• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1252344
審判番号 不服2010-7849  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-13 
確定日 2012-02-17 
事件の表示 特願2007-202394「固体撮像素子および電子情報機器」拒絶査定不服審判事件〔平成21年2月19日出願公開、特開2009-38263〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成19年8月2日の特許出願であって、平成21年10月20日付けの拒絶理由通知に対して同年12月15日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成22年1月7日付けで拒絶査定がなされた。
それに対して、同年4月13日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出され、その後、平成23年9月20日付けで審尋がなされ、同年10月31日に回答書が提出された。

第2.補正の却下の決定
【補正の却下の決定の結論】
平成22年4月13日に提出された手続補正書による補正を却下する。

【理由】
1.補正の内容
平成22年4月13日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1?20を、補正後の特許請求の範囲の請求項1?19と補正するとともに、明細書の発明の詳細な説明を補正するものであり、補正前後の請求項1?4は各々次のとおりである。

(補正前)
「【請求項1】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部のうち、二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により信号読み出しを行う2画素共有構造の固体撮像素子であって、
該信号読み出し回路を構成する、該フローティングディフュージョンの電位を所定電位にリセットするためのリセット手段と該フローティングディフュージョンの電圧に応じて信号増幅して信号読み出しを行う信号増幅手段とを分離配置して、該リセット手段の活性化領域を該フローティングディフュージョンの活性化領域と共通に構成し、該フローティングディフュージョンから該信号増幅手段の制御電極に至る配線を、第1層目の金属配線として該受光部の右側辺に沿って直線状で最短距離レイアウトとし、さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した固体撮像素子。
【請求項2】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部のうち、二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により信号読み出しを行う2画素共有構造の固体撮像素子であって、
該信号読み出し回路を構成する、該フローティングディフュージョンの電位を所定電位にリセットするためのリセット手段と該フローティングディフュージョンの電圧に応じて信号増幅して信号読み出しを行う信号増幅手段とを分離配置して、該リセット手段の一方活性化領域を該フローティングディフュージョンの活性化領域と共通に構成し、該フローティングディフュージョンから該信号増幅手段の制御電極に至る配線を、該受光部の右側辺に沿って直線状で最短距離レイアウトとし、さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した固体撮像素子。
【請求項3】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部のうち、二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により信号増幅して信号読み出しを行う2画素共有構造の固体撮像素子であって、
該フローティングディフュージョンから該信号読み出し回路の信号増幅手段の制御電極に至る配線を第1層目の金属配線とし、さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した固体撮像素子。
【請求項4】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部のうち、フローティングディフュージョン容量をより小さくするために二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により信号増幅して信号読み出しを行うものであり、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した固体撮像素子。」

(補正後)
「【請求項1】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部のうち、二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により信号読み出しを行う2画素共有構造の固体撮像素子であって、
該信号読み出し回路を構成する、該フローティングディフュージョンの電位を所定電位にリセットするためのリセット手段と該フローティングディフュージョンの電圧に応じて信号増幅して信号読み出しを行う信号増幅手段とを分離配置して、該リセット手段の活性化領域を該フローティングディフュージョンの活性化 領域と共通に構成し、該フローティングディフュージョンから該信号増幅手段の制御電極に至る配線を、第1層目の金属配線として該受光部の右側辺に沿って直線状で最短距離レイアウトとし、さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心と、該受光部に入射光を集光するためのマイクロレンズの中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した固体撮像素子。
【請求項2】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部のうち、二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により信号読み出しを行う2画素共有構造の固体撮像素子であって、
該信号読み出し回路を構成する、該フローティングディフュージョンの電位を所定電位にリセットするためのリセット手段と該フローティングディフュージョンの電圧に応じて信号増幅して信号読み出しを行う信号増幅手段とを分離配置して、該リセット手段の一方活性化領域を該フローティングディフュージョンの活 性化領域と共通に構成し、該フローティングディフュージョンから該信号増幅手段の制御電極に至る配線を、該受光部の右側辺に沿って直線状で最短距離レイアウトとし、さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心と、該受光部に入射光を集光するためのマイクロレンズの中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した固体撮像素子。
【請求項3】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部のうち、二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により信号増幅して信号読み出しを行う2画素共有構造の固体撮像素子であって、
該フローティングディフュージョンから該信号読み出し回路の信号増幅手段の制御電極に至る配線を第1層目の金属配線とし、さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心と、該受光部に入射光を集光するためのマイクロレンズの中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した固体撮像素子。
【請求項4】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部のうち、フローティングディフュージョン容量をより小さくするために二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により 信号増幅して信号読み出しを行うものであり、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心と、該受光部に入射光を集光するためのマイクロレンズの中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した固体撮像素子。」

2.補正事項の整理
本件補正による補正事項を整理すると次のとおりである。
(1)補正事項1
補正前の請求項18を削除すること。及びそれに伴って、請求項の番号及び引用する請求項の番号を修正すること。

(2)補正事項2
補正前の請求項1の「さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した」を、「さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心と、該受光部に入射光を集光するためのマイクロレンズの中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した」と補正して、補正後の請求項1とすること。

(3)補正事項3
補正前の請求項2の「さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した」を、「さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心と、該受光部に入射光を集光するためのマイクロレンズの中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した」と補正して、補正後の請求項2とすること。

(4)補正事項4
補正前の請求項3の「さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した」を、「さらに、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心と、該受光部に入射光を集光するためのマイクロレンズの中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した」と補正して、補正後の請求項3とすること。

(5)補正事項5
補正前の請求項4の「該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した」を、「該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心と、該受光部に入射光を集光するためのマイクロレンズの中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した」と補正して、補正後の請求項4とすること。

(6)補正事項6
補正前の明細書の0033段落?0036段落を補正して、補正後の0033段落?0036段落とすること。

3.新規事項の追加の有無、及び補正の目的の適否についての検討
(1)補正事項1について
補正事項1は、特許法第17条の2第4項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項をいう。以下同じ。)第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項1は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。
また、補正事項1が特許法第17条の2第3項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項をいう。以下同じ。)に規定する要件を満たすことは明らかである。

(2)補正事項2について
補正事項2は、補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「受光部」及び「画素部」について、技術的限定を加えるものであるから、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
したがって、補正事項2は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たす。
また、補正事項2により補正された部分は、本願の願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。また、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面をまとめて「当初明細書等」という。)の0062段落?0067段落に記載されているものと認められるから、補正事項2は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、補正事項2は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

(3)補正事項3?5について
補正事項3?5は、補正事項2と同様の理由で、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとともに、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、当該補正事項3?5は、特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件を満たす。

(4)補正事項6について
補正事項6は、特許請求の範囲の補正である補正事項1?5と整合するように明細書の補正を行うものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

(5)新規事項の追加の有無、及び補正の目的の適否についてのまとめ
以上検討したとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項に規定する要件を満たすものである。
そして、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、本件補正による補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、本件補正がいわゆる独立特許要件を満たすものであるか否かについて、以下において更に検討する。

4.独立特許要件についての検討
(1)補正後の発明
本願の本件補正による補正後の請求項1?19係る発明は、本件補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1?19に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項4に係る発明(以下「補正発明」という。)は、請求項4に記載されている事項により特定される、上記1.に補正後の請求項4として記載したとおりのものであり、再掲すると次のとおりである。

「【請求項4】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部のうち、フローティングディフュージョン容量をより小さくするために二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により 信号増幅して信号読み出しを行うものであり、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心と、該受光部に入射光を集光するためのマイクロレンズの中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した固体撮像素子。」

(2)引用刊行物に記載された発明
(2-1)本願の出願前に日本国内において頒布され、原査定の根拠となった拒絶の理由において引用された刊行物である特開2007-20194号公報(「以下「引用例」という。)には、図1?7と共に、次の記載がある(ここにおいて、下線は当合議体が付加したものである。以下同じ。)。

a.「【請求項1】
複数の光電変換領域を含む第1のアクティブ領域;及び 前記第1のアクティブ領域と離隔する第2のアクティブ領域を含む単位アクティブピクセル領域のアレイ;
を含み、
前記第1のアクティブ領域は、行と列との間に延在されたスペースを限定するために行列で配置され、
前記第2のアクティブ領域は、前記第1のアクティブ領域の間に限定された行と列との間に延在されたスペースの交差点にそれぞれ配置されることを特徴とするイメージセンサー。
【請求項2】
前記第1のアクティブ領域は、
第1の光電変換領域;
第2の光電変換領域;及び
前記第1の光電変換領域及び第2の光電変換領域と連結された読み出し貯蔵ノード領域;
を含むことを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサー。
(途中略)
【請求項9】
前記単位ピクセルのアレイの隣接した光電変換領域の間のピッチは、前記単位アクティブピクセルの行と列方向に実質的に同一であることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサー。」

b.「【0001】
本発明は、イメージセンサーに係り、より詳しくは、受光効率が向上したイメージセンサー及びシステムに関するものである。」

c.「【0012】
前述したように、本発明に従うイメージセンサー及びシステムは、光電変換素子の面積を最大限に増大させ、増大した面積の大部分が受光領域として使用できるレイアウトであるのでフィルファクター効果を増加させることができ、アレイ形態で配列された光電変換素子の位置に関係なく光学的に反復的な受光が行われることができ、マイクロレンズによって集まった光の焦点が光電変換素子の中心と可能なだけ合致させてクロストークを減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明確になる。しかしながら、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、相異なる多様な形態で具現されるものであり、本実施形態は、本発明の開示が完全となり、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて決められなければならない。なお、明細書全体にかけて同一参照符号は同一構成要素を示すものとする。
【0014】
以下、添付した図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態によるCMOSイメージセンサーのブロック図である。図1を参照すれば、本発明の実施形態によるCMOSイメージセンサーは、一般にアクティブピクセルセンサー(APS)アレイ10と、タイミング発生器20と、行デコーダー30と、行ドライバー40と、相関二重サンプリング及びディジタルコンバーティング(CDS)回路50と、アナログディジタルコンバータ(ADC)60と、ラッチ部70及び列デコーダー80と、を含む。
【0016】
図1のCISの動作は、当業者によく知られているため詳細な説明を省略する。一般に、タイミング発生器20は、行デコーダー30と列デコーダー80の動作タイミングを制御する。行ドライバー40は、行デコーダー30に応答してアクティブピクセルアレイ10の行を選択的に活性させる。CDS50とADC60は、列デコーダー80とラッチ部70に応答してアクティブピクセルアレイ10の列電圧をサンプリングして出力する。本実施形態で、イメージデータはラッチ部70から出力される。
【0017】
APSアレイ10は、行と列に配列された複数の単位ピクセルを含む。各活性単位ピクセルは、光電変換部と光電変換部の電荷を出力線に伝達するための読み出し回路を含む。
【0018】
図2を参照すれば、図2に示すAPSアレイ10のアクティブピクセル22の実施形態の等価回路図である。
【0019】
アクティブピクセル22の光電変換素子(PD)、例えばフォトダイオード、フォトゲートタイプイメージ素子などは、入射光を吸収して光を電気信号に変換する。電気信号は、伝達トランジスタ(TX)を通じて光電変換素子(PD)からフローティングディフュージョン領域(FD)に選択的に伝送される。伝達トランジスタ(TX)は、伝達ゲート信号(TG)によって制御される。フローティングディフュージョン領域(FD)は、ドライブトランジスタ(Dx)のゲートに連結されて出力電圧をバッファリングするためのソースフォロワー(増幅器)の機能を有する。出力電圧は、選択トランジスタ(Sx)によって出力電圧(OUT)が選択的に伝達される。選択トランジスタ(Sx)は、選択トランジスタ(Sx)のゲートに印加される行選択信号(SEL)によって制御される。最後にリセットトランジスタ(Rx)は、フローティングディフュージョン領域(FD)に蓄積した電荷を基準電圧レベルに選択的にリセットするためのリセット信号(Rs)によって制御される。
【0020】
図2に示すトランジスタの一つ又はそれ以上のトランジスタが省略できる。例えば、伝達トランジスタ(TX)が省略される場合、フローティングディフュージョン領域(FD)は光電変換素子(PD)と電気的に接続できる。他の例として、選択トランジスタ(Sx)が省略される場合、ドライブトランジスタ(Dx)が出力線(OUT)と電気的に接続できる。
【0021】
ピクセル集積度を高めるために、共通読み出し回路を共有する多重光電変換素子(PD)を含む単位アクティブピクセルのようなCISの形が既知である。しかしながら、通常的なピクセルを共有するCISの形とレイアウトは光電変換素子(PD)が相対的に小さい光電変換領域によって決められるため適さない。付加的に、光電変換領域は行又は列方向に同一ではないピッチに離隔する。従って、CIS素子の光電変換効率及び画質がよくない。」

d.「【0022】
図3は、本発明の限定されない一実施形態による2-ピクセルアクティブピクセルアレイ(APS)が共有されることを示した回路ダイヤグラムである。ここで、“共有された2-ピクセルAPS”は、同じ読み出し回路を共有するAPSの光電変換素子対を意味する。以下で、各光電変換素子対とそれに共有される読み出し回路を‘単位アクティブピクセル’という。
【0023】
図3を参照すれば、共有された2個のピクセルAPSは、行(i、i+1、・・・)と列(j、j+1、j+2、・・・)に配列された複数の単位アクティブピクセル(P)を含む。各単位アクティブピクセル(P)は、類似した形であるので一つの単位アクティブピクセル(P:i、j+3)のみが後述される。
【0024】
単位アクティブピクセル(P:i、j+3)は、光電変換素子(11a、11b)の対11と伝達トランジスタ(15a、15b)、及び共通フローティングディフュージョン領域13を含む。図3に示すように、伝達トランジスタ(15a)と光電変換素子(11a)はフローティングディフュージョン領域13と基準電位(例えば、グラウンド)の間で直列に連結される。同様に、伝達トランジスタ(15b)と光電変換素子(11b)もフローティングディフュージョン領域13と基準電位(例えば、グラウンド)との間で直列に連結される。伝達トランジスタ(15a)は、行(i)の各単位アクティブピクセル(P)に連結された伝達ゲート線(TX(i)a)によってゲーティング及び制御され、伝達ゲート(15b)は行(i)の各単位アクティブピクセル(P)に連結された伝達ゲート線(TX(i)b)によってゲーティング及び制御される。
【0025】
フローティングディフュージョン領域13は、ドライブトランジスタ17のゲートに連結され、ドライブトランジスタ17と選択トランジスタ19は、基準電圧(例えば、Vdd)と出力線(Vout)との間に直列に連結される。選択トランジスタ19は、行(i)の各単位アクティブピクセル(P)に連結された選択ライン(SEL(i))によってゲーティング及び制御される。リセットトランジスタ18は、基準電圧(例えば、Vdd)とフローティングディフュージョン領域13との間に連結され、行(i)の各単位アクティブピクセル(P)に連結されたリセットライン(RX(i))によってゲーティング及び制御される。
【0026】
動作中に、単位アクティブピクセル(P:i、j+3)の光電変換素子(11a、11b)は、入射光を吸収して電荷に変換する。光電変換素子(11a、11b)は、フォトダイオード又はフォトゲートタイプイメージセンサーのうち選択して適用でき、他のタイプの光電変換素子を適用してもよい。伝達ゲート線(TX(i)a、TX(i)b)の制御下に電荷が伝達トランジスタ(15a、15b)を通じて光電変換素子(11a、11b)からフローティングディフュージョン領域13に伝達される。ドライブトランジスタ17は、フローティングディフュージョン領域13に連結されて出力電圧をバッファリングするためのソースフォロワー(増幅器)としての機能をする。選択トランジスタ19は、選択線(SEL(i))に応答して出力電圧を出力線(Vout)に選択的に伝達する。最後に、リセットトランジスタ18は、リセット線(RX(i))によって制御されてフローティングディフュージョン領域13に蓄積した電荷を基準電圧レベル(例えば、Vdd)に選択的にリセット(又はバイアス)する。」

e.「【0027】
図4は、本発明の一実施形態による単位アクティブピクセルのアクティブ領域とトランジスタゲートのレイアウトを示した平面図である。
【0028】
図4を参照すれば、各単位アクティブピクセルは、半導体基板の表面に設けられた二つのアクティブ領域パターン(A1、A2)を含む。基板の非アクティブ領域、例えばシャロートレンチアイソレーション(STI)領域やLOCOS(local oxidation of silicon)領域のような絶縁領域でありうる。言い換えれば、基板の非アクティブ領域は例えば反対不純物で高くドーピングされた領域のような接合アイソレーション領域でありうる。
【0029】
第1のアクティブ領域パターン(A1)は、二つの光電変換素子領域(PD1、PD2)と、フローティングディフュージョン領域(FD)と、伝達ゲート(TG1、TF2)、及びリセットゲート(RG)を含む。光電変換領域(PD1、PD2)は、図3の光電変換素子(11a、11b)に該当し、フローティングディフュージョン領域(FD)は図3のフローティングディフュージョン領域13に該当し、伝達ゲート(TG1、TG2)は図3の伝達トランジスタ(15a、15b)のゲートに該当し、リセットゲート(RG)は図3のリセットトランジスタ18のゲートに該当する。
【0030】
第2のアクティブ領域パターン(A2)は、行選択ゲート(RSG)とソースフォロワーゲート(SFG)を含む。行選択ゲート(RSG)は、図3の選択トランジスタ19のゲートに該当し、ソースフォロワーゲート(SFG)は図3のドライブトランジスタ17のゲートに該当する。
【0031】
続けて図4を参照すれば、第1のアクティブ領域パターン(A1)はそれぞれ光電変換素子(PD1、PD2)を含む垂直に整列した二つのアクティブ領域のアクティブ部(a’、a’’)を含む。説明で、垂直方向は図4の点線“x”で限定されると同時に図3のAPSアレイの列方向である。各アクティブ領域のアクティブ部(a’、a’’)は多面の多角形外郭部を有する。この外郭部は、光電変換領域(PD1、PD2)上に設けられるマイクロレンズ(図示せず)の構成と可能な類似した構成をするために円形形状に近いようにする。また、本実施形態でアクティブ領域のアクティブ部(a’、a’’)は、内部間隔(SL)によって離隔し、その間の中央水平軸に対向するミラーイメージである。水平軸は、図4に点線“y”に示し、図3の行方向と平行する。
【0032】
アクティブ領域のアクティブ部(a’、a’’)は、第1のアクティブ領域パターン(A1)のアクティブ領域のアクティブ部(c)によって対向するコーナーと連結される。示すように、アクティブ領域のアクティブ部(c)は、少なくともフローティングディフュージョン領域(FD)の一部を含む。伝達ゲートチャネル領域は、アクティブ領域のアクティブ部(a’、c)と第1の伝達ゲート(TG1)の下部に限定され、他の伝達ゲートチャネル領域はアクティブ領域のアクティブ部(a’’、c)と第2の伝達ゲート(TG2)の下部に限定される。」

f.「【0037】
図5は、図4のアクティブ領域パターンのアレイを示した図面である。
【0038】
図4及び図5を参照すれば、アクティブ領域パターン(A1、A2)は列方向に垂直に整列し、行方向に水平に整列する。同一な行に隣接するアクティブ領域パターン(A1)の距離は、列間スペース(SC)に限定される。同一な列に隣接するアクティブ領域パターン(A1)の距離は行間スペース(SR)に限定される。また、前述したように、アクティブ領域のアクティブ部(a’、a’’)の距離は内部間隔(SL)に限定される。
【0039】
第2のアクティブ領域パターン(A2)は、列間スペース(SC)と行間スペース(SR)の交差点に設けられる。また、第2のアクティブ領域パターン(A2)は列間スペース(SC)の方向に長く延在される。図5に示すように、アクティブ領域パターン(A1)のコーナーは、アクティブ領域パターン(A2)の配列のための十分な空間を確保するために切り欠きを形成するか、或いは凹みを有するようにすることができる。好ましくは、列間スペース(SC)、行間スペース(SR)及び内部間隔(SL)は同一である。また、各第2のアクティブパターン領域(A2)の幅は、各列間スペース(SC)の幅と合致されるように同一である。
【0040】
各行で、各アクティブ領域パターン(A1)のアクティブ領域のアクティブ部(b)は列間スペース(SC)以上にアクティブ領域パターン(A1)に隣接したアクティブ領域のアクティブ部(a’、a’’)の間に延在される。また、アクティブ領域パターン(A1)のコーナーは、アクティブ領域パターン(A1)に隣接したアクティブ領域のアクティブ部(b)の配列のための十分な間隔を確保するために切り欠きを形成するか、或いは凹んでいるようになる。
【0041】
図4及び図5に示す実施形態の構成は多くの長所を提供する。例えば、光電変換領域(PD)の中心(PC)の間の列ピッチ(P1)と行ピッチ(P2)は列間スペース(SC)、行間スペース(SR)及び内部スペース(SL)のデザインによって容易に均一になることができる。また、同一な行で隣接したアクティブ領域パターン(A1)のアクティブ部(a’、a’’)の間に各アクティブ領域パターン(A1)のアクティブ部(b)が延在することによってピクセル密度が増加する。すなわち、ピッチが減少する。また、列間スペース(SC)にアクティブ領域パターン(A2)が延在して設けられるようになるためピクセル密度はさらに増加する。」

g.「【0043】
図6は、図5のアレイ上に設けられたブロッキング層(M)を示した図面である。図4?図6を参照すれば、ブロッキング層(M)はアクティブ領域パターン(A1)のアクティブ部(a’、a’’)上に整列した複数の光学アパチャー165を限定する。ブロッキング層(M)は、例えばアルミニウムや銅で形成でき、フローティングディフュージョン領域(FD)と読み出し回路(TG1、TG2、RG、RSG及びSFG)に入射される光をブロッキングする。
【0044】
本発明の好適な実施形態で、列間スペース(SC)、行間スペース(SR)及び内部スペース(SL)は同等である。この場合、奇数番目水平行間幅(WR_odd)と偶数番目水平行間幅(WR_even)は実質的に同一である。
【0045】
図6で、文字R、G及びBは、それぞれ赤色(red)、緑色(green)及び青色(blue)カラーフィルターを意味する。図6の実施形態でR、G及びBカラーフィルターは、ベイヤーと呼ばれるパターン内に配列されることであり、本発明の技術分野に知られている。
【0046】
図7は、本発明の一実施形態でAPSアレイ内にマイクロレンズが配列された例を示した図面である。図7を参照すれば、複数のマイクロレンズ200は、それぞれ図4?図6を参照して説明したようにAPSアレイの光電変換領域上に設けられる。マイクロレンズ200の機能は下部の光電変換領域に入射される光をフォーカシングしてフィルタリングすることである。
【0047】
図7で、参照文字Fは各レンズ200の焦点を意味する。示すように、焦点(F)とアクティブ部の中心(PC)は、APSアレイの表面を横切って入射する光の角度が異なるように補償するためにAPSアレイの選択された領域内で意図的に差が生ずるようにする。例えば、図7に示すように、焦点(F)とアクティブ部の中心(PC)はAPSアレイの左側及び右側位置で差が生じ、中間位置で整列する。」

h.「【0053】
また、層間絶縁膜170内に形成されたブロッキング層160は、例えばアルミニウム、銅又は他の金属材料で形成できる。ブロッキング層160は、図6のブロッキング層(M)に該当される。第1の平坦化層180、カラーフィルターパターン190及び第2の平坦化層195が層間絶縁膜170上に形成され、次にマイクロレンズ200が第2の平坦化層195上に形成される。図7と一緒に前述したように、マイクロレンズ200の焦点はAPSアレイの表面を横切って入射する光の角度が異なることを補償するために意図的に差が生ずるように形成される。」

(2-2)0041段落の「例えば、光電変換領域(PD)の中心(PC)の間の列ピッチ(P1)と行ピッチ(P2)は・・・」という記載、及び図5の記載から、「光電変換領域(PD)」の「中心(PC)」は、アクティブピクセルアレイが形成されている領域において、幅が「SR」である行間スペースの領域、幅が「SL」である内部間スペースの領域、及び幅が「SC」である列間スペースの領域の各領域に囲まれる矩形領域の対角線の交点、すなわち、当該矩形領域の中心(図5の一番右下に記載された「光電変換領域(PD)」における「PC」と記載された点)であることが明らかである。

(2-3)そして、0029段落における「光電変換領域(PD1、PD2)は、図3の光電変換素子(11a、11b)に該当し、」という記載から、「光電変換領域(PD1、PD2)」と「光電変換素子(11a、11b)」とは同じものであることが明らかであるから、これを「光電変換素子(11a、11b)」に統一して記述することとすると、引用例には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「光電変換素子(11a、11b)の対と伝達トランジスタ(15a、15b)、及び共通フローティングディフュージョン領域(13)を含み、
前記光電変換素子(11a、11b)は、入射光を吸収して電荷に変換し、
伝達ゲート線の制御下に電荷が前記伝達トランジスタ(15a、15b)を通じて前記光電変換素子(11a、11b)から前記共通フローティングディフュージョン領域(13)に伝達され、
ドライブトランジスタ(17)が、前記共通フローティングディフュージョン領域(13)に連結されて出力電圧をバッファリングするためのソースフォロワー(増幅器)としての機能をし、
選択トランジスタ(19)が、選択線に応答して前記出力電圧を出力線に選択的に伝達し、
リセットトランジスタ(18)が、リセット線によって制御されて前記共通フローティングディフュージョン領域(13)に蓄積した電荷を基準電圧レベルに選択的にリセットするイメージセンサーにおいて、
前記光電変換素子(11a、11b)の中心(PC)は、アクティブピクセルアレイが形成されている領域において、幅がSRである行間スペースの領域、幅がSLである内部間スペースの領域、及び幅がSCである列間スペースの領域の各領域に囲まれる矩形領域の中心であり、
前記SC、前記SR及び前記SLは同等であり、
前記光電変換素子(11a、11b)の間のピッチは、アクティブピクセルの行と列方向に実質的に同一であり、
例えば、マイクロレンズの焦点(F)と前記光電変換素子(11a、11b)の中心(PC)は、前記アクティブピクセルアレイの左側及び右側位置で差が生じ、中間位置で整列するイメージセンサ。」

(3)補正発明と引用発明との対比
(3-1)引用発明の「光電変換素子(11a、11b)」は、補正発明の「受光部」に相当する。
また、補正発明の「光電変換素子(11a、11b)」が、補正発明の「受光部」の同様に、「複数」存在すること、及び「被写体からの画像光を光電変換して撮像する」ものであることは、当業者にとって明らかである。

(3-2)引用発明は、「光電変換素子(11a、11b)の対」ごとに、「ドライブトランジスタ(17)」、「選択トランジスタ(19)」及び「リセットトランジスタ(18)」により構成される信号読み出し回路を共有していることが明らかである。
したがって、補正発明と引用発明とは、「二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し」ている点で一致する。
また、引用発明は、「伝達ゲート線の制御下に電荷が前記伝達トランジスタ(15a、15b)を通じて前記光電変換素子(11a、11b)から前記共通フローティングディフュージョン領域(13)に伝達され、 ドライブトランジスタ(17)が、前記共通フローティングディフュージョン領域(13)に連結されて出力電圧をバッファリングするためのソースフォロワー(増幅器)としての機能をし、 選択トランジスタ(19)が、選択線に応答して前記出力電圧を出力線に選択的に伝達」する構成となっているから、引用発明が補正発明と同様に、「該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により 信号増幅して信号読み出しを行うもの」であることは、当業者にとって明らかである。

(3-3)引用発明の「前記光電変換素子(11a、11b)の中心(PC)は、アクティブピクセルアレイが形成されている領域において、幅がSRである行間スペースの領域、幅がSLである内部間スペースの領域、及び幅がSCである列間スペースの領域の各領域に囲まれる矩形領域の中心であり、 前記SC、前記SR及び前記SLは同等であり」という構成と、補正発明の「該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心と」を「行方向および列方向で一致させ」という構成とを対比する。
引用発明において、補正発明の「画素部」に相当する部分は、「幅がSRである行間スペースの領域」、「幅がSLである内部間スペースの領域」及び「幅がSCである列間スペースの領域」の各中心線で囲まれた部分であるところ、引用発明においては、「前記SC、前記SR及び前記SLは同等」なのであるから、「幅がSRである行間スペースの領域」、「幅がSLである内部間スペースの領域」及び「幅がSCである列間スペースの領域」の各中心線で囲まれた部分の中心と「光電変換素子(11a、11b)の中心(PC)」とが同一の点となることは幾何学的に自明である。
したがって、引用発明の「前記光電変換素子(11a、11b)の中心(PC)は、アクティブピクセルアレイが形成されている領域において、幅がSRである行間スペースの領域、幅がSLである内部間スペースの領域、及び幅がSCである列間スペースの領域の各領域に囲まれる矩形領域の中心であり、 前記SC、前記SR及び前記SLは同等であり」という構成は、補正発明の「該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心と」を「行方向および列方向で一致させ」という構成に相当する。

(3-4)引用発明の「前記光電変換素子(11a、11b)の間のピッチは、アクティブピクセルの行と列方向に実質的に同一であり」という構成は、補正発明の「該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した」という構成に相当する。

(3-5)以上をまとめると、補正発明と引用発明とは、

「被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部のうち、二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により 信号増幅して信号読み出しを行うものであり、該受光部の中心と、該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心とを行方向および列方向で一致させて該画素中心を行方向および列方向で等間隔に配置した固体撮像素子。」

である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
「二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により 信号増幅して信号読み出しを行うものであ」るという構成に関する相違点であって、補正発明は、当該構成が「フローティングディフュージョン容量をより小さくする」ことを目的としたものであるのに対して、引用発明は、そのような目的が特定されていない点。

(相違点2)
補正発明は、「該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心」と「該受光部に入射光を集光するためのマイクロレンズの中心」とを「行方向および列方向で一致させて」いるのに対して、引用発明は、「例えば、マイクロレンズの焦点(F)と前記光電変換素子(11a、11b)の中心(PC)は、前記アクティブピクセルアレイの左側及び右側位置で差が生じ、中間位置で整列する」構成となっている点。

(4)相違点についての当審の判断
(4-1)相違点1について
引用発明は、補正発明と同様に、「二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により 信号増幅して信号読み出しを行う」という構成を有しているのであるから、引用発明においても、「フローティングディフュージョン」を各「受光部」ごとに別々に作成し、それらを配線等により接続して信号読み出し回路に接続する構成とした場合と比較して、「フローティングディフュージョン」の容量が小さくなるという効果を有していることは、当業者にとって自明である。
したがって、補正発明における「フローティングディフュージョン容量をより小さくするために」という事項は、「二つの受光部毎に信号読み出し回路を共有し、該二つの受光部から共通のフローティングディフュージョンに信号電荷を読み出して電圧変換し、変換電圧に応じて該信号読み出し回路により 信号増幅して信号読み出しを行う」という構成により当然に奏される効果を目的の観点から確認的に記載したものにすぎないから、相違点1は実質的なものではない。

(4-2)相違点2について
(4-2-1)引用発明における「マイクロレンズの焦点(F)と前記光電変換素子(11a、11b)の中心(PC)は、前記アクティブピクセルアレイの左側及び右側位置で差が生じ、中間位置で整列する」という構成について、引用例の0053段落に「マイクロレンズ200の焦点はAPSアレイの表面を横切って入射する光の角度が異なることを補償するために意図的に差が生ずるように形成され」たものであると記載されていることに加え、一般に、固体撮像素子において、周辺部では各画素部に斜めに光が入射するため、補正発明のように画素部とマイクロレンズの中心を一致させた場合には、中心部では良好に受光できるものの、周辺部では受光感度が落ちてしまうシェーディングという問題点が生ずること、及びそれを解決するために、周辺部においてマイクロレンズと光電変換素子の中心をずらすという構成を採用することは、いずれも、例えば、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である下記周知例にも記載されているように、当業者において周知である。

周知例:特開2001-210812号公報
「【0005】図7(a)に示したように、従来の固体撮像装置には、複数の画素1が配列されている。また、図7(b)に示したように、各画素1のフォトダイオード5の受光部の位置に合わせて開口領域3及びマイクロレンズ4が同一ピッチで形成されており、マイクロレンズ4によって集光された光の光軸と開口領域3の重心とが一致する。これにより、マイクロレンズ4を介した光は、フォトダイオード5の受光部のほぼ中心に集光される。」
「【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術は、固体撮像装置の画素の配置位置によって、マイクロレンズによって集光された光の一部が、フォトダイオードに到達しないものがあり、このため、固体撮像装置の受光感度にばらつきが生じる場合があった。」
「【0010】図8(a)に示すように、被写体10からの光は、撮像レンズ11を介して固体撮像装置上へ結像される。ここで、たとえば図8(b)(ii)に示す画素へ送られた被写体10からの光は、マイクロレンズ4を介してフォトダイオード5に入射される。
【0011】一方、図8(b)(i),図8(b)(ii)に示す画素へ送られた被写体10からの光は、マイクロレンズ4を介した後に、一部が遮光層2の遮光領域により遮られ、フォトダイオード5に入射されない。このため、画素が撮影レンズから近いものと遠いものとで受光感度のばらつきをなくすことができなかった。」
「【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、入遮光を集光する集光レンズと、前記集光レンズにより集光された光を電気信号に変換する光電変換素子とを有する画素を複数備えた固体撮像装置において、前記複数の画素の各々は、前記集光された光の光軸と前記光電変換素子の受光部の重心とが一致するように構成されている。」
「【0020】すなわち、図1(b)に示すように、1列目の画素1はフォトダイオード5の受光部の重心に対して図面の右方向にマイクロレンズ4及び開口領域3の重心が位置するように構成し、3列目の画素1はフォトダイオード5の受光部の重心とマイクロレンズ4及び開口領域3の重心とが一致するように構成し、5列目の画素1はフォトダイオード5の受光部の重心に対して図面の左方向にマイクロレンズ4及び開口領域3の重心が位置するように構成している。なお、ここで、開口領域3の重心とは、開口領域3に任意の物質を配したときにその物質の重心となる位置をいう。
【0021】このように、本実施形態では、画素群の中心よりも周辺に配置されている画素1ほど、フォトダイオード5の受光部の重心を、マイクロレンズ4及び開口領域3の重心よりも周辺側に位置するように構成することにより、図1(b)に示したように、マイクロレンズ4を介してフォトダイオード5へ入射する光が、遮光層2の遮光領域に遮られないようになる。」

(4-2-2)したがって、引用発明に接した当業者であれば、引用発明において「マイクロレンズの焦点(F)と前記光電変換素子(11a、11b)の中心(PC)は、前記アクティブピクセルアレイの左側及び右側位置で差が生じ、中間位置で整列する」という構成に換え、引用発明のように、「該受光部の行間と列間の各中心線で囲まれた画素部の画素中心」と「該受光部に入射光を集光するためのマイクロレンズの中心」とを「行方向および列方向で一致させ」る構成を採用すれば、引用発明と比較して周辺部における受光感度は劣るもののそれなりに動作をするということは、直ちに察知し得たことである。
よって、相違点2は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(4-3)相違点についての判断のまとめ
以上検討したとおり、補正発明と引用発明との相違点は、いずれも、実質的なものではないか、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものであるから、補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(5)独立特許要件についてのまとめ
本件補正は、補正後の特許請求の範囲の請求項4に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項をいう。以下同じ。)の規定に適合しない。

5.補正の却下の決定のむすび
以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
平成22年4月13日に提出された手続補正書による補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?20に係る発明は、平成21年12月15日に提出された手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1?20に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項4に記載されている事項により特定される、上記第2.1.に補正前の請求項4として記載したとおりのものである。
一方、本願の出願前に日本国内において頒布され、原査定の根拠となった拒絶の理由において引用された刊行物である特開2007-20194号公報(引用例)には、上記第2.4.(2)に記載したとおりの事項及び発明(引用発明)が記載されているものと認められる。
そして、本願発明に対して技術的限定を加えた発明である補正発明は、上記第2.4.において検討したとおり、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も当然に、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4.むすび
以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-12-12 
結審通知日 2011-12-13 
審決日 2012-01-06 
出願番号 特願2007-202394(P2007-202394)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 粟野 正明  
特許庁審判長 北島 健次
特許庁審判官 恩田 春香
松田 成正
発明の名称 固体撮像素子および電子情報機器  
代理人 山本 秀策  
代理人 安村 高明  
代理人 大塩 竹志  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ