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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1253863
審判番号 不服2011-15322  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-15 
確定日 2012-03-15 
事件の表示 特願2010- 11795「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 5月20日出願公開、特開2010-110650〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年5月1日に出願した特願2001-133745号の一部を平成22年1月22日に新たな特許出願としたものであって、平成23年4月28日付け(発送:5月17日)で拒絶査定され、これに対し、同年7月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日付けで手続補正がなされ、当審において、同年9月6日付け(発送:9月13日)で審査官の前置報告書に基づく審尋がなされ、同年11月4日付けで回答書が提出されたものである。

2.平成23年7月15日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成23年7月15日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、補正前の請求項1に記載された
「【請求項1】
遊技動作を統括する主制御手段と、
該主制御手段からのコマンドを受信し、受信したコマンドに応じて周辺装置の動作制御を行う副制御手段と、を備えた遊技機において、
前記コマンドは、1バイト長のモードデータと、1バイト長のイベントデータと、からなり、
前記主制御手段は、前記コマンドを送信する際に、1つのデータ有効信号及び1つのストローブ信号を前記副制御手段に送信し、
前記副制御手段は、前記1つのデータ有効信号の受信に応じて割り込み処理を発生させ、前記割り込み処理によって、前記1つのストローブ信号の立ち上がりを契機として、前記モードデータを受信するとともに、前記1つのストローブ信号の立ち下がりを契機として、前記イベントデータを受信することを特徴とする遊技機。」
という発明を、
「【請求項1】
遊技動作を統括する主制御手段と、
該主制御手段からのコマンドを受信し、受信したコマンドに応じて周辺装置の動作制御を行う副制御手段と、を備えた遊技機において、
前記コマンドは、1バイト長のモードデータと、1バイト長のイベントデータと、からなり、
前記主制御手段は、前記コマンドを送信する際に、1つのデータ有効信号及び1つのストローブ信号を通常通信手順として前記副制御手段に送信するとともに、前記通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた場合には異常であることを報知し、
前記副制御手段は、前記1つのデータ有効信号の受信に応じて割り込み処理を発生させ、前記割り込み処理によって、前記1つのストローブ信号の立ち上がりを契機として、前記モードデータを受信するとともに、前記1つのストローブ信号の立ち下がりを契機として、前記イベントデータを受信することを特徴とする遊技機。」
という発明に変更することを含むものである(下線部は補正箇所を示す。)。

(2)補正の適否
本件補正は、特許請求の範囲について、以下に挙げる補正事項を含むものである。
(a)補正前の請求項1における「前記主制御手段は、前記コマンドを送信する際に、1つのデータ有効信号及び1つのストローブ信号を前記副制御手段に送信し」という事項を、
「前記主制御手段は、前記コマンドを送信する際に、1つのデータ有効信号及び1つのストローブ信号を通常通信手順として前記副制御手段に送信するとともに、前記通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた場合には異常であることを報知し」とする補正。

上記補正事項について検討する。
補正事項(a)については、データ有効信号とストローブ信号の送信制御の内容を限定するものであるが、「前記主制御手段は、・・・前記通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた場合には異常であることを報知」する構成は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)には記載されていない。以下、その理由を説明する。

段落【0055】には「(他の実施形態)図18は、他の実施形態の構成図である。主制御部200がデータ有効信号をローレベルにした状態でストローブ信号の立上げや立ち下げをしたことをCPU1020が検知する等の、通常通信手順以外の通信手順での動作が行われた場合にはCPU1020はLED1800を点灯する。」と、
段落【0056】には「したがって、CPU1020は通常通信手順以外の通信手順が行われた時にLED1800を点灯して異常事態が発生したことを通知することが可能になる。なお、この例ではLED1800の点灯で異常事態発生を通知したが、音等で通知するようにしても良い。」と記載されており、
副制御手段である特別図柄表示装置100のCPU1020が、データ有効信号の状態とストローブ信号の立上げや立ち下げをしたことを検知し、通常通信手順以外の通信手順が行われた時にLED1800を点灯するか音等で異常事態が発生したことを報知する点は記載されているが、「主制御手段」が「通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた場合には異常であることを報知」する構成は記載されているとはいえず、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるともいえない。

請求人は平成23年11月4日付け回答書の「(3)意見」において、「当初明細書の段落0056には、異常報知の別実施例として「なお、この例では、LED1800の点灯で異常事態発生を通知したが、音等で通知するようにしても良い。」と記載されている。そして、音の出力制御については、段落0017及び図2に示すように、主制御部200が効果音発生装置116を制御している。」と主張するが、
段落【0055】、【0056】及び図18に記載されているように、通常通信手順以外の通信手順が行われた時にLED1800を点灯して異常事態が発生したことを通知するのは、副制御手段である特別図柄表示装置100のCPU1020であり、通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた場合を判断しているのも、段落【0055】の記載からCPU1020であることが明らかであって、
段落【0056】における、「なお、この例ではLED1800の点灯で異常事態発生を通知したが、音等で通知するようにしても良い。」という記載は、「LED1800」の代わりにスピーカ等を設け、CPU1020が該スピーカ等を制御することにより音等を発して異常事態が発生したことを通知するようにしても良いという趣旨であると解すべきである。
なぜなら、仮に請求人が主張するように、通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた場合に、主制御部200が、効果音発生装置を制御して音による異常事態発生を通知するものとすれば、(i)主制御部200自体が通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた場合を判断して効果音発生装置を制御する、(ii)主制御部200が何処からか通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた旨の情報を得て効果音発生装置を制御する、の2通りが考えられるところ、
上記(i)については、上記のとおり段落【0055】の記載によれば、通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた場合を判断しているのはCPU1020であり、主制御部200自体が通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた場合を判断する構成についての記載又はそのような構成を示唆するような記載を、当初明細書等に見出すことができず、
上記(ii)については、段落【0018】に「さらに主制御部200から特別図柄表示装置100へコマンドを送信するのみの一方向通信による通信形態を採っている。」と記載されているので、特別図柄表示装置100のCPU1020は、主制御部200に対して通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた旨の情報を送信できないことが明らかであり、主制御部200に対して通常通信手順以外の通信手順で送信が行われた旨の情報を送信する構成についての記載又はそのような構成を示唆するような記載を、当初明細書等に見出すことができないため、
上記(i)及び(ii)ともに、当初明細書等のすべての記載を総合しても導き出せる構成ではないからである。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成23年7月15日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、請求項1に係る発明は、同年4月14日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。

そして、その請求項1により特定される発明は次のとおりである。
「【請求項1】
遊技動作を統括する主制御手段と、
該主制御手段からのコマンドを受信し、受信したコマンドに応じて周辺装置の動作制御を行う副制御手段と、を備えた遊技機において、
前記コマンドは、1バイト長のモードデータと、1バイト長のイベントデータと、からなり、
前記主制御手段は、前記コマンドを送信する際に、1つのデータ有効信号及び1つのストローブ信号を前記副制御手段に送信し、
前記副制御手段は、前記1つのデータ有効信号の受信に応じて割り込み処理を発生させ、前記割り込み処理によって、前記1つのストローブ信号の立ち上がりを契機として、前記モードデータを受信するとともに、前記1つのストローブ信号の立ち下がりを契機として、前記イベントデータを受信することを特徴とする遊技機。」(以下、この発明を「本願発明」という。)

(2)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由(平成23年2月14日付け拒絶理由通知)において引用文献1として引用された特開2000-153030号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】 所定条件が満足されて、可変表示可能な表示部を有する可変表示手段の表示パターンが所定のものとなって、遊技者にとって有利な遊技状態とする遊技機であって、
与えられた表示制御指令にしたがって、前記可変表示手段の表示制御を行う表示制御手段と、
前記遊技機の遊技状態を制御すると共に、制御動作に応じて前記表示制御指令を出力する遊技制御手段と、を備え、
前記遊技制御手段は、前記表示制御指令を単一の表示制御指令機能のみを有するように定義されたコマンドとして、1コマンドずつ前記表示制御手段に与えることを特徴とする遊技機。」
(イ)「【0018】図2は、このような遊技状態が制御される遊技機の主要部のみを示した制御ブロック図である。主制御部200は、CPUを内蔵したマイクロコンピュータシステムで構成されていて、後に説明する各種のコマンドを格納するコマンドデータテーブル202および一連の遊技機制御手順を記述した制御プログラムや制御データを格納するROM201とワークエリアを有するRAM203とが設けられて、一体型のワンチップマイコンで構成されている。」
【0019】主制御部200には、入力ポート210を介して、特別図柄始動口104内部に配置され遊技玉の特別図柄始動口104への入賞を検出する特別図柄始動スイッチ304、普通図柄作動ゲート102の内部に配置され遊技玉のゲート通過を検出する普通図柄作動スイッチ306、および、大入賞口106の内部に配置され遊技玉の大入賞口106への入賞を検出する大入賞口スイッチ308が接続され、主制御部200は各検出信号を受信可能となっている。
【0020】また、主制御部200には、出力ポート215を介して、特別図柄やキャラクタを表示する表示部を3つ有して夫々を独立して可変表示可能でLCD等で実現される特別図柄表示装置100、ランプを点灯制御するランプ表示装置110、112、効果音を発生させる効果音発生装置116、例えば7セグメント表示デバイスで実現される普通図柄表示装置108、始動口の開閉部材120を開閉制御するための始動口作動ソレノイド300、および、大入賞口106の幅広な開閉部材を開閉制御するための大入賞口作動ソレノイド302が接続され、主制御部200は各装置を制御するための制御信号を送信可能となっている。」
(ウ)「【0022】また、特別図柄表示装置100、ランプ表示装置110、112、および、効果音発生装置116は、制御動作を行うCPU、このCPUが行う制御手順を記述したROM、ワークエリア等として機能するRAM等の電子デバイスを備えていて、主制御部200から供給される制御指令を受信し、受信した制御指令に基づいて各装置の動作制御が行われるようになっている。
【0023】さて、図12に示すように、主制御部200から特別図柄表示装置100に送られる表示制御用のコマンドは、コマンドの分類を識別するための識別子で1バイト長のモード(MODE)と、実行されるコマンドの内容(機能)を示す1バイト長の情報であるイベント(EVENT)とでなっており、図6乃至図8は、ROM203に格納されたコマンドデータテーブル202に格納されたデータを示している。」
(エ)「【0027】図3は、特別図柄表示装置100のブロック構成図である。特別図柄表示装置100は、主制御部200からのストローブ信号やコマンドを受信するためのデータ受信回路1140(データレベルを変換する電圧変換回路を含む)と、この電圧変換回路等に電源供給を行う電源回路1160と、受信したコマンドに基づいて表示制御を行うために必要な制御データを生成して画像処理用LSI(VDP)1060に出力するCPU1020と、CPU1020の動作手順を記述したプログラムを内蔵するプログラムROM1040と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM1090と、画像展開処理を行う画像処理用LSI(VDP)1060と、画像処理用LSI(VDP)1060が展開した画像データを一時記憶するビデオRAM1080と、画像処理用LSI(VDP)1060が画像展開するために必要なデータを格納したキャラクタROM1180と、ビデオRAM1080に一時記憶された画像データを受け取って送出するLCDパネル用インターフェイス回路1100と、このLCDパネル用インターフェイス回路1100から送出された画像データを用いて表示画像を出力するLCDパネル1120とを有している。」
(オ)「【0029】そして、特別図柄表示装置100のCPU1020は、データ受信回路1140が受信したコマンドデータに応じて生成した制御データを画像処理用LSI(VDP)1060に与えると、画像処理用LSI(VDP)1060は、キャラクタイメージデータ領域から獲得したキャラクタデータを解凍してパレットデータ領域から獲得した色彩データで色付けして、シナリオデータ領域から獲得した情報で指定されたビデオRAM1080上の位置に画像展開したデータを一時格納し、一時格納したデータをLCDパネル用インターフェイス回路1100に送ることによって、LCDパネル1120によって可変表示を含む様々な画像表示処理が行われる。
【0030】また、図5は、コマンドの送受信タイミングを示したタイミングチャートである。前述したように、コマンドは、1バイト長でコマンドの分類を識別するための識別子であるモードと、同じく1バイト長で実行されるコマンドの内容(機能)を示す情報であるイベントとでなっていて、主制御部200は、コマンド変化時に自身が生成するストローブ信号(DUSTB)の1つ目の立ち上がりを契機として、モード(MODE)情報を送信し、次いでストローブ信号(DUSTB)の2つ目の立ち上がりを契機として、イベント(EVENT)情報を送信する。
【0031】これに対応して、特別図柄表示装置100のCPU1020は、ストローブ信号が送信されてくると、割り込みを発生させ、この割り込み処理によってコマンドを受信してRAM1090に格納する。そして、この発明においては、主制御部200が、コマンドを1つずつ特別図柄表示装置100に送信するので、より細かな表示制御を行えると共に、必要なコマンドのみを供給することによって制御負担を抑制することができる。」

以上、上記(ア)ないし(オ)の記載及び図面の記載を総合すると、引用例1には、
「主制御部200には、遊技機の遊技状態を制御すると共に、特別図柄表示装置100、ランプ表示装置110、112、効果音発生装置116、普通図柄表示装置108、始動口作動ソレノイド300および大入賞口作動ソレノイド302が接続され、前記主制御部200は各装置を制御するための制御信号を送信可能となっており、
前記特別図柄表示装置100は、前記主制御部200からのストローブ信号やコマンドを受信するためのデータ受信回路1140と、受信したコマンドに基づいて表示制御に必要な制御データを生成して画像処理用LSI1060に出力するCPU1020と、を有している遊技機において、
前記コマンドは、1バイト長のモード(MODE)情報と、1バイト長のイベント(EVENT)情報とでなっており、
前記主制御部200は、前記ストローブ信号の1つ目の立ち上がりを契機として、前記モード(MODE)情報を送信し、次いで前記ストローブ信号の2つ目の立ち上がりを契機として、イベント(EVENT)情報を送信し、
前記特別図柄表示装置100のCPU1020は、前記ストローブ信号が送信されてくると、割り込みを発生させ、この割り込み処理によって前記モード(MODE)情報と前記イベント(EVENT)情報を受信する遊技機。」の発明が開示されていると認めることができる(以下、この発明を「引用発明」という。)。

(3)対比
引用発明の「主制御部200」は本願発明の「主制御手段」に相当する。以下同様に、
「コマンド」は「コマンド」に
「遊技機」は「遊技機」に、
「モード(MODE)情報」は「モードデータ」に、
「イベント(EVENT)情報」は「イベントデータ」に、
「ストローブ信号」は「ストローブ信号」に、相当する。

さらに、引用例1の記載等からみて、以下のことがいえる。

a.引用発明の主制御部200には、遊技機の遊技状態を制御すると共に、特別図柄表示装置100、ランプ表示装置110、112、効果音発生装置116、普通図柄表示装置108、始動口作動ソレノイド300および大入賞口作動ソレノイド302が接続され、前記主制御部200は各装置を制御するための制御信号を送信可能となっているから、遊技動作を統括しているといえる。
そうすると、引用発明の遊技機は本願発明の「遊技動作を統括する主制御手段」に相当する手段を備えているといえる。

b.引用発明の特別図柄表示装置100は、前記主制御部200からのストローブ信号やコマンドを受信するためのデータ受信回路1140と、受信したコマンドに基づいて表示制御に必要な制御データを生成して画像処理用LSI1060に出力するCPU1020と、を有しており、主制御部200からコマンドを受信し、受信したコマンドに基づいて画像処理用LSI1060(本願発明の「周辺装置」に相当)の動作制御が行われるようになっているといえるので、
引用発明の「特別図柄表示装置100」及び「CPU1020」は本願発明の「該主制御手段からのコマンドを受信し、受信したコマンドに応じて周辺装置の動作制御を行う副制御手段」に相当する手段といえる。

c.引用発明の主制御部200は、ストローブ信号の1つ目の立ち上がりを契機として、モード(MODE)情報を送信し、次いでストローブ信号の2つ目の立ち上がりを契機として、イベント(EVENT)情報を送信し、特別図柄表示装置100のCPU1020は、ストローブ信号が送信されてくると、割り込みを発生させ、この割り込み処理によってコマンドであるモード(MODE)情報とイベント(EVENT)情報を受信しているから、
引用発明は本願発明と「前記主制御手段は、前記コマンドを送信する際に、ストローブ信号を前記副制御手段に送信し、前記副制御手段は、前記ストローブ信号を契機として、前記モードデータ又は前記イベントデータを受信する」点で共通しているといえる。

以上のことから、両者は、
<一致点>
「遊技動作を統括する主制御手段と、
該主制御手段からのコマンドを受信し、受信したコマンドに応じて周辺装置の動作制御を行う副制御手段と、を備えた遊技機において、
前記コマンドは、1バイト長のモードデータと、1バイト長のイベントデータと、からなり、
前記主制御手段は、前記コマンドを送信する際に、ストローブ信号を前記副制御手段に送信し、
前記副制御手段は、前記ストローブ信号を契機として、前記モードデータ又は前記イベントデータを受信する遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点>
本願発明は、「前記主制御手段は、前記コマンドを送信する際に、1つのデータ有効信号及び1つのストローブ信号を前記副制御手段に送信し、前記副制御手段は、前記1つのデータ有効信号の受信に応じて割り込み処理を発生させ、前記割り込み処理によって、前記1つのストローブ信号の立ち上がりを契機として、前記モードデータを受信するとともに、前記1つのストローブ信号の立ち下がりを契機として、前記イベントデータを受信する」のに対して、
引用発明は、主制御部200がコマンドを送信する際にデータ有効信号を送信するかどうか不明であるため、特別図柄表示装置100のCPU1020がデータ有効信号受信による割込処理をしているか不明であると共に、モード(MODE)情報とイベント(EVENT)情報を受信する契機が異なり、また主制御部200がコマンドを送信する際のストローブ信号の数が異なる点。

(4)判断
<相違点>について
拒絶理由通知において引用文献2として引用された特開2000-37529号公報(段落【0051】、図11等参照。以下「引用例2」という。)には、1つのストローブ信号の立ち上がりと立ち下がりを契機として、データを取得する点(以下「引用例2に記載の技術」という。)が記載されている。
また、拒絶査定において言及しているように、受信側がデータ有効信号の受信に応じて割り込み処理を発生させ、該割り込み処理においてタイミング信号を契機としてデータを受信することは、特開2001-96002号公報(段落【0019】等参照。「START信号」「STB信号」「コマンドデータ」がそれぞれ本願発明の「データ有効信号」「ストローブ信号」「コマンド」に相当する。)、特開平6-277345号公報(段落【0045】、【0048】、【0051】、【0088】?【0090】等参照。「LWR信号」「LCE信号」「表示図柄指定データ」がそれぞれ本願発明の「データ有効信号」「ストローブ信号」「コマンド」に相当する。)にも記載されているように、遊技機の分野において、従来周知の技術(以下「周知技術」という。)である。
そして、引用発明と引用例2に記載の技術とは、遊技機においてデータを送受信する技術である点で共通しているから、
引用発明において、割り込み処理について上記周知技術を適用するとともに、データ受信の契機について上記引用例2に記載の技術を適用して、相違点の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の効果は、引用発明、引用例2に記載の技術及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

以上のように、本願発明は、引用発明、引用例2に記載の技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2に記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-01-11 
結審通知日 2012-01-17 
審決日 2012-01-30 
出願番号 特願2010-11795(P2010-11795)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 香川 沙絵中槙 利明  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 瀬津 太朗
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 竹沢 荘一  
代理人 中馬 典嗣  

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