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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1254988 |
審判番号 | 不服2009-15474 |
総通号数 | 149 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-08-24 |
確定日 | 2012-04-04 |
事件の表示 | 特願2003-342614「2次元配列における復号およびエラー訂正の方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 5月27日出願公開、特開2004-152273〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成15年9月30日(パリ条約に基づく優先権主張 2002年10月31日 米国)の出願であって、平成21年4月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成21年8月24日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 そして、平成23年6月15日付けで当審による拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の通知がなされ、平成23年9月14日に意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされている。 第2.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年9月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものである。 「【請求項1】 画像に関連するオブジェクトの位置を識別するための画像を生成する方法であって、 数の非反復的な1次元系列を作成するステップと、 前記作成された非反復的な長さL、次数nの1次元系列{a_(i)}を用いて、2次元配列を作成するステップと、 ここで、該2次元配列を作成するステップは、前記非反復的な1次元系列を、前記2次元配列の対角線上に沿って配置するステップを含み、 さらに、該2次元配列を作成するステップは、前記2次元配列の各配列要素b_(kl )を、前記長さL、前記次数nの前記1次元系列{a_(i)}の数によって表すステップを含み、 前記2次元配列の各配列要素b_(kl) は、b_(kl) ={a_(i)}に基づいて計算され、ここで、k=imod(m_(1)),l=imod(m_(2))、i=0,… ,L-1、L=m_(1)×m_(2)であり、 前記2次元配列は、2進数配列であり、 該2次元配列の配列要素の数は、2^(n)-1以下、n≧1、nは整数であり、 前記2次元配列を用いて、画像をウィンドウ単位で生成するステップと ここで、2次元配列の各配列要素b_(kl) は、各ウィンドウ内の複数のピクセルブロックに対応し、該複数のピクセルブロック単位でグラフィカルパターンを作成し、 を具え、 前記生成された画像の一部は、該生成された画像に関連するオブジェクトの位置を復号するためのカメラによってウィンドウ単位で取り込まれることを特徴とする方法。」 第3.当審拒絶理由 平成23年6月15日付けの当審拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 「 理 由 (A)この出願は、発明の詳細な説明の記載について下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 (1)発明の詳細な説明の段落番号【0048】に「n_(1)×n_(2)ウィンドウがAの周期を通してシフトする場合、F_(q)にわたる0でないすべてのn_(1)×n_(2)行列は、1度だけ現れる。」と記載されているが、請求項1のように「非反復的な1次元系列を、前記2次元配列の対角線上に沿って配列」すれば、なぜ、n_(1)×n_(2)ウィンドウがAの周期を通してシフトする場合、F_(q)にわたる0でないすべてのn_(1)×n_(2)行列は、1度だけ現れると言えるのか、根拠が不明である。 (2)図3Dにおいて、b_(13)=1,b_(14)=1,b_(15)=0,b_(23)=0,b_(24)=1,b_(25)=0である。 また、図3Dにおいて、b_(06)=1,b_(07)=1,b_(08)=0,b_(16)=0,b_(17)=1,b_(18)=0である。 したがって、図3Dにおいて、b_(13),b_(14),b_(15),b_(23),b_(24)及びb_(25)によって構成されるウィンドウ(以下、「ウィンドウA」という。)と、b_(06),b_(07),b_(08),b_(16),b_(17)及びb_(18)によって構成されるウィンドウ(以下、「ウィンドウB」という。)とは、同じ値を有する。 ウィンドウAとウィンドウBとが同じ値を有するから、図3A及び図3Dの実施例は、請求項1のように、非反復的な1次元系列を、前記2次元配列の対角線上に沿って配列しても、n個の要素を有する前記2次元配列の各部分が、該2次元配列内に2度発生することがあるということを実証しているわけである。 したがって、発明の詳細な説明は、請求項1の「前記非反復的な1次元系列を、前記2次元配列の対角線上に沿って配列するステップ」及び「少なくともn個の要素を有する前記2次元配列の各部分は、該2次元配列内に1度発生し、該2次元配列の要素の数は2^(n)-1以下であり、」を実施できる程度に記載されていない。 (3)(省略) (4)段落番号【0048】の「n_(1)」、「n_(2)」と段落番号【0049】の「n」との関係が不明である。 (5)段落番号【0049】に「L=m_(1)×m_(2)=2^(n)-1」、「L≧m_(1)m_(2)」及び「L=2^(n)-1」の数式が記載されているが、どういう理由で、これらの数式が成立するのか不明である。 またどういう理由で、これらの数式に基づき、請求項1の「2次元配列の各部分の要素の数n」を決定することにしたのか、不明である。 (6)(省略) (7)段落番号【0049】に「あるいは、カバーしたい所定サイズの空間から開始し(例えば1枚の紙、30枚の紙、またはコンピュータモニタのサイズ)、領域を決定し(m_(1)×m_(2))、次いでL≧m_(1)m_(2)を可能にするサイズを使用する(L=2^(n)-1)。」と記載されている。 「L≧m_(1)m_(2)を可能にするサイズ」の「サイズ」とは、何の大きさであるのか不明である。段落番号【0049】に「系列を得てからこれをサイズm_(1)×m_(2)に折り畳むものであり、」と記載されているから、「L≧m_(1)m_(2)を可能にするサイズ」の「サイズ」とは、「2進数配列の大きさ」であるのか、あるいは「ウィンドウの大きさ」であるのか、それともそれら以外の何の大きさであるのか、不明である。 (8)(省略) (9)上記(1)-(8)は、請求項2-11についても同様である。 よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-11に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 (B)(理由(B)について省略)」 第4.審判請求人の主張 上記当審拒絶理由の通知に対して、審判請求人は平成23年9月14日付けで意見書を提出した。該意見書の概要は以下のとおりである。 「3.理由Aに対する見解 (1)本願発明は、カメラから所定のウィンドウのサイズで取り込まれた画像の位置を、より大きな画像サイズ(サブウィンドウ)に変換して決定するために、非反復的な1次元系列からなる2次元配列を用いて、この2次元配列を取り込まれた画像のウィンドウのサイズに対応させてウィンドウ単位で画像の位置を決定することを特徴とします。 例えば、カメラのウィンドウのピクセルサイズ(ウィンドウ単位)が、図2Bに示すように、32×32(1024)ピクセルの場合、取り込まれた画像を符号化するのに必要な符号化ユニットサイズが3×3の場合は、取り込まれる符号化ユニットの数は、約100ユニットとなります。これにより、ウィンドウ単位で画像の位置決めするのに必要な数は、取り込まれる符号化ユニットの数だけ必要となり、この必要な数は、図3Aに示すような非反復的な1次元系列からなるビットストリームとして表すことができます。そして、非反復的な1次元系列は、図3Dに示すような2次元配列のビットストリームとして構成することができます。この2次元配列のビットストリームを、取り込まれた画像のウィンドウに対応させることによりウィンドウ単位で画像の位置を決定することができます。 非反復的な1次元系列は、段落【0044】に記載された(1)式のように定義することができ、(1)式のP_(n)(x)は、体F_(q)[x](q個の要素を有する)中のn次の原始多項式で、R_(l)(x)は、体F_(q)[x]中のl次(l<n)の0でない多項式を示します。この1次元系列は、線形帰還シフトレジスタを使用して出力が繰り返し始めたときに計算を停止することによって反復的な手順によって生み出すことができます。この線形帰還シフトレジスタを使用した場合、系列の周期的シフトと多項式R_(l)(x)との間に所定の関係が確立され、すなわち、R_(l)(x)を変更しても系列が周期的にシフトされるだけであり、あらゆる周期的シフトは多項式R_(l)(x)に対応し、得られる系列の特性の1つは、幅(または長さ)nにわたってどんな部分も系列中で1度存在することになります。このようなプロセスによって、ウィンドウ単位に対応させた所定のサイズで非反復的な系列を生み出すことができます。 (2)図3Dは、非反復的な1次元系列を、ウィンドウ単位で2次元配列の対角線上に沿って配列した例です。【0042】には、「取り込まれた画像中にあるエラーが、取り込まれた画像中のいくつかの箇所を利用不可能にする場合があることから、厄介な問題がさらに生じる。取り込まれた画像部分が2次元配列中の2つ以上の位置に関連する可能性を最小限に抑えるために、非反復的な系列を使用して配列を生み出すことができる。生み出される系列の特性の1つは、系列が長さ(またはウィンドウ)nにわたって反復しないことである。」と記載されており、さらに、「1次元系列を折り畳むことにより、2次元配列を構築することができる。2次元配列の任意の部分を使用して、全2次元配列中におけるその位置を決定することができる。懸念の1つは、カメラで取り込まれる画像部分のサイズが限られていることである。したがって、取り込まれた1つまたは少数の画像から位置を決定できることが必要である。」とあります。これにより、2次元配列において位置の決定は、ウィンドウ単位で非反復的な系列を使用して配列されたエラーのない一部分を用いて行われることになります。 (3)(省略) (4)「n_(1)」、「n_(2)」は、2次元配列の次数であり、「n」は、1次元配列の次数を示します。 (5)Lは、1次元系列の長さで、m_(1),m_(2)は、2次元配列のサイズを示します。 カメラのウィンドウのピクセルサイズが、図2Bに示すように、32×32(1024)ピクセルの場合、取り込まれた画像を符号化するのに必要な符号化ユニットサイズを3×3とすると、1024/9=113となりますが、取り込まれる符号化ユニットの数は、約100ユニットとなります。この数が2次元配列の構成要素の数(10×10)となります。これは、1次元系列の長さL(=2^(n)-1、n=10)を2次元配列の構成要素の数よりも大きくする必要があることから、符号化ユニットの数が約100となります。 (6)(省略) (7)「L≧m_(1)m_(2)を可能にするサイズ」の「サイズ」とは、カメラ撮像のサイズを決定 した後、L≧m_(1)m_(2)を可能にする「2進数配列の大きさ」と考えられます。 (8)(省略) 4.理由Bに対する見解(省略) 」 第5.当審の判断 (A-1)審判請求人は、意見書において、「非反復的な1次元系列は、段落【0044】に記載された(1)式のように定義することができ、・・・(中略)・・・この線形帰還シフトレジスタを使用した場合、系列の周期的シフトと多項式R_(l)(x)との間に所定の関係が確立され、すなわち、R_(l)(x)を変更しても系列が周期的にシフトされるだけであり、あらゆる周期的シフトは多項式R_(l)(x)に対応し、得られる系列の特性の1つは、幅(または長さ)nにわたってどんな部分も系列中で1度存在することになります。このようなプロセスによって、ウィンドウ単位に対応させた所定のサイズで非反復的な系列を生み出すことができます。」と説明しているが、この説明は、非反復的な1次元系列中に、幅(または長さ)nにわたってどんな部分も1度存在することを説明するものであって、本願発明のように、「非反復的な1次元系列を、前記2次元配列の対角線上に沿って配置」すれば、なぜ、段落番号【0048】記載のように、「n_(1)×n_(2)ウィンドウがAの周期を通してシフトする場合、F_(q)にわたる0でないすべてのn_(1)×n_(2)行列は、1度だけ現れる」のかを、説明したものでない。 したがって、理由(A)の(1)が依然として解消していない。 なお、「F. Jessie MacWilliams, Neil J. A. Sloane, ”Pseudo-Random Sequences and Arrays”, Proceedings of the IEEE, Vol.64, No.12, December 1976, p.1715-1729」の第1723頁右欄に、 「Property 3^(*) - The Window Property: If a k_(1)×k_(2) window is slid over a pseudo-random array in G_(m), each 2^(k1k2)-1 nonzero binary k_(1)×k_(2) arrays is seen exactly once - see Fig.15 for the case n=15, k_(1)=k_(2)=2 (The proof is given in the Appendix.)」 (当審訳:特性3^(*)-ウィンドウ特性:もしk_(1)×k_(2)のウインドウを、G_(m)の疑似ランダムアレイの表面上をスライドさせれば、非零2進数の2^(k1k2)-1個の各k_(1)×k_(2)のアレイが、正確に一度だけ見られる。 - n=15,k_(1)=k_(2)=2の場合の図15を見よ。(証明は、付録で与えられる。))と記載されている。 ただし、上記文献の第1723頁左欄の「B.Properties of Pseudo-Random Arrays」に「Let G_(m) be the set of 2^(m) arrays so formed, together with the zero array.」と記載されているように、G_(m)は、零配列を含む、2^(m)個の構成された配列の集合である。 しかし、上記文献の第1721頁右欄の「A.Two-Dimensional Arrays with Flat Autocorrelation Functions」に、「n=2^(k1k2)-1」、「n_(1)=2^(k1)-1」、「n_(2)=n/n_(1)」と記載されていることから分かるように、本願明細書の m_(1)に相当するn_(2)と、本願明細書のm_(2) に相当するn_(1)とを乗算すれば、1次元系列の長さに等しいことが前提である。 したがって、上記文献には、本願発明の「該2次元配列の配列要素の数は、2^(n)-1以下」の部分が、「該2次元配列の配列要素の数は、2^(n)-1に等しい」場合の証明が記載されているが、「該2次元配列の配列要素の数は、2^(n)-1未満」の場合の証明が記載されていない。 (A-2)本件補正により、本願発明では「少なくともn個の要素を有する前記2次元配列の各部分は、該2次元配列内に1度発生し、」という文言が削除されている。しかし、本願発明は、「画像に関連するオブジェクトの位置を識別するための画像を生成する方法」であるから、本願発明においては、2次元配列におけるウィンドウの位置を一に識別するために、ウィンドウ内の配列要素b_(kl)のパターンは、2次元配列内に1度発生するという性質を有しているものと解するのが相当である。 審判請求人は、意見書において、段落番号【0042】の「取り込まれた画像中にあるエラーが、取り込まれた画像中のいくつかの箇所を利用不可能にする場合があることから、厄介な問題がさらに生じる。」という記載に言及している。 しかし、段落番号【0050】に「異なる様々な折畳み技法を用いることができる。例えば図3Aから図3Cに、異なる3つの系列を示す。これらはそれぞれ、図3Dとして示す配列に折り畳むことができる。この異なる3つの折畳み方法は、図3Dではオーバーレイとして示されており、図3Eおよび3Fではラスタパスとして示されている。図3Dに示す折畳み方法は、gcd(m_(1),m_(2))=1のときとして表現することができる(L=2^(n)-1)。」と記載されているように、図3Dは1次元系列の折り畳み方を示したものであり、画像として撮影される前の「1」と「0」の配置である。また、図3Aの1次元系列と図3Dを比較すれば、図3Dは、図3Aの1次元系列を折り畳んだものに相違ない。したがって、図3Dは意見書で指摘されている「取り込まれた画像中にあるエラー」を含んではいない。 したがって、理由(A)の(2)が依然として解消していない。 (A-4)段落番号【0045】に「得られる系列の特性の1つは、幅(または長さ)nにわたってどんな部分も系列中で1度存在することである。」と記載されているように、長さnの「1」と「0」のパターンは、1次元系列中に1度存在する。他方、1次元系列を基にして作られた2次元の配列では、段落番号【0048】に記載されているように、n_(1)×n_(2)ウィンドウがAの周期を通してシフトする場合、F_(q)にわたる0でないすべてのn_(1)×n_(2)行列は、1度だけ現れる。2次元配列は1次元系列を基にして作られたのであるから、「1度だけ現れる」という性質に関連している「n_(1)」と「n_(2)」は、「1度存在する」という性質に関連している「n」と何らかの関係を有していると考えるのが常識である。また、その関係が分からなければ、どのようにしてウィンドウの大きさn_(1)×n_(2)を決定するのか分からないから、本願発明を実施できるように記載されているとは言えない。 したがって、理由(A)の(4)が依然として解消していない。 (A-5)審判請求人は、意見書において、「Lは、1次元系列の長さで、m_(1),m_(2)は、2次元配列のサイズを示します。」と説明しているが、段落番号【0051】には、 「次に、以下の式1で示すように配列の各ビットが計算されるようにすることによって、系列{a_(i)}からサイズm_(1)×m_(2)の配列{b_(kl)}を生み出す。 b_(kl)=a_(i) この式で、k=i mod(m_(1))であり、l=i mod(m_(2)) であり、i=0,...,L-1である。」 と記載されており、この記載からb_(kl)=a_(i)である配列{b_(kl)}の要素の数がLであるから、Lが2次元配列の構成要素の数を表していることは、明らかである。そして、段落番号【0051】の記載は、段落番号【0049】の「L=m_(1)×m_(2)=2^(n)-1」の場合、及び「L≧m_(1)m_(2)」の場合のどちらかに限定して記載されているわけではないから、Lの定義が、1次元系列の長さであるのか、それとも2次元配列の構成要素の数であるのか、不明確である。 当審拒絶理由(A)の(5)に対する審判請求人の見解は、以下の4つの文から、構成されている。 (第1文)Lは、1次元系列の長さで、m_(1),m_(2)は、2次元配列のサイズを示します。 (第2文)カメラのウィンドウのピクセルサイズが、図2Bに示すように、32×32(1024)ピクセルの場合、取り込まれた画像を符号化するのに必要な符号化ユニットサイズを3×3とすると、1024/9=113となりますが、取り込まれる符号化ユニットの数は、約100ユニットとなります。 (第3文)この数が2次元配列の構成要素の数(10×10)となります。 (第4文)これは、1次元系列の長さL(=2^(n)-1、n=10)を2次元配列の構成要素の数よりも大きくする必要があることから、符号化ユニットの数が約100となります。 第2文の結論で「符号化ユニットの数は、約100ユニットとなります。」ということが既に決まっているのに、第4文で、「1次元系列の長さL(=2^(n)-1、n=10)を2次元配列の構成要素の数よりも大きくする必要があることから、」と検討した結果が、再び「符号化ユニットの数が約100となります。」となっていて、第2文の結論と同じであるのは、どういうわけか不明である。第4文の結論が、第2文の結論と同じであれば、第4文の検討は不要となるのが文章構成の常識と考えられる。 また、1次元系列の長さL(=2^(n)-1)を2次元配列の構成要素の数よりも大きくするのであれば、n=7と設定すれば、L=2^(7)-1=127となって、2次元配列の構成要素の数(10×10)よりも大きくなるのに、なぜ第4文でn=10となっているのかも不明である。 以上のとおり、当審拒絶理由(A)の(5)に対する審判請求人の見解は、当業者が理解し難いものであり、理由(A)の(5)が依然として解消していない。 (A-7)段落番号【0049】に「あるいは、カバーしたい所定サイズの空間から開始し(例えば1枚の紙、30枚の紙、またはコンピュータモニタのサイズ)、領域を決定し(m_(1)×m_(2))、次いでL≧m_(1)m_(2)を可能にするサイズを使用する(L=2^(n)-1)。」と記載されているから、領域(m_(1)×m_(2))を決定し、次いでL≧m_(1)m_(2)を可能にするサイズを決定して、使用するわけである。そうすると、2番目に決定する「L≧m_(1)m_(2)を可能にするサイズ」が、最初に決定した「領域(m_(1)×m_(2))」と同じであるわけがない。(もし同じなら、2番目の決定は不要ということになる。)そして、最初に決定した「領域(m_(1)×m_(2))」は、2進数配列の大きさである。 したがって、当審拒絶理由(A)の(7)に対する審判請求人の見解の「L≧m_(1)m_(2)を可能にするサイズ」の「サイズ」とは、カメラ撮像のサイズを決定した後、L≧m_(1)m_(2)を可能にする「2進数配列の大きさ」と考えられます。」は、2番目に決定する「L≧m_(1)m_(2)を可能にするサイズ」が、最初に決定した「領域(m_(1)×m_(2))」と同じですと説明しているわけであって、当業者には理解し難いものであり、理由(A)の(7)が依然として解消していない。 第6.むすび 以上のとおり、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-11-07 |
結審通知日 | 2011-11-11 |
審決日 | 2011-11-22 |
出願番号 | 特願2003-342614(P2003-342614) |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山崎 慎一 |
特許庁審判長 |
江口 能弘 |
特許庁審判官 |
安島 智也 清水 稔 |
発明の名称 | 2次元配列における復号およびエラー訂正の方法 |
復代理人 | 渡邉 直幸 |
復代理人 | 濱中 淳宏 |
代理人 | 谷 義一 |
代理人 | 阿部 和夫 |