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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01F
管理番号 1255567
審判番号 不服2008-24397  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-24 
確定日 2012-04-16 
事件の表示 特願2002-325392「磁気結合構成方式」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月 3日出願公開,特開2004-158796〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成14年11月8日の出願であって,平成20年8月15日付けで拒絶査定がなされ,それに対して,同年9月24日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,同年10月16日に手続補正書が提出されたものである。
その後,平成23年2月4日付けで当審より審尋がなされ,同年4月28日に回答書が提出され,さらに,同年7月7日付けで当審より拒絶理由が通知され,同年9月22日に意見書及び手続補正書が提出されている。

2 当審の拒絶理由
平成23年7月7日付けで当審より通知した拒絶理由のうち,理由[1](特許法第17条の2第3項)は,同年9月22日付けの手続補正書による補正より,解消している。
当審より通知した拒絶理由[2]及び[3]の概要は,以下とおりである。

・理由[2]
この出願の請求項1,2に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物(1),(4)?(6)に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。

・理由[3]
本件出願の請求項1,2に係る発明は,その出願前日本国内において頒布された下記の刊行物(1)?(6)に記載された発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


(1)実願昭51-28647号(実開昭52-121571号)のマイクロフィルム
(2)特表2002-516478号公報
(3)実願昭48-87510号(実開昭50-35357号)のマイクロフィルム
(4)実願昭50-103263号(実開昭52-16925号)のマイクロフィルム
(5)実願昭46-104844号(実開昭48-60897号)のマイクロフィルム
(6)特開昭61-112180号公報

3 本願発明の認定
平成23年9月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲は請求項1及び2からなるが,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,明細書及び図面の記載からみて,本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
環状磁石,磁性曲面体,磁性要素の適当な組合構成を特徴とする磁気結合構成方式。」

4 引用刊行物の記載と引用発明
(1)実願昭51-28647号(実開昭52-121571号)のマイクロフィルム
(1-1)引用例1の記載
当審の拒絶の理由に引用された,本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭51-28647号(実開昭52-121571号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には,「吸着具」(考案の名称)について,第1図ないし第21図とともに,次の記載がある。
・「第1図は,この考案に係る吸着具の,最も基本的なものを示す分解斜視図であり,第2図は,その組立図である。1は両面に極性を持つ円板状の磁石であり,中央には穴2をあけている。穴2の上縁は面取りをして,傾斜面3としている。この穴2の径と一致する大きさの,別体の栓状体5を用意する。栓状体5は磁性体であり,下面は水平であるが,上面には球状のくぼみ6を形成している。第2図に示すように,磁石1の穴2の中に栓状体5をはめ込み,接着などにより固定する。磁石1の下面と栓状体5の下面とは一致するが,栓状体5は磁石1よりも厚さが薄いので,栓状体5は磁石1の中にすっぽり入ってしまっている。そして,栓状体5のくぼみ6と磁石1の穴2の上縁の傾斜面3とは,一つの連続した球面を形成し,その球面の中がくぼみ7となっている。
別体の連結体10を用意する。連結体10の先端部分は球体11となっており,くぼみ7の中にすっぽりはまり込む形状をしている。連結体10の全体あるいは球体11だけを磁性体で構成している。」(明細書1ページ19行?2ページ18行)
・「なお,第5図のものでも漏洩磁束が少しでるが,磁性体よりなるドーナツ状の円板14を,磁石1の上にさらに重ねた第6図に示すものの場合,漏洩磁束がほとんど出なくなるので,吸着力も一段と増加する。なお第6図に示すものの各部品を分解して,第7図に示している。上の円板14の中央には穴16をあけ,穴16の縁は傾斜面17としている。
なお,スチール製などの磁性体でできた机,ロッカー,キャビネットなどに,第6図,第7図に示す吸着具を使用する場合は,机,ロッカー,キャビネットなどが磁気シール体の役目をするので円板13を使用する必要はない。第8図に示すような使用のしかたをする。」(明細書4ページ10行?5ページ3行)
・「第12図には,連結体10の先端に,フック30を設けたものを示している。フック30の角度と方向を変えることができる。」(明細書7ページ15行?17行)
・「第14図には,連結体10に照明具33を取付けたものを示している。照明具33の角度と方向を自由にできるだけでなく,照明具33を簡単に取り外すこともできるようになっている。」(明細書8ページ2行?6行)
・「この他,利用範囲は広い。たとえば,取り外しできるタオル掛け,傾倒できるインクスタンド,ドアーストッパー,傾倒できる灰ざら,同じく傾倒できるタバコ入れ,プラモデル支持台,紙クリップ,ヘッドランプ,輪投げおもちゃのピンその他に利用できる。
以上,各種の利用面にふれてきた。そして,この考案に係る吸着具を製品化する場合は,磁石1の形状,栓状体5の形状・構造,連結具10の形状・構造を適当に選びながら,実際の商品としていくのである。この場合,吸着力を増加させるために,磁石の上面や下面に円板14や円板13を使用するかどうかも考慮していく。なお,磁性体に吸着させて使用する商品の場合は,当然に下面の円板13は必要ないものとなる。」(明細書9ページ8行?10ページ2行)

(1-2)引用発明1
したがって,上記記載事項(1-1)及び図示(特に,第1図,第7図,及び第8図)の内容を総合すれば,引用例1には,以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる。

「中央に穴2を有する円板状の磁石1と,磁性体からなる栓状体5と,磁性体からなるドーナツ状の円板13,14と,先端部分に磁性体からなる球体11を有する連結体10とを組み合わせてなり,磁性体でできた机,ロッカー,キャビネットに吸着する吸着具。」

(2)特表2002-516478号公報
当審の拒絶の理由に引用された,本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特表2002-516478号公報(以下「引用例2」という。)には,「磁気固定アセンブリおよび関連アセンブリを形成するモジュール」(発明の名称)について,図1ないし図8とともに,次の記載がある。
・「【0032】
モジュール19は,2つの対向延長部25および26の一方に同一モジュールもしくは強磁性モジュール(たとえば球状)が固定される2個のユニットを組み立てることにより形成された最小構造体につき,或いはモジュール19および強磁性モジュール(たとえば球状)から選択される少なくとも3個のユニットで構成されると共に,従って1個,2個もしくは3個の永久磁性モジュール19からなる構造体につき,磁束の短絡を可能にする。図3において他の好適実施例によれば永久磁性モジュール28が示され,プリズム形状かつ円形セクションを有する非磁性マトリックス29に収容される。コアは,対向ベースが2個の磁石33および34の対向サインの極性表面31および32に正確に合致する小強磁性シリンダ30により形成される。2個の磁石33および34は小シリンダ30の軸線に対し平行に磁気化され,その同じ未被覆の各極35および36は直接に他の可能なモジュールとの接続のため活性領域を規定し,この場合は1単位の表面当たりに得られる最大値である。この実施例によれば,磁束の短絡は,磁石が直列配置された少なくとも3個の同一モジュール28(この場合は球状強磁性モジュール37により離間される)を介して得られて,全体的に図1cに見られるような閉鎖した三角形構造を得る。」
・「【0036】
図8は,図3のモジュール28と完全に均衡した磁性グリッド構造体を形成する球状強磁性モジュールとの,すなわち全体として短絡した磁束とのかつ充分合体させた磁気電圧との可能な組み合わせ110の形態の例を示し,この理由からいずれの場合も外部環境と相互作用しない。」

上記摘記事項より,引用例2には,棒状の同一モジュール28と球状強磁性モジュール37により,複数種類(図1c,図8)の組み合わせ構造を構成できることが開示されているといえる。

(3)実願昭48-87510号(実開昭50-35357号)のマイクロフィルム
当審の拒絶の理由に引用された,本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭48-87510号(実開昭50-35357号)のマイクロフィルム(以下「引用例3」という。)には,「磁力利用のブロック玩具」(考案の名称)について,第1図ないし第5図とともに,次の記載がある。
・「この鉄板2,2’には永久磁石1の磁極が現われるが,これら対向した鉄板2,2’の周縁部にはスチールボール等の鉄球を吸着させることができ,第3図,第4図に示すごとく鉄球3の半径Rに沿った凹部4を2個ないし6個形成することにより,それぞれ鉄球3を吸着した際これを安定して支承することができる。
以上説明したように鉄板2,2’の縁部には永久磁石1による強力な磁極を生じさせることができるので,いづれの凹部にも鉄球3を吸着させることができる。
また,これら鉄球3は他のブロックの凹部にも吸着できるので,たとえば第5図に示すごとく複数のブロックを鉄球を介して順次結合することができる。
またこの結合にあたっては鉄球3自体は何ら磁極に関係がないので自由に向きを変えることができ,ブロックを種々の形に組合せることができる。」(明細書2ページ12行?3ページ11行)

上記摘記事項より,引用例3には,磁極を有する複数のブロックを鉄球を介して順次結合することができ,ブロックを種々の形に組合せることができることが開示されているといえる。

(4)実願昭50-103263号(実開昭52-16925号)のマイクロフィルム
当審の拒絶の理由に引用された,本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭50-103263号(実開昭52-16925号)のマイクロフィルム(以下「引用例4」という。)には,「スピーカー」(考案の名称)について,第1図ないし第5図とともに,次の記載がある。
・「2.実用新案登録請求の範囲
容器1を鉄板等の金属板で中空の球形に形成し,球面の一部を開口して容器1内へスピーカーの本体を収納し,コーン3の前面を通気窓とし,内部にマグネット5を備える皿形の金属受台6へ,球形容器1を載置させたことを特徴とするスピーカー。」(明細書1ページ3行?9行)
・「容器1はマグネット5のため常時金属受台6へ吸着されており,金属受台6を固定したまゝ容器1を前後,左右等任意な方向へ傾斜させることが出来るので,聴取しようとする希望する方向への指向性が得られ,スピーカーとして甚だ利便である。」(明細書3ページ5行?10行)
・第5図を参照すると,環状のマグネット5が見て取れる。

上記摘記事項より,引用例4には,鉄板等の金属板で中空の球形に形成された容器1は,マグネット5と磁気結合し,左右等任意な方向へ傾斜させることができることが開示されているといえる。

(5)実願昭46-104844号(実開昭48-60897号)のマイクロフィルム
(5-1)引用例5の記載
当審の拒絶の理由に引用された,本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭46-104844号(実開昭48-60897号)のマイクロフィルム(以下「引用例5」という。)には,「花器装置」(考案の名称)について,第1図ないし第3図とともに,次の記載がある。
・「2.実用新案登録請求の範囲
導磁性材料で作られその外側面が球面に形成されている器体と,一側が平面で他側が前記器体をその球面部分で対接させることができる凹形球面に形成されていてその凹形球面および前記平面の各中央部分が磁石で形成された受座との組合わせからなることを特徴とする花器装置。」(明細書1ページ3行?10行)
・「第1図および第2図において,(A)はステンレス鋼板のような導磁性金属薄板でトックリ形に作られた中空器体であり,その大径部の外側面は球面(1)に形成され,細径部の上部が花の挿し込み開口(2)となっている。
(B)は受座であって,前記器体(A)をその外側球面(1)において支承することができ,しかも磁力作用によって器体を吸着保持できるように構成されている。 すなわち(3)はプラスチック材で中空環状形に作られた座部であり,その中央空所部分に円形の磁石(4)が嵌装され,座部(3)と磁石(4)とで前記器体(A)の球面部を支承する面が凹形球面に形成されており,反対側の面は平面に形成されている。
しかして前記花器(A)を壁や柱あるいは家具などの垂直面部分に懸架させるには,例えばその垂直面部分に導磁性基板(5)を予め取付けておき,この基板(5)に対し受座(B)をその平面側において対接させて,磁石(4)の吸着作用により受座(B)を基板面に吸着保持させておき,次に器体(A)をその球面(1)で前記受座(B)の凹形球面部に対接させれば,器体(A)は凹凸球面相互で安定よく密接されると共に 磁石(4)によって吸着懸架される。 しかも器体(A)の懸架姿勢角度はその球面(1)の範囲内で自由に変えられる。 なお,垂直面それ自体が導磁性材料で作られている場合には前記基板(5)は省いてもよい。
第3図に示したものは受座(B)の他の実施例であって,磁石(4)が環状に作られ,座部(3)の中央空所部分に嵌装されている。 このように磁石(4)が環状に形成されたものにあっては,受座全体の重量が軽減される利点がある。」(明細書2ページ3行?3ページ19行)
・第3図を参照すると,環状に形成された磁石4が見て取れる。

(5-2)引用発明5
上記摘記事項(5-1)によれば,引用例5には,以下の発明(以下,「引用発明5」という。)が記載されているものと認められる。

「導磁性材料で作られその外側面が球面に形成されている器体(A)と,一側が平面で他側が前記器体をその球面部分で対接させることができる凹形球面に形成されていてその凹形球面および前記平面の各中央部分が環状の磁石4で形成された受座(B)との組合わせからなり,さらに垂直面部分となる導磁性基板5と組合わせて用いる花器装置。」

(6)特開昭61-112180号公報
当審の拒絶の理由に引用された,本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開昭61-112180号公報(以下「引用例6」という。)には,「球体儀内部での偏軸栓の保持装置」(発明の名称)について,第1図ないし第5図とともに,次の記載がある。
・「第2,3図は鋼球重錘2に拠る場合,鋼球重錘下部も球体儀下部も共に点接触であるのでこの揺動を防止し静止するための磁石受皿5の平面図と中央縦断面図で併用するか否かは状況により自由である。」(2ページ左上欄15行?19行)
・第2図及び第3図を参照すると,環状に形成された磁石受皿5が見て取れる。

上記摘記事項より,引用例6には,鋼球重錘2と環状の磁石5とが組み合わさり,磁気結合することが開示されているといえる。

5 本願発明と引用発明1との対比・判断
(1)本願発明と引用発明1との対比
ア 本願発明と引用発明1とを対比すると,引用発明1の「中央に穴2を有する円板状の磁石1」は,本願発明の「環状磁石」に相当し,引用発明1の「磁性体からなるドーナツ状の円板13,14」,「磁性体からなる栓状体5」及び「磁性体でできた机,ロッカー,キャビネット」は,いずれも本願発明の「磁性要素」に相当する。
イ 引用発明1の「先端部分に磁性体からなる球体11を有する連結体10」は,本願発明の「磁性曲面体」と,「磁性体からなる曲面を有する物体」であることにおいて共通する。
ウ そして,引用発明1の「中央に穴2を有する円板状の磁石1」と,「磁性体からなるドーナツ状の円板13,14」,「球体11」及び「磁性体でできた机,ロッカー,キャビネット」とは,磁気結合して構成されているとともに,「組合構成」をなしているといえる。

(2)一致点と相違点
そうすると,本願発明と引用発明1とは,
「環状磁石,磁性体からなる曲面を有する物体,磁性要素の組合構成を特徴とする磁気結合構成方式。」
であることにおいて一致するが,以下の2点において一応相違している。
<相違点1>
本願発明は,「適当な」組合構成であるのに対して,引用発明1は,組合構成とはいえるものの,このことが明示されていない点
<相違点2>
本願発明は,「磁性曲面体」と磁気結合しているのに対して,引用発明1は,連結体10の先端部分の「磁性体からなる球体11」と磁気結合している点

(3)相違点の判断
ア <相違点1>について
本願明細書には,「適当な組合構成」について,具体的に定義されていない。しかしながら,一般に,「適当」とは,「1 ある状態や目的などに,ほどよくあてはまること。 2 その場に合せて要領よくやること。いい加減。」(広辞苑より)の意味であるから,本願発明の「適当な組合構成」は,ほどよくあてはまる形状等を組合せが有している構成と一応解される。
他方,引用例1の各図を参照すると,引用発明を構成する円板状の磁石1とドーナツ状の円板13,14について,両者はその形状が対応するように形成されていることが見て取れるし,また,球体11は,円板状の磁石1のくぼみの中にすっぽりはまり込む形状をしているから,引用発明1においても,実質的に「適当な組合構成」となっているものと認められる。
また,仮に,本願発明の「適当な組合構成」が,「自在交換・組合・脱着」を意味する用語であるとしても,引用発明1においても,円板状の磁石1に対して,ドーナツ状の円板13,14は必要に応じて使用するものであるし,球体11を有する連結体10や,磁性体でできた机,ロッカー,キャビネットは,適宜,脱着・置換可能なものであるから,この意味においても,引用発明1は,「適当な組合構成」となっているものと認められる。
したがって,相違点1は,実質的なものではない。

イ <相違点2>について
引用発明1において,連結体10の先端部分は「磁性体からなる球体11」であり,磁石1(環状磁石)の穴2に「磁性体からなる球体11」が位置するように磁気結合している。
そして,「磁性体からなる球体11」に連なる連結体10には,フック30,ホールダー31など各種異なったものが結合可能としており,交換性を有していると共に,各連結体10は,球体11により角度と方向を自由に変えることができるようになっている。
したがって,引用発明1の連結体10の先端部分の「磁性体からなる球体11」は,実質的に本願発明の「磁性曲面体」に相当し,相違点2は,実質的なものではない。

したがって,本願発明と引用発明1には実質的な相違点が無く,本願発明は,引用例1に記載された発明である。

(4)他の解釈に基づく検討
上記(3)のとおり,本願発明と引用発明1との相違点は実質的なものではないが,仮に,本願発明の「磁性曲面体」が,球状の独立した磁性体を意味し,相違点2が実質的なものであるとしても,以下のとおり,相違点2は当業者が容易に想到し得ることである。
ア 引用発明1においても,磁石1(環状磁石)の穴2に「磁性体からなる球体11」を磁気結合して,回動自在にしており,また,「磁性体からなる球体11」に連なる連結体10は,交換性を有している。
イ 引用例2(図1c,図8),引用例3(第5図)には,磁性体からなる球体に複数の磁石やヨークなど磁気吸引力を有するものを磁気結合することにより,任意の数の磁性体の球体と磁石やヨークなど磁気吸引力を有するものを組み合わせて磁気結合し,任意の構成とすることが記載されている。
ウ さらに,環状磁石と磁性体からなる曲面を有する物体とを磁気結合させることは,引用例1,4,5,6にも示されるように周知技術である。
エ そうすると,引用発明1において,各種異なった磁気結合構成を可能とするために,「先端部分に磁性体からなる球体11を有する連結体10」に代えて,「磁性体の球体(磁性曲面体)」とし,「磁性体の球体」に磁気吸引力を有するものとして「環状磁石」を磁気結合することにより,更に別の磁性体など各種異なったものを自在に磁気結合可能とすることは,当業者が適宜なし得たことである。
オ したがって,本願発明は,引用例1?6に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 本願発明と引用発明5との対比・判断
(1)本願発明と引用発明5との対比
ア 本願発明と引用発明5とを対比すると,引用発明5の「環状の磁石4」,「導磁性基板5」は,それぞれ,本願発明の「環状磁石」,「磁性要素」に相当する。
イ 引用発明5の「導磁性材料で作られその外側面が球面に形成されている器体(A)」は,本願発明の「磁性曲面体」と,「磁性体からなる曲面を有する物体」であることにおいて共通する。
ウ そして,引用発明5の「環状の磁石4」,「器体(A)」及び「導磁性基板5」は,磁気結合して構成されているとともに,「組合構成」をなしているといえる。

(2)一致点と相違点
そうすると,本願発明と引用発明5とは,
「環状磁石,磁性体からなる曲面を有する物体,磁性要素の組合構成を特徴とする磁気結合構成方式。」
であることにおいて一致するが,以下の2点において一応相違している。
<相違点1>
本願発明は,「適当な」組合構成であるのに対して,引用発明5は,組合構成とはいえるものの,このことが明示されていない点
<相違点2>
本願発明は,「磁性曲面体」と磁気結合しているのに対して,引用発明5は,「導磁性材料で作られその外側面が球面に形成されている器体(A)」と磁気結合している点

(3)相違点の判断
ア <相違点1>について
引用発明5の「環状の磁石4」は,一側が平面で他側が器体をその球面部分で対接させることができる凹形球面に形成されているから,各構成要素はあてはまる形状となっており,引用発明5においても,実質的に「適当な組合構成」となっているものと認められる。
したがって,相違点1は,実質的なものではない。

イ <相違点2>について
引用発明5において,器体(A)は外側面が球面に形成されており,環状の磁石4と磁気結合している。そして,引用発明5は,「器体(A)の懸架姿勢角度はその球面(1)の範囲内で自由に変えられる」ものである。
したがって,引用発明5の「導磁性材料で作られその外側面が球面に形成されている器体(A)」は,実質的に本願発明の「磁性曲面体」に相当し,相違点2は,実質的なものではない。

したがって,本願発明と引用発明5には実質的な相違点が無く,本願発明は,引用例5に記載された発明である。

7 意見書における主張について
ア 請求人は意見書において,各引用例には,本願方式における環状磁石と磁性球体の組合による両面/片面?自在交換・組合・脱着?磁気結合について同様類似の記載も例示もない旨主張している。
イ しかしながら,上記5の(3),(4)で検討したとおり,引用例1の円板状の磁石1に対して,ドーナツ状の円板13,14は必要に応じて使用するものであるし,球体11を有する連結体10や,磁性体でできた机,ロッカー,キャビネットは,適宜,脱着・置換可能なものであるから,自在交換・組合・脱着可能な磁気結合が開示されているといえる。また,磁石と磁性球体の組合せも,引用例2,3に記載されている。
ウ したがって,請求人の主張は採用できない。

8 小括
以上検討したとおり,本願発明は,引用例1に記載された発明であり,また,引用例5に記載された発明であり,或いは,引用例1?6に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

9 結言
以上のとおり,本願発明は引用例1に記載された発明であり,また,本願発明は引用例5に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。
或いは,本願発明は,引用例1?6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-01-10 
結審通知日 2012-01-31 
審決日 2012-02-13 
出願番号 特願2002-325392(P2002-325392)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (H01F)
P 1 8・ 121- WZ (H01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 桑原 清佐久 聖子久保田 昌晴  
特許庁審判長 齋藤 恭一
特許庁審判官 小川 将之

西脇 博志
発明の名称 磁気結合構成方式  

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