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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1255414
審判番号 不服2010-14223  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-29 
確定日 2012-04-12 
事件の表示 特願2001-148897「携帯無線通信機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年11月29日出願公開、特開2002-344619〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成13年5月18日に特許出願したものであって、平成20年7月23日に手続補正がなされ、平成21年5月8日付けで拒絶理由通知がなされ、同年7月10日付けで手続補正がなされるとともに意見書が提出され、同年10月29日付けで拒絶理由通知がなされ、平成22年1月6日付けで手続補正がなされるとともに意見書が提出されたが、同年3月30日付けで補正却下がなされるとともに拒絶査定がされ、これに対して同年6月29日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定

[補正却下決定の結論]

平成22年6月29日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.本願発明と補正後の発明

上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の平成21年7月10日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「【請求項1】
無線送信部による無線送信を禁止する禁止モードを設定可能な携帯無線通信機であって、
ユーザがキー操作部を操作することにより、無線送信部の動作状態を禁止状態とする禁止モードが設定されると、当該禁止モードでは基地局装置に対して送信する制御信号などの無線送信が禁止され、
ユーザから発信操作を受け付ける発信操作受付手段と、
禁止モードが設定されている場合に発信操作を受け付けたことに応じて、禁止モードを解除して、無線送信部の動作状態を動作可能状態にし、当該発信操作に基づく無線送信を無線送信部により行う禁止モード解除無線送信制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯無線通信機。」
という発明(以下、「本願発明」という。)を、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「【請求項1】
無線送信部による無線送信を禁止する禁止モードを設定可能な携帯無線通信機であって、
ユーザがキー操作部を操作することにより、無線送信部の動作状態を無線通信の禁止状態とする禁止モードが設定されると、当該禁止モードでは基地局装置に対して送信する制御信号などの無線送信部による無線送信が禁止され、
ユーザから電話番号を入力して発信ボタンの押下を受け付ける発信操作受付手段と、
無線通信の禁止モードが設定されている場合に、電話番号を入力して発信ボタンの押下を受け付けたことに応じて、無線通信の禁止モードを解除して、無線送信部の動作状態を無線通信の動作可能状態にし、当該発信ボタンの押下に基づく無線送信による発信動作を無線送信部により行う禁止モード解除無線送信制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯無線通信機。」
という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。

2.新規事項の有無、補正の目的要件について

本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、
補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「無線送信部の動作状態を禁止状態とする禁止モード」、「無線送信」、「ユーザから発信操作を受け付ける発信操作受付手段」、「禁止モードが設定されている場合」、「発信操作を受け付けたことに応じ」、「禁止モードを解除し」、「動作可能状態」、「発信操作に基づく無線送信」に関し、
それぞれ、「無線送信部の動作状態を無線通信の禁止状態とする禁止モード」、「無線送信部による無線送信」、「ユーザから電話番号を入力して発信ボタンの押下を受け付ける発信操作受付手段」、「無線通信の禁止モードが設定されている場合」、「電話番号を入力して発信ボタンの押下を受け付けたことに応じ」、「無線通信の禁止モードを解除し」、「無線通信の動作可能状態」、「発信ボタンの押下に基づく無線送信による発信動作」という構成に限定することにより特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項(新規事項)及び平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定(補正の目的)に適合している。

3.独立特許要件について
上記本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。

(2)引用発明
A.原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-36456号公報(以下、「引用例1」という。)には、「移動無線装置及び移動無線装置の制御方法」として、図面とともに以下の記載がある。

イ.「【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。図1は本発明になる移動無線装置の一実施の形態のブロック図、図2は図1の動作説明用フローチャートを示す。図1に示すように、この実施の形態は、送信する信号を変調し更に高周波信号に変換してアンテナ11を介して図示しない例えば基地局へ無線送信し、基地局から無線送信された信号をアンテナ11を介して受信し、その受信信号を復調してベースバンド信号に変換する無線部12と、無線部12に対して電源を供給したり電源を遮断することにより無線部12を制御したり音声処理部14を制御する制御部13を有する。」(3頁4欄-4頁5欄)

ロ.「【0018】この実施の形態では、制御部13が電源部20から無線部12への電源を供給又は遮断する機能を有する。電源部20は電池などを使用でき、無線部12以外への各部へ、キー操作部18の電源キーのオン/オフにより電源を供給又は遮断する。
【0019】次に、この実施の形態の動作について、図2のフローチャートを併せ参照して説明する。電源がオフである状態において(ステップ21)、ユーザがキー操作部18の電源キーを押下(オン)すると(ステップ22)、電源部20から電源が制御部13、音声処理部14、記憶装置17、表示装置部19などに入力される待ち受け状態に遷移する(ステップ23)。この待ち受け状態では、制御部13は無線部12へ電源を供給しているので、無線部12は動作状態にある。
【0020】続いて、制御部13は記憶装置部17にメモリされている設定情報から、前回のときに無線部制御をオフにして電源キーがオフされたかどうか判定する(ステップ24)。無線部制御がオン(無線部12への電源供給モード)であったときには無線部制御オフの設定が、ユーザによりキー操作部18の所定のキー操作によりなされたかどうか監視する。
【0021】すなわち、ユーザが無線部制御オフ設定が必要な場所かどうか判断し(ステップ25)、無線部制御オフ設定が不要な場所であるときには、キー操作部18の所定のキー操作を行わず、引き続き電源オンの待ち受け状態を維持する(ステップ23)。しかし、前述したように、病院内、航空機の離着陸時等、移動無線装置から電波発信をすることが禁止されており、ユーザが無線部制御オフ設定が必要な場所と判断したときは、上記のキー操作部18の所定のキー操作をユーザが行うことにより、無線部制御オフの設定をする(ステップ26)。
【0022】上記のステップ26により無線部制御オフの設定がなされると、あるいはステップ24で無線制御部オフであると識別されたときは、制御部13は電源部20から無線部12への電源供給を遮断することにより、無線部12の動作を強制的に停止させる(ステップ27)。これにより、病院内、航空機の離着陸時等、移動無線装置から電波発信をすることが禁止されている場所では、無線部12を使用する送受信ができなくなる。」(4頁5-6欄)

上記イ.ロ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、

上記イ.における、「送信する信号を変調し更に高周波信号に変換してアンテナ11を介して図示しない例えば基地局へ無線送信し」の記載、また、図1の記載から、無線部によって、移動無線装置から基地局に対する無線送信が行われるものといえる。

また、上記ロ.の【0021】には「キー操作部18の所定のキー操作をユーザが行うことにより、無線部制御オフの設定をする」、また、【0022】には「無線部制御オフの設定がなされると(・・中略・・)電源部20から無線部12への電源供給を遮断することにより無線部12の動作を強制的に停止させる(・・中略・・)これにより(・・中略・・)無線部12を使用する送受信ができなくなる。」、と記載されている。
ここで、無線部制御オフの設定は、無線送信を禁止するためのものであるといえる。

したがって、引用例1には以下の発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されている。

「無線部による無線送信を禁止する無線部制御オフの設定を設定可能な移動無線装置であって、
ユーザがキー操作部を操作することにより、無線部の動作状態を無線通信の禁止状態とする無線部制御オフの設定が設定されると、当該無線部制御オフの設定では基地局に対して送信する無線部による無線送信が禁止される移動無線装置」


B.原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-308130号公報(以下、「引用例2」という。)には、「通信システム」として、図面とともに以下の記載がある。

ハ.「【0049】以上のモード監視処理を終了すると、CPU101は、図6のステップP2に移行し、ユーザーAによる入力部108におけるキー操作により発信指示が入力されたか否かを判別する。発信指示が入力されなければ、CPU101は、更に着信情報が通信制御部103から入力されたか否かを判別し(ステップP3)、着信情報の入力がなければ、ステップP1のモード監視処理に戻る。
【0050】発信指示が入力されると、CPU101は、ステップP4に移行して発信処理を実行する。この発信処理の詳細について図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0051】図8において、CPU101は、まず、RAM102内に記憶された動作モードが「使用制限モード」であり且つ発信要求内容が「データ通信モード」でないかを確認する(ステップP41)。動作モードが「使用制限モード」であっても、発信要求内容が「データ通信モード」である場合と、動作モードが通常モードである場合、CPU101は、ステップP46に移行して通常の発信動作を実行し、通信制御部103により発信要求された相手先電話に発呼させて通常の通話動作を実行する。
【0052】また、動作モードが「使用制限モード」に設定されていると共に発信要求内容が「データ通信モード」でない場合、CPU101は、RAM102に記憶された使用制限情報200の設定内容を読み出して(ステップP42)、発信制限(する/しない)208の設定を参照して、「発信制限する」に設定されているか否かを判別する(ステップP43)。
【0053】「発信制限しない」に設定されている場合、CPU101は、ステップP46に移行して通常の発信動作を実行し、通信制御部103により発信要求された相手先電話に発呼させて通常の通話動作を実行する。また、「発信制限する」に設定されている場合、CPU101は、RAM102に記憶された使用制限情報に設定された発信用メッセージ209に対応して設定された文字データあるいは音声データ210を読み出して、発信使用制限中であることを、表示制御部106により表示部107に表示させたり、あるいは音声入出力部110によりスピーカー111から音声出力して、ユーザーAに通知させる(ステップP44)。
【0054】例えば、移動中の電車に情報発信装置12が設置されていて、この電車内にユーザーAが乗車している場合は、発信用メッセージとして「ただ今、電車内です。発信は他のお客様の迷惑になるのでご遠慮下さい。」などを通知して、発信制限エリアであることをユーザーAに通知する。
【0055】次いで、CPU101は、ユーザーAによる入力部108におけるキー操作により使用制限の手動解除指示が入力されたか否かを確認し(ステップP45)、手動解除操作がなければ本発信処理を修了し、手動解除操作があれば発信動作の制限を解除して、通信制御部103により発信要求された相手先電話に発呼させて通常の通話動作を実行する(ステップP46)。」(6頁10欄-7頁11欄)

上記ハ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、
上記ハ.における、【0049】の「ユーザーAによる入力部108におけるキー操作により発信指示が入力されたか否かを判別する。」、また、【0052】の「発信制限(する/しない)208の設定を参照して、「発信制限する」に設定されているか否かを判別する(ステップP43)。」、そして、【0053】の「「発信制限する」に設定されている場合、(・・中略・・)発信使用制限中であることを、表示制御部106により表示部107に表示させたり、あるいは音声入出力部110によりスピーカー111から音声出力して、ユーザーAに通知させる(ステップP44)」との記載は、「発信制限が設定されている場合に、ユーザのキー操作による発信指示が入力された」ときの処理を表現したものといえる。
また、【0055】の「手動解除操作があれば発信動作の制限を解除して、通信制御部103により発信要求された相手先電話に発呼させて通常の通話動作を実行する(ステップP46)。」の記載から、引用例2記載の「通信システム」は、「発信制限を解除」する、「発信制限解除制御手段」を有するといえる。
そして、図8の発信処理を示すフローチャートも併せて参照すると、発信制限の解除は「発信指示が入力されたことに応じ」て行われているものといえる。

したがって、引用例2には以下の発明(以下、「引用例2発明」という。)が開示されている。

「発信制限が設定されている場合に、ユーザのキー操作による発信指示が入力されたことに応じて、発信制限を解除し、当該キー操作による発信指示に基づく発信動作を行う発信制限解除制御手段を有する通信システム」

(3)対比・判断

補正後の発明と引用例1発明とを対比する。

引用例1発明の「移動無線装置」は、通信に用いる送信電波が周囲に影響を及ぼすおそれのある場所で送信動作を禁止することのできる無線装置であり、また、引用例1の【0002】等の記載から携帯可能であるといえ、補正後の発明の「携帯無線通信機」に相当する。

引用例1発明の「無線部」は、送信動作を行うものであり、補正後の発明の「無線送信部」に相当する。

引用例1発明の「無線部制御オフの設定」は、送信動作を禁止する設定であり、補正後の発明の無線送信を禁止する「禁止モード」に相当する。

引用例1発明の「基地局」は、明らかに、補正後の発明の「基地局装置」に相当する。また、引用例1発明において、「基地局に対して送信する無線部による無線送信」に、「制御信号など」が含まれることは自明のことであるから、引用例1発明の、「基地局に対して送信する無線部による無線送信」は、補正後の発明の「基地局装置に対して送信する制御信号などの無線送信部による無線送信」に相当する。

したがって、補正後の発明と引用例1発明とは、

(一致点)

「無線送信部による無線送信を禁止する禁止モードを設定可能な携帯無線通信機であって、
ユーザがキー操作部を操作することにより、無線送信部の動作状態を無線通信の禁止状態とする禁止モードが設定されると、当該禁止モードでは基地局装置に対して送信する制御信号などの無線送信部による無線送信が禁止される携帯無線通信機。」

で一致し、相違点は次のとおりである。

相違点(1)
補正後の発明は、「ユーザから電話番号を入力して発信ボタンの押下を受け付ける発信操作受付手段」を備えるのに対し、引用例1発明は、発信操作について特定されていない点。

相違点(2)
補正後の発明は、「無線通信の禁止モードが設定されている場合に、電話番号を入力して発信ボタンの押下を受け付けたことに応じて、無線通信の禁止モードを解除して、無線送信部の動作状態を無線通信の動作可能状態にし、当該発信ボタンの押下に基づく無線送信による発信動作を無線送信部により行う禁止モード解除無線送信制御手段」を備えたものであるのに対し、引用例1発明は、禁止モードを解除する制御手段について記載されていない点。

(4)判断

まず、相違点(1)について検討する。

電話番号を入力して発信ボタンの押下を行うことは、携帯電話機における発信操作として、ごく普通に用いられていることであり、発信操作手段として、「ユーザから電話番号を入力して発信ボタンの押下を受け付ける発信操作受付手段」を備えることは、当業者が適宜採用可能なものである。

次に、相違点(2)について検討する。

引用例2発明の「発信制限」は、例えば病院など、使用する場所に応じて任意に設定された使用制限状態のひとつであり(引用例2の【0040】参照。)、発信が不可とされた使用制限状態である。
そして、「発信操作」を受け付けたことに応じて解除され、発信動作が可能となるものである。

一方、引用例1発明の「無線通信の禁止モード」は、使用する場所に応じて設定され、発信が不可とされた使用制限状態であるという点において引用例2発明の「発信制限」と共通するものであり、発信を行う際には使用制限状態の解除を行わなければならないという共通の課題を当然に有するものである。
使用制限状態の解除にあたり、引用例2発明の構成を用いることは、当業者が容易に想到可能なものと認められ、適用を阻害する要因も特に認められない。
そして、発信のための操作として、先に相違点(1)として検討した「ユーザから電話番号を入力して発信ボタンの押下を受け付ける発信操作受付手段」を採用することは、適宜なし得る事項である。
また、引用例1発明において、「無線通信の禁止モード」の「解除」を行う際には、「無線送信部の動作状態を無線通信の動作可能状態」に制御する「制御手段」を用いることは、自明のことと認められる。
したがって、引用1発明において、「無線通信の禁止モードが設定されている場合に、電話番号を入力して発信ボタンの押下を受け付けたことに応じて、無線通信の禁止モードを解除して、無線送信部の動作状態を無線通信の動作可能状態にし、当該発信ボタンの押下に基づく無線送信による発信動作を無線送信部により行う禁止モード解除無線送信制御手段」という構成を採用したことは、当業者が容易に想到し得たものである。
また、補正後の発明が全体として奏する効果についてみても、格別顕著なものとは認められない。

したがって、補正後の発明は、引用例1発明、引用例2発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.結語

以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合していない。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.補正却下の決定」の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明
引用発明は、上記「第2.補正却下の決定」における「3.独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明」及び「(3)対比・判断」の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明と引用例1発明とを対比するに、本願発明は上記補正後の発明から、当該補正に係る構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用例1発明、引用例2発明、及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いた本願発明も、同様の理由により、容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1,2に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-09 
結審通知日 2012-02-14 
審決日 2012-02-27 
出願番号 特願2001-148897(P2001-148897)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永井 啓司  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 神谷 健一
矢島 伸一
発明の名称 携帯無線通信機  
代理人 守山 辰雄  
代理人 松本 裕幸  

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