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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B |
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管理番号 | 1252956 |
審判番号 | 不服2010-14163 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-06-28 |
確定日 | 2012-03-01 |
事件の表示 | 特願2005-335341「光ディスク記録方法、光ディスク記録装置及び光ディスク」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 6月 7日出願公開、特開2007-141391〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成17年11月21日に出願したものであって、平成21年12月24日付け拒絶理由通知に対して平成22年3月4日付けで手続補正がなされたが、同年3月24日付けで拒絶査定がされた。これに対し、同年6月28日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされた。 その後、平成23年9月26日付けで平成22年6月28日付け手続補正は却下され、同日付け拒絶理由通知(最後)に対して同年11月25日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成23年11月25日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成23年11月25日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正 平成23年11月25日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、本件補正前に、 「 【請求項1】 情報信号に応じたパルス波形の光ビームを光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成する光ディスク記録方法において、 上記マークを形成する第1の光パルスに先行する直前のスペースの区間において該第1の光パルスのパワーレベルよりも低い第2の光パルスを照射し、 該第2の光パルスの立ち上り位置を、直前のスペースの長さと該スペースの前のマークの長さとの組み合わせに応じて変化させることを特徴とする光ディスク記録方法。 【請求項2】 情報信号に応じたパルス波形の光ビームを光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成する光ディスク記録装置において、 上記光ディスクに照射する光ビームを発生するレーザ光源と、 上記情報信号から該レーザ光源の発生する光ビームのパルス波形を生成する信号処理部と、 上記情報信号に応じて該信号処理部を制御する制御部とを備え、 上記信号処理部の生成するパルス波形は、上記マークを形成する第1の光パルスに先行する直前のスペースの区間において該第1の光パルスのパワーレベルよりも低い第2の光パルスを含み、 上記制御部は、該第2の光パルスの立ち上り位置を、直前のスペースの長さと該スペースの前のマークの長さとの組み合わせに応じて変化させることを特徴とする光ディスク記録装置。 【請求項3】 情報信号に応じたパルス波形の光ビームを照射してマーク及びスペースを形成することが可能な光ディスクであって、 該光ディスクには、上記マークを形成する第1の光パルスに先行する直前のスペースの区間において該第1の光パルスのパワーレベルよりも低い第2の光パルスを照射する際に、直前のスペースの長さと該スペースの前のマークの長さとの組み合わせに対して該第2の光パルスの立ち上り位置をどのように設定するか、についての情報が予め記録されていることを特徴とする光ディスク。」 とあったところを、 本件補正後、 「 【請求項1】 情報信号に応じたパルス波形の光ビームを追記型光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成する光ディスク記録方法において、 上記マークを形成する第1の光パルスに先行する直前のスペースの区間において該第1の光パルスのパワーレベルよりも低い第2の光パルスを照射し、 該第2の光パルスの立ち上り位置を、直前のスペースの長さと、該直前のスペースの直前のマークの長さとに応じて変化させ、 上記直前のスペースの長さが、少なくとも最短スペース長及び所定の長さ以上のスペース長の複数種類に分類されていることを特徴とする光ディスク記録方法。 【請求項2】 情報信号に応じたパルス波形の光ビームを追記型光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成する光ディスク記録装置において、 上記光ディスクに照射する光ビームを発生するレーザ光源と、 上記情報信号から該レーザ光源の発生する光ビームのパルス波形を生成する信号処理部と、 上記情報信号に応じて該信号処理部を制御する制御部とを備え、 上記信号処理部の生成するパルス波形は、上記マークを形成する第1の光パルスに先行する直前のスペースの区間において該第1の光パルスのパワーレベルよりも低い第2の光パルスを含み、 上記制御部は、該第2の光パルスの立ち上り位置を、直前のスペースの長さと、該直前のスペースの直前のマークの長さとに応じて変化させ、上記直前のスペースの長さが、少なくとも最短スペース長及び所定の長さ以上のスペース長の複数種類に分類されていることを特徴とする光ディスク記録装置。 【請求項3】 情報信号に応じたパルス波形の光ビームを照射してマーク及びスペースを形成することが可能な追記型の光ディスクであって、 該光ディスクには、上記マークを形成する第1の光パルスに先行する直前のスペースの区間において該第1の光パルスのパワーレベルよりも低い第2の光パルスを照射する際に、直前のスペースの長さと、該直前のスペースの直前のマークの長さとに対して該第2の光パルスの立ち上り位置をどのように設定するか、についての情報が予め記録され、上記直前のスペースの長さが、少なくとも最短スペース長及び所定の長さ以上のスペース長の複数種類に分類されていることを特徴とする光ディスク。」 とするものである。 2.補正の適否 本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、2は、「該第2の光パルスの立ち上り位置を、」「該直前のスペースの直前のマークの長さ」「に応じて変化させ」との限定を含み、請求項3は、「該光ディスクには、」「該直前のスペースの直前のマークの長さ」「に対して該第2の光パルスの立ち上り位置をどのように設定するか、についての情報が予め記録され」との限定を含むものである。 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を精査しても、「該第2の光パルスの立ち上り位置を、」「該直前のスペースの直前のマークの長さ」「に応じて変化させ」るとの技術事項、「該光ディスクには、」「該直前のスペースの直前のマークの長さ」「に対して該第2の光パルスの立ち上り位置をどのように設定するか、についての情報が予め記録され」るとの技術事項は記載がなく、また、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載から自明な事項でもない。 したがって、本件補正は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものとは認められない。 なお、請求人は、願書に最初に添付した明細書の段落0055の記載及び「マーク長の長さに応じて、立ち下がり位置がシフト(基準クロックからのずれ量が変化)することは、当業者にとって自明のものであ」ることが本件補正の根拠である旨主張している。 願書に最初に添付した明細書の段落0055の記載は、以下のとおりである。 「【0055】 上記実施例1および実施例2においては、前スペース長の違いによるマーク先頭エッジ位置のシフトに焦点を絞って説明してきた。一方、該先頭エッジのシフトほど顕著ではないが、マーク終端エッジにおいても後スペース長の違いによってエッジ位置のシフトが発生する。この対策としては、後スペース長に応じて最終パルス3の立ち上り位置dTlpや立ち下り位置を制御すればよい。ただし最終パルスの立ち下り位置を変更することによって記録面の温度状態が変わり、次のマーク形成時に及ぼす熱干渉の状態も変わってしまう。よって、次の予熱パルスの立ち上り位置やそのパワーレベルについても合わせて最適化するのが望ましい。例えば、2Twスペース前の最終パルスの立ち下り位置が前方にシフトすると、次の予熱パルスおよび先頭パルスまでの間隔が広がるので、熱干渉の影響が減少する。そのような場合、予熱パルスの立ち上り位置も前方にシフトすれば、次に形成されるマーク先頭エッジ位置の変化を抑えることができる。」 願書に最初に添付した明細書の段落0055の記載は、後スペース長に応じて最終パルスの立ち下り位置を変更することによって記録面の温度状態が変わり、次のマーク形成時に及ぼす熱干渉の状態も変わってしまうため、次の予熱パルスの立ち上り位置についても合わせて最適化するのが望ましいことを述べたものであるから、スペース長に応じて次の余熱パルスの立ち上がり位置について最適化することを意味するものであって、マーク長に応じて次の余熱パルスの立ち上がり位置について最適化することを意味するものではない。 また、「マーク長の長さに応じて、立ち下がり位置がシフト(基準クロックからのずれ量が変化)することは、当業者にとって自明のものであ」るとしても、願書に最初に添付した明細書の段落0055の記載が、マーク長に応じて最終パルスの立ち下り位置を変更することや、マーク長に応じて次の余熱パルスの立ち上がり位置について最適化することを意味する、または、願書に最初に添付した明細書の段落0055の記載から、マーク長に応じて最終パルスの立ち下り位置を変更することや、マーク長に応じて次の余熱パルスの立ち上がり位置について最適化することが自明であるとまではいえない。 したがって、請求人の主張を採用することはできない。 3.本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 平成22年3月4日付けの手続補正について 1.本願の特許請求の範囲 平成23年11月25日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲は、平成22年3月4日付けの手続補正により補正されたものであるところ、平成22年3月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲は、上記「第2[理由]1.」に本件補正前の特許請求の範囲として記載したとおりのものである。 2.当審が通知した拒絶理由 当審が通知した拒絶理由は、以下のとおりである。 平成22年3月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、2は、「該第2の光パルスの立ち上り位置を、直前のスペースの長さと該スペースの前のマークの長さとの組み合わせに応じて変化させる」との限定を含み、請求項3は、「該光ディスクには、」「直前のスペースの長さと該スペースの前のマークの長さとの組み合わせに対して該第2の光パルスの立ち上り位置をどのように設定するか、についての情報が予め記録されている」との限定を含むものである。 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を精査しても、「該第2の光パルスの立ち上り位置を、直前のスペースの長さと該スペースの前のマークの長さとの組み合わせに応じて変化させる」技術思想、「該光ディスクには、」「直前のスペースの長さと該スペースの前のマークの長さとの組み合わせに対して該第2の光パルスの立ち上り位置をどのように設定するか、についての情報が予め記録されている」技術思想を読み取ることはできない。 したがって、平成22年3月4日付けの手続補正は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものとは認められない。 以上のとおりであるから、平成22年3月4日付けの手続補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、本願は拒絶すべきものである。 3.請求人の応答・当審の判断 当審の拒絶理由通知に対して提出した意見書における請求人の主張は、本件補正が適法であることを前提とするものであるから、本件補正が補正却下されることにより、その前提が失われたものであって、上記の拒絶理由に対して、請求人は実質的に反論していない。 そして、上記の拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-12-20 |
結審通知日 | 2012-01-05 |
審決日 | 2012-01-17 |
出願番号 | 特願2005-335341(P2005-335341) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
WZ
(G11B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | ゆずりは 広行 |
特許庁審判長 |
山田 洋一 |
特許庁審判官 |
関谷 隆一 早川 学 |
発明の名称 | 光ディスク記録方法、光ディスク記録装置及び光ディスク |
代理人 | ポレール特許業務法人 |
代理人 | ポレール特許業務法人 |