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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1254276
審判番号 不服2010-26906  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-29 
確定日 2012-03-21 
事件の表示 特願2009-138901「コンテナ表示制御装置及びそのプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 1月20日出願公開、特開2011- 13703〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成21年6月10日の出願であって、平成22年9月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成22年11月29日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。


第2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年6月18日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のものである。

「【請求項1】
最上位コンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナに関するコンテナタイトルをサーバから取得するコンテナタイトル取得手段と、
コンテナのカテゴリが第1カテゴリであることを示す識別情報、及び、コンテナのカテゴリが第2カテゴリであることを示す識別情報が予め登録されている登録部と、
最上位コンテナの1つ下の階層の各コンテナについて、タイトルの中に前記登録部に登録されている前記第1カテゴリであることを示す識別情報が含まれているか否か、及び、最上位コンテナの1つ下の階層の各コンテナについて、タイトルの中に前記登録部に登録されている前記第2カテゴリであることを示す識別情報が含まれているか否かを判断するカテゴリ判断手段と、
最上位コンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナの内、タイトルの中に前記第1カテゴリであることを示す識別情報が含まれているコンテナが1つのみであるか否かを判断する判断手段と、
タイトルの中に前記第1カテゴリであることを示す識別情報が含まれているコンテナが1つのみである場合に、最上位コンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナの一覧を表示させることなく、タイトルの中に前記第1カテゴリであることを示す識別情報が含まれているコンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナの一覧を表示装置に表示させ、タイトルの中に前記第1カテゴリであることを示す識別情報が含まれているコンテナが1つのみでない場合に、最上位コンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナの内、タイトルの中に前記第2カテゴリであることを示す識別情報が含まれているコンテナを表示させず、残りのコンテナの一覧を表示させる表示制御手段とを備える、コンテナ表示制御装置。」


第3.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開2008-165646号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(a)段落番号【0033】
「【0033】
図3は、メディアサーバに格納されたコンテンツを管理するツリー構造の例を示す図である。
UPnP機器であるメディアサーバには、CDS(Contents Directory Service)という機能(Service)が組み込まれており、メディアサーバはこの機能により、コントロールポイントに対して、メディアサーバにどのようにコンテンツが格納されているかを通知する。CDSには、コンテナ(Container)とアイテム(Item)という二つの抽象化されたオブジェクト(Object)があり、これらはいわば、米マイクロソフト社が提供するOS(Operating System)であるWINDOWS(登録商標)におけるフォルダ(Folder)とファイル(File)に相当する。コンテナとアイテムは、図3に示すように常にツリー構造を作ることになっている。なお、本実施の形態では、配信されるオーディオコンテンツ(オーディオデータ)が、図3におけるアイテムを意味している。」

(b)段落番号【0054】-【0056】
「【0054】
情報格納部120には、サーバ装置1内のコンテンツが、その種別毎にツリー構造にまとめられた階層データが格納されている。
図7は、データ格納部に格納された階層データの一例を示す図である。
【0055】
階層データ120aは、固有のオブジェクトIDを備えるルートコンテナ40を有している。ルートコンテナ40の子階層には、それぞれ異なるカテゴリーのコンテンツを備え、固有のオブジェクトIDを備えるコンテナ50、60、70が設けられている。コンテナ50は、オーディオコンテンツ51、51、51を有している。コンテナ60は、ビデオコンテンツ61、61、61を有している。コンテナ70は、ピクチャーコンテンツ71、71、71を有している。
【0056】
コンテナ50、60、70には、それぞれコンテナに含まれるコンテンツの中身を示すタグ(フォルダ属性)が付されている。コンテナ50には、オーディオタグ52が付されており、コンテナ60にはビデオタグ62が付されており、コンテナ70にはピクチャータグ72が付されている。」

(c)段落番号【0058】-【0063】
「【0058】
I/F部130は、制御部110とオーディオ再生装置2?4とのインタフェースを構成している。
図8は、オーディオ再生装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。なお、図8では代表的にオーディオ再生装置2の機能を示しているが、オーディオ再生装置3、4もオーディオ再生装置2と同様の機能を有している。
【0059】
オーディオ再生装置2は、リスト取得部210と、サーバ情報格納部220と、タグ解析部230と、階層表示部240と、コンテンツ再生部250と、I/F部260とを有している。
【0060】
リスト取得部210は、例えばオーディオ再生装置2の電源ON時に、サーバ装置1にアクセスし、階層データ120aの構造を取得する要求(階層構造の取得要求)をサーバ装置1に送信する。このリスト取得部210が、サーバアクセス部とフォルダ属性取得部との主要部を構成している。
【0061】
サーバ情報格納部220には、オーディオ再生装置2のサーバ装置1へのアクセスの有無を示すアクセスフラグと、サーバ装置1のルートコンテナ40のオブジェクトIDとが格納されている。なお、アクセスフラグの状態は、オーディオ再生装置2のOFF時にリセットさせるようになってもよいし、そのまま保持されるようになっていてもよい。
【0062】
タグ解析部230は、タグの個数および種別を把握し、オーディオタグ52が付されたオーディオコンテナおよびその中身(コンテナおよびコンテンツ)を抽出する。このタグ解析部230が、判断部の主要部を構成している。
【0063】
階層表示部240は、タグ解析部230により抽出されたオーディオコンテナおよびその中身のみを、モニタ26aに表示する。
コンテンツ再生部250は、ユーザに選択されたコンテンツのコンテンツデータをサーバ装置1から取得し、再生する。」

(d)段落番号【0065】-【0074】
「【0065】
図9は、コンテンツ再生動作を示すフローチャートである。
まず、オーディオ再生装置2の電源がONすると、リスト取得部210がアクセスフラグを参照し、サーバ装置1に対する最初のアクセスか否かを判断する(ステップS11)。
【0066】
最初のアクセスの場合(ステップS11のYes)、リスト取得部210が、サーバ情報格納部220に格納されているルートコンテナ40のオブジェクトIDに基づいて、ルートコンテナ40にBrowse Direct Childrenを実行し、リストを取得する(ステップS12)。
【0067】
Browse Direct Childrenを送信することによって、(1)リスト(タグの名称、コンテナおよびアイテムの有無並びにそれらの配列(ex:アイテムが先に並んでいる、タイトル順に並んでいる等))、(2)子コンテナおよびアイテムの総数、(3)子コンテナおよびアイテムそれぞれのオブジェクトIDと名前(文字列)、(4)オブジェクトの属性等が得られる。
【0068】
次に、タグ解析部230が、各コンテナに付されているタグを解析し、オーディオコンテナ(目的とするコンテナ)の個数を調べる(ステップS13)。その結果、オーディオコンテナの数が1つも存在しない場合、または2つ以上存在する場合(ステップS13のNo)、動作を終了する。一方、オーディオコンテナの数が1つである場合(ステップS13のYes)、発見したオーディオコンテナのオブジェクトIDをルートIDに設定する(ステップS14)。そして、設定したルートIDを、サーバ情報格納部220に格納する。
【0069】
一方、ステップS11において、最初のアクセスではない場合(2回目以降のアクセスである場合)(ステップS11のNo)、リスト取得部210は、最初のアクセスにおいてタグ解析部230がサーバ情報格納部220に格納したルートIDを備えるオーディオコンテナに、必要に応じてBrowse Direct Childrenを実行し、リストを取得する(ステップS15)。
【0070】
次に、階層表示部240が、得られたリストに基づいてオーディオコンテナの階層をモニタ26aに表示する(ステップS16)。
図10は、モニタに表示された画面の一例を示す図である。
【0071】
図10では、モニタ26aには、ルートコンテナ40が表示されることなく、最初からコンテナ50およびオーディオコンテンツ51、51、51が表示される。そして、オーディオコンテンツ51、51、51のうちのいずれか1つがユーザにより選択されると、コンテンツ再生部250が、選択されたオーディオコンテンツ51のコンテンツデータをサーバ装置1から取得し、再生する。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態のネットワークシステムによれば、オーディオ再生装置2?4は、サーバ装置1で公開している全てのコンテナを見せずに、オーディオコンテンツが入っているコンテナのみを表示部26aに表示するようにしたので、ユーザにとって不必要な情報を表示させることなく、ユーザはコンテンツ検索をより容易に行うことができる。
【0073】
また、タグ解析部230がタグに基づいて判断するようにしたため、実際にコンテンツの内容を見ることなく判断することができ、処理を迅速に行うことができる。
また、オーディオタグが付されたコンテナを次回以降のアクセスにおけるルートコンテナとみなし、次回以降のアクセスにおいて、リスト取得部210がそのルートIDを用いてサーバ装置1にアクセスすることにより、次回以降のサーバ装置1との接続時間の短縮を図ることができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、オーディオコンテナの数が2つ以上存在する場合は、動作を終了するようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば再生可能なオーディオコンテナを全てモニタ26aに表示するようにしてもよい。」


したがって、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「UPnP機器であるメディアサーバには、CDS(Contents Directory Service)という機能(Service)が組み込まれており、メディアサーバはこの機能により、コントロールポイントに対して、メディアサーバにどのようにコンテンツが格納されているかを通知し、CDSには、コンテナ(Container)とアイテム(Item)という二つの抽象化されたオブジェクト(Object)があり、これらはいわば、米マイクロソフト社が提供するOS(Operating System)であるWINDOWS(登録商標)におけるフォルダ(Folder)とファイル(File)に相当しており、コンテナとアイテムは、常にツリー構造を作ることになっており、配信されるオーディオコンテンツ(オーディオデータ)が、アイテムを意味しており、
サーバ装置1の情報格納部120には、サーバ装置1内のコンテンツが、その種別毎にツリー構造にまとめられた階層データが格納されており、
階層データ120aは、固有のオブジェクトIDを備えるルートコンテナ40を有しており、ルートコンテナ40の子階層には、それぞれ異なるカテゴリーのコンテンツを備え、固有のオブジェクトIDを備えるコンテナ50、60、70が設けられており、コンテナ50は、オーディオコンテンツ51、51、51を有しており、コンテナ60は、ビデオコンテンツ61、61、61を有しており、コンテナ70は、ピクチャーコンテンツ71、71、71を有しており、
コンテナ50、60、70には、それぞれコンテナに含まれるコンテンツの中身を示すタグ(フォルダ属性)が付されていて、コンテナ50には、オーディオタグ52が付されており、コンテナ60にはビデオタグ62が付されており、コンテナ70にはピクチャータグ72が付されており、
リスト取得部210と、サーバ情報格納部220と、タグ解析部230と、階層表示部240と、コンテンツ再生部250と、I/F部260とを有するオーディオ再生装置2であって、
リスト取得部210は、例えばオーディオ再生装置2の電源ON時に、サーバ装置1にアクセスし、階層データ120aの構造を取得する要求(階層構造の取得要求)をサーバ装置1に送信し、
サーバ情報格納部220には、オーディオ再生装置2のサーバ装置1へのアクセスの有無を示すアクセスフラグと、サーバ装置1のルートコンテナ40のオブジェクトIDとが格納されており、なお、アクセスフラグの状態は、オーディオ再生装置2のOFF時にリセットさせるようになってもよいし、そのまま保持されるようになっていてもよく、
タグ解析部230は、タグの個数および種別を把握し、オーディオタグ52が付されたオーディオコンテナおよびその中身(コンテナおよびコンテンツ)を抽出し、
階層表示部240は、タグ解析部230により抽出されたオーディオコンテナおよびその中身のみを、モニタ26aに表示し、
コンテンツ再生部250は、ユーザに選択されたコンテンツのコンテンツデータをサーバ装置1から取得し、再生するものであり、
まず、オーディオ再生装置2の電源がONすると、リスト取得部210がアクセスフラグを参照し、サーバ装置1に対する最初のアクセスか否かを判断し(ステップS11)、
最初のアクセスの場合(ステップS11のYes)、リスト取得部210が、サーバ情報格納部220に格納されているルートコンテナ40のオブジェクトIDに基づいて、ルートコンテナ40にBrowse Direct Childrenを実行し、リストを取得し(ステップS12)、
Browse Direct Childrenを送信することによって、(1)リスト(タグの名称、コンテナおよびアイテムの有無並びにそれらの配列(ex:アイテムが先に並んでいる、タイトル順に並んでいる等))、(2)子コンテナおよびアイテムの総数、(3)子コンテナおよびアイテムそれぞれのオブジェクトIDと名前(文字列)、(4)オブジェクトの属性等が得られ、
次に、タグ解析部230が、各コンテナに付されているタグを解析し、オーディオコンテナ(目的とするコンテナ)の個数を調べ(ステップS13)、その結果、オーディオコンテナの数が1つも存在しない場合(ステップS13のNo)、動作を終了し、一方、オーディオコンテナの数が1つである場合(ステップS13のYes)、発見したオーディオコンテナのオブジェクトIDをルートIDに設定し(ステップS14)、そして、設定したルートIDを、サーバ情報格納部220に格納し、
次に、階層表示部240が、得られたリストに基づいてオーディオコンテナの階層をモニタ26aに表示し(ステップS16)、
この時、モニタ26aには、ルートコンテナ40が表示されることなく、最初からコンテナ50およびオーディオコンテンツ51、51、51が表示され、そして、オーディオコンテンツ51、51、51のうちのいずれか1つがユーザにより選択されると、コンテンツ再生部250が、選択されたオーディオコンテンツ51のコンテンツデータをサーバ装置1から取得し、再生し、
前記ステップS13において、オーディオコンテナの数が2つ以上存在する場合は、再生可能なオーディオコンテナを全てモニタ26aに表示するように動作し、
以上説明したように、サーバ装置1で公開している全てのコンテナを見せずに、オーディオコンテンツが入っているコンテナのみを表示部26aに表示するようにしたので、ユーザにとって不必要な情報を表示させることなく、ユーザはコンテンツ検索をより容易に行うことができる、
オーディオ再生装置2。」


第4.本願発明と引用発明の一致点・相違点

引用発明において、サーバ装置1に対する最初のアクセスの場合(ステップS11のYes)、リスト取得部210が、サーバ装置1のサーバ情報格納部220に格納されているルートコンテナ40のオブジェクトIDに基づいて、ルートコンテナ40にBrowse Direct Childrenを実行し、リストを取得する(ステップS12)。
Browse Direct Childrenを送信することによって、(3)子コンテナおよびアイテムそれぞれのオブジェクトIDと名前(文字列)が得られる。
引用発明の「ルートコンテナ40」が、本願発明の「最上位コンテナ」に相当する。子コンテナの数が一般的に1つ又は複数であることは技術常識であるから、引用発明の「子コンテナ」が、本願発明の「最上位コンテナの1つ下の階層の1つ又は複数のコンテナ」に相当する。引用発明の子コンテナの名前(文字列)が、本願発明の「最上位コンテナの1つ下の階層の1つ又は複数のコンテナに関するコンテナタイトル」に相当する。引用発明のリスト取得部210は、サーバ装置1から子コンテナの名前(文字列)を得ているから、本願発明の「最上位コンテナの1つ下の階層の1つ又は複数のコンテナに関するコンテナタイトルをサーバから取得するコンテナタイトル取得手段」に相当する。

引用発明のオーディオが、本願発明の「第1カテゴリ」に相当する。引用発明のオーディオコンテナと本願発明の「タイトルの中に前記第1カテゴリであることを示す識別情報が含まれているコンテナ」とは、「第1カテゴリのコンテナ」である点で一致している。
引用発明のビデオ及びピクチャが、本願発明の「第2カテゴリ」に相当する。引用発明のビデオタグ62が付されているコンテナ60及びピクチャータグ72が付されているコンテナ70と、本願発明の「タイトルの中に前記第2カテゴリであることを示す識別情報が含まれているコンテナ」とは、「第2カテゴリのコンテナ」である点で一致している。

引用発明のタグ解析部230は、タグの個数および種別を把握する。したがって、引用発明のタグ解析部230と、本願発明のカテゴリ判断手段は、「最上位コンテナの1つ下の階層の各コンテナについて、第1カテゴリのコンテナであるか否か、及び、最上位コンテナの1つ下の階層の各コンテナについて、第2カテゴリのコンテナであるか否かを判断するカテゴリ判断手段」である点で一致している。

引用発明では、ステップS13において、オーディオコンテナ(目的とするコンテナ)の個数を調べ、その結果、(1)オーディオコンテナの数が1つも存在しない場合、(2)オーディオコンテナの数が1つである場合、(3)オーディオコンテナの数が2つ以上存在する場合の三つに場合分けしている。
したがって、引用発明と本願発明とは、「最上位コンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナの内、第1カテゴリのコンテナが1つのみであるか否かを判断する判断手段」を備える点で一致している。

引用発明では、オーディオコンテナの数が1つである場合には、モニタ26aには、ルートコンテナ40が表示されることなく、最初からオーディオコンテナであるコンテナ50および該コンテナ50のコンテンツであるオーディオコンテンツ51、51、51が一覧される。そして、ルートコンテナ40の1つ下の階層の1つ又は複数であるコンテナ50,60,70の一覧表示はされていない。
したがって、引用発明の階層表示部240と本願発明の表示制御手段とは、「前記第1カテゴリのコンテナが1つのみである場合に、最上位コンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナの一覧を表示させることなく、タイトルの中に前記第1カテゴリであることを示す識別情報が含まれているコンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナ又はコンテンツの一覧を表示装置に表示させる」点で一致している。

引用発明では、オーディオコンテナの数が2つ以上存在する場合は、再生可能なオーディオコンテナを全てモニタ26aに表示する。この場合、最上位コンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナ(50,60,70)の内、第2カテゴリのコンテナである、ビデオタグ62が付されているコンテナ60及びピクチャータグ72が付されているコンテナ70が表示されるのか否か、定かでない。しかし、残りのコンテナである、2つ以上のオーディオコンテナが一覧表示されることは確かである。
したがって、引用発明の階層表示部240と本願発明の表示制御手段とは、「前記第1カテゴリのコンテナが1つのみでない場合に、残りのコンテナの一覧を表示させる」点で一致している。


したがって、本願発明と引用発明の一致点・相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「最上位コンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナに関するコンテナタイトルをサーバから取得するコンテナタイトル取得手段と、
最上位コンテナの1つ下の階層の各コンテナについて、第1カテゴリのコンテナであるか否か、及び、最上位コンテナの1つ下の階層の各コンテナについて、第2カテゴリのコンテナであるか否かを判断するカテゴリ判断手段と、
最上位コンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナの内、前記第1カテゴリのコンテナが1つのみであるか否かを判断する判断手段と、
前記第1カテゴリのコンテナが1つのみである場合に、最上位コンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナの一覧を表示させることなく、前記第1カテゴリのコンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナ又はコンテンツの一覧を表示装置に表示させ、
前記第1カテゴリのコンテナが1つのみでない場合に、残りのコンテナの一覧を表示させる表示制御手段とを備える、コンテナ表示制御装置。」である点。

[相違点1]
本願発明は、「コンテナのカテゴリが第1カテゴリであることを示す識別情報、及び、コンテナのカテゴリが第2カテゴリであることを示す識別情報が予め登録されている登録部」を備えるのに対して、引用発明は、そのような登録部が明記されていない点。

[相違点2]
コンテナが第1カテゴリのコンテナであるか否か及び第2カテゴリのコンテナであるか否かを判断する際に、本願発明のカテゴリ判断手段は「タイトルの中に前記登録部に登録されている前記第1カテゴリであることを示す識別情報が含まれているか否か」及び「タイトルの中に前記登録部に登録されている前記第2カテゴリであることを示す識別情報が含まれているか否か」に基づいて判断するのに対して、引用発明では、コンテナに付されているタグに基づいて判断する点。

[相違点3]
第1カテゴリのコンテナが1つのみである場合に、本願発明では、第1カテゴリのコンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテナの一覧を表示させるのに対して、引用発明では、第1カテゴリのコンテナの1つ下の階層の1又は複数のコンテンツの一覧を表示させる点。

[相違点4]
第1カテゴリのコンテナが1つのみでない場合に、本願発明では、第2カテゴリのコンテナを表示させないのに対して、引用発明では、第2カテゴリのコンテナである、ビデオタグ62が付されているコンテナ60及びピクチャータグ72が付されているコンテナ70を表示させるのか否か、定かでない点。


第5.相違点についての検討

[相違点1及び相違点2について]
例えば、特開2008-129821号公報の段落番号【0051】-【0052】に、
「【0051】
図9は、本実施の形態に係る関連情報抽出部211によるアジェンダの検索処理(S105)を説明するフローチャートである。
【0052】
まずステップS301で、渡された会議名を作業領域に記憶する。次にステップS302に進み、フォルダの属性、即ちフォルダ名やフォルダコメント等に、その会議の会議名を含むフォルダがあるかをネットワーク上の全てのストレージ装置105に対して検索する。ここで属性に会議名を含むフォルダが無ければステップS303に進み、そのフォルダの属性に当日の日付に該当する文字列を含むフォルダがあるかを、同じくネットワーク上の全てのストレージ装置105を対象に検索する。ここで日付に該当する文字列とは、当日の年月日が全て含まれているものに限らず、年月日の一部だけしか含まれていなくても当日の日付がそれに相当する場合も含む。更に、年、月、日ごとにフォルダが分けられて階層構造化されて表現され、当日が最下層フォルダの表す単位に含まれている場合も、これに該当するものとする。」と記載されている。(下線は、当審が付加した。)

また、特開2005-252811号公報の段落番号【0038】に、
「【0038】
検索対象とするカテゴリ分類は、ユーザーの指示(選択)に基づいて決定され、検索に関する制御は、制御部40により記憶部20に対して行われる。ここで、画像データが、上述したDCFで規格されているディレクトリ、ファイルの階層構造に従って記録媒体上で管理されているとすれば、画像管理情報を画像データと別管理として管理する必要性はなく、カテゴリ別の画像検索を上述したDCFディレクトリ名の自由文字(図2のD2)、及び/またはファイル名の自由文字(図2のF1)を利用して実施することが可能となる。これにより、異なる機器間で互換性のある着脱可能なメモリを記録媒体(図1のメモリカード22)とした場合についてもカテゴリ別の検索が可能となる。」と記載されている。(下線は、当審が付加した。)

このように、フォルダやディレクトリのカテゴリを判断する際に、カテゴリに関連した文字列が、フォルダやディレクトリの名前に含まれているか否かに応じて判断することは、周知である。
引用発明にも記載があるように、CDSのコンテナ(Container)とアイテム(Item)は、米マイクロソフト社が提供するWINDOWS(登録商標)におけるフォルダ(Folder)とファイル(File)に相当しているから、引用発明において、第1カテゴリのコンテナであるか否か、及び第2カテゴリのコンテナであるか否かを判断する際に、判断対象のコンテナの名前に、第1カテゴリに関連した文字列が含まれているか否か、及び第2カテゴリに関連した文字列が含まれているか否かに応じて判断することは、容易に想到できたことである。
また、「第1カテゴリに関連した文字列」及び「第2カテゴリに関連した文字列」を、登録部に登録しておくことは、設計的事項に過ぎないと認められる。

[相違点3について]
引用発明において、刊行物1の図7のようにルートコンテナ40の下のコンテナの階層が1階層という特別な構造であるので、第1カテゴリのコンテナが1つのみである場合に、コンテンツの一覧が表示されている。
しかし、一般的には、刊行物1の図3のように、Rootコンテナの下のコンテナの階層が2階層以上の方が普通である。また、引用発明においては「タグ解析部230は、タグの個数および種別を把握し、オーディオタグ52が付されたオーディオコンテナおよびその中身(コンテナおよびコンテンツ)を抽出し、階層表示部240は、タグ解析部230により抽出されたオーディオコンテナおよびその中身のみを、モニタ26aに表示し、」と記載されているから、モニタ26aに表示される「中身」とは、コンテンツである場合もあれば、コンテナである場合もある。そして、引用発明において、「中身」としてコンテンツとコンテナのどちらが表示されるかは、階層データ120aのルートコンテナの下のコンテナの階層が1階層であるか2階層以上であるかに依存しているのである。したがって、相違点3は、実質的に相違点とはいえない。

[相違点4について]
引用発明の階層表示部240は、タグ解析部230により抽出されたオーディオコンテナおよびその中身のみを、モニタ26aに表示するものである。したがって、階層表示部240は、元々、第2カテゴリのコンテナを表示するようには作られていないのである。
また引用発明には、その効果に関して、「オーディオコンテンツが入っているコンテナのみを表示部26aに表示するようにしたので、ユーザにとって不必要な情報を表示させることなく、」という記載があるので、第1カテゴリのコンテナが1つのみでない場合に限って、第2カテゴリのコンテナを表示するとは、考え難い。
したがって、引用発明において、第1カテゴリのコンテナが1つのみでない場合に、第2カテゴリのコンテナを表示させないことは、容易に想到できたことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-01-24 
結審通知日 2012-01-25 
審決日 2012-02-07 
出願番号 特願2009-138901(P2009-138901)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 円子 英紀  
特許庁審判長 江口 能弘
特許庁審判官 近藤 聡
齊藤 健一
発明の名称 コンテナ表示制御装置及びそのプログラム  

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