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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1252239 |
審判番号 | 不服2009-17064 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-09-14 |
確定日 | 2012-02-15 |
事件の表示 | 特願2006-541699「ディスクアレイ内の2つのディスク故障に対する保護を提供する一様で対称な二重故障訂正技術」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月 9日国際公開、WO2005/052855、平成19年 8月30日国内公表、特表2007-524930〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2004年11月24日(パリ条約による優先権主張2003年11月24日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成18年7月24日付けで国際出願翻訳文が提出され、平成20年6月3日付けで拒絶理由通知がなされ、平成21年5月7日付けで拒絶査定がなされたが、これに対し、平成21年9月14日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同時に、手続補正がなされたものである。 第2 平成21年9月14日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成21年9月14日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正前及び本件補正後の本願発明 本件補正は、特許請求の範囲についてするもので、請求項1については、本件補正前に「前記ストレージデバイスが、冗長情報を記憶するために選択された2つのストレージデバイスを含み、残りのストレージデバイスがデータを記憶するように構成され」とあったところを「前記ストレージデバイスのうちの任意の2つのストレージデバイスが、冗長情報を記憶するために選択され、選択されるストレージデバイスが、ストライプごとに自由に異なり、各ストライプの残りのストレージデバイスがデータを記憶するように構成され」と補正するものであるから、本件補正は、少なくとも請求項1については、審判請求書「【請求の理由】(3)本願発明が特許されるべき理由」「補正について」欄にて述べられているとおり、特許法第17条の2第4項第2号(特許請求の範囲の減縮)に掲げる事項を目的とするものである。 そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かを、請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)について以下検討する。 本願補正発明は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 ストレージシステム内の2以下のストレージデバイスの二重故障訂正を提供するように構成されたシステムであって、 多数のストレージデバイスを有するアレイであって、前記ストレージデバイスの数がpであり、pが3以上の素数であり、前記ストレージデバイスのうちの任意の2つのストレージデバイスが、冗長情報を記憶するために選択され、選択されるストレージデバイスが、ストライプごとに自由に異なり、各ストライプの残りのストレージデバイスがデータを記憶するように構成される、多数のストレージデバイスを有するアレイと、 前記ストレージデバイスのストレージモジュールであって、前記アレイの行パリティセット(行)及び対角パリティセット(対角)に沿って合計または結合計算を含む冗長ストレージアルゴリズムを使用して、冗長情報を構成し、選択されたストレージデバイス上に記憶するように構成された、前記ストレージデバイスのストレージモジュールと を含み、前記2以下のストレージデバイス故障の構成に使用される前記冗長ストレージアルゴリズムは、前記冗長情報又はデータを構成又は再構成するときに、どのストレージデバイスが故障しても、また、ストレージデバイスの役割が何であっても無関係に同じである、システム。」 2.引用例 これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開平4-310137号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。 (イ)「DASD配列内における最大2個の使用不能DASDのデータ内容のエンコーデイング及び再作成方法及びシステム」(第1頁【発明の名称】欄)、 (ロ)「【請求項5】前記データ配列は2次元分布に沿って生成され、該分布は複数DASD或いは第1次元がM個のDASDにより形成され、第2次元が各M個のDASDの少なくとも1トラック上の(M-1)ビットの記録範囲から形成されることを特徴とする請求項3記載の方法。」(第1欄第43?47行)、 (ハ)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は故障独立型直接アクセス記憶装置(DASD)の配列に関し、更に詳しくはこのDASD配列上に記憶されるデータの保守可用性に関する。」(第3欄第30?34行)、 (ニ)「【0005】同期してアクセスされるN個のDASDの物理的な配列はDASD配列を構成する。これに関連して、配列のフォーマット及びその後のアクセスが行われ、行或いは列のどちらか一方を基本とする連続する位置へ値を挿入することにより記憶が進行する。オペレーションが列方向に実行されると、それは列メジャー順序“column major order”と称される。同様に、行方向に実行されると、行メジャー順序“row major order”と称される。」(第4欄第12?20行)、 (ホ)「【0020】パリティ・グループの2つの意味上述のDunphyの特許で使用されるように、“パリティ・グループ”とは少なくとも(N+1)番目のDASDを含む(ここにはN個のDASDに渡るパリティが記憶される)N個のDASDの論理関係を意味する。しかし、この用語はまたデータ・ブロックとパリティ或いは他の代数的にコード化された冗長ブロックとの論理関係も示す。Patterson はRAIDタイプ5DASD配列において後者の定義を使用している。」(第6欄第44行?第7欄第2行)、 (ヘ)「【0042】 【実施例】図1を参照すると、並列パス11、13、15及び17上において知能的パリティ生成及びストライピング・バッファ(PSB)7と結合される、第1及び第2のパリティ・グループにより構成される配列が示されている。CPU1及びCPU2から成るプロセサ配列はデータ及び制御バス9に結合される。 【0043】プロセサ1或いは3に由来する読み出し及び書き込みコマンドは、標準のアクセス・プロトコル及びメモリ5により共用されるバス9上におけるPSB7へのデータ転送により、DASDパリティ・グループへのテーブル指向アクセス・パスを形成する。論理ファイルの論理処理はPSB7により実行される。この点に関し、論理処理はストライピング(データのシリアル/パラレル変換)及びパリティ生成及びチェックを含む。DASDへのパスからは直接にテーブル指向される。原則的には、読み出し或いは書き込み引数内で特定されるアドレスは、配列記憶アドレス・テーブルを介してPSB7により、PSB7とパリティ・グループのDASD上のロケーションとの間の実際の物理的パスに変換される。 【0044】書き込みコマンドを実行するために、PSB7は最初にプロセサからのデータをバッファし、読み出し、そしてDASDパリティ・グループからの(M-1)*Mデータ配列をバッファする。このパリティ・グループ内にはブロックのストライプ或いはインタリーブ要素が書き込まれる。そして、旧データ、旧パリティ、及び新データを考慮しながら新たに指定される対角線及び行パリティを含む配列を繰り返し計算し、次に修正されたデータ配列をDASDパリティ・グループ上に再書き込みする。 【0045】読み出しオペレーションでは、PSB7はプロセサからの読み出しコマンドに応答して、書き込みオペレーションの場合と逆のシーケンスを達成する。すなわち、読み出されるべきデータが抽出されなければならないデータ配列が、PSB7においてバッファされ、適当な行及び対角線パリティがテストされ、アドレスされたデータがバス9を介して共用メモリ5に転送される。 【0046】DASD故障及びホット・スペアリングデータの読み出しアクセス中にDASD故障が発生した場合は、PSB7は数多くの代替の中から1つを選択できる。これらには(1)読み出しコマンドの再試行、或いは(2)本発明による残りのDASDからのデータの再作成及び置換の一方により、即座に障害を来たしたデータを再生成することが含まれる。 【0047】読み出しコマンドの発生元となるプロセサ1或いは3に関し、データ読み出し動作の完了後においてのみ故障の発生を知らせることが1つの戦略である。 これはプロセサに対し、Park等の場合、同様に、スペアDASDをプールから或いは各パリティ・グループに専用に確保されているDASDから代用するかを制御させる。使用禁止及び再作成などのプロセサ・コマンドに応答して、PSB7はこのスペアへのディレクトリ・パスを故障DASDのテーブル・ディレクトリ・パスに代用するテーブルを使用することにより、故障DASDを指定したスペアDASDにより置換する。次に、故障DASD上のデータが、指定されたスペアDASD上に再作成される。 【0048】1つの実施例では、PSB7はDASD可用性のビット・マップとDASDのアドレス・マップを記憶する。また、可用性及びアドレスのマップは各アクセス・コマンドの処理期間中に参照される。このマップへの変更は使用禁止及び再作成コマンドを使用するプロセサに由来する。こうした実施例においては、永久アドレスがスペアDASDに対して割り当てられる。故障を知らされた後、プロセサ1或いは3はDASDのマップをアドレスできる点が重要である。一方、前述の可用性及びアドレスのマップは各アクセス・コマンドの処理期間中に参照される。このマップへの変更は使用禁止及び再作成コマンドを使用するプロセサに由来する。本実施例においては、スペアDASDについて永久アドレスを割り当てている。 【0049】故障を知らされた後、プロセサは以下を実行できる。 (1)無処理を選択する。 (2)スペアDASDのアドレスを最大2個までの故障DASDのアドレスに代用させるコマンドを生成する。 (3)下記で説明される再作成方法により、パリティと残りのデータ用DASDとのモジューロ2加算により、割り当てられたスペア上に最大2つまでの故障DASDの内容を再作成する。 【0050】ここで、スペア・フォーマットされたDASDのオンライン上における他のDASDに対するダイナミックな代用は“ホット・スペアリング”と称される。 【0051】本発明のフロー図 図2を参照すると、本発明による各(M-1)*Mビットのデータ配列におけるパリティ・エンコーディング・ステップのフローが示されている。基本的には、それぞれ正のスロープのデータ配列対角線及び交差する行より形成されるペアはパリティ・コード化される。これは単に対角線上のビットはモジューロ2でカウントされ、その結果が使用可能なパリティ位置に設定されることを意味する。この対角線のパリティ位置と交差する配列行のビットはモジューロ2でカウントされ、その結果は使用可能なパリティ位置に設定される。この処理はデータ配列がカバーされるまで対角線及び行メジャー順序で繰り返される。 【0052】最大2つの使用不能なDASDからのデータの回復或いは再作成に関する作用の相違は、消去を含むデータ配列が少なくともM-2以上のDASDからアクセスされる後に生ずる。 【0053】本発明によるエンコーディング例下記に示すエンコーディング及びデコーディング/再作成の例において、DASD配列は5つの同期式DASDすなわちC1-C5により構成される。C1、C2及びC3はデータの記憶用に割り当てられ、C4及びC5は単純パリティを記憶するために確保される。また、この配列はビット・インタリーブされるものと仮定する。このことは3つのビットと2つのパリティ・ビット(M=5)が同時にC1-C5から読み出され、また書き込まれることを意味する。従って、M=5の場合、データ配列は4*5次元を有することになる。 【0054】Mが素数aである(M-1)*Mデータ配列は下記のようになる。 【0055】 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 x x S2 1 1 1 x x S3 1 1 0 x x S4 0 1 1 x x 【0056】別の行及び対角線によるダブル・パリティのエンコーディング 配列は円柱状に循環するものと仮定する。この場合、エンコーディングは行パリティ割当(ジグザグ状エンコーディング)により追従される繰り返し対角線パリティ割当を含む。下記のコーディング作用の読み出しにおいて、作用結果は次の連続する図によって示される。これらの図は正のスロープによる配列方向を取っている(左下から右上に向かう)。 【0057】ダミー行S5がトロイダル(ジグザグ)横断線の概念化を容易にするために追加される。 【0058】 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 x x S2 1 1 1 x x S3 0 1 0 x x S4 0 1 1 x x S5 0 0 0 0 0 ステップ1:第1のパリティ・エンコード位置S1C4をインターセプトする第1の対角線S4C1に着目し、位置S1C4に偶数パリティを挿入する。 【0059】 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0d x S2 1 1 1d x x S3 0 1d 0 x x S4 0d 1 1 x x S5 0 0 0 0 0 ステップ2:行S1の位置S1C5に偶数パリティを割り当てる。 【0060】 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0d 0 S2 1 1 1d x x S3 0 1d 0 x x S4 0d 1 1 x x S5 0 0 0 0 0 ステップ3:パリティ・エンコード位置S1C5をインターセプトする次の対角線S4C2に着目し、位置S2C4に偶数パリティを挿入する。 【0061】 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0 0d S2 1 1 1 1d x S3 0 1d 0 x x S4 0 1 0d x x S5 0 0 0 0 0 ステップ4:行S2の位置S2C5に偶数パリティを割り当てる。 【0062】 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0 0d S2 1 1 1 1d x S3 0 1 0d x x S4 0 1d 1 x x S5 0 0 0 0 0 ステップ5:位置S2C5をインターセプトする次の対角線S4C3に着目し、位置S3C4に偶数パリティを挿入する。 【0063】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0 0 1d 0 1 0 0 S2 1 1 1 1 0d 1 1 1 1 0 S3 0 1 0 0d x 0 1 0 0 x S4 0 1 1d x x 0 1 1 x x S5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ステップ6:行S3の位置S3C5に偶数パリティを割り当てる。 【0064】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0 0 1d 0 1 0 0 S2 1 1 1 1 0d 1 1 1 1 0 S3 0 1 0 0d 1 0 1 0 0 1 S4 0 1 1d x x 0 1 1 x x S5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ステップ7:位置S1C2をインターセプトする次の対角線S4C4に着目し、位置S4C4に偶数パリティを挿入する。 【0065】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0 0 1 0d 1 0 0 S2 1 1 1 1 0 1d 1 1 1 0 S3 0 1 0 0 1d 0 1 0 0 x S4 0 1 1 0d x 0 1 1 x x S5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ステップ8:行S4の位置S4C5に偶数パリティを割り当てる。 【0066】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0 0 1 0d 1 0 0 S2 1 1 1 1 0 1d 1 1 1 0 S3 0 1 0 0 1d 0 1 0 0 x S4 0 1 1 0d 0 0 1 1 x x S5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 これでエンコード完了である。 【0067】素数配列の場合の処理と同等な処理が、10*8配列のような非素数次元配列の処理においても、0により満たされたダミー列を付加することにより達成される。このようにして、10*8配列は3列を追加することにより10*11配列に変換される。ここで付加された列においては決してエラーが生じないことが知られている。 【0068】ダブルDASD故障からのデータ回復この例では、(M-1)*Mデータ配列は本発明によるコーディング方法によりエンコードされるものとする。 処理を開始するに当たり、最初に選択される対角線は左側に位置する最初の欠損列からそのすぐ左列までと交差する正のスロープの対角線である。 【0069】ここでDASDのC2及びC5は使用不能と仮定する。 【0070】 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 x 1 0 x S2 1 x 1 1 x S3 0 x 0 0 x S4 0 x 1 0 x ダミー行S5がトロイダル(ジグザグ)横断線を形成するために追加される。 【0070】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 x 1 0 x 1d x 1 0 x S2 1 x 1 1 xd 1 x 1 1 x S3 0 x 0 0d x 0 x 0 0 x S4 0 x 1d 0 x 0 x 1 0 x S5 0 0d 0 0 0 0 0 0 0 0 ステップ1は対角線S4C3-S1C1に着目し、S2C5に偶数パリティpを挿入する。 【0071】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 x 1 0 x 1d x 1 0 x S2 1 x 1 1 0dp1 x 1 1 x S3 0 x 0 0d x 0 x 0 0 x S4 0 x 1d 0 x 0 x 1 0 x S5 0 0d 0 0 0 0 0 0 0 0 ステップ2は対角線パリティと交差する行S2に着目し、S2C2に偶数パリティpを挿入する。 【0072】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 x 1 0 x 1 x 1d 0 x S2 1 1p 1 1 0 1 1dp1 1 0 S3 0 x 0 0 x 0d x 0 0 x S4 0 x 1 0 xd 0 x 1 0 x S5 0 0 0 0d 0 0 0 0 0 0 ステップ3はS2C2で行2をインターセプトする対角線S4C5-S1C3に着目し、S4C5に偶数パリティpを挿入する。 【0073】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 x 1 0 x 1 x 1d 0 x S2 1 1 1 1 0 1 1d 1 1 0 S3 0 x 0 0 x 0d x 0 0 x S4 0 x 1 0 0dp0 x 1 0 0p S5 0 0 0 0d 0 0 0 0 0 0 ステップ4は対角線パリティをインターセプトする行S4に着目し、S4C2に偶数パリティpを挿入する。 【0074】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 x 1 0 x 1 x 1d 0 x S2 1 1 1 1 0 1 1d 1 1 0 S3 0 x 0 0 x 0d x 0 0 x S4 0 1p 1 0 0d 0 1p 1 0 0 S5 0 0 0 0d 0 0 0 0 0 0 ステップ5はS4C2において行S4をインターセプトする対角線S4C2-S1C5に着目し、S1C5に偶数パリティpを挿入する。 【0075】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 x 1 0 0p 1 x 1 0 0dp S2 1 1 1 1 0 1 1 1 1d 0 S3 0 x 0 0 x 0 x 0d 0 x S4 0 1 1 0 0 0 1d 1 0 0 S5 0 0 0 0 0 0d 0 0 0 0 ステップ6はS1C5において対角線パリティをインターセプトする行S1に着目し、S1C2に偶数パリティpを挿入する。 【0076】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0p 1 0 0 1 0p 1 0 0d S2 1 1 1 1 0 1 1 1 1d 0 S3 0 x 0 0 x 0 x 0d 0 x S4 0 1 1 0 0 0 1d 1 0 0 S5 0 0 0 0 0 0d 0 0 0 0 ステップ7はS1C2において行S1をインターセプトする対角線S4C4-S1C2に着目し、S3C5に偶数パリティpを挿入する。 【0077】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0 0 1 0d 1 0 0 S2 1 1 1 1 0 1d 1 1 1 0 S3 0 x 0 0 1dp0 x 0 0 1p S4 0 1 1 0d 0 0 1 1 0 0 S5 0 0 0d 0 0 0 0 0 0 0 ステップ8はS3C5において対角線パリティをインターセプトする行S3に着目し、S3C2に偶数パリティpを挿入する。 【0078】 C1 C2 C3 C4 C5 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0 0 1 0d 1 0 0 S2 1 1 1 1 0 1d 1 1 1 0 S3 0 1p 0 0 1d 0 1p 0 0 1 S4 0 1 1 0d 0 0 1 1 0 0 S5 0 0 0d 0 0 0 0 0 0 0 これでデータ回復が完了する。 【0079】ここでパリティ・エンコードとデータ再作成の唯一の違いは、前者ではDASDの最後の2つの列C4及びC5が計算されて書き込まれた値を有するのに対し、後者ではそれがC2及びC5となる。実際に、エンコーディングは本発明によるデコーディング方法の特定なケースである。」(第10欄第28行?第19欄第15行) (当審注:【0055】段落のデータ配列は、正しくは次のとおりのものである。 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 x x S2 1 1 1 x x S3 0 1 0 x x S4 0 1 1 x x 、 また、【0061】段落のデータ配列は、正しくは次のとおりのものである。 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0 0d S2 1 1 1 1d x S3 0 1 0d x x S4 0 1d 1 x x S5 0 0 0 0 0 、 また、【0062】段落のデータ配列は、正しくは次のとおりのものである。 C1 C2 C3 C4 C5 S1 1 0 1 0 0d S2 1 1 1 1d 0 S3 0 1 0d x x S4 0 1d 1 x x S5 0 0 0 0 0)、 (ト)「【図2】交互の行及び対角線を使用するダブル・パリティのエンコーディング、及びダブルDASD故障を有する配列からのデータ回復動作のフロー図である。」(第22欄第1?3行) また、図2には、次のフロー図が記載されている。 上記摘記事項(ト)及び図2のフローより、交互の行及び対角線を使用するダブル・パリティのエンコーディングのフローと、ダブルDASD故障を有する配列からのデータ回復動作のフローとが共通のものであることは明らかである。よって、上記引用例記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「故障独立型の直接アクセス記憶装置(DASD)の配列において、(M-1)*Mデータ配列が2次元分布に沿って生成され、該分布は第1次元がM個のDASDにより形成され、第2次元が各M個のDASDの少なくとも1トラック上の(M-1)ビットの記録範囲から形成され、Mは素数であり、 パリティ生成は、ストライピング・バッファ(PSB)により実行され、各(M-1)*Mビットのデータ配列におけるパリティ・エンコーディング・ステップでは、ジグザグ状エンコーディング、つまり、対角線上のビットはモジューロ2でカウントされ、その結果が使用可能なパリティ位置に設定され、この対角線のパリティ位置と交差する配列行のビットはモジューロ2でカウントされ、その結果は使用可能なパリティ位置に設定され、この処理はデータ配列がカバーされるまで対角線及び行方向に繰り返し実行されることで、それぞれ正のスロープのデータ配列対角線及び交差する行より形成されるペアはパリティ・コード化され、 エンコーディング及びデコーディング/再作成の例として、M=5の場合、データ配列は4*5次元を有することになるので、DASD配列は5つの同期式DASDすなわちC1-C5により構成され、C1、C2及びC3はデータの記憶用に割り当てられ、C4及びC5はパリティを記憶するために確保され、 プロセサは、パリティと残りのデータ用DASDとのモジューロ2加算により、最大2つまでの故障DASDの内容を再作成するが、ダブルDASD故障からのデータ回復の例では、DASDのC2及びC5が使用不能と仮定すると、ダブルDASD故障を有する配列からのデータ回復動作のフローは、交互の行及び対角線を使用するダブル・パリティのエンコーディングのフローと共通で、パリティ・エンコードとデータ再作成の唯一の違いは、前者ではDASDの最後の2つの列C4及びC5が計算されて書き込まれた値を有するのに対し、後者ではそれがC2及びC5となることであって、実際に、エンコーディングは本発明によるデコーディング方法の特定なケースである、 システム。」 3.対比 本願補正発明と引用発明とを比較する。 引用発明の「故障独立型の直接アクセス記憶装置(DASD)」及びその「配列」が、それぞれ本願補正発明の「ストレージデバイス」及び「多数のストレージデバイスを有するアレイ」に相当する。 次に、引用発明の「最大2つまでの故障DASDの内容を再作成」することが、本願補正発明の「2以下のストレージデバイスの二重故障訂正」に相当する。 次に、引用発明では、「(M-1)*Mデータ配列」の「第1次元がM個のDASDにより形成され」、「Mは素数であ」って、例えば「M=5」であることが、本願補正発明の「前記ストレージデバイスの数がpであり、pが3以上の素数であ」ることに相当する。 次に、引用発明における「パリティ」が本願補正発明の「冗長情報」に相当する。 次に、平成18年7月24日付け国際出願翻訳文の明細書第【0035】段落に「行は、各ディスクから1つ一意的に選択されたブロックの集合として定義され、ストライプは、一意的に選択された行のグループとして定義される。一般に、行は、各ディスク上の同じ位置にあるブロックから構成され、ストライプは、連続した行のグループである。」と記載されているから、引用発明における「(M-1)*Mデータ配列」が、本願補正発明の「ストライプ」に相当する。 次に、引用発明において、「M=5の場合」、「DASD配列は5つの同期式DASDすなわちC1-C5により構成され、C1、C2及びC3はデータの記憶用に割り当てられ、C4及びC5はパリティを記憶するために確保され」ているから、引用発明のかかる「DASD配列」と本願補正発明の「前記ストレージデバイスのうちの任意の2つのストレージデバイスが、冗長情報を記憶するために選択され、選択されるストレージデバイスが、ストライプごとに自由に異なり、各ストライプの残りのストレージデバイスがデータを記憶するように構成される、多数のストレージデバイスを有するアレイ」とは、前記ストレージデバイスのうちの2つのストレージデバイスが、冗長情報を記憶するために選択され、残りのストレージデバイスがデータを記憶するように構成される、多数のストレージデバイスを有するアレイ、である点で一致する。 次に、引用発明において、「ジグザグ状エンコーディング、つまり、対角線上のビットはモジューロ2でカウントされ、その結果が使用可能なパリティ位置に設定され、この対角線のパリティ位置と交差する配列行のビットはモジューロ2でカウントされ、その結果は使用可能なパリティ位置に設定され、この処理はデータ配列がカバーされるまで対角線及び行方向に繰り返し実行されることで、それぞれ正のスロープのデータ配列対角線及び交差する行より形成されるペア」を「パリティ・コード化」することが、本願補正発明の「前記アレイの行パリティセット(行)及び対角パリティセット(対角)に沿って合計または結合計算を含む冗長ストレージアルゴリズムを使用して、冗長情報を構成」することに相当する。 次に、引用発明において、「C1-C5により構成され」る「5つの同期式DASD」のうち「C4及びC5」に「パリティを記憶する」ことが、本願補正発明の「冗長情報を」「選択されたストレージデバイス上に記憶する」ことに相当する。 次に、引用発明において、「パリティ生成は、ストライピング・バッファ(PSB)により実行され」るから、引用発明1の「ストライピング・バッファ(PSB)」が本願補正発明の「前記ストレージデバイスのストレージモジュール」に相当する。 次に、引用発明において、「パリティと残りのデータ用DASDとのモジューロ2加算により、最大2つまでの故障DASDの内容を再作成する」ための「フロー」が、本願補正発明の「前記2以下のストレージデバイス故障の構成に使用される前記冗長ストレージアルゴリズム」に相当する。 そして、引用発明では「ダブルDASD故障からのデータ回復の例では、DASDのC2及びC5が使用不能と仮定すると、ダブルDASD故障を有する配列からのデータ回復動作のフローは、交互の行及び対角線を使用するダブル・パリティのエンコーディングのフローと共通で、パリティ・エンコードとデータ再作成の唯一の違いは、前者ではDASDの最後の2つの列C4及びC5が計算されて書き込まれた値を有するのに対し、後者ではそれがC2及びC5となることであって、実際に、エンコーディングは本発明によるデコーディング方法の特定なケースである」とされているから、引用発明の「データ再作成」の「計算」フローは、パリティ・エンコードの「ジグザグ状エンコーディング」と同じフローであって、唯一、計算結果が書き込まれる「DASD」の列が異なるだけであることがわかる。 よって、引用発明において、「パリティ・エンコード」のフローと「データ再作成」のフローとが共通であることが、本願補正発明1の「前記2以下のストレージデバイス故障の構成に使用される前記冗長ストレージアルゴリズムは、前記冗長情報又はデータを構成又は再構成するときに、どのストレージデバイスが故障しても、また、ストレージデバイスの役割が何であっても無関係に同じである」ことに相当するといえる。 すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。 <一致点> ストレージシステム内の2以下のストレージデバイスの二重故障訂正を提供するように構成されたシステムであって、 多数のストレージデバイスを有するアレイであって、前記ストレージデバイスの数がpであり、pが3以上の素数であり、前記ストレージデバイスのうちの2つのストレージデバイスが、冗長情報を記憶するために選択され、残りのストレージデバイスがデータを記憶するように構成される、多数のストレージデバイスを有するアレイと、 前記ストレージデバイスのストレージモジュールであって、前記アレイの行パリティセット(行)及び対角パリティセット(対角)に沿って合計または結合計算を含む冗長ストレージアルゴリズムを使用して、冗長情報を構成し、選択されたストレージデバイス上に記憶するように構成された、前記ストレージデバイスのストレージモジュールと を含み、前記2以下のストレージデバイス故障の構成に使用される前記冗長ストレージアルゴリズムは、前記冗長情報又はデータを構成又は再構成するときに、どのストレージデバイスが故障しても、また、ストレージデバイスの役割が何であっても無関係に同じである、システム。 一方で、両者は次の点で相違する。 <相違点> 本願補正発明では、「前記ストレージデバイスのうちの任意の2つのストレージデバイスが、冗長情報を記憶するために選択され、選択されるストレージデバイスが、ストライプごとに自由に異なり、各ストライプの残りのストレージデバイスがデータを記憶するように構成される」のに対し、引用発明では、「5つの同期式DASD」「C1-C5により構成され」た「DASD配列」のうち、「C4及びC5」が「パリティを記憶するために確保」され、残りの「C1、C2及びC3はデータの記憶用に割り当てられ」ているものの、「(M-1)*Mデータ配列」(本願補正発明の「ストライプ」に相当する。以下同じ。)ごとに、「パリティ」(冗長情報)を記憶するための2つの「DASD」(ストレージデバイス)を任意に選択し、選択される「DASD」(ストレージデバイス)が「データ配列」(ストライプ)ごとに自由に異なり、各「データ配列」(ストライプ)の残りの「DASD」(ストレージデバイス)が「データの記憶用に割り当てられ」(データを記憶するように構成され)ることは記載されていない点。 4.判断 そこで上記相違点について検討すると、パリティ書き換えのためのディスク要求が集中しないよう、データブロックとそのパリティとからなるグループ(ストライプ)ごとに、任意のディスクにパリティを分散して格納することは、前記引用例1の摘記事項(ホ)に記載された「RAIDタイプ5」(一般的には「RAIDレベル5」と呼ばれている)に用いられており、また、特開2000-259359号公報(第【0023】段落の「なお、上記構成においては、パリティを特定のディスクに固定したが、グループ単位ごとに任意のディスクにパリティを分散する構成でもよい。」、及び第【0077】段落の「しかし、各グループごとに個別に異なるディスクにパリティを設定する構成とすれば・・・(中略)・・・ディスク要求が集中することがなくなり、ディスク要求待ちを解消できるメリットがある。」との記載参照。)にも記載されているように、周知技術である。 よって、引用発明において、上記周知技術を用い、「(M-1)*Mデータ配列」(ストライプ)ごとに、「パリティ」(冗長情報)を記憶するため」の2つの「DASD」(ストレージデバイス)を任意に選択し、選択される「DASD」(ストレージデバイス)が「データ配列」(ストライプ)ごとに自由に異なり、各「データ配列」(ストライプ)の残りの「DASD」(ストレージデバイス)が「データの記憶用に割り当てられ」(データを記憶するように構成され)るようにすることは、当業者が容易になし得たことである。 また、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から、当業者が予測し得たものである。 よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.本件補正についてのむすび 以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 従って、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成21年9月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?63に係る発明は、平成18年7月24日付け国際出願翻訳文提出書の【特許請求の範囲】の請求項1?63に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 ストレージシステム内の2以下のストレージデバイスの二重故障訂正を提供するように構成されたシステムであって、 多数のストレージデバイスを有するアレイであって、前記ストレージデバイスの数がpであり、pが3以上の素数であり、前記ストレージデバイスが、冗長情報を記憶するために選択された2つのストレージデバイスを含み、残りのストレージデバイスがデータを記憶するように構成される、多数のストレージデバイスを有するアレイと、 前記ストレージデバイスのストレージモジュールであって、前記アレイの行パリティセット(行)及び対角パリティセット(対角)に沿って合計または結合計算を含む冗長ストレージアルゴリズムを使用して、冗長情報を構成し、選択されたストレージデバイス上に記憶するように構成された、前記ストレージデバイスのストレージモジュールと を含み、前記2以下のストレージデバイス故障の構成に使用される前記冗長ストレージアルゴリズムは、前記冗長情報又はデータを構成又は再構成するときに、どのストレージデバイスが故障しても、また、ストレージデバイスの役割が何であっても無関係に同じである、システム。」 2.引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明に「前記ストレージデバイスのうちの任意の2つのストレージデバイスが、冗長情報を記憶するために選択され、選択されるストレージデバイスが、ストライプごとに自由に異なり、各ストライプの残りのストレージデバイスがデータを記憶するように構成され」とあったところを「前記ストレージデバイスが、冗長情報を記憶するために選択された2つのストレージデバイスを含み、残りのストレージデバイスがデータを記憶するように構成され」と限定を解除したものに相当する。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2[理由]4.」に記載したとおり、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-09-14 |
結審通知日 | 2011-09-20 |
審決日 | 2011-10-05 |
出願番号 | 特願2006-541699(P2006-541699) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉田 美彦、梅景 篤 |
特許庁審判長 |
清水 稔 |
特許庁審判官 |
安久 司郎 齊藤 健一 |
発明の名称 | ディスクアレイ内の2つのディスク故障に対する保護を提供する一様で対称な二重故障訂正技術 |
代理人 | 古谷 聡 |
代理人 | 溝部 孝彦 |
代理人 | 西山 清春 |