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審決分類 審判 一部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  A61M
審判 一部無効 2項進歩性  A61M
管理番号 1253768
審判番号 無効2009-800190  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-09-03 
確定日 2012-02-07 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2588375号発明「医療器具を挿入しその後保護する安全装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 I.手続の経緯
(1)本件特許第2588375号に係る発明についての出願は、平成6年11月15日(パリ条約による優先権主張 1993年11月15日(以下、「優先日」という。) 米国)に特許出願され、平成8年12月5日にその発明について特許の設定登録がなされたものである。
(2)これに対し、請求人は、平成21年9月3日に本件特許無効審判を請求し、被請求人は、平成21年12月24日付けで訂正請求書及び答弁書を提出した。
(3)その後、請求人は平成22年2月24日付けで口頭審理陳述要領書を提出し、被請求人は、平成22年3月15日付けで口頭審理陳述要領書を提出し、平成22年3月25日に口頭審理が実施された。
(4)さらに、被請求人は平成22年4月8日付けで、また、請求人は平成22年4月8日付けで、それぞれ上申書を提出した。
(5)さらに、被請求人は平成22年4月30日付けで、また、請求人は平成22年4月30日付けで、それぞれ上申書を提出した。

II.訂正の可否
1.訂正の内容
平成21年12月24日付け訂正請求は、本件特許第2588375号に係る特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであって、訂正の内容は以下の訂正事項A,Bのとおりである。
(1)訂正事項A
請求項8の「請求項1の安全装置において、」との記載を、「請求項7の安全装置において、」と訂正する。
(2)訂正事項B
請求項8の「前記収容/保持手段」が、「前記針と共に運動するように固定された室を備え」るとの限定を付加する。

2.訂正の可否に対する判断
これらの訂正事項について検討する。
上記訂正事項Aは、請求項8の「請求項1」との記載を、請求項1を引用する「請求項7」とするもので、上位概念から下位概念へと変更するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、上記訂正事項Aは、請求項8に「前記収納/保持手段」とあるが、訂正前の請求項1から請求項7までで、「収納/保持手段」があるのは請求項7のみであって、請求項8は本来請求項7を引用するものであることは自明な事項といえるから、上記訂正事項Aは、誤記の訂正を目的とするものにも該当する。
上記訂正事項Bは、「前記針と共に運動するように固定された室を備え」ることの限定を付加したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、上記訂正事項Bは、訂正前の請求項8に「前記室」とあるが、訂正前の請求項1及び請求項8に「室」が前出していないので、訂正事項Bにより当該請求項8に「針と共に運動するように固定された室」が前出することとなって、不明りょうな記載が明りょうなものとなっているから、上記訂正事項Bは、不明りょうな記載の釈明を目的とするものにも該当する。

そして、いずれの訂正事項も、訂正後の技術事項が願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

したがって、平成21年12月24日付けの訂正は、特許法第134条の2第1項第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法第134条の2第5項の規定によって準用する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.本件特許発明
本件特許の請求項1?10に係る発明(以下、「本件特許発明1」?「本件特許発明10」という。)は、訂正後の特許請求の範囲、訂正明細書及び図面の記載からみて、その訂正後の特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。(下線部は訂正箇所を示す。)
「【請求項1】 カニューレの如き医療器具を患者の体内へ挿入し且つその後患者の体内にあった該装置の部分に人が接触しないように保護するための安全装置において、
患者を穿刺し、前記医療器具を患者の体内の適所へ案内して搬送する中空針であって、少なくとも1つの鋭利な端部を有する軸を具備する中空針と、
人の指が届かないように、少なくとも前記針の鋭利な端部を包囲するようになされた中空のハンドルと、
前記鋭利な端部を前記ハンドルから突出させた状態で前記軸を前記ハンドルに固定する固定手段と、
前記固定手段を解除し、前記針の鋭利な端部を人の指が届かないように前記ハンドルの中へ実質的に永続的に後退させる解除/後退手段であって、前記針の軸よりも実質的に短い距離だけ簡単且つ単一の動作によって手操作で作動可能な解除/後退手段と、
前記後退のエネルギの一部を吸収するためのエネルギ吸収手段とを備えることを特徴とする安全装置。
【請求項2】 請求項1の安全装置において、
前記エネルギ吸収手段は、前記針と前記中空のハンドルとの間に介挿される粘性物質を備えることを特徴とする安全装置。
【請求項3】 請求項1の安全装置において、前記エネルギ吸収手段が、
前記針と前記ハンドルの内部孔とのうちの一方に固定された表面と、
前記針と前記内部孔とのうちの他方に担持されて前記表面に圧接し、前記後退の間に摩擦を生ずる要素とを備えることを特徴とする安全装置。
【請求項4】 請求項1の安全装置において、
前記エネルギ吸収手段は、前記後退の際に前記針と共に運動するように固定されたダッシュポット要素を備えることを特徴とする安全装置。
【請求項5】 請求項1の安全装置において、
前記中空のハンドルは、前記針がそれに向かって後退する端部構造を有し、
前記エネルギ吸収手段は、前記針と前記端部構造とうちの一方に固定されて前記端部構造に対する前記針の衝撃の一部を吸収する押し潰し可能な要素を有することを特徴とする安全装置。
【請求項6】 請求項1の安全装置において、
前記後退の後に、前記針の前方への再設定を阻止する手段を更に備えることを特徴とする安全装置。
【請求項7】 請求項1の安全装置において、
前記中空針の中からの血液を収容する共に、前記後退によって生ずる力に抗して、前記針が後退する間に及び該後退の後に、前記血液を確実に保持するための収容/保持手段とを更に備えることを特徴とする安全装置。
【請求項8】 請求項7の安全装置において、
前記収容/保持手段が、前記針と共に運動するように固定された室を備え、前記後退によって生ずる力から前記室の内部を隔離するための隔離手段を更に備えることを特徴とする安全装置。
【請求項9】 請求項8の安全装置において、前記隔離手段が、
前記室の内部から空気を比較的ゆっくりと逃がし、これにより、前記中空針を介して血液が入るのを可能にする手段と、
前記室の内部へ空気が比較的速く入るのを阻止し、これにより、前記後退の際に生ずる力によって血液が前記中空針を通って排出されるのを防止する手段とを備えることを特徴とする安全装置。
【請求項10】 請求項1の安全装置において、前記収容/保持手段が、
前記ハンドルに関連して設けられる室と、
前記後退の間に生ずる力を前記室の中へ実質的に伝達することなく、前記中空針の中から前記カテーテルの中へ血液を搬送するための手段とを備えることを特徴とする安全装置。」

IV.当事者の主張(概要)
1.請求人の主張(概要)
請求人は、「特許第2588375号の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」(請求の趣旨)との審決を求め、証拠方法として以下の甲第1号証?甲第9号証を提出し、無効とすべき理由を次のように主張している。
(1)無効理由1
本件の請求項8の記載は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものでもないから、請求項8に係る特許は、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものに該当し、特許法第123条第1項第4号により、無効とすべきである。
(2)無効理由2
本件特許発明7及び本件特許発明8は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第6号証ないし甲第9号証に記載された周知技術、または甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許発明7及び本件特許発明8に係る特許は、特許法第123条第1項第2号により、無効とされるべきである。
[証拠方法]
(1)甲第1号証:特開平3-15481号公報
(2)甲第2号証:特表平5-500621号公報
(3)甲第3号証:特開平3-502421号公報
(4)甲第4号証:特開昭57-581号公報
(5)甲第5号証:特開昭58-72706号公報
(6)甲第6号証:米国特許5102394号明細書
(7)甲第7号証:特開平4-295373号公報
(8)甲第8号証:特開平4-224768号公報
(9)甲第9号証:特開平3-4875号公報

2.被請求人の主張(概要)
被請求人は、請求人が主張する無効理由1無効理由2によっては、本件特許を無効にすることはできず、本件審判請求は成り立たない旨を主張し、証拠方法として以下の乙第1号証を提出している。
[証拠方法]
(1)乙第1号証:デュポン社のホームページに掲載された、「デルリン」の製品カタログ

V.甲第1号証ないし甲第9号証
(1)-1 甲第1号証の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平3-15481号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「カニューレを患者の中に挿入しその後で患者内にあった装置部分との接触から人々を保護するに当たって使用される安全装置であって、
前記患者に突き刺し前記カニューレを前記患者内の定位置に案内し運ぶための針であって、少なくとも1つの鋭い端を備えた軸を有する針と、
前記人々の指が届かないように前記針の少なくとも鋭い端を封包するようになされた中空ハンドルと、
前記鋭い端がハンドルから突出した状態で前記軸をハンドルに固着するための手段と、
前記固着手段を解除し且つ前記人々の指が届かないように前記針の鋭い端をハンドル内へ実質的に永久的に後退させるための手段とから成り、
前記解除および後退手段は針の軸よりも実質的に短い振幅の単純な一体運動により手動で作動可能であることを特徴とする安全装置。」(特許請求の範囲、請求項1)
(イ)「ハンドル10は好ましくはポリカーボネート等のプラスチックから射出成形されたものだが、必ずしもそうでなくてもよい。」(10頁左下欄7行?9行)
(ウ)「孔12の後端の近くには、内方に円錐台状のストッパ表面14が形成されて孔12を僅かに挟めている。孔12の極端には、ハンドル10の後端にて開口する短い端部13がある。」(11頁左上欄12行?16行)
(エ)「キャリヤブロック30はきわめて狭い中心穴を有し、この穴の中に針50がきっちりと把持されている。同じくデルリン製のブロック30は針上に圧嵌、縮嵌および/または接合するか、あるいは定位置に成形してよい。キャリヤブロック30の外側は円形的に対称である。それは真円筒形でもよい突出筒31を有する。この筒31の後端には前端が筒31に対して半径方向に拡大された円錐台状のストッパ部分32がある。このストッパ部分はブロック30の後端に向けて内方にテーパしている。
ストッパ部分の円錐台状の後面は針を完全に後退させた時にハンドル10の前述した内側円錐台状ストッパ部分13に対して着座するようになされている。」(11頁左下欄16行?右下欄11行)
(オ)「多分明瞭には図示されていないこの好ましい実施例のもう1つの望ましい特徴を次に挙げておく。トリガーが作動されていない時にハンドル10の内側孔12に対して流体密封を与えるように、キャリヤブロックの円錐台状ストッパ部分32の大きな端の直径を僅かに増大させることが好ましい。
この配置は、ストッパ部分32の前方にあるばね、内部空洞等の多くの複雑な表面における衛生の維持への信頼を最小限に抑えることにより中空針を介しての効果的な流体連通を容易にする。」(14頁左下欄9行?20行)

(1)-2 甲第1号証に記載された発明の認定
上記記載事項及び図示事項を総合すると、甲第1号証には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「a:カニューレを患者の中に挿入しその後で患者内にあった装置部分との接触から人々を保護するに当たって使用される安全装置であって、
b:前記患者に突き刺し前記カニューレを前記患者内の定位置に案内し運ぶための針であって、少なくとも1つの鋭い端を備えた軸を有する針と、
c:前記人々の指が届かないように前記針の少なくとも鋭い端を封包するようになされた中空ハンドルと、
d:前記鋭い端がハンドルから突出した状態で前記軸をハンドルに固着するための手段と、
e:前記固着手段を解除し且つ前記人々の指が届かないように前記針の鋭い端をハンドル内へ実質的に永久的に後退させるための手段とから成り、前記解除および後退手段は針の軸よりも実質的に短い振幅の単純な一体運動により手動で作動可能であり、
f’:針を保持するキャリヤブロックの外面とハンドルの内面とは、トリガーが作動されていない時に流体密封しており、針を保持するキャリヤブロックの後面はデルリン製であり、完全に後退したときにハンドルの内側ストッパ部分に着座する
g:ことを特徴とする安全装置。」

(2)-1 甲第2号証の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第2号証(特表平5-500621号公報 )には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(カ)「本体と、この本体内に取付けたプランジヤと、針ホルダと、前記プラッジヤの注射ストロークの後の再後退によって針を前記本体内の遮蔽位置に引込むよう注射ストロークの終わりに前記針ホルダに前記プランジヤを連結する手段と、注射ストロークの後に挿入ストロークによって付勢され前記プランジヤと前記針とを後退させるエネルギ貯蔵手段とを具え、前記本体と前記プランジヤとの間に画成した空間内に弾性制動手段を配置し、前記本体と前記プランジヤとの一方に前記弾性制動手段を配置し、注射ストローク後前記プランジヤと前記針との後退を遅らせるのに十分であるが停止させない程度に前記本体と前記プランジヤとの他方に前記弾性制動手段を圧着することを特徴とする注射器。」(請求の範囲、請求項3)
(キ)「プランジヤを自動的に後退させる上記の先行技術では、プランジヤを押込んだ状態に保持する手の圧力を除くと、ばねが伸長した状態になろうとして直ちにプランジヤの復帰を開始し、同時に注射針の注射器の本体内への後退が開始される欠点がある。このため、注射器が患者の身体から完全に去るまで、操作者が押込まれたプランジヤを意識して保持しない限り、患者の組織が傷つき、希望しないのに不随意に注射器内に患者の血液が吸引される恐れがある。本発明の第2の要旨では注射針の注射器本体内への後退の少なくとも最初の段階で、その後退早さを遅らせる制動手段を設ける。」(2頁右下欄10行?19行)

(2)-2 甲第2号証に記載された技術の認定
上記甲第2号証の記載によれば、甲第2号証には、
「注射後に、針ホルダに連結したプランジヤを自動的に後退させると、患者の組織が傷ついたり患者の血液が吸引される恐れがあることを防止するため、注射器本体とプランジヤとの一方に弾性制動手段を配置し、プランジヤと針との後退速度を遅らせる技術」が開示されている。

(3)甲第3号証の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第3号証(特表平3-502421号公報)には以下の記載がある。
(ク)「従来提案されているように、弾力によって針が注射器中へ突然に引き込む形式の物は針に付着していた物質が使用者の手にかかったり、使用者が覆面を着用していなかった場合には使用者の目にかかるおそれがある。又弾力によって針が後退する衝撃が注射器に作用し、その結果注射器を取り落とす事故を引き起こし、様々な危険な状況を生じさせる。」(2頁右上欄4行?10行)

(4)甲第4号証の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第4号証(特開昭57-581号公報)には以下の記載がある。
(ケ)「この楔状部材(26)の内面は夫々突起部(20)と係合する楔状の形をしていて、例えばデルリン(DELRIN)という商品名で市販されているプラスチック物質のような適当な物質でモールドするのが好ましい。」(2頁左下欄11行?15行)
(コ)「装置が過度の衝撃を受けると、プラスチックの楔状部材(26)が衝撃吸収体として作用する。」(2頁右下欄15行?16行)

(5)甲第5号証の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第5号証(特開昭58-72706号公報)には以下の記載がある。
(サ)「材料としてはいかなるプラスチック材料も使用できるが、充分に高温度で安定しているもの、好ましくは150℃の範囲にあり、そして弾性率が高いものであることが好ましい。・・・特に好ましい材料はポリオキシメチレンで、例えば、融点175℃のデュポン社製の登録商標「デルリン」がある。この製品は、この発明に必要な温度安定性と柔軟性という非常に優れた特性を有しているものであって好ましい。」(2頁左下欄13行?右下欄6行)

(6)甲第6号証の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第6号証(米国特許5102394号明細書)には以下の記載がある。
(シ)「SUMMARY OF THE INVENTION
A catheter assembly embodying the principles of the present invention includes a protective shield which can be selectively removably positioned by health care personnel for intravenous therapy. The shield is configured to permit manipulation of a needle member of the catheter assembly, and to thereafter substantially completely enclose the needle member to reduce the risk of inadvertent injury. 」「発明の概要
本発明の原理を具体化するカテーテル組立体は、医療従事者が静脈療法のために選択的に除去可能に位置できる保護シールドを含む。このシールドは、カテーテル組立体の針部材の操作を許容するように、またその後に不注意な受傷の危険性を減ずるよう針部材を囲い込むように、構成されている。」(第1欄42行?50行 翻訳文2頁1行?5行)
(ス)「Catheter assembly 10 is configured for intravenous therapy, and includes a catheter member 12 which comprises a base portion 14, and a generally elongated tubular portion 16 extending from the base portion, and communicating with the interior volume defined thereby. The free or distal end of the tubular portion 16 of the catheter member is positionable in the vein of a patient for therapy.
The catheter assembly 10 further includes a needle member 20 which is initially positionable generally within the catheter member 10. Specifically, the needle member includes a hub portion 22, and an elongated tubular portion 24 extending from the hub portion. As illustrated, the free or distal end of the tubular portion 24 of the needle member extends just beyond the free or distal end of the tubular portion 16 of the catheter member when the tubular portion of the needle is telescopically positioned therein. By this arrangement, the free end of the tubular portion of the needle can be suitably configured and sharpened to facilitate insertion of the outer catheter member into the vein of a patient.
Typically, the elongated tubular portion 24 of the needle member communicates with an interior volume 26 defined by the hub portion 22. During catheter insertion, capillary and/or venous pressure can cause blood to flow through the tubular portion 24, and into the interior 26 of the hub portion 22. The hub portion is typically formed from transparent polymeric material so that health care personnel can observe this flow of blood, or "flash back". A venting filter 28 is preferably secured to the hub portion 22 to permit venting of air from within the needle member, while preventing the flow of liquid through the filter.
After insertion of the catheter assembly into a patient, the needle member 22 is withdrawn from within the outer catheter member. 」「カテーテル組立体10は静脈療法のために構成されており、基部14と、前記基部14から伸び、それにより規定される内部容積と連通する概して細長い管状部16と、を備えたカテーテル部材12を含む。カテーテル部材5の管状部16の自由ないし遠位端は、療法のために患者の血管中に位置しうる。
カテーテル組立体10は更に、当初は概してカテーテル部材10の中に位置しうる針部材20を含む。特に、針部材20は、ハブ部22と、ハブ部から伸びた細長い管状部24とを含む。例示されるように、針部材の管状部24の自由ないし遠位端は、針の管状部が望遠鏡式に中に位置するときには、カテーテル部材の管状部16の自由ないし遠位端を丁度越えている。この取り合わせにより、針の管状部の自由端は、患者の血管中への外側カテーテル部材の挿入を容易とするように、適切に構成され鋭利にされている。
典型的には、針部材の細長い筒部24は、ハブ部22により規定される内部容積と連通している。カテーテル挿入の間、毛管力及び/又は血圧は、血液を管状部24を通してハブ部22の内部26へと流させうる。ハブ部は、典型的には透明なポリマー材料より形成され、医療従事者がこの血液の流れないし「フラッシュバック」を観察できるようになっている。空気抜きフィルタ28は、好適にはハブ部22に固定されて針部材の中からの空気の抜け出しを許容するが、フィルタを通した液体の流れは防止する。
患者にカテーテル組立体を挿入した後、針部材22は外側カテーテル部材の中から引き抜かれる。」(第3欄16行?51行 翻訳文3頁28行?4頁14行)

(7)甲第7号証の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第7号証(特開平4-295373号公報)には以下の記載がある。
(セ)「軸線に沿って且つ軸線の周りにポリマー材料によって成形され針ハブの流れ込みチャンバと流体連通状態で係合する先端と、針ハブの流れ込みチャンバから延びるための基端とを有する逆流プラグ本体と、前記軸線に沿って基端から先端まで前記逆流プラグ本体を貫通して延び、その中に流れを許容する通路と、疎水性のフィルタ媒質で作られ且つ前記通路を横切る通気膜であって、前記逆流本体内にインサート成形され且つ当該逆流本体によって保持された基端方向に延びる外周部を含み、先端近くの通路内の液体は基端に到達することができないが、通路内の気体は当該通気膜を通過することによって先端と基端との間を自由に流通することができるようになされた前記通気膜と、前記通路の内壁内に長手方向に形成され、前記通気膜から基端まで延びて前記通路の基端内に篏合部材が配置された後にそれを通る流れを許容する溝手段と、からなる静脈オーバー・ザ・ニードル・カテーテル・チューブのための逆流プラグ。」(特許請求の範囲、請求項1)
(ソ)「【産業上の利用分野】本発明は、静脈オーバー・ザ・ニードル・カテーテル(針を挿入した後カテーテルを挿入し、その後、針を抜く方式のカテーテル)の針ハブのための血液無漏洩逆流プラグに関する。この逆流プラグは、該プラグ内に嵌合されたときにプラグ内を貫通する通路の基端から空気を排気するための溝へ空気は通過させるけれども血液は通過させない一体化されたフィルタ材料を含む。」(段落【0001】)
(タ)「特に、カテーテルがオーバー・ザ・ニードル方法によって挿入され血液の逆流が確認された後に、カテーテルは血管内へと更に進められ及び/又は針は抜き取られる。カテーテルが所望通りに血管内に挿入され針が抜き取られ且つ捨てられた後、患者の血液から医者を守ることが望まれている。典型的には、流れ込みチャンバには、針とカテーテルとが血管内に正しく位置決めされたときにチャンバから空気を追い出すために先端に通気装置が設けられている。病原菌、エイズの伝染、肝炎及びこれらと同様の不治の血液病に関連して、血液の漏れを防止する方法及び器具は極めて重要となり切望されている。」(段落【0003】)
(チ)「米国特許4,193,399は、空気は通過させるが血液の流れは空孔が小さいので阻止される多孔質のポリマー材料によって作られた流れ込みチャンバを有する。ここで使用される材料は、焼結方法によって作られた超高分子ポリエチレンである。このようなプラグは、流れ込みチャンバ内に圧入され且つ摩擦だけによってチャンバ内に保持されるように設計されている。焼結成形された材料は本来弾力性が比較的低く、プラグはそれ自体では流れ込みチャンバ内にしっかりと保持されず、実際に定位置から落ちる。米国特許4,046,144は、空気は逃がすが血液は逃がさないために、針ハブのキャップ内の基端に配置された膜を有する。米国特許4,917,671は、基端から流れ制御プラグの内側の位置に圧入され且つ摩擦による以外は両方向において保持されない多孔質を有する。従って、容易に接続することができる改良された流れ込みハブが必要とされている。」(段落【0005】)

(8)甲第8号証の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第8号証(特開平4-224768号公報)には以下の記載がある。
(ツ)「血流がカテーテルが適正に位置決めされたことを示し、皮膚穿通スタイレツトを除去したならば、静脈血管をカテーテルに接続し、静脈内流体を患者に投与することが出来る。」(段落【0003】)
(テ)「本発明の別の目的は、上述の目的を達成する一方、血液が誤って漏洩するのを防止しかつ医者等が感染する虞れのある血液に触れるのを防止する閉システム静脈カテーテルを提供することである。」(段落【0012】)
(ト)「スタイレット組立体32は、皮膚穿通スタイレット37に加えて、発火点キャビティ76を画成する観察チャンバ74を備えている。発火点キャビティ76は皮膚穿通スクイレット37の流体流れ穴78と流体連通し、穴78を介して皮膚穿通スクイレット37を通る血流は、発火点キャビティ76内で観察することが出来る。通気組立体80が観察チャンバ74に接続されかつ該チャンバにより支持され、発火点キャビティ76内への血液の流れは該キャビティ内で観察可能であるのみならず、通気組立体80により効果的に制御することも出来る。」(段落【0026】)
(ナ)「血液が観察チャンバ74の発火点キャビティ76内への流動を許容されるとき、通気スタイレット94、及びフリット部材82を介して観察チャンバ74から空気を排除することが出来る。このように、フリット部材82は、通気スタイレット94及びエラストマーカバー部材100と協働し、血液は、皮膚穿通スタイレット37及びカテーテル22を血管内に適正に位置決めしたとき、皮膚穿通スタイレット37を介して観察チャンバ74の発火点キャビティ76内に流動することが出来る。」(段落【0028】)
(ニ)「退却可能なシース130の本体部材132には、皮膚穿通スタイレット37が伸長位置(第9図を参照)にあるとき、皮膚穿通スタイレット37より長さ寸法を備え、皮膚穿通スタイレット37の穿刺先端38、及び皮膚穿通スタイレット37が退却可能なシース130の本体部材132により完全に囲続されるようにする。」(段落【0036】)

(9)甲第9号証の記載事項
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第9号証(特開平3-4875号公報)には以下の記載がある。
(ヌ)「米国特許第4,762,561号(Luther等)および米国特許出願第335,472号(出願日:1989年4月10日)には、カテーテル針の使用に伴って針の突き刺しによって起こる偶然の外傷から医療従事者を防護するように設計された針ガード付きの静脈内カテーテルについて記述している。患者の血管系から引き抜かれた針による突き刺しが偶然に起きた場合、この患者の血液が担持する病気の感染が起り得る。上記の特許および特許出願に記載されたカテーテルは、針を患者の身体から引き抜く時に、針のハブから延びる針ガードで針の先端をカバーすることによって、偶然の針突刺しを防止するものである。
医療従事者を偶然の針による突刺しの危険を防止することのみならず、患者の血液とのいかなる接触からも防護することである。針ガードを有する上述のカテーテルの一つを使用する場合でさへ、カテーテルから血液の望ましくない漏れのために、医療従事者が患者の血液と接触する可能性がある。」(1頁右下欄第21行?2頁左上欄18行)
(ネ)「第1図は、針ガードを備えたカテーテル-針アセンブリを示すもので、その構成は、先に挙げた特許および特許出願に記載したと同様のもので良い。このアセンブリは、カテーテルハブ12に接続されるカテーテルカニューレ10を備える。ルアーロック14が、カテーテルハブ12の基端にて形成されている。カニューレは、米国特許第4,1,91,185号(Lemieux)に記載されるように、その基端内部の漏斗形に開いた金属スリーブ16をハブ12内に押し嵌め込むことによって、ハブ12に取り付けられる。
中空の金属挿入針20は、尖った先端28を有する。針20の基端は、フラッシュ・チャンバ22の先端開口に接着剤によって取り付けられ、このチャンバは針のハブ、すなわち、ハウジング30の内部に配置取り付けられている。このフラッシュ・チャンバハウジングヘの取付手段は、図示されていないけれども、ハウジングの内面からフラッシュ・チャンバの外面に延びる長手方向のレール状体からなっている。フラッシュ・チャンバの基端は、米国特許出願221,579号(1988年7月20日出願)に記載された多孔質の栓が施されている。チャンバが血液で満たされつつある時、この多孔質の栓を通して、空気が外部に追い出されるが、この孔のサイズは、血液がそこを通るには不十分なものである。」(2頁右下欄9行?3頁左上欄7行)
(ノ)「血液は、動脈圧または静脈圧の下に、40aにて指示される中空の針を通って、40bにて指示されるフラッシュ・チャンバ22内に流入する。・・・ガードのブッシュオフ・タブが臨床医により先端方向に押されると、これによって、針ガード34が延長される。この操作で、針の先端26は、カテーテル10の先端より内部に、すなわち、第2図に図示する位置に引っ込む。・・・針先端26がフッドされると、血液は、42aにて指示されるカテーテルの先端部に流入し、そこを満たす。しかし、第1図に示すような中空針を通る所要の血流に加えて、血液はまた、針の外面とカテーテル・カニューレの内面との間における環状間隙(42bによって指示される)を通って流入し得る。 ・・・本発明の目的は、血液の逆流および針ガードのノーズを周る血液の滞留を防止することである。」(3頁左上欄22行?右上欄21行)

VI.請求人の主張(詳細)
(1)無効理由1
請求項8には、「前記収容/保持手段」及び「前記室」との記載がある。「前記」という文言上、このいずれもが、請求項1(あるいは請求項8)に記載されているはずであるが、それらの記載がない。「前記収容/保持手段」とは、その文言上、何らかの「収容/保持手段」であるはずであるが、請求項1において、何かを「収容」したり、何かを「保持」したりするものは記載されていない。加えて、「収容/保持手段」という文言のみでは、中空針を「収容/保持」するものであるのか、ハンドル内部の何らかの構造物を「収容/保持」するものであるのか、その他のものを「収容/保持」するものであるのかということさえも不明である。
したがって、「前記収容/保持手段」は、特許請求の範囲の記載の文言上、「前記」されておらず、いかなる「収容/保持手段」を指すのかおよそ不明である。
そのような「前記収容/保持手段」を含む請求項8については、「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分してある」(法36条5項2号)ものということはできない。
「前記室」とは、その文言上、何らかの「室」であるはずであるが、請求項1(あるいは請求項8)には、何らかの「室」であるものは記載されていない。
したがって、「前記室」は、特許請求の範囲の記載の文言上、いかなるものを指すのかおよそ不明である。
加えて、「前記室」の「室」の文言については、請求項8に記載がないばかりか、請求項1ないし請求項7のいずれにおいても記載がない。「前記室」がいかなるものであるのか特定されない以上、請求項8の記載において、「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分してある」(法36条5項2号)ものということはできない。
以上のとおり、「前記収容/保持手段」も、「前記室」も、特許請求の範囲の記載の文言上、「前記」されておらず、いかなる「収容/保持手段」や「室」をいうのか不明であり、そのような「前記収容/保持手段」や「前記室」を含む請求項8の記載については、「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項に区分してある」(法36条5項2号)ものということはできないから、請求項8に係る特許は無効とされるべきである。

(2)無効理由2(本件特許発明7について)
請求人は、請求項7は請求項1を引用しているので、本件特許発明7を以下のように分説し、無効とすべき理由を次のように主張している。(注:「キャリアブロック」の表記は「キャリヤブロック」と訂正して記載している。)
「【請求項7】
A:カニューレの如き医療器具を患者の体内へ挿入し且つその後患者の体内にあった該装置の部分に人が接触しないように保護するための安全装置において、
B:患者を穿刺し、前記医療器具を患者の体内の適所へ案内して搬送する中空針であって、少なくとも1つの鋭利な端部を有する軸を具備する中空針と、
C:人の指が届かないように、少なくとも前記針の鋭利な端部を包囲するようになされた中空のハンドルと、
D:前記鋭利な端部を前記ハンドルから突出させた状態で前記軸を前記ハンドルに固定する固定手段と、
E:前記固定手段を解除し、前記針の鋭利な端部を人の指が届かないように前記ハンドルの中へ実質的に永続的に後退させる解除/後退手段であって、前記針の軸よりも実質的に短い距離だけ簡単且つ単一の動作によって手操作で作動可能な解除/後退手段と、
F:前記後退のエネルギの一部を吸収するためのエネルギ吸収手段と、
G:前記中空針の中からの血液を収容する共に、前記後退によって生ずる力に抗して、前記針が後退する間に及び該後退の後に、前記血液を確実に保持するための収容/保持手段とを更に備える
H:ことを特徴とする安全装置。」
本件特許発明7と引用発明(甲第1号証に記載の発明)とを対比すると、本件特許発明7のA、B、C、D、E及びHは、引用発明のa、b、c、d、e及びhに相当することは明らかである。
また、引用発明のf(注:f’から「トリガーが作動されていない時に」を省いたもの):「針を保持するキャリヤブロックの外面とハンドルの内面とは流体密封しており、針を保持するキャリヤブロックの後面はデルリン製であり、完全に後退したときにハンドルの内側ストッパ部分に着座する」において、流体密封をしているとは流体が漏れ出ない程度に密着していることを意味し、ばねの力によりキャリヤブロックが後退するときには、キャリヤブロックの外面とハンドルの内面との間に摩擦力が生じると解するのが相当であり、さらに、「デルリン」とは、甲第4号証及び甲第5号証の記載によれば、デュポン社の登録商標であり、ポリオキシメテレン材からなるその製品は弾性率が高く、柔軟性を有するものであり、衝撃吸収体としての機能を有するものであることは周知であったから、針を保持するキャリヤブロックの後面が着座の際の衝撃を緩衝することは明らかである。
一方、本件特許発明7の構成要件Fの、「前記後退のエネルギの一部を吸収するためのエネルギ吸収手段」とは、針と内部孔とが後退の間に摩擦を生ずる要素を備えるものや、針と端部構造との間の衝撃の一部を吸収する要素を含む上位概念と解される。
してみれば、本件特許発明7と引用発明とは、構成要件Fにおいても一致している。
そうすると、本件特許発明7と引用発明とは、
A:カニューレの如き医療器具を患者の体内へ挿入し且つその後患者の体内にあった該装置の部分に大が接触しないように保護するための安全装置において、
B:患者を穿刺し、前記医療器具を患者の体内の適所へ案内して搬送する中空針であって、少なくとも1つの鋭利な端部を有する軸を具備する中空針と、
C:人の指が届かないように、少なくとも前記針の鋭利な端部を包囲するようになされた中空のハンドルと、
D:前記鋭利な端部を前記ハンドルから突出させた状態で前記軸を前記ハンドルに固定する固定手段と、
E:前記固定手段を解除し、前記針の鋭利な端部を大の指が届かないように前記ハンドルの中へ実質的に永続的に後退させる解除/後退手段であって、前記針の軸よりも実質的に短い距離だけ簡単且つ単一の動作によって手操作で作動可能な解除/後退手段と、
F:前記後退のエネルギの一部を吸収するためのエネルギ吸収手段と、
H:ことを特徴とする安全装置。
である点で一致しており、
本件特許発明7は、構成要件Gの、「前記中空針の中からの血液を収容する共に、前記後退によって生ずる力に抗して、前記針が後退する間に及び該後退の後に、
前記血液を確実に保持するための収容/保持手段とを更に備える」のに対し、引用発明はこのような収容/保持手段を備えていない点で相違している。
本件特許発明7における、「前記後退によって生ずる力に抗して、前記針が後退する間に及び該後退の後に、前記血液を確実に保持するためのための収容/保持手段」とは、少なくとも、針と共に運動するように固定することにより、血液と針との間に相対的な運動を生じないようにして血液を保持するとの技術的意義を有するものと解される。
ところで、甲第6号証ないし甲第9号証の記載によれば、カテーテルを体内に挿入するための挿入針を使用後に後退させる方式のカテーテルにおいて、挿入針の中からの血液を収容保持するフラッシュバック室を針のハブ内部に設けることは周知の技術である。
そして、この周知の技術を構成するフラッシュバック室が、本件特許発明7の「前記後退によって生ずる力に抗して、前記針が後退する間に及び該後退の後に、前記血液を確実に保持するためのための収容/保持手段」に相当することも明らかである。
そうすると、引用発明においても、針が血管内に適正に穿刺されたことを確認するためにフラッシュバック室を設けようとすることは当然の課題であるから、甲第6号証ないし甲第9号証に記載された周知のフラッシュバック室を採用することは、当業者が容易に推考し得るものである。
よって、本件発明7は、引用発明並びに甲第6号証ないし甲第9号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

(予備的検討)
仮に本件特許発明7の構成要件Fが引用発明との相違点であるとしても、本件特許発明7は、以下に示すとおり当業者が容易に発明をすることができたものである。
甲第2号証のイ(注:当審決では(キ))の記載及び甲第3号証のア(注:当審決では(ク))の記載によれば、注射後に、針を付勢手段により急速に後退させると、患者の組織が傷ついたり、針に付着していた物質が使用者の手や目にかかったり、衝撃により注射器を取り落とすなど、様々な危険な状況を生じさせることは周知の課題であり、また、甲第2号証には、注射後に、針ホルダに連結したプランジヤを自動的に後退させると、患者の組織が傷ついたり患者の血液が吸引される恐れがあることを防止するため、注射器本体とプランジヤとの一方に弾性制動手段を配置し、プランジヤと針との後退速度を遅らせる技術が開示されている。ここで、甲第2号証の弾性制動手段が、針の後退のエネルギの一部を吸収するためのエネルギ吸収手段に相当することは明らかである。
してみれば、引用発明において、前記周知の課題を解決するために、甲第2号証に記載された技術を適用して、相違点である構成要件Fの構成とすることは、当業者が容易に想到できることである。
したがって、本件特許発明7は、引用発明、甲第2号証に記載された技術、甲第2号証及び甲第3号証に記載された周知技術並びに甲第6号証ないし甲第9号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

(本件特許発明8については略)

VII.当審の判断
(1)無効理由1
被請求人は、本件特許の請求項8について、平成21年12月24日付けで、訂正事項A,訂正事項Bからなる、訂正請求をしている。
「【請求項8】請求項7の安全装置において、前記収容/保持手段が、
前記針と共に運動するように固定された室を備え、前記後退によって生ずる力から前記室の内部を隔離するための隔離手段を更に備えることを特徴とする安全装置。」
そして、上記「II.訂正の可否」で述べたように、訂正事項A,訂正事項Bは訂正が認められる。
請求人は、本件特許発明の請求項8に記載された「前記収容/保持手段」も、「前記室」も、特許請求の範囲の記載の文言上、「前記」されておらず、いかなる「収容/保持手段」や「室」をいうのか不明であると主張するが、上記訂正により、「前記収容/保持手段」及び「前記室」については、請求項7及び請求項8に「前記」されたものとなったので、請求人の上記主張の根拠はその前提を欠くものとなる。したがって、「本件発明の請求項8の記載は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではないから、請求項8に係る特許は、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものに該当し、特許法第123条第1項第4号の規定により無効とされるべきである」との請求人の主張は理由がない。
よって、請求項8に係る特許は、理由1によっては無効とされない。

(2)無効理由2
(2)-1 本件特許発明7について
本件特許発明7と引用発明とを対比すると、後者における「カニューレを患者の中に挿入しその後で患者内にあった装置部分との接触から人々を保護するに当たって使用される安全装置」が、その機能・作用等からみて前者における「カニューレの如き医療器具を患者の体内へ挿入し且つその後患者の体内にあった該装置の部分に人が接触しないように保護するための安全装置」に相当し、同様に、「患者に突き刺し前記カニューレを前記患者内の定位置に案内し運ぶための針であって、少なくとも1つの鋭い端を備えた軸を有する針」が「患者を穿刺し、前記医療器具を患者の体内の適所へ案内して搬送する中空針であって、少なくとも1つの鋭利な端部を有する軸を具備する中空針」に、「人々の指が届かないように前記針の少なくとも鋭い端を封包するようになされた中空ハンドル」が「人の指が届かないように、少なくとも前記針の鋭利な端部を包囲するようになされた中空のハンドル」に、「前記鋭い端がハンドルから突出した状態で前記軸をハンドルに固着するための手段」が「前記鋭利な端部を前記ハンドルから突出させた状態で前記軸を前記ハンドルに固定する固定手段」に、及び「前記固着手段を解除し且つ前記人々の指が届かないように前記針の鋭い端をハンドル内へ実質的に永久的に後退させるための手段とから成り、前記解除および後退手段は針の軸よりも実質的に短い振幅の単純な一体運動により手動で作動可能であり」が「前記固定手段を解除し、前記針の鋭利な端部を人の指が届かないように前記ハンドルの中へ実質的に永続的に後退させる解除/後退手段であって、前記針の軸よりも実質的に短い距離だけ簡単且つ単一の動作によって手操作で作動可能な解除/後退手段」に、それぞれ相当している。

なお、請求人は、審判請求書(24頁第3行?12行)において『引用発明のfの、「針を保持するキャリアブロックの外面とハンドルの内面とは流体密封しており、針を保持するキャリアブロックの後面はデルリン製であり、完全に後退したときにハンドルの内側ストッパ部分に着座する」において、流体密封をしているとは流体が漏れ出ない程度に密着していることを意味し、ばねの力によりキャリアブロックが後退するときには、キャリアブロックの外面とハンドルの内面との間に摩擦力が生じると解するのが相当であり、さらに、「デルリン」とは、甲第4号証及び甲第5号証の記載によれば、デュポン社の登録商標であり、ポリオキシメチレン材からなるその製品は弾性率が高く、柔軟性を有するものであり、衝撃吸収体としての機能を有するものであることは周知であったから、針を保持するキャリアブロックの後面が着座の際の衝撃を緩衝することは明らかである。』と主張している。
そこで、引用発明のf’(請求人の主張における引用発明のfに「トリガーが作動されていない時に」の限定を加えたもの)の「針を保持するキャリヤブロックの外面とハンドルの内面とは、トリガーが作動されていない時に流体密封しており、針を保持するキャリヤブロックの後面はデルリン製であり、完全に後退したときにハンドルの内側ストッパ部分に着座する」について検討する。甲第1号証の記載事項(オ)はあくまで、トリガーが作動されていない時(すなわち後退時ではない時)に「針を保持するキャリヤブロックの外面とハンドルの内面とは、流体密封している」ことを説明するにとどまり、キャリヤブロックの後退時の関係を説明したものでないし、引用発明ではキャリヤブロックの後退時には通常針は患者の体の外側にあるので液体密封は必要でないと考えられる。また、乙第1号証(例えば、2頁右下欄「樹脂組成」 デルリン、デルリンPは最高粘度の900Pを範囲として、高粘度、中粘度、低粘度の樹脂組成が可能です。また、他にもデルリンは、多くの最終用途の要求に応じた特性を持つ各種グレードがあります。)に記載されているように、デルリン樹脂の性質は多様であるから、「デルリン」は弾性率が高く、柔軟性を有するものと断定できない。よって、引用発明の「針を保持するキャリヤブロックの外面とハンドルの内面とは、トリガーが作動されていない時に流体密封しており、針を保持するキャリヤブロックの後面はデルリン製であり、完全に後退したときにハンドルの内側ストッパ部分に着座する」は、本件特許発明7の「前記後退のエネルギの一部を吸収するためのエネルギ吸収手段を備える」には相当しない。

したがって、両者は、
「 カニューレの如き医療器具を患者の体内へ挿入し且つその後患者の体内にあった該装置の部分に人が接触しないように保護するための安全装置において、
患者を穿刺し、前記医療器具を患者の体内の適所へ案内して搬送する中空針であって、少なくとも1つの鋭利な端部を有する軸を具備する中空針と、
人の指が届かないように、少なくとも前記針の鋭利な端部を包囲するようになされた中空のハンドルと、
前記鋭利な端部を前記ハンドルから突出させた状態で前記軸を前記ハンドルに固定する固定手段と、
前記固定手段を解除し、前記針の鋭利な端部を人の指が届かないように前記ハンドルの中へ実質的に永続的に後退させる解除/後退手段であって、前記針の軸よりも実質的に短い距離だけ簡単且つ単一の動作によって手操作で作動可能な解除/後退手段と、を備える安全装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:本件特許発明7では、前記後退のエネルギの一部を吸収するためのエネルギ吸収手段を備えるのに対し、引用発明では、そのような構成を備えていない点。
相違点2:本件特許発明7は、前記中空針の中からの血液を収容する共に、前記後退によって生ずる力に抗して、前記針が後退する間に及び該後退の後に、前記血液を確実に保持するための収容/保持手段とを更に備えるのに対し、引用発明はそのような収容/保持手段を備えていない点。

相違点1を検討するに、本件特許発明7では、「前記後退のエネルギの一部を吸収するためのエネルギ吸収手段を備える」ことにより、「従って、本発明の一部は、後退が(1)確実に行われると共に、(2)速度を制御され、更に、これら2つの機能を実質的に2つの異なる機械的な要素にそれぞれ割り当てることにより、非常に経済的な装置の中で行うという認識に基づくものである。より詳細には、十分に強いバネあるいは他の偏倚手段を選択することにより、確実で迅速な後退を行い、緩衝手段又は他のエネルギ吸収手段を設けることにより、過度の後退を阻止又は補償することを可能とする。」等の本件明細書記載(段落【0044】?【0049】参照)の作用効果を奏するものである。そして、引用発明に基づいてこのような相違点1の構成に想到することが容易とはいえない。
また、相違点2を検討するに、請求人の主張のように、甲第6号証ないし甲第9号証の記載より「カテーテルを体内に挿入するための挿入針を使用後に後退させる方式のカテーテルにおいて、挿入針の中からの血液を収容保持するフラッシュバック室を針のハブ内部に設けることは周知の技術である」としても、相違点2は、「前記後退によって生ずる力に抗して、前記針が後退する間に及び該後退の後に、前記血液を確実に保持するための収容/保持手段」の限定があり、「前記後退によって生ずる力に抗して、前記針が後退する間に及び該後退の後に、前記血液を確実に保持するための収容/保持手段」は、甲第6号証ないし甲第9号証には、記載も示唆もされていない。本件特許発明7では、「前記後退によって生ずる力に抗して、前記針が後退する間に及び該後退の後に、前記血液を確実に保持するための収容/保持手段」を備えることにより、「すなわち、収容/保持手段は、後退力を受けた場合でも血液を受け入れて保持することができ、クーリー型の装置に選択的なフィルタを取り付けた場合に時々観察されるフラッシュ血液の排出を防止することができる。」等の本件明細書記載(段落【0067】参照)の作用効果を奏するものである。そうすると、引用発明及び甲第6号証ないし甲第9号証に記載された周知技術に基づいて、相違点2の構成に想到することが容易とはいえない。

よって、本件特許発明7は、引用発明及び甲第6号証ないし甲第9号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができないものである。

したがって、本件特許発明7は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当せず、理由2によって無効とすることはできない。

(予備的検討について)
本件特許発明7と引用発明の対比(一致点、相違点)は、上記「VII.当審の判断
(2)無効理由2(2)-1 本件特許発明7について」に記載されたものと同様。

以下、相違点(相違点1)を検討する。
甲第2号証には、「注射後に、針ホルダに連結したプランジヤを自動的に後退させると、患者の組織が傷ついたり患者の血液が吸引される恐れがあることを防止するため、注射器本体とプランジヤとの一方に弾性制動手段を配置し、プランジヤと針との後退速度を遅らせる技術」が開示されているとしても、甲第2号証に記載されたものにおいて「注射器本体とプランジヤとの一方に配置した弾性制動手段」は、「患者の組織が傷ついたり患者の血液が吸引される恐れがあることを防止する」ためであるので、甲第2号証に記載されたものの課題は、引用発明の課題の「医療関係者の安全」と異なる。また、甲第3号証には、単に注射器における課題が記載されているだけで、何らの具体的構成が記載されてないし、示唆もない。そして、甲第3号証に記載の課題は「従来提案されているように、弾力によって針が注射器中へ突然に引き込む形式の物は針に付着していた物質が使用者の手にかかったり、使用者が覆面を着用していなかった場合には使用者の目にかかるおそれがある。又弾力によって針が後退する衝撃が注射器に作用し、その結果注射器を取り落とす事故を引き起こし、様々な危険な状況を生じさせる。」で使用者の安全であって、甲第2号証の課題と対象が異なる。そうすると、請求人の主張する「甲第2号証の記載及び甲第3号証の記載によれば、注射後に、針を付勢手段により急速に後退させると、患者の組織が傷ついたり、針に付着していた物質が使用者の手や目にかかったり、衝撃により注射器を取り落とすなど、様々な危険な状況を生じさせることは周知の課題である。」とはいえない。
そうすると、課題が異なる甲第2号証に記載された発明を、引用発明に適用することに想到させるような動機付けが存在せず、該適用によって相違点1の構成に想到することが当業者が容易になし得ることとはいえない。

以上の点からみて、本件特許発明7は、引用発明、甲第2号証に記載された発明、及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

したがって、本件特許発明7は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当せず、理由2によって無効とすることはできない。

なお、請求人は、平成22年4月8日付け上申書において、甲第10号証ないし甲第17号証を提出しているが、仮に証拠として採用しても、甲第10号証ないし甲第17号証には、本件特許発明7の構成要件Gについて、記載も示唆もないし、構成要件Fについても記載も示唆もないか、本件特許発明7と技術分野が異なるものである。また、同上申書で、甲第1号証の第9図及び第10図の実施例に言及しているが、甲第1号証の第9図及び第10図の実施例の記載には、キャリアブロック及び針の後退途中の部材間の関係については記載がない。よって、甲第1号証の第9図及び第10図の実施例の記載には、本件特許発明7の構成要件F及びGについて、記載も示唆もない。

(2)-2 本件特許発明8について
本件特許発明8は、本件特許発明7を限定したものである。そうすると、本件特許発明7が、甲第1号証に記載された発明並びに甲第6号証ないし甲第9号証に記載された周知技術、または甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができない以上、それを限定した本件特許発明8も、同様に、甲第1号証に記載された発明並びに甲第6号証ないし甲第9号証に記載された周知技術、または甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができないものである。

したがって、本件特許発明8は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当せず、理由2によって無効とすることはできない。

VIII.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件発明7及び本件発明8の特許を無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
医療器具を挿入しその後保護する安全装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】カニューレの如き医療器具を患者の体内へ挿入し且つその後患者の体内にあった該装置の部分に人が接触しないように保護するための安全装置において、患者を穿刺し、前記医療器具を患者の体内の適所へ案内して搬送する中空針であって、少なくとも1つの鋭利な端部を有する軸を具備する中空針と、人の指が届かないように、少なくとも前記針の鋭利な端部を包囲するようになされた中空のハンドルと、前記鋭利な端部を前記ハンドルから突出させた状態で前記軸を前記ハンドルに固定する固定手段と、前記固定手段を解除し、前記針の鋭利な端部を人の指が届かないように前記ハンドルの中へ実質的に永続的に後退させる解除/後退手段であって、前記針の軸よりも実質的に短い距離だけ簡単且つ単一の動作によって手操作で作動可能な解除/後退手段と、前記後退のエネルギの一部を吸収するためのエネルギ吸収手段とを備えることを特徴とする安全装置。
【請求項2】請求項1の安全装置において、前記エネルギ吸収手段は、前記針と前記中空のハンドルとの間に介挿される粘性物質を備えることを特徴とする安全装置。
【請求項3】請求項1の安全装置において、前記エネルギ吸収手段が、前記針と前記ハンドルの内部孔とのうちの一方に固定された表面と、前記針と前記内部孔とのうちの他方に担持されて前記表面に圧接し、前記後退の間に摩擦を生ずる要素とを備えることを特徴とする安全装置。
【請求項4】請求項1の安全装置において、前記エネルギ吸収手段は、前記後退の際に前記針と共に運動するように固定されたダッシュポット要素を備えることを特徴とする安全装置。
【請求項5】請求項1の安全装置において、前記中空のハンドルは、前記針がそれに向かって後退する端部構造を有し、前記エネルギ吸収手段は、前記針と前記端部構造とうちの一方に固定されて前記端部構造に対する前記針の衝撃の一部を吸収する押し潰し可能な要素を有することを特徴とする安全装置。
【請求項6】請求項1の安全装置において、前記後退の後に、前記針の前方への再設定を阻止する手段を更に備えることを特徴とする安全装置。
【請求項7】請求項1の安全装置において、前記中空針の中からの血液を収容する共に、前記後退によって生ずる力に抗して、前記針が後退する間に及び該後退の後に、前記血液を確実に保持するための収容/保持手段とを更に備えることを特徴とする安全装置。
【請求項8】請求項7の安全装置において、前記収容/保持手段が、前記針と共に運動するように固定された室を備え、前記後退によって生ずる力から前記室の内部を隔離するための隔離手段を更に備えることを特徴とする安全装置。
【請求項9】請求項8の安全装置において、前記隔離手段が、前記室の内部から空気を比較的ゆっくりと逃がし、これにより、前記中空針を介して血液が入るのを可能にする手段と、前記室の内部へ空気が比較的速く入るのを阻止し、これにより、前記後退の際に生ずる力によって血液が前記中空針を通って排出されるのを防止する手段とを備えることを特徴とする安全装置。
【請求項10】請求項1の安全装置において、前記収容/保持手段が、前記ハンドルに関連して設けられる室と、前記後退の間に生ずる力を前記室の中へ実質的に伝達することなく、前記中空針の中から前記カテーテルの中へ血液を搬送するための手段とを備えることを特徴とする安全装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般に、医療器具に関し、より詳細には、例えば脈管内カニューレのようなカニューレ、あるいは、カテーテル等を定置するために使用されるガイドワイヤの如き医療器具を患者の体内に挿入するための装置に関する。本発明は、病気に罹っている患者に使用された針によって偶発的に穿刺されることにより、他の人々が病気(特に、エイズ(AIDS)及び肝炎の如き致命的な病気)をうつされないようにするためのものである。
【0002】
【従来の技術】クーリ(Kulli)の米国特許第4,747,831号は、本発明に関連する技術の状況を説明しており、本明細書においては、上記米国特許全体を参照する。上記米国特許は、カニューレを患者の中へ挿入するために使用され、その後、患者の中で使用された装置の部分に人々が接触しないようにする安全装置を教示している。
【0003】本明細書においては、上記米国特許と同様に、該米国特許に図示され且つ説明され(第3欄、25行乃至37行)、また以下に説明するように、「カニューレ」とは、ハブ及び短い管から基本的に構成されるカテーテル・アセンブリを意味する。上述のように、本技術は、カニューレに直接使用されることに必ずしも限定されるものではなく、カテーテル用ガイドワイヤの如き他の医療器具を挿入するためにも使用することができる。
【0004】上記米国特許の装置は、患者を穿刺してカニューレ又は他の器具を案内して患者の体内の適所へ運ぶための針を備えており、そのような針は、少なくとも1つの鋭利な端部を有する軸を備えている。上記装置はまた、人の指が届かないように少なくとも上記鋭利な端部を包囲するようになされた中空のハンドルを備えている。
【0005】上記米国特許の発明はまた、その好ましい実施例のある主要な観点すなわち特徴において、上記鋭利な端部を上記ハンドルから突出させた状態で、上記軸を上記ハンドルに固定するための何等かの手段(「固定手段」と称される)を備えている。上記米国特許の発明はまた、上記固定手段を解除し、針の上記鋭利な端部を人の指が届かないようにハンドルの中へほぼ永続的に後退させるための何等かの手段(「解除手段」)を備えている。上記解除/後退手段は、針の軸よりも実質的に短い幅の簡単な単一の動作によって手操作で作動させることができる。
【0006】上記米国特許の発明はまた、その第2の主要な観点すなわち特徴において、(上記針及び中空のハンドルに加えて)上記針に固定されて該針から伸長するブロックを備えている。このブロックは、上記針の鋭利な端部を開口を通してハンドルから突出させた状態で、上記ハンドルの中に拘束されると共に、上記針をハンドルの中へ引き込むようにハンドルの中で運動するようになされている。上記米国特許の発明は更に、上記第2の主要な観点すなわち特徴において、上記ブロックを解除するためにハンドルの外側から作動可能なトリガ機構を備えている。このトリガ機構はまた、上記ハンドルの中で上記ブロックを強制的に動かし、これにより、上記針の鋭利な端部をハンドルの中へほぼ永続的に後退させて人の指が届かないようにするための積極的な偏倚手段を備えている。
【0007】上記米国特許の他の多くの細部は、上記米国特許第4,747,831号に詳細に説明されており、本明細書では、紙面の都合上、直接的には繰り返して説明しないが、上述のように、上記米国特許第4,747,831号の全体を本明細書において参照する。
【0008】上記米国特許第4,747,831号の装置を市場に供するための極めて長期間にわたる努力の過程で、そのような装置は、上述の総ての目的に関して完全に使用可能であり且つ便利であることが確認された。本明細書においては、上記米国特許第4,747,831号の装置の構造又は機能を批判したりそのような批判を示唆するものではない。
【0009】上述の如き装置が医療業界及び監督機関によって更に受け入れられ易くするためには、上記米国特許第4,747,831号の装置のある作動特性(周辺部に関することではあるが極めて重要な事柄)に注意を払うことが望ましいことが判明した。そのような事柄としては、(1)製造の経済性、及び、その結果生ずる作動の変動、(2)作動させる人員の技量の変動(結果的には作動させる人員による取り扱い上の変動)、並びに、その結果生ずる作動させる人員による医療器具の認識、及び、(3)例えば普通の社会的な条件に起因する、装置の誤使用の危険性が挙げられる。
【0010】上述の事柄のいずれもが、米国特許第4,747,831号の発明の本質的な欠点又は制約として適正に考慮されていないことは理解されよう。上述の事柄は、上記発明を更に改善する余地を残している。
【0011】上述の事柄はいずれも、実質的に従来技術の一部ではなく、本発明に至る研究によって提示されたものであり、本発明を達成する創造的且つ革新的なプロセスの少なくとも一部の要素であると見なされる。従って、本明細書においては、上述の如き事柄は、従来技術に関して説明するのではなく、後の本発明に関する説明において詳述する。
【0012】しかしながら、参考として、本項においては、上記米国特許第4,747,831号の装置又は他のカニューレ挿入装置を用いてカニューレ又は他の器具を挿入するための全体的な手順を説明する。その理由は、その手順自体が従来技術の一部であり、本発明に関する後の説明に関係があるからである。一般に、医師、看護婦、衛生兵又は他の医療スタッフが最初に、カテーテルを挿入するために選択された目標血管を特定し、次に、患者の皮膚及び血管壁を穿刺して、針の尖端及びカテーテルの一部を挿入する(米国特許第4,747,831号の図16参照)。
【0013】次に、医療専門家は常に慎重に、患者自身の血圧によって駆動される少量の患者の血液を中空針に通し、これにより、少量の血液を針の後部で見ることができる。このように針から流れる血液は、カニューレ挿入装置の一部であるある種の室に入る。この室は通常、該室の内部にある血液を観察することができるように、透明材料から形成される。
【0014】幾分かの血液を観察室の中へ流す操作は、医療分野の専門用語で「フラッシング(flashing)」として知られており、上記室に入る血液は「フラッシュ(flash)」量と呼ばれることがある。フラッシング段階は、カテーテルが実際に血管の中へ挿入されていることを確認する目的を有する。
【0015】米国特許第4,747,831号の発明の場合には、上記室は中空のハンドルであり、該中空のハンドルの中へ針が後退する。従って、中空のハンドルは、観察室としての二重の役割を果たす。
【0016】他のタイプのカニューレ挿入装置においても、上記室は中空のハンドルとすることができる。そのような他のタイプの装置においては、上記室は一般に、フラッシュ血液が該室の中へ入るのを許容して該血液を保持する一方向性の室として構成される。
【0017】上記血液が堅固な室の中へ入るのを許容するために、最初に室の中にある空気を逃がすための何等かの手段を設ける必要があり、一方、室の中へ入った血液を保持するためには、上記室はある程度流体密にする必要がある。このような見かけ上相矛盾する要件は、種々の方法で満足させることができ、例えば、空気を逃がすことができると共に血液を室の中へ緩やかに通過させる息抜き穴又は息抜き管を注意深く定置し、これにより、室から流出する液体を邪魔する比較的長く高い抵抗を有する経路を形成することができる。
【0018】上記要件は、近年においてはより頻繁に、比較的大きなオリフィスすなわち開口を例えばハンドルの後方端に設けることにより達成され、上記オリフィスは、選択的なフィルタによって閉じられており、これにより、少なくとも室の中へ流れる血液に一般に関連する流速において空気を幾分容易に通過させるが、血液が室から出るのを阻止する。そのような目的は、例えば親水性のフィルタによって最も良く達成することができ、そのようなフィルタが時々使用されている。
【0019】所望のフラッシュ量の血液を観察した後に、米国特許第4,747,831号に記載されるように、通常医療専門家は、指又は手の他の部分を血管の上に置いて血管を圧搾することにより、血液を一時的に止める。この停止を行っている間に、医療専門家は針を注意深く引き抜いてカニューレ又は他の器具の挿入された端部を適所に残し、適宜な脈管接続管、より一般的には排出管をカニューレ等のハブに固定する。
【0020】次に、医療専門家は、通常はテープの小片を用いてカニューレ又は同様の器具を患者の体に固定し、上記血管に手で与えられている閉止圧力を解除する。次に、種々の液体を上記器具を介して患者の血流の中へ導入することができ、周知のように患者の血圧の監視等を行うことができる。
【0021】米国特許第4,900,307号、4,900,307号、4,927,414号及び4,929,241号を含む他のクーリー(Kulli)の特許も従来技術の一部を教示しており、これら米国特許の幾つかは、別の意味で針の再使用を阻止する特徴を開示している。
【0022】本発明の分野に使用される技術の重要な特徴は、有用な改善の余地がある。
【0023】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】本発明は、上述の如き改善を行うものである。本発明を比較的厳密に説明する前に、幾つかの非公式な方向づけを以下に行う。
【0024】そのような最初のコメントは、本発明を説明するものではないことを理解する必要がある。このようなコメントは、上に説明した特殊な事柄の背景にある特徴を認識し、あるいは、本発明の基本となる原理を理解する際に助けとなる単なる洞察(そのような洞察は、本発明に関連する発明の寄与の一部であると考えられる)である。
【0025】フラッシュ漏洩:クーリー特許の開示に従って構成された装置を更に研究することにより、例えば、患者からの血液が装置のハンドルから後方又は前方へ、あるいは、針から前方へ漏洩するように、上記装置が取り扱われることがあることが判明した。そのような漏洩に結び付く操作の幾つかは、従来技術の項で詳細に説明したように装置の使用に必須の部分であり、他の操作は、オペレータの技倆、注意深さ、予測力等の違いによる。
【0026】いずれにしても、装置を医療業界全体を通じて大量に使用されるようにするためには、上述の如き取り扱い上の違いにより生ずる血液の漏洩の可能性を極力少なくすることが望ましい。時として血液の漏洩に結び付く操作は、既に上述したいわゆるフラッシング段階である。
【0027】最初に、クーリー特許は、中空のハンドルの後方のオリフィス等にフィルタを設けること、あるいは、幾つかの他の挿入装置のように空気を選択的に通過させて血液を通過させない手段を設けることを提案していないことを指摘することができる。クーリー特許はその代わりに、後方のオリフィス13等をカニューレのハブと実質的に等しい内径だけ解放した状態に維持し、これにより、カニューレのハブに取り付けるように切り替える準備として医療専門家によって時々望まれるように、脈管の管をハンドルに一時的に通して取り付けることを可能としている。
【0028】しかしながら、実際の医療の現状においては、そのような一時的な取り付けは嫌われ、フラッシュ血液の保持がより重要であると考えられている。従って、クーリーの装置の後方のオリフィス13等に適宜なフィルタを単に取り付けるか、あるいは、ハンドルの後方端をシールすることにより後方のオリフィスを除去し、フラッシュ血液が入ることができるように空気を逃がすための他の何等かの手段(例えば、小さな通気口又は管)を設けることが考えられる。
【0029】しかしながら、そのような要件を解決する努力を行っている間に、幾分驚くべきことに、上述の如きフィルタ又は小さな通気口を設けることが十分ではないことが分かった。その理由は、クーリーの針、あるいは、針及びブロックを中空のハンドルの中へ後退させると、ある量のフラッシュ血液が押し出されてハンドルの中に溜まる傾向があるからである。この押し出しは、何等かの経路を介して血液をケーシングの外方へ急激に排除する傾向がある。
【0030】1つの漏洩通路は、針及びそのキャリアブロックを通って前方へ向かう通路である。換言すれば、そのような装置においては、後退ボタンが作動されると、血液が、針の前方端から外方へ噴出する。これは、単に乱雑になるというだけではなく、付近にいる人が患者の血液に露呈されるというより重大な事態を生ずるので、許容できない結果である。血液に露呈されるということは特に問題であり、その理由は、後退型の針を提供する重要な目的が、そのような露呈を極力少なくすることであるからである。
【0031】針キャリアブロックが、極めて小さな半径方向の空隙を有するその最初の位置すなわち前方でロックされた休止位置から後退した後の他の通路は、針及びブロックの周囲で前方へ向かう通路である。この場合には、血液は、クーリーのハンドル又はハウジングの前方の開口を通って出ることにより、アセンブリから漏洩する。
【0032】装置の単に付随する空隙を利用した上記通路は、特に後退時における中間のピストン駆動される血液の排出に関して、針を通るよりも少ない漏洩をもたらす傾向がある。しかしながら、この第2の通路は、依然として重要であり、その理由は、幾分ゆるやかであるがより長い室の前方からの血液のしたたりが生ずる可能性があり、そのようなしたたりは、時として、装置の使用が一応完全に終了してテーブル又はトレイの上に置かれて人が最早血液の漏洩の可能性に注意を払わなくなった後に生ずるからである。
【0033】また、開発の過程において、針を通る血液の急激な排出の可能性が、比較的大きな半径方向の空隙を有するように針キャリアブロックを形成し、且つ、医療専門家にハンドルを約4分の3よりも多く充填しないように指示することによって、極めて大幅に低減することが分かった。これら2つの要件は、針の中の血液の比較的大きな粘性と相俟って、後退時において血液を室の中に再配置するための十分な機械的な容積を可能とし、これにより、針を通る血液の噴出を概ね排除することができる。
【0034】しかしながら、幾つかの場合には、例えば、大きな血管を有すると共に血圧が高い患者の場合には、上記室はフラッシュ血液で急速に充填されるので、4分の3を越えて室を充填しないようにするのが不可能である。高度の技倆を有しまた特別に指示された医療専門家は、適宜な場合に急速な充填を予測し、また、特に器用に操作することにより、過充填を確実に防止することができることが分かったが、一般的な使用においては、フラッシュの容積は、挿入装置の製造者が制御できない。
【0035】更に、針ブロックの周囲に比較的大きい空隙を設け、同時に、針を通る血液の急激な排出の可能性を低減することは、針の周囲の付随する空隙に沿って血液が長期間漏洩する可能性を高めるという望ましくない効果を有する。装置の前方端に特殊な寸法の弾性シールを設けることにより後者の複雑性を解消する努力は、操作上は満足すべきものであったが、高価であり、特に組み立てが煩雑であって、フラッシュ体積の制御に関する前者の要件を満たすことができない。
【0036】ユニットの後方開口にフィルタを設けるか、あるいは、他の方法で上記開口を閉じて通気口を設けることにより、クーリーの装置に実質的に通常のフラッシュ室のケーシングを設けるという見かけ上簡単な最初の手段は、フラッシュを包囲するという最初の望みに少なくとも等しい程度の血液の噴出又は漏洩をもたらすことがある。
【0037】非常に広範な実験、並びに、試行錯誤の後にのみ、この関心事が、ハンドルに対して固定された点におけるフラッシュ血液の包囲又は阻止を行うための明白な初期の選択であるということを実現される。一方、この選択は、ハンドルの中の血液と移動する針ブロックによって形成されるピストンとの間の相対的な運動を意味する。
【0038】漏洩に関する基本的な問題、すなわち、針を通る血液の前方への急激な排出を生ずるのは、上記相対的な運動、特に、血液を通って移動するキャリアブロックの運動である。従って、この問題に対する解決策は、運動可能な針に効果的に固定された点におけるフラッシュ血液を包囲あるいは阻害することとは別の方法に見い出すことができ、これにより、血液と運動する針ブロックとの間の効果的な相対運動を排除することができる。
【0039】「効果的に」及び「効果的な」という用語を使用する理由は、フラッシュ血液に後退力が与えられるのを阻止する何等かの構造が、ケーシングをハンドルに固定することができる場合でも、血液のケーシングが移動する針と空圧的に連携するからである。
【0040】上記着目点の変更は、フラッシュ血液が針の後部から流れることができるようにケーシングから空気を逃がし、次に、針の後退時においても、その血液を安全に包囲した状態で保持するようにするための種々の可能性をもたらす。特に、そのような構造においては、フィルタ又は通気口を移動する針に関連して設けることができる。
【0041】上記関連により、有益な結果がもたらされ、空気を流す能力が限定された(後退時のピストン効果によって動かされる空気に比較して)フィルタ又は通気口が、漏洩のない好ましい作用をもたらす。空気流が限定されたフィルタ又は通気口は、後退の際に形成される空気圧の増大から室の中のフラッシュ血液を隔離することにより上述の如き作用を行う。
【0042】従って、移動する針、キャリアブロック、室、フィルタ又は通気口、並びに、フラッシュ血液は総て、中空のハンドルの中の空気に作用する複合ピストンを形成してそのように作用する。また、ハンドル自身は、フィルタ又は細かい通気口によってシールする必要はなく、複合ピンによって動かされる空気は、周囲に迅速に解放される。
【0043】漏洩の問題を解決するための他の方法は、針(収容室ではない)の中のフラッシュ血液を後退時に生ずる空気圧の増大から隔離することである。例えば、逆止弁を設けてそのような作用を行わせることができる。
【0044】後退速度:クーリーの針及びブロックの後退は、幾つかの好ましい実施例においては、例えばコイルバネの如き偏倚手段によって行われる。どのような駆動ユニットを用いた場合でも、その結果生ずる後退速度は、偏倚力の変動の影響を受ける。そのような偏倚力の変動は、針、ブロック及びハンドルの寸法公差による変化、並びに、特に、例えば上述のように手の圧力によって針の先端に生ずる側方及びねじれ方向の大きく変化する力が複合されたものである。
【0045】そのようなファクタは一緒になって、最終的に生ずる後退速度に広い範囲の変動をもたらす。結局、種々の公差が、実質的にある値の確実且つ迅速な後退となるように選択された場合には、総てのファクタが後退力及び速度を最小にするような方向に向かい、総てのファクタが最大の力及び速度に向かう傾向がある時には、望ましくない高い速度が生ずる。
【0046】機構が完全に機能した場合でも後退速度は不当に高くなることがあり、それ自身あるいは他のものに傷害又は損傷の脅威を与えない。そのような不当に高い速度は、異常に強い後退又は乱暴な後退に驚いたり不愉快に感じたりする何等かの医療専門家、あるいは、単純に専門家とは思われない医療従事者の予測から生ずる。
【0047】上述のようにある場合には極めて高い速度に結び付く広範囲の速度の変動は、機械的な公差をより厳密にすることにより排除することができる。しかしながら、より厳密な仕様に基づくそのような解決策は、関連するコストが高くなることを考えると、望ましくない。
【0048】上に述べたように、望ましくない高い速度、並びに、その結果生ずるうるさいかちっという音すなわち嵌合する音は、より小さなバネ圧力、より狭い空隙等を用いることにより解消することができるが、全変動範囲の内の低速側の限界へと問題が移行する。換言すれば、針が不確実に、あるいは、あまりにも遅く後退することになる場合がある。
【0049】従って、本発明の一部は、後退が(1)確実に行われると共に、(2)速度を制御され、更に、これら2つの機能を実質的に2つの異なる機械的な要素にそれぞれ割り当てることにより、非常に経済的な装置の中で行うという認識に基づくものである。より詳細には、十分に強いバネあるいは他の偏倚手段を選択することにより、確実で迅速な後退を行い、緩衝手段又は他のエネルギ吸収手段を設けることにより、過度の後退を阻止又は補償することを可能とする。
【0050】適宜なエネルギ吸収要素は、例えば、針キャリアブロックと中空のハンドルの内部孔との間に介挿される粘性を有する潤滑剤、並びに、該潤滑剤の定置を容易にするための手段(潤滑ポートの如き)の形態を取ることができる。このタイプのエネルギ吸収は、針の全行程にわたって終始一貫した抵抗力をもたらさず、その結果生ずる速度制限作用は、ストロークの最初に集中するように思われ、チキソトロピー又は接着性の効果から部分的に生ずる。
【0051】そのような効果は、例えば、(1)バネのコイルを互いに接着させ、徐々にゆっくりと離してストロークを開始させるようにする潤滑剤の性質、並びに、(2)針キャリアブロックをハンドルの内部孔に接した状態で適所に接着させ、該ブロックを上記孔の表面から最初に徐々にゆっくりと離す潤滑剤の性質を含むことができる。いずれにしても、この技術の作用的な機構が物理学又は古典的な力学のレベルで十分に理解されるか否かに拘わらず、上記形態のエネルギ吸収が非常に満足すべきものであることが分かった。
【0052】上記タイプのエネルギ吸収はまた、針が後退する前に、キャリアブロックを内部孔に対してシールするという追加の利益をもたらす。このような状況において、負圧(例えば、外部プランジャからの)を内部通路、従って、フラッシュ室及び針の管腔へ与え、これにより、上記室の中へフラッシュ血液を吸引する助けをする。そのような負圧の付与は、例えば、患者の血圧が非常に低い場合のような幾つかのケースにおいてフラッシング操作を助けるのに望ましい。
【0053】しかしながら、他のエネルギ吸収要素も使用可能であり、本発明の範囲に入るものと考える。例えば、別個の機械的な要素を中空のハンドルの中に設け、針又はキャリアブロックに向けて側方に(例えば、半径方向に)偏倚させ、これにより、後退を遅らせる摩擦力を与えることができる。そのような装置においては、偏倚力及び表面の材料は、所望の緩衝レベルを得るように選択可能である。上述の構成においては、例えば、ハンドルハウジングの如き中空の形状を成形する際に一般に用いられるドラフトを用いるかあるいは意図的に配置することにより、偏倚力をストロークに沿って変化させることが好ましい。
【0054】他の例として、中空のハンドルの中の別個の又は好ましくは既存の要素によって、ダッシュポット装置を形成することができる。この場合には、エネルギ吸収効果は、粘性を有する潤滑剤による装置に比較して、真の緩衝という意味においてより優れているように思われるが、そのエネルギ吸収効果は、後退ストロークの終端付近に集中する傾向があり、一方、好ましい粘性を有する潤滑剤の技術の場合には、その緩衝作用は、後退ストロークの始まり付近に集中する傾向がある。
【0055】誤用の危険性:不幸にして今日の社会においては、廃棄された医療用針をドラッグ中毒者が幻覚的な薬すなわちドラッグ等を注射するために使用することが一般的な現象になっている。中毒の社会的な害悪、並びに、その結果生ずる犯罪とは別に、そのような廃棄された医療器具の誤用あるいは悪用は、病気に罹った患者の血液から病気を広げる危険性がある。
【0056】従って、偶発的な針穿刺による医療従事者の不用意な感染を防止するというその基本的な機能に加えて、針を含むあらゆる廃棄された医療器具は、その後再使用されないように構成されるのが望ましい。
【0057】米国特許第4,747,831号を研究したところ、針及びそのキャリアブロックは、ねじ回しの刃の如き細長い工具を挿入して針又はブロックの後方端を押すことにより、ハンドルの中の前方に再設定することができることが分かった。従って、前方の位置に保持されているブロック及び針は、ラッチボタンを外方に再設定することにより、その位置に再度ロックすることができる。
【0058】別の方法として、比較的短い工具を用いて、鋭利な針の先端をハンドルの前方端を通して前方へ戻すことができる。これにより、人間が針の先端を指、プライア等で掴み、その針を前方へ引っ張って前方の再設定位置へ動かすことができる。
【0059】上記いずれの方法においても、病院及び他の医療機関によって廃棄された汚染されている可能性のある医療用針を完全又は部分的に再配備し、誤用又は悪用することができる。
【0060】そのような誤用又は悪用は、上述の如き工具の挿入を阻止又は防止する構造によって防ぐことができる。邪魔されずに内部の針に接近するために人がハンドルの後方端を切り開くことを阻止することは実際にはできないが、そのような方策を講じなくても、種々の誤用防止構造が本発明の範囲に入ることは理解されよう。
【0061】上述の如き基本的な考察を念頭において、本発明を総括する。本発明は幾つかの主要な特徴すなわち観点を有している。
【0062】第1の特徴を有する好ましい実施例においては、本発明は、カニューレの如き医療器具を患者の中へ挿入するために使用される安全装置を提供する。この安全装置は、上記挿入の後に、患者の中にあった装置の一部に人が接触して患者の血液に接触するのを防止する。本装置は、患者を穿刺し且つ上述の如き医療器具を患者の体内の適所へ案内及び搬送するための中空針を備えており、該針は、少なくとも1つの鋭利な端部を有する軸を具備している。
【0063】本発明の第1の特徴を有する上記装置はまた、人の指が届かないように少なくとも針の鋭利な端部を包囲するようになされた中空のハンドルと、上記鋭利な端部をハンドルから突出させた状態で、上記軸を上記ハンドルに固定するための何等かの手段とを備えている。そのような手段は、本発明を幅広くより一般的に議論するために、「固定手段」と呼称される。
【0064】本装置は更に、上記固定手段を解除し、上記針の鋭利な端部を人の指が届かないようにハンドルの中に実質的に永続的に後退させるための手段を備えている。そのような手段は、本発明を幅広くより一般的に議論するために、「解除/後退手段」と呼称され、そのような解除/後退手段は、針の軸よりも実質的に短い距離だけ簡単且つ単一の運動によって手操作で作動させることができる。
【0065】本装置は更に、中空針の中から血液を収容し、針が後退する間及び後退した後に、該後退によって生ずる力に抗して、上記血液を確実に保持するための何等かの手段を備えている。
【0066】上記記載は、本発明の第1の主要な特徴を極めて幅広く且つ一般的に説明あるいは定義するものである(種々の形態の収容/保持手段が本明細書の随所に記載される)。
【0067】本発明の第1の特徴は、上述の形態においても、上述の問題点を解決するために必要な改善をもたらす。すなわち、収容/保持手段は、後退力を受けた場合でも血液を受け入れて保持することができ、クーリー型の装置に選択的なフィルタを取り付けた場合に時々観察されるフラッシュ血液の排出を防止することができる。
【0068】しかしながら、本発明の利益を最大限享受するためには、本発明の上記第1の特徴を他のある特性すなわち特徴と組み合わせるのが好ましい。本発明の上記第1の特徴を後述する他の基本的な特徴と組み合わせて実施するのが極めて好ましいが、そのような主要な特徴に加えて、幾つかの他の好ましい特徴すなわち特性がある。
【0069】例えば、収容/保持手段は、針と共に運動するように固定された室と、収容され且つ保持された血液を本装置のユーザが観察できるようにする何等かの手段とを備えるのが極めて好ましい。より詳細には、上記室は、中空のハンドルの中で針に固定されるのが好ましい。
【0070】また、上記収容/保持手段は更に、上記室を上記後退によって生ずる力から隔離するための何等かの手段を備えるのが好ましい。幾つかのそのような隔離手段が、本発明の範囲に入る。
【0071】そのような隔離手段として、上記室の内部から気体を搬送するための比較的大きな抵抗を有する手段がある。そのような手段は、例えば、血液が中空針を通って入ることができるように上記室の内部から空気を比較的ゆっくりと逃がすための手段と、後退の際に生ずる力によって中空針を通って血液が排出されるのを阻止するために、上記室の内部へ空気が比較的急速に入るのを阻止するための手段とを備えることができる。そのような大きな抵抗を有する搬送手段は、選択的なフィルタ、あるいは、空気を通気するための細かい通路の形態を取ることができる。
【0072】また、上記収容/保持手段は、上記ハンドルに関連して設けられる室と、後退の間に生ずる力を上記室の中へ実質的に伝達することなく、血液を上記中空針の中から上記室の中へ搬送するための何等かの手段とを備えるのが好ましい。例えば。血液搬送手段は、上記室と中空針の内部との間に連通する可撓性を有する管か、上記室の内部と中空針の内部との間に連通する破壊可能な通路(この装置においては、上記収容/保持手段がこの破壊可能な通路を壊す)か、あるいは、上記室の内部と中空針の内部との間で血液流通路に沿って設けられる逆止弁を備えることができる。
【0073】本発明の第2の主要な特徴すなわち観点による好ましい実施例においては、本発明は、カニューレの如き医療器具を患者の中へ挿入し、その後、患者の中にあった部分に人が接触するのを防止するための安全装置である。この装置も、中空針と、中空のハンドルと、固定手段と、上記針の軸よりも実質的に短い距離だけ簡単且つ一体的に運動させることにより手操作で作動可能な収容/保持手段とを備えており、これら各構成要素は上に説明したものと実質的に同一である。
【0074】また、本発明の第2の主要な特徴を有する好ましい実施例による装置は、本発明を幅広く且つ一般的に議論するために「エネルギ吸収手段」又は単に「吸収手段」と呼称され、後退エネルギの一部を吸収するための何等かの手段も備えている(本明細書の随所で説明するように、本発明の範囲内において、種々の吸収手段を採用することができる)。
【0075】上記記載は、本発明の第2の特徴を最も一般的なあるいは広い形態で定義あるいは議論するものであり、この第2の特徴も上述の問題点を解消することができる。すなわち、エネルギ吸収手段は、針キャリッジを確実に後退させるように十分な駆動を与えることができ、その理由は、そのような駆動を与えられたキャリッジは、うるさいあるいはかちゃっとする後退時の騒音を発生することがなく、あるいは、強いあるいはがたがたした作動を行うことがないからである。
【0076】しかしながら、本発明の利点を最大限利用するためには、本発明の上記第2の特徴もその効果を向上させる別の特徴及び特性と組み合わせて実施するのが好ましい。例えば、本装置は、後退運動に抵抗する傾向がある集積された製造公差があっても、そのような後退運動を確実に行わせるための何等かの偏倚手段を備えるのが好ましい。すなわち、十分な後退力をもたらすことにより上述の可能性を実現することができる。
【0077】吸収手段は、針と中空のハンドルとの間に介挿された粘性物質を含むのが好ましく、上記吸収手段は更に、上記粘性物質を中空のハンドルの中に定置するために中間のハンドル内に形成されたポートを備えることもまた好ましい。
【0078】また、吸収手段は、上記針及び上記ハンドルの内部孔の一方に固定された表面と、上記針及び上記内部孔の他方に担持されて上記表面に圧接し、上記後退の間に摩擦力を生ずる要素とを備えるのが好ましい。更に、吸収手段は、上記後退の際に針と共に運動するように固定されたダッシュポット要素を備えるのが好ましい。
【0079】第3の主要な特徴すなわち観点による好ましい実施例においては、本発明は、上述のように、カニューレの如き医療器具を患者に挿入し、その後、患者の中にあった部分に人が接触するのを防止するための安全装置である。本装置は、上述のように、中空針と、中空のハンドルと、固定手段と、上述の特徴を有する手操作で作動可能な解除/後退手段とを備える。
【0080】また、本発明の第3の主要な特徴による装置は、上記後退の後の針の再配備を阻止する何等かの手段(「阻止手段」)を備える(そのような手段の種々の形態が本明細書の随所に記載される。)。
【0081】上記記載は、本発明の第3の特徴を幅広くすなわち最も一般的な形態で定義あるいは説明するものである。しかしながら、この広い形態であっても、上述の針誤用の問題を解決することができ、その理由は、上記阻止手段は、中毒者又は他の人が針を再使用する危険性を大幅に低下させ、これにより、そのような誤用又は悪用により病気が感染する危険性を低下させる。
【0082】本発明の上記第3の特徴は、その利益を最大限に利用するために、他の特徴又は特性と組み合わせて実施するのが好ましい。例えば、上記阻止手段は、上記後退の後に針に接近するのを阻止するのが好ましい。また、これに代わってあるいはこれに加えて、上記阻止手段は、後退の後に、針の前進運動又は固定手段の再係合あるいはその両方を阻止するのが好ましい。
【0083】本発明の第4の特徴を有する好ましい実施例においては、本発明は、後退型の針を有するカテーテル挿入装置であって、このカテーテル挿入装置は、穿刺端及び内方端を有する細長い中空針を備えている。
【0084】また、本装置は、内部通路の中で運動可能に収容されて内部室を形成すると共に、針の内方端が上記内部室に連通し、また、針の穿刺端が外方へ伸長するように上記針を支持する針キャリッジを備える。本装置はまた、針の穿刺端をハンドルの外方に位置させた状態で、針及びキャリッジを固定するための何等かの手段も備える。また、本装置は、上記固定手段を解除して針及びキャリッジをハンドルの内方へ後退させ、これにより、針の穿刺端をハンドルの内側に位置させるための何等かの手段も備える。
【0085】上記記載は、本発明の第4の基本的な特徴の広いすなわち最も一般的な形態の定義又は説明を行うものである。この形態の本発明も、上述のようにクーリーの装置に選択的なフィルタを取り付けた場合に生ずる血液の急激な漏洩すなわち噴出に関する重要な問題を解消する。
【0086】上記第4の主要な特徴として広い意味で上に説明した本発明は、血液をハンドルの中に保持するのではなく、後退の間に血液を針と共に搬送し、従って、血液と針との間に相対的な運動を何等生じないようにすることにより、上述の問題を解消する。従って、後退の間に生ずる圧縮力を処理し、そのような圧縮力が血液と共に搬送される針に与えられるのを阻止するだけで良く、そのような力の処理は、本明細書の随所に述べる種々の手段によって行うことができる。
【0087】しかしながら、本発明の上記第4の主要な特徴を他の特徴又は特性と組み合わせて実施し、これにより、最も効果的な全体的な構造及び機能を果たすようにするのが好ましい。例えば、内部室は、該内部室の内容物を観察可能にするための何等かの手段を備えるのが好ましい。
【0088】また、上記内部室は、針の内方端に封止的に取り付けられた第1の端部と、第2の端部とを形成するのが好ましい。更に、針キャリッジは、上記内部室からハンドルの内部通路への空気のゆっくりとした通過は許容するが、そのような血液の通過は阻止するための手段を備え、該手段は、ハンドルの内部通路から上記内部室の中への空気の急速な通過を阻止する。
【0089】上記許容/阻止手段は、上記第2の端部を覆うフィルタを備えるのが好ましい。そのようなフィルタは、親水性の材料から形成されるのが好ましい。
【0090】また、ハンドルは、粘性物質をハンドルの内部通路の中へ導入するための注入開口を形成するのが好ましく、本装置は更に、上記注入開口を介して導入されて上記キャリッジとハンドルの内側面との間に位置する粘性物質を備える。また、本装置は、ハンドルの内部通路を横断して固定される格子すなわちグリルを備えるのが好ましい。
【0091】上述のように、本発明の上記総ての主要な特徴は、互いに組み合わせて実施されるのが好ましい。しかしながら、そのような主要な特徴は、種々の範囲で別個に実施することができる。
【0092】上述の作動原理並びに本発明の効果は、図面を参照して説明する以下の詳細な記載からより明らかとなろう。
【0093】
【実施例】図1及び図3は、細長く概ね円筒形のハンドルハウジング20を備える本発明の好ましい実施例10を示しており、上記ハンドルハウジングは、円筒形の壁部21及び円筒形の内部通路24を有している。ハウジング20はまた、直径が増大した端部凹所23を形成している。
【0094】円筒形の端部プラグ85が、空気通路87及び格子86を形成しており、該格子は図示のように、例えば十字形とすることができる。プラグ85は、力すなわち干渉嵌め、並びに、例えば、接着剤又は音波溶接の如き適宜な取り付け手段を用いて、端部凹所23の中に固定されている。
【0095】ハンドルハウジング20の外側面に形成されているのは、半径方向に伸長する(すなわち、装置を図1に示す向きに置いた場合には上方に伸長する)トリガガード25、並びに、ユーザが装置を確実に掴むのを容易にする複数のリブ26である。また、円筒形の内部通路24に連通するように円筒形の壁部21を貫通してハンドルハウジングに形成されているのは、概ね円形の潤滑剤ポート27である。
【0096】前方ハウジング30が、ハンドルハウジング20の前方端に固定されており、この固定も、接着剤、音波溶接等の如き適宜な手段によって行われるが、スナップ嵌めによって行われるのが好ましい。上記前方ハウジングは、前方へ伸長する概ねテーパ形状のノーズ部分40を形成しており、該ノーズ部分は、その最前方の先端に形成された針挿通開口42と、ノーズ部分40と概ね同一の広がりを有すると共に前方ハウジングの内部空所33と針開口42との間に連通するテーパ形状の通路41とを有している。
【0097】前方ハウジング30、あるいは、ハンドルハウジング20の前方端を横断する方向に形成されているのは、対向する一対のスロット31、32であって、これらスロットは、ハンドルハウジングの前方端を横断する方向に形成されるのが好ましい。ロックスライダすなわちトリガ50(図3及び図4にある程度良好に示されている)が、細長く概ね平坦なロック部材52を形成している。このロック部材は、金属の如き堅固な材料から形成されるのが好ましく、対向するスロット31、32に摺動可能に収容されている。平坦なロック部材52を貫通して形成されているのは、キー穴形状の開口すなわちスロット53である。
【0098】ハンドルの円筒形の内部通路24の中で運動可能に好ましくは摺動可能に収容されているのは、キャリッジ60である。
【0099】キャリッジ60の部分63を貫通して該部分の中で封止的に固定されているのは、細長く中空の針70である。針70の内方端が、内部フラッシュ室61に連通するように位置決めされるが、上記内方端は、上記内部フラッシュ室の中に設けられるのが好ましい。
【0100】中空針70の残りの部分は、キャリッジ60から前方へ伸長し、前方ハウジング30のノーズ部分40のテーパ形状の通路41及び開口42を通過している。上記針は、斜面74によって形成される穿刺先端で終わっている。
【0101】従って、患者から中空針70を通って装置の中へ通過するフラッシュ血液は、内部フラッシュ室61の中へ導入されて観察される。本装置は、この装置のユーザがフラッシュ血液を観察することができるようにするための何等かの手段を備えており、そのような手段は、別個に形成される透明な窓を含むことができるが、キャリッジ60全体並びにハンドルハウジング20を含む上記室61全体を製造する際に使用される透明な材料を含むのが好ましい。
【0102】針キャリッジ60はまた、前方端65と、円周方向の好ましくは円形の溝64と、疎水性のフィルタ62が設けられている後方端とを形成している(疎水性/親水性の複合ユニットを使用する可能性もある)。上記フィルタは、フラッシュ室61の液体シールをもたらすが、ハンドルの通路24の中へ空気が外部へ拡散することは許容する。
【0103】コイルバネ80が、針キャリッジ60の縮径部63を包囲してこれを収容しており、上記コイルバネは、針キャリッジ60とロックスライダ50との間に都合良く捕獲されている。後に分かるように、バネ80は、ハンドルの内側の部分に着座することもできる。
【0104】通常のカテーテル又はカニューレ11が、カテーテルハウジング90を備えており、該カテーテルハウジングは、前方ハウジング30のノーズ部分40をスナップ嵌めの如き通常の取り付け態様で収容する内部空所94を有している(カニューレと関連して本発明を説明するのは単に記載を明瞭にするためであり、上述のように、本発明は他の医療器具を定置するために使用することもできる)。カニューレ11はまた、細長く中空のカテーテル管91を備えており、該カテーテル管は、端部分92と、上記管91及び端部分92を貫通する針通路93とを有している。
【0105】カテーテル管91の内方端は、通常の如く、カテーテルハウジング90の内部空所94の中で封止的に固定されている。図1の組み立てた状態においては、針70の穿刺先端73及び斜面74は、カテーテル管91の端部92を若干越えて伸長し、針ユニット10の穿刺作用を容易にする。
【0106】図1は、本装置の針が伸長した状態を示しており、この状態においては、キャリッジ60及び針70は、スライダ/トリガ50のキー穴開口53に整合した状態で、圧縮バネ80の力に抗して前方へ引き出され、スライダ50によって上記前方の位置に保持されている。
【0107】針70及びキャリッジ60の上記前方の位置決めは、最初にトリガ50を前方ハウジング30又はハンドル20のスロット31、32の中で下方へ(図面で見て)動かし、これにより、キー穴開口53の大きな横方向の寸法を有する円形部分55(図4により良く示されている)を針キャリッジ60の端部分65に整合させる間に行われる。上記端部分は、キャリッジ60の円周方向の溝64を平坦なトリガプレート50に整合させるに十分なように、大きな横方向の寸法を有するキー穴の円形部分55に通されている。
【0108】キャリッジ60が長手方向に整合されると、ロックスライダ50は、図1及び図3に示す位置まで隆起し(図示のように)、これにより、上記ロックスライダのキー穴形状の開口53の狭い部分56が、キャリッジの溝64の中に嵌合し、バネ80の力に抗して、キャリッジ60及び針70をそれぞれの前方位置に捕捉して保持する。この段階において、関連するカニューレ11を有する装置10は使用される準備が整う。
【0109】この適正に使用できる状態において、医療専門家は装置を操作し、該装置のハンドルハウジング20を保持して患者の皮膚及び目的の管壁を穿刺し、これにより、穿刺先端73及びカニューレのチップ90を目的の脈管の中に挿入する。このようにすると、患者の少量の血液すなわちフラッシュ血液が、患者の血圧によって中空針70の通路を通ってフラッシュ室61の中へ流れ、これにより、同様の量の空気をフィルタ62を介して上記フラッシュ室から容易に排出することができる。
【0110】しかしながら、血液自身は上記フィルタによって実質的に阻止されて室61の中に実質的に完全に閉じ込められ、上記室において血液を容易に観察して針及びカテーテルが適正に挿入されたことを確認することができる。フラッシュ血液を観察した後に、医療専門家は、カニューレ11を適所に保持しながら、針70を患者の体から引抜く。
【0111】この時点において、装置10は、フラッシュ室61の中にある量の患者の血液を収容しており、針70の中空通路の外側及び内側は、少量の患者の血液によって汚染されている。従って、好ましい安全な方法に従えば、装置10は、人間がそのような血液で汚染される危険性を考慮して、廃棄すべきである。
【0112】上記米国特許第4,747,831号(クーリーの特許)の装置の使用方法と同様に、医療専門家は、トリガ50を操作することにより、すなわち、ロックスライダ/トリガ50を下方へ(図面で見て)押し、キー穴開口52の大きな横方向の寸法を有する円形部分55を図4に示すように再度針キャリッジ60の前方端65に整合させることにより、針70を図2及び図4に示す如き安全な位置すなわち後退した位置へ引き戻すことができる(トリガガード25は、トリガが不用意に早期に作動するのを防止する役割を果たす)。
【0113】上述のように、開口52の大きな寸法を有する部分55は、キャリッジ60の前方端65を貫通させるに十分な大きさを有しており、従って、これら部分が並置されると、キャリッジ60に対するスライダ50のロック作用が解除され、最早バネ80の復元力に抵抗しなくなる。その結果、上記バネは、針キャリッジ60がハンドルハウジング20の通路24を通って図2に示す位置へ後退するのを加速する。
【0114】この位置においては、穿刺先端73を含む針70の全体が、前方ハウジング30の内部へ引き込まれ、従って、医療専門家又は他のどのような人の皮膚も穿刺することができなくなる。端部プラグ85は、ハンドルハウジング20の後方端22にある開口を通るキャリッジ60の運動を阻止し、これにより、キャリッジ60及び針70をハンドルの中に保持する。
【0115】本発明に関して重要なことは、針が後方へ急速に後退させることにより、中空のハンドル20の通路24の中へ空気を迅速に移動させることである。しかしながら、格子86の開口、並びに、針担持ブロックの周囲前方の空気漏洩路によって、上記後退により、通路24の中には比較的小さな空気圧の上昇が生ずる。
【0116】上記後退が通路24の中に短時間の圧力パルスを生ずる限り、上記フィルタは実質的に空気不透過性の壁部すなわちピストンの役割を果たし、フラッシュ室61の内部をそのような圧力から隔離する傾向がある。その結果、上記後退の間に生ずるどのようなピストン効果を有する圧力もフラッシュ室61の中の血液に与えられず、従って、上記血液は、中空針を介して前方且つ外方へ排出されず、上記室の中に安全に保持される。
【0117】ハンドルハウジング20の円筒形の壁部21を貫通する小さな横穴27が、潤滑剤の如き少量の粘性材料が通路24の内部へ導入されるのを容易にする。この粘性材料は、上述の所望のエネルギ吸収を行う。
【0118】上記エネルギ吸収によって、比較的強いバネ80又は他の偏倚要素を用いて信頼性のある後退を行わせることができ、その際には、その製造公差が後退速度を最大にするように選択される幾つかの製造ユニットにおけるような望ましくない騒音又は乱暴な操作を生ずることがない。この点に関して、その弛緩した状態から1メートル当たり33乃至40ニュートン(1インチ当たり3乃至3.6オンス)の圧縮力を与えるバネを用いると特に満足する結果が得られることが分かった。
【0119】公称値又は理想値は、約37N/m(3.3オンス/インチ)であり、この値は、6.1cm(2.4インチ)において公称2.2Nの圧縮に相当する。上記粘性材料は、ダウ・コーニング社(Dow Corning Company)から入手可能な「ハイ・バキューム・グリース(High Vacuum Grease)」の如き潤滑剤とすることができる。
【0120】本発明の範囲を限定するためではなく、上述の如き値を実際の装置の環境に単に合わせるために、下記の寸法を使用するのが好ましい。
【0121】ハンドルの後方端から前方ハウジングの前方面までの長さが8.6cm(3.4インチ)であり、前方ハウジングの前方面から針の先端までの長さが5.1cm(2.0インチ)であり、前方ハウジングの外径が1.1cm(0.42インチ)であり、ハンドルのグリップ面の外径が0.8cm(0.30インチ)であり、トリガ付近のハンドルの孔の内径が、±0.005cm(±0.002インチ)の製造公差で、0.46cm(0.18インチ)であり、担持ブロックすなわちキャリアブロックの全長が3.0cm(1.18インチ)であり、バネが巻かれるキャリアブロックの部分の有効長さが0.94cm(0.37インチ)であり、キャリアブロックの上記部分の内径が、±0.0025cm(±0.001インチ)の製造公差で、0.33cm(0.13インチ)であり、キャリアブロックの残りの部分すなわちフラッシュ室の部分の外側長さが1.8cm(0.72インチ)であり、フラッシュ室の内側長さが1.7cm(0.67インチ)であり、フラッシュ室の外径が0.44cm(0.175インチ)であり、フラッシュ室の内径が0.32cm(0.125インチ)であり、潤滑剤ポートの内径が0.22cm(0.085インチ)である。
【0122】満足すべき作用を行わせるためには、装置の過少充填、過剰充填、又は誤充填を避けることも重要である。過少充填は、不適当なエネルギ吸収効果を生ずる傾向があり、また、過剰充填は、エネルギ吸収効果を過度にする傾向がある。すなわち、過剰充填は、後退を信頼性のないものにし、極端な場合には、後退を終始一貫して阻止することさえある。
【0123】そのような悪影響のある現象を排除するために、潤滑剤の導入技法は注意深く行い、これにより、潤滑剤が、針キャリアブロックの周囲に合理的に上手く分配され、特にバネコイルの領域を充填し、且つ、フラッシュ室61に沿って大きく後方へ伸長しないようにする必要がある。グリースは、針の管腔の開放した後方端から遠ざける必要がある。
【0124】潤滑剤に抗して、あるいは、潤滑剤がない場合に、ハンドルに(従ってオペレータの手に加えられる後退すなわち引き戻しの速度を測定する試みは行っていない。そうではなく、本発明のエネルギ吸収技法を成功させるために用いられる条件は、医療専門家による満足度並びに作用の満足度である。
【0125】そのような条件によって、本発明のエネルギ吸収技法は、全体的に成功であることが判明した。特に、本発明は、オペレータを驚かしたり悩ませたりすることを防止するだけではなく、極めて実質的で明確且つ専門的な操作上の知覚、感覚又はいわゆる「感じ」を更にもたらし、従って、当該技術分野における本装置の受け入れを大幅に向上させる。更に、種々の製造ユニットの間で少なくとも上記3つの感覚における大きな変動がないことが分かった。
【0126】端部プラグ85の中で担持された格子86が設けられ、これにより、針70を再配備して(例えば、ねじ回し、ペーパクリップ、あるいは、針を前方へ押すための同様な工具によって)再使用する試みを無効にしている。格子86は、図示のように十字形とすることができるが、上述の如き工具を挿入することを大きく妨げる他の堅固で適宜な格子のパターンも同様の作用を行うことができる。
【0127】将来の再使用者が、切断工具又は破壊技術を用いて針に接近しようとする可能性があり、従って、廃棄された装置の悪用又は誤用を完全に阻止することは物理的に不可能であろう。しかしながら、図示の格子86の如き幾つかの装置の形状は、押し込み工具を挿入する如き少なくともより通常の努力を阻止する。
【0128】収容及び保持する手段として、図1に示す運動可能な内部室61及びこれに関連するフィルタ62を用いるのが好ましいが、その代わりに、上述の如き他の手段を用いることができる。例えば、フラッシュ血液は、中空針170(170)の中から受け取り、針が後退している間及びその後に、ハンドルハウジング120に関連して設けられるか、該ハンドルハウジングに固定されるか、あるいは、該ハンドルハウジングと一体の室161の中に安定的に保持される。
【0129】上述の如き構造において、後退の過程で生ずる圧縮力を室の中へ実質的に伝達することなく、血液を中空針から室の中へ搬送するための何等かの手段を設けることが適正である。そのような搬送手段は、フラッシュ室161の内部を針の管腔に流体連通させるように接続する可撓性の管163の形態を取ることができる。
【0130】後退の間に、可撓性の管163の前方端163fは針と共に動き、一方、可撓性の管163の後方端163rは、室161の前方端において管状の延長部161fに従ってハンドルハウジング120に固定されたままである。管163の介在する長い部分163iは、自身の変形によって異なる動きを行う。
【0131】上記操作を容易にするために、必要に応じて管の介在部分163iを図示の如く若干巻き、これにより、後退の間の上記部分163iの規定通りの配列を容易にする。これは、例えば、前進する針キャリッジ160とハンドルの円筒形の壁部121の内部孔との間のもつれすなわち拘束による前進する針キャリッジ160に対する妨害を阻止する助けをする。巻かれた管163を後退した後に収容するために、若干長いハンドル121が好ましい。フラッシュを行っている間に、他の固定型のフラッシュ室を有する装置と同様に、例えば側方ポート162を介してアセンブリの後方から空気が排出される。
【0132】図6の収容及び保持装置に概念的に幾分関連するのは、同様に可撓性を有する要素262(図7)であって、この要素は、弾性変形によって寸法差を取り除くが、この場合には、後退の前後の寸法ではなくフラッシュの前後の寸法に差がある。この場合には、上記可撓性を有する要素は、フラッシュ室の役割を果たす半透明又は透明のバルーン262である。
【0133】バルーン室262は、最初は平坦であって空気を殆ど含まず、針270を介するフラッシュ血液の導入によって膨張し、これにより、置換された空気を排出すると共に血液を保持するための選択的なフィルタ、排気装置又は同様な手段を設ける必要がない。バルーン室262は、後退時に、比較的剛性を有するプラスチック製のスリーブ261によって、圧縮力から保護される。
【0134】図示のように、この図7の実施例も、概念的には図1乃至図5の実施例に関連しており、バルーン室262及びスリーブ261は、後退時に針と共に動く。本発明の範囲内の他の形態の収容及び保持手段は、図6の装置に関連して示すことができ、この場合には、室が、針ではなくハンドルハウジングに関連して設けられており、フィルタ又は排気装置がフラッシュに先行する空気の排気を収容するが、寸法的な変化を許容するための可撓性を有する部材は使用されていない。
【0135】例えば、そのような他の形態の1つは、針370の管腔からハンドル320に固定されるかあるいは該ハンドルと一体のフラッシュ室361へフラッシュ血液を導くための破壊可能なダクト363(図8)を採用しており、上記フラッシュ室は、例えば環状にすることができる。後退の際には、上記破壊可能なダクト363は、ハンドル320の中で自由な状態になっている。
【0136】上述の如き他の形態の別のものは、枢動可能なフラッパ弁463(図9)を採用しており、該フラッパ弁は、針470の管腔から中空のハンドル420の中の通路424の内部へ直接フラッシュ血液が直接入るのを許容すると共に、後退の際に、上記血液が通路424から上記管腔の中へ戻るのを阻止する。
【0137】エネルギ吸収手段の他の形態も同様に本発明の範囲に入る。例えば、フラッシュ室の後方に設けられる押し潰し可能なタイプのフィルタ62’(図1a)の如き押し潰し可能な要素を上述の親水性又は同様なフィルタに置き換えることができる。押し潰し可能なフィルタは、例えば、ポレックス社(Porex Company)から商業的に入手可能な焼結プラスチックとすることができる。そうではなく、精密成形された羽根の形態の押し潰し可能な要素又は同様なものを使用することもできる。
【0138】他の使用可能なエネルギ吸収手段は、別個の軸受要素227(図7、図7a)であり、該軸受要素は、好ましくは針キャリッジ260に担持された針に固定され、三日月バネ227sによって、中空のハンドルハウジング220の円筒形の内側面221に向けて側方へ(例えば、半径方向外方へ)偏倚されている。
【0139】また、反対の装置も使用可能である。すなわち、ハウジング220の円筒形の内側面221に担持され、好ましくはキャリッジ260に担持された針に固定された表面に圧接する別個の軸受要素(図示せず)を用いることもできる。上記偏倚された要素を有する装置のいずれもが、所望の抗力又は緩衝をもたらすと考えられる。
【0140】エネルギ吸収手段の更に別の形態は、針の端部に固定されたダッシュポット・ピストン427(図9)であり、該ダッシュポット・ピストンは、後退の間に、液体、すなわち中空のハンドル420の中のフラッシュ血液との間の摩擦によって、緩衝力をもたらす。製造の便宜を図るために、上記ダッシュポット要素427は、上述の逆止弁463と効果的に一体化される。
【0141】他の形態の再配備/阻害手段も本発明の範囲内である。例えば、中空のハンドル120の後方に堅固に固定されたフラッシュ室161(図6)の2つの端壁部も、中空のハンドル120を完全に邪魔し、これにより、上記ハンドルの後方部を介して工具を挿入して針170を再配備するのを阻止する。この構成は、上記室の前方壁が依然としてほぼ完全なバリアをもたらすので、上記室の後方部を形成する穿刺可能なフィルタが横穴すなわち側方ポート162の適所に設けられている場合にも、基本的に正しい。
【0142】他の例として、迷路状のすなわちラビリンス式の端部プラグ286(図7)が、針を再配備するために工具をハウジング220の中へ挿入するのを完全に阻止しながら、ハンドルハウジング220の内部通路221から空気を排出する役割を果たすことができる。そうではなく、空気の排気は、ハウジング320の端部において長手方向ではなく、ハンドルハウジング320の円筒形の壁部を側方に、例えば半径方向に貫通して形成される解放ポート362(図8)によって行うことができ、これにより、全体的に中実の端部キャップ285を用いて工具の挿入を阻止することができる。
【0143】更に、誤用防止手段は、ラチェット要素486a(図9)の形態を取ることができ、該ラチェット要素は、ロックスライダ/トリガ450のキー穴開口の狭い部分56(図4)と協働し、アセンブリの使用準備が最初に整った後に、トリガ450が再設定されるのを阻止する。上記機構は、最初の一回はトリガ450の再設定を許容する必要があり、その理由は、その再設定は、意図する用途のために針を最初に配備する手順であるからであることは理解されよう。
【0144】同様に、別の誤用防止手段は、ラチェット状の要素486cの形態を取ることができ、該要素は、後退の際に、針470の穿刺端の前方に落下し、その後の針の前進運動を阻止する。
【0145】上の記載は本発明を単に例示するものであり、請求の範囲を参照して決定される本発明の範囲を限定するものではないことを理解する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】1aは、圧力の隔離を行うために、針と共に動くフラッシュ室を用い、また、エネルギ吸収を行うために、粘性物質及び該物質を位置決めするためのポートを用いる本発明の好ましい実施例の後退型の針カニューレ挿入装置を該装置を用いて挿入することのできるカニューレと共に示す長手方向の断面図であって、特に針が伸長した位置にある状態を示しており、1bは、上記フラッシュ室に取り付けられた押し潰し可能な別のエネルギ吸収を拡大して示す部分断面図である。
【図2】針が後退した状態を示す図1と同様の断面図である。
【図3】図1の線3-3に沿った針が伸長した状態を示す図1の装置の断面図である。
【図4】図2の線4-4に沿った針が後退した状態を示す図1の装置の断面図である。
【図5】図1又は図2の線5-5に沿った図1の装置を示す断面図であって、針を前方へ再設定するために該針に接近することを困難にするために中空のハンドルの内部を横断して支持される格子を誤用防止のために採用した本発明の実施例を示している。
【図6】圧力を隔離するために可撓性の接続管を採用し、また、誤用防止のために中空のハンドルの内部をほぼ完全に阻止している別の実施例を幾分概略的に示す長手方向の部分断面図である。
【図7】7aは、圧力の隔離を行うために、針の後部に液体連通するように固定され好ましくは透明又は半透明で最初は平坦なバルーンを採用し、また、エネルギの吸収を行うために、側方へ偏倚された別個の要素を採用し、更に、誤用を防止するために、中空のハンドルの内部を実質的に完全に阻止する迷路状の端部キャップを採用している更に別の実施例を示す長手方向の断面図であり、7bは、図7aの線7a-7aに沿う断面図である。
【図8】圧力の隔離を行うために破壊可能な通路を採用し、また、誤用を防止するために、針の再設定を行うために該針に接近することを困難にするように側方に形成されたピストン圧力解放ポートを採用している別の実施例を示す長手方向の断面図である。
【図9】9aは、圧力の隔離を行うために逆止弁を採用し、また、エネルギの吸収を行うために上記逆止弁と一体のダッシュポット部材を採用し、更に、誤用を防止するために、針の前方への運動及びトリガのロック位置への再係合をそれぞれ阻止するラチェット要素を採用している別の実施例を示す長手方向の断面図であり、9bは、図9aの線9a-9aに沿う拡大断面図である。
【符号の説明】
10 安全装置
11 カテーテル(医療器具)
20 ハンドルハウジング
24 内部通路
50 ロックスライダ/トリガ
60 キャリッジ
61 フラッシュ室
62 フィルタ
70 中空針
71 内方端
73 鋭利な端部
80 コイルバネ
85 プラグ
90 カテーテルハウジング
91 カテーテル管
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2010-07-14 
結審通知日 2010-07-21 
審決日 2010-08-03 
出願番号 特願平6-280754
審決分類 P 1 123・ 121- YA (A61M)
P 1 123・ 534- YA (A61M)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 吉澤 秀明
蓮井 雅之
登録日 1996-12-05 
登録番号 特許第2588375号(P2588375)
発明の名称 医療器具を挿入しその後保護する安全装置  
代理人 森 修一郎  
代理人 日野 真美  
代理人 田中 成志  
代理人 山田 徹  
代理人 平出 貴和  
代理人 本多 広和  
代理人 豊岡 静男  
代理人 日野 真美  
代理人 片山 英二  
代理人 片山 英二  
代理人 中村 閑  
代理人 田中 成志  
代理人 中村 閑  
代理人 本多 広和  
代理人 豊岡 静男  
代理人 杉山 共永  
代理人 山田 徹  
代理人 杉山 共永  
代理人 櫻井 義宏  
代理人 黒川 恵  
代理人 森 修一郎  
代理人 黒川 恵  
代理人 高松 俊雄  
代理人 高松 俊雄  
代理人 櫻井 義宏  
代理人 平出 貴和  
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