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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1251933 |
審判番号 | 不服2010-3977 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-02-24 |
確定日 | 2012-02-09 |
事件の表示 | 特願2000-118682「再生可能エネルギー発電付加価値評価システム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月 2日出願公開、特開2001-306755〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成12年4月19日の出願であって、平成21年8月5日付けで拒絶理由が通知され、これに対して同年9月16日に補正書が提出されたところ、同年11月19日付で、特許法29条1項柱書きに規定する要件を満たしていないとして拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年2月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 第2.平成22年2月24日付けの手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定 1.補正却下の決定の結論 本件補正を却下する。 2.理由 (1)補正後の本願の発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「環境貢献付加価値の購入を希望する電力消費者のコンピュータ端末から送信される、環境付加価値購入量の情報を含む環境付加価値購入意思情報を取得することにより、再生可能エネルギーを利用することで環境保全をしつつ発電を行う事業者に対して提供した事業補助金の多寡を、数値データからなる環境貢献度数として取得する貢献度数取得手段であって、取得した該環境貢献度数を事業補助金提供者に対応づけてデータベースに登録する貢献度数取得手段と、 評価証明事業者が事業補助金提供者に対して発行する、前記貢献度数取得手段が取得した環境貢献度数を付加価値として付与した環境貢献付加価値評価証明であって、評価の客観性を担保するために設けられた非営利な第三者機関である環境貢献度認定者が認証した、前記データベースに登録した前記環境貢献度数に基づいて算出される、再生可能エネルギーの発電を行う事業者から購入した有価物としての再生可能エネルギー発電付加価値を付与した環境貢献付加価値評価証明を、前記データベースにアクセスして得た情報に基づいて前記事業補助金提供者に対して発行する評価証明発行手段と、 を備えた再生可能エネルギー発電付加価値評価システム。」 と補正された。 また、本件補正によって、特許請求の範囲の請求項7は、 「再生可能エネルギーを利用することで環境保全をしつつ発電を行う事業者に対して事業補助金を提供する意思のある事業補助金提供者の消費電力量に応じた電気料金に加えて、所定額の事業補助金を前記事業補助金提供者の金融機関口座から電力会社の金融機関口座へと引き落とす電気料金引落手段と、 この電気料金引落手段で引き落とされた金額の中から事業補助金のみを引き落とす補助金引落手段と、 前記事業補助金提供者のコンピュータ端末から送信される、環境付加価値購入量の情報を含む環境付加価値購入意思情報を取得することにより、前記事業補助金の多寡を数値データからなる環境貢献度数として取得する貢献度数取得手段であって、取得した該環境貢献度数を事業補助金提供者に対応づけてデータベースに登録する貢献度数取得手段と、 評価証明事業者が事業補助金提供者に対して発行する、前記貢献度数取得手段が取得した環境貢献度数を付加価値として付与した環境貢献付加価値評価証明であって、評価の客観性を担保するために設けられた非営利な第三者機関である環境貢献度認定者が認証した、前記データベースに登録した前記環境貢献度数に基づいて算出される、再生可能エネルギーの発電を行う事業者から購入した有価物としての再生可能エネルギー発電付加価値を付与した環境貢献付加価値評価証明を、前記データベースにアクセスして得た情報に基づいて前記事業補助金提供者に対して発行する評価証明発行手段と、 を備えた再生可能エネルギー発電付加価値評価システム。」 と補正された。 上記補正は、ともに、データベースへの登録について補正前の「取得する該環境貢献度数」を補正後の「取得した該環境貢献度数を事業補助金提供者に対応づけて」と限定するもの、再生可能エネルギー発電付加価値について補正によって「データベースに登録した環境貢献度数に基づいて算出される」旨の限定を付加するもの、及び、「評価証明」に関して補正によって「事業補助金提供者に対して」発行するとの限定を付加するものであって、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮に該当する。 そこで、本件補正後の請求項1?14に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)独立して特許を受けることができるか否かについて(特許法29条1項柱書の要件を満たしているか否かについて) ア.特許法2条1項には,「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と規定され,同法29条1項柱書には,「産業上利用することができる発明をしたものは、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」と規定されている。 したがって,請求項に係る発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」でないときは,その発明は特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしておらず,特許を受けることができない。例えば,請求項に係る発明が,自然法則以外の法則(例えば、経済法則),人為的な取決め,人間の精神活動に当たるとき,あるいはこれらのみを利用しているときは,その発明は,自然法則を利用したものとはいえず,「発明」に該当しない。 イ.そこで、本願についてみると、請求項1及び7に係る発明はともに、「再生可能エネルギー発電による環境貢献度を認定する機関を設け、その機関がその貢献度を評価する証書を発行し、その証書を売買することで、付加価値評価を市場システムにゆだねて正当な評価を行うようにするという(【0010】)ものに関する発明であるところ、請求項1及び7の記載も、「再生可能エネルギーの発電を行う発電業者」、「事業補助金提供者」、及び、「評価証明事業者」との間で行われる「ビジネス」の内容を特定した抽象的なアイデアであって、人為的な取決めに基づくものであるから、「自然法則を利用したもの」ということはできない。 これに関して、審判請求人は、請求項1の記載は「コンピュータ端末やデータベースが協働して具体的な情報処理を行うものであるため、「自然法則を利用した技術思想」である」と主張している。しかしながら、請求項1には「環境貢献付加価値の購入を希望する電力消費者のコンピュータ端末から送信される、環境付加価値購入量の情報を含む環境付加価値購入意思情報を取得することにより、再生可能エネルギーを利用することで環境保全をしつつ発電を行う事業者に対して提供した事業補助金の多寡を、数値データからなる環境貢献度数として取得する貢献度数取得手段であって、取得した該環境貢献度数を事業補助金提供者に対応づけてデータベースに登録する貢献度数取得手段」、及び、「第三者機関である環境貢献度認定者が認証した、前記データベースに登録した前記環境貢献度数に基づいて算出される、再生可能エネルギーの発電を行う事業者から購入した有価物としての再生可能エネルギー発電付加価値を付与した環境貢献付加価値評価証明を、前記データベースにアクセスして得た情報に基づいて前記事業補助金提供者に対して発行する評価証明発行手段」等の記載はあるものの、コンピュータ端末やデータベースが協働した具体的な情報処理について記載はなく、コンピュータ端末とデータベースとが協働して情報処理を行うための構成を有していない。 また、コンピュータ端末から送信された環境付加価値購入量の情報を含む環境付加価値購入意思情報と、発電を行う事業者に対して提供した事業補助金の多寡を、数値データからなる環境貢献度数として取得する貢献度数取得手段との関係は特定されておらず、送信された環境付加価値購入意思情報とデータベースに登録する貢献度数取得手段との関係は不明であることからも、コンピュータ端末とデータベースとが協働して具体的な情報処理を行うための構成を有していないものといわざるを得ない。 更に、評価証明については、請求項9に記載されたように印刷機が印刷するものと認められるところ、印刷機としての通常の機能を用いているにすぎないものであって、請求項9に係る発明についても本質的には「ビジネス」の内容を特定したものである。 また、詳細な説明をみても、「【0053】 このため、図4に示したように、インターネットに接続されたサーバ上に実現された証券取引マーケット(ホームページ)と、前記環境貢献付加価値評価証明を、それに付された環境貢献度数に応じた有価物として前記証券取引マーケット上で売却する旨の売却希望を受け付ける売却希望受付手段と、前記環境貢献付加価値評価証明を、それに付された環境貢献度数に応じた有価物として前記証券取引マーケット上で購入する旨の購入希望を受け付ける購入希望受付手段と、前記売却希望掲載手段で受け付けた売却希望と、前記購入希望受付手段で受け付けた購入希望とが一致したときに売買成立と判定する売買成否判定手段と、をWWWサーバに設ける。」とあるが、これも、WWWサーバといった手段を用いてはいるが、これらは、ビジネスを行う上での、人為的取り決めであって、自然法則を利用した技術思想の創作とは認められない。 請求項1を引用する請求項2?6、及び請求項7を引用する請求項8、10?14に係る発明についても、同様に、人為的取り決めであって、自然法則を利用した技術思想の創作とは認められない。 したがって、請求項1?14に係る発明は、自然法則を利用した技術思想の創作とは認められない。 (3)小括 以上のことから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成21年9月16日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「環境貢献付加価値の購入を希望する電力消費者のコンピュータ端末から送信される、環境付加価値購入量の情報を含む環境付加価値購入意思情報を取得することにより、再生可能エネルギーを利用することで環境保全をしつつ発電を行う事業者に対して提供した事業補助金の多寡を、数値データからなる環境貢献度数として取得する貢献度数取得手段と、 前記貢献度数取得手段が取得した環境貢献度数を付加価値として付与した環境貢献付加価値評価証明であって、評価の客観性を担保するために設けられた非営利な第三者機関である環境貢献度認定者が認証した、再生可能エネルギーの発電を行う事業者から購入した有価物としての再生可能エネルギー発電付加価値を付与した環境貢献付加価値評価証明を、評価証明事業者が事業補助金提供者に対して発行するための評価証明発行手段と、 を備えた再生可能エネルギー発電付加価値評価システム。」 2.判断 本願発明は、上記したとおりであって、前記「2.(2)」で検討した請求項1に係る本件補正発明から、取得した環境貢献度数の「データベース」への登録についての「事業補助金提供者に対応づけて」登録するとの限定、及び、「再生可能エネルギー発電付加価値」についての「データベースに登録した環境貢献度数に基づいて算出される」旨の限定、及び、「評価証明」に関して「事業補助金提供者に対して」発行するとの限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「2.(2)」に記載したとおり、自然法則を利用した技術的思想の創作とはいえないものであるから、本願発明も同様の理由により、特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしていないというべきである。 また、同様に、本願請求項2?14に係る発明についても、特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしていないというべきである。 3.むすび 以上のとおり、本願請求項1?14に係る発明は、特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしていないので特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-11-25 |
結審通知日 | 2011-11-29 |
審決日 | 2011-12-13 |
出願番号 | 特願2000-118682(P2000-118682) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 1- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮地 匡人 |
特許庁審判長 |
吉村 和彦 |
特許庁審判官 |
金子 幸一 津幡 貴生 |
発明の名称 | 再生可能エネルギー発電付加価値評価システム |
代理人 | 松倉 秀実 |
代理人 | 川口 嘉之 |
代理人 | 川口 嘉之 |
代理人 | 遠山 勉 |
代理人 | 松倉 秀実 |
代理人 | 遠山 勉 |