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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06T
管理番号 1254722
審判番号 不服2011-12784  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-15 
確定日 2012-04-17 
事件の表示 特願2010- 64859「三次元アニメーションシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月22日出願公開、特開2010-160813、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成22年3月19日(原出願 特願2003-348692
特願2000-136435 パリ条約による優先権主張 1999年6月11日(US)アメリカ合衆国)の出願であって、平成23年2月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の各請求項に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されるとおりのもので、その記載は以下のとおりである。

「 【請求項1】
アニメーション・データを使用して、動画化キャラクタを生成するコン
ピュータ実行システムであって、前記アニメーション・データは:
一つ以上の骨によって互いに接続される一つ以上の関節と、前記動画化
キャラクタの前記関節及び骨を覆う皮膚を形成する複数の多角形と、及び前記動画化キャラクタ上の各多角形に対するモルフリンクとを有する、前記動画化キャラクタの幾何学的モデルを含む持続性データファイルであって、各モルフリンクは、前記多角形の動きが、前記一つ以上の関節の動きに基づいて決定されるように、前記多角形の動きを、前記幾何学的モデルにおける一つ以上の関節の動きに関連させることを有する持続性データファイルと;及び
一つ以上の再使用可能な振舞いファイルであって、各振舞いファイルは、前記動画化キャラクタの振舞いについてのデータを含み、及び前記振舞い中に前記動画化キャラクタにおける一つ以上の関節の位置の変化を一回以上の所定回数だけ特定し、振舞い中の前記動画化キャラクタ上の各多角形の動きは、前記振舞いファイルと前記モルフリンクとによって決定され、各振舞いファイルは、振舞いオブジェクトと前記振舞いの所定部分に関連した一つ以上のデータのチャンクとを有し、各チャンクは、所定時間に生じる、前記動画化キャラクタの各関節に関連する振舞いデータを含む一つ以上のトラックを有する振舞いファイルと、を有する、システム。
【請求項2】
前記モルフリンクはさらに、前記多角形に影響する各関節に対する貢献値を有し、前記多角形に影響するすべての関節に対する貢献値は、前記多角形の動きを決定するために一緒に追加される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記幾何学的モデルの各関節はさらに、前記関節を取り囲む内部影響区域と、及び前記内部環境区域を取り囲む外部影響区域とを有し、前記内部影響区域内の前記多角形の動きは、前記関節の動きに類似し、前記内部影響区域の外側ではあるが、前記外部影響区域の内側にある前記多角形の動きは、前記関節の動きよりも小さく、前記外部影響区域の外側の前記多角形の動き
は、前記関節の動きによって影響されない、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記外部影響区域における多角形は、前記関節から遠くに配置されるにつれて、関節の動きによってより影響を受けなくなる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
アニメーション・データを使用して、動画化キャラクタを生成するコン
ピュータ実行システムであって、前記アニメーション・データは:
前記動画化キャラクタにおける関節を含む、前記動画化キャラクタについての情報を含む持続性データファイルと;及び
一つ以上の再使用可能な振舞いファイルであって、各振舞いファイルは、前記動画化キャラクタの振舞いについてのデータを含み、及び前記振舞い中の前記動画化キャラクタの動きを特定し、各振舞いファイルは、前記動画化キャラクタの動きについてのデータを含む振舞いオブジェクト及び前記振舞いの予め決められた部分と関連した一つ以上のデータのチャンクを含み、各チャンクは、所定時間に生じる、前記動画化キャラクタの各関節と関連した振舞いデータを含む一つ以上のトラックを有する前記振舞いファイルと、を有する、システム。
【請求項6】
コンピュータ上でキャラクタを動画化するシステムであって:
動画化キャラクタと関連した一つ以上のデータを記録する第一のコン
ピュータであって、前記データは、持続性データファイルと一つ以上の再使用可能な振舞いファイルとを含み、各振舞いファイルは、前記動画化キャラクタの振舞いについてのデータを含み、振舞いオブジェクトと前記振舞いの所定部分に関連した一つ以上のデータのチャンクとを有し、各チャンクは、所定時間に生じる、前記動画化キャラクタの各関節に関連する振舞いデータを含む一つ以上のトラックを有する、第一のコンピュータと;
通信ネットワークによって前記第一のコンピュータに接続される第二のコンピュータであって、前記第二のコンピュータはさらに、前記動画化キャラクタの動画を開始するために、前記持続性データファイルをサーバコン
ピュータから最初にダウンロードする手段と、及び前記第二のコンピュータによる前記動画化キャラクタの振舞いの実行の直前に、振舞いファイルを前記第一のコンピュータからダウンロードする手段とを含み、前記振舞いのダウンロードはさらに、前記振舞いを実行するために、前記振舞いオブジェクトと、及び前記振舞いデータの第一のチャンクとを最初にダウンロードする手段と、及び前記振舞い実行中に、前記振舞いデータの他のチャンクを非同期にダウンロードする手段とを有する第二のコンピュータとを有する、システム。」

なお、上記記載において「再使用可能な振舞いファイル」とあり、「再使用可能」とは、どのようなことか具体的な記載はされていないが、平成23年1月7日付けの意見書において、
「B.補正について
請求項1における「一つ以上の再使用可能な振舞いファイル」との補正
は、「例えば、各ダウンロードされたオブジェクトは、それと関連した、オブジェクトが他の振舞いを実行させられない場合はいつでも実行されるアイドル振舞いを具備してもよい」(段落0071)、……「段階110において動画化オブジェクトに対する新しい振舞いが必要であるか決定してもよ
く、及び新しい振舞いが必要とされない場合は、段階112においてアイドル振舞いを実行し続けてもよい」(段落0086)等の記載に基づき、当業者には自明な事項であります。」
と記載されているようなことであるのは明らかであるから、具体的な記載がなくとも不明りょうな点はない。

3.引用例
原審の拒絶理由は、本願の各請求項に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというもので、以下の引用例1-3が引用された。

引用例1 特開平11-102450号公報
複雑な骨格構造を持つ形状データ、基本動作の動きデータ、および動きに対応する音データをそれぞれストリームとして、ユーザからの要求に応じてリアルタイムに転送し、さらに各ストリームに対し互いに同期させるための情報をストリームに入れることで、3次元シーン再生時に動作と音とが同期した仮想の3次元シーンが生成できる3次元仮想空間を表すデータストリームを送受信する装置及び方法が記載されている。

引用例2 特開平10-320589号公報
ネットワーク上のサーバーから端末にキャラクタデータおよび動きデータの識別子からなるシナリオデータを転送し、シナリオデータが端末に存在しないキャラクタデータまたは動きデータを指定した場合は、それらをサー
バーから入手することで、必要なキャラクタデータおよび動きデータを揃
え、端末でキャラクタ動画を生成する3次元グラフィック表示装置が記載されている。

引用例3 カナダ国特許出願公開第2201461号明細書
アニメーション・システムの中で使用されるモデル中の骨格要素に外皮を関連づけるシステムと方法が記載されている。

4.進歩性
本願の各請求項に係る発明と、上記各引用例に記載された発明とを対比すると、上記各引用例には本願のような「再使用可能な振舞いファイル」は記載も示唆もされておらず、本願の各請求項に係る発明はそれにより明細書に記載されたとおりの効果を有するものであるから、本願の各請求項に係る発明は、上記各引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

5.むすび
以上のとおり、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2012-04-04 
出願番号 特願2010-64859(P2010-64859)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06T)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村松 貴士  
特許庁審判長 加藤 恵一
特許庁審判官 板橋 通孝
千葉 輝久
発明の名称 三次元アニメーションシステム及び方法  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  

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