• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2011800046 審決 特許
無効2008800249 審決 特許
無効2009800029 審決 特許
無効2010800100 審決 特許
無効2009800087 審決 特許

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A61K
管理番号 1255551
審判番号 無効2009-800033  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-02-18 
確定日 2012-04-18 
事件の表示 上記当事者間の特許第4058072号「スーパーオキサイドアニオン分解剤」の特許無効審判事件についてされた平成22年 6月30日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成22年(行ケ)第10256号平成23年 3月23日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 特許第4058072号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第4058072号の請求項1に係る発明は、平成16年2月18日(優先権主張;平成15年2月20日)を国際出願日とする出願であって、平成19年12月21日に特許権の設定登録がなされたものである。
これに対して、平成21年2月18日に本件無効審判が請求され、平成22年6月30日付けで「本件審判の請求は、成り立たない。」旨の審決がなされたところ、上記審決に対する訴えが請求人よりなされ、知的財産高等裁判所において「平成22年(行ケ)第10256号 審決取消請求事件」として審理され、平成23年3月23日に当該審決を取り消す旨の判決が言い渡された。
上記判決に対して、被請求人は最高裁判所に上告受理申し立てをしたが、平成23年8月31日に「本件を上告審として受理しない。」旨の決定がなされ(平成23年(行ヒ)第246号事件)、上記判決は確定した。

2.本件発明

本件特許の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、シクロデキストリン、アミノペクチン、又はメチルセルロースの存在下で金属塩還元反応法により調製され、顕微鏡下で観察した場合に粒径が6 nm以下の白金の微粉末からなるスーパーオキサイドアニオン分解剤。」 (以下、上記請求項1に係る発明を「本件特許発明」という。)

3.請求人の主張

請求人は、「特許第4058072号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として以下の書証を提出し、本件特許発明は、甲第1号証並びに甲第2号証に記載の発明と同一の発明であるので、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるか、または、甲第1?3号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、本件請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである旨主張している。

(証拠方法)
甲第1号証:特開2002-212102号公報
甲第2号証:特開2001-122723号公報
甲第3号証:高分子論文集、2000年、第57巻、第6号、
p.346-355
「高分子保護貨幣金属ナノクラスターの調製と機能」
甲第4号証:実験成績証明書
甲第5号証:特許4058072号の審査段階における2007年5月
7日提出の意見書に添付された参考資料1?3
甲第6号証:週刊粧業 2008年7月21日号
甲第7号証:Radiat. Phys. Chem., 1987, Vol.29, No.2, p.89-92

参考資料1:難病情報センター 筋萎縮性側索硬化症 診断・治療指針
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/021_i.htm より
2009年7月23日ダウンロード
参考資料2:Analytical Biochemistry, 1972, Vol.49, p.474-477

4.被請求人の主張

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求め、上記請求人の主張する無効理由は、いずれも理由がないと主張し、以下の証拠方法を提出している。

(証拠方法)
乙第1号証:日本化学会監修、「夢・化学-21 活性酸素」、
丸善株式会社、2004年10月15日発行、
p.3-19、p.25-33及びp.112
乙第2号証:荻田善一・大浦彦吉編、
「活性酸素-その臨床医学への応用-」、
共立出版株式会社、1987年10月25日発行、
p.1-5
乙第3号証:日本化学会監修、「夢・化学-21 活性酸素」、
丸善株式会社、2004年10月15日発行、
p.52-57
乙第4号証:Helmut Sies編、井上正康監訳、「活性酸素と疾患-分子論
的背景と生物の防衛戦略」、大昭和印刷株式会社、
1993年1月10日発行、p.163-164
乙第5号証:吉川敏一著、「フリーラジカル入門」、
株式会社先端医学社、1996年10月1日発行、
p.104-105
乙第6号証:特開平9-117279号公報
乙第7号証:特開平6-199895号公報
乙第8号証:ファルマシア、1981年、第17巻、第5号、
p.411-413
乙第9号証:Environ. Mutagen Res., 2003, Vol.25, p.127-134
乙第10号証:Food Sci. Technol. Int., 1995, Vol.1, No.1, p.65-69
乙第11号証:金田尚志、植田伸夫編、「過酸化脂質実験法」、
医歯薬出版株式会社、1993年2月20日発行、
p.1-5
乙第12号証:Color Technol., 2002, Vol.118, p.6-14
乙第13号証:Free Radical Biology & Medicine, 1999,
Vol.27, Nos. 3/4, p.294-300
乙第14号証:特願2005-502741号の審査段階において、
2007年5月7日に提出された意見書及び
参考資料1?3

5.当審の判断

甲第1号証に基づく新規性欠如の無効理由について、上記知的財産高等裁判所判決は、「本件特許発明における白金微粉末を「スーパーオキサイドアニオン分解剤」としての用途に用いるという技術は、甲1において記載、開示されていた、白金微粉末を用いた方法(用途)と実質的に何ら相違はなく、新規な方法(用途)とはいえず、白金微粉末に備わった上記の性質を、構成Dとして付加したにすぎず、本件特許発明は、甲1の記載と実質的には同一のものであって、新規性を欠くことになるから、これと異なる審決の認定、判断には誤りがあると解する。」と判示する。
そして、上記判示事項は、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、本件無効審判事件において当審を拘束する。
よって、本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明といえるので、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

6.むすび

以上のとおりであるから、請求人の主張する他の無効理由について検討するまでもなく、本件特許は無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-15 
結審通知日 2012-02-21 
審決日 2010-06-30 
出願番号 特願2005-502741(P2005-502741)
審決分類 P 1 113・ 113- Z (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大宅 郁治  
特許庁審判長 星野 紹英
特許庁審判官 前田 佳与子
新留 豊
登録日 2007-12-21 
登録番号 特許第4058072号(P4058072)
発明の名称 スーパーオキサイドアニオン分解剤  
復代理人 渡辺 紫保  
代理人 櫻井 陽子  
代理人 特許業務法人特許事務所サイクス  
復代理人 今村 正純  
代理人 田中 光雄  
代理人 志賀 美苗  
代理人 松谷 道子  
代理人 山崎 宏  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ