において、将来の番組の予告をビデオクリップとして表示するように使用することもでき、
前記CSPGモードの拡張において、視聴者が、カーソル48を垂直方向に移動して、領域46に表示された将来番組のタイトルを強調したときには、その強調された番組リストのビデオクリップの動画像が、VCR17のテープから検索され、そして、PIP窓42に表示される
方法。」

(3)対比、判断
ア.本件特許発明1と甲2発明とを対比する。
(ア)構成1-A「視聴のために番組を選択する方法」

甲2発明は、テレビモニタのスクリーンの背景に現在テレビ番組リストや将来のテレビ番組リストのスケジュールの番組リストを表示するとともに、表示されたリストから選択された番組のリアルタイム動画像をPIP窓に表示する方法に係るものであるから、甲2発明は本件特許発明1と同様に「視聴のために番組を選択する方法」に係る発明であるといえる。

(イ)構成1-B「記憶媒体に記録された複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記記録された番組のタイトルと該記録された番組の位置とを含む、前記段階」

甲2発明では、CSPGモードの拡張において、ビデオクリップをVCR17にロードされたビデオテープカセットに記憶し、ビデオカセットのテープにおけるビデオクリップのアドレスが、データベースの各々の将来番組リストとリンクされて番組スケジュールメモリ22に記憶され、番組リストがデータベースにおいて指定されたときにビデオクリップをテープにおいてアクセスできるようにすることにより、将来の番組の予告をビデオクリップとして表示するように使用することもできる。すなわち、視聴者が、カーソル48を垂直方向に移動して、領域46に表示された将来番組のタイトルを強調したときには、その強調された番組リストのビデオクリップの動画像が、VCR17のテープから検索され、そして、PIP窓42に表示される。
ここで、甲2発明における、ビデオクリップは、ビデオテープカセットに記憶された動画像であり、「将来の番組の予告」という視聴のための内容を有することから、本件特許発明1の「記憶媒体に記録された番組」であるといえ、また、ビデオカセットのテープにおけるビデオクリップのアドレスが、データベースの各々の将来番組リストとリンクされて記憶され、さらに、将来番組のタイトルが、領域46に将来番組リストとして表示され、表示された将来番組のタイトルを強調したときには、その強調された番組リストのビデオクリップの動画像が、検索され、PIP窓42に表示される。しかし、前記ビデオクリップの動画像をPIP窓42に表示する際強調するのは将来番組リストとして表示された将来番組のタイトルであり、このタイトルは、ユーザが将来の番組の予告を期待して選択するのであって、テープに記録された番組の内容を視聴するために選択するのではなく、クリップのタイトルとはいえないから、甲2発明は、「記憶媒体に記録された複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記記録された番組のタイトルと該記録された番組の位置とを含む、前記段階」を備えているとはいえず、この点において、甲2発明は、本件特許発明1と相違する。
この点、請求人は、平成22年10月19日付け口頭審理陳述要領書の第9頁下から5行目ないし下から2行目で「従って、将来番組のタイトルとビデオクリップとが対応付けられており、将来番組のタイトルが、ビデオクリップのタイトルを意味するものとして利用されているから、図4の領域における“COPS”、“MARRIED WITH CHILDREN”等は、いずれも、ビデオクリップのタイトルである。」と主張している。しかしながら、甲2発明は、表示された複数の将来番組のタイトルのうちで、視聴者が将来番組のタイトルを強調すると、その強調された将来番組の予告であるビデオクリップの動画像が表示される、すなわち、将来番組の予告であるビデオクリップの表示を行うにあたって、将来番組のタイトルが利用されるものではあるが、上記のように、甲2発明の「将来番組のタイトル」がビデオクリップのタイトルであるということはできず、そうすると、甲2発明が、記録された番組のタイトルと該記録された番組の位置とを含む記憶媒体に記録された複数の番組のディレクトリを生成する段階を備えているということはできない。

(ウ)構成1-C「複数の情報提供者から放送される複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記放送される番組のタイトルと該放送される番組のチャンネルとを含む、前記段階」

甲2発明では、1日又は1週間の全使用チャンネルの、各番組ごとに、タイトルと、番組記述と、曜日と、開始時刻と、番組の長さと、番組が送信され、ひいては、ソース10において受信に使用できるチャンネルとを含む番組スケジュールリストの更新可能なデータベースが番組スケジュールメモリ22に記憶され、これらのデータを用いて、前記テレビモニタのスクリーンの背景にスケジュールの番組リスト(例えば、現在時間に放送されているテレビ番組の番組リスト表示の「現在」ガイド(TISPG))が表示される、すなわち、所定の期間の全使用チャンネルの、各番組ごとに、タイトルと、番組記述と、曜日と、開始時刻と、番組の長さと、受信に使用できるチャンネル等と、番組が送信され、記憶され、これらのデータを用いて、例えば、テレビ番組の番組リスト表示の「現在」ガイドが表示されるのであるから、甲2発明が、複数の情報提供者から放送される複数の番組のディレクトリであって、前記放送される番組のタイトルと該放送される番組のチャンネルとを含むディレクトリを生成する段階を含むことは明らかであり、そうすると、甲2発明は、本件特許発明と同様に「複数の情報提供者から放送される複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記放送される番組のタイトルと該放送される番組のチャンネルとを含む、前記段階」を備えているといえる。

(エ)構成1-D「記録された番組の前記ディレクトリと放送される番組の前記ディレクトリを二者択一的に表示する段階」

上記(イ)で述べたとおり、甲2発明は、「記憶媒体に記録された複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記記録された番組のタイトルと該記録された番組の位置とを含む、前記段階」を備えないものである。そうすると、甲2発明は、記録された番組の前記ディレクトリを表示する段階を備えるものではなく、この点で、甲2発明と本件特許発明1とは相違する。
また、甲2発明は、現在時間に放送されているテレビ番組のチャンネル番号と、番組タイトルを含む番組リストを表示する「現在」ガイド又は「全チャンネル」ガイドと、選択されたチャンネルの番組の時間と、番組タイトルを含む番組リストが現在放送されている番組から将来に向かって特定時間表示される「このチャンネル」ガイドと、選択されたテーマ又はサブテーマの番組のタイトルと、スタート時間と、チャンネル名を含む番組リストが次の放送番組から将来に向かって特定の時間周期にわたり表示される「分類」ガイドが、切り換えられて択一的にテレビモニタのスクリーンの背景に表示される、すなわち、現在放送されている番組のリスト(チャンネル番号と、番組タイトル)の表示(「現在」ガイド又は「全チャンネル」ガイド)と、現在放送されている番組と将来放送される番組のリスト(番組の時間と、番組タイトル)の表示(「このチャンネル」ガイド)と、選択されたテーマの将来放送される番組のリスト(スタート時間と、チャンネル名)の表示(「分類」ガイド)を択一的に行うものである。
すなわち、甲2発明は、現在放送されている番組のリストと、現在放送されている番組及び将来放送される番組のリストと、選択されたテーマの将来放送される番組のリストを択一的に表示するものではあるものの、記録された番組のディレクトリを表示するものではないことは前述したとおりであり、また、甲2発明において、選択によってビデオクリップの動画像を表示できるリストは、それ自体が放送される番組のリストであって、放送される番組のリストと択一的に表示されないから、甲2発明は「記録された番組の前記ディレクトリと放送される番組の前記ディレクトリを二者択一的に表示する段階」を備えているとはいえず、この点において、甲2発明は、本件特許発明1と相違する。

(オ)構成1-E「前記放送される番組の内の1つからの番組あるいは、前記記録された番組の内の1つからの番組を、表示されるディレクトリと同時に二者択一的に表示する段階」

本件特許発明1の構成1-E「前記放送される番組の内の1つからの番組あるいは、前記記録された番組の内の1つからの番組を、表示されるディレクトリと同時に二者択一的に表示する段階」は、本件特許明細書の発明の詳細な説明の「PLAYボタン32は、テレビモード、ガイドモードのいずれでも番組ソーススイッチ14制御し、チューナー12とVCR16の間の切換を行う。従って視聴者はガイドモードの最中に、VCR16からの番組出力とチューナー12からの番組出力の間の切換をPIPウィンドウ50の中で行ってもよい。」(甲第1号証第10欄19ないし24行)との記載に照らすと、電子番組ガイド(EPG)、テープインデックスガイドのガイド表示の最中に、ガイド表示と同時に表示されるPIPウィンドウの表示を、記録された番組の表示から放送される番組(チューナーが同調した番組)の表示への切り換え、また、その逆の切り換え表示をするように、すなわち、二者択一的に表示するようにしたものといえる。
一方、甲2発明は、現在時間に放送されているテレビ番組の番組リスト表示の「現在」又は「全チャンネル」ガイド(TISPG)と、前記選択されたチャンネルのすべての番組リスト表示の「このチャンネル」ガイド(CSPG)と、前記選択されたテーマ、例えば、全映画の番組リスト表示の「分類(全映画)」ガイド(THSPG)とが択一的にテレビモニタのスクリーンの背景に表示され、各々のガイド表示の場合に、現在放送されているテレビ番組の動画像が、リアルタイムでPIP窓に表示され、領域46に表示された将来番組のタイトルを強調したときには、その強調された番組リストのビデオクリップの動画像が、VCR17のテープから検索され、そして、PIP窓42に表示されるのであるから、現在時間に放送されているテレビ番組の番組リスト表示の「現在」ガイドが表示される場合には、現在放送されているテレビ番組の動画像がリアルタイムでPIP窓に表示されるものの、ビデオクリップ(将来番組の予告であって、記録された番組といえるもの)の表示はされないことは明らかであることからすると、甲2発明は「前記放送される番組の内の1つからの番組あるいは、前記記録された番組の内の1つからの番組を、表示されるディレクトリと同時に二者択一的に表示する段階」を備えているとはいえず、この点において、甲2発明は、本件特許発明1と相違する。

(カ)構成1-F「前記表示する段階で表示された記録された番組の前記ディレクトリからの番組タイトルのうち1つを目立たせる段階」と、
構成1-G「前記目立たせられた番組タイトルに対応する番組を検索する段階」と、
構成1-H「前記表示された番組を前記検索された番組で置き換えることによって、前記表示されたディレクトリと同時に、前記検索された番組を表示する段階」と、
を備えることを特徴とする方法について

甲2発明では、CSPGモードの拡張において、視聴者が、カーソル48を垂直方向に移動して、領域46に表示された将来番組のタイトルを強調したときには、その強調された番組リストのビデオクリップの動画像が、VCR17のテープから検索され、そして、PIP窓42に表示されるのであるから、甲2発明は、表示された将来番組のリスト、すなわち、放送される番組のリストからの番組タイトル(甲2発明でいう領域46に表示された将来番組のタイトル)のうち1つを目立たせる段階と、目立たせられた番組タイトルに対応するビデオクリップの動画像(番組タイトルに対応する番組といえる)を検索する段階と、表示されたリストと同時に前記検索された番組を表示する段階を備えているものといえ、そうすると、本件特許発明1と甲2発明は、「表示する段階で表示されたリストからの番組タイトルのうち1つを目立たせる段階と、前記目立たせられた番組タイトルに対応する番組を検索する段階と、前記表示された番組を前記検索された番組で置き換えることによって、前記表示されたリストと同時に前記検索された番組を表示する段階と、を備える」点で一致するといえる。
しかし、上記表示する段階で表示されたリストが、本件特許発明1では、「記録された番組の前記ディレクトリ」であるのに対し、甲2発明では、「将来番組、すなわち放送される番組のリスト」である点で相違する。

(キ)以上の対比結果によれば、本件特許発明1は、「記憶媒体に記録された複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記記録された番組のタイトルと該記録された番組の位置とを含む、前記段階」を備えるのに対し、甲2発明は、そのような段階を備えておらず、さらに、本件特許発明1が、「記録された番組の前記ディレクトリと放送される番組の前記ディレクトリを二者択一的に表示する段階」を備えるのに対し、甲2発明は、そのような段階も備えていない点で、両者は相違する。
また、本件特許発明1は、「前記放送される番組の内の1つからの番組あるいは、前記記録された番組の内の1つからの番組を、表示されるディレクトリと同時に二者択一的に表示する段階」、さらに、「前記表示する段階で表示された記録された番組の前記ディレクトリからの番組タイトルのうち1つを目立たせる段階」を備えているのに対し、甲2発明は、そのような段階を備えていない。

(ク)上記相違点を検討すると、甲第2号証には、上記「記憶媒体に記録された複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記記録された番組のタイトルと該記録された番組の位置とを含む、前記段階」や「記録された番組のディレクトリと放送される番組のディレクトリを二者択一的に表示する」ことについて、また、「放送される番組の内の1つからの番組あるいは、記録された番組の内の1つからの番組を、表示されるディレクトリと同時に二者択一的に表示する」こと、さらに、「表示する段階で表示された記録された番組の前記ディレクトリからの番組タイトルのうち1つを目立たせる」ことについて記載も示唆もないから、本件特許発明1は甲第2号証に記載されているものとは認められない。
よって、本件特許発明1が、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるということはできない。

イ.本件特許発明2ないし5、7及び8について
また、本件特許発明2ないし5、7及び8は、本件特許発明1の構成にさらに別の構成要件を付加したものであり、上記のとおり本件特許発明1は甲第2号証に記載されているものとは認められないことから、本件特許発明2ないし5、7及び8も甲第2号証に記載されているものとは認められない。
よって、本件特許発明2ないし5、7及び8が、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるということはできない。

3.無効理由2(特許法第29条第2項)について
(1)本件特許発明1について
ア.本件特許発明1と甲2発明との対比
本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、上記「2.無効理由1(特許法第29条第1項第3号)について (3)対比、判断ア.(キ)」において述べたとおり、
本件特許発明1は、「記憶媒体に記録された複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記記録された番組のタイトルと該記録された番組の位置とを含む、前記段階」を備えるのに対し、甲2発明は、そのような段階を備えておらず、さらに、本件特許発明1が、「記録された番組の前記ディレクトリと放送される番組の前記ディレクトリを二者択一的に表示する段階」を備えるのに対し、甲2発明は、そのような段階も備えていない点、また、本件特許発明1は、「前記放送される番組の内の1つからの番組あるいは、前記記録された番組の内の1つからの番組を、表示されるディレクトリと同時に二者択一的に表示する段階」、さらに、「前記表示する段階で表示された記録された番組の前記ディレクトリからの番組タイトルのうち1つを目立たせる段階」を備えるのに対し、甲2発明は、そのような段階を備えていない点
で相違する。

イ.判断
そこで、上記相違点について検討する。
甲第2号証には、上記「記憶媒体に記録された複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記記録された番組のタイトルと該記録された番組の位置とを含む、前記段階」や「記録された番組の前記ディレクトリと放送される番組の前記ディレクトリを二者択一的に表示する段階」について、また、「前記放送される番組の内の1つからの番組あるいは、前記記録された番組の内の1つからの番組を、表示されるディレクトリと同時に二者択一的に表示する段階」、さらに、「前記表示する段階で表示された記録された番組の前記ディレクトリからの番組タイトルのうち1つを目立たせる段階」について記載も示唆もない。
また、甲第2号証に記載された発明は、上記「2.無効理由1(特許法第29条第1項第3号)について (1)甲第2号証について」において指摘したとおり、テレビモニタのスクリーンの背景に現在テレビ番組リストや将来のテレビ番組リストのスケジュールの番組リストを表示するとともに、表示されたリストから選択された番組のリアルタイム動画像やビデオクリップの動画像をPIP窓に表示する方法に係るものであり、その具体的な表示の方法として、テレビモニタのスクリーンの背景に、現在時間に放送されているテレビ番組の番組リスト表示の「現在」ガイド(TISPG)と、選択されたチャンネルの現在から将来の番組リスト表示の「このチャンネル」ガイド(CSPG)と、前記選択されたテーマ、例えば、全映画の次の放送番組から将来の番組リスト表示の「分類(全映画)」ガイド(THSPG)とを切り替えて表示するとともに、現在放送されているテレビ番組の動画像を、リアルタイムでPIP窓に表示する方法であって、視聴者が、カーソルを移動して、前記ガイドに表示された将来番組のタイトルを強調したときには、その強調された将来番組の予告のビデオクリップが、VCRのテープから検索され、PIP窓42に表示されるという方法を採用したものである、すなわち、甲第2号証に記載された発明は、ガイド表示として、現在時間に放送されている番組リスト表示、選択されたチャンネルの現在から将来の番組リスト表示、前記選択されたテーマの将来の番組リスト表示の表示の切り換えを行うものであり、リストは放送される番組を期待してユーザが用いるのであり、テープの記録内容を確認しようとするものではなく、そのような示唆もないことからすると、甲第2号証に記載された発明において、上記相違点に係る構成である「記憶媒体に記録された複数の番組のディレクトリを生成する段階であって、前記ディレクトリは、前記記録された番組のタイトルと該記録された番組の位置とを含む、前記段階」や「記録された番組の前記ディレクトリと放送される番組の前記ディレクトリを二者択一的に表示する段階」を備えるようにすること、「放送される番組の内の1つからの番組あるいは、記録された番組の内の1つからの番組を、表示されるディレクトリと同時に二者択一的に表示する段階」や「前記表示する段階で表示された記録された番組の前記ディレクトリからの番組タイトルのうち1つを目立たせる段階」を備えるようにすることが、当業者が甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に想到し得たことであるとはいえない。
よって、本件特許発明1が、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。

(2)本件特許発明2ないし5、7及び8について
また、本件特許発明2ないし5、7及び8は、本件特許発明1の構成にさらに別の構成要件を付加したものであり、上記のとおり本件特許発明1は甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に想到し得たものとは認められないことから、本件特許発明2ないし5、7及び8も、当業者が甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に想到し得たものとは認められない。
よって、本件特許発明2ないし5、7及び8が、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。

4.無効理由4(特許法第123条第1項第5号)について
(1)無効理由4 ア.「記憶媒体」について
ア.本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書(甲第6号証)には、以下の記載が認められる。
なお、翻訳文は請求人の提出した甲第6号証の訳文による。

(ア)「FIELD OF THE INVENTION
This invention relates to the field of television, and more particularly to a method and apparatus for switching between a television viewing mode and a guide mode which comprises program guide screens, for telecast programs, and video tape index guide screens, for recorded programs.」(甲第6号証第1頁2ないし6行)
《翻訳》
「発明の属する技術分野
本発明はテレビ技術分野に関するものであり、より詳しくは、テレビ視聴モードと、テレビ放送される番組に対する番組ガイド画面及び記録された番組に対するビデオテープインデックスガイド画面により構成されるガイドモードとの間で切換を行うための方法と装置に関する。」

(イ)「 BACKGROUND OF THE INVENTION
Television systems are available which include various types of on-screen guides to providea viewer with information about available programs. Electronic program guides (EPG) provide information about currently telecast programs and programs to be broadcast in the future. An EPG includes program listings which provide time, channel, length, and title information for a program and may also provide a brief description of the content of the program in a separate portion of the screen. Many EPG systems have the capability to sort program listings by type, time, or viewer preferences.
Tape indexing systems for video cassette recorders (VCR) allow a viewer to identify a recorded program stored in the viewer's video tape library. Such systems also provide an on-screen directory of programs available on a loaded tape and can automatically scan throughthe video tape to the position of the desired program stored on the tape.
Some types of EPG and tape index guides include screens with a picture in picture (PIP) window for displaying moving, real time images or still images from a selected television program.
It is desirable to provide a television system which has both types of guides, i.e., an EPG and a tape index guide, and which facilitates navigation in a guide mode between the various guide screens and between the guide mode and a normal television viewing mode, in which a selected television program is viewed full screen.
It is also desirable to provide a viewer with the capability to control which program is displayed in the PIP window in the guide mode in the same manner the viewer would in the normal television viewing mode. This includes switching between tuned channels or between the outputs of the tuner and the VCR. 」(甲第6号証第1頁7行ないし最終行)
《翻訳》
「発明の背景
視聴者に利用可能な番組に関する情報を提供するため、様々なタイプのオンスクリーンガイドを含んだテレビジョンシステムが利用可能となっている。電子番組ガイド(EPG)は現に放送中の番組と将来放送される番組に関する情報を提供する。EPGには、番組に関する時刻、チャンネル、長さ、タイトルを提供する番組一覧が含まれており、画面の別の部分に番組内容の簡単な説明を提供することもできる。多くのEPGシステムは、タイプ、時刻、視聴者の好みごとに番組一覧を分類する能力を備えている。
ビデオカセットレコーダ(VCR)用のテープインデックスシステムにより、視聴者は自分のビデオテープライブラリに記憶させた記録番組を識別できる。こうしたシステムは又、ロードされたテープ上で利用可能なオンスクリーン番組ディレクトリを提供し、そしてビデオテープを自動的にスキャンしテープ上に記憶された望みの番組の位置へ行くことができる。
EPGとインデックスガイドのタイプの中には、選択したテレビ番組からのリアルタイムの動画像又は静止画像を表示するため、画像内画像(PIP)ウィンドウ付きの画面を有するものがある。
両タイプのガイド、即ちEPGとテープインデックスガイド、を備えたテレビジョンシステムを提供することが望ましく、これによりガイドモードの際、様々なガイド画面間の移動と、選択したテレビ番組を画面全体で見る普通のテレビ視聴モードとガイドモードの間の移動が容易になる。
又、ガイドモードでのPIPウィンドウ内に、普通のテレビ視聴モードで視聴者が欲する同じやり方で、どの番組を表示するかを視聴者が制御できるようにすることが望ましい。これには、チャンネル間の切換や、VCR出力とチューナー出力の間の切換が含まれる。」

(ウ)「SUMMARY OF THE INVENTION
A television system according to the present invention includes a tape indexing and searching (TIS) apparatus for generating a tape index display, an electronic program guide (EPG) apparatus for generating an EPG display, a VCR for playing recorded television programs, and a tuner for receiving broadcast television programs. The video outputs of the two guide apparatus are connected to a guide switch and the video output of the tuner and theVCR are connected to a program source switch. A PIP chip is operatively connected to the guide switch and the program source switch such that in an active mode the PIP chip displayson a television screen a PIP window displaying the moving, real time images of a selected program overlaid on a background comprising selected guide information.
Preferably a microprocessor controls and coordinates the operation of the PIP chip and the switches so that the viewer may navigate between the various screens of the guide mode and the normal television viewing mode, and display a desired program in the PIP window.
By pressing a guide/tv button on the remote controller, the viewer may enter either an EPG or tape index guide from the normal television mode and also return to the television mode from either type of guide. In either the television or guide mode, a program source button toggles the program display between a tuned program and a recorded program playing on the VCR. In the guide mode, a guide/index button toggles between the EPG and the tape index guide. In the television mode, a PIP button allows the viewer to view the program being output from one program source, i.e., the tuner or the VCR, while viewing the program outputfrom the other program source full screen.」(甲第6号証第2頁1行ないし最終行)
《翻訳》
「発明の概要
本発明によるテレビジョンシステムは、テープインデックス表示を生成するためのテープ索引付け&探索(TIS)装置と、EPG表示を生成するための電子番組ガイド(EPG)装置と、記録されたテレビ番組を流すためのVCRと、放映されたテレビ番組を受信するチューナーとを有している。2つのガイド装置のビデオ出力はガイドスイッチに接続され、チューナーとVCRのビデオ出力は番組ソーススイッチに接続される。PIPチップは、操作されることによりガイドスイッチと番組ソーススイッチに接続され、能動モード時に、PIPチップはテレビ画面上にPIPウィンドウを表示し、選択された番組のリアルタイムの動画像を、選択されたガイド情報を含む背景上に重ねて表示する。
マイクロプロセッサーがPIPチップとスイッチの作動を制御調整し、視聴者がガイドモードの様々な画面と普通のテレビ視聴モードの間を移動できて、PIPウィンドウに望みの番組を表示できることが好ましい。
リモートコントローラ上のガイド/テレビのボタンを押せば、視聴者はEPGとテープインデックスガイドのいずれのモードにも、普通のテレビモードから入ることが可能で、いずれのガイドからもテレビ視聴モードに戻ることができる。テレビモード、ガイドモードいずれの場合でも、番組ソースボタンにより、番組表示をチューナーが同調した番組とVCRに掛かっている記録された番組との間で切り替えることができる。ガイドモードの場合、ガイド/インデックスボタンにより、EPGガイドとテープインデックスガイドの間で切り替えることができる。テレビモードの場合、視聴者はPIPボタンにより、一方の番組ソースから出力される番組を画面全体で見ながら、他方の番組ソース、即ちチューナーかVCRのいずれかから現に出力中の番組を視聴することができる。」

(エ)「BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS
The features of a specific embodiment of the best mode contemplated of carrying out the invention are illustrated in the drawings, in which:
FIG. 1 is a schematic block diagram of apparatus for practicing the invention;
FIG. 2 is a remote controller for operating the apparatus of FIGS. 1 and 9 ;
FIGS. 3 to 7 are television screens formatted to practice the invention with the apparatus of FIG. 1 ;
FIG. 8 is a schematic block diagram of another embodiment of apparatus for practicing the invention;
FIG. 9 is a flow diagram illustrating the operation of the PLAY button in either a guide mode or a television viewing mode;
FIGS. 10A and 10B are flow diagrams illustrating the operation of a GUIDE/TV button in the television viewing mode;
FIGS. 11A and 11B are flow diagrams illustrating the operation of an INDEX button in the guide mode;
FIGS. 12A and 12B are flow diagrams illustrating the operation of the GUIDE/TV button in the guide mode; and
FIGS. 13A and 13B are flow diagrams illustrating the operation of a PIP button in the television viewing mode;」(甲第6号証第3頁1行ないし19行)
《翻訳》
「図面の簡単な説明
本発明の実施するために考えられた最善のモードの特定実施例を図面で示す。
図1は、本発明を実施する装置の概略ブロック図である。
図2は、図1と図9の装置を操作するリモートコントローラーである。
図3から図7は、図1の装置で本発明を実施すべくフォーマット化されたテレビ画面である。
図8は、本発明を実施する装置の別の実施例の概略ブロック図である。
図9は、ガイドモードないしテレビ視聴モードでのPLAYボタンの操作を示すフロー図である。
図10A、10Bは、テレビ視聴モードでのGUIDE/TVボタンの操作を示すフロー図である。
図11A、11Bは、ガイドモードでのINDEXボタンの操作を示すフロー図である。
図12A、12Bは、ガイドモードでのGUIDE/TVボタンの操作を示すフロー図である。
図13A、13Bは、テレビ視聴モードでのPIPボタンの操作を示すフロー図である。」

イ.判断
本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書における上記記載から、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書には、以下の技術的事項が認められる。
a.本件特許発明は、テレビ視聴モードと、テレビ放送される番組に対する番組ガイド画面及び記録された番組に対するビデオテープインデックスガイド画面により構成されるガイドモードとの間で切換を行うための方法と装置に関するものである。(上記記載(ア))
b.電子番組ガイド(EPG)とテープインデックスガイドを備えたテレビジョンシステムを提供することが望まれ、これによりガイドモードの際、様々なガイド画面間の移動と、選択したテレビ番組を画面全体で見る普通のテレビ視聴モードとガイドモードの間の移動が容易になること、また、ガイドモードでのPIPウィンドウ内に、普通のテレビ視聴モードで視聴者が欲する同じやり方で、どの番組を表示するかを視聴者が制御できるようにすることが望ましいという技術背景のもと本件発明が提供された。(上記記載(イ))
c.上記発明の概要や図1?13に示した本件発明の実施例からみて、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書には、
テープインデックス表示を生成するためのテープ索引付け&探索(TIS)装置と、EPG表示を生成するための電子番組ガイド(EPG)装置と、記録されたテレビ番組を流すためのVCRと、放映されたテレビ番組を受信するチューナーとを有し、2つのガイド装置のビデオ出力はガイドスイッチに接続され、チューナーとVCRのビデオ出力は番組ソーススイッチに接続されるテレビジョンシステムにおいて、
リモートコントローラ上のガイド/テレビのボタンを押せば、視聴者はEPGとテープインデックスガイドのいずれのモードにも、普通のテレビモードから入ることが可能で、いずれのガイドからもテレビ視聴モードに戻ることができること、
テレビモード、ガイドモードいずれの場合でも、番組ソースボタンにより、番組表示をチューナーが同調した番組とVCRに掛かっている記録された番組との間で切り替えることができること、
ガイドモードの場合、ガイド/インデックスボタンにより、EPGガイドとテープインデックスガイドの間で切り替えることができ、テレビモードの場合、視聴者はPIPボタンにより、一方の番組ソースから出力される番組を画面全体で見ながら、他方の番組ソース、即ちチューナーかVCRのいずれかから現に出力中の番組を視聴することができること。(上記記載(ウ)、(エ))

上記a.ないしc.によれば、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書には、番組を記録する記憶媒体として、具体的にはテープについてのみ説明がされている。
しかしながら、前記明細書には、ガイド画面間の移動やPIPウィンドウ内の番組表示等を視聴者が容易に制御できるようにすることが望ましいという技術背景のもと、テレビ放送される番組に対するガイド(EPG)画面とテープに記録された番組に対するガイド画面を切り換えること、また、テレビモード、ガイドモードいずれの場合でも、チューナーが同調した番組(テレビ放送される番組)とテープに記録された番組との間で切り換えることをリモートコントローラ上の各種ボタンの操作により容易に行えるようにすること、すなわち、既にテープに記録された番組と現在を含む将来に放送される番組とを対極のものと捉え、テープに記録された番組と放送される番組を切り換えることや、テープに記録された番組のガイド画面と放送される番組のガイド画面間を切り換えることが記載されているといえることから、前記明細書において、放送される番組と対極のものとして認識される番組は記録された番組であり、放送とは異なるソースから得られるものとして捉えられているということができる。
そうすると、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書には、具体的には番組を記録する記憶媒体としてテープについてのみ記載されているとしても、放送される番組との対極において、記憶媒体の具体的な構成にはとらわれない、放送とは異なる、記録し再生できる機能を有するソースとしてテープを捉える技術的事項が記載されているといえる。
また、本件特許に係る特許出願の国際出願時において、ビデオ信号を記録し、再生する記憶媒体として、ビデオテープ以外の記憶媒体(例えば、ディスク)が存在することは周知な事項である。
したがって、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書にテープ以外の記憶媒体について、特に明記されていないとしても、上記明細書に記載された事項や、ビデオ信号を記録し、再生する記憶媒体として、ビデオテープ以外の記憶媒体が周知なものであることからみて、「記憶媒体」は、当業者によって、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書のすべての記載を総合することにより、導かれる技術的事項であり、新たな技術的事項を導入するものであるとはいえないことから、本件特許発明1の要件1-Bにおける「記憶媒体」は、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書に記載された事項の範囲内のものであるといえる。
以上のとおりであるから、本件特許は特許法第184条の18で読み替えて適用する同法第123条第1項第5号に該当し、無効とすべきものであるとはいえない。

(2)無効理由4 イ.「ディレクトリを生成」について
ア.本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書(甲第6号証)には、以下の記載が認められる。
(ア)「The tape index guide system is of the type which is provided with a VBI decoder to decode information, such as title, channel, date, time, and length of broadcast programs and utilizes the information in providing a directory of programs stored on a recorded tape and for controlling the VCR. The tape index guide system is also provided with a VBI encoder for inserting control and directory information onto the tape on which the broadcast program is being recorded, either in the VBI portions of the video track or in the control track of the tape. From the control and directory information stored on the tape, the tape index guide system creates a program directory which may be displayed on the screen. The directory enables the viewer to determine the location of a recorded program in his or her tape library and control the playing of a selected program on a tape loaded in the VCR. The on-screen directory includes a PIP window. The PIP window may be used to display an entire selected program or a selected video clip from the program as the program listing is selected in the directory. 」(甲第6号証第3頁下から7行目ないし4頁6行)
《翻訳》
「テープインデックスガイドシステムは、番組タイトル、チャンネル、月日、放送番組の長さ、といった情報を解読するVBI解読器を備えたタイプのものであり、記録テープ上に貯えられた番組のディレクトリを提供する際とVCRを制御するのに当該情報を利用する。テープインデックスガイドシステムはまた、放映番組が現に記録されているテープ上の、ビデオトラックのVBI部分かテープの制御トラックのいずれかに、制御とディレクトリの情報を挿入するVBI暗号器も備えている。テープ上に貯えられた制御とディレクトリの情報から、テープインデックスガイドシステムは、画面上に表示されるべき番組ディレクトリを作り出す。ディレクトリにより視聴者は、自分のテープライブラリ中の記録番組の位置を決定し、VCRにロードされたテープ上の選択された番組の流れを制御できる。オンスクリーンディレクトリは、PIPウィンドウを含んでいる。番組一覧がディレクトリ内で選択される時に、PIPウィンドウは選択された番組全てないし番組から選択したビデオクリップを表示するのに使用することもできる。」

(イ)「In another preferred embodiment, if the tape playing in the VCR is encoded with control and directory information, the tape index guide screen of FIG. 7 is displayed. A directory of the programs or program segments on the tape loaded in VCR 16 is displayed in listing area 58 . A listing for the program displayed in the PIP window is highlighted by cursor 60 and a description of the program is displayed in area 56 . Preferably, when the viewer moves cursor 60 to another listing, TIS apparatus 22 uses the control and directory information stored on the tape to initiate a program searching which it controls VCR 16 to locate and queue up the highlighted program and play the tape so that the newly selected recorded program is displayed in PIP window 50 . 」(甲第6号証第6頁11ないし19行)
《翻訳》
「別の好適実施例で、VCRで流れているテープが制御とディレクトリの情報で暗号化されている場合、図7のテープインデックスガイド画面が表示される。VCR16にロードされたテープ上の番組ないし番組の部分のディレクトリが、番組一覧エリア58中に表示される。PIPウィンドウに表示される番組一覧は、カーソル60で強調表示され、番組に関する記述がエリア56に表示される。視聴者がカーソル60を別の番組一覧に動かした時、TIS装置22はテープ上に貯えられた制御とディレクトリの情報を使って番組サーチを開始させ、VCR16の位置を制御し、強調表示された番組を待機させ、テープを流し、新たに選択された記録番組をPIPウィンドウ50に表示するのが好ましい。」

(ウ)「 Preferably, the microprocessor controlling guide switch 20 is sensitive to the condition of program source switch 14 so that when switch 14 is switched to tuner 12 , the microprocessor controls guide switch 20 to couple EPG apparatus 18 to PIP circuit 23 when the GUIDE/TV button 28 is pressed. This causes television 24 to display the screen of FIG. 3 . When the EPG is entered directly in the manner, the last channel to which television 28 was tuned in the television mode is displayed at the top of listing area 58 , e.g., PBS Channel 28, and EPG information is displayed in listing area 58 . 」(甲第6号証第5頁下から5行目ないし第6頁2行)
《翻訳》
「ガイドスイッチ20を制御するマイクロプロッセサーは番組ソースの条件に対して敏感であり、スイッチ14がチューナー12に切り換わっている状態で、GUIDE/TVボタン28が押された時には、マイクロプロッセサーはガイドスイッチ20を制御し、EPG装置18をPIPチップ23と連結させることが好ましい。これはテレビ24に図3の画面を表示させることになる。こうしたやり方でEPGに直接入った時には、テレビモードでテレビ28が同調した最後のチャンネルが、例えばPBSチャンネル28と、番組一覧エリア58の先頭に表示され、EPG情報が一覧エリア58に表示される。」

イ.判断
本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書における上記記載を考慮すると、前記明細書には、VBI解読器で解読された番組タイトル、チャンネル、月日、放送番組の長さ、といった情報を利用して提供されるものであり、ディレクトリの情報から表示されるべき番組ディレクトリが作り出され、番組が一覧表示される。また、当該番組の一覧表示において、個々の番組を特定することができ、当該特定された番組を表示するための制御に利用される情報であるディレクトリが開示され、電子番組ガイド(EPG)画面の番組一覧エリアに、複数の情報提供者から放送される複数の番組のチャンネルと番組のタイトルを含む番組の一覧を表示することが開示されているといえ、このような電子番組ガイド(EPG)画面の番組の一覧を表示するためには、複数の情報提供者から放送される複数の番組の情報から、表示されるべき番組の一覧を生成すること、すなわち、表示されるべき複数の情報提供者から放送される複数の番組のチャンネルと番組のタイトルを含むディレクトリを生成することが必要であることは明らかであることから、本件特許発明の「視聴のために番組を選択する方法」が「複数の情報提供者から放送される複数の番組のディレクトリを生成する段階」を備えることは、詳細に説明されずとも自明な事項であるということができる。
そうすると、「ディレクトリを生成」が、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書に記載された事項の範囲内にないものであるとはいえない。
以上のとおりであるから、本件特許は特許法第184条の18で読み替えて適用する同法第123条第1項第5号に該当し、無効とすべきものであるとはいえない。

(3)無効理由4 ウ.「二者択一」(要件1-D)について
ア.本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書(甲第6号証)には、以下の記載が認められる。
(ア)「When the viewer presses GUIDE/TV button 28 , PIP chip 23 is turned on, guide switch 20 couples EPG apparatus 18 or TIS apparatus 22 to PIP chip 23 , and television 28 displays an EPG or tape index guide, respectively. 」(甲第6号証第5頁下から9行目ないし下から6行目)
《翻訳》
「視聴者がGUIDE/TVボタン28を押すと、PIPチップ23はオンとなり、ガイドスイッチ20は、EPG装置18ないしTIS装置22をPIPチップ23に連結し、テレビ28はEPGないしテープインデックスガイドを表示する。」

(イ)「While in the guide mode, INDEX button 30 controls switch 20 . Thus, from an EPG screen such as that shown in FIG. 3 , the viewer may switch to a tape index screen such as that shown in FIG. 4 , and vice versa, as shown in FIGS. 11A and 11B . Since only switch 20 is controlled by INDEX button 30 , according to this embodiment, the program being displayed in PIP window 50 is unchanged as the background 52 is switched between an EPG and a tape index guide. 」(甲第6号証第7頁14ないし19行)
《翻訳》
「ガイドモードでは、INDEXボタン30はスイッチ20を制御する。従って視聴者は、図3に示すようなEPG画面から、図4に示すようなテープインデックスガイド画面に切り換えてもよく、図11A、11Bに示すようにその逆の切換をしてもよい。本発明によると、スイッチ20のみがINDEXボタン30で制御されるので、背景52がEPGとテープインデックスガイドの間で切り換ってもPIPウィンドウ50に表示中の番組は変わらない。」

(ウ)「If the viewer knows the tape in advance, the menus of FIGS. 4 to 6 can be bypassed by loading the tape into VCR 16 before pressing INDEX button 30 . 」(甲第6号証第8頁1ないし3行)
《翻訳》
「視聴者が事前にテープを知っている場合、INDEXボタン30を押す前にVCR16にテープをロードすることで、図4から図6のメニューをバイパスすることできる。」

イ.判断
本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書における上記記載を考慮すると、前記明細書には、以下の事項の記載が認められる。
a.視聴者がGUIDE/TVボタン28を押すと、PIPチップ23はオンとなり、ガイドスイッチ20は、EPG装置18ないしTIS装置22をPIPチップ23に連結し、テレビ28はEPGないしテープインデックスガイドを表示すること

b.ガイドモードでは、INDEXボタン30はスイッチ20を制御する。従って視聴者は、図3に示すようなEPG画面から、図4に示すようなテープインデックスガイド画面に切り換えてもよく、図11A、11Bに示すようにその逆の切換をしてもよい。本発明によると、スイッチ20のみがINDEXボタン30で制御されるので、背景52がEPGとテープインデックスガイドの間で切り換ってもPIPウィンドウ50に表示中の番組は変わらないこと

c.視聴者が望みの番組が記録されたビデオテープを識別してVCR16にロードした後、図7の画面が表示される。視聴者が事前にテープを知っている場合、INDEXボタン30を押す前にVCR16にテープをロードすることで、図4から図6のメニューをバイパスすることができること
また、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の図面の第3図に電子番組ガイド(EPG)画面の番組一覧エリア58にEPG情報として局名、チャンネル番号、番組名が表示されることが示され、第7図にテープインデックスガイド画面の番組一覧エリア58に番組のタイトル等が表示されることが示されている。

以上の記載からすると、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書には、視聴者がGUIDE/TVボタンを押すと、電子番組ガイド(EPG)画面またはテープインデックスガイド画面を表示すること、そして、INDEXボタンによりEPG画面からテープインデックスガイド画面への切り換え、また、その逆の切り換えができることが記載されているといえ、そうすると、「二者択一」(要件1-D)が、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書に記載された事項の範囲内にないものであるとはいえない。
以上のとおりであるから、本件特許は特許法第184条の18で読み替えて適用する同法第123条第1項第5号に該当し、無効とすべきものであるとはいえない。

(4)無効理由4 ウ.「二者択一」(1-E)について
ア.本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書(甲第6号証)には、以下の記載が認められる。
(ア)「PLAY button 32 controls program source switch 14 in either the television mode or the guide mode to switch between tuner 12 and VCR 16 . Thus, the viewer may switch between the program output by VCR 16 and the program output by tuner 12 in the PIP window 50 while in the guide mode. 」(甲第6号証第7頁20ないし23行)
《翻訳》
「PLAYボタン32は、テレビモード、ガイドモードのいずれでも番組ソーススイッチ14制御し、チューナー12とVCR16の間の切換を行う。従って視聴者はガイドモードの最中に、VCR16からの番組出力とチューナー12からの番組出力の間の切換をPIPウィンドウ50の中で行ってもよい。」

イ.判断
本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書における上記記載、すなわち「PLAYボタン32は、テレビモード、ガイドモードのいずれでも番組ソーススイッチ14制御し、チューナー12とVCR16の間の切換を行う。従って視聴者はガイドモードの最中に、VCR16からの番組出力とチューナー12からの番組出力の間の切換をPIPウィンドウ50の中で行ってもよい。」との記載に照らすと、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書には、電子番組ガイド(EPG)、テープインデックスガイドのガイド表示の最中に、ガイド表示と同時に表示されるPIPウィンドウの表示を、記録された番組の表示から放送される番組(チューナーが同調した番組)の表示への切り換え、また、その逆の切り換え表示をするように、すなわち、二者択一的に表示することが記載されているといえる。
そうすると、「二者択一」(要件1-E)が、本件特許に係る特許出願の国際出願日における国際出願の明細書に記載された事項の範囲内にないものであるとはいえない。
以上のとおりであるから、本件特許は特許法第184条の18で読み替えて適用する同法第123条第1項第5号に該当し、無効とすべきものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項1ないし5、7及び8に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-01-11 
出願番号 特願平9-532873
審決分類 P 1 123・ 537- Y (H04N)
P 1 123・ 562- Y (H04N)
P 1 123・ 121- Y (H04N)
P 1 123・ 113- Y (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西谷 憲人  
特許庁審判長 藤内 光武
特許庁審判官 奥村 元宏
佐藤 直樹
登録日 2001-06-01 
登録番号 特許第3195367号(P3195367)
発明の名称 ビデオカセットレコーダインデックスと電子番組ガイドの組み合わせ  
復代理人 大塩 竹志  
代理人 高見 憲  
代理人 松島 淳也  
代理人 安村 高明  
代理人 鮫島 正洋  
代理人 山本 秀策  
復代理人 和田 祐造  
代理人 森下 夏樹  

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