ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A61B |
---|---|
管理番号 | 1255361 |
審判番号 | 訂正2012-390006 |
総通号数 | 150 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-06-29 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2012-01-25 |
確定日 | 2012-03-15 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4848616号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4848616号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 請求の趣旨 本件審判の請求の趣旨は,特許第4848616号(平成16年1月15日特許出願,平成23年10月28日設定登録)に係る上記明細書を平成24年1月25日付け審判請求書に添付した訂正明細書のとおり,すなわち,下記訂正事項1から3のとおり訂正することを求めるものである。 1 訂正事項1 上記明細書の特許請求の範囲の請求項1における「基準方向」を,「基準傾き」と訂正する。 2 訂正事項2 上記明細書の1頁25?26行における「基準方向」を,「基準傾き」と訂正する。 3 訂正事項3 上記明細書の1頁35行における「基準方向」を,「基準傾き」と訂正する。 第2 当審の判断 1 訂正の目的等について (1)訂正事項1 「基準方向」について,上記明細書の特許請求の範囲の請求項1に,「近似曲線の極大値近傍の傾きが所定の基準方向よりも大きい場合」とあることから,「方向」と「傾き」とは技術的意義が同じである。したがって,訂正事項1は,実質的に特許請求の範囲の内容を拡張または変更するものではなく,請求項に記載された構成を明確にするためのものといえるから,明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 そして,願書に最初に添付した明細書の請求項6には,「前記解析部は,前記近似曲線における極大値近傍の傾きが所定の基準傾きよりも大きい場合に,前記睡眠状態に異常があったものと判断する」と記載されており,また,本件特許明細書の【0035】には,「近似曲線における極大値近傍の傾きが所定の基準傾きよりも大きい場合に,睡眠状態に異常があったものと判断するようにしてもよい。」と記載されていることからみて,訂正事項1は,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 (2)訂正事項2 訂正事項2は,訂正事項1の訂正に伴い,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合をとるためのものであるから,この訂正は,明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 また,訂正事項2による訂正は,上記「(1) 訂正事項1」で検討したとおり,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でされたものである。 (3)訂正事項3 訂正事項3は,訂正事項1の訂正に伴い,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合をとるためのものであるから,この訂正は,明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 また,訂正事項3による訂正は,上記「(1) 訂正事項1」で検討したとおり,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でされたものである。 第3 むすび 以上のとおり,本件訂正審判の請求は,特許法第126条第1項第第3号に掲げる事項を目的とし,且つ同上第2項および第3項の規定に適合するものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 生体情報解析装置 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、生体情報解析装置に係り、特に特に睡眠状態及びその影響を把握することが可能な生体情報解析装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より睡眠中に脈拍などの生体情報を計測する装置が提案されている(例えば、特許文献1ないし特許文献3参照)。 【特許文献1】特開昭63-2836623号公報 【特許文献2】特開平1-288230号公報 【特許文献3】特開平1-288233号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、上記従来の公報記載の技術は、睡眠中の生体情報をいかに正確にそくていするかという課題を解決するものであり、睡眠中の生体情報をどのように利用するかについては明確に提案されていない。 そこで、本発明の目的は、測定中に測定した生体情報の利用を図るべく生体情報を解析する生体情報解析装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0004】 上記課題を解決するため、睡眠中の生体情報値を検出する生体情報検出部と、前記睡眠中の前記生体情報値の時間的推移を曲線で近似させ、近似曲線の極大値の最大値が睡眠中の最高生体情報値であった場合、あるいは、近似曲線の極大値近傍の傾きが所定の基準傾きよりも大きい場合に睡眠状態が良くなかったものと判定し、近似曲線の極小値の最小値が所定のしきい値よりも低い場合には、体調良好であると判定し、近似曲線の極小値の最小値が所定のしきい値よりも高い場合には体調不良であると判定することによって、前記生体情報の時間的推移に基づいて睡眠状態を判断し、あるいは、睡眠後の体調を予測する解析部と、睡眠状態の良否、体調良好、或いは体調不良の判定結果を表示する表示部と、を備えたことを特徴としている。 上記構成によれば、生体情報検出部は、睡眠中の生体情報値を検出する。 これにより解析部は、睡眠中の生体情報値の時間的推移を曲線で近似させ、近似曲線の極大値の最大値が睡眠中の最高生体情報値であった場合、あるいは、近似曲線の極大値近傍の傾きが所定の基準傾きよりも大きい場合に睡眠状態が良くなかったものと判定し、近似曲線の極小値の最小値が所定のしきい値よりも低い場合には、体調良好であると判定し、近似曲線の極小値の最小値が所定のしきい値よりも高い場合には体調不良であると判定することによって、前記生体情報の時間的推移に基づいて睡眠状態を判断し、あるいは、睡眠後の体調を予測する。 これらの結果、表示部は、睡眠状態の良否、体調良好、或いは体調不良の判定結果を表示する。 この場合において、体動の大きさを検出する体動センサを備え、前記解析部は、前記体動の大きさが就寝状態に相当する大きさとなった場合に、前記生体情報検出部に生体情報値を検出させて記憶し、検出された前記体動の大きさが起床状態に相当する大きさとなった場合に、前記睡眠中の前記生体情報値の時間的推移を曲線で近似させるようにしてもよい。 【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、簡易な装置構成で手軽に人の睡眠状態あるいは起床後の体調を判断することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 次に本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。 図1は、実施形態の生体計測機器の構成を示す説明図である。本実施形態においては、生体情報として脈拍を用い、生体情報値として脈拍数を検出するものとする。 生体情報解析装置1は、大別すると、腕時計構造を有する装置本体10と、この装置本体10に接続されるケーブル20と、このケーブル20の先端側に設けられた脈拍センサ30と、を備えて構成されている。 ケーブル20の一端側にはコネクタピース80が構成されている。このコネクタピース80は、装置本体10の6時の側に構成されているコネクタ部70に対して着脱自在に構成されている。 装置本体10には、腕時計における12時方向から腕に巻きついてその6時方向で固定されるリストバンド12が設けられている。このリストバンド12によって、装置本体10は、腕に着脱自在に装着される。 【0011】 図2は、生体情報解析装置の脈拍センサ30近傍の断面図である。 脈拍センサ30は、センサ固定用バンド40によって遮光された状態で人差し指の根元から指関節までの間に装着されている。このように、脈拍センサ30を指の根元に装着することにより、ケーブル20が短くて済むので、ケーブル20は、ランニング中に邪魔にならない。また、掌から指先までの体温の分布を計測すると、寒いときには、指先の温度が著しく低下するのに対し、指の根元の温度は比較的低下しない。従って、指の根元に脈拍センサ30を装着すれば、寒い日に屋外でランニングしたときでも、脈拍数などを正確に計測できるのである。 【0012】 図3は、生体情報解析装置1の装置本体10を、リストバンドやケーブルなどを外した状態で示す平面図、図4は、生体情報解析装置1を腕時計における3時の方向からみた側面図である。 図3において、装置本体10は、樹脂製の時計ケース11(本体ケース)を備えている。時計ケース11の表面側には、現在時刻や日付に加えて、走行時や歩行時のピッチ、及び脈拍数などの脈波情報などを表示するELバックライト付きの液晶表示装置13(表示装置)が設けられている。 液晶表示装置13には、表示面の左上側に位置する第1のセグメント表示領域131、右上側に位置する第2のセグメント表示領域132、右下側に位置する第3のセグメント表示領域133、及び左下側に位置するドット表示領域134が構成されており、ドット表示領域134では、各種の情報をグラフィック表示可能である。 時計ケース11の内部には、ピッチを求めるための体動センサ302(図6参照)が内蔵されており、この体動センサ302としては、加速度センサなどを用いることができる。 【0013】 また、時計ケース11の内部には、各種の制御やデータ処理を行う制御部5が設けられている。 この制御部5は、体動センサ302による検出結果(体動信号)および脈拍センサ30による検出結果(脈波信号)に基づいて睡眠中の脈拍数の時間的推移に基づく、測定対象者であるユーザの睡眠状態あるいは本日の体調を判別し、必要に応じて液晶表示装置13で表示する。 この場合において、制御部5には、計時回路も構成されているため、通常時刻なども液晶表示装置13に表示可能となっている(図14、図15参照)。 また、時計ケース11の外周部には、入力装置110(図6参照)を構成し、時刻合わせや表示モードの切り換えなどの外部操作を行うためのボタンスイッチ111?115が設けられている。また、時計ケースの表面には、同じく、入力装置110(図6参照)を構成する、大きめのボタンスイッチ116、117が構成されている。 【0014】 生体情報解析装置1の電源は、時計ケース11に内蔵されているボタン形の小型の電池59であり、ケーブル20は、電池59から脈拍センサ30に電力を供給するとともに、脈拍センサ30の検出結果を時計ケース11の制御部5に入力している。 生体情報解析装置1では、その機能を増やすにともなって、装置本体10を大型化する必要がある。しかしながら、装置本体10には、腕に装着されるという制約があるため、装置本体10を腕時計における6時及び12時の方向に向けては拡大できない。 そこで、本実施形態では、装置本体10には、3時及び9時の方向における長さ寸法が6時及び12時の方向における長さ寸法よりも長い横長の時計ケース11を用いてある。 この場合において、リストバンド12は、3時の方向側に偏った位置で接続しているため、リストバンド12からみると、腕時計における9時の方向には、3時の方向とは異なり張出部分101が設けられている。従って、横長の時計ケース11を用いたわりには、手首を自由に曲げることができ、また、転んでも手の甲を時計ケース11にぶつけたりすることもない。 【0015】 時計ケース11の内部において、電池59に対して9時の方向には、ブザー用の偏平な圧電素子58が配置されている。電池59は、圧電素子58に比較して重いため、装置本体10の重心位置は、3時の方向に偏った位置にある。この重心が偏っている側にリストバンド12が接続しているので、装置本体10を腕に安定した状態で装着できる。また、電池59と圧電素子58とを平面方向に配置してあるため、装置本体10を薄型化できる。 これとともに、図4に示すように、裏面部119に電池蓋118を設けることによって、ユーザは、電池59を簡単に交換できる。 図4において、時計ケース11の12時の方向には、リストバンド12の端部に取り付けられた止め軸121を保持するための連結部105が形成されている。時計ケース11の6時の方向には、腕に巻かれたリストバンド12が長さ方向の途中位置で折り返されるとともに、この途中位置を保持するための留め具122が取り付けられる受け部106が形成されている。 【0016】 装置本体10の6時の方向において、裏面部119から受け部106に至る部分は、時計ケース11と一体に成形されて裏面部119に対して約115[°]の角度をなす回転止め部108になっている。すなわち、リストバンド12によって装置本体10を左の手首L(腕)の上面部L1(手の甲の側)に位置するように装着したとき、時計ケース11の裏面部119は、手首Lの上面部L1に密着する。これと並行して、回転止め部108は、橈骨Rのある側面部L2に当接する。 この状態で、装置本体10の裏面部119は、橈骨Rと尺骨Uを跨ぐ感じになる。これとともに、回転止め部108と裏面部119との屈曲部分109から回転止め部108にかけては、橈骨Rに当接する感じになる。このように、回転止め部108と裏面部119とは、約115°という解剖学的に理想的な角度をなしているため、装置本体10を矢印Aまたは矢印Bの方向に回そうとしても、装置本体10は、腕Lの周りを不必要にずれることがない。 また、裏面部119及び回転止め部108によって腕の回りの片側2ヵ所で装置本体10の回転を規制するだけである。このため、腕が細くても、裏面部119及び回転止め部108は確実に腕に接するので、回転止め効果が確実に得られる。さらに、腕が太くても窮屈な感じがない。 【0017】 図5は、実施形態の脈拍センサ30の断面図である。 図5において、脈拍センサ30は、そのケース体としてのセンサ枠36の裏側に裏蓋402が被されることによって、内側に部品収納空間400が構成されている。部品収納空間400の内部には、回路基板35が配置されている。回路基板35には、LED31、フォトトランジスタ32、その他の電子部品が実装されている。脈拍センサ30には、ブッシュ493によってケーブル20の端部が固定され、ケーブル20の各配線は、各回路基板35のパターン上にはんだ付けされている。ここで、脈拍センサ30は、ケーブル20が指の根元側から装置本体10の側に引き出されるようにして指に取り付けられる。従って、LED31及びフォトトランジスタ32は、指の長さ方向に沿って配列されることになり、そのうち、LED31は指の先端側に位置し、フォトトランジスタ32は指の根元の方に位置する。このように配置すると、外光がフォトトランジスタ32に届きにくいという効果がある。 【0018】 脈拍センサ30では、センサ枠36の上面部分(実質的な脈波信号検出部)にガラス板からなる透光板34によって光透過窓が形成されている。そして、この透光板34に対して、LED31及びフォトトランジスタ32は、それぞれ発光面及び受光面を透光板34の方に向けている。このため、透光板34の外側表面441(指表面との接触面/センサ面)に指表面を密着させると、LED31は、指表面の側に向けて光を発する。これとともに、フォトトランジスタ32は、LED31が発した光のうち指の側から反射してくる光を受光可能である。ここで、透光板34の外側表面441と指表面との密着性を高める目的に、透光板34の外側表面441は、その周囲部分461から突出している構造になっている。 【0019】 本実施形態では、LED31として、InGaN系(インジウム-ガリウム-窒素系)の青色LEDを用いてあり、その発光スペクトルは、450nmに発光ピークを有している。さらにLED31の発光波長領域は、350nmから600nmまでの範囲にある。かかる発光特性を有するLED31に対応させて、本例では、フォトトランジスタ32として、GaAsP系(ガリウム-砒素-リン系)のフォトトランジスタを用いている。フォトトランジスタ32自身の受光波長領域は、主要感度領域が300nmから600nmまでの範囲にあって、300nm以下にも感度領域がある。 【0020】 このように構成した脈拍センサ30を、センサ固定用バンド40によって指の根元に装着し、この状態で、LED31から指に向けて光を照射すると、この光が血管に届いて血液中のヘモグロビンによって光の一部が吸収され、一部が反射する。指(血管)から反射してきた光は、フォトトランジスタ32によって受光され、その受光量変化が血量変化(血液の脈波)に対応する。すなわち、血量が多いときには、反射光が弱くなる一方、血量が少なくなると、反射光が強くなるので、反射光強度の変化を検出すれば、脈拍数を含む各種生体情報などを計測できる。 【0021】 また、本実施形態では、LED31の発光波長領域とフォトトランジスタ32の受光波長領域との重なり領域である約300nmから約600nmまでの波長領域、すなわち、約700nm以下の波長領域における検出結果に基づいて生体情報を表示する。 このような構成を採っている理由は、外光が指の露出部分にあたっても、外光に含まれる光のうち波長領域が700nm以下の光は、指を導光体としてフォトトランジスタ32(受光部)にまで到達しないからである。これは、外光に含まれる波長領域が700nm以下の光は、指を透過しにくい傾向にあるためである。従って、外光がセンサ固定用バンド40で覆われていない指の部分に照射されても、指を通ってフォトトランジスタ32まで届かず、測定結果に影響を与えることがないのである。 また、約700nm以下の波長領域の光を利用して、脈波情報を得ているので、血量変化に基づく脈波信号のS/N比が高い。この理由としては、血液中のヘモグロビンは、波長が300nmから700nmまでの光に対する吸光係数が従来の検出光である波長が880nmの光に対する吸光係数に比して数倍?約100倍以上大きいからと考えられる。従って、血量変化に感度よく変化するので、血量変化に基づく脈波の検出率(S/N比)が高くなるのであると考えられる。 【0022】 図6は、制御部近傍の概要構成ブロック図である。 制御部5は、大別すると、脈拍センサ30からの入力結果に基づいて脈拍数などを求める脈波データ処理部500と、体動センサ302からの入力結果に基づいてピッチをもとめるピッチデータ処理部501と、動作クロック信号を生成するクロック生成部502と、制御部全体を制御するコントロール部503と、が構成されている。 脈波データ処理部500は、大別すると、脈波信号増幅回路303と、脈波波形整形回路306と、を独自に備え、ピッチデータ処理部501と共有してA/D変換回路305を備えている。 脈波信号増幅回路303は、脈拍センサ30の出力である脈波信号を増幅して脈波増幅信号をA/D変換回路305および脈波波形整形回路306に出力する。 脈波波形整形回路306は、脈波増幅信号の波形整形を行ってコントロール部503に出力する。 【0023】 A/D変換回路305は、脈波増幅信号のA/D変換を行って脈波データとしてコントロール部503に出力する。 ピッチデータ処理部501は、大別すると、体動信号増幅回路304と、体動波形整形回路307と、を独自に備え、上述したように脈波データ処理部500と共有してA/D変換回路305を備えている。 体動信号増幅回路304は、体動センサ302の出力である体動信号を増幅して体動増幅信号をA/D変換回路305および体動波形整形回路307に出力する。 体動波形整形回路307は、体動増幅信号の波形整形を行ってコントロール部503に出力する。 A/D変換回路305は、体動増幅信号のA/D変換を行って体動データとしてコントロール部503に出力する。 【0024】 クロック生成部502は、大別すると、発振回路311および分周回路312を備えている。 発振回路311は、水晶発振器などを備え、コントロール部503にクロック信号を基準動作クロックとして供給するとともに、クロック信号から計時用クロック信号を生成させるべく、分周回路312に供給する。 分周回路312は、供給されたクロック信号を分周して、各種の計時用クロック信号を生成してコントロール部503に供給する。 コントロール部503は、大別すると、MPU308と、RAM309と、ROM310と、を備えている。 MPU308は、ROM310内に格納された制御プログラムに基づいて制御部5全体、ひいては、腕時計型情報機器1全体を制御する。 RAM309は、脈波データ、体動データを含む各種データを一時的に格納し、作業領域として用いられる。 ROM310は、MPU308、ひいては、生体情報解析装置1全体を制御するための制御プログラムをあらかじめ格納している。 【0025】 ここで、具体的な動作説明に先立ち、本実施形態の原理について説明する。 図7ないし図10は、睡眠中の典型的な脈拍数の時間的推移の一例を示す図である。 図7は、まだ眠くなる前に就寝し、良好な睡眠が得られた場合に測定された睡眠中の脈拍数の時間的推移の一例である。また、図8は、眠くなってから就寝し、良好な睡眠が得られた場合に測定された睡眠中の脈拍数の時間的推移の一例(その1)である。また、図9は、眠くなってから就寝し、良好な睡眠が得られた場合に測定された睡眠中の脈拍数の時間的推移の一例(その2)である。また、図10は睡眠中に安眠を妨げることが発生し、良好な睡眠が得られなかった場合に測定された睡眠中の脈拍数の時間的推移の一例である。 図7ないし図10において、折れ線Hは、脈拍数の実測値を表すものであり、曲線Lは、脈拍数の実測値を6次の近似曲線で表したものである。図7ないし図10において、符号PLx(x=1,2,…)は近似曲線Lの極小値を表し、符号PHx(x=1,2,…)は近似曲線Lの極大値を表している。 【0026】 図7ないし図9に示すように、良好な睡眠が得られた場合には、就寝時の脈拍数および起床時の脈拍数が睡眠中の脈拍数よりも高くなっている。さらに脈拍数の実測値は、レム睡眠とノンレム睡眠との周期に応じて多少増減している。 しかしながら、近似曲線Lの極小値PL1、PL2と極大値PH1、PH2との差はあまり大きくなく、近似曲線Lはなだらかに変化していることがわかる。 これらに対し、図10に示すように、良好な睡眠が得られなかった場合には、脈拍数の実測値は、レム睡眠とノンレム睡眠との周期に応じた多少の増減に加えて、午前2時16分前後を中心として大きく変化しており、当該時間帯の脈拍数(極大値PH1近傍の脈拍数)は、就寝時の脈拍数および起床時の脈拍数よりもかなり高くなっている。すなわち、近似曲線Lの変化が激しくなっている。 また、近似曲線Lの極小値の最小値(図10における極小値PL2)も、良好な睡眠を得られた場合と比較して高くなっている。 このような状態では、睡眠中に呼吸障害などの何らかの異常が発生していると推定でき、このような状態が継続して発生する場合には、医者に診断をしてもらう方が好ましいと考えられる。 【0027】 図11および図12は、30歳台男性の睡眠中の脈拍測定結果をまとめたものである。 図11は、睡眠時脈拍数の平均値の各週ごとの推移状態である。また、図12は、睡眠時脈拍数の近似曲線における極小値の最小値の各週ごとの推移状態である。 測定時において、当該男性は、きわめて仕事が忙しい状態で、月曜日から金曜日まで仕事で疲労が蓄積し、土曜日、日曜日で睡眠や休養を多く取るという状態が継続していた時のデータである。 図11に示すように、睡眠時脈拍数の平均値を見ても概ねの傾向は把握できる。すなわち、疲れがたまっていく週末(金曜日)に向かって、徐々に平均脈拍数が増加し、土曜日、日曜日の十分な睡眠と休養に伴って再び平均脈拍数が増加していくことがわかる。 しかしながら、その傾向は、図12に示すように、近似曲線における極小値の最小値の各週ごとの推移状態に顕著に表れており、この傾向は、より体感と一致した結果となっていた。 ところで、人間が最も安静にしている状態は、「睡眠中で最も眠りの深い状態」であると考えられ、当該状態における測定対象者の脈拍数は、当該測定対象者のその日の体調を表していると考えることが可能である。 【0028】 従って上記結果より、脈拍数の推移状態に対応する近似曲線の極小値の最小値を、当該測定対象者のその日の体調を表す指標として用いることが可能である。 以上をまとめると、以下のことが言える。 (1)脈拍数の推移状態に対応する近似曲線の極大値が睡眠中の最高脈拍であった場合、睡眠状態が良くなかったものと判断される。 (2)1日の睡眠中の脈拍数の時間的推移を近似曲線で近似した場合の近似曲線の極小値の最小値が起床後の体調を示す。 次に上記結論を利用した実施形態の動作について説明する。 【0029】 図13は、生体情報解析装置1の処理フローチャートである。 まず、生体情報解析装置1のMPU308は、体動センサ302の出力信号に基づいて測定対象者であるユーザが就寝したか否かを判別する(ステップS1)。 具体的には、体動センサ302は、ユーザの動きを検出し、検出した体動信号を体動信号増幅回路304に出力する。体動信号増幅回路304は、体動信号を増幅し、体動波形整形回路307に出力する。体動波形整形回路307は、体動信号を整形し、MPU308に出力する。 この結果、MPU308は、ユーザの体動の大きさが就寝状態に相当する所定の大きさ以下になったか否かを判別し、測定対象者であるユーザが就寝したか否かを判別することとなる。 ステップS1の判別において、ユーザが未だ就寝していない場合には(ステップS1;No)、待機状態となる。 ステップS1の判別において、ユーザが就寝した場合には(ステップS1;Yes)、脈拍数測定を行う(ステップS2)。 【0030】 ここで、脈拍数測定について詳細に説明する。 まず、MPU308は、脈拍センサ30と体動センサ302の出力信号を取得する。 具体的には、脈拍センサ30は生体から脈波を検出し、検出した脈波信号を脈波信号増幅回路303に出力する。脈波信号増幅回路303は、入力された脈波信号を増幅し、A/D変換器305及び脈波波形整形回路306に出力する。脈波波形整形回路306は、脈波信号を整形し、MPU308に出力する。 一方、体動センサ302は、ユーザの動きを検出し、検出した体動信号を体動信号増幅回路304に出力する。体動信号増幅回路304は、体動信号を増幅し、A/D変換器305及び体動波形整形回路307に出力する。体動波形整形回路307は、体動信号を整形し、MPU308に出力される。 これらの結果、A/D変換器305は脈波信号および体動信号をそれぞれA/D変換し、脈波データおよび体動データとしてMPU308に出力する。 【0031】 続いてMPU308は、脈波データおよび体動データに基づいて高速フーリエ変換(FFT)処理を行い、脈波データおよび体動データのFFT処理の結果から、脈拍成分Fmおよび体動成分Ftを抽出する。 次にMPU308は、体動成分の量が脈拍数算出の可否を判別するための所定のしきい値よりも大きいか否かを判別する。 そして、体動成分の量が脈拍数算出の可否を判別するための所定のしきい値よりも大きい場合には、今回の脈拍数については、体動成分が多すぎて不可能であるので、計測不能とする。 一方、体動成分の量が脈拍数算出の可否を判別するための所定のしきい値以下である場合には、脈拍成分から体動成分を除去する。 具体的には、 Fm=Fm-Ft という処理を行う。すなわち、脈波信号だけに存在する周波数成分を取り出す。 【0032】 そして、取り出された脈拍成分Fmの中の最大の周波数成分を脈拍スペクトルとする。 次にMPU308は、抽出した脈拍スペクトルの周波数に基づいて、脈拍数を算出することとなる。続いてMPU308は、得られた脈拍数を睡眠期間中、順次蓄積する。 これらと並行して、生体情報解析装置1のMPU308は、体動センサ302の出力信号に基づいて測定対象者であるユーザが起床したか否かを判別する(ステップS3)。 すなわち、体動センサ302は、ユーザの動きを検出し、検出した体動信号を体動信号増幅回路304に出力し、体動信号増幅回路304は、体動信号を増幅し、体動波形整形回路307に出力し、体動波形整形回路307は、体動信号を整形し、MPU308に出力するので、MPU308は、ユーザの体動の大きさが起床状態に相当する所定の大きさ以上になったか否かを判別し、測定対象者であるユーザが起床したか否かを判別することとなる。 ステップS3の判別において、ユーザが未だ起床していない場合には(ステップS3;No)、再び処理をステップS2に移行し、脈拍数測定を継続する。 ステップS3の判別において、ユーザが起床した場合には(ステップS3;Yes)、MPU308は、脈拍数測定中に蓄積した脈拍数実測値データに基づいて、定法により6次の近似曲線を算出する(ステップS4)。 【0033】 つづいてMPU308は、睡眠状態および本日の体調判定を行う(ステップS5)。 具体的には、上述したように、脈拍数の推移状態に対応する近似曲線の極大値が睡眠中の最高脈拍であった場合には、睡眠状態が良くなかったものと判定する。 さらに、1日の睡眠中の脈拍数の時間的推移を近似曲線で近似した場合の近似曲線の極小値の最小値が所定のしきい値よりも低い場合には、体調良好であると判定し、近似曲線の極小値の最小値が所定のしきい値よりも高い場合には体調不良であると判定する。 次にMPU308は、睡眠状態および本日の体調判定の結果を、液晶表示装置13に表示して処理を終了する(ステップS6)。 【0034】 図14は、生体情報解析装置の表示例の説明図(体調良好と判別した場合)である。 図14に示すように、生体情報解析装置1のMPU308が、体調良好と判別した場合には、本日の体調を表す顔の図が笑顔になっており、対応する近似曲線の極小値の最小値に対応する脈拍数(図14では、脈拍数=64)が表示される。 また、図15は、生体情報解析装置の表示例の説明図(体調不良と判別した場合)である。 図15に示すように、生体情報解析装置1のMPU308が、体調不良と判別した場合には、本日の体調を表す顔の図が不満顔になっており、対応する近似曲線の極小値の最小値に対応する脈拍数(図14では、脈拍数=76)が表示される。 さらに、上述した図10に示すような状態、すなわち、脈拍数の推移状態に対応する近似曲線の極大値が睡眠中の最高脈拍であった場合には、生体情報解析装置1のMPU308は、睡眠状態が良くなかった旨を液晶表示装置に表示するとともに、対応する脈拍数を表示する。 【0035】 以上の説明では、就寝したか否かおよび起床したか否かを体動センサの出力に基づいてMPUが判別する構成を採っていたが、ユーザ自身が就寝時および起床時を入力装置を介して設定するように構成することも可能である。 以上の説明では、脈拍数測定において、体動成分の除去を高速フーリエ変換後に行っていたが、高速フーリエ変換前の原波形を用いて除去するように構成することも可能である。また、体動センサの出力した体動信号に適応フィルタ等を適用して、信号処理によって、脈拍センサの出力した脈拍信号から体動成分を除去するように構成することも可能である。 以上の説明では、脈拍数の時間的推移に対応する近似曲線において就寝時あるいは起床時の脈拍数よりも睡眠時の脈拍数の極大値の脈拍数が大きい場合に、睡眠状態に異常があったものと判断していたが、近似曲線における極大値近傍の傾きが所定の基準傾きよりも大きい場合に、睡眠状態に異常があったものと判断するようにしてもよい。 【0036】 以上の説明においては、生体情報として脈拍を用い、生体情報値として脈拍数を検出する場合について説明したが、生体情報として、血圧、体温あるいは呼吸を用い、対応する生体情報値として血圧値、体温値あるいは呼吸数を検出しても、同様に適用が可能である。さらに複数の生体情報を用い、対応する複数の生体情報値を検出して、総体的に睡眠状態を判断し、あるいは、睡眠後の体調を予測するように構成することも可能である。 以上の説明においては、生体情報解析装置を制御するための制御プログラムが予めROMに記憶されている場合について説明したが、各種磁気ディスク、光ディスク、メモリカードなどの記録媒体に制御用プログラムをあらかじめ記録し、これらの記録媒体から読み込み、インストールするように構成することも可能である。また、通信インターフェースを設け、インターネット、LANなどの通信ネットワークを介して制御用プログラムをダウンロードし、インストールして実行するように構成することも可能である。 【図面の簡単な説明】 【0037】 【図1】実施形態の生体情報解析装置の構成を示す説明図である。 【図2】生体情報解析装置の脈拍センサ近傍の断面図である。 【図3】生体情報解析装置の装置本体を、リストバンドやケーブルなどを外した状態で示す平面図である。 【図4】生体情報解析装置を腕時計における3時の方向からみた側面図である。 【図5】実施形態の脈拍センサの断面図である。 【図6】制御部近傍の概要構成ブロック図である。 【図7】まだ眠くなる前に就寝し、良好な睡眠が得られた場合に測定された睡眠中の脈拍数の時間的推移の一例である。 【図8】眠くなってから就寝し、良好な睡眠が得られた場合に測定された睡眠中の脈拍数の時間的推移の一例(その1)である。 【図9】眠くなってから就寝し、良好な睡眠が得られた場合に測定された睡眠中の脈拍数の時間的推移の一例(その2)である。 【図10】睡眠中に安眠を妨げることが発生し、良好な睡眠が得られなかった場合に測定された睡眠中の脈拍数の時間的推移の一例である。 【図11】睡眠時脈拍数の平均値の各週ごとの推移状態である。 【図12】睡眠時脈拍数の近似曲線における極小値の最小値の各週ごとの推移状態である。 【図13】生体情報解析装置の処理フローチャートである。 【図14】生体情報解析装置の表示例の説明図(体調良好と判別した場合)である。 【図15】生体情報解析装置の表示例の説明図(体調不良と判別した場合)である。 【符号の説明】 【0038】 1…生体情報解析装置、10…装置本体、12…リストバンド、13…液晶表示装置(表示部)、20…ケーブル、30…脈拍センサ(脈拍検出部)、31…LED、32…フォトトランジスタ、302…体動センサ(脈拍検出部)、303…脈波信号増幅回路(脈拍検出部)、304…体動信号増幅回路(脈拍検出部)、306…脈波波形整形回路(脈拍検出部)、307…体動波形整形回路(脈拍検出部)、308…MPU(解析部、脈拍検出部)、309…RAM、310…ROM (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 睡眠中の生体情報値を検出する生体情報検出部と、 前記睡眠中の前記生体情報値の時間的推移を曲線で近似させ、近似曲線の極大値の最大値が睡眠中の最高生体情報値であった場合、あるいは、近似曲線の極大値近傍の傾きが所定の基準傾きよりも大きい場合に睡眠状態が良くなかったものと判定し、近似曲線の極小値の最小値が所定のしきい値よりも低い場合には、体調良好であると判定し、近似曲線の極小値の最小値が所定のしきい値よりも高い場合には体調不良であると判定することによって、前記生体情報の時間的推移に基づいて睡眠状態を判断し、あるいは、睡眠後の体調を予測する解析部と、 睡眠状態の良否、体調良好、或いは体調不良の判定結果を表示する表示部と、 を備えたことを特徴とする生体情報解析装置。 【請求項2】 請求項1記載の生体情報解析装置において、 体動の大きさを検出する体動センサを備え、 前記解析部は、前記体動の大きさが就寝状態に相当する大きさ以下となった場合に、前記生体情報検出部に生体情報値を検出させて記憶し、検出された前記体動の大きさが起床状態に相当する大きさ以上となった場合に、前記睡眠中の前記生体情報値の時間的推移を曲線で近似させる、 ことを特徴とする生体情報解析装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2012-03-05 |
出願番号 | 特願2004-8116(P2004-8116) |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(A61B)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 森 竜介 |
特許庁審判長 |
岡田 孝博 |
特許庁審判官 |
小野寺 麻美子 後藤 時男 |
登録日 | 2011-10-28 |
登録番号 | 特許第4848616号(P4848616) |
発明の名称 | 生体情報解析装置 |
代理人 | 特許業務法人クシブチ国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人クシブチ国際特許事務所 |