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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A23F
管理番号 1252617
審判番号 不服2009-15046  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-19 
確定日 2012-02-23 
事件の表示 特願2005-306994「緑茶飲料原料液」拒絶査定不服審判事件〔平成19年5月10日出願公開、特開2007-110990〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成17年10月21日の出願であって,平成20年12月26日付けの拒絶理由通知に対して,平成21年3月13日に意見書及び手続補正書が提出され,その後,平成21年4月30日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成21年8月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされ,平成23年5月23日付けの審尋に対し,平成23年7月25日に回答書が提出されたものである。

第2 平成21年8月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成21年8月19日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正後の本願発明
本件補正により,特許請求の範囲の請求項2は,
「生茶葉を凍結させる工程と,
凍結された生茶葉を5℃以下の水と混合し,酸化防止剤を添加し,熱負荷を軽減した状態で粉砕搾汁する工程と,
得られた粉砕搾汁液を濾過し,抽出液を得る工程と,
得られた抽出液を加熱する工程と,
を具備する,緑茶飲料原料液の製造方法。」(下線は,補正箇所を示す。)
と補正された。
上記補正は,請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である,水の温度について,「25℃以下」を,「5℃以下」と限定し,同じく「粉砕搾汁する工程」について,「熱負荷を軽減した状態で」行うとの限定を付加したものであるから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項2に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された以下の刊行物1(原査定の引用文献1),同じく,周知技術として例示された刊行物2ないし4には,以下の事項が記載されている。下線は当審で付加した。

(1)刊行物1:特開平3-108444号公報
(1a)「(1)茶葉を水中に微粒子として分散・懸濁させてスラリーとなし,その後スラリーから茶葉の微粒子を分離・除去することを特徴とする茶葉抽出液の製造方法。
(2)茶葉を水中で細かく裁断・粉砕・摩砕して微粒子とする特許請求の範囲第(1)項記載の茶葉抽出液の製造方法。
・・・
(9)スラリーから茶葉を分離・除去する手段として,遠心分離法,または圧搾ロ過法を使用する特許請求の範囲第(1)項記載の茶葉抽出液の製造方法。
(10)水の温度を45℃以下に保つ特許請求の範囲第(1)項記載の茶葉抽出液の製造方法。
(11)水中で茶葉を裁断するに際し,予め酸化防止剤を添加しておく特許請求の範囲第(1)項記載の茶葉抽出液の製造方法。」(特許請求の範囲請求項1,2,9,10,11)

(1b)「茶葉の細胞を破砕(破壊)して,茶葉に含まれる成分を風味を損なうことなく,ほぼ完全に無駄なく抽出するできるようにした茶葉抽出液の製造方法に関するものである。」(2頁左上欄7?10行)

(1c)「次に本願発明に係る茶葉抽出液の製造方法について,更に詳細に説明する。
(イ)茶葉(原料)
本願発明に使用する茶葉は,従来茶として存在し,流通し,飲用に供されている全ての茶を原料として使用することができる。すなわち,緑茶(不発酵茶),ウーロン茶(半発酵茶),紅茶(発酵茶)等の全ての種類の茶が使用でき,極めて効率よく十分完全に抽出できる。
また,本願発明に使用する茶葉としては,生の茶葉をそのまま使用することができる。この際必ずしも乾燥することを必要としない。茶葉に含まれている酵素(主としてポリフェノールオキシダーゼ)を失活させるために,微粒子に破砕する前に加熱することが望ましい場合が多いが,後の工程(抽出液)で加熱してもよい。この際の酵素を失活させるための茶葉の加熱は,従来緑茶を製造する際に生の茶葉に加えられると同様の低圧の蒸気を使用して行なうことができる。また,熱風による加熱,加熱釜に入れて炒る等の工程によってもよい。
(ロ)茶葉の裁断・破砕・粉砕・磨砕
茶葉の裁断・破砕・粉砕・磨砕するのは,ミクロ的には,茶の細胞膜を破る(破壊する)手段である。具体的には,ウルトラマイザー,ミキサー,ハンマーミル,ホモゲナイザー等を必要に応じて適宜使用し,水に分散・懸濁させる。
茶葉を裁断・破砕・粉砕・磨砕する工程は,前記装置により水中で行なうことができるし,また予め空気中で,種々の粉砕機により粉砕した(100メッシュ以下程度が望ましい)微粒子の粉末を使用すれば,水中での前記操作(工程)は極めて容易となる。
これらの工程は,従来の抽出法のように,必ずしも熱水で行なう必要はなく,冷水で行なっても茶葉の成分を十分抽出できる。熱水で行なうよりも冷水で行なった方が,加熱臭がなく風味の良い緑色の鮮やかな抽出液を得ることができ,また熱水で抽出しても極めて短時間に抽出が完了する。従って,従来の抽出法と比較して風味と色調が共に良好な抽出液を得ることができるのが,本願発明に係る抽出法の特徴である。
茶葉に対して,前記した裁断・破砕・粉砕・磨砕等の操作を行なえば,茶葉の抽出は終了する。
なお,この工程を行なうに際しては,予め参加防止剤(例えばビタミンC)を添加しておくと,茶葉抽出液の酸化が防止されて,風味と色相が良好に保たれる効果がある。
(ハ)茶葉の分離・除去
茶葉の抽出が終了したら,茶葉の微粒子を遠心分離法,または圧搾口過法等を使用して分離し抽出液を得る。
このようにして得られた茶葉の抽出液は,以後適当な濃度に調整して,容器に充填して殺菌すれば,長期間良好な品質を維持して保存することができる。」(3頁左上欄1行?左下欄16行)

(1d)「なお,(イ)の抽出液は,約15倍に希釈して,また(ロ)の抽出液は,約20倍に希釈して,通常の緑茶として飲用できるものであり」(4頁右上欄9?11行)

(1e)「〈発明の効果〉
この発明に係る茶葉抽出液の製造方法は以上のように構成したから,少量の原料から濃厚な味・香り共に良好な抽出液を容易に得ることができるという効果を有する。」(4頁右上欄16?20行)

(2)刊行物2:特開2000-125824号公報
(2a)「【請求項1】生茶葉を磨砕して得られることを特徴とする茶葉ジュース。
【請求項2】前記生茶葉が,急速冷凍した生茶葉であることを特徴とする請求項1に記載の茶葉ジュース。
・・・
【請求項5】生茶葉を-15℃以下に急速凍結し,該凍結した生茶葉を摩砕することを特徴とする生茶葉ジュースの製造方法。」

(2b)「【0004】しかし,現在広く利用されている緑茶や紅茶,ウーロン茶,抹茶等を製造する際には,生茶葉を加熱したり発酵したりする為,茶葉が酸化等によって変質し,もとの生茶葉に含まれている有用成分の量が減少したり,生茶葉中の成分が変化したりしている。例えば,紅茶では,生茶葉に比べてカロチンが,ほぼ半減してしまうし,ビタミンCやカテキンは皆無に近くなる程減少する。比較的有用成分が保持される緑茶や抹茶でもビタミンC等がかなり減少する。
【0005】したがって,茶葉の有用成分を摂取するためには,生の茶葉を食するのが最も良い方法であるが,新茶は非常に発酵し易く有用成分が変質しやすいので,これを流通ルートにのせて一般利用者に届けるのは困難である。また,茶葉の収穫は短期間に限定されるので年間を通じて摂取することができず,健康維持・促進の効果はあまり期待できない。」

(2c)「【0011】本発明の茶葉ジュースの製造方法の要旨とするところは,生茶葉を-15℃以下に急速凍結し,該凍結した生茶葉を磨砕することにある。」

(2d)「【0015】本発明の茶葉ジュースの原料は,生の茶葉そのままでもよく,特に生の茶葉を急速凍結した冷凍茶葉が好ましい。生の茶葉とは,緑茶のように蒸熱処理されたり,紅茶のように発酵処理されたものではなく,摘葉の形状がそのまま保たれている生茶葉を意味する。」

(2e)「【0020】急速凍結された冷凍茶葉には,生茶葉が含んでいたカテキンやビタミン類等の有用成分があまり変質しないで残る。従来の緩慢な冷凍方法によれば,比較的大きな氷晶が細胞内で成長するため,薄い細胞壁が破れ,保蔵時や解凍時に急速に酸化が進み,各種有用成分,特にビタミンCが消失され,タンニンの酸化等による褐変が起きていた。急速凍結によれば,比較的小さな氷晶しか生じないので,細胞壁が破れず酸化が遅くなり,各種有用成分の残存率が高まる。」

(2f)「【0038】実施例2
次に,実施例1で得られた冷凍茶葉100gをギロチン式カッター(高橋製作所(株)社製)で裁断した。この試料を次にマスコロイダー(増幸産業(株)社製;MKZA15?40)で磨砕しながら,熱の発生を抑える為にアルカリイオン水を5℃に冷却した水を少量ずつ加えて100ミクロンの微粒子が得られるまで磨砕し,茶葉ジュースに加工した。水は,全量で1500g使用した。このようにして得られた茶葉ジュースは,細胞の破壊がない為,各成分が有効に保持される。」

(3)刊行物3:特開2000-50798号公報
(3a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】生茶葉が-15℃以下に急速凍結されたことを特徴とする冷凍茶葉。
【請求項2】ビタミンCが1mg/g以上含まれたことを特徴とする前記請求項1に記載する冷凍茶葉。」

(3b)「【0004】すなわち,緑茶や紅茶,ウーロン茶,抹茶等を製造する時には,加熱されたり発酵されたりするために,これらの有用成分が酸化を受ける等して変質してしまうという問題である。例えば,紅茶ではカロチンがほぼ半減してしまうし,ビタミンCやカテキンは皆無に近くまで減少する。比較的有用成分が保持される緑茶や抹茶でもビタミンC等がかなり減少する。」

(3c)「【0015】急速凍結された冷凍茶葉には,生茶葉が含んでいたカテキンやビタミン類等の有用成分があまり変質しないで残っている。従来の緩慢な冷凍方法によれば,比較的大きな氷晶が細胞内で成長するため,薄い細胞壁が破れ,保蔵時や解凍時に急速に酸化が進み,各種有用成分,特にビタミンCが消失され,タンニンの酸化等によるカツ変が起きていた。急速凍結によれば,比較的小さな氷晶しか生じないので,細胞壁が破れず酸化が遅くなり,各種有用成分の残存率が高まる。」

(4)刊行物4:特開2005-160416号公報
(4a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】ツバキ科の常緑樹であるチャ(学名:Camellia sinensis(L)O.Kuntze)の生の葉を摘採後凍結処理し,凍結した茶葉を水蒸気蒸留して得られる留出液が配合されていることを特徴とする密封容器入り緑茶飲料。」

(4b)「【0009】・・・そこで茶の生葉を摘採後凍結してから水蒸気蒸留を試みたところ極めて強い「青臭」が得られることを発見した。」

(4c)「【0014】・・・凍結処理の条件としては,例えば,生の茶葉を-5℃?-80℃,好ましくは-10℃?-50℃にて,0.5時間以上,好ましくは10時間以上凍結処理」

3 対比・判断
刊行物1の上記記載事項(1a)に加え,上記(1c)には,「生の茶葉をそのまま使用することができる。茶葉に含まれている酵素(主としてポリフェノールオキシダーゼ)を失活させるために,微粒子に破砕する前に加熱することが望ましい場合が多いが,後の工程(抽出液)で加熱してもよい」こと,「従来の抽出法のように,必ずしも熱水で行なう必要はなく,冷水で行なっても茶葉の成分を十分抽出できる。熱水で行なうよりも冷水で行なった方が,加熱臭がなく風味の良い緑色の鮮やかな抽出液を得ることができ」ることが記載されているから,刊行物1には,
「生の茶葉をそのまま,加熱臭がなく風味の良い緑色の鮮やかな抽出液を得るために冷水を用い,予め酸化防止剤を添加して,水中で細かく裁断・粉砕・摩砕し,微粒子として分散・懸濁させてスラリーとし,その後,圧搾ロ過法により,スラリーから茶葉の微粒子を分離・除去して抽出液を得,抽出液を加熱する茶葉抽出液の製造方法」の発明(以下,「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

そこで,本願補正発明と刊行物1発明とを比較する。
(ア)刊行物1発明の「冷水」と,本願補正発明の「5℃以下の水」とは,冷水である点で共通する。
(イ)刊行物1発明の「水中で細かく裁断・粉砕・摩砕し,微粒子として分散・懸濁させてスラリー」とすることは,本願補正発明の「水と混合し」て「粉砕搾汁する」ことに相当する。
(ウ)本願補正発明の「熱負荷を軽減した状態で粉砕搾汁する」ことについて,本願明細書段落【0002】には,「熱負荷ががかかるため,家庭で茶を飲用する場合に比べ青葉様の香気が失われてしまい」と記載されていることから,「青葉様の香気が失われない」ような温度を保って粉砕搾汁することといえる。
そして,刊行物1発明の,冷水を用いて「加熱臭がなく風味の良い緑色の鮮やかな抽出液を得る」ことは,「青葉様の香気が失われない」状態で抽出液を得ることといえるから, 本願補正発明の「熱負荷を軽減した状態で粉砕搾汁する」ことに相当する。
(エ)刊行物1発明の「圧搾ロ過法により,スラリーから茶葉の微粒子を分離・除去して抽出液を得」ることは,本願補正発明の「粉砕搾汁液を濾過し,抽出液を得る」ことに相当する。
(オ)刊行物1発明の「茶葉抽出液」は,刊行物1に,茶葉の抽出液は,適当な濃度に調整すること(上記(1c)),希釈して通常の緑茶として飲用すること(上記(1d))が記載されているから原料液といえ,本願補正発明の「緑茶飲料原料液」に相当する。

そうすると,両者の間には,以下のような一致点及び相違点がある。
(一致点)
生茶葉を冷水と混合し,酸化防止剤を添加し,熱負荷を軽減した状態で粉砕搾汁する工程と,得られた粉砕搾汁液を濾過し,抽出液を得る工程と,得られた抽出液を加熱する工程と,を具備する,緑茶飲料原料液の製造方法である点。

(相違点1)
生茶葉を,本願補正発明では,凍結させて用いるのに対して,刊行物1発明では,凍結させていない点。

(相違点2)
冷水が,本願補正発明は,「5℃以下」であるのに対して,刊行物1発明では温度が明らかでない点。

そこで,上記各相違点について検討する。
(相違点1について)
生茶葉を-15℃以下に急速冷凍して用いることは,刊行物2?4及び特開昭55-9745号公報(2頁左上欄7?8行)にも記載されるように,生茶葉を扱う分野の周知技術といえるところ,刊行物2には,急速冷凍した生茶葉で茶葉ジュースを製造すること(上記(2a)),冷凍茶葉には,生茶葉が含んでいたカテキンやビタミン類等の有用成分があまり変質しないで残ること(上記(2e))が記載され,刊行物3(上記(3a)(3c))には,冷凍茶葉は有効成分が変質しないことが記載されており,生茶葉は,変質しやすいため,急速冷凍することで成分の変質を防止することも知られていたといえる。
そして,刊行物1(上記(1b))には,刊行物1発明は,茶葉の含まれる成分を,風味を損なうことなく抽出できる茶葉抽出液の製造方法であることが記載されているから,刊行物1発明において,より風味を損なわないために,生茶葉を冷凍することで成分の変質を防止する周知技術を適用し,生茶葉を凍結させて用いることは,当業者が容易になし得たことといえる。

(相違点2について)
刊行物1(上記(1c))には,「茶葉に含まれている酵素(主としてポリフェノールオキシダーゼ)を失活させるために,微粒子に破砕する前に加熱することが望ましい場合が多いが,後の工程(抽出液)で加熱してもよい。」と記載されており,茶葉に含まれている酵素の活性は,抽出液とした後だけでなく,破砕,抽出中も阻止するのが好ましいことが理解できる。そして,酵素には,活性について至適温度があることは技術常識である。
そうすると,生茶葉を加熱せずに粉砕し抽出後,抽出液を加熱する刊行物1発明において,破砕,抽出中に生茶葉の成分が変質して風味を損なわないようにすることは,当業者が当然に考慮すべきことであるから,冷水の温度を,生茶葉中の酵素の活性をできるだけ抑えることができる低い温度に設定し,茶葉抽出液の風味を確かめることで,上限値を5℃とすることは,当業者が容易になし得たことといえる。

(本願補正発明の効果について)
本願明細書に記載された,茶の香気成分が多く含まれ,香味に優れた茶飲料原料液を得ることができるという本願補正発明の効果は,刊行物1の記載事項及び周知技術から予測し得たものであり,格別顕著なものとはいえない。

4 まとめ
以上のとおり,本願補正発明は,刊行物1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際,独立して特許を受けることができるものではない。
したがって,上記補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,この補正を含む本件補正は,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成21年8月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願請求項1ないし5に係る発明は,平成21年3月13日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものであり,請求項2に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりである。

「生茶葉を凍結させる工程と,
凍結された生茶葉を25℃以下の水と混合し,酸化防止剤を添加し,粉砕搾汁する工程と,
得られた粉砕搾汁液を濾過し,抽出液を得る工程と,
得られた抽出液を加熱する工程と,
を具備する,緑茶飲料原料液の製造方法。」

2 原査定の理由
拒絶査定における拒絶理由(「理由3」)の概要は,本願発明は,その出願前に頒布された引用刊行物に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができるものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
なお,上記拒絶理由の理由3において,出願当初の特許請求の範囲の請求項2には拒絶理由が通知されていないが,本願発明である補正後の請求項2は,出願当初の特許請求の範囲の請求項2に請求項3の構成を付加したものであり,この請求項3に拒絶理由が通知されているので,本願発明には,拒絶理由が通知されているといえる。

3 引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物,および,その記載事項は,前記「第2 2」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は,前記「第2」で検討した本願補正発明から,水の温度についての限定事項である「5℃以下」を「25℃以下」とし,上限値を上げて温度範囲を広げ,「粉砕搾汁する工程」の限定事項である「熱負荷を軽減した状態で」との構成を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成要件を全て含み,さらに,これを拡張し,他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が,前記「第2 3」に記載したとおり,刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-12-01 
結審通知日 2011-12-06 
審決日 2012-01-06 
出願番号 特願2005-306994(P2005-306994)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A23F)
P 1 8・ 575- Z (A23F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉森 晃  
特許庁審判長 秋月 美紀子
特許庁審判官 ▲高▼岡 裕美
関 美祝
発明の名称 緑茶飲料原料液  
代理人 勝村 紘  
代理人 峰 隆司  
代理人 白根 俊郎  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 市原 卓三  
代理人 中村 誠  
代理人 河井 将次  
代理人 竹内 将訓  
代理人 河野 直樹  
代理人 岡田 貴志  
代理人 河野 哲  
代理人 風間 鉄也  
代理人 砂川 克  
代理人 村松 貞男  
代理人 山下 元  
代理人 野河 信久  
代理人 福原 淑弘  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 堀内 美保子  
代理人 佐藤 立志  

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