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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) F25D |
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管理番号 | 1251516 |
判定請求番号 | 判定2011-600042 |
総通号数 | 147 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2012-03-30 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2011-09-20 |
確定日 | 2012-02-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第4201486号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号物件目録に示す「冷蔵庫」は、特許第4201486号発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
第1 請求の趣旨と手続の経緯 判定請求人の請求の趣旨は、イ号物件目録に示す横型冷蔵庫は、特許第4201486号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。 また、本件に係る手続の経緯は、以下のとおりである。 平成13年 1月18日 本件特許に係る特許出願 平成20年 5月27日 拒絶理由通知書 平成20年 8月 1日 意見書及び補正書 平成20年 9月24日 特許査定 平成20年10月17日 本件特許登録 平成23年 9月20日 本件判定請求 平成23年11月11日 判定請求答弁書 平成23年11月28日 審尋 平成23年12月27日 回答書(請求人) 平成23年12月27日 判定請求回答書(被請求人) 第2 本件特許発明 1.本件特許発明の構成 本件特許発明は、願書に添付した明細書及び図面(以下「特許明細書」という。)の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)の構成要件を分説すると以下のとおりである。 A 外箱(14)と該外箱(14)の内部に所要空間を設けて配設される内箱(16)との間に断熱材(18)を充填して形成されたケース本体(20)を有するショーケース(12)を、 B 冷凍機構を備えた冷蔵庫本体(13)の天板(11)上面に設置した冷蔵庫において、 C 前記ケース本体(20)の長手方向の両側部に、該側部を被覆する板状のサイドカバー(24,24)を当接状態で固定し、 D 前記各サイドカバー(24)の外周縁に、後面部から上端部および前面側に亘って前記ショーケース(12)側へ延出して該ショーケース(12)の側部における前後および上部に当接する掛止縁部(26)を形成し、 E 前記各サイドカバー(24)の下端部に、前記冷蔵庫本体(13)の天板(11)上面から所要長さだけ下方に延出する接続手段(41,42)を設け、 F 該接続手段(41,42)を介してショーケース(12)を冷蔵庫本体(13)に接続するよう構成したことを特徴とする冷蔵庫。 2.本件特許発明の目的及び効果 (1)特許明細書における本件特許発明の目的及び効果の記載(下線は当審で付与。以下、同様。) ア.目的(段落【0005】) 「本発明は、前述した従来の技術に内在している前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、ショーケースと冷蔵庫本体との接続強度を向上し、衛生的で耐久性を向上し得る冷蔵庫を提供することを目的とする。」 イ.作用効果(段落【0024】) 「以上説明した如く、本発明に係る冷蔵庫では、ショーケースを一対のサイドカバーにより冷蔵庫本体に強固に接続するよう構成したから、移動時や地震等に際して該冷蔵庫本体が振動した場合においても、冷蔵庫本体に対するショーケースのズレを好適に防止することができる。従って、ショーケースと冷蔵庫本体との継ぎ目等に施されるコーキング材の破損等を回避でき、ショーケースと冷蔵庫本体との僅かな間隙に水等が浸入するのを防止でき、この部位に腐食を発生させることなく耐久性を向上し得ると共に、雑菌等が繁殖するのも防止でき、衛生面での向上が図れる。また、ショーケースのサイドカバーを冷蔵庫本体の接続用に兼用することで、部品点数を低減し得ると共にコストを低廉に抑えることができる。」 (2)平成20年8月1日付けの意見書(乙第11号証)の主張 「・請求項1について (a) 冷蔵庫本体の天板上面から所要長さだけ下方に延出する接続手段を設けたので、ショーケースを冷蔵庫本体に上方から載置した状態で両者を接続することができる。従って、ショーケースおよび冷蔵庫本体を容易に接続することができ、作業効率が向上すると共に作業者の負担を軽減し得る。また、サイドカバーがショーケースの側部を覆うので、冷蔵庫の外観上の美感を向上し得る。更に、サイドカバーの掛止縁部がショーケースの側部周縁に当接するので、サイドカバーを組付ける際に位置決めし得る。しかも、掛止縁部がショーケースの側部に当接することで、ショーケースおよび冷蔵庫本体の接続強度を向上し得る。」(2ページ5?13行) (3)まとめ 上記(1)の記載及び(2)の主張を考慮すると、本件特許発明は、天板上面から所要長さだけ下方に延出する接続手段を設けることで、ショーケースと冷蔵庫本体との接続強度を向上させ、もって衛生的で耐久性を向上るとともに、サイドカバーの掛止縁部をショーケースの側部周縁に当接させることで、サイドカバーを組付ける際に位置決めでき、接続強度を向上できるという効果を奏するものであると認める。 第3 イ号物件 1.イ号物件目録の記載 平成23年12月27日付け請求人回答書 「被請求人が製造・販売するネタケース付コールドテーブル冷蔵庫(型式番号:RXC-40RM7-NC)(以下、イ号物件という)は、この目録に添付したイ号図面に示したとおり、外箱41と内箱42の間の空間に断熱材43を充填して形成したケース本体の内部に寿司ネタを収納するネタケース40を、冷凍機構を内蔵した冷蔵庫本体50の天板51の上面に配置して構成されている。 ネタケース40は、ケース本体の長手方向の両側部に板状のサイドカバー61を当接状態で固定して同両側部を被覆すると共に、ケース本体の後端部が断面L字状の固定金具62、62により冷蔵庫本体50に固定されている。 各サイドカバー61は、その外周縁に後面部から上面部及び前面側に亘って前記ネタケース40側へ延出して同ネタケースの側部における前後および上部に当接する掛止縁部61aを形成してなり、その下端部に冷蔵庫本体50の天板51上面から下方に延出して設けた延出部61bを冷蔵庫本体50にネジ止め固定してある。」 2.当審によるイ号物件の認定 イ号物件の図面をみると、図2にも明示されているように、サイドカバー61は、その外周縁に後面部から上面部及び前面側に亘って前記ネタケース40側へ延出する掛止縁部61aを有しているものと認められるが、その掛止縁部61aは、ネタケースの側部における前後および上部に当接して配置されるものではなく、ネタケースの側部における前後および上部と隙間Sを有して配置されるものである。 また、サイドカバー61はネタケース40に当接状態で固定されると共に冷蔵庫本体50の天板51上面から下方に延出して設けた延出部61bを冷蔵庫本体50にネジ止め固定されるものであるから、サイドカバー61の延出部61bを介してネタケース40を冷蔵庫本体に接続しているものと認められる。 そうしてみると、イ号物件は、その構成を本件特許発明の分説に合わせて、構成a?fに分説すると、次のとおりのものと認められる。 a 外箱41と内箱42の間の空間に断熱材43を充填して形成したケース本体の内部に寿司ネタを収納するネタケース40を、 b 冷凍機構を内蔵した冷蔵庫本体50の天板51の上面に配置し、 c 前記ケース本体の長手方向の両側部に板状のサイドカバー61を当接状態で固定して同両側部を被覆すると共に、前記ケース本体の後端部を断面L字状の固定金具62・62により冷蔵庫本体50に固定し、 d 前記各サイドカバー61の外周縁に、後面部から上面部及び前面側に亘って前記ネタケース40側へ延出して同ネタケースの側部における前後および上部に隙間Sを有して配置される掛止縁部61aを形成し、 e 前記各サイドカバー61の下端部に、冷蔵庫本体50の天板51上面から下方に延出する延出部61bを設け、 f 各延出部61bを介してネタケース40を冷蔵庫本体50に接続した冷蔵庫。 第4 当事者の主張 イ号物件が構成要件A?C、Eを充足することについて、請求人と被請求人との間に争いはない。 当事者間に争いのある、本件特許発明の構成要件D、F及び作用効果についての、請求人及び被請求人の主張の概要は、以下のとおりである。 1.構成要件D、Fについて (1)請求人の主張 ア.イ号物件におけるネタケース40の両側部に固定した各サイドカバー61は本件特許発明におけるサイドカバー(24)に相当し、前記サイドカバー61の縁部61aの形態が前記サイドカバー(24)の外周縁に形成した掛止縁部(26)の形態と同じであることは明らかである。 イ.ネタケース40の側部周縁とサイドカバー61の縁部61aとの隙間Sを誇張して表示してあるが、実際は1mm程度の隙間であって、この隙間Sにはシリコン製のコーキング材が充填されている。従って、サイドカバー61の縁部61aはネタケース40の側部における前部、後部および上部に実質的に当接して冷蔵庫本体50の天板51の上面に設置したネタケース40の左右の動きと上下の動きを規制し位置決めしている。 ウ.本件特許発明の実施にあたって、サイドカバー(24)は、その内面をケース本体(20)の側面に当接すると共に、掛止縁部(26)をケース本体(20)の側部の前後面および上面に当接することで位置決めされるので、サイドカバー(24)の組付け(嵌め合わせ)を可能にするため所要の寸法公差が考慮される。このため、ケース本体(20)の側部周縁とサイドカバー(24)の掛止縁部26の間に多少の隙間が生じる。この隙間がイ号物件における上記の隙間Sに相当する。 エ.本件特許発明の一実施形態(請求項3)においては、天板(11)の上面より下方に延出して天板(11)の後端部に当接する位置決め片(26a)をサイドカバー(24)の延出部(41)に設けたことにより、ショーケース(12)の前後方向の位置合わせと横方向の位置合わせができる。この点に関して、イ号物件においても本件特許発明における位置決め片(26a)と同様な位置決め片(符号なし)をサイドカバー61の延出部61aに設けてあるので、固定金具62・62を用いなくても容易に前後方向の位置合わせができる。それにも拘わらず、本件特許発明の構成要件Dの一部との相違を主張するため、固定金具62・62を用いてネタケース40の前後方向の位置合わせをしているに過ぎない。 オ.イ号物件におけるサドカバー61の延出部61bは、皿ネジにより冷蔵庫本体50に固定されているので、ネタケース40がサイドカバー61の延出部61bを介して冷蔵庫本体50に接続されていることは明らかである。 カ.イ号物件においては、冷蔵庫本体の天板上面に載置したネタケースが、同ネタケースの長手方向の両側部にネジ止め固定したサイドカバーの下端延出部を冷蔵庫本体の側板にそれぞれネジ止めしたことにより接続されているのであって、ネタケースの後端部を冷蔵庫本体の後端面に固定した別部材は単なる付加にすぎない。 (2)被請求人の主張 ア.イ号物件において、縁部61aの内形寸法は、ネタケース40の側部周縁の外形寸法よりも大きく形成されており、ネタケース40の側部にサイドカバー61を装着した状態において、ネタケース40の側部における前部、後部および上部と、サイドカバー61の縁部61aとの間には所定の間隙Sが形成され、換言すれば、サイドカバー61の縁部61aは、ネタケース40の側部周縁を非接触状態で覆うものとなっており、従って、イ号物件における縁部61aは、ネタケース40の側部における前後および上部に当接するものとなっておらず、この点で本件特許発明の掛止縁部(26)と大きく異なっており、本件特許発明の構成要件Dを充足しない イ.イ号物件においては、サイドカバー61のネタケース40および冷蔵庫本体50への固定に先立って、固定金具62・62により、ネタケース40が冷蔵庫本体50の天板51の上面に遊動不能に固定されるようになっており、サイドカバー61の延出部61bは、ネタケース40の冷蔵庫本体50に対する固定・接続に寄与する形態となっていない。 従って、イ号物件に係る延出部61bの外形形状が本件特許発明の接続手段(41・42)の外形形状と一致するものであったとしても、イ号物件において、延出部61bを介してネタケース40を冷蔵庫本体50に接続するように構成したとは言えず、従って、イ号物件は本件特許発明の構成要件Fを充足しない。 ウ.イ号物件のような冷蔵庫本体50の天板51の上面にネタケース40が設置された「冷蔵庫」においては、冷蔵庫本体50に対するネタケース40の位置合わせが不可欠であること、およびイ号物件において、ネタケース40の側部周縁と、サイドカバー61の縁部61aとの間には所定寸法の間隙Sが存在しており、サイドカバー61の縁部を使ってネタケース40の冷蔵庫本体50に対する位置合わせ作業を実行することは全く不可能であることに鑑みれば、位置合わせ要素となり得る固定部材62・62の存在は技術的に大いに意義があり、該固定部材62・62は単なる付加では全く無い。 2.作用効果について (1)請求人の主張の概要 本件特許発明の作用効果1?6とイ号物件の作用効果の相違について主張しているが、いずれの主張も冷蔵庫本体50の天板51の上面に設置したネタケース40を固定金具62・62を用いて固定したことに起因する相違であって、本件特許発明におけるサイドカバー(24)と同様に、イ号物件においてもサイドカバー61によってネタケース40の左右方向の位置合わせが成されると共に、同サイドカバー61の延出部61bによってネタケース40が冷蔵庫本体50に固定・接続されることは同じである。 (2)被請求人の主張 意見書および明細書に挙げられた本件特許発明の作用効果1?6のうち、イ号物件が奏し得るものは、作用効果2のみにすぎない。従って、イ号物件は本件特許発明の全ての作用効果を奏するものとはなっておらず、構成上の相違点のみならず、作用効果上の相違点に鑑みても、イ号物件は本件特許発明の技術的範囲に属さない。 (作用効果1) 冷蔵庫本体の天板上面から所要長さだけ下方に延出する接続手段を設けたので、ショーケースを冷蔵庫本体に上方から載置した状態で両者を接続することができる。従って、ショーケースおよび冷蔵庫本体を容易に接続することができ、作業効率が向上するのと共に作業者の負担を軽減し得る。 (作用効果2) サイドカバーがショーケースの側部を覆うので、冷蔵庫の外観上の美感を向上し得る。 (作用効果3) サイドカバーの掛止縁部がショーケースの側部周縁に当接するので、サイドカバーを組み付ける際に位置決めし得る。 (作用効果4) 掛止縁部がショーケースの側部に当接することで、ショーケースおよび冷蔵庫本体の接続強度を向上し得る。 (作用効果5) ショーケースを一対のサイドカバーにより冷蔵庫本体に強固に接続するよう構成したから、冷蔵庫本体に対するショーケースのズレを好適に防止することができる。従って、ショーケースと冷蔵庫本体との継ぎ目等に施されるコーキング材の破損等を防止でき、衛生面での向上が図れる。 (作用効果6) ショーケースのサイドカバーを冷蔵庫本体の接続用に兼用することで、部品点数を低減し得ると共にコストを低廉に抑えることができる。 第5 当審の判断 イ号物件の構成が、本件特許発明の各構成要件を充足するか否かについて検討する。 1.構成要件A及びBについて イ号物件の「外箱41」、「内箱42」、「断熱材43」、「ケース本体」、「ネタケース40」、「冷蔵庫本体50」、「天板51」及び「冷蔵庫」は、それぞれ、本件特許発明の「外箱(14)」「内箱(16)」、「断熱材(18)」、「ケース本体(20)」、「ショーケース(12)」、「冷蔵庫本体(13)」、「天板(11)」及び「冷蔵庫」に相当するから、イ号物件の構成a及びbは、本件特許発明の構成要件A及びBに該当することは明らかであって、当事者間にも争いはない。 よって、イ号物件は本件特許発明の構成要件A及びBを充足する。 2.構成要件C、E及びFについて (1)イ号物件の「サイドカバー61」及び「延出部61b」は、その機能及び作用からみてそれぞれ、本件特許発明の「サイドカバー(24,24)」「接続手段(41,42)」に相当する。 してみると、イ号物件の構成cは「前記ケース本体の後端部を断面L字状の固定金具62・62により冷蔵庫本体50に固定」するとの構成をさらに有するものであるが、本件特許発明の構成要件Cを充足することは明らかであり、また、イ号物件の構成eは本件特許発明の構成要件Eに該当し、本件特許発明の構成要件Eを充足する。 そして、イ号物件の構成fについては、文言上構成要件Fに該当し、構成要件Fを充足するものである。 よって、イ号物件は本件特許発明の構成要件C、E及びFを充足する。 (2)被請求人の主張について 被請求人は、サイドカバー61のネタケース40および冷蔵庫本体50への固定に先立って、固定金具62・62により、ネタケース40が冷蔵庫本体50の天板51の上面に遊動不能に固定されるようになっており、サイドカバー61の延出部61bは、ネタケース40の冷蔵庫本体50に対する固定・接続に寄与する形態となっていないから、イ号物件において、延出部61bを介してネタケース40を冷蔵庫本体50に接続するように構成したとは言えない旨主張しているが、イ号物件の特定でも述べたように、サイドカバー61はネタケース40に当接状態で固定されると共に冷蔵庫本体50の天板51上面から下方に延出して設けた延出部61bを冷蔵庫本体50にネジ止め固定されるものであって、サイドカバー61(延出部61bを含む)を介して、ネタケース40と冷蔵庫本体50を接続している以上、固定に寄与することも明らかであり、サイドカバー61の延出部61bは、ネタケース40の冷蔵庫本体50に対する固定・接続に寄与する形態である。したがって、被請求人の主張は採用できない。 また、被請求人は、本件特許発明のサイドカバーによるショーケースと冷蔵庫本体の接続に関する作用効果1、4、5、6はイ号物件では奏さない旨主張しているが、イ号物件も上記のとおりサイドカバー61の延出部61bは、ネタケース40の冷蔵庫本体50に対する固定・接続に寄与する形態であるから被請求人が主張する作用効果5、6を奏するものと認められ、さらに、掛止縁部61aとネタケース40の隙間Sにはコーキング材が充填されるものであるから、掛止縁部により接続強度を向上するという作用効果4もイ号物件が奏する作用効果である。 なお、本件特許発明がショーケースと冷蔵庫本体の接続について他の接続手段を設けることを除外していない以上、作業効率や部品点数の低減に関する作用効果については考慮しない。 3.構成要件Dについて (1)本件特許発明において「掛止縁部(26)」は「サイドカバー(24)の外周縁に、後面部から上端部および前面側に亘って前記ショーケース(12)側へ延出」するものであり、かつ、「ショーケース(12)の側部における前後および上部に当接する」ものとして特定されている。 そして、イ号物件の「掛止縁部61a」は「サイドカバー61の外周縁に、後面部から上面部及び前面側に亘って前記ネタケース40側へ延出」するものであるから、外見上は本件特許発明の「掛止縁部(26)」に対応するものである。しかしながら、イ号物件の「掛止縁部61a」は「ネタケースの側部における前後および上部に隙間Sを有して配置される」ものであるから、本件特許発明における「ショーケース(12)の側部における前後および上部に当接する」ものとの要件を満たすものではなく、イ号物件は構成要件Dを充足しない。 また、「掛止縁部61a」による作用効果についても、ネタケースの側部における前後および上部に隙間Sを有して配置されるものであるから、サイドカバー61の組み付けの際に位置決めに寄与するものではないことは明らかであり、被請求人が主張する作用効果3を奏するものでもない。 よって、イ号物件は本件特許発明の構成要件Dを充足しない。 (2)請求人の主張について 請求人は、ネタケース40の側部周縁とサイドカバー61の縁部61aとの隙間Sは実際は1mm程度の隙間であって、この隙間Sにはシリコン製のコーキング材が充填されるものであるから、サイドカバー61の縁部61aはネタケース40の側部における前部、後部および上部に実質的に当接している旨、及びサイドカバー(24)の組付け(嵌め合わせ)を可能にするため所要の寸法公差が考慮され、隙間Sは寸法公差にすぎない旨主張している。 しかしながら、本件特許に係る審査の過程において、平成20年8月1日付けの意見書(乙11号証)で、「サイドカバーの掛止縁部がショーケースの側部周縁に当接するので、サイドカバーを組付ける際に位置決めし得る」旨述べていることからして、サイドカバーを組付ける際に位置決めし得るためにサイドカバーの掛止縁部をショーケースの側部周縁に当接させる構成を採用したものと認められる。してみると、本件特許発明の「当接」とは位置決めするためのものであるから、組み付け後にコーキング材が充填されるような1mm程度の隙間を含むものではなく、また、イ号物件の隙間Sはネタケース40を固定金具62・62により冷蔵庫本体50に固定した後にサイドカバー61を組み付ける際に設けた隙間であるから、請求人のいう組付け(嵌め合わせ)を可能にするため所要の寸法公差ともいえないことは明らかである。 したがって、請求人の主張は採用できない。 第6.むすび 以上のとおり、イ号物件は、本件特許発明の構成要件Dを充足しないから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属さない。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2012-02-01 |
出願番号 | 特願2001-10499(P2001-10499) |
審決分類 |
P
1
2・
1-
ZB
(F25D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 槙原 進 |
特許庁審判長 |
森川 元嗣 |
特許庁審判官 |
松下 聡 青木 良憲 |
登録日 | 2008-10-17 |
登録番号 | 特許第4201486号(P4201486) |
発明の名称 | 冷蔵庫 |
代理人 | 長谷 照一 |
代理人 | 森本 聡 |