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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1252406
審判番号 不服2010-26947  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-30 
確定日 2012-02-16 
事件の表示 特願2007-185322「原稿搬送装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 1月17日出願公開、特開2008- 11541〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年3月8日に出願した特願2004-64657号の一部を平成19年7月17日に新たな特許出願としたものであって、平成21年12月17日付けの拒絶理由通知に対して平成22年2月22日付けで手続補正がなされたが、平成22年8月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年11月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成22年11月30日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年11月30日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
平成22年11月30日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲のうち、請求項1は、以下のとおりである。
「【請求項1】
給紙トレイに載置される原稿を所定の搬送方向に吸入する吸入手段と、
該吸入手段により吸入された原稿を分離する分離手段と、
分離手段により分離された原稿を反転させ、前記搬送方向と反対方向に搬送する反転部材とを備え、前記給紙トレイと原稿を排出する排紙トレイは水平状に平行に配置され前記給紙トレイと原稿を排出する排紙トレイのいずれか一方は前記反転部材の上下高さの範囲内に配置される原稿搬送装置であって、
前記給紙トレイと前記排紙トレイの上下高さ方向における最小間隔となる給紙トレイ及び排紙トレイの一部が前記反転部材の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置される原稿搬送装置。」

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項について限定を付加するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか。)否かについて以下に検討する。

2.引用刊行物
原査定の拒絶理由に引用された特開平10-171181号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付したものである。

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機本体に設けられて複写のための原稿の給紙から排紙に至る作業を自動で行う自動原稿送り装置に関する。」

(2)「【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の如く構成された自動原稿送り装置4にあっては、給紙台8の下方に排紙台7bが位置しているため、排紙原稿がこの給紙台8に隠されてしまい、複写機本体1から排紙された複写紙を取り出した際に、給紙台8によって隠された排紙原稿の存在を忘れてしまうなどの不具合が生じていた。」

(3)「【0016】自動原稿送り装置14は、プラテンガラス12と対向する白紙シート15を表面に有するパッド16を添着した樹脂製のカバー本体17を備えている。
【0017】カバー本体17は、パッド16を添着すると共にその一部を傾斜させて原稿の載置部17aとしたベース部17bと、ベース部17bの上方に位置する排紙プレート17cと、駆動部18を覆う駆動部カバー17dと、駆動部カバー17dの内壁面から突出されたリブ17eとを有する。」

(4)「【0019】駆動部18は、図1に示すように、複数のガイドプレート24a?24d、複数のガイド部材25,26,27、マイラ28を備え、ガイドプレート24aと排紙プレート17cの先端とによって載置部17a上に載置された原稿の給紙先端部が臨む給紙口29が、ガイド部材27と排紙プレート17cの後端とによって第1排紙口30が、ガイド部材27とリブ17eとで第2排紙口31がそれぞれ形成されている。
【0020】また、駆動部18は、読取装置13と対向する位置に設けられたリードローラ32を備え、ガイドプレート24aの上方にリードローラ32に至る第1給紙路33が形成され、リードローラ32の下端と読取装置13とによって読取部34が形成され、リブ17eとリードローラ32,ガイド部材26,27,25によって第1排紙路35が形成され、リブ17eとガイド部材27とによって第1排紙路35から分岐された第2排紙路36が形成され、ガイド部材26,25並びにリードローラ32によって第1排紙路35の中途部から分岐された第2給紙路37が形成され、これら第1排紙路35,第2排紙路36,第2給紙路37の分岐部分に再送路38が形成されている。尚、第1,第2排紙口30,31は給紙口29よりも上方で且つ読取部34側に退避した位置に設けられている。
【0021】尚、第1給紙路33は給紙口29と読取部34とを連通し、第1排紙路35は読取部34と第1排紙口30とを連通し、第2排紙路36は第1排紙路35の中途部と第2排紙口31とを連通し、第2給紙路37は第1排紙路35の中途部と第1給紙路33とを連通し、再送路38は第2排紙路36と第1排紙路35並びに第2給紙路37とを連通している。また、マイラ28は、原稿が通過する際にはその圧力によって押し倒され、原稿の通過が完了すると弾性により図示のごとく自然復帰して原稿再送時に図示下方の再送路38へと案内する。
【0022】一方、排紙プレート17cは、給紙口29と第1,第2排紙口30,31との上下方向中途部で且つ給紙口29に対して退避した第1,第2排紙口30,31の退避距離間に跨がって延在されている。これにより、第1,第2排紙口30,31から排紙された原稿の排紙後端部を支持する後端支持部となっており、排紙後端部を支持することで給紙側の原稿と排紙側の原稿とを分離し、排紙原稿が給紙口29から不測に給紙されないようになっている。また、排紙プレート17cには上方に立ち上げられた規制部17fが一体に形成されている。
【0023】従って、従来のように排紙側の原稿が給紙台8によって隠されるということがなくなり、複写紙を取り出した際に、給紙台8によって隠された排紙原稿の存在を忘れてしまうなどの不具合が解消されるばかりでなく、給紙台8を廃止することができ、自動原稿送り装置14の計量化、偏平化、材料コストの削減、外観上の見栄えの向上等有益な効果を発揮することができる。」

(5)「【0025】また、規制部17fは、第1,第2排紙口30,31から排出された原稿のうち排紙プレート17c上の排紙後端部よりも排紙先端部が高く位置するように載置部17aを傾斜させたことにより、自重でフィードバックした原稿の排紙後端縁と当接することによって第1,第2排紙口30,31から排出された原稿を揃えるものである。
【0026】第1給紙路33の経路中には、給紙口29の近傍に設けられて原稿の最上面と弾接する回動式のウエイト片39、原稿の給紙先端部と当接して位置決めする原稿ストッパ40、略三日月形状の給紙ローラ41、給紙ローラ41によって供給された原稿の最下部に位置するものを分離状態で取り出す分離ローラ42並びに分離パッド43、分離ローラ42と分離パッド43によって取り出された原稿を複写紙との相対関係に基づいて位置調整を図るレジストローラ44、レジストローラ44に搬送力を与えるレジスト補助ローラ45、原稿給紙時に原稿に残余したゴミ等を掻き落すスクレーパ46、スクレーパ46の下方に位置するストック47、リードローラ32の周面と当接して第1,第2給紙路33,37からの原稿を読取部34へと導くと同時に第2給紙路37からの原稿と複写原稿とのレジスト調整を行う第2レジストローラ48、読取装置13の読み取り位置の上方に位置するようにガイドプレート24dに設けられたリード白色マイラ49、複数のセンサー50,51,52、手置き時の原稿セット位置をオペレータに認識させると共に自動送り時の読み取り後の原稿を第1排紙路35へとガイドするよう複写機本体11に設けられた突き当てスケール53が設けられている。」

(6)「【0032】上記の構成において、片面原稿を複写する場合には、図5に示すように、載置部17aに載置された原稿を給紙ローラ41とガイドプレート24bとによって一時的に分離し(図5(A)参照)、分離ローラ42と分離パッド43とによって分離状態でレジストローラ44とレジスト補助ローラ45との間に供給し(図5(B)参照)、これら各ローラ44,45によって第1給紙路33の後端部へと導き(図5(C)参照)、読取装置13によって原稿を読み取り(図5(D)参照)、誘い込みベルト54,搬送ローラ57によって第1排紙路35の中途部から第2排紙路36へと一担導き(図5(E)参照)、排紙先端部を第2排紙口31から露出させた後に正逆転ローラ58を逆回転させ(図5(F)参照)、第2排紙路36を逆送させて再送路38を経て第1排紙路35へと導き(図5(G)参照)、正逆転ローラ58と第1排紙補助ローラ62との共同によって第1排紙口30から排紙プレート17c上に排紙後の排紙後端部が乗るように排紙する(図5(H)参照)。」

(7)図1には、載置部17aの給紙口29寄りの端部の位置が、ガイドプレート24aとほぼ同じ高さであって、リードローラ32の上下高さの範囲内にあることが記載されている。

(8)図1には、排紙プレート部17c及びガイドプレート24aが水平状に配置されていることが記載されている。

(9)図5には、誘い込みベルト54や搬送ローラ57によって、原稿がリードローラ32に沿って給紙方向と反対方向に搬送されることが記載されている。

(10)上記(1)?(9)によれば、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されている。
「給紙ローラ41によって供給された原稿の最下部に位置するものを分離状態で取り出す分離ローラ42並びに分離パッド43を備え、
原稿を分離ローラ42と分離パッド43とによって分離状態でレジストローラ44とレジスト補助ローラ45との間に供給し、誘い込みベルト54や搬送ローラ57によって、原稿がリードローラ32に沿って給紙方向と反対方向に搬送するものであって、
一部を傾斜させて載置部17aとしたベース部17bと、ベース部17bの上方に位置し、第1、第2排紙口30、31から排出された原稿の排紙後端部を支持するものである水平状に配置された排紙プレート17cとを備え、
原稿の給紙先端部が、水平状に配置されたガイドプレート24aと排紙プレート17cの先端とによって構成される給紙口29に臨むものであり、
載置部17aの給紙口29寄りの端部及び載置部17aの端部と隣接したガイドプレート24aが、リードローラ32の上下高さの範囲内に配置されるものである自動原稿送り装置。」

3. 対比・判断
(1)本願補正発明と刊行物発明との対比
刊行物発明においては、給紙ローラ41によって原稿が搬送されるのであるから、載置部17aに置かれた原稿は、ガイドプレート24a上を給紙ローラ41の位置まで差し込まれるものと解される。
それゆえ、載置部17aに加え、ガイドプレート24aも、原稿が置かれる給紙トレイの機能を有しており、結局のところ、刊行物発明の「載置部17a」と「ガイドプレート24a」とが一体となって本願補正発明の「給紙トレイ」に相当するということができる。
また、刊行物発明の「排紙プレート17c」は、排紙口から排出された原稿の排紙後端部を支持するものであるから、本願補正発明の「排紙トレイ」に相当する。

刊行物発明は、原稿が載置部17aに載置され、「給紙ローラ41によって供給された原稿の最下部に位置するものを分離状態で取り出す分離ローラ42並びに分離パッド43を備え」るものであるから、刊行物発明の「給紙ローラ41」及び「分離ローラ並びに分離パッド43」は、それぞれ本願補正発明の「吸入手段」及び「分離手段」に相当し、本願補正発明と刊行物発明とは、「給紙トレイに載置される原稿を所定の搬送方向に吸入する吸入手段」及び「該吸入手段により吸入された原稿を分離する分離手段」を備える点で一致する。

刊行物発明は、「原稿が給紙ローラ41とガイドプレート24bとによって一時的に分離し、分離ローラ42と分離パッド43とによって分離状態でレジストローラ44とレジスト補助ローラ45との間に供給され、誘い込みベルト54や搬送ローラ57によって、原稿がリードローラ32に沿って搬送方向と反対方向に搬送されるもの」であるから、刊行物発明の「リードローラ32」は本願補正発明の「反転部材」に相当し、本願補正発明と刊行物発明とは、「分離手段により分離された原稿を反転させ、前記搬送方向と反対方向に搬送する反転部材」を備える点で一致する。

刊行物発明は、「載置部17aの給紙口29寄りの端部の位置がリードローラ32の上下高さの範囲内に配置される」のであるから、本願補正発明と刊行物発明とは、本願補正発明において、「“給紙トレイ”と“原稿を排出する排紙トレイ”のいずれか一方は前記反射部材の上下高さの範囲内に配置される」とする択一的な発明特定事項のうちの一方の、「給紙トレイ」が「反転部材の上下高さの範囲内に配置される」点で一致する。

刊行物発明の「自動原稿送り装置」と本願補正発明の「原稿搬送装置」とは、表現上の相違にすぎないから、本願補正発明と刊行物発明とは、以下の点で一致し、相違する。
[一致点]
「給紙トレイに載置される原稿を所定の搬送方向に吸入する吸入手段と、
該吸入手段により吸入された原稿を分離する分離手段と、
分離手段により分離された原稿を反転させ、前記搬送方向と反対方向に搬送する反転部材とを備え、前記給紙トレイは前記反転部材の上下高さの範囲内に配置される原稿搬送装置。」

[相違点1]
本願補正発明は、給紙トレイと原稿を排出する排紙トレイが水平状に平行に配置されるのに対し、
刊行物発明は、給紙トレイの一部を構成するガイドプレート24aと(排紙トレイに相当する)排紙プレート17cとが水平状に配置されるものの、給紙トレイの一部を構成する載置部17aは傾斜していて、載置部17aと排紙プレート17cとは平行に配置されるものではない点。

[相違点2]
本願補正発明は、給紙トレイと排紙トレイの上下高さ方向における最小間隔となる給紙トレイ及び排紙トレイの一部が反転部材の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置されるであるのに対し、
刊行物発明は、給紙トレイの一部であるガイドプレート24aは、反転部材の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置されているものの、排紙トレイに相当する排紙プレート17cの一部が、反転部材に相当するリードローラ32の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置されているのか否か明確でない点。

(2)相違点に対する判断
[相違点1について]
引用刊行物には、載置部17aが傾斜していることについて、給紙の観点からはその理由が記載されていないが、「規制部17fは、第1、第2排紙口30、31から排出された原稿のうち排紙プレート17c上の排紙後端部よりも排紙先端部が高く位置するように載置部17aを傾斜させたことにより、自重でフィードバックした原稿の排紙後端縁と当接することによって第1、第2排紙口30、31から排出された原稿を揃えるものである。」(段落【0025】)と記載されていることから、排紙された原稿の後端縁を揃えるためのものととらえることができる。
そうすると、給紙についても、載置部17aの傾斜は、その傾斜を利用して、原稿の前端縁が給紙ローラ41に揃って当接しやすくするものと解することができる。
以上を踏まえると、載置部17aに傾斜を設けるか否かは、読み取る原稿の給紙をしやすくしたり、排紙された原稿の後端縁を揃えやすくしたりするか否かによって、どのようにも設計し得るものであり、本願明細書に提示された従来技術文献である特許文献2(特開2002-335372号公報(審決注:本願明細書に特開2003-335372号公報とあるのは誤記である。))においても、原稿給紙トレイ6が水平状に配置されているように、刊行物発明の載置部17aを水平状に配置することは、単なる設計的事項にすぎない。
したがって、刊行物発明において、給紙トレイの一部を構成するガイドプレート24aに加え、同じく給紙トレイを構成する載置部17aを水平状に配置することになんら困難性はない。
また、刊行物発明において、給紙トレイを構成するガイドプレート24aと載置部17aとを水平状に配置したときに、同様に水平状となっている排紙プレート部17cと平行に配置されることは、理の当然である。

[相違点2について]
本願補正発明において、「給紙トレイと排紙トレイの上下高さ方向における最小間隔となる給紙トレイ及び排紙トレイの一部が反転部材の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置される」ことによる格別の効果を認めることはできない。
例えば、排紙トレイの一部が反転部材の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置されても、排紙トレイの他の部分が反転部材の最上点と最下点との上下高さの範囲内になければ、高さ方向にかさばることが防止できるというものではない。
それゆえ、本願補正発明において、「給紙トレイと排紙トレイの上下高さ方向における最小間隔となる給紙トレイ及び排紙トレイの一部が反転部材の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置される」ことに格別の技術的意義はないものであって、引用発明の排紙プレート17cの一部がリードローラ32の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置されているか否かは明確ではないものの、排紙プレート17cの一部がリードローラ32の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置することを妨げる格別な事情があるというものでもなく、排紙プレート17cの一部がリードローラ32の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置することは、当業者が適宜なし得る事項にすぎないといわざるを得ない。

なお、本願補正発明における「給紙トレイ及び排紙トレイの一部」を“給紙トレイの全部”及び“排紙トレイの一部”と解したとしても、判断は変わらない。
すなわち、ガイドプレート24aとともに給紙トレイを構成する載置部17aを水平状に配置することが単なる設計的事項であることは上述したとおりであるから、反転部材に相当するリードローラ32の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置されているガイドプレート24aに加え、これに水平状に連なる載置部17aをも反転部材に相当するリードローラ32の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置することはなんら格別なことではない。

そして、これらの相違点を総合的に考慮しても、当業者が推考し難い格別のものであるとすることはできない。

以上のとおりであるから、本願補正発明は、刊行物発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.まとめ
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明の認定
平成22年11月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成22年2月22日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりのものである。
「【請求項1】
給紙トレイに載置される原稿を所定の搬送方向に吸入する吸入手段と、
該吸入手段により吸入された原稿を分離する分離手段と、
分離手段により分離された原稿を反転させ、前記搬送方向と反対方向に搬送する反転部材とを備え、前記給紙トレイと原稿を排出する排紙トレイは平行に配置され前記給紙トレイと原稿を排出する排紙トレイのいずれか一方は前記反転部材の上下高さの範囲内に配置される原稿搬送装置であって、
前記給紙トレイと前記排紙トレイの上下高さ方向における最小間隔となる給紙トレイ及び排紙トレイの一部が前記反転部材の最上点と最下点との上下高さの範囲内に配置される原稿搬送装置」

2.引用刊行物
原審拒絶理由に引用された刊行物、および、その記載事項は、前記第2 2.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明の限定事項である構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2 3.に記載したとおり、刊行物発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.まとめ
したがって、本願発明は、刊行物発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-12-15 
結審通知日 2011-12-20 
審決日 2012-01-05 
出願番号 特願2007-185322(P2007-185322)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 國分 直樹  
特許庁審判長 吉村 博之
特許庁審判官 板橋 通孝
千葉 輝久
発明の名称 原稿搬送装置  

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