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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06T
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06T
管理番号 1254468
審判番号 不服2011-15788  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-21 
確定日 2012-04-23 
事件の表示 特願2005-167343「画像処理方法及び画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年12月21日出願公開、特開2006-343868、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成17年6月7日の出願であって、平成23年4月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成24年3月8日付けで当審により拒絶理由が通知され、これに対し、同年3月27日に意見書が提出されるとともに、手続補正がなされたものである。

2.当審の拒絶理由
平成24年3月8日付けで当審により通知された拒絶理由は、以下のとおりである。

「 本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。



1.請求項1に「異なるオブジェクト」と記載されているが、何と異なるのか明確でない。
請求項7についても同様である。

2.請求項1に「異なるカラーマッチング方法」と記載されているが、何と異なるのか明確でない。
請求項2,5,7,8,及び9についても同様である。

3.請求項1に「前記異なるカラーマッチング方法でマッチング処理された結果に対して前記透過属性値に従った合成色処理をする合成色処理工程」と記載されているが、どのような合成色処理をするのか明確でない。
また、発明の詳細な説明の記載との対応も明確でない。」

3.特許請求の範囲の記載
平成24年3月27日付けで補正された特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。

「 【請求項1】
第1のオブジェクトに対して相異なる複数のカラーマッチング方法でマッチング処理する第1のマッチング工程と、
前記第1のオブジェクトとは異なる第2のオブジェクトに対して相異なる複数のカラーマッチング方法でマッチング処理する第2のマッチング工程
と、
前記第1のマッチング工程において前記相異なる複数のカラーマッチング方法でマッチング処理された結果の信号値に対して前記第1のオブジェクトと第2のオブジェクトが有する透過属性値に従った合成色処理をして中間色を求める第1の中間色処理工程と、
前記第2のマッチング工程において前記相異なる複数のカラーマッチング方法でマッチング処理された結果の信号値に対して前記第1のオブジェクトと第2のオブジェクトが有する透過属性値に従った合成色処理をして中間色を求める第2の中間色処理工程と、
前記第1の中間色処理工程における処理結果と、前記第2の中間色処理工程における処理結果に対して前記第1のオブジェクトと第2のオブジェクトが有する透過属性値に従った合成色処理をする合成色処理工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記第1のオブジェクトはCG画像であり、前記第2のオブジェクトはイメージ画像であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記第1及び第2のマッチング工程におけるカラーマッチング方法は、
ユーザインターフェースから設定されるもので、鮮やかさ優先、測色的一
致、彩度優先を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項4】
展開された第1のオブジェクトの画素値と第2のオブジェクトの画素値に前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトの透過属性値に従った合成色処理する合成色処理工程と、
前記合成色処理により得られた画素値に対して相異なるカラーマッチング方法でマッチング処理する工程と、
前記相異なるカラーマッチング方法でマッチング処理された結果に対して前記透過属性値に従い補間処理を行う補間処理工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
請求項1又は4の何れかに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
第1のオブジェクトに対して相異なる複数のカラーマッチング方法でマッチング処理する第1のマッチング手段と、
前記第1のオブジェクトとは異なる第2のオブジェクトに対して相異なる複数のカラーマッチング方法でマッチング処理する第2のマッチング手段
と、
前記第1のマッチング手段によって前記相異なる複数のカラーマッチング方法でマッチング処理された結果の信号値に対して前記第1のオブジェクトと第2のオブジェクトが有する透過属性値に従った合成色処理をして中間色を求める第1の中間色処理手段と、
前記第2のマッチング手段によって前記相異なる複数のカラーマッチング方法でマッチング処理された結果の信号値に対して前記第1のオブジェクトと第2のオブジェクトが有する透過属性値に従った合成色処理をして中間色を求める第2の中間色処理手段と、
前記第1の中間色処理手段での処理結果と、前記第2の中間色処理手段での処理結果に対して前記第1のオブジェクトと第2のオブジェクトが有する透過属性値に従った合成色処理をする合成色処理手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
展開された第1のオブジェクトの画素値と第2のオブジェクトの画素値に前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトの透過属性値に従った合成色処理する合成色処理手段と、
前記合成色処理により得られた画素値に対して相異なるカラーマッチング方法でマッチング処理する手段と、
前記相異なるカラーマッチング方法でマッチング処理された結果に対して前記透過属性値に従い補間処理を行う補間処理手段とを有することを特徴とする画像処理装置。」

4.当審の判断
上記補正は、補正前の請求項1及び7を削除するものであるから、拒絶理由で指摘した1及び3の不備は解消した。
そこで上記2の点を検討すると、補正前の請求項2及び8における「異なるカラーマッチング方法」との記載は、請求項1及び6において「相異なる複数のカラーマッチング方法」と補正されたので、何と異なるのか明確と
なった。
補正前の請求項5及び9における「異なるカラーマッチング方法」との記載は、請求項4及び7において「相異なるカラーマッチング方法」と補正された。
請求項4及び7の「相異なるカラーマッチング方法」は、明細書の記載を参酌すれば、「相異なる複数のカラーマッチング方法」のことであるとの解釈もできるが、同じ特許請求の範囲において、その文言が異なるのであるから、請求項1及び6の「相異なる複数のカラーマッチング方法」と異なるものと解釈するのが自然である。
そして、「複数の」との限定がないことから、「前記合成色処理により得られた画素値に対して相異なるカラーマッチング方法でマッチング処理す
る」とある「相異なるカラーマッチング方法」は、「合成色処理により得られた画素値」に対してするマッチング処理とは別のマッチング処理のカラーマッチング方法と「相異なる」だけとも解釈でき、マッチング処理の点においては明確であるとはいえない。
しかし、「前記相異なるカラーマッチング方法でマッチング処理された結果に対して前記透過属性値に従い補間処理を行う」とあり、一つのマッチング処理された結果からは、透過属性値に従った補間処理を行うことはできないので、複数のマッチング処理された結果が必要になることは明らかであ
る。
したがって、請求項4及び7の「相異なるカラーマッチング方法」は、上記のように、文言上適切な記載とはいえないものの、その請求項全体の記載からすれば「相異なる複数のカラーマッチング方法」を意味することは明らかであり、他に解釈の余地はないから、請求項4及び7に係る発明は明確である。
なお、請求項1及び6の「相異なる複数のカラーマッチング方法」は、
「複数の」との限定がないと、「第1のオブジェクト」に対するカラーマッチング方法と、「第2のオブジェクト」に対するカラーマッチング方法と
が、相異なることのみを意味するとも解釈でき、請求項4及び7の場合とは異なり、明確でないものとなる。

5.むすび
以上のとおり、本願については、各請求項に係る発明は明確なものとなったので、平成24年3月8日付けの拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできないし、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2012-04-10 
出願番号 特願2005-167343(P2005-167343)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06T)
P 1 8・ 121- WY (G06T)
最終処分 成立  
前審関与審査官 真木 健彦  
特許庁審判長 加藤 恵一
特許庁審判官 板橋 通孝
吉村 博之
発明の名称 画像処理方法及び画像処理装置  
代理人 木村 秀二  
代理人 下山 治  
代理人 永川 行光  
代理人 大塚 康徳  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康弘  

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