• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C21C
管理番号 1251827
審判番号 訂正2011-390134  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2011-12-08 
確定日 2012-02-09 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3415997号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3415997号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の趣旨
本件審判の請求の要旨は、特許第3415997号(平成8年7月8日特許出願、平成15年4月4日設定登録)に係る明細書を審判請求書に添付した明細書(以下、「訂正明細書」という。)のとおりに訂正しようとするものである。

2.訂正内容
本件訂正審判に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)は、以下の訂正事項1及び訂正事項2からなると認められる。なお、訂正箇所に下線を付した。

(1)訂正事項1
明細書の特許請求の範囲の請求項1における式(1)につき、
「-d[C]/dt=kco^(q)・([C]-P_(t)/(K・[O])-[C]^(*))-ks・([C]-P_(t)/(K・[O]))(mass%/min)
・・・・・(1)

K :平衡定数(mmHg/mass%^(2))=760・101160/(T+273)+2.003 ・・・・・(2)
P_(t) :時刻tでの真空槽内雰囲気圧力(mmHg),
T :溶鋼温度(℃),
[C] :炭素濃度(mass%),
[O] :酸素濃度(mass%)
設備固有定数 kco^(q) :CO気泡発生速度定数(l/min)
ks :表面反応速度定数(l/min)
[C]^(*) :CO気泡発生限界濃度(mass%)」とあるのを、

「-d[C]/dt=kco^(q)・([C]-P_(t)/(K・[O])-[C]^(*))+ks・([C]-P_(t)/(K・[O]))(mass%/min)
・・・・・(1)

K :平衡定数(mmHg/mass%^(2))=760・101160/(T+273)+2.003 ・・・・・(2)
P_(t) :時刻tでの真空槽内雰囲気圧力(mmHg),
T :溶鋼温度(℃),
[C] :炭素濃度(mass%),
[O] :酸素濃度(mass%)
設備固有定数 kco^(q) :CO気泡発生速度定数(l/min)
ks :表面反応速度定数(l/min)
[C]^(*) :CO気泡発生限界濃度(mass%)」と訂正する。

(2)明細書の段落【0005】における式(1)につき、
「-d[C]/dt=kco^(q)・([C]-P_(t)/(K・[O])-[C]^(*))-ks・([C]-P_(t)/(K・[O]))(mass%/min)
・・・・・(1)

K :平衡定数(mmHg/mass%^(2))=760・101160/(T+273)+2.003 ・・・・・(2)
P_(t) :時刻tでの真空槽内雰囲気圧力(mmHg),
T :溶鋼温度(℃),
[C] :炭素濃度(mass%),
[O] :酸素濃度(mass%)
設備固有定数 kco^(q) :CO気泡発生速度定数(l/min)
ks :表面反応速度定数(l/min)
[C]^(*) :CO気泡発生限界濃度(mass%)」とあるのを、

「-d[C]/dt=kco^(q)・([C]-P_(t)/(K・[O])-[C]^(*))+ks・([C]-P_(t)/(K・[O]))(mass%/min)
・・・・・(1)

K :平衡定数(mmHg/mass%^(2))=760・101160/(T+273)+2.003 ・・・・・(2)
P_(t) :時刻tでの真空槽内雰囲気圧力(mmHg),
T :溶鋼温度(℃),
[C] :炭素濃度(mass%),
[O] :酸素濃度(mass%)
設備固有定数 kco^(q) :CO気泡発生速度定数(l/min)
ks :表面反応速度定数(l/min)
[C]^(*) :CO気泡発生限界濃度(mass%)」と訂正する。

3.当審の判断
上記訂正事項1及び訂正事項2からなる本件訂正の適否について以下に検討する。

(1)訂正事項1について
ア この訂正は、式(1)が、「-d[C]/dt=kco^(q)・([C]-P_(t)/(K・[O])-[C]^(*))-ks・([C]-P_(t)/(K・[O]))」、すなわち「右辺第1項-右辺第2項」と記載されていたものを、「-d[C]/dt=kco^(q)・([C]-P_(t)/(K・[O])-[C]^(*))+ks・([C]-P_(t)/(K・[O]))すなわち、「右辺第1項+右辺第2項」と訂正するものである。
イ そこで検討すると、式(1)について、本願明細書には次の記載がある。
「【0009】
【作用】
通常の脱炭処理では真空槽内の圧力が大きく変化し、溶鋼の酸素濃度[O]も各々異なる条件下で実施されている。さらに、脱炭設備の相違によって溶鋼の撹拌強度、溶鋼循環形態も各々大きく異なる。本発明者らは、種々の研究・検討を重ねた結果、真空脱炭処理中の[C]の経時変化が、設備形態によらず(1)式で再現できる事を見出した。
【0010】
脱炭速度式(1)式右辺第1項は溶鋼内部からのCO気泡発生による脱炭速度を表し、(1)式右辺第2項は溶鋼自由表面からのCO生成による脱炭速度を表す。
【0011】
ここで、kco^(q) とKs および[C]^(*)の値は、[O]濃度に依存しない設備固有の速度定数と濃度パラメータである。kco^(q )の値は溶鋼撹拌力あるいは溶鋼環流速度と真空度Pt によって決まる値であり、ks の値は溶鋼撹拌力あるいは溶鋼環流速度とガス吹込み方法によって決まる値である。
【0012】
また、[C]^(*)の値はCO気泡生成のための限界[C]濃度であり、溶鋼の物理的な性質と処理形態によって決まる。種々の検討から、通常、[C]^(*)の値は0.0014?0.0016(mass%)の範囲にある値である事を発見した。本発明の実施に当たっては[C]^(*)=0.0015(mass%)の値を採用する。平衡定数Kは公知(製鋼反応の推奨平衡値:日本学術振興会、製鋼第19委員会編)の値を用いる。
【0013】
したがって、予め同一設備を用いて種々の条件で脱炭処理を実施して、実績の[C]の経時変化を測定し、その経時変化が(1)式で最も良く記述できる設備固有定数kco^(q )およびks の値を決定し、そのkco^(q) およびks の支配因子を明らかにしておけば、処理前[C]濃度、真空排気速度や[O]濃度の異なる溶鋼の脱炭処理の任意の時刻tでの[C]濃度が算定できる。」
ウ 上記イによれば、上記脱炭速度を表した式(1)の右辺第1項、すなわち「kco^(q)・([C]-P_(t)/(K・[O])-[C]^(*))」は溶鋼内部からのCO気泡発生による脱炭速度を表し、同じく(1)式の右辺第2項、すなわち「ks・([C]-P_(t)/(K・[O]))」は溶鋼自由表面からのCO生成による脱炭速度を表していると認められる。そして、脱炭速度「-d[C]/dt」は、これら溶鋼内部からのCO気泡発生による脱炭速度及び溶鋼自由表面からのCO生成による脱炭速度の総和であるから、脱炭速度式(1)は、「-d[C]/dt=kco^(q)・([C]-P_(t)/(K・[O])-[C]^(*))+ks・([C]-P_(t)/(K・[O]))」、すなわち、「右辺第1項+右辺第2項」と記載すべきものである。そうすると、これを、「-d[C]/dt=kco^(q)・([C]-P_(t)/(K・[O])-[C]^(*))-ks・([C]-P_(t)/(K・[O]))」、すなわち、「右辺第1項-右辺第2項」と記載した上記請求項1の記載は、上記本願明細書の記載からすれば、明らかな誤記であるというべきである。
したがって、この訂正は、誤記の訂正を目的とするものであると認められる。
エ そして、この訂正は、明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に最初に添付した明細書に実質的に記載されていたものと認められる。したがって、この訂正は、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
この訂正は、発明の詳細な説明に記載した式(1)について、訂正事項1と同じ内容の訂正をするものである。
したがって、上記(1)で述べた理由と同様に、この訂正は、誤記の訂正を目的とするものであり、そして、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(3)以上のとおりであるから、これら訂正事項1及び訂正事項2からなる本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものであって、同条第3項及び第4項の規定に適合するものである。
また、訂正後における特許請求の範囲に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由も発見しないから、本件訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

4.むすび
したがって、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書きの規定に適合するものであって、かつ同条第3項ないし第5項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
溶融の真空脱炭処理ガイダンス方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】溶鋼の真空脱炭反応モデルに基づいて脱炭処理中の[C]濃度を算定する方法において、予め決定した設備固有定数kco^(q)とk_(s)および[C]^(*)の値を用い、真空排気開始前の任意の時期に溶鋼を採取し、採取した溶鋼試料の炭素分析値と、真空排気開始直前に測定した溶鋼の温度Tと酸素濃度センサーによる酸素活量[O]の値に基づき、真空槽内の圧力P_(t)の変化をオンラインで読み込み、(1)式の差分により[C]の経時変化を時々刻々計算し、且つ、脱炭量に合せた物質収支を基に、次ステップの計算に必要な[O]濃度の値を算定して与え、脱炭処理中の[C]濃度を算定する事を特徴とする脱炭処理ガイダンス方法
【数1】

【請求項2】請求項第1項記載の溶鋼の真空脱炭処理ガイダンス方法において、RH脱ガス設備を用いた脱炭処理での[C]濃度の経時変化を算定するに際して、設備固有定数kco^(q)とk_(s)の値を、当該チャージの浸漬管内径Dを用い、P_(t)と環流ガス流量Fgasの変化を時々刻々与えて、(4)式で算定した溶鋼環流量Q_(m)の値をその都度算定し、予め決定した設備固有定数である反応速度補正値αとβを用いて各々(3-1)と(3-2)式で与える事を特徴とする溶鋼の脱炭ガイダンス方法
【数2】

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、[C]の中途分析なしに、溶鋼の脱炭処理中の[C]濃度をオンラインで算定して脱炭処理の終点判定基準を提示する簡便な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
真空脱ガス処理による溶鋼の脱炭終点判定の方法は、例えば、脱炭処理中の任意の時刻で溶鋼のサンプルを採取してその[C]の分析値と真空槽からの排ガスを分析して、物質収支に基づき脱炭量を算定する方法(特開昭51-81722)、[C]の分析値と反応速度式の演算に基づく方法(特開昭61-19726)等が公知であるが、いずれも、極低炭領域までの脱炭予測に対してはその精度が十分ではなく、極低炭素鋼溶製時での脱炭処理の終点判定法としての活用には問題がある。そこで、本発明者らは、脱炭処理中の任意の時期の採取した溶鋼試料の分析値をもとに、脱炭モデルから脱炭処理終点時間を決定する方法を提示した(特開平7-118730)。しかし、この方法も脱炭処理途中での[C]分析値が必要であること、速度定数kcoの値が、圧力が20mmHgであるときの値で代表させた一定値を採用していること、比較的高[C]濃度での推定が難しいこと等の課題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は極低炭素溶鋼を含む脱炭処理中に[C]の中途分析なしに、且つ、高炭素領域から効果的に[C]濃度の経時変化を示すと共に、脱炭処理終点判定基準を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶鋼の真空脱炭反応モデルに基づいて脱炭処理中の[C]濃度を算定する方法において、予め決定した設備固有定数kco^(q)とk_(s)および[C]^(*)の値を用い、真空排気開始前の任意の時期に溶鋼を採取し、採取した溶鋼試料の炭素分析値と、真空排気開始直前に測定した溶鋼の温度Tと酸素濃度センサーによる酸素活量[O]の値に基づき、真空槽内の圧力P_(t)の変化をオンラインで読み込み、(1)式の差分により[C]の経時変化を時々刻々計算し、且つ、脱炭量に合せた物質収支を基に、次ステップの計算に必要な[O]濃度の値を算定して与え、脱炭処理中の[C]濃度を算定して脱炭処理終点判定基準を提供することを特徴とする。
【0005】
【数3】

【0006】
さらに、RH脱ガス設備を用いた脱炭処理での[C]濃度の経時変化を算定するに際して、設備固有定数kco^(q)とk_(s)の値を、当該チャージの浸漬管内径Dを用い、P_(t)と環流ガス流量Fgasの変化を時々刻々与えて、(4)式で算定した溶鋼環流量Q_(m)の値をその都度算定し、予め決定した設備固有定数である反応速度補正値αとβを用いて各々(3-1)と(3-2)式で与える事を特徴とする溶鋼の脱炭ガイダンス方法。
【0007】
【数4】

【0008】
【発明の実施の形態】
【0009】
【作用】
通常の脱炭処理では真空槽内の圧力が大きく変化し、溶鋼の酸素濃度[O]も各々異なる条件下で実施されている。さらに、脱炭設備の相違によって溶鋼の撹拌強度、溶鋼循環形態も各々大きく異なる。本発明者らは、種々の研究・検討を重ねた結果、真空脱炭処理中の[C]の経時変化が、設備形態によらず(1)式で再現できる事を見出した。
【0010】
脱炭速度式(1)式右辺第1項は溶鋼内部からのCO気泡発生による脱炭速度を表し、(1)式右辺第2項は溶鋼自由表面からのCO生成による脱炭速度を表す。
【0011】
ここで、kco^(q)とk_(s)および[C]^(*)の値は、[O]濃度に依存しない設備固有の速度定数と濃度パラメータである。kco^(q)の値は溶鋼撹拌力あるいは溶鋼環流速度と真空度P_(t)によって決まる値であり、k_(s)の値は溶鋼撹拌力あるいは溶鋼環流速度とガス吹込み方法によって決まる値である。
【0012】
また、[C]^(*)の値はCO気泡生成のための限界[C]濃度であり、溶鋼の物理的な性質と処理形態によって決まる。種々の検討から、通常、[C]^(*)の値は0.0014?0.0016(mass%)の範囲にある値である事を発見した。本発明の実施に当たっては[C]^(*)=0.0015(mass%)の値を採用する。平衡定数Kは公知(製鋼反応の推奨平衡値:日本学術振興会、製鋼第19委員会編)の値を用いる。
【0013】
したがって、予め同一設備を用いて種々の条件で脱炭処理を実施して、実績の[C]の経時変化を測定し、その経時変化が(1)式で最も良く記述できる設備固有定数kco^(q)およびk_(s)の値を決定し、そのkco^(q)およびk_(s)の支配因子を明らかにしておけば、処理前[C]濃度、真空排気速度や[O]濃度の異なる溶鋼の脱炭処理の任意の時刻tでの[C]濃度が算定できる。ただし、脱炭の進行に伴って、処理中の[O]の値は変化するので次式にしたがって[O]濃度の変化を考慮する。
【0014】
d[O]=(16/12)・d[C]+ηo・(Wo/W_(m))・100・dt… (5)
Wo:脱炭処理期間中の任意の時刻での酸素供給速度(トン/min)
ηo:酸素利用効率(-)
もちろん、(5)式第2項は、酸素源を供給している期間に適用される項である。ηoの値は予め統計的な処理により決定した値を用いる。
【0015】
(1)式の差分に基づく脱炭処理中の[C]濃度の経時変化の算定は簡単なプログラムを計算機にインプットすることで容易に計算でき、モニターに表示できる。[C]濃度の計算に当たり、時間計算ステップdtの値は小さいほど良いが、最大でも0.1(min)程度に押えるべきである。
【0016】
通常のRH設備での溶鋼環流速度Q_(m)の値の算定式はISIJ,Vol.28(1988),p.305に記載のごとく、(4)式で示されている。したがって、本発明の実施に当たっては、時々刻々変化するP_(t)の変化を取り込んで、Q_(m)の値を(4)式で算定する。本発明者らは、kco^(q)とk_(s)の値が環流比Q_(m)/W_(m)の関数であり、各々(3-1)と(3-2)式で表せることを発見した。
つまり、kco^(q)とk_(s)の値は一定値ではなく、P_(t)に対して変化する値となる。ここで、αとβの値は設備固有定数であり、反応速度補正値と位置付けられ、予め決定しておく。本発明では、実施例1に示したように、α=0.80,β=0.10の値を用いる。
【0017】
kco^(q)とk_(s)のP_(t)依存性が評価できるため、処理前[C]の分析値さえああれば、中途での[C]分析値なしに、高炭素から極低炭素濃度領域の[C]の経時変化が精度よく計算提示できる。
【0018】
ただしk_(s)はkco^(q)の値に対して小さいため、実施例1に示したように、P_(t)=1.0mmHgで与えた一定値を使用しても実質上は問題ない。
【0019】
したがって、RHでの脱炭処理中の[C]の経時変化は、(3)式に(4)式で算定したQ_(m)の値を代入すればよい。
【0020】
通常、RHの浸漬管は使用回数の増加と共に内径が大きくなる。しかし、実際操業では、高温であり有効内径は実測不可能である。本発明では、Q_(m)の算定に当たり、当該チャージでの浸漬管径Dの値は、予め統計的に決定した浸漬管の平均拡大速度dφから回帰する。
【0021】
D=Do+dφ・n_(ch) (m) … (6)
Do:取付け浸漬管径(m)
dφ:浸漬管径平均拡大速度(m/回)
n_(ch):浸漬管取付けからの処理回数(回)
P_(t)とFgasはオンラインで計算機に取り込んで[C]濃度を計算する。その結果を脱炭処理中の[C]の経時変化としてテレビ等の画面に時々刻々表示することができる。
【0022】
本発明の実施に当たり、処理前[C]濃度の値は、通常は転炉出鋼後(電気炉出鋼後)の取鍋溶鋼の脱炭処理前の任意の時刻に取鍋から採取した溶鋼の分析値を用いる。
【0023】
実溶鋼の脱炭処理中の温度はおよそ1650?1570℃程度であり、本発明の実施に当たり、溶鋼温度Tの値は1600℃で代表させても、その影響は極めて小さい。
【0024】
本発明の方法によれば、脱炭処理期間中の溶鋼の途中サンプリングによる[C]分析の実施が不用であり、省力化・効率化を図ることができる。
【0025】
【実施例】
実施例1(設備固有定数kco^(q)およびk_(s)の決定)
RH脱ガス設備を用いて290?330トンの溶鋼の脱炭処理を下記に示す種々の条件で実施し、任意の時刻に溶鋼を採取して、[C]の経時変化を測定し、設備固有定数kco^(q)およびk_(s)の支配因子を決定した。
【0026】
取付け浸漬管内径:0.55?0.70(m)
環流Ar流量:2000?3500(Nl/min)
[C]の経時変化を最も良く記述できるkco^(q)およびk_(s)の値を、当該チャージのP_(t)と還流Ar流量変化データおよび[O]と温度のデータを用いて(1)式に基づき決定した。
【0027】
kco^(q)と(Q_(m)/W_(m))_(20)との関係およびk_(s)と(Q_(m)/W_(m))_(1)との関係を各々図1に示した。ただし(Q_(m)/W_(m))_(20)と(Q_(m)/W_(m))_(1)の値は各々P_(t)が20(mmHg)と1.0(mmHg)であるときの溶鋼環流比Q_(m)/W_(m)を表す。
【0028】
kco^(q)の値はP_(t)の変化と共に変化するので、図1でのkco^(q)はP_(t)が20(mmHg)である時の値で代表させた。
【0029】
Q_(m)の値の算定に用いた当該チャージの浸漬管径は取付け浸漬管径と浸漬管使用回数から浸漬管径平均拡大速度を考慮して、(6)式から決定した。
【0030】
設備固有定数として以下の関係を得た。
【0031】
kco^(q)=0.80・(Q_(m)/W_(m))_(20) (l/min)
k_(s)=0.10・(Q_(m)/W_(m))_(1) (l/min)
【0032】
実施例2(経時変化の記述)
RH脱ガス設備を用いて315トンの溶鋼の脱炭処理を下記に示す条件で実施し、本発明の方法により[C]の経時変化を算定した結果を図2に曲線で示した。さらに、脱炭処理中に溶鋼試料を採取して、後日分析し、本発明の方法で算定した[C]の経時変化の計算値と比較した。
【0033】
本発明の方法により、[C]の経時変化が高濃度域から低濃度域まで極めて精度良く記述できた。
【0034】
取付け浸漬管内径:0.55(m)
浸漬管使用回数:20(回)
環流Ar流量:2000(Nl/min)
浸漬管径平均拡大速度:0.002(m/回)
実施例3(終点目標[C]と、実績[C]との対比を図3に示す)
溶鋼処理量が290?350トンであるRH脱ガス設備で脱炭処理を実施した。
【0035】
取付け浸漬管内径:0.55?0.65(m)
環流Ar流量:2000?2500(Nl/min)
脱炭終点[C]濃度を0.0018(mass%)と設定し、本発明の方法で[C]の経時変化を推定し、本モデルによる[C]の算定値が0.0018(mass%)に到達した時に脱炭処理を停止し、その時の溶鋼試料を採取し[C]の分析を実施した。本発明の方法により究めてよく終点判定が実施できた。
【0036】
【発明の効果】
本発明の方法を実施する事により、脱炭処理途中の[C]分析を実施せずに、脱炭処理中の[C]の経時変化が正確に掲示でき、終点判定が容易になると共に、目標[C]濃度の溶鋼溶製の精度が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】
kco^(q)と(Q_(m)/W_(m))_(20)との関係、およびk_(s)と(Q_(m)/W_(m))_(1)との関係を示す図面。
【図2】
[C]濃度の経時変化の実測値と本発明の方法による[C]濃度の計算値との対応関係を示す図面。
【図3】
脱炭処理終点目標[C]=0.0018(mass%)である時の、RH処理実績終点[C]濃度の分布を示す図面。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2012-01-31 
出願番号 特願平8-178147
審決分類 P 1 41・ 852- Y (C21C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 孔一  
特許庁審判長 長者 義久
特許庁審判官 佐藤 陽一
山田 靖
登録日 2003-04-04 
登録番号 特許第3415997号(P3415997)
発明の名称 溶融の真空脱炭処理ガイダンス方法  
代理人 田中 久喬  
代理人 内藤 俊太  
代理人 田中 久喬  
代理人 内藤 俊太  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ