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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1253979
審判番号 不服2009-20248  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-21 
確定日 2012-03-14 
事件の表示 特願2003-553519「端末におけるアプリケーションの初期化方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 6月26日国際公開、WO03/52704、平成17年 5月12日国内公表、特表2005-513635〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 その1.手続の経緯
本願は、2002年12月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2001年12月17日、スイス連邦)を国際出願日とする出願であって、
平成16年6月16日付けで特許法第184条の4第1項の規定に基づく明細書、請求の範囲及び要約の日本語による翻訳文が提出され、平成17年11月29日付けで審査請求がなされ、平成20年9月12日付けで審査官により拒絶理由が通知され、平成21年3月31日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年6月25日付けで審査官により拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月21日付けで審判請求がなされるとともに手続補正がなされ、同年12月18日付けで審査官により特許法第164条第3項の規定に基づく報告がなされ、平成23年1月18日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋がなされ、同年7月21日付けで回答書の提出があったものである。

その2.平成21年10月21日付けの手続補正の却下

結論

平成21年10月21日付け手続補正を却下する。

理由

1.補正の内容
平成21年10月21日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という)により、特許請求の範囲は、
「 【請求項1】
アプリケーション(App)のアプリケーション情報(Iex)を、階層的認可システム(A)内の複数の端末(WR)へ転送することにより、前記アプリケーション(App)を、初期化または拡張するための方法であって、前記階層的認可システムは、互いに非接触で通信する移動データキャリア(IM)と端末(WR)とを含み、
a) 少なくとも1つの端末(WR)を選択して認可し、前記端末(WR)にアプリケーション情報(Iex)をロードするステップを備え、それにより被認可端末(WRZ)となり、
b) その後、移動データキャリア(IM)を前記被認可端末(WRZ)に呈示した際に、前記アプリケーション情報(Iex)を、前記移動データキャリア(IM)にロードするステップを備え、それにより、ロードされた移動データキャリア(IMex)となり、
c) 前記ロードされた移動データキャリア(IMex)を他の端末(WR)に呈示する間に、これらの他の端末(WR)がアプリケーション(App)に関連付けられている場合に、アプリケーション情報(Iex)をこれらの他の端末(WR)に送信するステップと、
d) 前記移動データキャリア(IM)およびロードされた移動データキャリア(IMex)が前記階層的認可システムにおいて認可されると、前記アプリケーション情報(Iex)を考慮に入れて、これらの他の端末(WR)において、前記アプリケーションAppを実行するステップを含む、方法。
【請求項2】
認可情報(Ia)を用いて、さらに別の端末(WR)を、被認可端末(WRZ)の状態へ転換するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
独立のアプリケーション(App1,App2)の初期化または拡張を可能にするステップをさらに備え、前記初期化の全てのステップは、前記階層的認可システム(A)の規則、階層的なレベルまたは両方に従っている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アプリケーション情報(Iex)が、アプリケーションデータ(Idat)、アプリケーションパラメータ(Ipar)およびプログラムデータ(Icod)を含むことが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記端末(WR)において、前記アプリケーション情報(Iex)の転送と、対応するアプリケーションの実行とに関する前記端末(WR)でのイベントについての状態情報(Ist)が、検出されて、そして、前記ロードされた移動データキャリア(IMex)に送信され、前記移動データキャリア(IMex)によって前記被認可端末(WRZ)に返信される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに別の端末WRが、ロードされた移動データキャリア(IMex)によるアプリケーション情報(Iex)の転送により他の被認可端末(WRZ)の状態へ転換され、その後、前記アプリケーション情報(Iex)が、前記他の被認可端末(WRZ)から他のデータキャリア(IMex)へロードされ、ロードされた移動データキャリア(IMex)により前記アプリケーション情報(Iex)がさらに他の端末(WR)へ転送される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
端末(WR)が、被認可端末(WRZ)へ単に一時的に変換されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
独立のアプリケーション(App1,App2)の初期化または拡張を可能にするステップをさらに備え、アプリケーション情報(Iex)の(WR、WRZ、IM、IMexへの)送信は、前記階層的認可システム(A)の規則に従っている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記アプリケーション情報(Iex)が、前記移動データキャリア(IMex)、前記端末(WR)および/または前記被認可端末(WRZ)において単に一時的に存在し、この後消去されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アプリケーション情報(Iex)が、所定の期間だけ、または特定の数もしくは特定の種類のプロセスの間一時的に存在することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記移動データキャリア(IM)がセキュリティレベル(SL-IM)を含み、前記端末(WR)がセキュリティレベル(SL-WR)を含み、前記セキュリティレベル(SL-IM)および前記セキュリティレベル(SL-WR)が、前記移動データキャリア(IMex)および前記端末(WR)への新しいアプリケーション(App)の転送またはその後の実行を制御することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記セキュリティレベル(SL)が前記認可システム(A)の機能部分であり、前記移動データキャリア(IM)におけるセキュリティレベル(SL-IM)または端末(WR)におけるセキュリティレベル(SL-WR)が上昇し得ることを前記認可システム(A)の規則が防ぐことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記移動データキャリア(IMex)および/または前記端末(WR)が、前記アプリケーション情報(Iex)または状態情報(Ist)の転送のために、送信者として、アクティブに、情報(Iex)または(Ist)を利用可能にすることにより動作することが可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ロードされた移動データキャリア(IMex)に、フラグ/ポインタ(F/P)もまたセットされ、前記フラグ/ポインタは、アプリケーション情報(Iex)が存在することを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記移動データキャリア(IMex)がアプリケーションマイクロプロセッサ(uP-IM)を含み、前記アプリケーションマイクロプロセッサが、前記端末のアプリケーションマイクロプロセッサ(uP-WR)と協働してアプリケーション情報(Iex)を処理可能であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ロードされた移動データキャリア(IMex)は、アプリケーションプロファイル(ind)を有するアプリケーション情報(Iex)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
アプリケーションマイクロプロセッサ(uP-WR)を有する汎用端末(g-WR)が設けられ、前記汎用端末(g-WR)に、アプリケーション(App3)は、ロードされた移動データキャリア(IMex)により一時的にロードされる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記階層認可システム(A)内で、割当てられた端末(WR1,WR2)についての、独立した使用者に各々属する複数の独立したアプリケーション(App1,App2)の各々が定義されており、割当てられた被認可端末(WRZ1,WRZ2)で前記移動データキャリア(IMex)へロードされて対応する割当てられた端末(WR1,WR2)へ転送される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
移動データキャリア(IM)と、複数の端末(WR)とを含む階層的認可システムにおいて使用するための移動データキャリアであって、データメモリが、新しいまたは拡張されたアプリケーション(App)のアプリケーション情報(Iex)を含むときに、前記移動データキャリア(IM)は、ロードされた移動データキャリア(IMex)となり、前記アプリケーション情報(Iex)は端末からロードされたものであり、当該端末は、既に選択され認可されており、そして、アプリケーション情報(Iex)がロードされており、それにより、被認可端末(WRZ)となり、さらに他の端末がアプリケーション(App)に関連付けられている場合に、前記ロードされた移動データキャリア(IMex)がこれらの端末(WR)に呈示されたときに、前記アプリケーション情報(Iex)は、当該さらに他の端末(WR)に書き込まれる、移動データキャリア。
【請求項20】
前記データキャリア(IMex)が、割当てられた異なる端末(WR1,WR2)に転送可能な異なる独立したアプリケーション(App1,App2)のアプリケーション情報(Iex1,Iex2)を含むことを特徴とする、請求項19に記載の移動データキャリア。
【請求項21】
移動データキャリア(IM)と、複数の端末(WR)とを含む階層的認可システム(A)であって、それにより、少なくとも1つの端末(WR)が選択されて認可され、その結果、被認可端末WRZとなり、それにより、前記被認可端末(WRZ)は、新しいまたは拡張されたアプリケーション(App)のアプリケーション情報(Iex)を、移動データキャリア(IM)にロードするために使用され、その結果、ロードされた移動データキャリア(IMex)となり、それにより、さらに他の端末(WR)がアプリケーション(App)に関連付けられている場合に、このロードされた移動データキャリア(IMex)は、前記アプリケーション情報(Iex)を他の端末(WR)に書き込むために使用され、そして、それにより、アプリケーション情報(Iex)は、移動データキャリア(IM)またはロードされた移動データキャリア(IMex)と通信しているこれらの他の端末(WR)により実行される、システム。」(以下、上記引用の請求項各項を「補正前の請求項」という)から、
「 【請求項1】
アプリケーション(App)のアプリケーション情報(Iex)を、階層的認可システム(A)内の複数の端末(WR)へ転送することにより、前記アプリケーション(App)を、初期化または拡張するための方法であって、前記階層的認可システムは、互いに非接触で通信する移動データキャリア(IM)と端末(WR)とを含み、
a) 少なくとも1つの端末(WR)を選択して認可し、前記端末(WR)にアプリケーション情報(Iex)をロードするステップを備え、それにより前記端末は、被認可端末(WRZ)となり、
b) その後、移動データキャリア(IM)を前記被認可端末(WRZ)に呈示することと、前記被認可端末(WRZ)と前記移動データキャリアとの間の適当な認可(11)とに基づいて、前記アプリケーション情報(Iex)を、前記移動データキャリア(IM)にロードするステップを備え、それにより、ロードされた移動データキャリア(IMex)となり、
c) その後、前記ロードされた移動データキャリア(IMex)を他の端末(WR)に呈示する間に、ロードされた前記移動データキャリア(IMex)と前記他の端末(WR)との間の適当な認可(14)に基づいて、これらの他の端末(WR)がアプリケーション(App)に関連付けられている場合に、アプリケーション情報(Iex)をこれらの他の端末(WR)にロードするステップとを含み、
d) それにより、その後に前記アプリケーション(App)が、適当な認可(17)に基づいて、前記アプリケーション情報(Iex)を考慮に入れて、他の移動データキャリア(IM1,IM2,IM3)またはロードされた移動データキャリア(IMex)とともに前記他の端末(WR)によって実行可能となり、前記適当な認可(11,14,17)は前記階層的認可システム(A)において規定されており、前記階層的認可システム(A)との整合は前記端末(WR,WRZ)によって実行される、方法。
【請求項2】
認可情報(Ia)を用いて、さらに別の端末(WR)を、被認可端末(WRZ)の状態へ転換するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
独立のアプリケーション(App1,App2)の初期化または拡張を可能にするステップをさらに備え、前記初期化の全てのステップは、前記階層的認可システム(A)の規則、階層的なレベルまたは両方に従っている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アプリケーション情報(Iex)が、アプリケーションデータ(Idat)、アプリケーションパラメータ(Ipar)およびプログラムデータ(Icod)を含むことが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記端末(WR)において、前記アプリケーション情報(Iex)の転送と、対応するアプリケーションの実行とに関する前記端末(WR)でのイベントについての状態情報(Ist)が、検出されて、そして、前記ロードされた移動データキャリア(IMex)に送信され、前記移動データキャリア(IMex)によって前記被認可端末(WRZ)に返信される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに別の端末WRが、ロードされた移動データキャリア(IMex)によるアプリケーション情報(Iex)の転送により他の被認可端末(WRZ)の状態へ転換され、その後、前記アプリケーション情報(Iex)が、前記他の被認可端末(WRZ)から他のデータキャリア(IMex)へロードされ、ロードされた移動データキャリア(IMex)により前記アプリケーション情報(Iex)がさらに他の端末(WR)へ転送される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
端末(WR)が、被認可端末(WRZ)へ単に一時的に変換されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
独立のアプリケーション(App1,App2)の初期化または拡張を可能にするステップをさらに備え、アプリケーション情報(Iex)の(WR、WRZ、IM、IMexへの)送信は、前記階層的認可システム(A)の規則に従っている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記アプリケーション情報(Iex)が、前記移動データキャリア(IMex)、前記端末(WR)および/または前記被認可端末(WRZ)において単に一時的に存在し、この後消去されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アプリケーション情報(Iex)が、所定の期間だけ、または特定の数もしくは特定の種類のプロセスの間一時的に存在することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記移動データキャリア(IM)がセキュリティレベル(SL-IM)を含み、前記端末(WR)がセキュリティレベル(SL-WR)を含み、前記セキュリティレベル(SL-IM)および前記セキュリティレベル(SL-WR)が、前記移動データキャリア(IMex)および前記端末(WR)への新しいアプリケーション(App)の転送またはその後の実行を制御することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記セキュリティレベル(SL)が前記認可システム(A)の機能部分であり、前記移動データキャリア(IM)におけるセキュリティレベル(SL-IM)または端末(WR)におけるセキュリティレベル(SL-WR)が上昇し得ることを前記認可システム(A)の規則が防ぐことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記移動データキャリア(IMex)および/または前記端末(WR)が、前記アプリケーション情報(Iex)または状態情報(Ist)の転送のために、送信者として、アクティブに、情報(Iex)または(Ist)を利用可能にすることにより動作することが可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ロードされた移動データキャリア(IMex)に、フラグ/ポインタ(F/P)もまたセットされ、前記フラグ/ポインタは、アプリケーション情報(Iex)が存在することを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記移動データキャリア(IMex)がアプリケーションマイクロプロセッサ(uP-IM)を含み、前記アプリケーションマイクロプロセッサが、前記端末のアプリケーションマイクロプロセッサ(uP-WR)と協働してアプリケーション情報(Iex)を処理可能であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ロードされた移動データキャリア(IMex)は、アプリケーションプロファイル(ind)を有するアプリケーション情報(Iex)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
アプリケーションマイクロプロセッサ(uP-WR)を有する汎用端末(g-WR)が設けられ、前記汎用端末(g-WR)に、アプリケーション(App3)は、ロードされた移動データキャリア(IMex)により一時的にロードされる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記階層認可システム(A)内で、割当てられた端末(WR1,WR2)についての、独立した使用者に各々属する複数の独立したアプリケーション(App1,App2)の各々が定義されており、割当てられた被認可端末(WRZ1,WRZ2)で前記移動データキャリア(IMex)へロードされて対応する割当てられた端末(WR1,WR2)へ転送される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
非接触で互いに通信する移動データキャリア(IM)と複数の端末(WR)とを含む階層的認可システム(A)であって、アプリケーション(App)の初期化または拡張のために、前記アプリケーション(App)のアプリケーション情報(Iex)が以下のステップによって端末(WR)に送信され、前記以下のステップは、
a) 少なくとも1つの端末(WR)を選択して認可し、前記端末(WR)にアプリケーション情報(Iex)をロードするステップを備え、それにより前記端末は、被認可端末(WRZ)となり、
b) その後、移動データキャリア(IM)を前記被認可端末(WRZ)に呈示と、前記被認可端末(WRZ)と前記移動データキャリアとの間の適当な認可(11)の際に、前記アプリケーション情報(Iex)を、前記移動データキャリア(IM)にロードするステップを備え、それにより、ロードされた移動データキャリア(IMex)となり、
c) その後、前記ロードされた移動データキャリア(IMex)を他の端末(WR)に呈示する間に、ロードされた前記移動データキャリア(IMex)と前記他の端末(WR)との間の適当な認可(14)に基づいて、これらの他の端末(WR)がアプリケーション(App)に関連付けられている場合に、アプリケーション情報(Iex)をこれらの他の端末(WR)にロードするステップとを含み、
d) それにより、その後前記アプリケーション(App)が、適当な認可(17)に基づいて、前記アプリケーション情報(Iex)を考慮に入れて、他の移動データキャリア(IM1,IM2,IM3)またはロードされた移動データキャリア(IMex)とともに前記他の端末(WR)によって実行可能となり、前記適当な認可(11,14,17)は前記階層的認可システム(A)において規定されており、前記階層的認可システム(A)との整合は前記端末(WR,WRZ)によって実行される、システム。」(以下、上記引用の請求項各項を「補正後の請求項」という)に補正された。

3.補正の適否
3-1.新規事項
平成21年10月21日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という)が、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第184条の12第2項により読み替える同法第17条の2第3項の規定を満たすものであるか否か、即ち、本件手続補正が、平成16年6月16日付けで提出された明細書及び請求の範囲の日本語による翻訳文、並びに、本願の国際出願日における国際特許出願の図面(以下、これを「当初明細書等」という)の範囲内でなされたものであるかについて、以下に検討する。

補正後の請求項1及び請求項19に、
「前記階層的認可システム(A)との整合は前記端末(WR,WRZ)によって実行される」との記載が存在する。
この記載について、当初明細書等には、「認可システム(A)」に関して、
(ア)「【0009】
図1a,1b,1c,2,3は、アプリケーションAppを初期化または拡張する、すなわち、アプリケーションAppに割当てられたアプリケーション情報Iexをシステム内の端末すなわち書込/読出ステーションWRへ転送するためのこの発明に従う方法を例示する。このシステムは移動データキャリアIM、端末WRおよび階層的認可システムAを含む。アプリケーション情報Iexは、或る選択された被認可端末WRZから移動データキャリアIMexへロードされ、続いて別の端末WRでこれらデータキャリアIMexを呈示した際、アプリケーションに割当てられたこの別の端末WRにこのアプリケーション情報Iexが転送され、こうしてこの後アプリケーションAppはこれら端末WRにおいて、権限のあるデータキャリアIMおよびIMexにとって実行可能となる。」(下線は、当審にて説明の都合上附したものである。以下同じ。)
(イ)「【0019】
アプリケーション情報IexをデータキャリアIMexに転送する、およびデータキャリアIMexから端末WRへ転送を行なうには適当な認可が必要である。すなわち当該のアプリケーションが定められている、権限のあるデータキャリアIMexあるいは端末WRへ、あるいはこれによってのみ転送が行なわれ、こうして必要なセキュリティが保証されるようにする。この権限付与は、さまざまなやり方で実行可能であって、アプリケーションの種類および重要性に応じセキュリティ要件に合うように適合すなわち選択され得る。たとえば、システムAに対応するセキュリティレベルSL-IMの認可規則をデータキャリアIMexに割当て、そしてセキュリティレベルSL/WRについてのものを端末WRに割当てて、これらに新しいアプリケーション情報Iexの転送および続く実行を制御させる。ここで或るデータキャリアまたは端末においてセキュリティレベルSL-IMまたはSL-WRが上昇または変更され得ることを認可システムAの規則が防ぐことが重要である。これにより、データキャリアIMを用いた端末WRへのアプリケーションAppの配布およびその使用を制御および制限する。 【0020】
ここでセキュリティレベルSLの特性は、認可システムAの枠内において、既にある階層構造たとえばWO97/34265に従う編成レベルOLに依拠またはこれを拡張することにより決定され得るが、または新しい、既存の構造から独立のレベル(新しい原理によるもの)により決定してもよい。
【0021】
しかしまた、認可システムAの枠内でなく、或る追加の独立したセキュリティ認可システムSAの枠内でセキュリティレベルSLを決定することも可能である。」
(ウ)「【0033】
図3は、端末WRの被認可端末WRZへの変換によるこの発明に従う方法の反復的手順を示し、これは複数の被認可端末WRZにわたって新しいアプリケーションを制御しながら伝播あるいは消去するという意味におけるものである(ウイルス原理)。ここでは、一般には認可システムAの枠内で最初の被認可端末WRZjが選択され、これは場合により、端末WRiを被認可端末WRZiへと転換することによって行なわれる(ステップ9)。
・・・・・・・(中略)・・・・・・
制御しながら転送し、こうしてシステム内で新しいアプリケーションをより高速かつ的確に伝播させることが可能となる。」
(エ)「【0042】
この図4では考えられ得る2種類のデータキャリアRf-IMexが示してある。すなわちアプリケーション情報IexのためのメモリMEMを有するがアプリケーションマイ・・・・・・・(中略)・・・・・・
れ、したがってこれはアプリケーションプロセッサuP-WRの拡張、場合によってはAppHW/SWをも形成するものである。しかしこのような拡張の場合においても端末WRによって認可システムAの規則の順守がなされ、すなわちそれに必要な(一般にアプリケーションIcodにより処理された)アプリケーションデータIdatは、アプリケーションの実行前にデータキャリアIMexにより端末WRにとって利用可能にされることになる。」
(オ)「【0045】
この例での端末WRが備える論理通信-アプリケーションインターフェイスLCAIにより、端末WRのマイクロプロセッサはアプリケーション情報Iex、たとえばプログラムコードIcodの言語を理解し、これを認可システムAの規則に準拠しながら処理することが可能となる。論理通信-アプリケーションインターフェイスLCAIは、本質的には以下の3つの目的を有する。」
(カ)「【0048】
-第3に、認可システムAの規則の順守を確実にする。」
(キ)「【0051】
図4aはさらに、認可システムAの規則を順守しながらアプリケーション情報Iexを被認可端末WRZへ、制御され認可されたやり方で最初に転送する2つの方策を示す。この転送は転送認可媒体AM(アプリケーション情報Iexを含み同時に認可システムAに従い認可するよう働く)によって行なわれることも、またはホストHによって行なわれることもある。ホストHによる転送の場合、認可システムAの規則の順守は他のやり方によってなされる必要がある。これを行なうには、たとえばホストHと被認可端末WRZとの間の通信を、認可媒体AM2により、好ましくはWRZとの非接触通信Rf-Kを介して明示的に開放する。ここで既に、追加のセキュリティ措置として、アプリケーション情報Iexが被認可端末WRZへ、端末の論理通信-アプリケーションインターフェイスLCAI経由で転送され得る(10)。」
(ク)「【0055】
図5a,b,cは、アプリケーション情報IexすなわちアプリケーションデータIdatおよびプログラムコードIcodを端末WR,WRZおよびデータキャリアIM,IMexへ分配するステップと、認可システムAの規則を順守しながら、割当てられた機能設備AppHW/SWでアプリケーションAppを実行するステップ(18)とを例示する。アプリケーションデータIdatおよびプログラムコードIcodは端末WRにおいて処理され、認可規則Aの順守が関数f(A,Icod,Idat)の形成により検査される。この関数の検査(17)が行なわれた後、アプリケーションAppが、割当てられた機能設備AppHW/SWで実行される(18)。
【0056】
図5aは非接触システムについての公知の先行技術を示す。ここでは、端末WR内のプログラムコードIcodとデータキャリアIM内のアプリケーションデータIdatとがはっきりと区別される。認可規則Aの順守は、端末WRにおいて、端末のアプリケーションプロセッサuP-WRにより関数f(A,Icod,Idat)を求めることにより行なわれる。」
(ケ)「【0058】
図5cは、データキャリアIMexもまたアプリケーションプロセッサuP-IMを有・・・・・・・(中略)・・・・・・
簡単な形f2(A,f1)であり得る。最も簡単な形においては、端末WR,WRZでは認可システムAの規則の順守のみがなされ、端末でIdat,Icod1,Icod2の処理はなく、これはデータキャリアIMexにおいてのみとなる。」
(コ)「【0060】
図6は、アプリケーション情報Iexを用いてアプリケーションAppを初期化するためのこの発明に従うシステムを概略的に示し、これは被認可端末WRZにより、データキ・・・・・・・(中略)・・・・・・
的には、認可システムAの枠内において、任意のタイプのさまざまな独立したアプリケーションを、被認可端末WRZおよびデータキャリアIMexを介して、さまざまな割当てられた端末WRへ、任意の組合せによって、存在するメモリ容量が足りる限り初期化することができる(図7)。」
との記載があるのみであり、当初明細書等においては、
「前記階層的認可システム(A)との整合は前記端末(WR,WRZ)によって実行される」
点に関しては記載されていない。
また、上記(ア)?(コ)に引用する当初明細書等の記載には、上記(キ)に、
「認可規則Aの順守は、端末WRにおいて、端末のアプリケーションプロセッサuP-WRにより関数f(A,Icod,Idat)を求めることにより行なわれる」
同じく、上記(ケ)に、
「端末WR,WRZでは認可システムAの規則の順守のみがなされ」
といった記載が存在するが、上記引用記載中の「順守」と、補正後の請求項1及び請求項19に記載の「整合」とは、“同義”ではなく、また、当初明細書等には、「整合」については、何ら記載されておらず、したがって、「順守」と、「整合」の関係については、当初明細書等には、何ら記載されていない。
そして、上記(ア)?(コ)及び当初明細書等の他の記載内容を加味しても、補正後の請求項1及び請求項19に記載の、
「前記階層的認可システム(A)との整合は前記端末(WR,WRZ)によって実行される」ことが読み取れるものではない。
以上のとおりであるから、本件手続補正は当初明細書等の記載の範囲内でなされたものではないので、
本件手続補正は、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第184条の12第2項により読み替える同法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3-2.独立特許要件
上記項目3-1で指摘のとおり、本件手続補正は、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第184条の12第2項により読み替える同法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるが、仮に、本件手続補正が、特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものであるとした場合に、本件手続補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定を満たすものであるか否か、即ち、補正後の請求項に記載の発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて、以下に検討する。

3-2-1.特許法第36条第6項第1号について
補正後の請求項1及び請求項19に記載の、
「前記階層的認可システム(A)との整合は前記端末(WR,WRZ)によって実行される」について、当初明細書等には、「前記階層的認可システム(A)との整合は前記端末(WR,WRZ)によって実行される」に対応する記載は存在せず、「階層的認可システム」に関連する記載として、上記項目3-1において、上記(ア)?(コ)として引用した記載が存在するが、これらの記載、並びに、当初明細書等の他の記載内容を加味しても、「前記階層的認可システム(A)との整合は前記端末(WR,WRZ)によって実行される」ことが、当業者にとって自明の事項とも認められない。
以上のとおりであるから、補正後の請求項1及び請求項19に記載の発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

3-2-2.特許法第36条第6項第2号について
(1)補正後の請求項1及び請求項19に、
「前記階層的認可システム(A)との整合は前記端末(WR,WRZ)によって実行される」と記載されているが、
a.「階層的認可システム(A)との整合」とは、「階層的認可システム(A)」と“何”との「整合」であるか、同請求項1及び請求項19の記載内容からは不明である。
b.仮に、「階層的認可システム(A)との整合」が、「階層的認可システム(A)」と「アプリケーション(App)」との「整合」であるとして、
“「アプリケーション(App)」と「階層的認可システム(A)との整合」は「端末(WR,WRZ)によって実行される」”とは、どのような処理を表現したものであるか、同請求項1及び請求項19に記載の内容からは不明である。

(2)補正後の請求項2乃至請求項18は、補正後の請求項1を直接・間接に引用するものであるから、上記3-2-2.(1)で指摘の明確でない構成を内包し、かつ、補正後の請求項2乃至請求項18に記載の内容を加味しても、上記3-2-2.(1)で指摘の明確でない構成が明確になるものでもない。

以上(1)及び(2)のとおりであるから、補正後の請求項1乃至19に記載の発明は明確でない。

3-2-3.特許法第36条第4項第1号について
補正後の請求項1及び請求項19に記載の、
「前記階層的認可システム(A)との整合は前記端末(WR,WRZ)によって実行される」について、当初明細書等には、上記項目3-1で上記(ア)?(コ)として引用した記載程度しか存在しておらず、上記(ア)?(コ)及び当初明細書等の他の記載内容を加味しても、“整合”とは、そもそも、どのようなものを意図しているのか、そして、“何”と“階層的認可システム(A)との整合”が、「端末(WR,WRZ)」によって、どのように「実行」されているのか不明であるから、
本願の発明の詳細な説明は、その発明が属する技術分野に属する通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。

以上のとおり、補正後の請求項1及び請求項19は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反し、補正後の請求項1乃至19は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反し、本願の発明の詳細な説明は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反しているので、補正後の請求項に記載の発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

よって、本件手続補正は、仮に限定的減縮を目的としたものであったとしても、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

4.補正却下むすび
以上、上記項目3-1で検討したように、
本件手続補正は、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第184条の12第2項により読み替える同法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に、本件手続補正が、限定的減縮を目的としたものであるとしても、上記項目3-2で検討したように、
本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

その3.本願発明について
平成21年10月21日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願に係る発明は、平成21年3月31日付けの手続補正により補正された、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「アプリケーション(App)のアプリケーション情報(Iex)を、階層的認可システム(A)内の複数の端末(WR)へ転送することにより、前記アプリケーション(App)を、初期化または拡張するための方法であって、前記階層的認可システムは、互いに非接触で通信する移動データキャリア(IM)と端末(WR)とを含み、
a) 少なくとも1つの端末(WR)を選択して認可し、前記端末(WR)にアプリケーション情報(Iex)をロードするステップを備え、それにより被認可端末(WRZ)となり、
b) その後、移動データキャリア(IM)を前記被認可端末(WRZ)に呈示した際に、前記アプリケーション情報(Iex)を、前記移動データキャリア(IM)にロードするステップを備え、それにより、ロードされた移動データキャリア(IMex)となり、
c) 前記ロードされた移動データキャリア(IMex)を他の端末(WR)に呈示する間に、これらの他の端末(WR)がアプリケーション(App)に関連付けられている場合に、アプリケーション情報(Iex)をこれらの他の端末(WR)に送信するステップと、
d) 前記移動データキャリア(IM)およびロードされた移動データキャリア(IMex)が前記階層的認可システムにおいて認可されると、前記アプリケーション情報(Iex)を考慮に入れて、これらの他の端末(WR)において、前記アプリケーションAppを実行するステップを含む、方法。」

その4.引用刊行物に記載の発明
原審が拒絶の理由に引用した、本願の第1国出願前に既に公知である欧州特許出願公開第1087567号明細書(2001年3月28日公開、以下、「引用刊行物1」という)には、関連する図面とともに次の事項が記載されている。

A.「[0016] Messages may be stored in the memories of first nodes or second nodes. For example, a user may wish to record a message about a particular device, such as “this printer is not working” or the user may wish to leave a message for another user at his workstation. Messages pertaining to informal knowledge about the device may also be stored in the first node for ready access by a user. The user first creates the message on his PDA. The user then couples his PDA to the iButton associated with the device or location to which he wishes to store the message. Messages may be transmitted by docking the PDA to the iButton via a receptor or using some other traditional transmission media. If the message pertains to the device, no further transmission is required. Later, users docking with the first node may read the message.
[0017] If the message is intended for a different first node or second node, transmission of the message from one node to another node is accomplished through a sequence of message exchanges between pairs of first nodes and second nodes and between pairs of second nodes. This is accomplished by the movement of users carrying a second node and communicating selectively with first nodes.
[0018] A message includes both content and information representing the message's transmission status or state. Transmission status or state may be one of new, in transit, delivered or expired. When a user creates a message, its status is new. Also, when a message is copied, the status of the copy is new. When the message is transferred to any node, not the destination node, its status is in transit. When the message is delivered to the destination node, its status is delivered. Note that destination nodes are either first nodes or second nodes. 」
([0016] メッセージは、第1ノード、或いは、第2ノードのメモリに格納される。例えば、利用者が、“このプリンタは故障中です”といった、特定のデバイスについてのメッセージを記録することを望む、或いは、ユーザが、彼のワークステーションの他のユーザのために、メッセージを残すことを望む。そのデバイスについての非公式な知識に関するメッセージもまた、ユーザによって直ぐ使えるよう、第1ノードに格納される。ユーザは、最初、そのメッセージを彼のPDA上で作成する。ユーザは、次に、メッセージを格納したいデバイス、或いは、場所に関連付けられたアイボタンと、彼のPDAとをつなぐ。メッセージは、結合しているPDAによって、アイボタンへ、レセプタを介して、或いは、何か他の従来の転送媒体を用いて、転送される。
[0017] もし、メッセージが、他の第1ノード、或いは、第2ノード向けのものであれば、1つのノードから他のノードへのメッセージの転送は、第1ノードと第2ノードの組の間、及び、第2ノードの組の間における一連のメッセージ交換を通じて達成される。これは、第2ノードを運ぶユーザの動作と、第1ノードへの選択的な通信によって達成される。
[0018] メッセージは、コンテンツとメッセージの転送状況、或いは、状態を示す情報との両方を含む。転送の状況、或いは、状態は、新規、転送中、送られた、期限切れ、の内の1つである。ユーザがメッセージを作成したとき、その状態は、新規である。メッセージが複写されるときもまた、その状態は、新規である。メッセージが、送り先のノードではない、何れかのノードに送られているときは、その状態は、転送中である。メッセージが、送り先のノードに届けられるとき、その状態は、送られたである。送り先のノードは、第1ノード、或いは、第2ノードの何れかであることに注意されたい。<当審にて訳出。以下同じ。>)

B.「[0024] The decentralized network system also makes it possible for users with mobile devices to participate in multiple “virtual networks” without reconfiguring firewalls (the standard security measures employed by fixed networks). Unlike wireless networks, the decentralized network system is immune to electronic eavesdropping. First, the range of transmission can be minimized. Transmission of messages between iButtons and PDAs may be accomplished by docking the PDA to the iButton through a receptor. Alternatively, very short range (IR or RF of the range of inches to a few feet) may be used. Additionally, individual first nodes and second nodes can be encrypted so that only specifically encrypted nodes can receive and download messages. This also ensures that there is no crosstalk between the virtual networks.
[0025] The decentralized network system makes it possible for information to be shared and distributed where needed simply by the everyday actions of groups of users. The users need not be aware of how the distribution is taking place or of the details of their participation in the process. Information, such as hints, tips and other comments, can be associated with physical objects in the work environment and made easily available to colleagues by storing them in the first nodes (e.g., iButton), ready for reading by a user with a PDA (second node).
[0026] In the same way, when a user visits a device, not only can the user leave comments on the associated first node (iButton), but the first node can also transfer messages (created by another user) to the user's PDA. The messages transmitted to the second node may be either visible or invisible to the user, depending on their relevance to the user. Relevance depends on both the person's identity and the current context. Users may be notified, for example, about messages addressed specifically to them or pertaining to their current location. When the user next visits another device, the messages stored in the PDA can then be selectively passed along. Through the cumulative actions of many people interacting with many devices in this way, messages are transferred node-by-node across the network.」
([0024]分散ネットワークシステムは、また、移動体を有するユーザにとって、ファイアウォールを再構成することなく、多数の「仮想ネットワーク」に参加することを可能にする(固定されたネットワークが用いる通常のセキュリティ・メッセージ)。無線ネットワークとは異なり、分散ネットワークシステムは、電子的な傍受の影響を受けない。まず、転送の距離を最小化し得る。アイボタンとPDA間のメッセージの転送は、レセプタを介してPDAとアイボタンとの接続によって達成される。或いは、非常に短い距離(赤外線、或いは、数インチから2?3フィートの距離の電波)が用いられる。加えて、特に暗号化されたノードのみがメッセージの受信とダウンロードができるよう、第1ノードと第2ノードのそれぞれは暗号化され得る。これは、また、仮想ネットワーク間のクロストークがないことを保証する。
[0025] 分散ネットワークシステムは、単にグループのユーザの日常の行動によって必要な場所で、情報が共有され分配されることを可能にする。ユーザは、分散がどのように行われているか、あるいはプロセスにおけるそれらの関与を詳細に知る必要はない。例えば、ヒント、助言、及び、他のコメントといった情報は、作業環境における物理的なデバイスに関連付け、(アイボタンといった)第1ノードにそれらを格納することで、同僚に簡単に利用可能とし、そして、PDA(第2ノード)を用いて、ユーザが読むために準備し得る。
[0026] 同様に、ユーザがデバイスにアクセスすると、関連した第1ノード(アイボタン)に、ユーザがコメントを渡すことができるだけではなく、第1ノードもまた、メッセージ(他のユーザによって作成された)を、ユーザのPDAに転送することができる。第2ノードに送信されたメッセージは、ユーザとこれらの関連性に依存して、ユーザに可視、或いは、不可視の何れかである。関連性は、身元と今の状況との両方に依存している。ユーザには、例えば、特に、ユーザ宛の、或いは、ユーザの現在の位置に関するメッセージについて、通知される。ユーザが、次の他のデバイスにアクセスすると、PDAに保存されたメッセージは、そのとき、選択的に転送される。この手法における、多くの人々の多くのデバイスへの接触する行動の累積を通じて、メッセージは、ネットワークにわたって、ノードからノードへの転送される。)

C.「[0031] To facilitate transfer of message in the decentralized network system, each first node and each second node (and the third node, if present) must operate in accordance with a predetermined method or process of creating, storing and handling messages. The methods are preferably implemented, in a preferred embodiment of the invention, as an application program or a cooperative set of application programs executed on the first nodes, the second nodes and the hive, if a hive is present in the system. 」
([0031] 分散ネットワークシステム内の、メッセージの転送を容易にするために、それぞれの第1ノード、及び、それぞれの第2ノード(、及び、もしあれば、第3ノード)は、メッセージを生成する、格納する、取り扱う、予め定められた方法、或いは、プロセスに従って、動作しなければならない。発明の好適実施態様において、その方法は、望ましくは、第1ノード、第2ノード、そして、システム内にハイブ(巣箱)が存在すれば、ハイブにおいて処理される、アプリケーション・プログラム、或いは、アプリケーション・プログラムの共同のセットとして、実装される。)

D.「[0033] Referring to the drawings, and now in particular with reference to Figure 1 , a decentralized network system or pollen network is shown therein and referred to by reference numeral 100 . System 100 provides for the transfer and exchange of messages or pollen. System 100 includes a plurality of first nodes 12 , a plurality of second nodes 20 and a third node or hive 50 . Each first node 12 is associated with a device or location designated by 10 . As noted above device 10 may be a printer, facsimile machine, book or the like. Location 10 may be a room, area or building. Each first node 12 preferably includes a miniaturized computer, such as an iButton, with a processor and dedicated memory for storing messages and a communications port. However, the first node need not have a processor; it may have only a dedicated memory and communications port. If the first node has a processor, then it is programmed with a predetermined routine which determines which messages it will accept for storage and the priority for storing messages in light of the limited storage capacity of its memory.」
([0033] 図を参照すると、今、特に、図1に関して、分散ネットワークシステム、或いは、ポレン(花粉)・ネットワークが、そこに示され、参照番号100で参照される。システム100は、メッセージ、或いは、ポレンを転送、及び、交換することを提供する。システム100は、複数の第1ノード12と、複数の第2ノード10と、第3ノード、或いは、ハイブ50を備える。それぞれの第1ノード12は、10で指定されるデバイス、或いは、場所に関連付けられている。上記のデバイス10としては、プリンタ、ファックス、本などである。場所10は、部屋、空き地、或いは、建物である。第1ノード12のそれぞれは、例えば、アイボタンなどの、プロセッサと、メッセージを格納するための専用のメモリと、通信ポートとを有する、小型化されたコンピュータを含む。しかしながら、第1ノードはプロセッサを有する必要はない;それは、専用のメモリと、通信ポートのみを有するかもしれない。もし、第1ノードがプロセッサを有していれば、それは、それが記憶装置用にどのメッセージを受理するか決める、前もって定義したルーチン、および、そのメモリの制限のある記憶容量に照らしてメッセージを格納するための優先度によって、プログラムされる。)

E.「[0040] Unlike wireless networks based on radio or infrared technology, pollen (messages) is not susceptible to electronic eavesdropping. First, messages are only exchanged directly between devices using the receptor or very short range IR or RF transmission. Second, public-key encryption may be used to ensure that unauthorized nodes are not allowed to receive information. Also because messages follow unpredictable paths, potential eavesdroppers cannot be sure of catching all the traffic between two nodes or even knowing that a communication has occurred. 」
([0040] 電波、或いは、赤外線技術に基づく無線ネットワークとは異なり、ポレン(メッセージ)は、電子的傍受の影響を受けない。第1に、メッセージが、単に、レセプタ、或いは、非常に短い距離の赤外線、或いは、電波転送を用いてデバイス間で直接に交換される。第2に、公開鍵暗号は無許可のノードが情報を得るのを許されないことを保証するために使用される。メッセージが、予測不能のパスをたどることもあって、潜在的な盗聴者は、2つのノード間の全てのトラフィックを捕らえること、或いは、通信が発生していることさえ知っていることの確信を得ることが不可能である。)

F.「[0043] Depending on the available memory on the iButton attached to a particular device, the iButton may include pollen in the form of an automated troubleshooting or help (similar to the wizards on MS operating systems) program, as a client-server application, with the iButton functioning as a server and the PDA functioning as a client. Alternatively, many small applications (such as Java applets) could be downloaded from the iButton to the PDA, or vice versa, as another kind of pollen message. 」
([0043] 特定のデバイスに付けられたアイボタン上の利用可能なメモリに依存して、アイボタンは、自動化されたトラブルシューティング、或いは、ヘルプ・プログラム(MSオペレーティング・システム上の、ウィザードのような)の形式で、アイボタンがサーバとして機能し、PDAがクライアントとして機能するような、クライアント-サーバ・アプリケーションとして、ポレンを含んでいる。あるいは、多くの小さなアプリケーション(例えば、JAVAアプレットのような)が、アイボタンからPDAに、或いは、その逆に、他の異なるポレン・メッセージとして、ダウンロードされ得る。)

G.「[0045] The pollen network is less expensive than traditional networks to establish. First nodes in the pollen network can be added or removed trivially, with almost zero administrative overhead (apart from initializing the iButton appropriately and affixing it to the device). An advantage in using iButtons in the pollen network is their ease of installation and lack of maintenance. Once an iButton is affixed to a device and the basic pollen environment (program or operating routine) is installed on it, nothing more need be done since all further updates can be carried out as part of normal pollen operation (i.e., a user can download an application update during a regular PDA visit). 」
([0045] ポレン・ネットワークは、通常のネットワークより、開設に費用がかからない。ポレン・ネットワークにおける第1ノードは、自明に、管理上のオーバーヘッド(アイボタンを適切に初期化すること、及び、それを、デバイスに貼り付けることは別として)がほとんどなしで、加えられたり、取り外されたりすることができる。ポレン・ネットワーク上で、アイボタンを私用する利点は、設定のし易さと、メンテナンスが不要であることである。一旦、アイボタンをデバイスに貼り付け、それに、基本的なポレン環境(プログラム、或いは、処理ルーチン)をインストールすると、全ての追加的なアップデートは、通常のポレン処理(例えば、ユーザが、いつものPDAがアクセスする間に、アプリケーションのアップデートをダウンロードすることができる。)として行うことができるので、それ以上は、何もする必要がない。)

H.「[0049] In addition to the infrastructure of PDAs and iButtons, the pollen network could be expanded by the addition of an infrared infrastructure. An IR infrastructure in addition to the pollen network would allow more continual connectivity. For example, devices with infrared ports could replace iButtons to allow contactless exchange of Pollen. PDAs with infrared ports (such as Psions and Palm Pilots) could directly exchange pollen messages via infrared. Also infrared transceivers could allow PDAs to communicate with the hive or other servers. Infrared networks have been put in place as research testbeds in support of mobile workers and do not require physical docking.
[0050] Messages are transmitted in the pollen network from one arbitrary node to another in the pollen network by a sequence of exchanges between first nodes and second nodes, between second nodes and second nodes, and between second nodes and the hive (if the hive is present). Referring to Figure 3 , a message can be passed between two arbitrary nodes in any of several ways. First, a user can carry a message from a source node 34 on his/her wearable computer directly from one node attached to one device to another node attached to the destination device 36 (path 42 ). Second, the message can pass through intermediate nodes 38 , carried from node to node by a number of different users (path 46 ). Third, the message can pass through the hive 50 on its way to another node; one user deposits the message at the hive when docking and a second user picks it up later when docking (path 44 ). 」
([0049] PDAとアイボタンの基盤設備に加えて、ポレン・ネットワークは、赤外線の基盤設備の附加によって、拡張することが可能である。ポレン・ネットワークに加えて、IR基盤設備は、より継続的な接続性を許すであろう。例えば、赤外線ポートを有するデバイスは、非接触でのポレンの交換を可能とするために、アイボタンと、置換可能である。(サイオンとパーム・パイロットといった)赤外線ポートを有するPDAは、赤外線を介して、直接、ポレン・メッセージを、交換可能である。 また、赤外線送受信機は、PDAに、ハイブ、或いは、他のサーバと通信することを許可し得る。赤外線ネットワークは、モバイル・ワーカーを支援して、物理的ドッキングを要求することなく、研究テストベッドとして、適所に配置された。
[0050] メッセージは、第1ノードと第2ノードの間、第2ノードと第2ノードとの間、及び、(もし、ハイブが存在するのあれば)第2ノードとハイブとの間の、一連の交換によって、一つの任意なノードから、ポレン・ネットワーク内の他へ、ポレン・ネットワーク内において、転送される。図3を参照すると、何れの方法においても、メッセージは、2つの任意のノード間を渡らされ得る。第1に、ユーザは、1つの装置に付けられたあるノードから目的地装置36に付けられた、別のノードまで、その人のウエアラブル・コンピューター上のソース・ノード34からのメッセージを、直接伝えることができる(経路42)。第2に、メッセージは中間ノード38を通じて、多くの異なるユーザによって、ノードからノードへ運ばれる(経路46)。第3に、メッセージは、他のノードへの経路上のハイブ50を通過し得る;1のユーザがドッキングしたときに、ハイブにメッセージを預け、二番目のユーザが、後で、ドッキングしたときに、それを拾い上げることで(経路44)。)

(あ)上記Aで引用した[0017]に記載の、
「もし、メッセージが、他の第1ノード、或いは、第2ノード向けのものであれば、1つのノードから他のノードへのメッセージの転送は、第1ノードと第2ノードの組の間、及び、第2ノードの組の間における一連のメッセージ交換を通じて達成される」から、
“メッセージの交換は、複数のノードを介して行われる”ことが、引用刊行物1から読み取れる。

(い)上記Bで引用した[0024]に記載の、
「或いは、非常に短い距離(赤外線、或いは、数インチから2?3フィートの距離の電波)が用いられる」から、
“ノード間のメッセージの転送には、赤外線などの非接触通信が用いられる”ことが、引用刊行物1から、読み取れる。

(う)上記Bで引用した[0026]に記載の、
「ユーザがデバイスにアクセスすると、関連した第1ノード(アイボタン)に、ユーザがコメントを渡すことができるだけではなく、第1ノードもまた、メッセージ(他のユーザによって作成された)を、ユーザのPDAに転送することができる。第2ノードに送信されたメッセージは、ユーザとこれらの関連性に依存して、ユーザに可視、或いは、不可視の何れかである。関連性は、身元と今の状況との両方に依存している。ユーザには、例えば、特に、ユーザ宛の、或いは、ユーザの現在の位置に関するメッセージについて、通知される。ユーザが、次の他のデバイスにアクセスすると、PDAに保存されたメッセージは、そのとき、選択的に転送される」から、
“第1ノード(アイボタン)に第2ノード(PDA)がアクセスした場合に、第1ノードから、第2ノードへ、或いは、第2ノードから、第1ノードへ、メッセージが転送されること、該メッセージは、第2ノードにおいては、ユーザの身元と現在の状況とに応じて、可視、或いは不可視にすることができること、第1ノードから、第2ノードへ、第2ノードのユーザ宛のメッセージについて、通知されること、第1ノードにアクセスした第2ノードが、次のデバイスにアクセスすると、保存されたメッセージが、選択的に転送される”ことが、引用刊行物1から、読み取れる。

(え)上記Cで引用した[0031]に記載の、
「発明の好適実施態様において、その方法は、望ましくは、第1ノード、第2ノード、そして、システム内にハイブ(巣箱)が存在すれば、ハイブにおいて処理される、アプリケーション・プログラム、或いは、アプリケーション・プログラムの共同のセットとして、実装される」から、
“第1ノード、第2ノード、ハイブに、アプリケーション・プログラムが実装されている”ことが、引用刊行物1から、読み取れる。

(お)上記Dで引用した[0033]に記載の、
「第1ノード12のそれぞれは、例えば、アイボタンなどの、プロセッサと、メッセージを格納するための専用のメモリと、通信ポートとを有する、小型化されたコンピュータを含む」、及び、
「第1ノードがプロセッサを有していれば、それは、それが記憶装置用にどのメッセージを受理するか決める、前もって定義したルーチン、および、そのメモリの制限のある記憶容量に照らしてメッセージを格納するための優先度によって、プログラムされる」から、
“第1ノードは、プロセッサと、メッセージを格納するためのメモリと、通信ポートを有する小型コンピュータである態様を含み、プロセッサを有する場合には、第1ノードが、どのメッセージを受信するかを決めるためにプログラムされる”ことが、引用刊行物1から、読み取れる。

(か)上記Eで引用した[0040]に記載の、
「第1に、メッセージが、単に、レセプタ、或いは、非常に短い距離の赤外線、或いは、電波転送を用いてデバイス間で直接に交換される。第2に、公開鍵暗号は無許可のノードが情報を得るのを許されないことを保証するために使用される」から、
“メッセージの交換に、赤外線、或いは、近距離無線が用いられる”こと、及び、“無許可のノードは、メッセージをデコードできない”ことが、引用刊行物1から、読み取れる。

(き)上記Fで引用した[0043]に記載の、
「アイボタンは、自動化されたトラブルシューティング、或いは、ヘルプ・プログラム(MSオペレーティング・システム上の、ウィザードのような)の形式で、アイボタンがサーバとして機能し、PDAがクライアントとして機能するような、クライアント-サーバ・アプリケーションとして、ポレンを含んでいる。あるいは、多くの小さなアプリケーション(例えば、JAVAアプレットのような)が、アイボタンからPDAに、或いは、その逆は、他の異なるポレン・メッセージとして、ダウンロードされ得る」から、
“第1ノードには、第1ノードがサーバとして機能し、第2ノードがクライアントとして機能するようなアプリケーションが含まれる”こと、或いは、“第1ノードから、第2ノードへ、アプリケションがダウンロードされ得る”ことが、引用刊行物1から、読み取れる。

(く)上記Gで引用した[0045]に記載の、
「アイボタンをデバイスに貼り付け、それに、基本的なポレン環境(プログラム、或いは、処理ルーチン)をインストールすると、全ての追加的なアップデートは、通常のポレン処理(例えば、ユーザが、いつものPDAがアクセスする間に、アプリケーションのアップデートをダウンロードすることができる。)として行うことができるので、それ以上は、何もする必要がない」から、
“第1ノードに最初に基本的なプログラムをインストールすると、以降は、第2ノードとのアクセス時点に、アップデート・プログラムがダウンロードされる”ことが、引用刊行物1から、読み取れ、この内容と、上記(く)で指摘の事項から、
“第1ノードと第2ノード間で授受されるメッセージには、アプリケーションが含まれる”ことは、明らかである。

(け)上記Hで引用した[0049]に記載の、
「PDAとアイボタンの基盤設備に加えて、ポレン・ネットワークは、赤外線の基盤設備の附加によって、拡張することが可能である。ポレン・ネットワークに加えて、IR基盤設備は、より継続的な接続性を許すであろう。例えば、赤外線ポートを有するデバイスは、非接触でのポレンの交換を可能とするために、アイボタンと、置換可能である。(サイオンとパーム・パイロットといった)赤外線ポートを有するPDAは、赤外線を介して、直接、ポレン・メッセージを、交換可能である」から、
“第1ノードと第2ノードとは、非接触の赤外線通信を用いてメッセージの交換を行う”ことが、引用刊行物1から、読み取れ、
同[0050]に記載の、
「第1に、ユーザは、1つの装置に付けられたあるノードから目的地装置36に付けられた、別のノードまで、その人のウエアラブル・コンピューター上のソース・ノード34からのメッセージを、直接伝えることができる(経路42)。第2に、メッセージは中間ノード38を通じて、多くの異なるユーザによって、ノードからノードへ運ばれる(経路46)。第3に、メッセージは、他のノードへの経路上のハイブ50を通過し得る;1のユーザがドッキングしたときに、ハイブにメッセージを預け、二番目のユーザが、後で、ドッキングしたときに、それを拾い上げることで(経路44)」における、「複数のユーザ」とは、“PDA、即ち、第2ノードを有するユーザ”のことを指し示すことは明らかであるから、上記引用の記載から、
“メッセージが、第1ノードから、第2ノードを介して、他の第1ノードへ転送される、或いは、第1ノードから、第2ノードを介して、中間ノードへ、そして、他の第2ノードを、介して、他の第1ノードへ転送される”ことが読み取れる。

(こ)上記(え)で指摘したように、引用刊行物1に記載の第1ノード、第2ノード、ハイブには、“プログラムが実装され”、
上記(お)で指摘したように、引用刊行物1に記載の第1ノードは、“メッセージを受信するかを決めるためにプログラムされ”、
上記(く)で指摘したように、引用刊行物1に記載の第1ノードは、“基本的なプログラムがダウンロードされ、また、追加のアップデート・プログラムが第2ノードから送信される”ことから、
上記(お)で指摘の“第1ノードがプログラムされ”るとは、“第1ノードにプログラムがダウンロードされる”ことを意味し、
上記(え)で指摘の“第1ノード、第2ノード、ハイブにはプログラムが実装され”とは、例えば、“第1ノードが、ダウンロードされ、或いは、第2ノードから送信されたプログラムを保持する”ことを意味することは明らかである。

(さ)上記(う)で指摘の“メッセージは、第2ノードにおいては、ユーザの身元と現在の状況に応じて、可視、或いは、不可視にすることができること、第2ノードが次のデバイスにアクセスすると、保存されたメッセージが、選択的に転送される”ことと、
及び、上記(か)で指摘の“無許可のノードはメッセージをデコードできない”から、
引用刊行物1に記載のシステムにおいては、“ノード間でメッセージ、即ち、プログラムの授受を行う場合に、該プログラムの使用に関する認証を行い、使用許可である場合には、可視、或いは、デコード可能となる”ことは明らかである。
そして、上記A?Hから、引用刊行物1に記載のシステムは、複数の第1ノード、複数の第2ノード、中間ノード、ハイブ等を有することは明らかであるから、

したがって、以上(あ)?(さ)で検討した事項から、引用刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されているものと認める。

メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを、システム内の複数のノードへ転送するための方法であって、前記システムは、互いに非接触通信することが可能な、第1ノード、第2ノート、ハイブ等を含み、
任意の第1ノードにメッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムをダウンロードするステップを有し、
前記メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムをダウンロードされた第1ノードと第2ノードとの間で、非接触通信を行うことで、メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを、前記第1ノードから、前記第2ノードへ、転送するステップと、
前記メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを転送された第2ノードから、前記転送されたメッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを、他の第1ノードとの間で非接触通信を行うことで、選択的に転送するステップと、
ノードにおいて、メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムの使用許可に関する認証を行い、使用が許可の場合は、前記メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムが、可視、或いは、デコード可能となるステップを含む、方法。

その5.本願発明と引用発明との対比
次に、本願発明と引用発明とを対比する。
(a)引用発明における「第2ノード」、「第1ノード」が、それぞれ、
本願発明における「移動データキャリア(IM)」、「端末(WR)」に相当し、
(b)引用発明における「システム」と、
本願発明における「階層的認可システム」とは、
“複数の端末(WR)を有するネットワークシステム”である点で共通し、
(c)引用発明における「メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラム」と、
本願発明における「アプリケーション(App)のアプリケーション情報(Iex)」とは、
「移動データキャリア(IM)」と、「端末(WR)」との間で送信される“転送情報”である点で共通するので、
引用発明における「メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを、システム内の複数のノードへ転送するための方法」と、
本願発明における「アプリケーション(App)のアプリケーション情報(Iex)を、階層的認可システム(A)内の複数の端末(WR)へ転送することにより、前記アプリケーション(App)を、初期化または拡張するための方法」とは、
“転送情報を、複数の端末(WR)を有するネットワークシステム内の複数の端末(WR)に転送する方法”である点で共通し、
(d)引用発明における「任意の第1ノードにメッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムをダウンロードするステップ」と、
本願発明における「少なくとも1つの端末(WR)を選択して認可し、前記端末(WR)にアプリケーション情報(Iex)をロードするステップ」とは、
“端末(WR)に、転送情報をロードするステップ”である点で共通し、
(e)引用発明における「メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムをダウンロードされた第1ノード」と、
本願発明における「被認可端末(WRZ)」とは、
“転送情報をロードされた端末”である点で共通し、
(f)引用発明における「メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムをダウンロードされた第1ノードと第2ノードとの間で、非接触通信を行うことで、メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを、前記第1ノードから、前記第2ノードへ、選択的に転送するステップ」と、
本願発明における「移動データキャリア(IM)を、前記被認可端末(WRZ)に提示した際に、前記アプリケーション情報(Iex)を、前記移動データキャリア(IM)にロードするステップ」とは、
“移動データキャリア(IM)を、転送情報をロードされた端末に提示した際に、転送情報を、前記移動データキャリア(IM)にロードするステップ”である点で共通し、
(g)引用発明における「メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを転送された第2ノード」と、
本願発明における「ロードされた移動データキャリア(IMex)」とは、
“移動情報をロードされた移動データキャリア”である点で共通し、
(h)引用発明における「メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを転送された第2ノードから、前記転送されたメッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを、他の第1ノードとの間で非接触通信を行うことで、選択的に転送するステップ」とは、当該「転送されたメッセージ、或いは、アプリケーション・プログラム」が、「他の第1ノード」に送信すべきものであるかの“関連性”をみることで、「選択的に転送」していることは明らかであるから、
本願発明における「ロードされた移動データキャリア(IMex)を他の端末(WR)に呈示する間に、これらの他の端末(WR)がアプリケーション(App)に関連付けられている場合に、アプリケーション情報(Iex)をこれらの他の端末(WR)に送信するステップ」とは、
“転送情報をロードされた移動データキャリアを他の端末に提示したときに、これら他の端末が、転送情報に関連する情報、或いは、転送情報に関連付けられている場合に、転送情報をこれら他の端末に送信するステップ”である点で共通しているので、
上記(a)?(h)にて検討した事項から、本願発明と引用発明との一致点、及び、相違点は次のとおりである。

[一致点]
転送情報を、複数の端末(WR)を有するネットワークシステム内の複数の端末(WR)に転送する方法であって、
前記ネットワークシステムは、互いに非接触で通信する移動データキャリア(IM)と端末(WR)とを含み、
a)端末(WR)に、転送情報をロードするステップを備え、当該ステップによって、端末(WR)は、転送情報をロードされた端末となり、
b)移動データキャリア(IM)を、転送情報をロードされた端末に提示した際に、転送情報を、前記移動データキャリア(IM)にロードするステップを備え、当該ステップによって、移動データキャリア(IM)は、移動情報をロードされた移動データキャリアとなり、
c)転送情報をロードされた移動データキャリアを他の端末に提示したときに、これら他の端末が、転送情報に関連する情報、或いは、転送情報に関連付けられている場合に、転送情報をこれら他の端末に送信するステップを含む、方法。

[相違点1]
“複数の端末(WR)を有するネットワークシステム”について、
本願発明においては、ネットワークシステムが、「階層的認可システム」であるのに対して、
引用発明においては、「システム」が、「階層的」であること、及び、「認可システム」であることが、明確に示されていない点、

[相違点2]
“転送情報”について、
本願発明においては、「アプリケーション(App)のアプリケーション情報(Iex)」であるのに対して、
引用発明においては、「メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラム」である点、

[相違点3]
本願発明が、「転送することにより、前記アプリケーション(App)を、初期化または拡張するための方法」であるのに対して、
引用発明においては、アプリケーション・プログラムの初期化または拡張については明確に示されてない点

[相違点4]
“端末(WR)に、転送情報をロードするステップ”について、
本願発明においては、「少なくとも1つの端末(WR)を選択して認可し」ているのに対して、
引用発明においては、「認可」する点については明確に示されていない点、

[相違点5]
“これら他の端末が、転送情報に関連する情報、或いは、転送情報に関連付けられている場合”について、
本願発明においては、「これら他の端末(WR)がアプリケーション(App)に関連付けられている場合」であるのに対して、
引用発明においては、“関連付けられている”のが、メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムである点、

[相違点6]
本願発明においては、「移動データキャリア(IM)およびロードされた移動データキャリア(IMex)が前記階層的認可システムにおいて認可されると」、「これらの他の端末(WR)において、前記アプリケーションAppを実行する」のに対して、
引用発明においては、“第2ノードがシステムにおいて認可されると”、“第1ノードにおいて、アプリケーション・プログラムを実行する”ことに関して、明確に示されていない点、

その6.当審の判断
以下において、上記項目その5で指摘の相違点について検討する。

[相違点1]、及び、[相違点4]について
システムを構成する複数の装置を階層化することは、当業者にとっては周知の技術事項である(例えば、本願の第1国出願前に既に公知である国際公開第01/73527号<2001年10月04日公開、以下、これを「周知文献1」という、ファミリ;特表2003-529253>のFIG.1などを参照されたい)。
また、2つの非接触通信を行う機器間で認証を行う点については、原審が拒絶理由に引用した、本願の第1国出願前に既に公知である、特開平09-167098号公報(1997年6月24日公開、以下、これを「周知文献2」という)に、
「【0025】ホスト装置10はプロセッサ14を有し、このプロセッサはここでは装置10の動作を制御し、またセキュリティ・システムも実装する。プロセッサ14は通信モジュール16と暗号化/解読モジュール18を制御する。通信モジュール16は、リモート通信を可能にするためのPOTSネットワークやセルラ電話ネットワーク等の通信ネットワーク22への接続を行なうためのモデム20、携帯装置12との直接又はローカル通信を行なうための赤外線送信機/受信機ユニット24、又は、点線で示されたケーブル・リンク27によって携帯装置12にケーブル接続又はワイヤ接続をするためのパラレル又は直接インタフェース26を有する。
【0026】暗号化/解読モジュール18は、通常数千文字の長さのセキュリティー鍵又はパスワードをランダムに又は擬似ランダムに生成するための鍵生成装置28、及び携帯装置12との通信を暗号化及び解読し、かつ通信ネットワーク22を介してリモートでアクセスしようとする携帯装置12の身分を認証するためのチャレンジ/応答ルーチンを実装するための暗号化/解読装置30を含む。」
との記載があるように、当業者にとって周知の技術事項であり、
更に、ダウンロードの際に認可を行う点に関しても、例えば、本願の第1国出願前に既に公知である、特開平11-345266号公報(1999年12月14日公開、以下、これを「周知文献3」という)に、
J.「【請求項13】前記新規アプリケーションをダウンロードすることが更に、前記カード所有者の識別を確認することを含む、請求項1の方法。」
との記載があるように、当業者にとって周知の技術事項であって、
引用発明においても、ノードにおいて、メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムの使用に関する認証を行っており、
また、引用発明においても、第1ノードから、メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを、非接触に、第2ノードに転送し、前記第2ノードから、メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを、他の第1ノードへ転送するという構成を有しており、引用発明には明確に示されていないものの、このような構成が一種の階層構造を呼べるものであることは明らかであるから、
引用発明において、複数の第1ノード、第2ノードからなるシステムを階層構造とし、該複数の第1ノードの何れかを選択して認可し、認可された第1ノードに対して、メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムをロードする、階層的認可システムとすることは、当業者が適宜なし得るものである。
よって、相違点1、及び、相違点4は、格別のものでない。

[相違点2]について
複数の端末やノードで構成されるシステムにおいてアプリケーション、アプリケーションを制御するための情報、或いは、アプリケーションの処理に用いるパラメータなどを転送可能であることは、当業者にとっては自明の事項に過ぎない。
引用発明は、ノード間で、メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを転送するという、異なる種類の転送情報を転送し得る構成となっていることは明らかであるから、第1のノードにロードする情報として、メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムに替えて、アプリケーション(App)のアプリケーション情報(Iex)をロードし、該情報を第2ノードに転送することは、当業者が適宜なし得る事項である。
よって、相違点2は、格別のものでない。

[相違点3]について
送信されたアプリケーションを初期化することは、例えば、周知文献2に、
K.「【請求項10】前記ダウンロードを認定することが更に、前記モニター・アプリケーションを初期化することを含む、請求項1の方法。
【請求項11】前記モニター・アプリケーションを初期化することが更に、サーバーにより提供されるキーにより、前記モニター・アプリケーションを初期化することを含む、請求項10の方法。」
との記載もあるように、当業者にとっては、周知の技術事項である。
また、引用発明においては、転送するメッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムとして、アプリケーションの追加的なアップデートを含むものであり、アプリケーション・プログラムのアップデートを行うことで、該アプリケーションの機能を拡張し得ることは自明な事項であるから、
引用発明においても、メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラムを転送することで、アプリケーション・プログラムを初期化、或いは、拡張するよう構成することは、当業者が適宜なし得る事項である。
よって、相違点3は、格別のものでない。

[相違点5]について
本願発明において、「これら他の端末に送信する」、「アプリケーション情報(Iex)」は、「アプリケーション(App)のアプリケーション情報(Iex)」であるから、「アプリケーション情報(Iex)」が、「アプリケーション(App)」に関連する情報であることは明らかである。
引用発明においても、転送される「メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラム」が、いずれかのノードの有する「アプリケーション・プログラム」等の関連する場合に、該「メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラム」と関連する「これら他の端末」が、該「メッセージ、或いは、アプリケーション・プログラム」と関連する「アプリケーション・プログラム」等とも関連することは、当業者にとって自明の事項である。
よって、相違点5は、格別のものでない。

[相違点6]について
引用発明においても、上記Fで引用した[0043]に記載されているように、
“第1ノードをサーバ、第2ノードをクライアントとする構成”を含み、サーバ/クライアントシステムにおいては、クライアントからの要求に応じて、サーバにおけるアプリケーションが処理を行うことは自明の事項である。
また、サーバ/クライアントシステムにおいて、クライアントの認証を行って、サーバのアプリケーションにアクセスするようなことは、例えば、本願の第1国出願前に既に公知である、特開2000-207362号公報(2000年7月28日公開、以下、これを「周知文献4」という)に、
「【0002】
【従来の技術】従来、クライアントコンピュータ又は端末からLAN又は公衆回線網を経由したモバイル環境を介してネットワーク内で管理されユーザに提供されている電子メールシステム、グループウェアシステムやプリントサーバ等の各種サーバアプリケーション(サービス)を使用する場合、まずネットワークに接続(ログイン)し、その後利用する各種サーバアプリケーションに接続(ログイン)していた。即ち、ネットワークに接続する際に、ユーザIDとパスワードの入力をすることによりユーザ認証が必要である。またその後サーバアプリケーションに接続する際にも、個々のサーバアプリケーションに接続する度にユーザ認証が必要であった。また、これらのユーザ認証に必要なユーザ情報は、データ(ファイル)として個々のサーバアプリケーションにおいて管理されていた。」
との記載があるように、当業者にとっては周知の技術事項であり、
引用発明においても、ノードにおいて、認証を行っていることは明らかであるから、
引用発明と、上記引用の周知文献4における周知技術とから、
引用発明における、第1ノードをサーバ、第2ノードをクライアントとするような構成において、第2ノードを認証することで、第1ノードのアプリケーション・プログラムを動作させるようにすることは、当業者が適宜なし得る事項である。
よって、相違点6は、格別のものでない。

上記で検討したごとく、相違点1?6はいずれも格別のものではなく、そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。

その7.むすび
したがって、本願発明は、引用刊行物1に記載の発明、及び、周知文献1?周知文献4に記載の周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-10-14 
結審通知日 2011-10-18 
審決日 2011-11-01 
出願番号 特願2003-553519(P2003-553519)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 稔赤穂 州一郎  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 石井 茂和
清木 泰
発明の名称 端末におけるアプリケーションの初期化方法  
代理人 酒井 將行  
代理人 深見 久郎  
代理人 堀井 豊  
代理人 森田 俊雄  
代理人 野田 久登  
代理人 仲村 義平  
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