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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1254819 |
審判番号 | 不服2008-27120 |
総通号数 | 149 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-10-24 |
確定日 | 2012-04-05 |
事件の表示 | 特願2003- 27352「会議支援装置および会議支援プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月26日出願公開、特開2004-240577〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成15年2月4日の出願であって、平成20年9月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月24日付けで拒絶査定不服審判が請求され、同年11月21日付けで手続補正がなされ、当審において、平成23年6月29日付けで拒絶理由通知がなされ、同年8月31日付けで手続補正がなされ、さらに、同年9月20日付けで拒絶理由通知がなされ、同年11月24日付けで手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年11月24日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「 ネットワークを介してサーバと接続された情報端末装置に内蔵され、電子会議を支援する会議支援装置であって、 会議の参加者が前記情報端末装置を使って作成した情報またはネットワークを介して取得した情報であるデータを前記サーバに送信するデータ送信手段と、 該サーバに蓄積されている、異なるデータ形式で作成された複数のデータを受信するデータ受信手段と、 前記データ受信手段が受信した前記データを作成した前記データ形式を判定する判定手段と、 前記データ受信手段が受信した複数の前記データおよび該データの前記サーバにおける保存先を示す保存先情報、前記データを送信した参加者を特定する情報、前記データが前記サーバに送信された日付、時刻、前記サーバにおいて蓄積された日付、時刻の少なくとも一つを含む情報である属性情報を記録装置に記録して管理するデータ管理手段と、 前記データ管理手段に管理されている前記データの内容を表す画像であって、前記データを作成した前記データ形式毎に表示形式の異なる情報画像を作成する作成手段と、 前記データの内容を示し、かつ、表示形式の異なる複数の前記情報画像を前記情報端末装置の表示画面に時系列順に表示する情報画像表示手段と、 前記情報画像のいずれかに対応する前記データを、前記表示画面上でなされた操作にしたがって選択し、外部に送出する選択情報送出手段と、を備え、 前記情報画像表示手段は、前記情報画像をインデントさせて表示すること を、備えることを特徴とする会議支援装置。」 第3 引用文献 1.原 隆、「電子メールよりも早くて確実 インスタントメッセンジャー」、日経パソコン、日経BP社、2000年10月30日発行、 第372号、p.192?199(以下、「引用文献1」という。) 引用文献1には次の事項が記載されている。 ア.「インスタントメッセンジャー(以下IMと表記)は、インターネットにつながったユーザー同士がリアルタイムにメッセージやファイルをやり取りするソフトだ。」(第192ページ左下欄第1行?第5行) イ.「今回は利用者が一番多い「AOLインスタントメッセンジャー」を用いて説明していく。」(第193ページ右欄第8行?第10行) ウ.「基本的な機能を使ってみよう。まずはメッセージのやり取りをしてみる。やり取りしたい相手がオンライン状態でなければならない。相手のスクリーンネームの上で右クリックし、「インスタントメッセージ」(図11)を選択すると、メッセージをやり取りするウインドウが現れた(図12)。 このウインドウの「To」には相手のスクリーンネームが表示されている。下の空白になっているスペースにメッセージを入力。ここでは「こんにちは。」と書き込んでみる。相手にメッセージを送るために右下の「送信」ボタンをクリック。するとメッセージの入力した部分が上下に分かれる(図13)。 下は自分が相手に送りたいメッセージを書き込むスペース、上はお互いが書き込んだメッセージが順番に表示されるスペースだ。メッセージのやり取りが続くと会話をしている感じになる(図14)。お互いのスクリーンネームは自動的に色分けされるので見やすい。上下スペースの間には文字の大きさ、色の変更、強調表示などができるアイコンが並ぶ。メッセージに変化を加えたいときに使ってみよう。 写真や音をやり取りしながら会話ができる 文字のやり取り以外に写真や音声をメッセージスペースに貼り付けることができる。この場合、やり取りするモードの切り替えが必要になる。やり取りしたい相手のスクリーンネーム上で右クリックし、「接続してIMイメージを送る」を選択する。先ほどのメッセージをやり取りするウインドウと同じようなウインドウが現れる。 下のスペースに送りたい画像や音声ファイルをドラッグ・アンド・ドロップで移動し、「送信」ボタンを押せばよい。写真を送ってみた場合、図15のようになる。写真を見ながら文字による会話を続けられる。 音声ファイルを送った場合はメッセージスペースに音声ファイルを表すアイコンが表示される(図16)。アイコンをクリックすると、再生プレイヤーが起動し音声を聴くことができる。 送られてきた画像や音声ファイルは保存することができる。保存したい画像や音声ファイルの上で右クリックして、メニューから「保存」を選ぶ。」(第196ページ左欄第1行?右欄下から第5行) また、図15には、上下2つのスペースを有するウインドウが示され、上のスペースには、スクリーンネームとともに、その右側に会話の文字列あるいは写真の画像が示されている。 図16には、上下2つのスペースを有するウインドウが示され、上のスペースには、スクリーンネームとともに、その右側に会話の文字列あるいはアイコンが示されている。 上記ア.?ウ.及び、図11?図16の記載によれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 <引用発明> 「インターネットにつながったユーザー同士がリアルタイムにメッセージやファイルをやり取りするソフトウェアであるAOLインスタントメッセンジャーであって、 メッセージをやり取りするウインドウは、下に自分が相手に送りたいメッセージを書き込むスペースと、上にお互いが書き込んだメッセージが順番に表示されるスペースとを有し、お互いのスクリーンネームは自動的に色分けされ、 文字のやり取り以外に、写真や音声をメッセージスペースに貼り付けて写真や音をやり取りすることができ、 下のスペースに送りたい画像や音声ファイルをドラッグ・アンド・ドロップで移動し、「送信」ボタンを押すと、画像や音声ファイルが送信され、 写真を送ると、上のスペースにスクリーンネームと写真が表示され、その写真を見ながら文字による会話を続けることができ、 音声ファイルを送った場合は、上のスペースにスクリーンネームと音声ファイルを表すアイコンが表示され、当該アイコンをクリックすると、再生プレイヤーが起動し音声を聴くことができ、 保存したい画像や音声ファイルの上で右クリックして、メニューから「保存」を選ぶと、送られてきた画像や音声ファイルを保存することができる、AOLインスタントメッセンジャー」 2.斎藤 幾郎、「インスタントメッセージングの仕組みを探る IM(MSN Messenger)」、NETWORK MAGAZINE、株式会社アスキー、2003年2月01日発行、第8巻、第2号、p.150?151 (以下、「引用文献2」という。) 引用文献2には、次の事項が記載されている。 エ.「インスタントメッセージングの仕組みを探る IM(MSN Messenger) コミュニケーションツールとして定着した感のあるインスタントメッセージングだが、各社とも詳しい仕様を公開しておらず、技術的な情報は意外と少ない。ここでは、ユーザーの多いマイクロソフトのMSN Messengerを中心に解説しよう。」(第150ページ上欄第1行?第4行) オ.「MSN Messengerでは、メッセージを相手のクライアントに直接送信するのではなく、サーバに中継させている。そのために使われるのが、通知サーバとは別の「交換機(Switchboard)サーバ」だ。」(第151ページ右欄第6行?第8行) 上記エ.オ.によれば、引用文献2には次の事項が記載されているといえる。 「インスタントメッセージングにおいて、交換機サーバにメッセージを中継させること。」 3.特開平8-6962号公報(以下、「引用文献3」という。) 引用文献3には、以下の事項が記載されている。 カ.「【0048】例えば、データタイプが画像データであれば、該画像データが表す画像全体を縮小した画像や、画像データが表す画像の一部のみを抽出した画像を表す画像データに変換する。またデータタイプがテキストデータであれば、該テキストデータを該テキストデータが表す文字列等を示す画像データに変換する。またデータタイプが音声データであれば、該音声データを該音声データが表す音声の波形図等を表す画像データに変換する。更に、データタイプが動画像データであれば、該動画像データから複数フレーム分の画像データを抽出し、該複数フレーム分の画像を縮小した画像を表す画像データに変換する。また、データタイプが図形等を表すベクトルデータであれば、該ベクトルデータを該ベクトルデータが表す図形等を示す画像データに変換する。 【0049】次のステップ210では、フォルダサイズ及び表示座標用変数を用い、検索用フォルダ32内における画像の表示位置を、画像が検索用フォルダ32から逸脱せず、かつ複数の画像が互いに重ならないように算出し、前記変換した画像データの画像を算出した表示位置に表示してステップ212へ移行する。」 キ.「【0051】なお、図11は検索処理によって「A」「C」「D」「F」の4つのデータが検索され(図11(A)参照)、そのうち「A」「C」「D」のデータの表示変換が指示された場合を示している。上記により、ユーザが検索された複数のデータの各々の内容を各データのデータ形式に拘わらず容易に把握することができるので、目的とするデータを容易に検索することができる。」 上記カ.キ.によれば、引用文献3には、次の事項が記載されているといえる。 「データタイプが音声データであれば、その音声データを該音声データが表す音声の波形図等を表す画像データに変換して、当該変換した画像データを表示し、これにより、ユーザはデータの内容を容易に把握できること。」 第4 対比 次に、本願発明と引用発明とを対比する。 A.引用発明は、「AOLインスタントメッセンジャー」というソフトウェアの機能や動作に関するものであるが、この機能や動作はソフトウェアのみで実現されるものではなく、上記ソフトウェアを実行した装置の機能や動作であることは明らかである。 そして、上記ソフトウェアを実行した装置は、ユーザによって用いられ、インターネットを介して「メッセージやファイル」の情報をやり取りするから、「ネットワークを介して接続された情報端末装置」といえる。 また、引用発明のソフトウエアは、ユーザー同士がインターネットを介してリアルタイムに会話を行うためのソフトウエアである。インターネットを介してリアルタイムに行われる会話には「電子会議」が含まれ、したがって、上記ソフトウエアを実行した装置は、電子会議を支援する会議支援装置を内蔵するといえる。 よって、本願発明の「ネットワークを介してサーバと接続された情報端末装置に内蔵され、電子会議を支援する会議支援装置」と、引用発明において、「AOLインスタントメッセンジャー」のソフトウエアを実行している装置は、ともに「ネットワークを介して接続された情報端末装置に内蔵され、電子会議を支援する会議支援装置」である点で共通する。 B.引用発明は、画像や音声ファイルをインターネットでやり取りする。画像ファイルと音声ファイルが、bmpやwavのように異なるデータ形式で作成されていることは技術常識であるから、引用発明は、異なるデータ形式で作成された複数のデータを送受信するといえる。 したがって、本願発明の「会議の参加者が前記情報端末装置を使って作成した情報またはネットワークを介して取得した情報であるデータを前記サーバに送信するデータ送信手段」と、引用発明において画像や音声ファイルを送信するための手段は、ともに「データを送信するデータ送信手段」の点で共通する。 また、本願発明の「該サーバに蓄積されている、異なるデータ形式で作成された複数のデータを受信するデータ受信手段」と、引用発明において画像や音声ファイルを受信するための手段は、ともに「異なるデータ形式で作成された複数のデータを受信するデータ受信手段」の点で共通する。 C.引用発明は、画像ファイルを送信すると、その画像を上のスペースに表示し、音声ファイルを送信すると、音声ファイルを表すアイコンを上のスペースに表示する。 また、上のスペースは、お互いが書き込んだメッセージを順番に表示するスペースであり、送信したメッセージだけでなく受信したメッセージをも表示し、これらを書き込んだ順番に表示するものである。 したがって、上のスペースは、画像ファイルや音声ファイルを送信した場合だけでなく、受信した場合にも、画像ファイルの画像や音声ファイルのアイコンを表示し、これらを書き込んだ順番すなわち時系列順に表示するものである。 また、上のスペースに表示される画像とアイコンは、表示形式が異なり、また、画像ファイルと音声ファイルの各情報を表す画像であるから情報画像といえる。 また、画像ファイルの画像は「データの内容を示し」ているものの、音声ファイルのアイコンについては、アイコン画像が「データの内容を示し」ているか否かは不明である。 よって、本願発明の「前記データの内容を示し、かつ、表示形式の異なる複数の前記情報画像を前記情報端末装置の表示画面に時系列順に表示する情報画像表示手段」と、引用発明において、画像ファイルの画像や、音声ファイルのアイコンを上のスペースに表示させるための手段は、ともに「表示形式の異なる複数の情報画像を前記情報端末装置の表示画面に時系列順に表示する情報画像表示手段」の点で共通する。 D.引用発明は、音声ファイルのアイコンをクリックすると、再生プレイヤーが起動し音声を聴くことができる。このクリックは、表示画面上でなされた操作であり、その操作により音声ファイルを選択するものである。また、引用発明は、保存したい画像や音声ファイルの上で右クリックして、メニューから「保存」を選ぶと、送られてきた画像や音声ファイルを保存することができる。このクリックも、表示画面上でなされた操作にしたがって画像ファイルや音声ファイルを選択するものである。 そして、画像ファイルや音声ファイルは、情報画像である画像ファイルの画像や音声ファイルのアイコンの、いずれかに対応するデータといえる。 したがって、本願発明の「前記情報画像のいずれかに対応する前記データを、前記表示画面上でなされた操作にしたがって選択し、外部に送出する選択情報送出手段」と、引用発明において、音声ファイルのアイコンをクリックしたり、保存したい画像や音声ファイルの上で右クリックするための手段は、ともに「前記情報画像のいずれかに対応する前記データを、前記表示画面上でなされた操作にしたがって選択する選択手段」の点で共通する。 したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致する。 <一致点> 「ネットワークを介して接続された情報端末装置に内蔵され、電子会議を支援する会議支援装置であって、 データを送信するデータ送信手段と、 異なるデータ形式で作成された複数のデータを受信するデータ受信手段と、 表示形式の異なる複数の前記情報画像を前記情報端末装置の表示画面に時系列順に表示する情報画像表示手段と、 前記情報画像のいずれかに対応する前記データを、前記表示画面上でなされた操作にしたがって選択する選択手段と、 を、備えることを特徴とする会議支援装置。」 そして、本願発明と引用発明は、以下の点で相違する。 <相違点1> 本願発明は、情報端末装置が「サーバ」と接続され、データ送信手段がデータを「前記サーバ」に送信し、データ受信手段が「該サーバに蓄積されている」データを受信するのに対し、引用発明は、「サーバ」と接続されておらず、したがって、データを「サーバ」に送信せず、「サーバに蓄積されている」データを受信するものでもない点。 <相違点2> 本願発明は、データ送信手段により送信されるデータが「会議の参加者が前記情報端末装置を使って作成した情報またはネットワークを介して取得した情報」であるのに対し、引用発明は、送信される画像や音声ファイルが、「会議の参加者が前記情報端末装置を使って作成した情報またはネットワークを介して取得した情報」であるかどうか不明な点。 <相違点3> 本願発明は、「前記データ受信手段が受信した前記データを作成した前記データ形式を判定する判定手段」を備えるのに対し、引用発明は上記判定手段を備えていない点。 <相違点4> 本願発明は、「前記データ受信手段が受信した複数の前記データおよび該データの前記サーバにおける保存先を示す保存先情報、前記データを送信した参加者を特定する情報、前記データが前記サーバに送信された日付、時刻、前記サーバにおいて蓄積された日付、時刻の少なくとも一つを含む情報である属性情報を記録装置に記録して管理するデータ管理手段」を備えるのに対し、引用発明は上記データ管理手段を備えていない点。 <相違点5> 本願発明は、「前記データ管理手段に管理されている前記データの内容を表す画像であって、前記データを作成した前記データ形式毎に表示形式の異なる情報画像を作成する作成手段」を備えるのに対し、引用発明は上記作成手段を備えない点。 <相違点6> 本願発明は、「表示形式の異なる複数の前記情報画像」が、「前記データの内容を示し」たものであるのに対し、引用発明は、画像ファイルの画像については、データの内容を示すものであるが、音声ファイルのアイコンについては、アイコン画像がどのような内容を示しているのか不明である点。 <相違点7> 選択手段が、本願発明では「選択情報送出手段」であり、情報画像のいずれかに対応するデータを「外部に送出する」のに対し、引用発明は、画像や音声ファイルを「外部に送出する」ものではない点。 <相違点8> 本願発明の情報画像表示手段は「前記情報画像をインデントさせて表示する」のに対し、引用発明は、画像ファイルの画像や音声ファイルのアイコンを、「インデントさせて表示する」ものではない点。 第5 判断 <相違点1>について 引用文献2には、「インスタントメッセージングにおいて、交換機サーバにメッセージを中継させること。」が記載されている。 引用発明と引用文献2の記載事項は、ともにインスタントメッセージングの技術分野に属するものであり、引用発明において、メッセージやファイルをやり取りするために、引用文献2に記載された中継用の交換機サーバを適用することは格別困難ではない。 してみると、引用発明に、引用文献2に記載された中継用の交換機サーバを適用して、「AOLインスタントメッセンジャー」のソフトウェアを実行する装置を交換機サーバに接続し、この装置がメッセージ等を交換機サーバに送信し、また、交換機サーバに蓄積されているメッセージ等を受信して、上記相違点1に係る本願発明の構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。 <相違点2>について 送信するデータを、情報端末装置を使って作成したり、ネットワークを介して取得したりすることは周知である。 したがって、引用発明に上記周知技術を適用し、上記相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。 <相違点3>について 前記第4、C.のとおり、引用発明は、画像ファイルや音声ファイルを受信すると、上のスペースに、画像ファイルの画像や、音声ファイルのアイコンを、通信相手が書き込んだメッセージとして表示する。 このような機能を実現するためには、受信したファイルが画像ファイルであるか音声ファイルであるかを判定しなければならないことは明らかである。 また、画像ファイルや音声ファイルは、bmpやwavのような、それぞれに固有のデータ形式を有し、画像ファイルであるか音声ファイルであるかを判定する際に、これらのデータ形式を判定することも周知である。 してみると、引用発明において、上のスペースに、画像ファイルの画像や音声ファイルのアイコンを表示するために、受信したファイルが画像ファイルであるか音声ファイルであるかをデータ形式により判定する手段を設け、上記相違点3に係る本願発明の構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。 <相違点4>について 受信したファイルやメッセージを、送信者を特定する情報などの属性情報と共に記録装置に記録して管理する手段は、電子メール等において周知である。 してみると、引用発明に上記周知技術を適用し、画像ファイルや音声ファイルを受信した場合に、そのファイルと、そのファイルを送信した者を特定する情報を含む属性情報とを記録装置に記録して管理するデータ管理手段を設け、上記相違点4に係る本願発明の構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。 <相違点5>及び<相違点6>について 引用文献3には、「データタイプが音声データであれば、その音声データを該音声データが表す音声の波形図等を表す画像データに変換して、当該変換した画像データを表示し、これにより、ユーザはデータの内容を容易に把握できること。」が記載されている。 引用発明は、音声ファイルをアイコンとして表示しているが、このアイコンの画像を波形図のような音声ファイルの内容を示す画像とすれば、ユーザがその波形図を見ることにより、音声ファイルの内容を容易に把握できることは、引用文献3の記載事項に基づいて普通に想到されることである。 また、画像ファイルの画像や、音声ファイルの波形図等を表す画像を表示するためには、それらの画像を作成する手段を当然必要とする。したがって、受信した各ファイルを周知のデータ管理手段によって管理するとともに、データ管理手段によって管理されている各ファイルの内容を表す画像であって、そのデータを作成したデータ形式毎に表示形式の異なる画像を作成する作成手段を設けることも格別困難ではない。 してみると、引用発明おいて、ユーザが音声ファイルの内容を容易に把握できるようにするために引用文献3の記載事項を適用して、音声ファイルのアイコン画像を波形図のような画像とし、各ファイルの画像を作成するために、「前記データ管理手段に管理されている前記データの内容を表す画像であって、前記データを作成した前記データ形式毎に表示形式の異なる情報画像を作成する作成手段」を設け、画像ファイルとともに音声ファイルも、表示される画像を「前記データの内容を示し」たものとして、上記相違点5及び上記相違点6に係る本願発明の構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。 <相違点7>について ファイルを表す画像やアイコンを、アプリケーションのウィンドウ画面に表示し、その画像やアイコンを、他のアプリケーションにドラッグアンドドロップしたり、コピーアンドペーストしたりして、そのファイルデータを他のアプリケーションに送出することは、Windows等のオペレーションシステムにおいて採用されている周知の機能である。 してみると、引用発明に上記周知技術を適用して、上記相違点7に係る本願発明の構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。 <相違点8>について ワープロなどのソフトウエアにおいて、画像をインデントさせて表示する表示手段は周知である。また、表示データが視覚的に分かりやすいというインデントの作用効果も周知である。 引用発明は、上のスペースに画像やアイコンをメッセージとして表示するが、この画像等をインデントさせて表示すれば、画像等が視覚的に分かりやすくなることは、上記周知技術から普通に想到されることである。 してみると、引用発明に、上記周知技術を適用して、上記相違点8に係る本願発明の構成を備えるようにすることは容易に想到し得ることである。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明、引用文献2、3の記載事項、及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2、3の記載事項、及び、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明、引用文献2、3の記載事項、及び、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-01-31 |
結審通知日 | 2012-02-07 |
審決日 | 2012-02-22 |
出願番号 | 特願2003-27352(P2003-27352) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 西出 隆二 |
特許庁審判長 |
手島 聖治 |
特許庁審判官 |
松尾 俊介 須田 勝巳 |
発明の名称 | 会議支援装置および会議支援プログラム |
代理人 | 酒井 宏明 |