• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1254830
審判番号 不服2009-20443  
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-23 
確定日 2012-04-05 
事件の表示 特願2005-262769「還元情報管理システム及び方法並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月29日出願公開、特開2007- 79626〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成17年9月9日の出願であって、平成21年2月18日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年4月24日付けで手続補正がなされ、同年8月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月23日付けで拒絶査定不服審判請求及び手続補正がなされた。
その後、平成23年3月22日付けで審尋がなされ、同年5月23日付けで回答書が提出され、当審がした同年8月18日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年10月20日付けで手続補正がなされ、当審がした同年11月9日付け最後の拒絶理由通知に対する応答時、同年12月26日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成23年12月26日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成23年12月26日付けの手続補正を却下する。

[理 由]
(1)補正の内容
平成23年12月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について、
「【請求項1】
サービス提供業者から顧客に還元されるポイントや料金などの還元情報を管理する還元情報管理システムであって、
サービスを利用する顧客を特定する顧客情報の入力を受け付けて顧客情報記憶手段に記憶する顧客情報受付手段と、
予め定められた期間における複数の顧客による前記サービスの利用状況を表す利用状況情報の入力を受け付けて利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報受付手段と、
前記利用状況情報と比較され、顧客にポイントや料金などを還元するか否かを決定する基準となる還元基準情報を記憶する還元基準情報記憶手段と、
前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較する比較手段と、
前記利用状況情報が前記還元基準情報を満たす場合に、前記顧客情報記憶手段に記憶されている顧客に対してポイントや料金などを還元するよう前記顧客情報に還元情報を関連付けて還元情報記憶手段に記憶する還元情報付加手段と、
を備えると共に、
前記還元基準情報は、比較される前記利用状況情報の方が大きいときに、利用した全ての顧客にポイントや料金などを還元しても前記サービス提供事業者の採算が採れる値に設定されており、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報と前記還元基準情報との差が大きいほど前記還元情報の値が大きくなるよう当該還元情報の値を前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて算出する還元情報算出手段を備え、
さらに、予め設定された集計タイミングにて、前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計手段を備えると共に、
前記比較手段は、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較し、
前記還元情報算出手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報が前記還元基準情報よりも大きい場合に、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて前記還元情報の値を算出する、
ことを特徴とする還元情報管理システム。
【請求項2】
前記利用状況情報は、サービスの利用者数である、ことを特徴とする請求項1記載の還元情報管理システム。
【請求項3】
サービス提供業者から顧客に還元されるポイントや料金などの還元情報をコンピュータにて管理する還元情報管理方法であって、
前記コンピュータが、サービスを利用する顧客を特定する顧客情報の入力を受け付けて顧客情報記憶手段に記憶する顧客情報受付工程と、
前記コンピュータが、予め定められた期間における複数の顧客による前記サービスの利用状況を表す利用状況情報の入力を受け付けて利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報受付工程と、
前記コンピュータが、還元基準情報記憶手段から読み出した顧客にポイントや料金などを還元するか否かを決定する基準となる還元基準情報と、前記利用状況情報記憶手段から読み出した前記利用状況情報と、を比較する比較工程と、
前記コンピュータが、前記利用状況情報が前記還元基準情報を満たす場合に、前記顧客情報記憶手段に記憶されている顧客に対して還元情報を付加するよう前記顧客情報に還元情報を関連付けて還元情報記憶手段に記憶する還元情報集計工程と、
を有すると共に、
前記還元基準情報は、比較される前記利用状況情報の方が大きいときに、利用した全ての顧客にポイントや料金などを還元しても前記サービス提供事業者の採算が採れる値に設定されており、
前記還元情報集計工程は、前記比較工程の比較結果に基づいて、前記利用状況情報と前記還元基準情報との差が大きいほど前記還元情報の値が大きくなるよう当該還元情報の値を前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて算出する還元情報算出工程を有し、
さらに、予め設定された集計タイミングにて、前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計工程を有し、
その後、前記利用状況情報集計工程にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較し、
前記利用状況情報集計工程にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報が前記還元基準情報よりも大きい場合に、前記利用状況情報集計工程にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて前記還元情報の値を算出する、
ことを特徴とする還元情報管理方法。
【請求項4】
サービス提供業者から顧客に還元されるポイントや料金などの還元情報を管理する還元情報管理用コンピュータに、
サービスを利用する顧客を特定する顧客情報の入力を受け付けて顧客情報記憶手段に記憶する顧客情報受付手段と、
予め定められた期間における複数の顧客による前記サービスの利用状況を表す利用状況情報の入力を受け付けて利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報受付手段と、
前記利用状況情報と比較され、顧客にポイントや料金などを還元するか否かを決定する基準となる還元基準情報を記憶する還元基準情報記憶手段と、
前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較する比較手段と、
前記利用状況情報が前記還元基準情報を満たす場合に、前記顧客情報記憶手段に記憶されている顧客に対してポイントや料金などを還元するよう前記顧客情報に還元情報を関連付けて還元情報記憶手段に記憶する還元情報付加手段と、
を実現するためのプログラムであり、
前記還元基準情報は、比較される前記利用状況情報の方が大きいときに、利用した全ての顧客にポイントや料金などを還元しても前記サービス提供事業者の採算が採れる値に設定されており、
前記コンピュータに、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報と前記還元基準情報との差が大きいほど前記還元情報の値が大きくなるよう当該還元情報の値を前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて算出する還元情報算出手段を実現させると共に、
前記コンピュータに、さらに、予め設定された集計タイミングにて、前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計手段を実現させ、
前記比較手段は、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較し、
前記還元情報算出手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報が前記還元基準情報よりも大きい場合に、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて前記還元情報の値を算出する、
ことを実現させるためのプログラム。」
と補正するものである。

(2)補正の適否
本件補正後の特許請求の範囲の記載と、本件補正前の特許請求の範囲(平成23年10月20日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲)の記載との対比の限りにおいては、それぞれ独立形式で記載された請求項1,請求項3,請求項4の各請求項において「前記換言基準情報」なる記載を「前記還元基準情報」と補正するのみであり、この補正事項については平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第3号の誤記の訂正、または第4号の明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするもの)を目的とするものに該当するといえる。

しかし以下に述べるように、本件補正後のそれぞれ独立形式で記載された請求項1,請求項3,請求項4の各請求項は、本件出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲を超えた内容を含むものであり、新たな技術的事項を導入するものであって、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

すなわち、本件補正後の請求項1は、
「・・予め定められた期間における複数の顧客による前記サービスの利用状況を表す利用状況情報の入力を受け付けて利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報受付手段と、
前記利用状況情報と比較され、顧客にポイントや料金などを還元するか否かを決定する基準となる還元基準情報を記憶する還元基準情報記憶手段と、
前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較する比較手段と、
前記利用状況情報が前記還元基準情報を満たす場合に、前記顧客情報記憶手段に記憶されている顧客に対してポイントや料金などを還元するよう前記顧客情報に還元情報を関連付けて還元情報記憶手段に記憶する還元情報付加手段と、
を備えると共に、
前記還元基準情報は、比較される前記利用状況情報の方が大きいときに、利用した全ての顧客にポイントや料金などを還元しても前記サービス提供事業者の採算が採れる値に設定されており、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報と前記還元基準情報との差が大きいほど前記還元情報の値が大きくなるよう当該還元情報の値を前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて算出する還元情報算出手段を備え、
さらに、予め設定された集計タイミングにて、前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計手段を備えると共に、
前記比較手段は、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較し、
前記還元情報算出手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報が前記還元基準情報よりも大きい場合に、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて前記還元情報の値を算出する・・」という特定事項を有する、つまり、
「予め定められた期間における(複数の顧客による)利用状況情報を受け付けて、これを還元基準情報と比較し、比較結果に応じて還元情報の値を算出する」という構成(以下、「前者」という。)を有することに加えて、さらに、「予め設定された集計タイミングで、複数の利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を前記還元基準情報と比較し、比較結果に応じて還元情報の値を算出する」という構成(以下、「後者」という。)をも有するというものである。
そして、請求人は平成23年10月20日付け意見書において「まず、予め定められた期間における利用状況情報から還元できるか否かを判断して還元情報を算出します。その後、このときに還元できない場合はもちろんのこと、還元できた場合であっても、所定の集計タイミングで、複数の期間の利用状況情報を再集計し、再度、還元できるか否かを判断し、還元情報を算出します。従いまして、ある期間の利用状況情報では還元できない場合であっても、複数の期間の利用状況情報を再集計のときには還元できる場合があり、顧客に還元できる機会の増加を図ることができます。また、ある期間で還元した場合であっても、再集計のときに、再度、還元情報を計算して新たな値で還元することもできます。その結果、顧客に還元する機会を多く提供でき、サービスの質の向上を図ることができます。」とその新たな効果について主張している。

しかしながら、当初明細書等には、実施例1として段落【0020】?【0038】,図1,図2に「前者」を有するものが記載されているのみであり、また、実施例2として段落【0039】?【0049】,図3,図4に「後者」を有するものが記載されているのみである。
そして、当初明細書等における特許請求の範囲には、引用形式で記載された請求項6として「【請求項6】前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して集計し、この集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計手段を備えた、ことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の還元情報管理システム。」とあり、単に利用状況情報集計手段を備えることの記載はあったものの、複数の個々の利用状況情報(例えば1日分毎)を再集計した新たな利用状況情報(例えば1週間分)と還元基準情報とを比較する以前に、これとは別途、個々の利用状況情報(例えば1日分毎)と還元基準情報とを比較するようにすること、すなわち、「前者」に加えてさらに「後者」を有し、還元基準情報との比較が多重に行われるというようなことまでは記載されておらず、また、当初明細書等の記載からみて自明なことともいえない。そして、当然ながら上記意見書において主張している効果についての記載も示唆もない。

なお、請求人は平成23年12月26日付け意見書において、
『まず、本願の段落番号0008には、「また、・・・利用状況情報集計手段を備えた」と記載されており、本願の段落0015には、「また、比較工程の前に、・・・利用状況情報集計工程を備えた」と記載されております。かかる記載とその前後の記載から、本願には、段落0006や段落0009で説明されている構成(利用状況情報受付手段、比較手段、還元情報算出手段など)に加えて、「利用状況情報集計手段」を備えた構成の還元情報管理システムが記載されていることが自明であります。
そして、「還元情報管理システム」は、「利用状況情報集計手段」を備えた構成ではあるものの、段落0006や段落0009で記載されている上述した各構成(利用状況情報受付手段、比較手段、還元情報算出手段など)を備えていることから、これらの構成に対応する実施形態1に記載の機能を有していると言えます。つまり、本願請求項1にかかる還元情報管理システムは、「利用状況情報集計手段」の構成を備えることにより、実施形態2に記載のように作動することはもちろんのこと、その他の構成(利用状況情報受付手段、比較手段、還元情報算出手段など)も備えていることから、実施形態1に記載のようにも作動することが明らかであります。
そして、本願の「還元情報管理システム」における「比較手段」と「還元情報算出手段」は、「利用状況情報記憶手段」に記憶された「利用状況情報」を利用して、還元情報の値を算出するものであります。従って、「利用状況情報記憶手段」に記憶されている「利用状況情報」が、「利用状況情報受付手段にて受け付けた予め定められた期間における利用状況情報」である場合には、実施形態1のように作動し、「利用状況情報集計手段にて複数の利用状況情報が再集計された新たな利用状況情報」である場合には、実施形態2のように作動することとなります。
以上より、本願請求項にかかる発明は、審査官殿が拒絶理由通知書で指摘しているように、「予め定められた期間における利用状況情報を受け付けて、これを還元基準情報と比較し、比較結果に応じて還元情報の値を算出する」という構成(前者)と、「複数の利用状況情報を読み出して再集計し、この新たな利用状況情報を還元基準情報と比較し、比較結果に応じて還元情報の値を算出する」という構成(後者)とのうち、いずれか一方のみが実行されることに限定して解釈されるべきではありません。』などと主張している。
しかしながら、本願明細書の段落0006,0008,0009,0015は、いずれも特許請求の範囲の各請求項の記載内容を実質的に繰り返し記載したにすぎないものである。
確かに当初明細書等における特許請求の範囲には、引用形式で記載された請求項6として、
「【請求項6】
前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して集計し、この集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の還元情報管理システム。」
とあり、これに対応して、平成21年10月23日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲には、引用形式で記載された請求項2として、
「【請求項2】
前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して集計し、この集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1記載の還元情報管理システム。」
とあったものの、上述したように、これら請求項には利用状況情報集計手段を備えることが記載されているのみであり、すなわち、還元基準情報と比較されるべき最終的な利用状況情報を利用状況情報記憶手段に記憶するタイミングについて特定(限定)するにすぎないのであって、かかる利用状況情報集計手段を備えると共に、「前記比較手段は、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較し、前記還元情報算出手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報が前記還元基準情報よりも大きい場合に、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて前記還元情報の値を算出する」ことの記載はないことからも明らかなように、このような引用形式で記載された請求項があったからといって、「前者」に加えてさらに「後者」を有し、還元基準情報との比較が多重に行われるということが記載されていたとする根拠にはならず、したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

以上のとおり、当初明細書等における特許請求の範囲、明細書の段落0006,0008,0009,0015の何れにも「前者」に加えてさらに「後者」を有し、還元基準情報との比較が多重に行われるということは記載されておらず、また、実施例1及び実施例2のいずれについても還元基準情報との比較を多重に行ってはいない。つまり、当初明細書等のどこにも還元基準情報との比較を多重に行うことは記載も示唆もされていないことである。そして、これに対して本件補正後の請求項1における上記特定事項によれば、「前者」に加えてさらに「後者」を有し、還元基準情報との比較を多重に行うものであり、新たな技術的事項を導入するものであることは明きらかである。

そして以上のことは、それぞれ独立形式で記載さたれ請求項3,請求項4についても同様にいえることである。

(3)むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定より却下すべきものである。

3.当審の拒絶の理由について

平成23年12月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲は、平成23年10月20日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
サービス提供業者から顧客に還元されるポイントや料金などの還元情報を管理する還元情報管理システムであって、
サービスを利用する顧客を特定する顧客情報の入力を受け付けて顧客情報記憶手段に記憶する顧客情報受付手段と、
予め定められた期間における複数の顧客による前記サービスの利用状況を表す利用状況情報の入力を受け付けて利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報受付手段と、
前記利用状況情報と比較され、顧客にポイントや料金などを還元するか否かを決定する基準となる還元基準情報を記憶する還元基準情報記憶手段と、
前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較する比較手段と、
前記利用状況情報が前記還元基準情報を満たす場合に、前記顧客情報記憶手段に記憶されている顧客に対してポイントや料金などを還元するよう前記顧客情報に還元情報を関連付けて還元情報記憶手段に記憶する還元情報付加手段と、
を備えると共に、
前記還元基準情報は、比較される前記利用状況情報の方が大きいときに、利用した全ての顧客にポイントや料金などを還元しても前記サービス提供事業者の採算が採れる値に設定されており、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報と前記還元基準情報との差が大きいほど前記還元情報の値が大きくなるよう当該還元情報の値を前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて算出する還元情報算出手段を備え、
さらに、予め設定された集計タイミングにて、前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計手段を備えると共に、
前記比較手段は、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記換言基準情報とを比較し、
前記還元情報算出手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報が前記換言基準情報よりも大きい場合に、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて前記還元情報の値を算出する、
ことを特徴とする還元情報管理システム。
【請求項2】
前記利用状況情報は、サービスの利用者数である、ことを特徴とする請求項1記載の還元情報管理システム。
【請求項3】
サービス提供業者から顧客に還元されるポイントや料金などの還元情報をコンピュータにて管理する還元情報管理方法であって、
前記コンピュータが、サービスを利用する顧客を特定する顧客情報の入力を受け付けて顧客情報記憶手段に記憶する顧客情報受付工程と、
前記コンピュータが、予め定められた期間における複数の顧客による前記サービスの利用状況を表す利用状況情報の入力を受け付けて利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報受付工程と、
前記コンピュータが、還元基準情報記憶手段から読み出した顧客にポイントや料金などを還元するか否かを決定する基準となる還元基準情報と、前記利用状況情報記憶手段から読み出した前記利用状況情報と、を比較する比較工程と、
前記コンピュータが、前記利用状況情報が前記還元基準情報を満たす場合に、前記顧客情報記憶手段に記憶されている顧客に対して還元情報を付加するよう前記顧客情報に還元情報を関連付けて還元情報記憶手段に記憶する還元情報集計工程と、
を有すると共に、
前記還元基準情報は、比較される前記利用状況情報の方が大きいときに、利用した全ての顧客にポイントや料金などを還元しても前記サービス提供事業者の採算が採れる値に設定されており、
前記還元情報集計工程は、前記比較工程の比較結果に基づいて、前記利用状況情報と前記還元基準情報との差が大きいほど前記還元情報の値が大きくなるよう当該還元情報の値を前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて算出する還元情報算出工程を有し、
さらに、予め設定された集計タイミングにて、前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計工程を有し、
その後、前記利用状況情報集計工程にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記換言基準情報とを比較し、
前記利用状況情報集計工程にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報が前記換言基準情報よりも大きい場合に、前記利用状況情報集計工程にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて前記還元情報の値を算出する、
ことを特徴とする還元情報管理方法。
【請求項4】
サービス提供業者から顧客に還元されるポイントや料金などの還元情報を管理する還元情報管理用コンピュータに、
サービスを利用する顧客を特定する顧客情報の入力を受け付けて顧客情報記憶手段に記憶する顧客情報受付手段と、
予め定められた期間における複数の顧客による前記サービスの利用状況を表す利用状況情報の入力を受け付けて利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報受付手段と、
前記利用状況情報と比較され、顧客にポイントや料金などを還元するか否かを決定する基準となる還元基準情報を記憶する還元基準情報記憶手段と、
前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較する比較手段と、
前記利用状況情報が前記還元基準情報を満たす場合に、前記顧客情報記憶手段に記憶されている顧客に対してポイントや料金などを還元するよう前記顧客情報に還元情報を関連付けて還元情報記憶手段に記憶する還元情報付加手段と、
を実現するためのプログラムであり、
前記還元基準情報は、比較される前記利用状況情報の方が大きいときに、利用した全ての顧客にポイントや料金などを還元しても前記サービス提供事業者の採算が採れる値に設定されており、
前記コンピュータに、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報と前記還元基準情報との差が大きいほど前記還元情報の値が大きくなるよう当該還元情報の値を前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて算出する還元情報算出手段を実現させると共に、
前記コンピュータに、さらに、予め設定された集計タイミングにて、前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計手段を実現させ、
前記比較手段は、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記換言基準情報とを比較し、
前記還元情報算出手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報が前記換言基準情報よりも大きい場合に、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて前記還元情報の値を算出する、
ことを実現させるためのプログラム。」

(1)当審の平成23年11月9日付け拒絶の理由
当審において平成23年11月9日付けで通知した拒絶理由は、
「1)平成23年10月20日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
2)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号・第2号に規定する要件を満たしていない。」
というものであって、具体的には次のようなものである。

(1-1)特許法第17条の2第3項違反(平成23年11月9日付け拒絶理由通知書に記載した「理由1」)
『上記手続補正により、請求項1において、
「・・予め定められた期間における複数の顧客による前記サービスの利用状況を表す利用状況情報の入力を受け付けて利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報受付手段と、
前記利用状況情報と比較され、顧客にポイントや料金などを還元するか否かを決定する基準となる還元基準情報を記憶する還元基準情報記憶手段と、 前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較する比較手段と、
前記利用状況情報が前記還元基準情報を満たす場合に、前記顧客情報記憶手段に記憶されている顧客に対してポイントや料金などを還元するよう前記顧客情報に還元情報を関連付けて還元情報記憶手段に記憶する還元情報付加手段と、
を備えると共に、
前記還元基準情報は、比較される前記利用状況情報の方が大きいときに、利用した全ての顧客にポイントや料金などを還元しても前記サービス提供事業者の採算が採れる値に設定されており、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報と前記還元基準情報との差が大きいほど前記還元情報の値が大きくなるよう当該還元情報の値を前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて算出する還元情報算出手段を備え、
さらに、予め設定された集計タイミングにて、前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計手段を備えると共に、
前記比較手段は、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記換言基準情報とを比較し、
前記還元情報算出手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報が前記換言基準情報よりも大きい場合に、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて前記還元情報の値を算出する・・」
とされ、平成23年10月20日付け意見書にも記載のように、
「予め定められた期間における(複数の顧客による)利用状況情報を受け付けて、これを還元基準情報と比較し、比較結果に応じて還元情報の値を算出する」という構成(以下、「前者」という。)を有することに加えて、さらに、「予め設定された集計タイミングで、複数の利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を還元基準情報と比較し、比較結果に応じて還元情報の値を算出する」という構成(以下、「後者」という。)をも有する旨限定された。そして、同意見書において「まず、予め定められた期間における利用状況情報から還元できるか否かを判断して還元情報を算出します。その後、このときに還元できない場合はもちろんのこと、還元できた場合であっても、所定の集計タイミングで、複数の期間の利用状況情報を再集計し、再度、還元できるか否かを判断し、還元情報を算出します。従いまして、ある期間の利用状況情報では還元できない場合であっても、複数の期間の利用状況情報を再集計のときには還元できる場合があり、顧客に還元できる機会の増加を図ることができます。また、ある期間で還元した場合であっても、再集計のときに、再度、還元情報を計算して新たな値で還元することもできます。その結果、顧客に還元する機会を多く提供でき、サービスの質の向上を図ることができます。」とその効果を主張している。
しかしながら、当初明細書等には、実施例1として段落【0020】?【0038】に、「前者」を有するものが記載されているのみであり、また、実施例2として段落【0039】?【0049】に、「後者」を有するものが記載されているのみである。
そして、図2や図4のフローチャートをみても、複数の個々の利用状況情報(例えば1日分毎)を再集計した新たな利用状況情報(例えば1週間分)と還元基準情報とを比較する以前に、これとは別途、個々の利用状況情報(例えば1日分毎)と還元基準情報とを比較するようにすること、すなわち、「前者」に加えてさらに「後者」を有し、還元基準情報との比較が多重に行われるというようなことまでは記載されておらず、また、当初明細書等の記載からみて自明なことともいえない。そして、当然ながら上記意見書において主張している効果についての記載も示唆もない。
なお、請求人は意見書において、補正の根拠として「本願請求項1を、補正前の請求項2等の記載に基づいて補正した旨説明している。確かに補正前の請求項2は請求項1を引用するものであり、「前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して集計し、この集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計手段を備えた」との記載はあるものの、この補正前の請求項2に係る発明については、「前者」に代えて「後者」とする、あるいは、「前者」をさらに「後者」に限定するものであると解されるべきものであって、上述したように、「前者」に加えてさらに「後者」を有すると解すべき余地はない。
よって、この手続補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
それぞれ独立形式で記載された請求項3、請求項4についても同様である。』

(1-2)特許法第36条第6項第1号違反(平成23年11月9日付け拒絶理由通知書に記載した「理由2(1)」)
『(1)請求項1において、
「・・予め定められた期間における複数の顧客による前記サービスの利用状況を表す利用状況情報の入力を受け付けて利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報受付手段と、
前記利用状況情報と比較され、顧客にポイントや料金などを還元するか否かを決定する基準となる還元基準情報を記憶する還元基準情報記憶手段と、 前記利用状況情報と前記還元基準情報とを比較する比較手段と、
前記利用状況情報が前記還元基準情報を満たす場合に、前記顧客情報記憶手段に記憶されている顧客に対してポイントや料金などを還元するよう前記顧客情報に還元情報を関連付けて還元情報記憶手段に記憶する還元情報付加手段と、
を備えると共に、
前記還元基準情報は、比較される前記利用状況情報の方が大きいときに、利用した全ての顧客にポイントや料金などを還元しても前記サービス提供事業者の採算が採れる値に設定されており、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報と前記還元基準情報との差が大きいほど前記還元情報の値が大きくなるよう当該還元情報の値を前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて算出する還元情報算出手段を備え、
さらに、予め設定された集計タイミングにて、前記利用状況情報記憶手段に記憶された複数の前記利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を前記利用状況情報記憶手段に記憶する利用状況情報集計手段を備えると共に、
前記比較手段は、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記換言基準情報とを比較し、
前記還元情報算出手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報が前記換言基準情報よりも大きい場合に、前記利用状況情報集計手段にて再集計され前記利用状況情報記憶手段に新たに記憶された前記利用状況情報と前記還元基準情報との差に基づいて前記還元情報の値を算出する・・」とあるが、上記「理由1について」でも指摘したように、「予め定められた期間におけ複数の顧客による利用状況情報を受け付けて、これを還元基準情報と比較し、比較結果に応じて還元情報の値を算出する」という構成(以下、「前者」という。)を有することに加えて、さらに、「予め設定された集計タイミングで、複数の利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を還元基準情報と比較し、比較結果に応じて還元情報の値を算出する」という構成(以下、「後者」という。)をも有するようにする、すなわち、「前者」に加えてさらに「後者」を有し、還元基準情報との比較が多重に行われるようにすることについては発明の詳細な説明に記載されていないことである。
よって、この請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでない。
それぞれ独立形式で記載された請求項3、請求項4に係る各発明についても同様である。』

(1-3)特許法第36条第6項第2号違反(平成23年11月9日付け拒絶理由通知書に記載した「理由2(2)」)
『(2)請求項1において、「前記換言基準情報」なる記載(24行目と26?27行目の2箇所)は意味不明である。
それぞれ独立形式で記載された請求項3、請求項4についても同様である。』

(2)当審の判断
(2-1)特許法第17条の2第3項違反
平成23年10月20日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1は、前記「2.(2)補正の適否」で検討した平成23年12月26日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1と同じ特定事項を有するものであるから、同様の理由により、平成23年10月20日付けでした手続補正についても、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

そして、このことは、それぞれ独立形式で記載さたれ請求項3,請求項4についても同様にいえることである。

(2-2)特許法第36条第6項第1号違反
平成23年11月9日付け拒絶理由通知書において「理由2(1)」として指摘したとおり(前記「(1-2)」を参照)であり、「予め定められた期間におけ複数の顧客による利用状況情報を受け付けて、これを還元基準情報と比較し、比較結果に応じて還元情報の値を算出する」という構成(以下、「前者」という。)を有することに加えて、さらに、「予め設定された集計タイミングで、複数の利用状況情報を読み出して再集計し、この再集計した新たな利用状況情報を前記還元基準情報と比較し、比較結果に応じて還元情報の値を算出する」という構成(以下、「後者」という。)をも有するようにする、すなわち、「前者」に加えてさらに「後者」を有し、還元基準情報との比較が多重に行われるようにすることについては、発明の詳細な説明に記載されていないことである。
(発明の詳細な説明には、実施例1として段落【0020】?【0038】に「前者」を有するものが記載されているのみであり、また、実施例2として段落【0039】?【0049】に「後者」を有するものが記載されているのみである。また、請求人が平成23年12月26日付け意見書においてその根拠として挙げた本願明細書の段落0006,0008,0009,0015にも、前記「2.(2)補正の適否」で述べたとおり記載されていない。)

したがって、それぞれ独立形式で記載された請求項1,請求項3,請求項4の各請求項に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでない。

(2-3)特許法第36条第6項第2号違反
平成23年12月26日付けの手続補正は、前記「2.」のとおり却下されたので、それぞれ独立形式で記載された請求項1,請求項3,請求項4の各請求項は、依然として「前記換言基準情報」なる意味不明な記載を含むものである。

したがって、それぞれ独立形式で記載された請求項1,請求項3,請求項4の各請求項に係る発明は、明確なものでない。

(3)むすび
以上のとおり、本件出願は、平成23年10月20日付けでした手続補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、また、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号・第2号に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-02 
結審通知日 2012-02-07 
審決日 2012-02-20 
出願番号 特願2005-262769(P2005-262769)
審決分類 P 1 8・ 561- WZ (G06Q)
P 1 8・ 537- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 裕子  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 井上 信一
松尾 俊介
発明の名称 還元情報管理システム及び方法並びにプログラム  
代理人 境 廣巳  
代理人 若山 剛  
代理人 馬場 資博  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ