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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1252747
審判番号 不服2010-4619  
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-02 
確定日 2012-02-22 
事件の表示 特願2004-513872「取引コストの評価および最適化のためのシステム並びに方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年12月24日国際公開、WO03/107122、平成17年10月 6日国内公表、特表2005-530232〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,2003年6月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2002年6月12日,米国)を国際出願日とする出願であって,平成21年3月10日付けで拒絶理由が通知され,これに対し,同年9月14日に意見書が提出されるとともに手続補正書が提出され,同年10月30日付けで拒絶査定がされ,これに対して平成22年3月2日に審判請求がなされるとともに誤訳訂正と手続補正がなされ,同年3月30日に審判請求書の手続補正がなされたものである。

2.本願の特許請求の範囲

本願の特許請求の範囲の記載は,平成22年3月2日に提出された手続補正書に記載されたとおりのものである。(全請求項数1)

「【請求項1】
通信ネットワークに接続され、特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされたサーバーを使用して、ユーザーにより選択された取引戦略に基づいて証券取引執行の取引コストを評価する方法であって、
ユーザーからの提案された取引執行のパラメータを定義するデータおよびユーザー選択による取引戦略を特定するデータを、前記ネットワークを通じて前記サーバーのデータ受信手段において受信し、受信した前記データを、ユーザーデータを記憶する手段に記憶するするステップであって、前記取引戦略のデータは、所与の取引ホライズンについての或る時間間隔あたりの取引される一連の証券のシェアの量を含むものである、ステップと、
前記戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされた前記サーバーの処理手段により、前記ユーザーデータを記憶する手段に記憶された前記ユーザー選択による取引戦略および前記提案された取引執行のパラメータ、および市場データに基づいて、受信した提案された取引執行の取引コストを評価するステップと、
前記サーバのデータを送る手段により、前記ユーザー選択による取引戦略の下において前記取引コストを最小化する前記特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムによって決定された行動を推奨するステップであって、前記取引を実行する際に前記行動がとられると取引コストを最小化でき得る、ステップと、
を備え、
前記ユーザー選択による取引戦略は、前記サーバの取引スタイルを記憶する手段に記憶されたあらかじめ定義された複数の取引スタイルの中から選択されるか、あるいは前記サーバーの取引戦略を入力する手段を介して前記ユーザーによって指定される、
方法。」

3.原査定の拒絶の理由Aについて

(1)原査定の拒絶の理由Aの概要

平成21年3月10日付けの拒絶理由通知で通知した特許法第29条第1項柱書の規定に関する拒絶の理由(以下「理由A」という。)の概要は,以下のとおりである。

『A.この出願の下記の請求項に記載されたものは、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。



請求項1に記載されたものは「取引コストの評価方法」である。該請求項の記載からは、該方法を実行する主体が必ずしも明らかとはいえないが、明細書等の記載全体に徴すれば、該方法とはサーバコンピュータにより実行されるものと解される。
しかしながら、該「方法」とは、所定の入力値(「取引パラメータを定義するデータ」「取引戦略を特定するデータ」「市場データ」等)に対し、所定のアルゴリズムを適用することにより、所望の解(「取引コスト」等)を得るというものであり、これは単にコンピュータが通常有する入力、記憶、演算、出力という機能を、通常の用法で利用するという態様を超えるものではない。考えるに、本願発明特有の課題を実質的に解決するものは、コンピュータの利用技術と言うよりはむしろ、数学、経済学及び金融工学等の知見に立脚し定義された本願特有のアルゴリズム、すなわち人為的取決めにあるものと認められる。すなわち、本願発明は、技術的観点から評価する限り、課題解決のため自然法則を利用したと認めるに足る程度の工夫を見出すことができないものである。
仮にこの論旨があたらないとしても、「前記ユーザー選択による取引戦略および市場データに基づいて、受信した取引のコストを評価、前記特定の戦略取引コスト最適化アルゴリズムによって前記ユーザー選択による取引戦略の下において前記取引コストを最小化するものと決定された行動を推奨し、それによりユーザーが前記取引を実行する際に前記行動を取ることによって取引コストを最小化できるようにする」等の記載は、コンピュータの果たすべき機能や達成すべき結果を抽象的また希望的に定義するにとどまるものであり、ソフトウェアとハードウェア資源との協働による情報処理技術を具体的に特定するものでない。
したがって、いずれにしても、請求項1に記載されたものは自然法則を利用した技術的思想の創作とは言えず、特許法第2条でいう「発明」に該当しない。
…(中略)…
よって、請求項1-14に記載されたものは特許法第29条第1項柱書でいう発明に該当しない。』

また,平成21年10月30日付けの拒絶査定の概要は,以下のとおりである。

『この出願については、平成21年 3月10日付け拒絶理由通知書に記載した理由A、Bによって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。
備考
・理由 A(第29条第1項柱書)
・請求項 1-14
補正後の請求項1に記載されたものは「サーバーを使用して、ユーザーにより選択された取引戦略に基づいて証券取引執行の取引コストを評価する方法」であるが、ここでいう方法とは、依然としてその実行主体が示されておらず、人や組織等により実施される業務の枠組と解し得るものである。当該業務においてサーバーが使用されるとしても、該サーバーは人や組織等により道具として使用されるものにすぎない。
仮に当該業務は全てサーバーが実行するものであるとしても、当該「方法」の備える、所定の入力値に所定のアルゴリズムを適用し所望の解を得るという構成は、コンピュータが通常有する入力、記憶、演算、出力という機能を単純に利用したものにすぎず、コンピュータによる情報処理技術に関する何らかの課題や、当該課題を解決するための自然法則を利用した技術的工夫を、特段認めることができないものである。本願発明において出願人の問題意識を実質的に解決しているものは、コンピュータの利用技術上の工夫ではなく、コンピュータシステムを利用する者の業務を分析して定義された本願特有のアルゴリズム、すなわち人為的取決めである。
仮に上記論旨があたらないとしても、補正後の請求項1における「前記戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされた前記サーバーの処理手段により、前記ユーザーデータを記憶する手段に記憶された前記ユーザー選択による取引戦略および前記提案された取引執行のパラメータ、および市場データに基づいて、受信した提案された取引執行の取引コストを評価する」「前記サーバのデータを送る手段により、前記ユーザー選択による取引戦略の下において前記取引コストを最小化する前記特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムによって決定された行動を推奨する」等の記載は、依然としてコンピュータの果たすべき機能や達成すべき結果を、きわめて抽象的また希望的に定義したものであり、ソフトウェアとハードウェア資源との協働による情報処理技術を具体的に特定するものでない。
したがって、いずれにしても補正後の請求項1に記載されたものは自然法則を利用した技術的思想の創作とは言えず、特許法第2条でいう「発明」に該当しない。(後略)』

4.上記理由Aについての当審の判断

特許法2条1項には,「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と規定され,同法29条1項柱書には,「産業上利用することができる発明をしたものは、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」と規定されている。

したがって,請求項に係る発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」でないときは,その発明は特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしておらず,特許を受けることができない。例えば,請求項に係る発明が,自然法則以外の法則(例えば、経済法則),人為的な取決め,人間の精神活動に当たるとき,あるいはこれらのみを利用しているときは,その発明は,自然法則を利用したものとはいえず,「発明」に該当しない。

まず、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)を,便宜上以下のように分説して検討する。

「(a)通信ネットワークに接続され、特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされたサーバーを使用して、ユーザーにより選択された取引戦略に基づいて証券取引執行の取引コストを評価する方法であって、

(b)ユーザーからの提案された取引執行のパラメータを定義するデータおよびユーザー選択による取引戦略を特定するデータを、前記ネットワークを通じて前記サーバーのデータ受信手段において受信し、受信した前記データを、ユーザーデータを記憶する手段に記憶するステップであって、前記取引戦略のデータは、所与の取引ホライズンについての或る時間間隔あたりの取引される一連の証券のシェアの量を含むものである、ステップと、

(c)前記戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされた前記サーバーの処理手段により、前記ユーザーデータを記憶する手段に記憶された前記ユーザー選択による取引戦略および前記提案された取引執行のパラメータ、および市場データに基づいて、受信した提案された取引執行の取引コストを評価するステップと、

(d)前記サーバのデータを送る手段により、前記ユーザー選択による取引戦略の下において前記取引コストを最小化する前記特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムによって決定された行動を推奨するステップであって、前記取引を実行する際に前記行動がとられると取引コストを最小化でき得る、ステップと、
を備え、

(e)前記ユーザー選択による取引戦略は、前記サーバの取引スタイルを記憶する手段に記憶されたあらかじめ定義された複数の取引スタイルの中から選択されるか、あるいは前記サーバーの取引戦略を入力する手段を介して前記ユーザーによって指定される、

方法。」

上記事項(a)は,「ユーザーにより選択された取引戦略に基づいて証券取引執行の取引コストを評価する方法」であるとの事項(a-1)を特定するものである。
まず,「ユーザーにより選択された取引戦略に基づいて証券取引執行の取引コストを評価する」ことの目的は,発明の詳細な説明を参酌すると,「取引困難性のレベルおよび取引スタイルのインパクト(取引が行われる範囲(horizon))が全く分析されず、あるいは正確に分析されないために、取引コストの包括的分析を行うことができない…(中略)…トレーダーのリスク許容力(risk tolerance)および他の考慮事項、たとえば取引が完了に至る範囲(horizon)のような事項に基づいて、トレーダーに最適な取引戦略を提案する」(本願明細書【0004】段落)というトレーダー業務の要求に応じるためのものであり,取引における業務の課題を解決するものであることが認められる。
また,「ユーザーにより選択された取引戦略」とは,発明の詳細な説明を参酌すると,(顧客が指定(および入力)する)「リスク回避パラメータ(RAP)のための数値」(本願明細書段落【0020】),「ユーザーによって入力される0?1の間の数値」(本願明細書段落【0042】),及び「ユーザーのリスク寛容レベル」(本願明細書段落【0044】)であり,つまり,ユーザが入力する,取引のリスクをどの程度寛容できるかを表すための数値のことである。よって,「ユーザーにより選択された取引戦略」は,自然法則に基づくものではない。
さらに,「証券取引執行の取引コストを評価する」とは,発明の詳細な説明を参酌すると,「エージェンシー・コスト・エスティメータ(ACE)の方法およびシステムは、コンピュータにより実行される、取引執行の取引コストを予測する統計モデルの組み合わせ」(本願発明書段落【0021】)であり,「ACEモデルは純粋に計量経済学的なモデルではない。むしろ、それは委託(エージェンシー)取引執行の計量経済学的モデルから見積もられたパラメータを用いる構造的モデルである。特にACEはボラティリティとプライスインパクトの株式固有計量経済学的モデルに依存」(本願明細書段落【0027】)することである。つまり,証券取引執行の取引コストを経済学的モデルに依存して予測することである。よって,「証券取引執行の取引コストを評価する」は,自然法則を利用しているということはできない。
そうすると,上記事項(a-1)は,自然法則を利用しているということはできない。

また,上記事項(a)には,「通信ネットワークに接続され、特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされたサーバーを使用して」との事項(a-2)が特定されているので,当該事項(a-2)の技術的意義について検討する。
本願発明の「通信ネットワークに接続され、特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされたサーバー」は,本願発明で使用するサーバーが,「通信ネットワークに接続」され,「取引コスト評価・最適化アルゴリズムによりプログラムされた」ものであることを特定している。その一方で,情報処理技術分野における一般的な「サーバー」は,例えば,特開2000-215020号(【0001】?【0004】,【0007】?【0008】,【0088】?【0093】段落)に示されるように,「通信路」に接続されており,サーバー上に「リクエストコードに指定された計算や処理を実行するサーバープログラム」を有し,当該サーバープログラムは,「データの受け渡しを行うための表示制御」を行い,「クライアントマシンから送信されたリクエストコードを確認」し,「リクエストコードと共に送られてきたデータに基づきリクエストコードに指定された計算や処理を実行」し,「その結果をクライアントマシンに送り返す」ものである。そうすると,本願発明の上記事項(a-2)は,一般的なサーバーを用いて処理をすることを特定する程度の技術的意義を有するに過ぎない。
また,詳しくは後述するが,コンピュータ・ソフトウエアとしての創作性も見出すことができない。
したがって,上記事項(a-2)は,「特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラム」されたものであるとしても,それによって「自然法則を利用した技術的思想の創作」といえるような創作性を見出すことはできない。

上記事項(b)は,「ユーザーからの提案された取引執行のパラメータを定義するデータ」および「ユーザー選択による取引戦略を特定するデータを」「受信」する「ステップ」との事項(b-1)を特定するものである。
ところで,「ユーザーからの提案された取引執行のパラメータを定義するデータ」および「ユーザー選択による取引戦略を特定するデータを」「受信」する「ステップ」とは,取引執行のパラメータとして「XYZ株を100万株売却する」ことと,取引戦略を特定するデータとして「リスク回避パラメータ(RAP)の数値を指定(および入力)する」(明細書段落【0020】)といった,業務の枠組みの一環としての手順を特定することにほかならないから,人為的な取決めに該当し,上記事項(b-1)は,自然法則を利用しているということはできない。

また,上記事項(b)には,「サーバーのデータ受信手段において受信し」及び「ユーザーデータを記憶する手段に記憶する」との事項(b-2)が特定されているので,当該事項(b-2)の技術的意義について検討する。
上記事項(b)に関連する明細書【0017】段落には,「サーバー11は、顧客からの提案されたポートフォリオ取引執行をネットワーク10を介して受信し」と記載されており,明細書【0020】段落には,「この方法によれば、ステップ201において、顧客からの注文明細を引き出す。たとえば、ある顧客がXYZ株を100万株売却することを希望している。ステップ202において、顧客はリスク回避パラメータ(RAP)の数値を指定(および入力)する」と記載されており,また,明細書【0044】段落には,「ユーザーのリスク許容レベルを反映するリスク回避パラメータの値の選択をユーザーが選択する」と記載されているが,「サーバーのデータ受信手段」及び「ユーザーデータを記憶する手段」については具体的に記載されていない。
そうすると,「サーバーのデータ受信手段において受信し」及び「ユーザーデータを記憶する手段に記憶する」との事項(b-2)は,データを受信し,ユーザーデータを記憶する機能をサーバーが有することを特定する程度の技術的意義しか有しておらず,これは一般的なサーバーが普通に具備する機能に他ならないから,「サーバーのデータ受信手段において受信し」及び「ユーザーデータを記憶する手段に記憶する」ことが特定されたとしても,それによって「自然法則を利用した技術的思想の創作」といえるような創作性を見出すことはできない。

また,上記事項(b)には,「前記取引戦略のデータは、所与の取引ホライズンについての或る時間間隔あたりの取引される一連の証券のシェアの量を含むものである」との事項(b-3)が特定されているので,当該事項(b-3)の技術的意義について検討する。
「所与の取引ホライズンについての或る時間間隔あたりの取引される一連の証券のシェアの量」とは,発明の詳細な説明を参酌すると,「ステップ203において、顧客は適当な取引時間範囲(trade time horizon)を、たとえばXYZ株100万株の売却を7日間にわたって行う、のように指定する」(本願明細書段落【0020】)ことにより,「まず、取引期間(取引ホライゾン)を多数のビン(bin)、すなわち同じ長さの期間に分割する。たとえば米国市場においては、ACEは取引日あたり13の30分間のビンを考慮する。しかしながら、選択された期間に対してビンのパラメータが適切に設定される限りにおいて、任意の期間の任意の数のビンを用いることができる。…(中略)…ACEモデルは、証券の中間気配値(mid?quote price)または売買気配値(bid and ask quote price)の平均値として定義される市場価格と、所定のビンの株数が約定された平均約定価格(average execution price)とを区別して扱う。平均約定価格は一時的プライスインパクトと平均価格改善とを含む。一時的プライスインパクトは、注文を目録に記入するように誘導するようにされた流動性コンセッションを表し、典型的には、実勢のビット/アスク・スプレッド(任意の価格改善のネット)の半分である。継続的プライスインパクトは、取引の約定(執行)によって生ずる市場価格(取引価格と対照)への影響である。大量の取引は、約定期間内に市場価格に対して影響を与えるだけでなく、取引日の終わりに対しても継続的な影響力を持つ。…(中略)…所与の証券について、出来高(volume)と価格ボラティリティは同一の取引日の中のビンによって顕著に変動する。出来高およびボラティリティのビン毎の分布は、統計的に決定され、取引コストの見積もりや最適戦略の生成を行うときに勘案される。」(本願明細書段落【0031】?【0034】)ものである。つまり,ユーザが指定した取引株数及び取引日数に基づく,取引によって生じる市場価格への影響を表すものである。よって,「取引戦略のデータ」が,「所与の取引ホライズンについての或る時間間隔あたりの取引される一連の証券のシェアの量」を含んだとしても,自然法則を利用したとはいえない。
そうすると,上記事項(b-3)は,自然法則を利用しているということはできない。

上記事項(c)は,「前記ユーザー選択による取引戦略および前記提案された取引執行のパラメータ,および市場データに基づいて,受信した提案された取引執行の取引コストを評価するステップ」との事項(c-1)を特定するものである。
ところで,「前記ユーザー選択による取引戦略および前記提案された取引執行のパラメータ,および市場データに基づいて,受信した提案された取引執行の取引コストを評価する」とは,発明の詳細な説明を参酌すると,「リスク回避パラメータ(RAP)のための数値」,「XYZ株100万株の売却を7日間にわたって行う、のように指定」,「証券マスター情報…(中略)…、終値、ボラリティ、取引量(出来高)などの市場パラメータ」(本願明細書【0020】段落)に基づいて「エージェンシー取引執行の計量経済学的モデルから見積もられたパラメータを用いる構造的モデル」(本願明細書【0046】段落)を使って「平均執行価格と注文執行開始時における実勢価格(prevailing price)との差」(本願明細書【0021】段落)を評価するものであり,業務の枠組みの一環としての手順を特定することにほかならないから,人為的な取決めに該当し,上記事項(c-1)は,自然法則を利用しているということはできない。

また,上記事項(c)には,「前記戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされた前記サーバー」との事項(c-2)が特定されているが,上記事項(a-2)に関して上述したのと同様の理由により,当該事項(c-2)は,「自然法則を利用した技術的思想の創作」といえるような創作性を見出すことはできない。

また,上記事項(c)には,「サーバーの処理手段により」との事項(c-3)が特定されているので,当該事項(c-3)の技術的意義について検討する。
上記事項(c)に関連する明細書【0015】段落には,「サーバー11は、顧客からのポートフォリオ取引執行提案をネットワーク10を介して受信し、そこで実行されるべくユーザーによって選択された取引戦略アルゴリズムにしたがって執行を処理し分析する」,明細書【0017】段落には,「サーバー11は、顧客からの提案されたポートフォリオ取引執行をネットワーク10を介して受信し、そのサーバー11で実行される、ユーザの選択した予め設定された取引戦略アルゴリズムにしたがって、その執行を処理および分析する」,明細書【0020】段落には,「プログラムは当該顧客のパラメータとシステム入力の組み合わせのための評価を最新の市場データに基づいて計算する」,及び,明細書【0054】段落には,「ソフトウェアプログラムは、ユーザーが設定したパラメータと最新(例えばリアルタイム)の市場データに基づいて行ったシステム入力値とに関してのACEの評価を表示する」と記載されているが,「サーバーの処理手段」については具体的に記載されていない。
そうすると,「サーバーの処理手段により」(c-3)との事項は,サーバーがデータ処理を行う機能を有していることを特定する程度の技術的意義しか有しておらず,これは一般的なサーバーが普通に具備する機能に他ならないから,「サーバーの処理手段により」行われることが特定されたとしても,それによって「自然法則を利用した技術的思想の創作」といえるような創作性を見出すことができない。

また,上記事項(c)には,「前記ユーザーデータを記憶する手段に記憶された」との事項(c-4)が特定されているが,上記事項(b-2)に関して上述したのと同様の理由により,当該事項(c-4)は,「自然法則を利用した技術的思想の創作」といえるような創作性を見出すことはできない。

上記事項(d)は,「前記ユーザー選択による取引戦略の下において前記取引コストを最小化する前記特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムによって決定された行動を推奨するステップ」,「前記取引を実行する際に前記行動がとられると取引コストを最小化でき得る」との事項(d-1)を特定するものである。
ところで,ユーザの選択した条件の下でコストを最小化する行動を推奨化する処理は,業務の枠組みの一環としての手順を特定することにほかならないから,人為的な取決めに該当し,上記事項(d-1)は,自然法則を利用しているということはできない。

また,上記事項(d)は,「前記サーバのデータを送る手段により」との事項(d-2)が特定されているので,当該事項(d-2)の技術的意義について検討する。
上記事項(d)に関連する明細書【0017】段落には,「サーバー11は次いで、取引コストの分析および最適化を実行し、好ましくはその処理結果を顧客にリアルタイムに送信する」と記載されているが,「サーバのデータを送る手段」については具体的に記載されていない。
そうすると,「前記サーバのデータを送る手段により」との事項(d-2)は,データを送る機能をサーバーが有することを特定する程度の技術的意義しか有しておらず,これは一般的なサーバーが普通に具備する機能に他ならないから,「前記サーバのデータを送る手段により」が特定されたとしても,それによって「自然法則を利用した技術的思想の創作」といえるような創作性を見出すことはできない。

上記事項(e)は,「前記ユーザー選択による取引戦略は」「あらかじめ定義された複数の取引スタイルの中から選択されるか、あるいは」「前記ユーザーによって指定される」との事項(e-1)を特定するものである。
ところで,取引戦略の選択が,ユーザにより選択されるか,あるいは複数の取引スタイルの中から選択されるかは,業務の枠組みの一環としての手順を特定することにほかならないから,上記事項(e)は,人為的な取決めに該当し,自然法則を利用しているということはできない。

また,上記事項(e)は,「前記サーバーの取引スタイルを記憶する手段に記憶された」との事項(e-2)が特定されているので,当該事項(e-2)の技術的意義について検討する。
上記事項(e)に関連する明細書【0020】段落には,「ステップ207において、顧客は、当該特定の事例にもっとも適していると判断する値の対(ECとSD)をテーブルから選択し、該選択した値の対に対応するRAP値を選択する」と記載されており,つまり,顧客が値を表を使って選択可能であるということが記載されているが,「サーバーの取引スタイルを記憶する手段」については具体的に記載されていない。
そうすると,「前記サーバーの取引スタイルを記憶する手段に記憶された」とは,複数の項目を記憶する機能をサーバーが有することを特定する程度の技術的意義しか有しておらず,これは一般的なサーバーが普通に具備する機能に他ならないから,「前記サーバーの取引スタイルを記憶する手段に記憶された」ことが特定されたとしても,それによって「自然法則を利用した技術的思想の創作」といえるような創作性を見出すことはできない。

また,上記事項(e)は,「前記サーバーの取引戦略を入力する手段を介して」との事項(e-3)が特定されているので,当該事項(e-3)の技術的意義について検討する。
上記事項(e)に関連する明細書【0020】段落には,「ステップ208において、顧客は(他のパラメータを維持しながら)新たなRAP値を入力して、予測コストとコスト標準偏差の新たな組を求める」,「顧客は、その中から、特定の状況に最も適した戦略を選択することができる」と記載されているが,「サーバーの取引戦略を入力する手段」については具体的に記載されていない。
そうすると,「前記サーバーの取引戦略を入力する手段を介して」とは,処理に関するパラメータを入力する機能をサーバーが有することを特定する程度の技術的意義しか有しておらず,これは一般的なサーバーが普通に具備する機能に他ならないから,「前記サーバーの取引戦略を入力する手段を介して」が特定されたとしても,それによって「自然法則を利用した技術的思想の創作」といえるような創作性を見出すことはできない。

以上のように,本願発明は,事項(a)?(e)の各々は,業務の枠組みの一環であるから,人為的な取決めであり,「特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされたサーバ」,「データ受信手段」,「ユーザーデータを記憶する手段」,「処理手段」,「データーを送る手段」「入力する手段」を特定しているものの,請求項に記載された内容を全体として考察しても,本願発明が自然法則を利用した技術的思想の創作に該当するということはできない。

ところで,本願発明では,「特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされたサーバー」が特定されており,コンピュータ・ソフトウエアとしての創作性が見いだせる場合には,「自然法則を利用した技術的思想の創作」であると評価できる余地も考えられる。

そこで「特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされたサーバー」に関して検討する。本願発明では,「特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされたサーバー」に関して,「ユーザーにより選択された取引戦略に基づいて証券取引執行の取引コストを評価する」ことに「使用する」こと,及び,その「処理手段」により,「前記ユーザーデータを記憶する手段に記憶された前記ユーザー選択による取引戦略および前記提案された取引執行のパラメータ、および市場データに基づいて、受信した提案された取引執行の取引コストを評価する」ことが特定されているが,当該「プログラム」自体の技術的意義については明確に理解することができない。

そこで,発明の詳細な説明を参酌すれば,本願明細書【0015】?【0020】,【0052】?【0058】段落には,次の記載がある。なお、下線は当審において付加したものである。
「【0015】
図1を参照すると、一または複数の取引コスト最適化サーバー11が通信ネットワーク10上に設けられる。ネットワーク10は公衆ネットワークであってもプライベートな専用ネットワークであってもよい。サーバー11は、取引コスト評価・最適化アルゴリズムによりプログラムされており、ネットワーク10を介して、たとえばニューヨーク株式取引所(NYSE)18、POSIT(登録商標)イントラデイ・イクイティマッチングシステム20、店頭取引(OTC)市場22(NASDAQ(登録商標)株式市場を含むがこれに限定されない)、電子取引ネットワーク(ECN)24などの各種の取引機構や取引所にアクセス可能である。
【0016】
この発明の好適な実施形態によれば、顧客がネットワーク10を介して直接電子的にサーバー11にアクセス可能である。このアクセスは、インターネットまたは専用線を通じてネットワーク10に電子的に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)12や専用クライアント端末16を介して行うことができる。あるいはまた、顧客は取引デスク(trading desk、トレーディング・デスク)14を介してネットワークとインタラクティブに通信することができ、これにより顧客は取引コスト分析を行うことができる。特に、取引デスクは、複数の流動資産(liquidity sources)を用いて包括的な委託取引サービスを与えるためのユーザーインターフェースとなる。
【0017】
この発明の好適な実施形態によれば、複数の異なるサーバー11がネットワーク10上に設けられ、各サーバー11で取引コスト分析プログラムが動き、各サーバー11が各種の適切な取引フォーラムや各種の電子通信ネットワークに対してアクセス可能である。顧客は、特定の一つのサーバー11に、分析のためにポートフォリオ取引執行の提案を送信する。サーバー11は、顧客からの提案されたポートフォリオ取引執行をネットワーク10を介して受信し、そのサーバー11で実行される、ユーザの選択した予め設定された取引戦略アルゴリズムにしたがって、その執行を処理および分析する。サーバー11は次いで、取引コストの分析および最適化を実行し、好ましくはその処理結果を顧客にリアルタイムに送信する。
【0018】
このようなサーバー11を備えることにより、人間のトレーダーの手作業や時代遅れの情報を用いたコンピュータ処理によって分析を行っていた従来システムに比べて、顕著な優位性が発揮される。サーバー11は、大量の取引や多種の株式を扱うようなより複雑な取引であっても処理可能である。更に、トレーダーが同時に集中および追従できるのは比較的少数の株式であるが、サーバー11は、非常に多数の株式に対して専門家的な結果を提供することができる。この発明によるサーバーが人間のトレーダーと比べて有利である他の利点は、ネットワーク10を介して、リアルタイム市況情報提供所(リアルタイム市況情報プロバイダ)15と電子的に接続されると共に、履歴データおよび導出された市場データの提供源とも電子的に接続されており、複数の指標を連続的に受信し処理することができる点である。更に、異なる取引戦略(リスク回避レベルなど)が望まれる複数の取引コスト分析の要求も、提案されたポートフォリオ取引注文を適切なサーバー11に送信することにより、同時に実行可能である。
【0019】
図2はこの発明による取引執行のコスト評価および最適化のためのシステムの一例を示し、ここでは取引コストを取引コスト評価・最適化アルゴリズムに基づいて見積もっている。ACEアルゴニズムがサーバー11にプログラムされ、ポートフォリオ取引提案に対するACE取引コスト評価・最適化処理の実行を求める顧客は、分析要求を入力し、その要求をACEサーバーに直接送信する。ACEサーバーは一または複数の取引コスト分析(TCA)を実行する。
【0020】
この方法によれば、ステップ201において、顧客からの注文明細を引き出す。たとえば、ある顧客がXYZ株を100万株売却することを希望している。ステップ202において、顧客はリスク回避パラメータ(RAP)の数値を指定(および入力)する。何の数値も取り出されないときは、プログラムによりデフォルト値「0.4」が設定される。ステップ203において、顧客は適当な取引時間範囲(trade time horizon)を、たとえばXYZ株100万株の売却を7日間にわたって行う、のように指定する。ステップ204において、プログラムは、証券マスター情報(例えば、チッカーシンボル、CUSIP、株式市場)、終値、ボラティリティ、取引量(出来高)などの市場パラメータを検索する。ステップ205において、プログラムは、最新の市場データに基づいての顧客のパラメータおよびシステム入力の組についての評価を計算する。…(中略)…ステップ209において、プログラムは、顧客が入力したパラメータに基づいて最適な取引戦略を計算(および表示)する。顧客は、その中から、特定の状況に最も適した戦略を選択することができる。」

「【0052】
たとえば、トレーダーがXYZ株を100万株取り引きし、ACEシステムが最適ホライズンを6に等しいものとして設定したとすると、それは、6日間の取引期間と比較して、7日間の取引期間については、取引コストの66%がその値の5%未満だけ低下することを意味している。6日より短い期間については、任意の連続する2日間についての取引コストの66%と比べた場合、5%より多くの低下が生ずる。この定義は、しかしながら、他の最適取引期間を所望するユーザーを制約するものではない。ユーザーは、幾つかの連続する日数についてACEプログラムを動かして、自らの定義を適用することができる。
【0053】
…(中略)…ユーザー(トレーダー)はユーザーインターフェース(UI)を通じてコンピュータプログラムにアクセスすることができ、プログラムは下記のステップに従って処理を実行する。
【0054】
1.ユーザーは、トレーダーの注文明細および任意の適当なRAPの値に従って、すべてのパラメータを選択する。デフォルトにより、RAP値として0.4が用いられる。多くの場合、この特定の値は、適度な(極端ではない)積極性を提案し、典型的には、最初の実行のために好適である。ユーザーは次に、たとえばユーザーインターフェース上の「計算」ボタンをクリックすることにより、「計算」コマンドを選択する。ソフトウェアプログラムは、ユーザーが設定したパラメータと最新(例えばリアルタイム)の市場データに基づいて行ったシステム入力値とに関してのACEの評価を表示する。
【0055】
2.ユーザーは、リスクフロンティア(Risk Frontier)スクリーンにアクセスする。異なるRAPの値に対するEC値とSD値とを表示するテーブルが提供される。ユーザーは当該特定の事例においてもっとも適しているEC値とSD値の対を該テーブルから選択し、選択した対の値に対応するRAP値を選択する。ユーザーは下限、上限、およびステップ(段)の値を変更することができる。また、ユーザーは、例えばボタンやアイコンなどでドローチャート(チャート描画)オプションを選択して、適切なチャートを選択して値の範囲をグラフィック表示させることができる。
【0056】
3.最適な対の値(EC,SD)および対応するRAP値を選択した後、ユーザーはコスト評価スクリーンに戻ることができる。ユーザーは、選択したRAP値を入力し、その後、「計算」ボタンを選択する。
【0057】
4.ユーザーは取引戦略スクリーンへ行き、最適取引戦略を見ることができる。ユーザーはチャートボタンを選択して、選択された一日内の間隔毎の分布状態を見ることができ、あるいは、取引期間が一取引日よりも長い場合には取引日毎の分布状態を見ることができる。ユーザーは、株式フロンティアスクリーンへ行き、注文のサイズを変更して、その変更がACEコスト見積もりの見積値にどのように影響するかを研究することができる。ユーザーは、下限、上限、およびステップの値を変更し、次いでドローチャートのボタンを選択して、株の値の適切な範囲を選択することができる。
【0058】
…(中略)…単一銘柄事例の場合と同様、ユーザー(トレーダー)はユーザーインターフェースを通じてコンピュータプログラムにアクセスすることができ、プログラムは例1で概説したステップに従って処理を実行する。」

なお,段落【0019】の「アルゴニズム」は「アルゴリズム」の誤記と認める。

上記明細書の記載によれば,本願発明における「プログラム」は,「サーバー」に対して,値を入力する,値を設定する,経済的な分析を実行する,UIを通じたアクセスを可能にする,表示する,計算をする,といった情報処理を実行させるものであるが,このような情報処理を特定したことによって,コンピュータ・ソフトウエアとしての何らかの創作性を付加したということはできない。

そうすると,本願発明の「特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされた」との事項は,既存の「サーバー」自体にコンピュータ・ソフトウエアとしての新たな創作を付加するものではなく,これをもって,法2条1項の定める「発明」に該当するということはできない。

以上のとおり,本願発明は,「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するものということができない。

なお,審判請求人は,平成22年3月30日に手続補正された審判請求書によれば,出願人は,特定の戦略の取引コスト最適化アルゴリズムでプログラムされたサーバにおける,「データ受信手段」,「ユーザーデータを記憶する手段」,「処理手段」,「データーを送る手段」とを用いるから,本願発明において,ソフトウェア資源とハードウェア資源との協働により情報処理が行われることは,特許請求の範囲から明瞭に理解できると主張している。
しかしながら,本願明細書を参酌しても,「データ受信手段」,「ユーザーデータを記憶する手段」,「処理手段」,「データーを送る手段」について,ソフトウエアによる情報処理について具体的な記載はなく,これらの手段がソフトウエアの創作といえるような技術的意義を有しているということはできないから,請求項1にこれらの手段が記載されていることをもって,本願発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するということはできない。

5.むすび

上記4.で述べたとおり,本願発明は,特許法上の「発明」に該当しないので,特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず,特許を受けることができないものといわざるを得ない。

よって,結論の通り審決する。
 
審理終結日 2011-09-26 
結審通知日 2011-09-27 
審決日 2011-10-11 
出願番号 特願2004-513872(P2004-513872)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (G06F)
P 1 8・ 1- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 相澤 聡  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 松尾 俊介
山本 章裕
発明の名称 取引コストの評価および最適化のためのシステム並びに方法  
代理人 志賀 正武  
代理人 村山 靖彦  
代理人 渡邊 隆  
代理人 実広 信哉  

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