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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C09K
管理番号 1255466
審判番号 不服2009-1619  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-01-19 
確定日 2012-04-11 
事件の表示 特願2003-507516「温度の迅速な視覚的評価のためのサーモクロミック・ポリマー」拒絶査定不服審判事件〔平成15年1月3日国際公開、WO03/01168、平成16年10月28日国内公表、特表2004-532929〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、2002年1月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2001年1月10日(US)米国)を国際出願日とする出願であって、平成20年3月14日付けの拒絶理由通知に対して、同年9月18日に意見書及び手続補正書が提出され、その後、同年10月9日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成21年1月19日に審判請求がされるとともに同日付けで手続補正書が提出され、平成23年2月21日付けの審尋に対して、同年9月1日に回答書が提出されたものである。

第2 平成21年1月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成21年1月19日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1 本件補正
平成21年1月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の請求項1である
「いつ物品が特定の温度に達するか、または特定の温度を超えるかを検出する方法であって、
下記の構造を有する化合物であって、

上式において、R_(1)?R_(6)=水素、アルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、トリアルキルシリル基、アシル基、エステル基、アミン基、アミド基、または、アリール基であり、
nは1と1000の間にあり、
mは0と1000の間にあり、そして
lは1と1000の間にある
化合物と、そして
担体媒質であって、媒質中に前記化合物が、組成物の合計重量に対して0.05から5.0重量%の量で存在し、前記化合物の構造が、前記組成物を物品と熱交換する関係に置いたとき、物品内で特定の温度に達しまたは特定の温度を超えると、前記組成物の色が変化するように設計されている担体媒質と
からなる組成物で物品の少なくとも一部分を処理するステップと、そして
いつ物品が特定の温度に達しているか、または特定の温度を超えているかを検出するステップと
を含む方法。」
を、
「いつ物品が特定の温度に到達するか、または特定の温度を超えるかを色の変化によって検出可能にする方法であって、その方法は、前記物品と熱交換する関係にあるサーモクロミック温度指示体組成物で前記物品の少なくとも一部分を処理するステップを含み、
前記サーモクロミック温度指示体組成物は、合計重量に対して0.05から5.0重量%の化合物と担体媒質とから構成されるポリマー系組成物であり、
前記化合物は下記の構造を有し、

上式において、置換基R_(1)?R_(6)=水素、アルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、トリアルキルシリル基、アシル基、エステル基、アミン基、アミド基、または、アリール基であり、
nは1と1000の間にあり、
mは0と1000の間にあり、そして
lは1と1000の間にある
そして、前記化合物の前記構造は、設計温度が-40℃から80℃の範囲にあるときであって、前記物品の温度が前記設計温度に到達するときに、または前記設計温度を超えるときに、プラスまたはマイナス10℃の範囲内で色の変化を表すように、前記置換基の選択によって設計される
ことを特徴とする方法。」
とする補正を含んでいる(審決注:補正箇所に下線を付した。)。

2 補正の適否

(1)補正の目的の適否

ア まず、補正前の請求項1の発明における、
「下記の構造を有する化合物であって、

上式において、R_(1)?R_(6)=水素、アルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、トリアルキルシリル基、アシル基、エステル基、アミン基、アミド基、または、アリール基であり、
nは1と1000の間にあり、
mは0と1000の間にあり、そして
lは1と1000の間にある
化合物と、そして
担体媒質であって、媒質中に前記化合物が、組成物の合計重量に対して0.05から5.0重量%の量で存在し、前記化合物の構造が、前記組成物を物品と熱交換する関係に置いたとき、物品内で特定の温度に達しまたは特定の温度を超えると、前記組成物の色が変化するように設計されている担体媒質と
からなる組成物で物品の少なくとも一部分を処理するステップ」
の記載の意味を検討する。
平成20年9月18日付け及び平成21年1月19日付け手続補正により補正された明細書(以下、「本願補正明細書」という。発明の詳細な説明は補正されていない。)を参照すると、
段落【0005】?【0008】には、「本発明は、特定の設計温度で色を変化させる感知システムであって、ポリチオフェンの色変化特性を利用するものである。
ポリチオフェンは、一般に、次式の構造のものである。

上式において、R_(1)?R_(6)=水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のチオアルキル基、置換もしくは非置換のトリアルキルシリル基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もしくは非置換のエステル基、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換のアミド基、置換もしくは非置換のヘテロアリル、または、置換もしくは非置換のアリール基であり、
nは1と1000の間にあり、
mは0と1000の間にあり、
lは1と1000の間にある」と記載され(以下、式Iの構造の化合物を「化合物I」又は単に「ポリチオフェン」という。)、
段落【0009】には、「合成されたポリチオフェンを、担体系または液体媒質と混合する。使用する個々のポリチオフェンに応じて、担体系は水性または有機性とすることができる」と記載され、
段落【0010】には、「担体系中で使用する場合に、約38°F(3℃)で色が変化し、それより低い温度でその変化した色保つポリチオフェンを合成し、その担体系を、温度を監視しようとするトレイ(物品)と伝熱関係に置く」及び「約180°Fで色が変化するポリチオフェンを合成する。ポリチオフェンを担体系中に混合し、その担体系を、ホットトレイの少なくとも一部分に塗装するなどによって、熱交換関係に置く」と記載され、
段落【0011】には、「好ましい実施態様においては、系の合計重量に対して0.05から5.0重量%・・・の量のポリチオフェンを有機溶媒と混合する」と記載され、
段落【0015】には、「ポリチオフェンの色変化の温度(以下サーモクロミック遷移と称する)、ならびに、高温色および低温色は、ポリチオフェンの化学修飾によって調整することができる」と記載されている。
これらの記載からみて、上記の、化合物Iの特定量と担体物質からなる組成物で物品の少なくとも一部分を処理するステップの技術的意味は、この組成物で物品を処理することにより、ポリチオフェンの色変化特性に基づき、次の、「いつ物品が特定の温度に達しているか、または特定の温度を超えているかを検出するステップ」における検出が可能になるように、物品を処理することであると認められる。
そうすると、補正前の請求項1の発明において、「担体媒質であって、媒質中に前記化合物が、組成物の合計重量に対して0.05から5.0重量%の量で存在し、前記化合物の構造が、前記組成物を物品と熱交換する関係に置いたとき、物品内で特定の温度に達しまたは特定の温度を超えると、前記組成物の色が変化するように設計されている担体媒質」との記載の意味は、担体物質に何らかの「設計」がされているとの意味ではなく、化合物Iの特定量とその担体物質からなる組成物で物品を処理すると特定の温度に達し又は特定の温度を超えると色が変化するように、組成物が「設計」されている、言い換えれば、組成物中の化合物Iの構造が「設計」されているとの意味であると認められる。

イ そこで、本件補正について検討する。
上記アによれば、請求項1についての補正は、化合物1の構造について、補正前の請求項1の発明において「物品内で特定の温度に達しまたは特定の温度を超えると、前記組成物の色が変化するように設計されている」ものであったのを、補正後の請求項1の発明においては、「設計温度が-40℃から80℃の範囲にあるときであって、前記物品の温度が前記設計温度に到達するときに、または前記設計温度を超えるときに、プラスまたはマイナス10℃の範囲内で色の変化を表すように、前記置換基の選択によって設計される」ものに補正しようとする補正事項を含むものといえる。
上記アで検討したとおり、化合物Iの特定量と担体物質からなる組成物によりもたらされる色の変化は、化合物I(ポリチオフェン)の色変化特性に基づくものであり、また、上記アで参照したとおり、本願補正明細書の段落【0015】には、「ポリチオフェンの色変化の温度(以下サーモクロミック遷移と称する)、ならびに、高温色および低温色は、ポリチオフェンの化学修飾によって調整することができる」と記載されるほか、
段落【0016】には、「位置無作為性(R_(1)=アルキル、R_(4)=アルキル、n≒0.8、m≒0.2、l=40?80、R_(2)、R_(3)、R_(5)、R_(6)=H)ポリ(3-n-アルキルチオフェン)」及び「位置規則性(R_(1)=アルキル、n=40?80、m=0、R_(2)、R_(5)、R_(6)=H)ポリ(3-n-アルキルチオフェン)」について、「位置無作為性ポリマーでは、n-ヘキサデシルなどのより長い置換基が、n-オクチルなどのより短鎖の置換基(130℃)よりもサーモクロミック遷移温度(81℃)が低い」及び「位置規則性ポリマーは、位置規則性ポリマーよりもサーモクロミック遷移点が高いが、鎖長との間で同じ逆相関が観察される。n-ヘキサデシル、およびn-オクチルは、125および175℃前後に中心があるサーモクロミック遷移点を有する」と記載され、
段落【0019】には、図1のフィルムについて、「R_(1)およびR_(4)が-(CH_(2))_(17)CH_(3) であり、R_(2)、R_(3)、R_(5)、およびR_(6) がHであり、nが0.8であり、mが0.2であり、lが40と80の間にあるポリチオフェンからなる。フィルムは、約60℃で、色を変化させる」と記載され、
段落【0021】には、図3について、「R_(1)=R_(4)=-(CH_(2))_(17)CH_(3)、R_(2)=R_(3)=R_(5)=R_(6)=Hであるポリチオフェンにおける色遷移の転移点は、約62℃で生じるが、R_(1)=R_(4)=-(CH_(2))_(15)CH_(3)、R_(2)=R_(3)=R_(5)=R_(6)=Hであるポリチオフェンにおける色遷移の転移点は、約81℃で生じている」と記載されている。
これらの記載を参照すると、上記補正は、補正前の請求項1の発明において、組成物によりもたらされる色の変化が起こる温度について単に「物品内で特定の温度に達しまたは特定の温度を超えると、前記組成物の色が変化する」とされ、補正前の請求項1に係る発明においては、色の変化が起こる温度範囲が限定されず、130℃や175℃で色変化するものも包含していたものを、補正後の請求項1の発明においては、「設計温度が-40℃から80℃の範囲にあるときであって、前記物品の温度が前記設計温度に到達するときに、または前記設計温度を超えるときに、プラスまたはマイナス10℃の範囲内で色の変化を表す」として色の変化が起こる温度を限定するとともに、その設計温度が「置換基の選択によって設計される」ものであると限定しようとする補正を含むものである。そして、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。

(2)そこで、上記補正後の請求項1に記載された特許を受けようとする発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて、以下に検討する。

ア 刊行物
刊行物1:米国特許第4156365号明細書(原審における引用文献2)
刊行物2:特開平4-168188号公報(原審における引用文献5)
刊行物3:特開平2-59631号公報(原審における引用文献7)
刊行物4:特開平1-171884号公報(原審における引用文献8)

イ 刊行物の記載事項

(ア)刊行物1
(1a)「1.安全な食物温度を感知する器具であって、
食物を保持する非金属の容器と、
該容器の上に使用者から見える位置に設けられたサーモクロミック塗料の層であり、食物の変質、食物中の微生物の成長、及び器具に盛られた食物が消費者の組織を障害することが起こりそうな温度水準の表示を提供するように、60-70℃の選択された温度領域で2回色を変え、その色の変化が再び冷却により逆方向に起こるように選択されている、サーモクロミック塗料の層と、
を含む器具。
2.サーモクロミック塗料の層が、器具の外表面上の薄い塗膜である、請求項1の安全な食物温度を感知する器具。
3.サーモクロミック塗料の層が、はっきりしたデザイン形態を有し、予め選択した温度水準より低いときは別の背景デザイン形態から際だってはっきり見え、その水準より高いときは境界が見分けられなくなる、請求項1の安全な食物温度を感知する器具。
4.サーモクロミック層が、サーモクロミック物質の一連のドットを含み、さらに
上記サーモクロミック物質の一連のドットと並列する、対応する異なる参照色の一連のドットであり、使用者が、サーモクロミック物質のドットと参照色のドットとの間の色の一致に注意して器具の温度を見分けることができるようにする一連のドットと、
個々の参照ドットの横に、それぞれの参照色により表される温度を表示するしるしと、
を含む、請求項1の安全な食物温度を感知する器具。」(4欄14?47行、クレームの請求項1?5)
(1b)「発明の背景
この発明は、食物を入れる容器及び他の器具に関し、簡単で経済的な食物温度表示手段であって、そのような器具に入れられている食物を分配したり消費する前に限定的な安全な状態にあることを観察できる手段を、提供することに特徴がある。
食物の給仕者や消費者に、食物(飲物も含む)が消費に最適であることを知らせるために、予め決められた臨界的な上限及び下限温度における劇的な色変化により食物の過熱や加熱不足を知らせることは、この発明の重要な目的である。
信頼できる、繰返し使えるサインを提供することも、この発明の目的である。
高度に可視的で、見間違えないサインを提供することも、この発明の目的である。
任意の位置における温度を示すとともに、温度分布を示すことも、この発明の目的である。」(1欄9?31行)
(1c)「発明の要約
この発明に従って、食物容器の外面、又は食物容器の壁の中であって透明な外層のすぐ下に、温度を表示するために、サーモクロミック塗料により、単一のドット、ドットの列、線又は他のパターンが設けられる。サーモクロミック塗料は、例えばフリットのテープのような、容器の壁の製造の材料に混ぜられる他の塗膜の形態でもよい。この発明の利益を受ける食物容器は、金属、ガラス、陶器、プラスチック又は紙製の、トレイ、皿、カップ、グラス、マグ、スプーン、レードル、ポット、なべを含む。サーモクロミック標識は、予め選んだ温度水準以上において、背景の参照用デザインと境界が見分けられなくなり、その水準より下でははっきり見分けられるのでもよいし、その逆でもよい。
一般に、サーモクロミック塗料の活性化に選ばれる温度範囲は、60℃と70℃の間であり、以下に示す条件を反映して少なくとも5℃の範囲に亘って徐々に色遷移する。
医学文献には、舌、唇、のど、消化管の組織がやけどし、粘膜の蛋白質が変性することで、ある種の発癌の条件が増悪するだろうことが示唆されている。そのような蛋白質が曝される最大温度が60-65℃の範囲であると、変性は、ほとんど可逆である。しかし、70℃より高い温度だと、変性は、本質的に不可逆である。そのような高温に慢性的に曝されると、組織に症状が現れ、ときには悪性になる。色変化の選択された下限は、特に食物を食卓に出す容器に関連して、50℃以上の温度では、微生物があまり育たないという条件を反映している。ただ、50℃より高い温度でも育ち毒素を出す、Clostridium perfrigens等の、ある種の胞子を作るバクテリアのような例外はある。食物の温度が、蛋白質の変性が起こる60℃以上に上がると、胞子形成が止まり、毒素が生産されなくなる。
この発明のサーモクロミック層で被覆された薄い壁のプラスチックのカップのようなものは、この分野で長い間の要望に応える実用的な電子レンジ温度センサーを提供することも見出された。
プラスチックのカップのようなものは、電子レンジのマイクロ波エネルギー源と、食物や金属容器(磁器の被覆を有するか有さない)ほどには相互作用しない。それゆえ、この発明のサーモクロミック層で被覆された薄い壁のプラスチックのカップのようなものは、電子レンジ中で、実質的に食物温度の変化のみに応答して、上記したサーモクロミック効果をサーモクロミック層中に生じさせるのに使うことができる。電子レンジの分野の実用的なセンサーに対するこの長い間の要望は、このようにして適えられる。」(1欄35行?2欄26行)
(1d)「図面の簡単な説明
図1及び2は、この発明の好適な具体例に従い被覆されたカップの側面図であり、それぞれ、低温及び高温での色変化を示す;
図3は、図1-2のカップの断面図である;
図4は、この発明の好適な具体例に従い標識が付けられた、食物を食卓に出す皿の側面図である;そして
図5は、この発明の他の具体例に従うカップの斜視図であり、温度に敏感な色を持つ複数のドットの列の色を、異なる温度に対応する固定した色を表す複数のドットと比べることにより、温度を表示する。」(2欄31?45行)
(1e)「図1は、カップ10を示し、その中に高さ12の液体を有し、側面に、それぞれ下限及び上限の範囲を明示する標識16及び18の間にストライプ14で標識がされている。標識16は赤であり、標識18は黒であり、ストライプ14は、低温では、その色が実質的に標識16の色と同じであり、図2のカップの下方の部分に示されるように生理学的に安全な範囲の上限を超える高温では、参照標識18とほぼ同じ色に変化する。図3は、カップの断面図であり、ストライプ14が透明な被覆19で覆われていることを示す。このストライプ14に、室温で透明であるが生理学的に安全な領域の下限以上になったことを参照標識16の色に変化することによって示す追加のストライプ(図示していない)を付けてもよい。
好ましくは、サーモクロミック塗料は55-65℃において特徴的な本来の明るい赤色を有するが、70℃に近づくと栗色からほとんど黒に変化し、そのような温度より上では濃い黒になり、温度が下がると逆の色変化をする。例えば、このような応答は、米国ニュージャージー州・・・のBig Three Industiries Inc. のChromonitor銘柄の塗料や、西ドイツのFaber Costell Co. のThermocolor銘柄の塗料で得られる。被覆は液体の形態であってよく、ブラシで塗るか噴霧するか、テープとして、又はワックスとして、又はカップに接着する他の固体として適用できる。透明な合成樹脂の被覆をその塗料の上に適用できる。サーモクロミック標識を器具の壁の中に埋め込むこの手段又は他の手段は、標識を摩擦や他の物理的ダメージから保護する。1971年2月9日に付与された米国特許3,561,269号も、この発明の教示に従い食物温度をモニターするためにより高い遷移温度に変更できるサーモクロミック塗料への道筋を提供する。
サーモクロミック層は、単一のドット、ドットの列、線又は容器の周囲の温度分布を示す他のパターンであってよく、そして、装飾的なパターンや容器内の食物が安全な状態か安全でない状態かを示す英数字と関連付けてもよい。」(2欄49行?3欄23行)
(1f)「図4は、金属又は陶器の食物を食卓に出す容器20を示し、上部の折り返されたフランジ22、ハンドル24、サーモクロミックな標識の複数のドット26の列を有し、また、低温及び高温の参照標識28及び30をを有している。様々な色の複数のドット26は、容器20内の食物の温度分布に応じ、参照標識28及び30と色が近いであろう。全面にわたって温度をモニターすることは、使用者に、食物の全部が望ましい温度範囲あるように見えるまで食物の加熱や冷却の状態を調節するように、注意を与える。色変化が可逆であるので、容器の内容物を空にし冷却した後、容器を再使用することができる。
上に述べたこの発明の様々な具体例と矛盾することなく、器具の壁には、サーモクロミック標識を受け入れる浅い窪みが設けられてもよい。」(3欄24?39行)
(1g)「図5を参照すると、この発明に含まれる他の態様が示され、サーモクロミック物質の一連のドットと、色変化しない異なる参照色の一連のドットとが並列し、サーモクロミックなドットの色が参照のためのドットの色と一致するときに、食物の温度を表示するようになっている。例えば、2℃間隔での色を表し、その色はそれら特定の温度におけるサーモクロミックな色に対応する、参照のための複数のドットもまた、サーモクロミックな複数のドットの横に印刷されている。」(3欄40行?4欄2行)
(1h)図1、図2及び図3

(1i)図4

(1j)図5


(イ)刊行物2
(2a)「下記一般式(I)

(式中、Rは炭素数4以上のアルキル基、n=5?400を示す)で表わされ、かつ該アルキル基が異なる少くとも2種類のポリ(3-アルキルチオフェン)から構成されることを特徴とする高分子示温材料。」(特許請求の範囲)
(2b)「(従来の技術)
従来の示温材料は金属錯塩結晶、液晶、あるいは電子供与性呈色性有機化合物とフェノール性水酸基との呈色反応などある温度のみで色変化を起こすため、連続的な温度変化を観測するためには変色温度の異なる複数の材料を使用しなけらばならなかった。
また、変色温度を自由に選ぶことは困難で、その物質自体の性質に依存していた。即ち、必要とする変色温度を持った物質を求める場合、これまでに合成された物質より選択するか、あるいは、これから合成されるのを使用する以外に方法が無いのが実状であった。
更に、これら材料は示温材料として使用するのに当たって、何らかの支持体に担持させたり、ガラス管等に封入する必要がある等の問題点を有している。
上記の問題点は、これらの材料を示温材料として利用する上で大きな制約となっており、用途開発の大きな障害となっていた。」(1頁左下欄17行?右下欄17行)
(2c)「(発明が解決しようとする課題)
本発明は、上述したような問題点を解消するためになされたもので、全く新しいタイプの示温材料を提供しようとするものである。即ち、本発明の目的は、複数の異種の材料を選択使用することなく単一の材料で変色温度が室温付近から高温度域までの実用上必要な広域温度範囲の示温が可能で、かつ連続的な温度変化を観測できる示温材料を提供することにある。又本発明の他の目的は、それ自体でフィルム化等の加工が容易にできる高分子示温材料を提供することにある。」(1頁右下欄18行?2頁左上欄8行)
(2d)「本発明で使用する上記一般式(I)のポリ(3-アルキルチオフェン)は、3-アルキルチオフェンの化学的酸化重合、或いは電気化学的酸化重合、または2,5-ジハロゲン化-3-アルキルチオフェンの金属または有機金属錯体による脱ハロゲン化等の方法によって得ることができる。」(2頁右上欄5?10行)
(2e)「本発明でいう3-アルキルチオフェンの炭素数4以上のアルキル基としては、例えばn-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-ヘキサデシル、n-エイコシル、n-ドコシル等が挙げられ、必要とする変色開始温度、終了温度および変色温度範囲によって適宜これらのアルキル基を選択すればよい。」(2頁右上欄11?18行)
(2f)「こうして得られた本発明のポリ(3-アルキルチオフェン)を使って、本発明のアルキル基の異なる少なくとも2種類のポリ(3-アルキルチオフェン)を構成する方法としては、溶液状態で混合する方法、固体粉末を溶融混練する方法、又はそれぞれのポリ(3-アルキルチオフェン)単体フィルムを層状に積層する方法などがある。本発明の高分子示温材料は変色開始温度より低温側では赤色を呈しており、変色領域で橙色、変色終了温度以上で黄色を呈する。これにより、連続的に温度変化を観測することができる。
また、本発明のポリ(3-アルキルチオフェン)の混合ポリマー自体は溶媒に可溶でキャスト膜を形成することが可能であり、あるいは熱可塑性であるため溶融後成形することもできる。更に、これらのキャスト成形した膜は光の透過性もあり、ディスプレイへの応用も可能である。また、該混合ポリマーの溶液自体も温度変化によって同様の変色を示すため、溶液状態で使用することもできる。」(3頁左上欄10行?右上欄9行)
(2g)「実施例1
ポリ(3-n-ペンチルチオフェン)1gとポリ(3-n-ドデシルチオフェン)1gをクロロホルム20mlに溶解混合し、ガラス基板上にキャストしフィルムを得た。
実施例2
ポリ(3-n-ペンチルチオフェン)1gとポリ(3-n-ドデシルチオフェン)0.5gをクロロホルム20mlに溶解混合し、ガラス基板上にキャストしフィルムを得た。
実施例3
ポリ(3-n-ペンチルチオフェン)0.5gとポリ(3-n-ドデシルチオフェン)1gをクロロホルム20mlに溶解混合し、ガラス基板上にキャストしフィルムを得た。
実施例4
ポリ(3-n-ペンチルチオフェン)1gとポリ(3-n-オクチルチオフェン)1gをクロロホルム20mlに溶解混合し、ガラス基板上にキャストしフィルムを得た。
実施例5
ポリ(3-n-ペンチルチオフェン)1gとポリ(3-n-ドコシルチオフェン)1gをクロロホルム20mlに溶解混合し、ガラス基板上にキャストしフィルムを得た。
実施例6
ポリ(3-n-へキシルチオフェン)1gとポリ(3-n-ドデシルチオフェン)1gをクロロホルム20mlに溶解混合し、ガラス基板上にキャストしフィルムを得た。
実施例7
ポリ(3-n-オクチルチオフェン)1gとポリ(3-n-ドデシルチオフェン)1gをクロロホルム20ml溶解混合し、ガラス基板上にキャストしフィルムを得た。
実施例8
ポリ(3-n-ブチルチオフェン)1gとポリ(3-n-ドデシルチオフェン)1gをクロロホルム20mlに溶解混合し、ガラス基板上にキャストしフィルムを得た。
実施例9
ポリ(3-n-ブチルチオフェン)1gとポリ(3-n-ドデシルチオフェン)1gとポリ(3-n-ドコシルチオフェン)1gをクロロホルム20mlに溶解混合し、ガラス基板上にキャストしフィルムを得た。
上記により得られたそれぞれのフィルムについて、該フィルムをヒータープレート上で10℃/分の速度で昇温および/又は降温して、該フィルムの変色温度を観察し、本発明の高分子示温材料としての示温特性を評価し、表-1の結果を得た。なお、表-1には、変色状態が左から右へ移行する昇温の場合について示したもので、降温の場合は右から左へ移行する。」(3頁左下欄14行?4頁右上欄7行)
(2h)「

」(4頁左下欄)
(2i)「表-1の結果から、明らかなとおり、本発明の示温材料は、変色温度領域が広く、かつ、置換アルキル基を適宜選択することによって変色温度領域をコントロールできる点で優れた効果が得られることを確認した。」(4頁右下欄1?5行)
(2j)「(発明の効果)
本発明の高分子示温材料は、変色温度範囲を自由に制御でき、かつ連続的に変色温度が観測でき、またフィルム成形など加工性に優れているため各種工業における温度検知、化学反応等における温度上昇下降の監視、危険物容器または貯蔵所における温度指示による災害防止、電気回路及び電気機器の過負荷による発熱の早期発見用温度標識、風呂の温度標識、表示装置、広告紙、教材、玩具等が考えられ非常に有用である。」(4頁右下欄6?15行)

(ウ)刊行物3
(3a)「主として共役結合を主鎖に有する高分子化合物のサーモクロミズムを利用して温度を検知する装置において、該高分子化合物を、必要によりマトリックス化合物と混合して、耐熱性支持体で支持した構造であって、該耐熱性支持体の少なくとも一部が透明性を有している温度インジケータ。」(特許請求の範囲)
(3b)「本発明で使用する耐熱性支持体としてはガラスやセラミクス、金属、耐熱性プラスチックなどが挙げられる。」(2頁右下欄8?10行)
(3c)「またこの薄膜等は上記複素5員環式化合物重合体とマトリックス化合物との複合体であってもよい。ここでマトリックス化合物としては上記複素5員環式化合物重合体の分散、溶解等が可能で薄膜等の形状を保持できるものであればよく、マトリックス化合物としてはポリスチレンやポリメチルメタクリレートの如き種々の高分子化合物や、水ガラスのような無機化合物等のうち、本素子の吸収スペクトルや反射スペクトルの変化が分かり易いようにできるだけ透明性の良好な化合物が用いられる。又、本発明の上記重合体とマトリックス化合物との複合体をつくるには両者を溶媒に溶解し、混合したのち、脱溶媒して所定の形状とするのが望ましい。」(2頁右下欄16行?3頁左上欄9行)
(3d)「実施例1
複素5員環式化合物重合体として、3-ドデシルチオフェンをクロロホルム中で三塩化鉄を触媒として重合したポリ(3-ドデシルチオフェン)を用い、それを塩化メチレンに溶かした溶液をガラス板上にキャスティングして乾燥させてからさらにその上にガラス板を乗せて第1図に示したような素子とした。素子の吸収スペクトルの温度依存性を調べたところ第5図に示したように変化した。すなわちこの素子は室温では赤色を示しているが温度を上げていくと約70°Cで橙色となり100°C以上では黄色になるため眼で見て温度の変化が容易に分かる。」(3頁左上欄16行?右上欄8行)
(3e)「実施例5
複素5員環式化合物重合体として、3-ドコシルチオフェンをクロロホルム中で、三塩化鉄を触媒として重合したポリ(3-ドコシルチオフェン)を用いて、それをクロロホルムに溶かした溶液をナイロンフィルム上にキャスティングして乾燥させてからさらにその上にナイロンフィルムを張り合わして素子とした。この素子は室温では赤色を示しているが温度を上げていくと約50℃で橙色となり80℃以上では黄色になった。この素子は支持体が透明なナイロンフィルムであり、非常にフレキシブルで柔軟性に富んでいるので取り扱いやすい。」(3頁左下欄18行?右下欄10行)
(3f)「

」(4頁下欄)

(3g)「

」(5頁左上欄)

(エ)刊行物4
(4a)「下記一般式(I)で表わされる複素5員環式化合物の重合体又は該重合体とマトリックス化合物との複合体よりなる薄膜の光吸収スペクトルまたは光反射スペクトルが加熱及び/または光照射することにより変化する光機能性素子。

(式(I)中、R^(1)、R^(2) は水素原子、アルカリ金属原子または炭化水素残基、Z^(1)、Z^(2) は二重結合、三重結合、ヘテロ原子またはヘテロ原子を含む原子団、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、イミノ基、アルキルイミノ基又はアリールイミノ基を示す。k、L、m、nは0を含む正の整数である。」(特許請求の範囲)
(4b)「また、この薄膜は上記複素5員環式化合物重合体とマトリックス化合物との複合体であってもよい。ここでマトリックス化合物としては上記複素5員環式化合物重合体を分散、溶解等が可能で薄膜の形状を保持できるものであればよく、種々の高分子化合物や、水ガラスのような無機化合物等のうち、本素子の吸収スペクトルや反射スペクトルの変化が分かり易いように、できるだけ透明性の良好な化合物が用いられる。」(3頁左上欄下から2行?右上欄7行)
(4c)「本発明の光機能性素子の基本的構造は、複素5員環式化合物重合体単体または該重合体とマトリックス化合物との複合体よりなる膜から成るものであり、非常に構造が単純であるので製造も容易であり安価に提供することが可能である。膜の光吸収スペクトルを利用する場合は光が透過できる程度の薄膜にすれば良く、その場合は、基板等の支持材の上に形成される。」(3頁右上欄10?17行)
(4d)「実施例1
複素5員環式化合物重合体として、3-デシルチオフェンをクロロフォルム中で三塩化鉄を触媒として重合したポリ(3-デシルチオフェン)を用いて、それを塩化メチレンに溶かした溶液と別に用意したポリスチレンを塩化メチレンに溶かした溶液とを混合してから、ガラス板上にキャスティングして乾燥させて素子とした。ポリ(3-デシルチオフェン)とポリスチレンの混合割合を変えて、ポリ(3-デシルチオフェン)がそれぞれ重量比で8%(厚さ1μ)、4%(厚さ4μ)、2%(厚さ23μ)含まれている素子の吸収スペクトルの温度依存性を調べたところ第1図、第2図、第3図に示したように変化した。すなわちこれらの素子はいずれも室温では赤色を示しているが温度を上げていくと橙色から黄色になる。」(3頁左下欄1?16行)
(4e)「実施例4
実施例1において複素5員環式化合物重合体として、ポリ(3-デシルチオフェン)の代わりにポリ(3-ペンチルチオフェン)(10%、厚さ1μ)を用いて実施例1と同様の素子を作成した。この素子の吸収スペクトルの温度依存性は第4図に示したように実施例1の時と同様であり、すなわち室温では赤色を示しているが温度を上げていくと橙色から黄色になる。」(3頁右下欄9?17行)
(4f)「

」(4頁右下欄)
(4g)「

」(5頁左上欄)
(4h)「

」(5頁右上欄)
(4i)「

」(5頁下欄)

ウ 刊行物に記載された発明
刊行物の請求項1には、
「安全な食物温度を感知する器具であって、
食物を保持する非金属の容器と、
該容器の上に使用者から見える位置に設けられたサーモクロミック塗料の層であり、食物の変質、食物中の微生物の成長、及び器具に盛られた食物が消費者の組織を障害することが起こりそうな温度水準の表示を提供するように、60-70℃の選択された温度領域で2回色を変え、その色の変化が再び冷却により逆方向に起こるように選択されている、サーモクロミック塗料の層と、
を含む器具」
の発明が記載され、請求項4には、
「サーモクロミック層が、サーモクロミック物質の一連のドットを含み、さらに
上記サーモクロミック物質の一連のドットと並列する、対応する異なる参照色の一連のドットであり、使用者が、サーモクロミック物質のドットと参照色のドットとの間の色の一致に注意して器具の温度を見分けることができるようにする一連のドットと、
個々の参照ドットの横に、それぞれの参照色により表される温度を表示するしるしと、
を含む、請求項1の安全な食物温度を感知する器具」
の発明が記載されている(摘示(1a))。
その請求項1の「60-70℃の選択された温度領域で2回色を変え」とは、摘示(1c)の「やけど・・・蛋白質が変性・・・発癌・・・70℃より高い温度だと、変性は、本質的に不可逆である」及び「ある種の胞子を作るバクテリア・・・60℃以上に上がると、胞子形成が止まり、毒素が生産されなくなる」との記載によれば、70℃より高い温度での消費者の組織を障害するやけどを避け、また60℃以上にして微生物の成長を防ぐとの観点からの要件である。そして、
摘示(1e)によれば、図1?3について、それぞれ「安全な範囲」の下限及び上限を示す赤い参照標識16及び黒い参照標識18に隣接して設けるサーモクロミック塗料によるストライプ14について、「低温では、その色が実質的に標識16の色と同じであり、図2のカップの下方の部分に示されるように生理学的に安全な範囲の上限を超える高温では、参照標識18とほぼ同じ色に変化する」、「このストライプ14に、室温で透明であるが生理学的に安全な領域の下限以上になったことを参照標識16の色に変化することによって示す追加のストライプ(図示していない)を付けてもよい」、「サーモクロミック塗料は55-65℃において特徴的な本来の明るい赤色を有するが、70℃に近づくと栗色からほとんど黒に変化し、そのような温度より上では濃い黒になり」と記載されていること、
摘示(1g)によれば、図5について、「サーモクロミック物質の一連のドットと、色変化しない異なる参照色の一連のドットとが並列し、サーモクロミックなドットの色が参照のためのドットの色と一致するときに、食物の温度を表示するようになっている。例えば、参照のための複数のドットが、2℃間隔での色を表し、その色はそれら特定の温度におけるサーモクロミックな色に対応し、サーモクロミックな複数のドットの横に印刷されている」と記載されていること、
によれば、上記「60-70℃の選択された温度領域で2回色を変え」とは、温度が、60℃未満であるか、60?70℃であるか、70℃より高いかを、検出できるように、色を変えることを意味し、その色変化は徐々に変化するものでもよいし、追加の別のサーモクロミック塗料の層の併用によるものでもよいものと、認められる。
そして、上記器具に食物を入れると、時間の経過に伴い食物の温度が変化するとき、そのサーモクロミック塗料の層は使用者から見える位置にあるから、その食物の温度が上記温度範囲にわたって変化するのを検出可能であることが明らかである。
そして、上記器具のサーモクロミック塗料の層は、「サーモクロミック塗料」を「ブラシで塗るか噴霧」するか(摘示(1e))、「サーモクロミック物質」を「印刷」する(摘示(1g))などの方法により適用されるものである。ここで、摘示(1g)は、図5に関するものであり、請求項4に係る発明を具体化したものと認められ、請求項4は上記のとおり請求項1を引用して記載したものであるから、印刷される「サーモクロミック物質」は「サーモクロミック塗料」である。
そうすると、刊行物1には、
「安全な食物温度を感知する器具であって、
食物を保持する非金属の容器と、
該容器の上に使用者から見える位置に設けられたサーモクロミック塗料の層であり、食物の変質、食物中の微生物の成長、及び器具に盛られた食物が消費者の組織を障害することが起こりそうな温度水準の表示を提供するように、温度が、60℃未満であるか、60?70℃であるか、70℃より高いかを、検出できるように、色を変え、その色の変化が再び冷却により逆方向に起こるように選択されている、サーモクロミック塗料の層と、
を含む器具を、
上記容器にサーモクロミック塗料をブラシで塗るか噴霧するか印刷することにより適用してサーモクロミック塗料の層を形成することにより製造し、
このサーモクロミック塗料の層を観察することにより、この器具に入れられた食物の温度を検出する方法」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているということができる。

エ 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「安全な食物温度を感知する器具・・・を・・・サーモクロミック塗料の層を形成することにより製造し・・・食物の温度を検出する方法」は、食物を保持する非金属の容器にサーモクロミック塗料を適用してサーモクロミック塗料の層を形成し、そのサーモクロミック塗料の層が、食物の温度が「60℃未満であるか、60?70℃であるか、70℃より高いかを、検出できるように、色を変え」るものであるから、本願補正発明の「いつ物品が特定の温度に到達するか、または特定の温度を超えるかを色の変化によって検出可能にする方法」に相当し、
引用発明の「サーモクロミック塗料」は、本願補正発明の「サーモクロミック温度指示体組成物」に相当し、
引用発明の「容器の上に使用者から見える位置に設けられたサーモクロミック塗料の層」を「上記容器にサーモクロミック塗料をブラシで塗るか噴霧するか印刷することにより適用して・・・形成する」工程は、本願補正発明の「前記物品と熱交換する関係にあるサーモクロミック温度指示体組成物で前記物品の少なくとも一部分を処理するステップ」に相当する。
そして、本願補正発明は、「サーモクロミック温度指示体組成物」の構成成分である化合物Iの構造が「設計温度が-40℃から80℃の範囲にあるときであって、前記物品の温度が前記設計温度に到達するときに、または前記設計温度を超えるときに、プラスまたはマイナス10℃の範囲内で色の変化を表す」ように設計されていることにより、該サーモクロミック温度指示体組成物で処理された物品の一部分は、「-40℃から80℃の範囲にある」ところの「特定の温度」について、「いつ物品が特定の温度に到達するか、または特定の温度を超えるか」を「プラスまたはマイナス10℃の範囲内で色の変化を表す」ところの「色の変化によって検出可能」なものであるといえるころ、引用発明は、「60℃未満であるか、60?70℃であるか、70℃より高いかを、検出できるように、色を変え」るものであるから、プラス又はマイナス10℃の範囲内で色変化するものといえ、両者は、共通する温度範囲において、色の変化を検出可能なものであるといえる。
そうすると、本願補正発明と引用発明とは、
「いつ物品が特定の温度に到達するか、または特定の温度を超えるかを色の変化によって検出可能にする方法であって、その方法は、前記物品と熱交換する関係にあるサーモクロミック温度指示体組成物で前記物品の少なくとも一部分を処理するステップを含み、上記特定の温度が-40℃から80℃の範囲にあり、プラスまたはマイナス10℃の範囲内で色の変化を表すものである、方法。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
本願補正発明では、サーモクロミック温度指示体組成物が、「合計重量に対して0.05から5.0重量%の化合物と担体媒質とから構成されるポリマー系組成物であり」と特定され、該化合物が化合物Iであり、化合物Iの構造が、「設計温度が-40℃から80℃の範囲にあるときであって、前記物品の温度が前記設計温度に到達するときに、または前記設計温度を超えるときに、プラスまたはマイナス10℃の範囲内で色の変化を表すように、前記置換基の選択によって設計される」と特定されているのに対し、引用発明においてはそのように特定されていない点。

オ 検討

(ア)相違点について

a 刊行物1には、引用発明の、「温度が、60℃未満であるか、60?70℃であるか、70℃より高いかを、検出できるように、色を変え」るところの「サーモクロミック塗料の層」の材料について、具体的には、低温の赤色から高温の黒色に変化する、特定の銘柄の塗料が記載されており(摘示(1e))、室温で透明であるが上記下限温度で参照標識16の色(審決注:赤色である。)に変化するものも言及されている(摘示(1e))。しかし、これらに限らず、同じ温度範囲である色から別の色に色を変える適宜のサーモクロミック材料が入手できれば、それもまた使用可能なことは、引用発明がサーモクロミック塗料の層の色の変化を観察することにより安全な食物温度を感知することを目的とするものであることからすれば、当業者には明らかである。

b 一方、刊行物2には、特許請求の範囲に、
「下記一般式(I)

(式中、Rは炭素数4以上のアルキル基、n=5?400を示す)で表わされ、かつ該アルキル基が異なる少くとも2種類のポリ(3-アルキルチオフェン)から構成されることを特徴とする高分子示温材料」
の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている(摘示(2a))(以下、上記一般式(I)で表される化合物を「化合物(I)」又は単に「ポリ(3-アルキルチオフェン)」という。)。その用途として、工業用途のほか、風呂の温度標識や教材、玩具といった家庭用品の用途も挙げられている(摘示(2j))。
刊行物2の実施例には、この高分子示温材料が赤色から橙色に変化する温度が60℃である実施例6や、70℃である実施例1が示されている(摘示(2g)(2h))。この高分子示温材料を構成するポリ(3-アルキルチオフェン)は、「溶媒に可溶でキャスト膜を形成することが可能」であることが記載され(摘示(2f))、実施例1?9においてもガラス基板上にキャストしフィルムを得たことが記載されている(摘示(2g))。このことは、ポリ(3-アルキルチオフェン)を溶媒に溶かした溶液は、被膜形成能を有することを示しているから、適宜の基材上に塗膜を形成できることを示唆するものである。そして、その場合、この「溶液」は「塗料」ということができ、この「溶媒」は、本願補正発明の「担体媒質」に相当する。
さらに、ポリ(3-アルキルチオフェン)は、溶媒に可溶なのであるから、溶媒系の樹脂塗料に混合できることも、当業者には明らかである。このことは、同様にポリ(3-アルキルチオフェン)から構成される温度インジケータ又は加熱により色が変化する素子について記載した、刊行物3及び4の、
「マトリックス化合物としてはポリスチレンやポリメチルメタクリレートの如き種々の高分子化合物や、水ガラスのような無機化合物等・・・が用いられる。又、本発明の上記重合体とマトリックス化合物との複合体をつくるには両者を溶媒に溶解し、混合したのち、脱溶媒して所定の形状とするのが望ましい」(摘示(3c))、
「マトリックス化合物・・・種々の高分子化合物や、水ガラスのような無機化合物等・・・が用いられる」(摘示(4b))、
「実施例1 複素5員環式化合物重合体として、3-デシルチオフェンをクロロフォルム中で三塩化鉄を触媒として重合したポリ(3-デシルチオフェン)(審決注:ポリ(3-アルキルチオフェン)の一種である。)を用いて、それを塩化メチレンに溶かした溶液と別に用意したポリスチレンを塩化メチレンに溶かした溶液とを混合してから、ガラス板上にキャスティングして乾燥させて素子とした」(摘示(4d))、
の、樹脂溶液と混合できる旨の記載からも明らかである。この「樹脂溶液」や、「溶媒系の樹脂塗料」は、本願補正発明の「担体物質」に相当する。

c 上記aのとおり、引用発明において、他のサーモクロミック材料を使用可能なことは当業者に明らかであるところ、引用発明において、他のサーモクロミック材料を用いることについては、異なる色による多様な外観を得る等の、意匠上の観点から、当業者には動機付けがあるといえる。
そして、上記bのとおり、ポリ(3-アルキルチオフェン)から構成される、赤色から橙色に変化する、溶媒に可溶な、実用的なサーモクロミック材料の存在は、公知の事項である。

d してみると、引用発明において、異なる色による多様な外観を得るとの意匠上の観点から、「サーモクロミック塗料の層」を、ポリ(3-アルキルチオフェン)を溶媒に溶かした溶液である塗料を塗布して形成するか、ポリ(3-アルキルチオフェン)を樹脂溶液や溶媒系の樹脂塗料に混合した塗料を塗布して形成することは、当業者が容易に想到し得ることである。
その際、上記塗料中のポリ(3-アルキルチオフェン)の濃度を、5重量%以下の濃度とすることも、当業者が適宜設定し得ることである。例えば、刊行物2の実施例1?9においては、ポリ(3-アルキルチオフェン)の2g、1.5g又は3gに対して溶媒であるクロロホルムを20mlの量で用いており(摘示(2g))、クロロホルムの密度は約1.5であるから、その重量は約30gであり、ポリ(3-アルキルチオフェン)をそれぞれ、6.3%、4.8%又は9.1%の割合で含んでいることに相当する。また、刊行物4の実施例においては、「ポリ(3-デシルチオフェン)を塩化メチレンに溶かした溶液と別に用意したポリスチレンを塩化メチレンに溶かした溶液とを混合してから、ガラス板上にキャスティングして乾燥させて素子とした」ものは、ポリ(3-アルキルチオフェン)とポリスチレンの混合物中のポリ(3-アルキルチオフェン)の割合が、8%、4%又は2%である(摘示(4d))。溶媒である塩化メチレンの量が不明であるものの、キャスティングに用いた溶液中のポリ(3-アルキルチオフェン)の割合は、溶媒の量が考慮される分だけ相応に小さいものであるから、例えば、ポリ(3-アルキルチオフェン)とポリスチレンの合計量の4倍の溶媒が用いられて20%溶液にされると、上記8%、4%、2%は、溶媒を含む組成物中の1.6%、0.8%、0.4%になる。10%溶液にされると、0.8%、0.4%、0.2%になる。いずれにしても、溶媒は、その後乾燥により除去されるものであるから、その量は、塗布性や作業性を考慮して当業者が適宜設定し得る。
そして、引用発明2の「化合物(I)」であるポリ(3-アルキルチオフェン)は、n=5?400であるから、本願補正発明の「化合物I」において、n=5?400、m=0、l(審決注:小文字のエルである。)=1、R^(1)=アルキル基、R_(2)、R_(5)、R_(6)=Hであるものに相当する。本願補正発明においては、「mは0と1000の間にあり」と特定されていて、m=0のものを含むのか否かは、請求項1の記載からは必ずしも明らかではないが、本願補正明細書においても、この出願の出願当初の明細書においても、特許請求の範囲の請求項1において「mは0と1000の間にあり」と特定されるとともに、発明の詳細な説明には、上記(1)アでもみたとおり段落【0016】においてm=0のものも言及されていることからみて、本願補正発明は、m=0のものを含んでいると認められる。
さらに、刊行物2には、「本発明でいう3-アルキルチオフェンの炭素数4以上のアルキル基としては、例えばn-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-ヘキサデシル、n-エイコシル、n-ドコシル等が挙げられ、必要とする変色開始温度、終了温度および変色温度範囲によって適宜これらのアルキル基を選択すればよい」と記載されており(摘示(2e))、このことは、本願補正発明の「化合物の・・・構造は、設計温度が-40℃から80℃の範囲にあるときであって、前記物品の温度が前記設計温度に到達するときに、または前記設計温度を超えるときに、プラスまたはマイナス10℃の範囲内で色の変化を表すように、前記置換基の選択によって設計される」ことに相当している。

e 以上によれば、引用発明において、「サーモクロミック塗料の層」を、ポリ(3-アルキルチオフェン)を溶媒に溶かした溶液である塗料を塗布して形成するか、ポリ(3-アルキルチオフェン)を樹脂溶液や溶媒系の樹脂塗料に混合した塗料を塗布して形成することにより、相違点に係る、本願補正発明の、
サーモクロミック温度指示体組成物が、「合計重量に対して0.05から5.0重量%の化合物と担体媒質とから構成されるポリマー系組成物であり」
との構成及び該化合物が化合物Iであるとの構成、並びに
化合物Iの構造が、「設計温度が-40℃から80℃の範囲にあるときであって、前記物品の温度が前記設計温度に到達するときに、または前記設計温度を超えるときに、プラスまたはマイナス10℃の範囲内で色の変化を表すように、前記置換基の選択によって設計される」
との構成を備えたものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(イ)効果について
本願補正明細書の段落【0005】には、「本発明は、特定の設計温度で色を変化させる感知システムであって、ポリチオフェンの色変化特性を利用するものである」と記載されている。また、段落【0018】には、「本センサ・システムは、ストーブ、パン焼き器具または皿、放熱器キャップ、冷却ラック、紙/プラスチック製コーヒー・カップおよびふた、哺乳ビン、調理器具、調理用品、火災安全器具、食品包装、器具殺菌、ノベルティ商品、食品調製および取扱設備、警報ラベル、包装フィルム、マイクロ波用食器、冷凍食品包装、飲料ビン、ケーブルまたは電線被覆物、モータおよびエンジン部品、ブレーキ・システム、自動車またはトラック用タイヤ、バスタブ塗装、道路標識、冷蔵庫ケース、室内壁ペイントおよび他の下地、ならびに/または、温度変化の視覚的表示が重要である物品向けの、安全機能または熱センサとして使用することができる」と記載されている。これらの記載からみて、本願補正発明の課題は、ポリチオフェンの色変化特性を利用した、上記のような検知システムを提供することにあり、本願補正発明の効果は、それを提供できたことにあると認められる。
しかしながら、そのような効果は、引用発明の効果そのもの、又は、引用発明に刊行物2?4に記載された発明を適用したときに得られる効果そのものであるから、当業者の予測を超える格別顕著な効果であるということはできない。

カ まとめ
以上のとおり、本願補正発明は、本願出願前に頒布された刊行物1?4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

3 補正の却下の決定のむすび
したがって、請求項1についての補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであるから、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成21年1月19日付けの手続補正は上記第2に記載されたとおり却下されたので、この出願の発明は、平成20年9月18日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「いつ物品が特定の温度に達するか、または特定の温度を超えるかを検出する方法であって、
下記の構造を有する化合物であって、

上式において、R_(1)?R_(6)=水素、アルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、トリアルキルシリル基、アシル基、エステル基、アミン基、アミド基、または、アリール基であり、
nは1と1000の間にあり、
mは0と1000の間にあり、そして
lは1と1000の間にある
化合物と、そして
担体媒質であって、媒質中に前記化合物が、組成物の合計重量に対して0.05から5.0重量%の量で存在し、前記化合物の構造が、前記組成物を物品と熱交換する関係に置いたとき、物品内で特定の温度に達しまたは特定の温度を超えると、前記組成物の色が変化するように設計されている担体媒質と
からなる組成物で物品の少なくとも一部分を処理するステップと、そして
いつ物品が特定の温度に達しているか、または特定の温度を超えているかを検出するステップと
を含む方法。」

第4 原査定の理由
原査定の理由である平成20年3月14日付けの拒絶理由通知における拒絶の理由は、理由I?理由IVからなり、その理由Iの概要は、この出願の請求項1?41に係る発明は、その出願前に頒布された引用文献1?8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。その引用文献2は、米国特許第4156365号明細書(上記第2の2(2)アの刊行物1と同じ。以下、「刊行物1」という。)であり、その引用文献5は、特開平4-168188号公報(上記第2の2(2)アの刊行物2と同じ。以下、「刊行物2」という。)であり、その引用文献7は、特開平2-59631号公報(上記第2の2(2)アの刊行物3と同じ。以下、「刊行物3」という。)であり、その引用文献8は、特開平1-171884号公報(上記第2の2(2)アの刊行物4と同じ。以下、「刊行物4」という。)である。

第5 当審の判断

1 刊行物、刊行物の記載事項、刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1?4、その記載事項及び刊行物1に記載された発明は、上記第2の2ア、イ及びウに記載したとおりである。

2 対比・判断
本願発明は、上記第2の2(1)ア及びイで検討したとおり、上記第2の2(2)で検討した本願補正発明から、実質的に、化合物Iの構造について、「前記化合物の前記構造は、設計温度が-40℃から80℃の範囲にあるときであって、前記物品の温度が前記設計温度に到達するときに、または前記設計温度を超えるときに、プラスまたはマイナス10℃の範囲内で色の変化を表すように、前記置換基の選択によって設計される」との発明特定事項を省き、代わりに「物品内で特定の温度に達しまたは特定の温度を超えると、前記組成物の色が変化するように設計されている」との発明特定事項としたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2の2(2)に記載したとおり、刊行物1?4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1?4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 まとめ
したがって、本願発明は、刊行物1?4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許を受けることができないものであるから、その余について検討するまでもなく、この出願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-11-01 
結審通知日 2011-11-08 
審決日 2011-11-21 
出願番号 特願2003-507516(P2003-507516)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C09K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 天野 宏樹  
特許庁審判長 中田 とし子
特許庁審判官 木村 敏康
東 裕子
発明の名称 温度の迅速な視覚的評価のためのサーモクロミック・ポリマー  
代理人 西山 修  
代理人 黒川 弘朗  
代理人 山川 茂樹  
代理人 山川 政樹  

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