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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16B
管理番号 1252268
審判番号 不服2010-28625  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-17 
確定日 2012-02-15 
事件の表示 特願2006-214212「ボルトの使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 2月21日出願公開、特開2008- 39058〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

本願は、平成18年8月7日の特許出願であって、平成22年9月30日(起案日)付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成22年12月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、その後、当審において平成23年8月26日(起案日)付けで拒絶理由が通知され、平成23年11月4日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明

本願の請求項1に係る発明は、平成23年11月4日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認める(以下、「本願発明」という)。

「【請求項1】
頭部と、頭部の下端面より突出された首部と、該首部の下端面より突出されたネジ部とからなり、前記首部はネジ部の外形より大きな外形であって頭部の外形より小さな外形の小判形状となされて、前記小判形状の首部を小判形状の横長孔としたボルト挿通孔に挿通することにより、ボルトの共回りを防止した状態で、ナットを螺着することができるボルトの使用方法であって、前記頭部に、上面がドーム状の湾曲面となされた平面視円形の側部を相対向して切欠して、スパナで挟むことができる二個の切欠部を形成すると共に、前記ボルト挿通孔を、小判形状の横長孔に代えて、丸孔として、該丸孔に前記小判形状の首部を挿通して、ボルトを回動可能な状態として、前記頭部の切欠部を挟んだスパナを用いてボルトにナットを螺着することを特徴とするボルトの使用方法。」

3.引用刊行物とその記載事項

これに対して、当審の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物及びその記載事項は次のとおりである。

刊行物1:特開2006-97377号公報
刊行物2:登録実用新案第3117720号公報
刊行物3:実願昭50-51226号(実開昭51-132463号)のマイクロフィルム
刊行物4:実願昭51-39997号(実開昭52-131560号)のマイクロフィルム

(1)刊行物1(特開2006-97377号公報)

上記刊行物1には、「防護柵のビームパイプ継手構造」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
この発明は、道路に沿って連続するビームパイプを支柱で支持する構造の防護柵のビームパイプ継手構造に関する。」

(イ)「【0010】
本発明は上記従来の欠点を解消するためになされたもので、インナースリーブやビームパイプ側の仕様変更を必要とせず、かつ構造が簡単で部品コストが安く、かつ施工性が良好でありながら、ボルトの頭部の突出感が少なく景観的に良好なビームパイプ継手構造を提供することを目的とする。」

(ウ)「【0015】
本発明によれば、ビームパイプをインナースリーブに固定するボルトの頭部が、その上面が上に凸の滑らかな湾曲面をなしかつ下面がビームパイプの外周面に沿う湾曲面をなし、頭部全体としてビームパイプの外周面に沿う厚みの薄い湾曲形状なしているので、ボルト頭部の突出感は少なく、ボルト頭部が目立たず景観を損なわない優れた外観のビームパイプ継手構造が得られる。
また、ボルト頭部の上面が滑らかな湾曲面をなすので、ボルト頭部で衣服や身体に損傷を与える恐れも少ない。
また、ボルト頭部が目立たない構造を得る手段としては、ボルト頭部を変更するのみで済み、ブラケットやインナースリーブやビームパイプ側の仕様を変更する必要がないので、景観に優れたビームパイプ継手構造とするためのコストを安くできる。
また、ボルトは上から挿入するので、従来の下側からボルトを上向きに挿入する構造と比較して、作業がし易く施工性が良好である。
また、構造が簡単で、かつ部品点数が少ないので、この点でも作業が容易で施工性がよく、施工コストが安く済む。」

(エ)「【0019】
図12、図13は本発明を適用しようとする防護柵1の全体構造を概略示すもので、2は支柱、3はビームパイプである。図13で支柱2の左側が車道、右側が歩道又は路肩である。
ビームパイプ3は、図1?図4に示すように、ブラケット6、インナースリーブ7及びボルト、ナット等からなるビームパイプ継手構造4により支柱2に固定される。
【0020】
前記ブラケット6は、鋼板を折り曲げて成形したもので、コ字形の上下辺先端側をそれぞれ内側に円弧状に湾曲させた断面形状であり、コ字形の基部6c側で支柱2に固定され、先端側の僅かに隙間のある横向きU字形部6d内にインナースリーブ7が通される。このブラケット6は、その基部6cを、支柱2の後面側から貫通させたボルト8とこれに螺合させたナット9とにより締着して、支柱2に固定される。6eはボルト8を通すボルト挿通穴である。」

(オ)「【0023】
ビームパイプ3をインナースリーブ7に固定する前記ビームパイプ固定用のボルト13の詳細を図5、図6を参照して説明する。図5(イ)はボルト13の正面図(但し、図1(ロ)の側面図に相当する)、図5(ロ)は同平面図である。図6(イ)は図5のボルト13の頭部20の拡大図、図6(ロ)は図6(イ)の側面図、図6(ハ)は図6(イ)のC-C断面図である。これらの図に示すように、このボルト13は、その頭部(ボルト頭部)20が特殊形状をしている。すなわち、このボルト頭部20は、上から見て円形であり、その上面が上に凸の滑らかな湾曲面をなしかつ下面20aがビームパイプ3の外周面に沿う湾曲面をなし、頭部全体としてビームパイプ3の外周面に沿う厚みの薄い湾曲形状なしている。
なお、ボルト頭部20の上から見た形状を真円でなく、図5(ロ)の上下方向の径を若干短くしてもよい。
【0024】
この実施例では、ボルト頭部20の下面部に、ビームパイプ3にあけたビームパイプ挿通用長穴3aに嵌合する回り止め用の角根21を形成している。この角根21は図5(ロ)に示すように、ビームパイプ3のボルト挿通用長穴3aより全体的にわずかに小さな長円形状であり、その長径方向がビームパイプ3の長手方向と一致している。
また、ボルト頭部20の上面は、中央部近傍の曲率半径が大きく周縁部の曲率半径が小さい湾曲面をなしている。この実施例では、ビームパイプ長手方向から見たボルト頭部20の形状は、中央部近傍と左右縁部とで曲率半径にあまり差がなく、概ね一定に近い(図6(イ)参照)が、防護柵正面から見た形状は図6(ロ)に示すように、中央部近傍の曲率半径は大きく、左右の縁部の曲率半径は小さく、その曲率半径の差はかなり大である。このため、特に防護柵正面から見たボルト頭部20の外観は突出感の少ない外観となっている。
【0025】
上記のビームパイプ継手構造4によれば、ボルト頭部20が、その上面が上に凸の滑らかな湾曲面をなしかつ下面20aがビームパイプ3の外周面に沿う湾曲面をなし、頭部全体としてビームパイプ3の外周面に沿う厚みの薄い湾曲形状なしているので、ボルト頭部20の突出感は少なく、ボルト頭部20が目立たず景観を損なわない優れた外観となっている。
特にボルト頭部20の防護柵正面から見た形状が、中央部近傍の曲率半径が大きく左右の縁部の曲率半径が小さいことで、ボルト頭部20の突出感がさらに少なくなっており、ボルト頭部20が目立つことはさらに少なくなっている。
また、ボルト頭部20の上面が滑らかな湾曲面をなすので、ボルト頭部20で衣服や身体に損傷を与える恐れも少ない。
また、ボルト頭部を変更するのみで済み、ブラケット6やインナースリーブ7やビームパイプ3側の仕様を変更する必要がない(すなわち、図4に示した各穴の寸法・形状・位置などの変更を必要としない)ので、景観に優れたビームパイプ継手構造とするためのコストを安くできる。
また、ボルト13は上から挿入するので、従来の下側からボルトを上向きに挿入する構造と比較して、作業がし易く施工性が良好である。
また、ボルト13の頭部下面に角根21が形成されて回り止めが図られているので、ボルト13に螺合させたナット14を回す際に、ボルト13が伴回りすることがなく、この点でも作業が容易で施工性がよい。
また、構造が簡単で、かつ部品点数が少ないので、この点でも作業が容易で施工性がよく、施工コストが安く済む。」

(カ)「【0026】
図7、図8に、ビームパイプ固定用のボルトの他の実施例を示す。この実施例のボルト13’は、ボルト頭部20’の形状が上から見て、図7(ロ)に示すように、長径がビームパイプ長手方向(図7(ロ)の上下方向)と一致する長円形であり、かつ、ボルト頭部20’の周縁部を面取りしている。面取りしているので、人が触れた時の安全性の面で好ましい。面取りした周縁部を20’bで示す。ボルト頭部20’の下面の角根21’は図5、図6の実施例と同じである。すなわち、上から見て、長径がビームパイプ長手方向と一致する長円形である。」

(キ)図7及び図8から、ビームパイプ固定用のボルト13’は、角根21’の下部に形成されたネジ部を有し、角根21’は該ネジ部の外形より大きな外形であってボルト頭部20’の外形より小さな外形の長円形であることが看取される。

そうすると、上記記載事項(ア)?(キ)、及び図面(特に、図7及び図8)の記載からみて、上記刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されているものと認められる。

[刊行物1発明]
「ボルト13’の頭部20’と、頭部20’の下面に形成された角根21’と、該角根21’の下部に形成されたネジ部を有し、角根21’は該ネジ部の外形より大きな外形であって頭部20’の外形より小さな外形の長円形であり、該長円形の角根21’をビームパイプ3にあけたビームパイプ挿通用長穴3aに嵌合してボルト13’に螺合させたナット14を回す際に、ボルト13’の回り止め用の角根21’により、ボルト13’が伴回りすることがないようにしたボルトの使用方法であって、頭部20’は、その上面が上に凸の滑らかな湾曲面をなし、その形状が上から見て長径がビームパイプ長手方向と一致する長円形であり、ボルト13’にナット14を螺合させて締着する、ボルトの使用方法。」

(2)刊行物2(登録実用新案第3117720号公報)

上記刊行物2には、「ボルト付きフリーボールベアリング、及び支持テーブル、及びボルト付きフリーボールベアリング着脱工具」に関して、図面(特に、図1)とともに、以下の事項が記載されている。

(ク)「【0018】
そして、本体部4の下面側でボルト部2の上側に、図示のように平行二面8aを形成したスパナ掛け部8を有するとともに、このスパナ掛け部8の前記平行二面8a間の寸法Tは、図示例では前記キャップ7の外径D_(1)とほぼ同等にされている。なお、平行二面8a間の寸法Tは、キャップ7の外径D_(1)より大きくしてもよい。
この実施例のスパナ掛け部8は、円形断面の直径方向両側を面取りして平行二面8aを形成している。したがって、その円筒面部分8bの直径(円筒面部直径)D_(2)はキャップ7の直径D_(1)より若干大きい。しかし、平行二面8a間の寸法Tがキャップ7の外径D_(1)と同等以上であれば、他の部分の形状は特に制限されない。(以下、略)」

(3)刊行物3(実願昭50-51226号(実開昭51-132463号)のマイクロフィルム)

上記刊行物3には、「高力甲丸ボルト」に関して、図面(特に、第9図)とともに、以下の事項が記載されている。

(ケ)「本考案はボルト頭部の外周円形の一部を平面とするか全周を多角形とするかによりこの共回りを防止するものである。・・・更に第9?12図は甲丸ボルトの頭部に一部に平面部を付する例であり・・・(以下、略)」(2ページ4?17行)

(4)刊行物4(実願昭51-39997号(実開昭52-131560号)のマイクロフィルム)

上記刊行物4には、「ボルト・ナット緊結装置」に関して、図面(特に、第4図及び第5図)とともに、以下の事項が記載されている。

(コ)「第4図に示すように、ボルト・ナット体を構成するボルト1の頭部2の緊結面3(裏面)とボルト1の首下部11との境界部分に一定間隔を隔てて回動止め突起4,4…を形成すると共に、第5図に示すように、被緊結物5の緊結面6に、該回動止め突起4,4…を嵌合する突起嵌合穴7,7…を形成し、第3図に示すように、該回動止め突起4,4…と該突起嵌合穴7,7,…を嵌合させ座金8を介してナット9のみを回動させて締付けて緊結しても良い。」(3ページ7?16行)

4.対比・判断

(1)一致点

本願発明と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明の「ボルト13’の頭部20’」は、その機能からみて、本願発明の「頭部」に相当し、以下同様に、「頭部20’の下面に形成された角根21’」は「頭部の下端面より突出された首部」に相当し、「該角根21’の下部に形成されたネジ部」は「該首部の下端面より突出されたネジ部」に相当する。
刊行物1発明の「長円形」は、共回りを防止する機能からみて本願発明の「小判形状」と実質的な差異がないから、刊行物1発明の「角根21’は該ネジ部の外形より大きな外形であって頭部20’の外形より小さな外形の長円形であり」は、本願発明の「前記首部はネジ部の外形より大きな外形であって頭部の外形より小さな外形の小判形状となされて」に相当する。
刊行物1発明の「該長円形の角根21’をビームパイプ3にあけたビームパイプ挿通用長穴3aに嵌合してボルト13’に螺合させたナット14を回す際に、ボルト13’の回り止め用の角根21’により、ボルト13’が伴回りすることがないようにした」は、実質的に、本願発明の「前記小判形状の首部を小判形状の横長孔としたボルト挿通孔に挿通することにより、ボルトの共回りを防止した状態で、ナットを螺着することができる」に相当する。
また、刊行物1発明の「頭部20’は、その上面が上に凸の滑らかな湾曲面をなし、その形状が上から見て長径がビームパイプ長手方向と一致する長円形であり、ボルト13’にナット14を螺合させて締着する」と、本願発明の「前記頭部に、上面がドーム状の湾曲面となされた平面視円形の側部を相対向して切欠して、スパナで挟むことができる二個の切欠部を形成すると共に、前記ボルト挿通孔を、小判形状の横長孔に代えて、丸孔として、該丸孔に前記小判形状の首部を挿通して、ボルトを回動可能な状態として、前記頭部の切欠部を挟んだスパナを用いてボルトにナットを螺着する」とは、スパナで挟むことができるか否かは別として、少なくとも「上面がドーム状の湾曲面となされ、平面視で非円形の頭部を有するボルトの使用方法」である限りにおいて共通するものである。
したがって、両者は、本願発明の表記にならえば、
「頭部と、頭部の下端面より突出された首部と、該首部の下端面より突出されたネジ部とからなり、前記首部はネジ部の外形より大きな外形であって頭部の外形より小さな外形の小判形状となされて、前記小判形状の首部を小判形状の横長孔としたボルト挿通孔に挿通することにより、ボルトの共回りを防止した状態で、ナットを螺着することができるボルトの使用方法であって、上面がドーム状の湾曲面となされ、平面視で非円形の頭部を有するボルトの使用方法。」
である点において一致し、次の点で相違している。

(2)相違点

「上面がドーム状の湾曲面となされ、平面視で非円形の頭部を有するボルトの使用方法」として、本願発明は、「前記頭部に、上面がドーム状の湾曲面となされた平面視円形の側部を相対向して切欠して、スパナで挟むことができる二個の切欠部を形成すると共に、前記ボルト挿通孔を、小判形状の横長孔に代えて、丸孔として、該丸孔に前記小判形状の首部を挿通して、ボルトを回動可能な状態として、前記頭部の切欠部を挟んだスパナを用いてボルトにナットを螺着する」のに対し、刊行物1発明では、「頭部20’は、その上面が上に凸の滑らかな湾曲面をなし、その形状が上から見て長径がビームパイプ長手方向と一致する長円形であり、ボルト13’にナット14を螺合させて締着する」ものであり、頭部20’は、平面視円形の側部を相対向して切欠したものか否か明らかでなく、スパナを用いて挟むことによりナットを螺着できるか否かも明らかでない点において相違する。

(3)相違点についての判断

本願発明は、ボルトの首部に共回りを防止する構成を設けたボルトの使用方法である点で刊行物1発明と軌を一にするものであるところ、首部に共回りを防止する構成を設けたボルトは、頭部側を上記共回りを防止する手段で回動不能にしておき、ボルトの端部からナットを回動して固定するものであるから、通常、頭部にはスパナ等の工具で回動するための構成が設けられていない。他方、通常のボルトやネジは、その頭部に工具係合部を有しているが、該工具係合部が破損した場合、すなわち、実質的に、スパナ等の工具で頭部を回動するための構成がない状態となった場合、頭部を適宜の工具で挟んで回動させることは、当業者が必要に応じて行う一般的な作業手段であるから、少なくとも刊行物1発明の頭部20’は、その形状を問わず当業者が必要に応じて工具で挟んで回動させることができるものである。
そこで、刊行物1発明の頭部20’が長円形である点について検討する。上記刊行物4には共回りを防止する構成を設けたボルトであっても頭部をスパナ等の工具で回動できるものが記載されている(第4図の回動止め突起4、突起嵌合穴7及びボルト1の頭部2を参照)。このことから、刊行物1発明のボルト13’は、共回りを防止する手段を有するものであるとしても、上記刊行物4に記載されたボルトと同様、上記長円形の頭部20’がスパナ等の工具で回動させたり回り止めをすることができるものであることは、当業者が容易に理解できることである。そして、上記刊行物2の上記記載事項(ク)及び図1に記載されたスパナ掛け部8や上記刊行物3の上記記載事項(ケ)及び第9図の記載からみて、ボルトの頭部に形成した二個の切欠部に相当する平行な2つの面をスパナで挟むことによりボルトにナットを螺着することは周知事項であるから、上記刊行物2?4に記載された技術事項に接した当業者であれば、刊行物1発明の長円形の頭部20’について、上記刊行物2及び上記刊行物3に記載されたようなボルトの頭部を適用して、平面視円形の側部に二個の切欠部を形成し、必要に応じてスパナで挟むことによりボルトにナットを螺着することは容易に推考できたことである。
さらに、ボルト挿通孔を丸孔としてボルトを回動可能な状態とする際に、ボルト挿通孔に首部を挿通してボルトを回動するか、ボルト挿通孔にボルトの首部を挿通することなくネジ部のみを挿通してボルトを回動するかは、ボルト挿通孔の大きさを当業者が適宜選択して決定できる設計上の事項であり、いずれの場合でも該ボルトの頭部を挟んだスパナを用いてボルトにナットを螺着することはごく一般的な固定作業にすぎない。
そうすると、刊行物1発明に上記刊行物2?4に記載された発明を適用して上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)本願発明の効果について

本願発明が奏する効果は、いずれも、刊行物1ないし刊行物4に記載された発明から当業者が予測できるものである。

(5)審判請求人の主張について

審判請求人は、平成23年11月4日付けの意見書において、上記刊行物1に記載された発明は「長円形状の『ボルト挿通用穴』にボルトの『角根』を嵌合されて使用するものであって、本願発明のように、ボルト挿通孔に首部を挿通してボルトを回動可能な状態で、ボルトを使用するものではありません。」と述べるとともに、「刊行物1?4に記載の発明は、首部を小判形状として共回りを防止するようにしたボルトを、本来の小判形状のボルト挿通孔に使用することに加えて、施工現場でハンドドリル等で穿設した回動可能な丸孔状のボルト挿通孔に対しても使用することができるようにして、当該丸孔状のボルト挿通孔に兼用して使用することについての本願発明の上記構成を備えたものではありません。」と主張している。
確かに、上記刊行物1には、ボルト挿通孔に首部を挿通してボルトを回動可能な状態で、ボルトを使用することは記載されていないが、ボルト挿通孔に首部を挿通してボルトを回動するか、ボルト挿通孔にボルトの首部を挿通することなくネジ部のみを挿通してボルトを回動するかは、ボルト挿通孔の大きさを当業者が適宜選択して決定できる設計上の事項であり、いずれの場合でも該ボルトの頭部を挟んだスパナを用いてボルトにナットを螺着することはごく一般的な固定作業にすぎないから、当業者が、施工現場において、首部を挿通してボルトが回動可能な丸孔状のボルト挿通孔をハンドドリル等で穿設し、上記のような固定作業を行うことに格別の困難性があるものではない。
よって、審判請求人の主張は採用できない。

(6)まとめ

したがって、本願発明は、刊行物1ないし刊行物4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび

以上のとおり、本願発明、すなわち、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1ないし刊行物4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。



 
審理終結日 2011-11-30 
結審通知日 2011-12-06 
審決日 2011-12-19 
出願番号 特願2006-214212(P2006-214212)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F16B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平城 俊雅鎌田 哲生  
特許庁審判長 川上 溢喜
特許庁審判官 川本 真裕
倉田 和博
発明の名称 ボルトの使用方法  
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