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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1255416
審判番号 不服2010-16085  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-16 
確定日 2012-04-12 
事件の表示 特願2004-351861「情報配送システム,情報配送サーバ,利用者端末および情報配送方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 6月22日出願公開、特開2006-163629〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成16年12月3日の出願であって、平成22年4月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成22年7月16日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同時に手続補正がなされ、平成23年10月12日付けで当審から拒絶理由が通知され、平成23年12月14日付けで手続補正がなされたものである。


第2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年12月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次の事項により特定されるものである。

「【請求項1】
外部で作成された電子データを、情報配送サーバから電子データ配送先の利用者端末にネットワークを介して送信可能な情報配送システムであって:
前記情報配送サーバは、
前記電子データに含まれる電子データの配送先情報と電子データの分割比率情報と前記分割比率情報に基づいた電子データの分割により得られる第1の分割データ及び第2の分割データの各々の通信手段である第1の通信手段及び第2の通信手段を定める電子データの配送方式情報とを抽出するデータ情報抽出部と;
前記データ抽出部により抽出された電子データの分割比率情報に基づいて、前記第1の分割データと、前記第2の分割データとに電子データを分割するデータ分割部と;
前記データ抽出部により抽出された電子データの配送方式情報に基づいて選択された前記第1の通信手段により、第1の分割データを前記配送先情報に応じた前記利用者端末に送信する第1送信部と;
前記データ情報抽出部により抽出された電子データの前記配送方式情報に基づいて選択された第1の通信手段とは異なる前記第2の通信手段により、第2の分割データを前記配送先情報に応じた前記利用者端末に送信する第2送信部と;を備え、
前記利用者端末は、
前記第1の分割データを前記第1の通信手段により受信する第1受信部と;
前記第2の分割データを前記第2の通信手段により受信する第2受信部と;
前記第1受信部により受信された前記第1の分割データと、前記第2受信部により受信された前記第2の分割データとを統合して電子データを復元するデータ復元部と;を備えることを特徴とする、情報配送システム。」


第3.引用発明
当審の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開2003-132229号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(a)段落番号【0026】-【0027】
「【0026】加盟店のサーバマシン10には、ユーザ会員のうち自店の顧客になった会員に係るデータを格納する顧客データベース11と、販売しようとする電子情報を格納する商品データベース12と、顧客から受けた注文に係るデータを格納する注文データベース13を備える。また、電子情報を電子割符化するためのプログラムからなる電子割符生成モジュール14を保有する。顧客データベース11は、顧客のID、パスワード、住所、氏名などを格納する。また商品データベース12には、商品のコンテンツ内容の他に、商品コード、商品名、価格などが格納される。さらに、注文データベース13には、注文番号、会員ID、販売商品合計価額、税・手数料などを加えた請求金額、商品コード、電子割符データ、割符統合用キーなどが格納される。
【0027】ユーザ会員のクライアントマシン20は、受け取った電子情報を格納するコンテンツデータベース21を備え、また電子割符を統合して元の電子情報に復元する電子割符統合モジュール22を備える。」

(b)段落番号【0034】
「【0034】ユーザ会員が、加盟店に電子情報を発注するときは、図6に示すような手順を踏むことになる。会員は、欲しい商品を販売する加盟店のウェッブから注文書フォームを取り寄せる。ユーザ会員が会員ID、パスワードなどの会員情報と購入する商品を特定する商品情報、および自ら指定する電子割符統合用の統合キーを注文書に書き込んで加盟店に送信する。」

(c)段落番号【0036】-【0039】
「【0036】商品の配送は、図7に示すような手順で行われる。加盟店側の注文処理ルーチンに入ると、商品データベース12から受注した電子情報を読み出して電子割符生成プログラムを作動させ、第1電子割符Aと第2電子割符Bを生成する。第1電子割符Aはメモリから配送センターのセンターマシン30に送信される。第1電子割符Aには、加盟店コード、商品コード、購入した会員のID、価格などの商品情報など必要な情報を含むヘッダーを付帯させる。
【0037】また、第2電子割符Bは注文データベース13内の割符ファイルに格納した上で購入した会員にEメールで送信する。第2電子割符Bにも必要な情報を含むヘッダーを付帯させる。一緒に送付する情報には、特に残りの第1電子割符Aを取り寄せるための照合コードと2つの電子割符を統合するために用いる統合コードが含まれている。割符ファイルに格納された電子割符は原本として決済が終了するまで残しておくことが好ましい。なお、会員は1度に複数の商品を注文することができるが、その場合にも電子割符の生成と送信は商品ごとに行うことが好ましい。
【0038】配送センターのセンターマシン30は、第1電子割符を受け取ると、注文主が管理しているシステムの会員であることを確認して割符データベース33に格納する。また依頼主が加盟店であることを確認し、寄託を受けた電子割符の情報および電子割符に対して処置した事項を履歴データベース35に記録する。第1電子割符Aは、会員からの送信依頼を受けるまで割符データベース33に保管されている。
【0039】商品を購入したユーザ会員は、加盟店サーバマシン10から受け取った第2電子割符Bをクライアントマシン20の割符ファイルに格納する。統合キーがないと電子割符を解凍できなくすれば、同時に本人確認を行うことができる。ユーザ会員は、さらに配送センターに照合コードを付して請求することにより第1電子割符Aをセンターマシン30から取り寄せて、電子割符統合プログラムにより元の電子情報を復元して、コンテンツデータベース21に格納する。なお、第1電子割符Aを受け取ったら直ちに統合処理を行うようにすれば、情報の漏洩や盗用の機会が減少するので、好ましい。」

したがって、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「加盟店のサーバマシン10とユーザ会員のクライアントマシン20及び配送センターのセンターマシン30を備えた電子情報配送システムであって、
加盟店のサーバマシン10には、ユーザ会員のうち自店の顧客になった会員に係るデータを格納する顧客データベース11と、販売しようとする電子情報を格納する商品データベース12と、顧客から受けた注文に係るデータを格納する注文データベース13を備え、また、電子情報を電子割符化するためのプログラムからなる電子割符生成モジュール14を保有し、注文データベース13には、注文番号、会員ID、販売商品合計価額、税・手数料などを加えた請求金額、商品コード、電子割符データ、割符統合用キーなどが格納され、
ユーザ会員のクライアントマシン20は、受け取った電子情報を格納するコンテンツデータベース21を備え、また電子割符を統合して元の電子情報に復元する電子割符統合モジュール22を備えており、
ユーザ会員が、加盟店に電子情報を発注するときは、会員は、欲しい商品を販売する加盟店のウェッブから注文書フォームを取り寄せ、ユーザ会員が会員ID、パスワードなどの会員情報と購入する商品を特定する商品情報、および自ら指定する電子割符統合用の統合キーを注文書に書き込んで加盟店に送信し、
加盟店側の注文処理ルーチンに入ると、商品データベース12から受注した電子情報を読み出して電子割符生成プログラムを作動させ、第1電子割符Aと第2電子割符Bを生成し、第1電子割符Aはメモリから配送センターのセンターマシン30に送信され、
また、第2電子割符Bは注文データベース13内の割符ファイルに格納した上で購入した会員にEメールで送信し、
配送センターのセンターマシン30は、第1電子割符を受け取ると、注文主が管理しているシステムの会員であることを確認して割符データベース33に格納する。また依頼主が加盟店であることを確認し、寄託を受けた電子割符の情報および電子割符に対して処置した事項を履歴データベース35に記録し、
商品を購入したユーザ会員は、加盟店サーバマシン10から受け取った第2電子割符Bをクライアントマシン20の割符ファイルに格納し、ユーザ会員は、さらに配送センターに照合コードを付して請求することにより第1電子割符Aをセンターマシン30から取り寄せて、電子割符統合プログラムにより元の電子情報を復元して、コンテンツデータベース21に格納する、
電子情報配送システム。」


第4.本願発明と引用発明の一致点・相違点

引用発明のユーザ会員が加盟店に発注する電子情報が、本願発明の「電子データ」に相当する。引用発明の加盟店のサーバマシン10、ユーザ会員のクライアントマシン20が、各々、本願発明の「情報配送サーバ」、「電子データ配送先の利用者端末」に相当する。
したがって、引用発明の電子情報配送システムは、本願発明の情報配送システムと、「電子データを、情報配送サーバから電子データ配送先の利用者端末にネットワークを介して送信可能な情報配送システム」である点で一致している。

引用発明では、電子割符生成プログラムを作動して、第1電子割符Aと第2電子割符Bを生成するから、引用発明の第1電子割符Aと第2電子割符Bが、各々、本願発明の第1の分割データ、第2の分割データに相当し、引用発明の電子割符生成モジュール14は、本願発明のデータ分割部と、「第1の分割データと、第2の分割データとに電子データを分割する」点で一致している。

引用発明では、第1電子割符Aはメモリから配送センターのセンターマシン30に送信されるが、ユーザ会員は、配送センターに照合コードを付して請求することにより第1電子割符Aをセンターマシン30から取り寄せる。したがって、第1電子割符Aは、配送センターのセンターマシン30を中継地点として、配送先であるユーザ会員のクライアントマシン20に送信されていると言える。
したがって、引用発明の加盟店のサーバマシン10は、「第1の通信手段により、第1の分割データを前記配送先情報に応じた前記利用者端末に送信する第1送信部」を備えていると言える。

引用発明では、第2電子割符Bを、購入した会員にEメールで送信している。したがって、引用発明の加盟店のサーバマシン10は、「第1の通信手段とは異なる第2の通信手段により、第2の分割データを前記配送先情報に応じた前記利用者端末に送信する第2送信部」を備えていると言える。

引用発明の商品を購入したユーザ会員は、加盟店サーバマシン10から受け取った第2電子割符Bをクライアントマシン20の割符ファイルに格納し、ユーザ会員は、さらに配送センターに照合コードを付して請求することにより第1電子割符Aをセンターマシン30から取り寄せて、電子割符統合プログラムにより元の電子情報を復元して、コンテンツデータベース21に格納するから、引用発明のクライアントマシン20が、本願発明の「前記第1の分割データを前記第1の通信手段により受信する第1受信部」と「前記第2の分割データを前記第2の通信手段により受信する第2受信部」を備えていることは明らかである。また、引用発明の電子割符統合プログラムが、本願発明の「前記第1受信部により受信された前記第1の分割データと、前記第2受信部により受信された前記第2の分割データとを統合して電子データを復元するデータ復元部」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明の一致点・相違点は、次のとおりである

[一致点]
「電子データを、情報配送サーバから電子データ配送先の利用者端末にネットワークを介して送信可能な情報配送システムであって:
前記情報配送サーバは、
第1の分割データと、第2の分割データとに電子データを分割するデータ分割部と;
第1の通信手段により、第1の分割データを配送先情報に応じた前記利用者端末に送信する第1送信部と;
第1の通信手段とは異なる第2の通信手段により、第2の分割データを配送先情報に応じた前記利用者端末に送信する第2送信部と;を備え、
前記利用者端末は、
前記第1の分割データを前記第1の通信手段により受信する第1受信部と;
前記第2の分割データを前記第2の通信手段により受信する第2受信部と;
前記第1受信部により受信された前記第1の分割データと、前記第2受信部により受信された前記第2の分割データとを統合して電子データを復元するデータ復元部と;を備えることを特徴とする、情報配送システム。」

[相違点1]
本願発明の電子データは外部で作成されたものであるのに対して、引用発明の電子情報が、加盟店のサーバマシン10の外部で作成されたものか否か不明な点。

[相違点2]
本願発明は「前記電子データに含まれる電子データの配送先情報と電子データの分割比率情報と前記分割比率情報に基づいた電子データの分割により得られる第1の分割データ及び第2の分割データの各々の通信手段である第1の通信手段及び第2の通信手段を定める電子データの配送方式情報とを抽出するデータ情報抽出部」を備えているのに対して、引用発明の加盟店のサーバマシン10が、そのようなデータ情報抽出部を備えているのか否か不明な点。

[相違点3]
本願発明のデータ分割部は、データ抽出部により抽出された電子データの分割比率情報に基づいて分割するのに対して、引用発明の電子割符生成モジュール14は、どのような情報に基づいて分割するのか否か不明な点。

[相違点4]
本願発明では、第1の通信手段と第2の通信手段は、前記データ情報抽出部により抽出された電子データの前記配送方式情報に基づいて選択されるのに対して、引用発明では、第1の通信手段はセンターマシン30に送信する手段であり、第2の通信手段はEメールである点。


第5.相違点についての検討

[相違点1について]
刊行物1の段落番号【0003】に「また、従来、音楽、ゲーム、コンピュータプログラム、データベース、設計図書など、電子情報を商品として取り引きするときには、」と記載されており、引用発明の商品の電子情報として想定されているものは、「音楽、ゲーム、コンピュータプログラム、データベース、設計図書など」であるから、これらの電子情報を加盟店のサーバマシン10の外部で作成することは、刊行物1における想定内である。

[相違点2-相違点4について]
引用発明は第1電子割符Aと第2電子割符Bとをユーザ会員のクライアントマシン20に送るものであるから、「配送先情報」が存在することは明らかである。しかし、その「配送先情報」を加盟店のサーバマシン10がどのように保持するかについては、種々の方法があることは、当業者にとって自明である。たとえば、商品データベース12に持つ方法、顧客データベース11に持つ方法、注文データベース13に持つ方法、データベースとは別にテーブルとして持つ方法、などが考えられることは自明である。それらの方法の中からどの方法を選択するかは、設計的事項に属すると認められる。商品データベース12に「配送先情報」を持たせた場合が、本願発明のように電子データの配送先情報を電子データから抽出する場合に相当する。

刊行物1の段落番号【0009】に「また、一方の電子割符は電子情報の極く一部を分配した場合でも、残りから元の電子情報を復元することが困難であるため、中継機関に寄託する電子割符の容量を小さくして中継機関の負荷を節減することが可能である。」と記載されているから、中継機関に寄託する電子割符の容量を、Eメールで送信される電子割符の容量より、相対的に小さくすることが開示されている。そうすると、中継機関に寄託する電子割符の容量を、Eメールで送信される電子割符の容量より、どのくらい小さくするのかという「分割比率情報」が存在することは明らかである。したがって、引用発明において、電子割符生成モジュール14が「分割比率情報」に基づいて分割することは、容易に想到できたことである。
この「分割比率情報」を加盟店のサーバマシン10がどのように保持するかについては、種々の方法があることは、当業者にとって自明である。たとえば、各種のデータベースに持つ方法、データベースとは別にテーブルとして持つ方法、電子割符生成プログラムに持たせる方法などが考えられることは自明である。それらの方法の中からどの方法を選択するかは、設計的事項に属すると認められる。商品データベース12に「分割比率情報」を持たせた場合が、本願発明のように分割比率情報を電子データから抽出する場合に相当する。

刊行物1の段落番号【0007】に「本発明によれば、売り手が生成した電子割符が異なる時刻に異なる経路を通って伝送される。したがって、売り手と買い手を繋ぐ通信路上に電子情報の全部が同時に存在することがないため、通信路中で電子情報が漏洩しても窃盗者がこれを活用することができないので電子情報は安全である。」と記載されている。
したがって、引用発明の電子情報が安全なのは、二つの電子割符が異なる時刻に異なる経路を通って伝送されるためであるから、異なる経路が引用発明の「中継期間経由、Eメール」以外であっても、電子情報が安全なことに変わりはない。そうすると、引用発明において、複数の異なる経路の中から、任意の2つの異なる経路を選択するようにすることは、当業者が容易に想到できたことである。この場合の「任意の2つの経路を選択する」ための情報は「配送方式情報」と呼ぶことができる。
この「配送方式情報」を加盟店のサーバマシン10がどのように保持するかについては、種々の方法があることは、当業者にとって自明である。たとえば、各種のデータベースに持つ方法、データベースとは別にテーブルとして持つ方法、電子割符生成プログラムに持たせる方法などが考えられることは自明である。それらの方法の中からどの方法を選択するかは、設計的事項に属すると認められる。商品データベース12に「配送方式情報」を持たせた場合が、本願発明のように配送方式情報を電子データから抽出する場合に相当する。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-07 
結審通知日 2012-02-14 
審決日 2012-02-27 
出願番号 特願2004-351861(P2004-351861)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須藤 竜也  
特許庁審判長 江口 能弘
特許庁審判官 近藤 聡
安島 智也
発明の名称 情報配送システム,情報配送サーバ,利用者端末および情報配送方法  
代理人 亀谷 美明  
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