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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03F
管理番号 1253831
審判番号 不服2010-17162  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-30 
確定日 2012-03-15 
事件の表示 特願2003-316566「フォトマスクおよび半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 3月31日出願公開、特開2005- 84379〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2003年9月9日に出願された特願2003-316566号であって、平成22年5月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年7月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日付けで手続補正がなされたものである。
その後、当審において平成23年8月17日付けで拒絶理由の通知をし、これに対して平成23年10月12日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされた。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年10月12日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「半導体基板上に半導体チップの回路パターンを投影露光するためのフォトマスクであって、
マスク基板と、
前記マスク基板の主面上に配設され、1回の露光で、前記半導体基板上に投影される単位領域であるショット領域を複数種類備え、
前記複数種類のショット領域は、それぞれ異なる品種の製品を別ショットで形成する別ショット領域であり、
前記半導体チップを形成するためのチップ領域を複数有した複数チップ型ショット領域を含み、
前記複数種類のショット領域間には遮光帯領域を有する、フォトマスク。」

第3 引用例
1 引用例1
当審が通知した拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平4-304453号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は下記「2 引用例1に記載された発明」において直接引用した箇所に当審で付した。)

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置の製造に使用されるレチクル及び露光方法に関するものである。LSIウェーハプロセスの露光工程に関し、近年、LSIのコストダウンと生産効率の向上が要求されている。このためレチクルを用いて素子パターンを露光する露光工程においても短手番化及び管理項目の低減化が要求されている。
【0002】
【従来の技術】従来、1枚のレチクル中に1層かつ1種類のチップ領域を有するレチクルをステッパーにセットし、ウェーハ又は原寸マスクに露光を行い、その層の素子パターンをウェーハ等の上に焼付け、続いてレチクルを次の層の素子パターンを有するレチクルと交換し、レチクルをステッパにセットし、同様の処理を行っている。また、一つの種類のデバイスパターンの露光を行った後別の種類のデバイスパターンを露光するときにも同様にレチクルを交換し、次のレチクルをステッパーにセットして露光を行う
【0003】従来のレチクルを図3に示す。図中、1はレチクル、2はレチクルの外側に設けられた遮光帯である。遮光帯は表面処理を施したアルミニウム板よりなり、光を遮る役割をする。このレチクル1では同一品種A、同一層種xのチップのパターンを同時に4個露光する。また、aはチップサイズを示す。ところが、異なる層y、異なる品種Bのチップ領域を次に露光する場合、異なる層、異なる品種のチップ領域を有した別のレチクル2(図4)を用意し、レチクルを交換し、次にステッパーに位置決めし、再度レチクルを検査していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、小ロット、多品種を製造する必要のあるASIC等ではレチクル交換、レチクル再位置決めレチクル検査が露光工程に占める時間の割合が大きくなり、露光装置の処理能力を落とすという問題を生じていた。またレチクル枚数も品種に応じて多大となるため必要なレチクルの所在の確認、ジャストインタイムな露光製造装置への供給などのレチクル管理も困難になっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るレチクルは、1枚のレチクル中に、多層半導体装置の2層以上の素子パターン及び/又は2種以上の半導体装置の1又は2層以上の素子パターンを有することを特徴とする。また、本発明の露光方法は、上記レチクルをステッパーにセットし、位置決めし、移動式遮光帯により一又は二以上の任意のチップの素子パターンのみを露光することを特徴とする。
【0006】図1は本発明におけるレチクルの原理図である。図1では、品種A、Bのそれぞれx、y層のチップ領域を有するレチクル1を示している。また、Axのチップ領域を露光する場合は、図2のようにAxの領域にステッパーの遮光帯2を設定すると、遮光帯外側のAy,Bx、Byは露光されない。遮光帯2は4枚のアルミニウム板などをレチクルのAx、Ay、Bx、Byの各領域に可動にステッパーの一部として構成する。このようにするとレチクルの移動、再位置決めすることなしに、別の任意のチップのみを露光することができる。各々のチップ領域Ax、Ay、Bx、Byは隣のチップ領域を遮光する遮光帯の停止精度分だけ、例えば1mm以上、遮光帯から離れた位置に配置される。ステッパーの遮光帯の順序設定のためには、予め遮光順序を書込んだ専用のファイルを作製しておくことにより、そのファイルの選択を行えば、自動的に遮光順序が設定される。
【0007】
【作用】本発明では、図2のように、複数個の異なる品種、層のチップを配置したレチクルを用意することにより、1枚のレチクルに配置された異なるチップ領域が1回のレチクル交換、位置決め、レチクル検査により、ステッパーの遮光帯位置を偏光するだけで任意に露光することができる。以下、実施例により本発明を説明する。
【0008】
【実施例】図3は本発明に係るレチクルの実施例を示す図である。チップサイズが2mm×2mmと小チップ品の素子分離層E、ゲート形成層F、電極形式層G、配線形式層H4層を1枚のクロム板製レチクル10中に2mm(ウェーハ上の寸法)の間隔で配置したレチクル10である。ステッパーの有効露光領域は通常、15mm×15mmの面積は有しているので、E、F、G、Hのすべてが焼付け可能である。遮光帯により遮光されない層をE、F、G、Hの位置に設定し、焼付領域を制限する。遮光帯により設定される開放部は各層の10mm×10mmより大きいのでパターンを配置しない領域はCrを残して光が透過しないようにしておく。図3では4ケ所に4種の層を配置した例を示したが、ステッパーの有効露光領域内に効率良く配置してゆけば、挿入層、数は4層以上でも良い。本例では、レチクル交換、位置決め、レチクル検査を先ず1時間程度の時間をかけて行い、その後Eを露光し、素子分離帯形成のためのエッチング、酸化などが終了するまで待機し、次に遮光帯を設定し、ウェーハの移動を行い、順次ゲート形成(I)を行い、同様に電極形成(G)及び配線層形成(H)の露光を行う。
【0009】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、1レチクル中に2層あるいは2種以上のチップ領域を配置する。又、これをステッパーに一度セットすると任意のチップ領域を露光することができる。これによって、本発明によると次のような効果が奏される。
(イ)レチクル枚数減によりレチクル管理が容易になるので、レチクル待ち時間の短縮、レチクル間違い等によるトラブルが少なくなる。
(ロ)レチクル交換回数を少なくし、位置決め、レチクル検査分、処理時間を短縮することができるので、露光装置の処理能力を向上することができる。」

「【図1】

【図2】

【図3】



2 引用例1に記載された発明
【図1】【図2】及び技術常識から、引用例1のレチクルは基板上にチップ領域Ax、Ay、Bx、Byを配置して形成したものであるといえる。
また、【図2】【図3】の記載及び【0008】の「遮光帯により設定される開放部は各層の10mm×10mmより大きいのでパターンを配置しない領域はCrを残して光が透過しないようにしておく。」の記載から、チップ領域Ax、Ay、Bx、Byそれぞれの間にも「パターンを配置しない領域」があり、そのチップ領域Ax、Ay、Bx、Byそれぞれの間のパターンを配置しない領域においても「Crを残して光が透過しないようにして」あることは明らかである。
よって、上記記載(図面の記載も含む)から、引用例1には、
「LSIウェーハプロセスの露光工程に関し、素子パターンを露光するために用いられるレチクル1であって、
レチクル1は基板上に、異なる品種、層のチップ領域Ax、Ay、Bx、Byを配置して形成したものであり、
4枚のアルミニウム板などをレチクル1のAx、Ay、Bx、Byの各領域に可動にステッパーの一部として構成する遮光帯2によって、レチクル1の移動、再位置決めすることなしに、任意のチップ領域のみを露光するものであり、
チップ領域Ax、Ay、Bx、Byそれぞれの間のパターンを配置しない領域はCrを残して光が透過しないようにしてあるレチクル1。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

3 本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-147742号公報(以下「引用例2」という。)には次の事項が記載されている。

「【0006】まず、従来、一般的に採用されている露光用マスクの製造方法について、図面を参照して説明する。
【0007】図8(a)に示すように、入力パラメータとして、チップサイズを規定するサイズLx、Ly及び基板上に配置する個数m、nを入力設定する。
【0008】次いで、図8(b)に示すように、入力パラメータにより画定された1チップ分の領域10に対して、X、Y方向にそれぞれ指定された個数(図では2×2個)だけ展開してブロック化する。この場合、基板中心(例えばレチクルセンタ)2にブロックチップ20の中心を合わせるように配置される。
【0009】次いで、図8(c)に示すように、各チップ毎の境界を規定するスクライブセンターライン(ダイシングラインともいう)3に沿ってスクライブ領域SCを発生させることにより、パターンが配置されるデバイス領域Rが画定される。
【0010】すなわち、製造される半導体製品が一種類の場合、単位面積を構成するチップ領域10を複数個(m×n)展開してブロック化して配置する。この場合、露光用マスクの基板(以下、マスク用基板と記す)に対する有効露光面積に対して、X、Y方向の残り領域の面積を計算しながら一種類のチップサイズを複数倍して配置することが行われる。」

「【図8】



4 本願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-202472号公報(以下「引用例3」という。)には次の事項が記載されている。

「【0048】実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1におけるレチクルの構成を概略的に示す平面図てある。また図2と図3とは、図1の領域P1と領域P2とを拡大して示す部分平面図である。
【0049】図1を参照して、この構成は、1ショット内に2チップ分の回路パターンが形成された構成を示している。つまり素子形成領域1Aと1Bとの各1つが1チップ分の回路パターンに対応している。この素子形成領域1A、1Bとこれらの間に挟まれるダイシング領域3Bとは、平面形状が四角形の所定領域2を構成している。この所定領域2の外形の各辺に接するように外周領域にダイシング領域3A、3Cが配置されている。」

「【図1】



第4 当審における対比・判断
1 本願発明と引用発明の対比
(1)本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の「LSIウェーハプロセスの露光工程に関し、素子パターンを露光するために用いられるレチクル1」が、本願発明の「半導体基板上に半導体チップの回路パターンを投影露光するためのフォトマスク」に相当する。

引用発明の「レチクル1」を形成するのに用いられている「基板」が、本願発明の「マスク基板」に相当する。

引用発明の「異なる品種、層のチップ領域Ax、Ay、Bx、By」は、「任意のチップ領域のみを露光する」ものであることから、各チップ領域Ax、Ay、Bx、Byそれぞれが、本願発明の「1回の露光で、前記半導体基板上に投影される単位領域であるショット領域」及び「それぞれ異なる品種の製品を別ショットで形成する別ショット領域」に相当する。
すなわち、引用発明の「レチクル1は基板上に、異なる品種、層のチップ領域Ax、Ay、Bx、Byを配置して形成したものであり、4枚のアルミニウム板などをレチクル1のAx、Ay、Bx、Byの各領域に可動にステッパーの一部として構成する遮光帯2によって、レチクル1の移動、再位置決めすることなしに、任意のチップ領域のみを露光する」ことが、本願発明の「前記マスク基板の主面上に配設され、1回の露光で、前記半導体基板上に投影される単位領域であるショット領域を複数種類備え、前記複数種類のショット領域は、それぞれ異なる品種の製品を別ショットで形成する別ショット領域で」あることに相当する。
なお、上記の相当関係において、仮に、本願発明の複数のショット領域が「それぞれ異なる品種」の製品に対応するものである点で、引用発明のチップ領域と異なるとしても、引用発明の複数のチップ領域においても「それぞれ異なる品種(の製品)、層」に対応するチップ領域に対応するものであることからして、両者は技術観点において実質的に何ら相違するものではないことから、上記のように相当関係を認定した。

引用発明の「チップ領域Ax、Ay、Bx、Byそれぞれの間のパターンを配置しない領域はCrを残して光が透過しないようにしてある」ことが、本願発明の「前記複数種類のショット領域間には遮光帯領域を有する」ことに相当する。

(2)一致点
したがって、本願発明と引用発明は、
「半導体基板上に半導体チップの回路パターンを投影露光するためのフォトマスクであって、
マスク基板と、
前記マスク基板の主面上に配設され、1回の露光で、前記半導体基板上に投影される単位領域であるショット領域を複数種類備え、
前記複数種類のショット領域は、それぞれ異なる品種の製品を別ショットで形成する別ショット領域であり、
前記複数種類のショット領域間には遮光帯領域を有するフォトマスク。」の発明である点で一致し、次の点で相違する。

(3)相違点
本願発明は、ショット領域が「半導体チップを形成するためのチップ領域を複数有した複数チップ型ショット領域を含む」のに対して、引用発明においてはそのような限定がない点。

2 判断
(1)上記相違点について検討する
半導体チップの形成において、1回の露光で、前記半導体基板上に投影される単位領域であるショット領域が「複数のチップ領域を有する」ものは、上記引用例2、3にも記載されているように周知の技術である。
引用発明においても、生産効率を高めるために、形成される複数種類の素子パターン相互の相対的大きさを勘案した上で必要であれば、上記周知技術を適用し、1又は複数のショット領域が「半導体チップを形成するためのチップ領域を複数有した複数チップ型ショット領域」であるようにして、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。

(2)そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。

(3)まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものである。

第5 結び
以上より、本願の請求項1に係る発明は、引用発明及び周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-01-13 
結審通知日 2012-01-17 
審決日 2012-01-30 
出願番号 特願2003-316566(P2003-316566)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 重雄  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 吉川 陽吾
森林 克郎
発明の名称 フォトマスクおよび半導体装置の製造方法  
代理人 有田 貴弘  
代理人 吉竹 英俊  
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