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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J
管理番号 1252631
審判番号 不服2010-13852  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-23 
確定日 2012-02-23 
事件の表示 特願2005- 10629「ずれ測定方法、ずれ補正装置、およびずれ補正プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 8月 3日出願公開、特開2006-198804〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成17年1月18日に出願したものであって、平成22年3月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月23日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
その後、同年10月13日付けで、審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、同年12月20日付けで回答書が提出された。
当審においてこれを審理した結果、平成23年5月13日付けで拒絶の理由を通知したところ、審判請求人は同年7月19日付けで意見書及び手続補正書を提出した。
更に、当審においてこれを審理した結果、同年9月7日付けで、審尋を行ったところ、同年11月14日付けで回答書が提出された。

2 本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成23年7月19日付け手続補正後の特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「用紙の両面のうちの第1面に第1の画像を出力した後に該第1面の裏面の第2面に第2の画像を出力することによって該用紙の両面に画像を出力する画像出力装置によって出力される該第1の画像と該第2の画像とのずれを測定するずれ測定方法において、
前記画像出力装置によって、前記用紙の第1面に、表面画像と、該表面画像に対する基準位置を指し示す第1指標とを一緒に出力する第1面形成過程と、
前記画像出力装置によって、前記用紙の第2面に、裏面画像と、前記基準位置に対応するべき位置を指し示す第2指標とを一緒に出力する第2面形成過程と、
前記第1指標と、前記第2指標との位置ずれ量を測定する指標ずれ量測定過程とを有することを特徴とするずれ測定方法。」

3 引用刊行物
(1)平成23年5月13日付け当審の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2003-173109号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の記載が図とともにある(下線は審決において付した。以下同じ。)。
ア 【請求項8】 記録紙の両面の所定の位置に計測位置のマークを付した状態で両面の画像形成を実行し、
記録紙の両面にマークが付された状態で画像形成された記録紙を読み取って得た画像データから両面のマークの位置を検出し、
検出されたマークの記録紙両面のずれを検出し、
検出された記録紙両面のずれから調整値を算出して両面画像形成の際の記録紙表裏の位置ずれを解消する制御を行う、ことを特徴とする画像形成調整方法。
イ 【0003】このような両面画像形成機能を備えた画像形成装置で、両面画像形成時に表面と裏面とで所定の画像が同じ位置に形成されることを意図して画像形成を実行することがある。
ウ 【0039】一方、記録紙pが積載されている給紙トレイ30a?30cのいずれかから、第一給紙ローラ31a?31cにより記録紙pが繰り出され、画像形成部50に給送される。
【0040】画像形成部50に給送される記録紙pは、その入口付近の第二給紙ローラ(レジストローラ)32で同期がとられた後、像担持体となる感光体ドラム51に近接する。
【0041】記録画像処理部から画像書き込み部40に画像データが入力され、画像書込み部40内のレーザダイオードから画像データに応じたレーザ光を感光体ドラム51上に照射し、静電潜像を形成する。この静電潜像を現像部53で現像することで、感光体ドラム51上にトナー像を形成する。
【0042】このトナー像は感光体ドラム51の下部の転写部54により記録紙pに転写される。そして、感光体ドラム51に圧着されている記録紙pは分離部55により分離される。感光体ドラム51から分離された記録紙pは搬送機構58を介して定着部59に入り、トナー像が熱と圧力とにより定着される。このようにして、記録紙pに画像が形成される。
【0043】なお、必要に応じて、トナー像が定着された記録紙pは、ガイド61を介して下方に搬送され、反転部63に入る。次に、反転部63に入っている記録紙pは、反転ローラ62により再度繰り出され、反転搬送路64を経由して再度画像形成部50に送られる。前記原稿dの片面の画像形成が終了した画像形成部50では、感光体ドラム51に付着したトナーがクリーニング部56で除去され、続く帯電部52により帯電させられ、次の画像形成に備えている。
【0044】この状態で記録紙pのもう一方の面(未だ画像形成されていない面)が画像形成部50に搬入され、画像が形成される。分離部55で感光体ドラム51から分離された記録紙pは搬送機構58を介して再度定着部59に入って定着される。このようにして、裏面と表面との画像形成が完了した記録紙p、または、一方の面の画像形成が完了した記録紙pは排出される。
【0045】なお、この図2において、記録紙pの表面にトナー像が記録なされた後、定着部59でトナー像が熱により定着される時点で、この熱により記録紙pが収縮する。このため、記録紙pの収縮にあわせて表面の画像も収縮することになる。その後、記録紙pの収縮を考えずに裏面の画像が形成されると、裏面の画像が表面の画像よりも相対的に大きくなり、画像の表裏位置ずれが発生することになる。

上記記載及び図面を含む刊行物1全体の記載から、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「記録紙の両面の所定の位置に計測位置のマークを付した状態で両面の画像形成を実行し、
記録紙の両面にマークが付された状態で画像形成された記録紙を読み取って得た画像データから両面のマークの位置を検出し、
検出されたマークの記録紙両面のずれを検出し、
検出された記録紙両面のずれから調整値を算出して両面画像形成の際の記録紙表裏の位置ずれを解消する制御を行う、画像形成調整方法であって、
前記画像形成を行う画像形成装置は、記録紙pが積載されている給紙トレイ30a?30cのいずれかから、記録紙pを繰り出し、画像形成部50に給送し、記録画像処理部から画像書き込み部40に画像データが入力され、画像書込み部40内のレーザダイオードから画像データに応じたレーザ光を感光体ドラム51上に照射し、静電潜像を形成し、この静電潜像を現像部53で現像することで、感光体ドラム51上にトナー像を形成し、このトナー像を感光体ドラム51の下部の転写部54により記録紙pに転写し、記録紙pを搬送機構58を介して定着部59に入れ、トナー像を熱と圧力とにより定着させ、記録紙pに画像を形成し、トナー像が定着された記録紙pをガイド61を介して下方に搬送し、反転部63に入れ、反転部63に入っている記録紙pを反転ローラ62により再度繰り出し、反転搬送路64を経由して再度画像形成部50に送り、この状態で記録紙pのもう一方の面(未だ画像形成されていない面)を画像形成部50に搬入し、画像を形成し、記録紙pを搬送機構58を介して再度定着部59に入れ定着し、このようにして、裏面と表面との画像形成が完了した記録紙pを排出するものであって、
記録紙pの表面にトナー像が記録なされた後、定着部59でトナー像が熱により定着される時点で、この熱により記録紙pが収縮するため、記録紙pの収縮にあわせて表面の画像も収縮することになり、その後、記録紙pの収縮を考えずに裏面の画像が形成されると、裏面の画像が表面の画像よりも相対的に大きくなり、画像の表裏位置ずれが発生することになる画像形成装置における
画像形成調整方法。」(以下「引用発明」という。)

(2)平成23年5月13日付け当審の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2003-316208号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の記載が図とともにある。
ア 【0002】
【従来の技術】例えば、複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置において、電子写真方式・静電記録方式・磁気記録方式等の適宜の作像プロセス機構により、被記録材であるシート(転写材・感光紙・静電記録紙・印刷紙等)に転写方式(間接方式)、または直接方式で目的の画像情報に対応させて形成担持させた未定着トナー像を熱定着するようにした画像形成装置が広く使われている。
【0003】斯かる画像形成装置において、1面の画像を形成されたシートの裏面に再び画像を形成したり(両面)、前記1面の画像を形成されたシートの同一面に再び画像を形成する(多重)ようにした画像形成装置が数多く提案されている。
【0004】このような画像形成装置において、該画像形成装置内でシートを反転して再び画像形成部へ搬送するものや、ユーザーが画像形成装置外へ排出されたシートを再びシート載置部に載置するものがある。
【0005】両面或いは多重の画像形成を行う場合、両面の場合はシート表裏の画像のずれが、多重の場合はシート同一面での画像ずれが生じることは、プリントされたものの品位を低下させるものである。
【0006】この画像ずれの主な要因としては、シート端部からの絶対的な位置のずれと、シートの1面目が画像を定着した時に生じるシートの熱影響による伸縮である。
イ 【0009】シートの伸縮については、シートとしては主に紙が使用されているので、紙の場合は水分蒸発による縮みが原因で、1面目より2面目の方が大きな画像になってしまう。
【0010】また、樹脂のシートを使用する場合は、熱膨張でシートが伸び、2面目の方が小さな画像になってしまう。よって、シートの1面目に対して一律に2面目の画像を予測変倍して補正を施したり、画像を定着した後のシートのサイズを搬送路中にて検知して、一律に補正を施すようにした画像形成装置が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】近年においては、小部数印刷の場合、版の作成が必要でないこのような画像形成装置を印刷機代わり使用することがあり、印刷機並みの画像ずれ(表裏で0.1mm以下)の性能が要求されている。また、所謂コピー紙だけではなく、多種多様のシートマテリアルに対する対応が望まれており、シートの一例として、厚紙(150/m2以上)やコート紙等が挙げられる。
【0012】しかしながら、上述したシートの定着による伸縮については、紙種、紙厚により一定でなく、また、紙の繊維の目により長手と短手でも異なり、更に、1面目の画像の濃さによっても異なる。紙の場合は、大きくても1%以内の収縮であるが、このような画像形成装置で主に使用される最大サイズA3(420mm)に対しては、0.1%の収縮でも0.42mmであるため、目標とするところは、その1/10の0.01%レベルを考慮しなければならない。
ウ 【0040】また、画像形成については、上述のように原稿を本画像形成装置のリーダー部1により読み込んで複写するコピーモードと、パソコン(パーソナルコンピュータ)等、外部機器より画像データを直接画像メモリ部に転送するプリントモードとを備えている。
【0041】上述したように、シートSの種類や厚さ、画像によってシートSの伸縮量が異なるため、本実施の形態では、テストプリントを行い、これをリーダー部1にて読み込むことで、シートSの両面の表裏画像を合わせている。
【0042】まず、コピーまたはプリントする1面目の画像をテストプリントモードにて出力すると、図5に示す内排紙ローラ61を通過した後に、図示しないソレノイドにより時計方向に回動されたフラッパ71(図5の1点鎖線)に沿って上方にシートSは導かれる(図5参照)。テストプリントは、図1に示す搬送路72を通り、原稿台ガラス11に送られた後、搬送ベルト52によって所定の位置に載置される。テストプリントは、通常コピー時同様に走査光学系12を介しCCD14にて画像が読み込まれる。テストプリントは、読み取られた後、自動原稿送り装置5の外に排出される。勿論、テストプリントは、自動でリーダー部1へ送らずに、ユーザーによる手作業で行っても良い。CCD14は600dpiの解像力であるため、その1画素の約40μmが解像力である。勿論、もっと解像力の高いCCDを用いても良いし、走査方向の解像力は、走査速度を遅くすることで高めることが可能であるため、テストプリントモード時は走査速度を遅くしても良い。
【0043】図6は、本実施の形態に係る画像形成装置の電気系統の構成を示すブロック図であり、同図において、601はコンピュータ、602はコントローラ、603は画像パターン認識部(画像パターン認識手段)、604はページ認識部(ページ認識手段)、605はCCD(図1におけるCCD14に相当:検知手段)、606はA/D変換部、607は画像処理部、608は画像変倍部、609は画像位置演算部、610は収縮率演算部、611は収縮率メモリ、612は紙種設定部、613は操作部、614は基準位置入力部、615は画像メモリ、616はビデオコントローラ、617はレーザードライバ、618は画像形成部、619はラインCCD(図4におけるラインCCD29に相当:検知手段)である。
【0044】コントローラ602は、CCD605,619の検知信号に応じてシートSの2面目の画像サイズ及び前記シートSに対する位置を補正する機能を有する。画像パターン認識部603は、ページ間等、画像の無い余白部、ページ割付等を認識する機能と、シートSの搬送方向と直交する方向の変倍基準となるラインを認識する機能とを有する。また、ページ認識部604は、出力シートS上の原稿画像1ページ領域を認識する機能を有する。また、パターン認識部603とページ認識部604とにより、ページ間に跨る画像、またはページ間の余白部を認識するようになっている。基準位置入力部614は、シートSの搬送方向及び該シートSの搬送方向と直交する方向に対して各々コントローラ602の補正基準を任意に設定することが可能である。
【0045】テストプリントは、従来例の図12(a)に示すサンプルの1枚目を例にとると、図7に示すように、画像の他にシートSの四隅部に十字マークA,C,F,Hとその中心に十字マークB,D,E,Gを描く。図7において、矢印700はシートSの搬送方向である。

4 対比
a 本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「記録紙」、「表面」、「表面の画像」、「裏面」、「裏面の画像」、「画像形成装置」、「『表面』の『計測位置のマーク』」及び「『裏面』の『計測位置のマーク』」は、それぞれ本願発明の「用紙」、「第1面」、「第1の画像」、「第1面の裏面の第2面」、「第2の画像」、「画像出力装置」、「第1指標」及び「第2指標」に相当する。
b 引用発明の「画像形成装置」(画像出力装置)は「記録紙pが積載されている給紙トレイ30a?30cのいずれかから、記録紙pを繰り出し、画像形成部50に給送し、記録画像処理部から画像書き込み部40に画像データが入力され、画像書込み部40内のレーザダイオードから画像データに応じたレーザ光を感光体ドラム51上に照射し、静電潜像を形成し、この静電潜像を現像部53で現像することで、感光体ドラム51上にトナー像を形成し、このトナー像を感光体ドラム51の下部の転写部54により記録紙pに転写し、記録紙pを搬送機構58を介して定着部59に入れ、トナー像を熱と圧力とにより定着させ、記録紙pに画像を形成し、トナー像が定着された記録紙pをガイド61を介して下方に搬送し、反転部63に入れ、反転部63に入っている記録紙pを反転ローラ62により再度繰り出し、反転搬送路64を経由して再度画像形成部50に送り、この状態で記録紙pのもう一方の面(未だ画像形成されていない面)を画像形成部50に搬入し、画像を形成し、記録紙pを搬送機構58を介して再度定着部59に入れ定着し、このようにして、裏面と表面との画像形成が完了した記録紙pを排出するもの」、いわゆる、逐次転写方式で画像を形成するものであるから、本願発明の「用紙の両面のうちの第1面に第1の画像を出力した後に該第1面の裏面の第2面に第2の画像を出力することによって該用紙の両面に画像を出力する画像出力装置」に相当する。
c 引用発明は「記録紙の両面の所定の位置に計測位置のマークを付した状態で両面の画像形成を実行し、記録紙の両面にマークが付された状態で画像形成された記録紙を読み取って得た画像データから両面のマークの位置を検出し、検出されたマークの記録紙両面のずれを検出」し、前記画像形成は、「記録紙pの表面にトナー像が記録なされた後、定着部59でトナー像が熱により定着される時点で、この熱により記録紙pが収縮するため、記録紙pの収縮にあわせて表面の画像も収縮することになり、その後、記録紙pの収縮を考えずに裏面の画像が形成されると、裏面の画像が表面の画像よりも相対的に大きくなり、画像の表裏位置ずれが発生することになる画像形成装置」で行われるから、画像出力装置によって出力される第1の画像と第2の画像とのずれを測定するずれ測定方法ということができる。
d 引用発明は「記録紙の両面の所定の位置に計測位置のマークを付した状態で両面の画像形成を実行」するものであり、その画像形成は、いわゆる、逐次転写方式であるから、「前記画像出力装置によって、前記用紙の第1面に、表面画像と、該表面画像に対する基準位置を指し示す第1指標を一緒に出力する第1面形成過程」及び「前記画像出力装置によって、前記用紙の第2面に、裏面画像と、前記基準位置に対応するべき位置を指し示す第2指標とを一緒に出力する第2面形成過程」を有する本願発明とは、「画像出力装置によって、用紙の第1面に、基準位置を指し示す第1指標とを出力する第1面形成過程」及び「画像出力装置によって、用紙の第2面に、基準位置に対応するべき位置を指し示す第2指標を出力する第2面形成過程」を有する点で共通する。
e 引用発明は「記録紙の両面にマークが付された状態で画像形成された記録紙を読み取って得た画像データから両面のマークの位置を検出し、検出されたマークの記録紙両面のずれを検出」するものであるから、第1指標と、第2指標との位置ずれ量を測定する指標ずれ量測定過程を有するものといえる。
f 上記aないしeより、本願発明と引用発明は、
「用紙の両面のうちの第1面に第1の画像を出力した後に該第1面の裏面の第2面に第2の画像を出力することによって該用紙の両面に画像を出力する画像出力装置によって出力される該第1の画像と該第2の画像とのずれを測定するずれ測定方法において、
前記画像出力装置によって、前記用紙の第1面に、基準位置を指し示す第1指標を出力する第1面形成過程と、
前記画像出力装置によって、前記用紙の第2面に、前記基準位置に対応するべき位置を指し示す第2指標を出力する第2面形成過程と、
前記第1指標と、前記第2指標との位置ずれ量を測定する指標ずれ量測定過程とを有するずれ測定方法。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]第1面形成過程について、本願発明は「表面画像と、該表面画像に対する基準位置を指し示す第1指標とを一緒に出力する」と特定されているのに対し、引用発明は「表面」には「計測位置のマーク」(第1指標)が付されるものの、「計測位置のマーク」と一緒に表面画像が出力されるか否か明らかでない点。
[相違点2]第2面形成過程について、本願発明は「裏面画像と、前記基準位置に対応するべき位置を指し示す第2指標とを一緒に出力する」と特定されているのに対し、引用発明は「裏面」には「計測位置のマーク」(第2指標)が付されるものの、「計測位置のマーク」と一緒に裏面画像が出力されるか否か明らかでない点。

5 判断
(1)相違点1についての検討
刊行物2には、熱定着を行う画像形成装置において、画像が形成されたシートの裏面に更に画像を形成する場合に生じるシート表裏の画像のずれの主な要因は、シートの1面目の画像を定着した時に生じるシートの熱影響による伸縮であり、前記シートの定着による伸縮は、紙種、紙厚だけでなく、1面目の画像の濃さによっても異なるので、シートの1面目に画像と十字マークをテストプリントすることが記載されている。
引用発明は、刊行物1の段落【0009】に「表裏の画像のシフトのずれだけでなく、記録紙の伸び縮みに起因する表裏の画像の倍率のずれに関しても解消することができ、表裏の画像を一致させる」と記載されているように、記録紙の伸び縮みに起因する表裏の画像の倍率のずれを解消することを課題とするものである。
したがって、記録紙の伸び縮みに起因する表裏の画像のずれをより解消するべく、引用発明に刊行物2に記載の事項を適用し、引用発明の「表面」に「計測位置のマーク」(第1指標)とともに画像を一緒に形成することは当業者が容易になし得る程度のことである。そして、「計測位置のマーク」(第1指標)とともに画像を一緒に形成する場合、「計測位置のマーク」(第1指標)と画像の位置関係は定められることとなるから、前記「計測位置のマーク」は、一緒に形成される画像に対して基準位置を指し示すものとなる。
よって、引用発明において、本願発明の上記相違点1のような構成とすることは当業者が容易になし得る程度のことである。

(2)相違点2についての検討
引用発明の「計測位置のマーク」が付される「記録紙」は、画像を調整するために使われるものであって、ユーザが出力したいものとは異なるものである。即ち、引用発明の「計測位置のマーク」が付される「記録紙」は、画像を調整した後は不要になるもので、試し刷りの類のものといえる。また、出力する表裏の画像がどのようなものになるかを画像出力前にユーザが知りたいことは明らかである。
相違点1で検討したように、表面画像と第1指標とを一緒に出力することが想到容易であるから、画像を調整した後は不要になってしまう引用発明の「計測位置のマーク」が付される「記録紙」を利用し、表裏の画像のがどのようなものになるかユーザに分かるように、裏面においても表面と同様に、裏面画像と第2指標とを一緒に出力するようにすることは当業者が容易になし得る程度のことである。
よって、引用発明において、本願発明の上記相違点2のような構成とすることは当業者が容易になし得る程度のことである。

なお、平成23年9月7日付けの審尋に対し、請求人は同年11月14日付け回答書で以下のように回答している。
「本願は、具体的には『前記画像出力装置によって、前記用紙の第2面に、裏面画像と、前記基準位置に対応するべき位置を指し示す第2指標とを一緒に出力する第2面形成過程』という構成を備えることによって、ずれ量をより正確に測定しようとするものです。つまり、実際に画像を形成した場合と同様の状態を再現してずれを正確に測定します。
審判官殿は、本願発明の効果を電子写真方式の場合について検討なされています。この中で、具体的には、審尋書の第2(3)(第3頁第22行?)で、『転写工程後の定着工程において、裏面に転写されたトナーに印加する熱や圧力、あるいは定着時のトナーの収縮等によって、用紙の表面の定着工程のときと同様に用紙が変形することは明らかであるが、』と指摘されています。
しかしながら、用紙が変形するのは、定着工程による加熱・加圧のみによるものではありません。用紙は、定着工程後、冷却されることによっても変形します。
逐次転写の方式において両面に画像が出力される場合には、先ず、表面にトナーが転写され定着される際に加熱によって大きく変形します。この後、用紙が冷却されるに伴い、上記変形が戻るように、つまり反作用的に変形していきます。そして、この冷却・変形過程の途中で、裏面にトナー像が転写され再び定着がなされます。このように、逐次転写の方式における両面画像出力では、片面のみの場合とは異なり、加熱に起因する変形として、加熱時の変形と、その後の冷却に伴う反作用的な変形とが考慮されることとなります。
用紙は、表面に対する定着(加熱)後、冷却されてはいきますが、裏面にトナーが転写される時点では、室温とはまだかけ離れた温度となっています。これは、通常の画像形成装置では、定着以降後の用紙経路上に用紙の冷却手段は備えられておらず、ほとんど経路上の空気によって空冷されるのみのが普通だからです。なお、定着後の用紙は、搬送ロールやシュートと呼ばれる案内部材にも接触しますが、搬送ロールやシュートは通常用紙の全幅に接触せず、むしろ用紙の幅方向における限られた領域のみに接触します。
定着後の用紙は、第2面形成過程時、詳細には裏面トナー像の転写時、感光体によって初めて、相対的に強く冷却されることとなります。感光体は用紙と全面的に接触し、しかも転写ロールを用いた構成では用紙が感光体に挟み着けられるからです。つまり、用紙の熱は密着した感光体に移動します。
ここで、感光体周面にトナーすなわち粉体が付着した場合には、熱の移動量が低下します。トナーは粉体であり、トナーの各粒子が現像器における穂立ちの状態から感光体に静電力で移ったものだからです。転写領域では、トナーは用紙と感光体との間に挟まれ押し潰されますが、それでもトナーは粉体の状態です。したがって、感光体上のトナーの有無によって、用紙の冷却度合が異なります。
このように、用紙の第2面に画像を出力する第2面形成過程でも、裏面画像を一緒に形成するか否かによって、ずれ量に影響がでます。
本願発明は、表面に表面画像および第1指標の形成を行った用紙に対し、今度は、裏面に転写を行う際に第2指標と裏面画像を一緒に形成します。このことによって、実際の画像形成の状況を再現し、実際を同じ状況でのずれを測定することにより、より正確なずれが測定されます。
上述したずれの影響において、例えば、用紙やトナーが表面の画像出力後も、冷却に伴い変形することは、公報等を示すまでもなく本願の出願前からよく知られたことであると考えます。また、表面画像が形成された後の用紙が裏面像の形成時に冷却され得ることもよく知られたことであると考えます。また、例えば、電子写真方式を想定した場合、用紙に接触する感光体に粉体が載っている場合と載っていない場合とで用紙の冷却に差があることも、当然のことであると考えます。
上述したメカニズムの詳細は、明細書には明確には記載しておりませんが、このメカニズムが示されていないことをもって、明細書段落[0026]に記載した、『本発明によれば、用紙の表裏面に出力される画像のずれを精度良く測定することができるずれ測定方法、用紙の表裏面に出力される画像のずれを精度良く補正することができるずれ補正装置、およびずれ補正プログラムを提供することができる』ということについて、より高い効果を奏すると考えます。
そして、効果は、引用文献には開示されない本願発明の構成によって生じるものであります。
したがって、本願発明は、ご指摘の引用文献から、容易になし得たものであるとは言えないものと考えます。」

しかしながら、用紙の第2面に画像を出力する第2面形成過程でも、裏面画像を一緒に形成するか否かによって、ずれ量に影響がでるというメカニズムは、明細書に記載されていない。用紙の第2面に画像を出力する第2面形成過程でも、裏面画像を一緒に形成するか否かによって、ずれ量に影響がでるという請求人主張のメカニズムが自明であるとすると、引用発明において、該自明のずれ量を解消するべく、裏面においても表面と同様に、裏面画像と第2指標とを一緒に出力し、相違点2のような構成を採用することは当業者が容易になし得る程度のことであるといわざるを得ない。
また、請求人主張のメカニズムが自明であるか否かにかかわらず、一般に、測定に際し、実際と同様の状態を再現した方がより正確な値を計測できることは明らかであるから、引用発明において、実際に画像を形成する場合と同様の状態を再現するべく、裏面においても上記「(1)相違点1についての検討」で検討したのと同様に、裏面画像と第2指標とを一緒に出力し、相違点2のような構成を採用することは当業者が容易になし得る程度のことである。

(3)以上のように、本願発明の相違点1及び2に係る構成は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到することができたものであり、それにより得られる効果も当業者が予測できる範囲のものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-12-16 
結審通知日 2011-12-20 
審決日 2012-01-10 
出願番号 特願2005-10629(P2005-10629)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 裕一牧 隆志  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 星野 浩一
東 治企
発明の名称 ずれ測定方法、ずれ補正装置、およびずれ補正プログラム  
代理人 三上 結  
代理人 山田 正紀  
代理人 小杉 佳男  
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