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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1254145 |
審判番号 | 不服2010-15577 |
総通号数 | 149 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-07-12 |
確定日 | 2012-04-10 |
事件の表示 | 特願2005-347705「3次元形状処理装置及び曲面作成プログラム並びに曲面作成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 6月21日出願公開、特開2007-156604、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1. 手続の経緯 本願は、平成17年12月01日に出願されたものであって、平成21年11月4日付け拒絶理由に対して平成22年1月12日付けで手続補正書が提出されたが、平成22年4月8日付けで拒絶査定がされ、平成22年7月12日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたものである。 審判合議体は平成24年1月6日付けで拒絶理由を通知した。 これに対し、平成24年3月12日付けで意見書及び手続補正書が提出されている。 2. 本願の発明 本願の発明は平成24年3月12日付けで提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された次のものである。 【請求項1】 断面曲線群から曲面を作成するための3次元形状処理装置であって、 前記断面曲線群の各断面曲線上に複数の基準点を設定し、設定した複数の前記基準点における法線を求める法線算出手段と、 複数の前記基準点及び各前記基準点における法線から得られる曲面の情報に基づいて曲面を作成する曲面作成手段と を具備し、 前記法線算出手段は、前記基準点毎に、前記基準点が設定されている主断面曲線上に前記基準点と重複しない少なくとも2つの参照点を設定し、更に、前記主断面曲線とは異なる少なくとも2つの従断面曲線を選択して、各前記従断面曲線上に少なくとも3つの参照点をそれぞれ設定する参照点設定手段と、 前記基準点の座標情報及び各前記参照点の座標情報をもとに、これらの座標情報からなる複数のベクトルを用いた曲面解析によって得られる第1次規格量または第2次規格量を用いて、前記基準点における法線を求める解析手段と、を含み、 曲面を 【数1】 と表した場合に、前記第1次規格量は、 【数2】 で定義され、前記第2次規格量は、 【数3】 で定義され、 前記曲面解析の結果に基づいて、前記基準点における法線及び該基準点と前記参照点とを含む前記曲面の情報を算出する3次元形状処理装置。 【請求項2】 前記従断面曲線は、前記主断面曲線の隣の断面曲線である請求項1に記載の3次元形状処理装置。 【請求項3】 前記基準点における前記主断面曲線の接線に直交する線と前記従断面曲線との交点に、前記参照点を設定する請求項1または2に記載の3次元形状処理装置。 【請求項4】 前記主断面曲線上に設定した前記基準点と各前記参照点において、各点間の弧長は略等しく、各前記従断面曲線上に設定した各前記参照点において、各点間の弧長が略等しい請求項1から3のいずれかの項に記載の3次元形状処理装置。 【請求項5】 断面曲線群から曲面を作成するための曲面作成プログラムであって、 コンピュータに、 前記断面曲線群の各断面曲線上に複数の基準点を設定し、設定した複数の前記基準点における法線を求める法線算出処理と、 複数の前記基準点及び各前記基準点における法線から得られる曲面の情報に基づいて曲面を作成する曲面作成処理とを実行させ、 前記法線算出処理では、前記基準点毎に、前記基準点が設定されている前記主断面曲線上に前記基準点と重複しない少なくとも2つの参照点を設定し、更に、前記主断面曲線とは異なる少なくとも2つの従断面曲線を選択して、各前記従断面曲線上に少なくとも3つの参照点をそれぞれ設定する参照点設定処理と、 前記基準点の座標情報及び各前記参照点の座標情報をもとに、これらの座標情報からなる複数のベクトルを用いた曲面解析によって得られる第1次規格量または第2次規格量を用いて、前記基準点における法線を求める解析処理と、を含み、 前記曲面解析の結果に基づいて、前記基準点における法線及び該基準点と前記参照点とを含む前記曲面の情報を算出する処理をコンピュータに実行させる曲面作成プログラム。 【請求項6】 断面曲線群から曲面を作成する曲面作成方法であって、 コンピュータが、 前記断面曲線群の各断面曲線上に複数の基準点を設定し、設定した複数の前記基準点における法線を求める法線算出過程と、 複数の前記基準点及び各前記基準点における法線から得られる曲面の情報に基づいて曲面を作成する曲面作成過程と を実行し、 前記法線算出過程では、前記基準点毎に、前記基準点が設定されている前記主断面曲線上に前記基準点と重複しない少なくとも2つの参照点を設定し、更に、前記主断面曲線とは異なる少なくとも2つの従断面曲線を選択して、各前記従断面曲線上に少なくとも3つの参照点をそれぞれ設定する参照点設定過程と、 前記基準点の座標情報及び各前記参照点の座標情報をもとに、これらの座標情報からなる複数のベクトルを用いた曲面解析によって得られる第1次規格量または第2次規格量を用いて、前記基準点における法線を求める解析過程と、を含み、 前記曲面解析の結果に基づいて、前記基準点における法線及び該基準点と前記参照点とを含む前記曲面の情報を算出する曲面作成方法。 3. 公知刊行物に記載された発明 審判合議体が平成24年1月6日付けで通知した特許法第29条第2項に基づく拒絶理由において提示した刊行物3(特開2005-149245号公報)には、以下の発明が記載されている。 [刊行物3に記載の発明] 実空間上の曲面をパラメータ空間に写像し、一次基本量と二次基本量とを算出し、次に、曲面の曲率線及び曲率線が通過する実空間座標を算出し、パラメータ空間上の逆写像目標点を通過する線とパラメータ空間上に写像された曲率線とのパラメータ空間上での交点の実空間座標を算出し、そして、算出した交点の実空間座標を通過する実空間上の曲線を算出し、これに基づいて曲線上の逆写像目標点の実空間座標値を算出して、実空間上で曲面データを再生する手法であって、 所定の図形表現により生成される実空間上の曲面を、曲面上のu方向,v方向(m×n)のメッシュに分割された点における、曲面の接平面を形成する接線ベクトル及びこの接平面に対する法線ベクトルによって定義される平面、円筒面又は球面のパラメータ空間に写像して得られる点列情報からなるデータ列から、曲面の接平面を形成する基本ベクトルSu、Svと一次基本量E、F、Gを求め、一次基本量から単位法線ベクトルnを求めて、該単位法線ベクトルnを用いて二次基本量L、M、Nを求めるとともに、一次基本量E、F、Gと二次基本量L、M、Nから法曲率κを算出する手法。 4.対比 本願の発明と引用刊行物3に記載の発明とを対比する。 本願の発明は、独立請求項である請求項1及び5、6の末尾から明らかなように、「曲面解析の結果に基づいて、前記基準点における法線及び該基準点と前記参照点とを含む前記曲面の情報を算出する」ものである。 そして、「曲面解析の結果に基づいて」とは、請求項1及び5、6の前段に「前記基準点の座標情報及び各前記参照点の座標情報をもとに、これらの座標情報からなる複数のベクトルを用いた曲面解析によって得られる第1次規格量または第2次規格量を用いて、前記基準点における法線を求める」と記載されていることから、本願の発明は、「第1次規格量」「第2次規格量」を用いて「法線」を求めるものであると認定される。 一方、引用刊行物3に記載された発明は、「一次基本量から単位法線ベクトルnを求めて、該単位法線ベクトルnを用いて二次基本量L、M、Nを求めるとともに、一次基本量E、F、Gと二次基本量L、M、Nから法曲率κを算出する」ものである。 そうすると、本願の発明における「法線」「第1次規格量」「第2次規格量」と引用刊行物3に記載の発明における「単位法線ベクトルn」「一次基本量」「二次基本量」とは同義であるから、本願の発明が、“「第1次規格量」「第2次規格量」を用いて「法線」を求めるもの”であるのに対し、引用刊行物3に記載の発明は“「法線」を用いて「第2次規格量」を求めるもの”であるから、両者は相違する。 すなわち、「第1次規格量」「第2次規格量」「法線」は、引用刊行物3の発明の詳細な説明に記載されている諸式から、その関係は明らかであり、本願の発明がそのような関係を利用していることは明らかではあるが、本願の発明と引用刊行物3に記載の発明は、発明の構成として、何が既知で、何が未知であるかにおいて相違する。 加えて、本願の発明が、 「法線算出手段は、前記基準点毎に、前記基準点が設定されている主断面曲線上に前記基準点と重複しない少なくとも2つの参照点を設定し、更に、前記主断面曲線とは異なる少なくとも2つの従断面曲線を選択して、各前記従断面曲線上に少なくとも3つの参照点をそれぞれ設定する参照点設定手段」 を設けて、 「前記基準点の座標情報及び各前記参照点の座標情報をもとに」 して基準点における法線を求めるものであるのに対し、引用刊行物3に記載の発明は、予め定められている、u方向,v方向(m×n)のメッシュに分割された点のmn個のデータ列から 「基本ベクトルSu、Svとメッシュの単位法線ベクトルnによって定義される二次基本量(本願の二次規格量と同じ意味)であるL,M,Nを算出する」(段落【0032】) ものであり、予めメッシュで基準点が固定されている対象物の表面形状を把握するものであるのに対し、本願の発明は、u方向,v方向(m×n)のメッシュに分割された点のmn個のデータ列から法線を求めるものであって、本願の発明と引用刊行物3に記載の発明はこの点においても相違する。 したがって、本願の発明が引用刊行物3に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 5. むすび 以上のとおりであるから、本願の発明が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。 また、他に拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2012-03-28 |
出願番号 | 特願2005-347705(P2005-347705) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松浦 功 |
特許庁審判長 |
板橋 通孝 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 吉村 博之 |
発明の名称 | 3次元形状処理装置及び曲面作成プログラム並びに曲面作成方法 |
代理人 | 藤田 考晴 |
代理人 | 藤田 考晴 |
代理人 | 上田 邦生 |
代理人 | 上田 邦生 |