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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C09J
管理番号 1255695
審判番号 不服2008-24588  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-25 
確定日 2012-04-20 
事件の表示 特願2004-199969「粘着性支持体」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月26日出願公開、特開2006- 22168〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、平成16年7月7日の出願であって、平成20年4月10日付けで拒絶理由が通知され、同年6月16日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月21日付けで拒絶査定がされたところ、同年9月25日に拒絶査定を不服とする審判請求がされるとともに、同年10月23日付けで審判請求書を補正する手続補正書及び手続補正書が提出されたものである。その後、平成22年11月12日付けで審尋がされ、平成23年1月14日に回答書が提出され、同年9月21日付けで、平成20年10月23日付けの手続補正を却下する決定がされるとともに、拒絶の理由が通知され、これに対して、平成23年11月28日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
この出願の発明は、平成23年11月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「粘着層の表面の粘着力により被支持体を着脱可能に支持するように基材上に前記粘着層が設けられた粘着性支持体において、
前記基材が、金属、樹脂、又は、セラミックスからなる硬質部材であり、
前記粘着層が、(a)付加反応により架橋可能なアルケニル基を有するポリオルガノシロキサンからなるシリコーン生ゴムと、(b)架橋成分と、(c)R^(2)_(3)SiO_(0.5) 単位及びSiO_(2) 単位及び/又はR^(2)_(3)SiO_(2/3) 単位(但し、R^(2) は脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基である。)を含有するポリオルガノシロキサンからなる粘着成分と、(d)白金化合物と、(e)50m^(2)/g以上の比表面積を有するシリカとを含む粘着剤組成物の硬化物からなり、
該硬化物は、前記粘着剤組成物を前記基材の表面に1.5mm以上の厚みに成形し、かつ硬化させることで、硬化後の厚みを10mmまでにしており、
前記粘着層の前記被支持体に接する少なくとも一部の表面からなる粘着面が、平面度が50μm以下、かつ、表面粗度(Ra)が1μm以下の平面であることを特徴とする粘着性支持体。」

第3 当審が通知した拒絶の理由
当審が通知した拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1?6に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物1(特開2004-119785号公報)、刊行物2(特開2001-81436号公報)、刊行物3(特開平4-291712号公報)、刊行物4(特開2000-36651号公報)及び刊行物5(特開2003-77772号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
そして、上記請求項1?6に係る発明のうちの一つは、請求項4に係る発明であるところ、本願発明は、上記請求項4に係る発明であって請求項3、請求項1を順次引用する発明について、「前記基材が、金属、樹脂、又は、セラミックスからなる硬質部材であり」と特定し、「該硬化物は、前記粘着剤組成物を所定厚みに成形し、かつ硬化させることで、硬化後の厚みを0.2mm?10mmにしたものである」を「該硬化物は、前記粘着剤組成物を前記基材の表面に1.5mm以上の厚みに成形し、かつ硬化させることで、硬化後の厚みを10mmまでにしており」と書き換え、「粘着面が平面である」を「粘着面が、平面度が50μm以下、かつ、表面粗度(Ra)が1μm以下の平面である」と特定したものである。当審が通知した拒絶の理由は、上記請求項4に係る発明について、刊行物1?4に記載された発明を引用して判断を示しており、したがって、上記補正により特定ないし書き換えられた点を除き、本願発明は、その出願前に頒布された刊行物1?4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

第4 当審の判断
当審は、当審が通知した拒絶の理由のとおり、本願発明は、上記刊行物1?4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないと判断する。
その理由は、以下のとおりである。

1 刊行物に記載された事項

(1)刊行物1:特開2004-119785号公報
(1a)「【請求項1】互いに対向する第1および第2の端面を有する電子部品チップを保持するための電子部品チップ用ホルダであって、
第1部材と第2部材とを備え、
前記第1部材は、前記電子部品チップの前記第1の端面に粘着して前記電子部品チップを保持するための第1の粘着面を有し、前記第2部材は、前記電子部品チップの前記第2の端面に粘着して前記電子部品チップを保持するための第2の粘着面を有し、前記第1の粘着面の粘着性持続時間より前記第2の粘着面の粘着性持続時間の方が長くなっている、電子部品チップ用ホルダ。」(特許請求の範囲の請求項1)
(1b)「【0002】【従来の技術】
図9には、この発明が適用され得る電子部品チップ1の一例が斜視図で示されている。電子部品チップ1は、たとえば、積層セラミックコンデンサのようなコンデンサチップであっても、抵抗器チップであっても、インダクタチップであってもよい。
【0003】電子部品チップ1は、互いに対向する第1および第2の端面2および3を有する。第1の端面2を含む第1の端部には、外部電極4が形成され、他方、第2の端面3を含む第2の端部には、外部電極5が形成される。なお、この明細書において、「電子部品チップ」というときは、外部電極4および5が既に形成された完成品としての電子部品チップの他、外部電極4および/または5が未だ形成されていない半製品としての電子部品チップも含んでいる。
【0004】上述のような電子部品チップ1に外部電極4および5を形成する工程を考えるとき、電子部品チップが小型化されても、それら多数のものを適正に保持して、外部電極形成の処理を能率的に行なえるようにするために、次のような技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。その技術では、図10に示すように、多数の電子部品チップ1の各々の第1の端面2に粘着して各電子部品チップ1を保持する第1の粘着面24aを備えるホルダ体21aを用いる。ホルダ体21aによって保持された多数の電子部品チップ1は、電極ペースト30に浸漬されることにより、図11に示すように、各々の第2の端面3に外部電極5が形成される。次いで、図12に示すように別のホルダ体21bの、第1の粘着面24aより強い粘着力を有する第2の粘着面24bに電子部品チップ1を粘着させる。その結果、図13に示すように、多数の電子部品チップ1は、一斉に、この別のホルダ体21bに移し替えられる。この状態で、第1の端面2にも外部電極形成のための処理が施される。
【0005】
【特許文献1】
特許第2682250号公報
【0006】【発明が解決しようとする課題】
しかし、第1の粘着面が与える粘着力より強い粘着力を与える第2の粘着面を備えただけでは、多数の電子部品チップを一斉に移し替えようとする際に、一部のチップが第1の粘着面側に残ってしまったり、粘着面から脱落したりするおそれがあった。
【0007】そこで、本発明は、移し替え作業を確実に行なうことができ、多数の電子部品チップを適正に保持して、外部電極形成などの処理を能率的に行なうことができる電子部品チップ用ホルダおよび電子部品チップの取扱い方法を提供することを目的とする。」
(1c)「【0008】【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に基づく電子部品チップ用ホルダは、互いに対向する第1および第2の端面を有する電子部品チップを保持するための電子部品チップ用ホルダであって、第1部材と第2部材とを備え、上記第1部材は、上記電子部品チップの上記第1の端面に粘着して上記電子部品チップを保持するための第1の粘着面を有し、上記第2部材は、上記電子部品チップの上記第2の端面に粘着して上記電子部品チップを保持するための第2の粘着面を有し、上記第1の粘着面の粘着性持続時間より上記第2の粘着面の粘着性持続時間の方が長くなっている。この構成を採用することにより、電子部品チップ用ホルダは、所定の粘着面を設けるだけでよいので、きわめて簡単な構造とすることができる。また、電子部品チップの大きさや個数に関係なく、粘着面に粘着させるだけで電子部品チップを保持することができ、粘着性持続時間の違いにより電子部品チップの移し替え作業も簡単かつ確実に行なうことができる。」
(1d)「【0009】上記発明において好ましくは、第1及び第2の粘着面は弾性材料で形成される。この構成を採用することにより、電子部品チップの大きさのばらつきを弾性材料の弾性変形で吸収することができ、所望のすべての電子部品チップを確実に漏れなく付着させることができる。また、作業時に電子部品チップにかかる過大な荷重も弾性材料の弾性変形で吸収することができ、電子部品チップの破損を防止することができる。」
(1e)「【0011】【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
(電子部品チップ用ホルダ)
図1は、本発明に基づく実施の形態1における電子部品チップ用ホルダ20を示す斜視図である。電子部品チップ用ホルダ20は、ホルダ体21aとホルダ体21cとの2つの部分を備える。ホルダ体21a,21cは、それぞれたとえば金属または樹脂のような材料からなる板状の基材22a,22cを備える。基材22a,22cのそれぞれ一方の面には、粘着膜23a,23cが形成され、それによって、この粘着膜23a,23cの表面に粘着面24a,24cが与えられる。図1では、ホルダ体21a,21cは、粘着面24a,24cを互いに対向させるように配置されている。ここで、粘着面24cは、粘着面24aが与える粘着性持続時間より長い粘着性持続時間を与えるように設定されている。
【0012】本実施の形態では、上述した粘着膜23a,23cは、たとえばゴムのような弾性を有するものから構成される。この場合、ゴムのような弾性体自身が有する粘着性によって粘着面24a,24cを与えるようにしても、ゴムのような弾性体上に、別の粘着剤をコートすることによって、粘着面24a,24cを与えるようにしてもよい。また、粘着膜23a,23cは、別の場所で成形されたものを基材22a,22c上に貼り付けることによって形成されても、基材22a,22c上で成形されることによって形成されてもよい。
【0013】一例としては、上述した粘着膜23a,23cは、シリコンゴムで構成することができる。ただし、粘着面24cは、粘着面24aが与える粘着性持続時間より長い粘着性持続時間を与えるようにシリコンゴムの種類が選択される。」
(1f)「【0014】また、上述のように、粘着膜23a,23cが弾性体で構成されているときには、後で説明するように、電子部品チップを粘着するため、電子部品チップを粘着面24a,24cに向かって押圧したとき、粘着膜23a,23cはそれ自身が有する弾性に抗して変形し、複数個の電子部品チップ間の寸法誤差を有利に吸収しながら、各電子部品チップに対して粘着面24a,24cを確実に接触させることができる。したがって、粘着面24a,24cによる電子部品チップの粘着の信頼性が高められる。しかしながら、このような利点を望まないのであれば、粘着面は、剛体の表面上に、たとえば接着剤をコートしたり、両面粘着テープを貼付けることなどによって形成されてもよい。」
(1g)「【0021】前述したように、第2のホルダ体21cの第2の粘着面24cが与える粘着性持続時間は、第1のホルダ体21aの第1の粘着面24aが与える粘着性持続時間より長くなるように材料が選ばれている。したがって、図6に示したステップの後、第1の粘着面24aの粘着力がなくなった時点で第1のホルダ体21aと第2のホルダ体21cとを互いに離したとき、図7に示すように、各電子部品チップ1は、第2のホルダ体21cに保持された状態となる。」
(1h)「【0024】(作用・効果)
この発明による電子部品チップ用ホルダは、粘着持続時間の異なる2つの粘着面が与える粘着力によって順にそれぞれ電子部品チップを保持する。したがって、電子部品チップ用ホルダは、粘着面を設けるだけでよいので、その構造が極めて簡単になる。
【0025】また、この発明による電子部品チップ用ホルダは、電子部品チップを、その大きさに関係なく、保持することができる。また、電子部品チップを粘着面に粘着させるだけで電子部品チップ用ホルダが電子部品チップを保持した状態とすることができるので、電子部品チップを保持させるための操作が極めて簡単である。
【0026】また、電子部品チップは、電子部品チップ用ホルダによって、第1の端面が粘着されることによって保持される。したがって、電子部品チップの第2の端面は、開放端とされるので、この第2の端面を含む端部に外部電極を形成するなどの所定の処理を施す工程を支障なく適用することができる。
【0027】また、この発明による電子部品チップ用ホルダは、電子部品チップを保持するために、たとえば貫通孔のような特定的な構造を必要とせず、粘着面全体をもって電子部品チップを保持するための場所として利用することができる。したがって、異なる寸法の電子部品チップに対しても、1種類の電子部品チップ用ホルダで対応することができる。また、たとえば複数個の電子部品チップを保持する場合、保持状態における電子部品チップの分布状態を任意に選ぶことができる。」
(1i)「【0032】(実施の形態2)
(電子部品チップ用ホルダのより具体的な例)
図1を参照して電子部品チップ用ホルダのより具体的な例を説明する。粘着膜23はシリコンゴムで形成されている。粘着膜23の表面である粘着面24には凹みなどの凹凸は何ら設けられていない。このようにシリコンゴムで形成した粘着膜23を備える電子部品チップ用ホルダは、少なくとも粘着面24に粘着性を有しているため、小型部品をその上に置くだけで、その粘着力により確実に保持できる。たとえば角型のチップ部品の場合、その平坦な一側面を粘着面24に密着させれば、簡単に保持することができる。
【0033】この状態で、電気的特性を測定するために小型部品を測定端子などで押さえ付けると、その荷重は粘着膜23によって吸収され、小型部品には衝撃が加わらない。したがって、小型部品に割れや欠けが発生しない。また、測定端子を小型部品に押し付けた後は、小型部品は粘着面24の粘着力によって安定に保持されるので、測定中に位置ずれせず、精密な測定が可能となる。」
(1j)「【0034】(作用・効果)
シリコンゴムのような弾性率の低いゴム材料の場合、反発弾性が低くなると同時に粘性が生じる。この粘性はそのゴム材料の表面において物体を粘着させる性質を発揮する。たとえば、軟質のシリコンゴムの場合、1?20gf/mm^(2) 程度の粘着力を有する。本実施の形態では、この性質を利用し、少なくとも表面部を粘着性を有する弾性体としてのゴム材料で構成した電子部品チップ用ホルダとしている。したがって、振動を受けたり、小型部品を逆さに保持した場合でも、小型部品は電子部品チップ用ホルダから脱落することなく、安定に保持することができる。作業を終了し、小型部品を粘着面から外したときには、小型部品には粘着物が全く付かないので、小型部品の性能を損なうこともない。
【0035】一方、粘着面に汚れが付着すると、その粘着力が低下するが、粘着面の汚れを除去すれば粘着力は容易に回復するので、粘着膜は何回でも繰返し利用することができる。」
(1k)「【0036】(実験例)
粘着力持続時間の異なる2種類のシリコンゴムの粘着面にそれぞれプローブを押し込み、静止させた後、引き離して粘着力を測定する実験を行なった。粘着力測定装置としては、ASTM D-2979-71に準拠したタッキング試験装置(株式会社レスカ製)で測定した。プローブとしては、直径5.1mmの円柱形でステンレス(SUS304)製のものを用いた。プローブの進入および引き離し速度は30mm/分、加圧力は60gf、加圧時間は4秒として、横軸に時間、縦軸に粘着力をとり、グラフにしたものを図8に示す。」
(1L)「

」(9頁)

(2)刊行物2:特開2001-81436号公報
(2a)「【請求項1】シリコーン感圧性接着剤を製造するためのシリコーン組成物において、
(A)1分子当たり平均少なくとも二つの珪素結合アルケニル基を有するポリジオルガノシロキサン20?55重量部、
(B)R^(3)_(3)SiO_(1/2) 単位及びSiO_(4/2) 単位(式中、各R^(3 )は、独立に、一価炭化水素及び一価ハロゲン化炭化水素基から選択され、R^(3)_(3)SiO_(1/2) 単位対SiO_(4/2) 単位のモル比が0.6:1?1.5:1である)を有し、アルケニル基含有量が2モル%より少ないオルガノポリシロキサン樹脂45?80重量部〔ここで、成分(A)及び(B)の全量は100重量部である〕、
(C)組成物を硬化するのに充分な量の、1分子当たり平均少なくとも二つの珪素結合水素原子を有する、オルガノ水素ポリシロキサン、
(D)組成物にチキソトロピー性を付与するのに充分な量のチキソトロピー剤で、然も、
(1)50?400m^(2)/gの平均比表面積を有する少なくとも一種類のシリカ充填剤;及び
(2)混合物で、
(a)0.5?400m^(2)/gの平均比表面積を有する少なくとも一種類のシリカ充填剤;及び
(b)添加剤で、(i)1分子当たり平均少なくとも二つの珪素結合ヒドロキシル基及び4?40個の珪素原子を有する少なくとも一種類のオルガノポリシロキサン、(ii)1分子当たり平均少なくとも二つの珪素結合ヒドロキシル基及び4?40個の珪素原子を有する少なくとも一種類のオルガノポリシロキサンと、1分子当たり少なくとも一つの珪素結合アルコキシ基及び少なくとも一つの珪素結合エポキシ含有有機基を有する少なくとも一種類のシランとの反応生成物、(iii)少なくとも一種類のポリエーテル、(iv)少なくとも一種類のポリ(ビニルアルコール)、(v)少なくとも一種類の多糖類、(vi)少なくとも一種類のグリセロールトリエステル、(vii)脂肪族不飽和を持たない少なくとも一種類の炭化水素、及び(viii)前述の添加剤の少なくとも二種類からなる混合物、からなる群から選択された添加剤;からなる混合物;から選択されたチキソトロピー剤、但し、前記添加剤が(vii)である場合、組成物が50?400m^(2)/gの比表面積を有する少なくとも一種類のシリカ充填剤を有効な量で含有するものとし、
(E)成分(A)の1分子当たり珪素結合アルケニル基の平均数と、成分(C)の1分子当たり珪素結合水素原子の平均数との合計が4より大きい、触媒として有効量のヒドロシリル化触媒、
を含む組成物。」(特許請求の範囲の請求項1)
(2b)「【0002】【従来の技術】今後シリコーンPSAとしても言及するシリコーン感圧性接着剤は・・・」
(2c)「【0009】本発明のシリコーン組成物は、シリコーン感圧性接着剤を製造するに有用である。本発明のシリコーンPSAは、接着テープ、包帯、及びラベルを含めた数多くの用途を有する。本発明のシリコーンPSAは、種々の材料、特に電子部品を可撓性を有する又は固い基体に結合するのにも有用である。
【0010】本発明のシリコーン組成物は、「チキソトロピー性」を持ち、即ち「チキソトロピー」を示し、これは、組成物が、剪断作用を適用すると粘度の減少を示し、次に静止すると粘度の増大を示すことを意味する。
・・・・・・・・・・
【0012】・・・用語「シリコーン感圧性接着剤」とは、乾燥状態で粘着性をもち、指又は手による圧力より大きな圧力を必要とすることなく、単に接触させるだけで種々の異なった表面にしっかりと接着する硬化シリコーン接着剤を指す。そのような接着剤は、表面に取り残される接着剤が微量より多くなることなく、滑らかな表面から除去することもできる。」
(2d)「【0089】前述の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の混合物は、周囲温度で硬化し始める。長い作業時間、即ち「ポットライフ」を得るためには、周囲条件下での触媒の活性を、本発明のシリコーン組成物に適当な抑制剤を添加することにより遅延又は抑制することができる。白金触媒抑制剤は、周囲温度での本発明のシリコーン組成物の硬化を遅延するが、組成物の上昇させた温度での硬化を防ぐことはできない。適当な白金触媒抑制剤には、3-メチル-3-ペンテン-1-イン及び3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-インのような種々の「エン-イン」系;3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、及び2-フェニル-3-ブチン-2-オールのようなアセチレン系アルコール;よく知られたフマル酸及びマレイン酸のジアルキル、ジアルケニル、及びジアルコキシアルキルのようなマレイン酸エステル及びフマル酸エステル;及びシクロビニルシロキサン;が含まれる。
【0090】アセチレン系アルコールは、本発明のシリコーン組成物にとって好ましい種類の抑制剤である。特に、2-フェニル-3-ブチン-2-オールは、本発明による好ましい抑制剤である。これらの抑制剤を含有する組成物は、一般に実用的な速度で硬化するのに70℃以上に加熱する必要がある。」
(2e)「【0099】本発明のシリコーン組成物は、ロール被覆、ナイフ被覆、ブレード被覆、ロール上ナイフ被覆、グラビア被覆、浸漬、刷毛塗り、又は噴霧のような適当な手段により基体上に適用することができる。更に、本発明のシリコーン組成物は、ステンシルプリント法により基体上に適用することができる。」
(2f)「【0100】本発明のシリコーン組成物は、どのような既知の固体材料でも、それに適用することができる。適当な基体には、アルミニウム、銀、銅、鉄及びそれらの合金のような金属;珪素;紙、木材、皮革、及び織物のような多孔質材料;ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン;ポリテトラフルオロエチレン及びポリフッ化ビニルのようなフルオロカーボン重合体;ポリスチレン;ナイロンのようなポリアミド;ポリイミド;ポリエステル及びアクリル重合体;ペイント塗り表面;セラミックス;ガラス;及びガラス布が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0101】本発明によるシリコーンPSAは、上に記載した成分(A)?(E)を含有するシリコーン組成物の反応生成物からなる。本発明のシリコーン組成物は、室温で硬化することができるか又は適当な長さの時間、200℃まで、好ましくは70?200℃、一層好ましくは125?175℃の温度に加熱することにより硬化することができる。例えば、本発明のシリコーン組成物は、150℃において1時間未満で硬化する。」
(2g)「【0109】シリコーン組成物のチキソトロピー指数は、レオメトリックス(Rheometrics)RDAII平行板レオメーターを用いて決定した。この装置は、23±2℃で2%の歪みを持つ動的剪断方式で操作した。剪断周波数は0.1ラジアン/秒から100ラジアン/秒へ増大した。記録されるチキソトロピー指数は、1ラジアン/秒の剪断速度でのシリコーン組成物の粘度対100ラジアン/秒の剪断速度での組成物の粘度に対する比率である。
【0100】シリコーンPSAの引き剥がし粘着力は、100gの荷重セル及び25±2℃に維持したコーニング(Corning)PC-35ホットプレートを具えたモンサント(Monsanto)T-2抗張力試験器を用いて測定した。デュポン・カプトン(DuPont Kapton)型HNポリイミドの2枚のシートの間で0.13mm厚さの接着剤層を硬化することにより試験試料を調製した。この材料を強制空気炉中で150℃で1時間硬化した。2.54cm×30.5cmの大きさの試験片をその積層体から切り取った。180°の角度及び50mm/分の分離速度で接着剤からポリイミドシートを引き剥がすのに必要な最大力を各2.4cm間隔中で決定した。kg/mの単位で表した引き剥がしのための値は、1回の引張り中にとった5つの読取り値の平均を表す。
【0111】シリコーンPSAの引張り接着力は、10ポンド荷重セルを具えたステイブル・マイクロシステムズ(Stable Microsytsems)TA-XT2組織分析器(TextureAnalyzer)を用いて決定した。25℃又は180℃に維持したコーニングPC-35ホットプレート上に試料を取付けた。試験試料は、先ずシリコーン組成物をフルオロシリコーン剥離裏打上に0.13mmの厚さに注型することにより調製した。その材料を強制空気炉中で150℃で1時間硬化した。ホットプレートは試験のための希望の温度へ予熱し、±2℃の誤差でその温度を維持するように保持した。剥離裏打をPSAから除去し、大略13mm×13mmの大きさを持つ正方形の試料を試験装置に固定し、ホットプレートに密着させて保持した。39.6mm^(2) 珪素ダイを直ちに接着剤の表面に、2mm/秒の速度、2g力の接触圧力、及び60秒の抑え時間で接触させた。次にダイを1mm/秒の速度で引張り、接着剤からその面を剥がすのに必要な最大力を決定した。gの単位で表した引張り接着力についての値は、同じ試料の異なった部分で行なった3つの測定値の平均を表す。」
(2h)「【0112】樹脂/重合体混合物A:次の混合物を、15cm^(3)/分の供給速度、210℃の温度、67?95Paの圧力、70rpmのブレード速度を有する拭き塗りフイルム蒸留器に通すことにより調製した液化樹脂/重合体混合物:(CH_(3))_(3)SiO_(1/2) シロキサン単位及びSiO_(4/2) シロキサン単位から本質的になるオルガノポリシロキサン樹脂で、2,600の数平均分子量、0.9:1の(CH_(3 ))_(3)SiO_(1/2) 単位対SiO_(4/2) 単位のモル比を有し、珪素結合ヒドロキシル基の含有量が1重量%より低いオルガノポリシロキサン樹脂53.13重量%;25℃で0.3?0.6Pa・sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン21.87重量%;及びキシレン25重量%。この液化樹脂/重合体混合物は、67.52重量%の樹脂及び32.48重量%の重合体を含有していた。」
(2i)「【0114】オルガノ水素ポリシロキサンA:1分子当たり平均5つのメチル水素シロキサン単位及び3つのジメチルシロキサン単位を有し、0.7?0.8重量%の珪素結合水素原子含有量を有するトリメチルシロキシ末端メチル水素ジメチルシロキサン。
【0115】オルガノ水素ポリシロキサンB:式、HMe_(2)SiO[Si(OSiMe_(2)H)(CH_(2)CH_(2)CF_(3))O]_(b)SiMe_(2)H(式中、bは1?3の平均値を有する)を有する共重合体。
【0116】オルガノ水素ポリシロキサンC:平均式、HMe_(2)SiO(Me_(2)SiO)_(15)SiMe_(2)Hを有し、0.15?0.21重量%の珪素結合水素原子含有量を有するオルガノ水素ポリシロキサン。」
(2j)「【0117】シリカ充填剤A:キャボット・コーポレーションにより商標名キャブ・オ・シルTS-720として販売されている処理されたヒュームドシリカ。この処理されたヒュームドシリカは、ジメチルシリコーン流体で処理された高純度シリカである。この処理済ヒュームドシリカは、100±20m^(2)/gの比表面積(BET)、5.4±0.6重量%の炭素含有量、及び1.8g/cm^(3) の比重を有する。
【0118】シリカ充填剤B:5?8μmの平均粒径及び3m^(2)/gの平均比表面積を有する電子ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー(DRAM)級球状溶融シリカ。」
(2k)「【0126】顔料A: カーボンブラック。
【0127】顔料B: 二酸化チタン。」
(2L)「【0128】触媒:78モル%のモノフェニルシロキサン単位と、22モル%のジメチルシロキサン単位とからなり、且つ60℃のガラス転移温度及び90℃の軟化温度を有するシリコーン樹脂でカプセル化した1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体を含有するマイクロカプセル化白金触媒。このマイクロカプセル化触媒は、1.8μmの平均粒径及び0.4重量%の白金含有量を持っていた。」
(2m)「【0129】抑制剤:2-フェニル-3-ブチン-2-オール。」
(2n)「【0130】例1
この例は、本発明によるシリコーン組成物の製造を例示し、この場合、チキソトロピー剤はヒュームドシリカからなっていた。樹脂/重合体混合物A(100部)を、流動性になるまで約30分130℃に加熱した。シリカ充填剤A(12.82部)及び顔料B1.71部を、ヘラを用いて手で混合物を混合しながら、ゆっくり樹脂/重合体混合物に添加した。その混合物に、1.08部のオルガノ水素ポリシロキサンA、0.61部のオルガノ水素ポリシロキサンC及び0.01部の抑制剤からなる混合物を添加した。混合物をヘラを用いて手で混合し、次に室温へ冷却した。触媒(0.10部)を混合物に添加し、それを次にAM-501ハウスチャイルド(Hauschild)デンタル(dental)混合機を用いて10秒間混合した。混合物をヘラを用いて手で混合し、更にデンタル混合機を用いて10秒間混合した。得られた組成物は2.05のチキソトロピー指数を持っていた。組成物を150℃で1時間硬化し、25℃で1574gの引張り接着力を有するシリコーン感圧性接着剤を形成した。」
(2o)段落【0131】?【0153】に、例2?24に係る、種々の感圧性接着剤が記載されている。

(3)刊行物3:特開平4-291712号公報
(3a)「【0004】上述のような電子部品チップ1に外部電極4および5を形成しようとするとき、図11に示すような電子部品チップ用ホルダ6が用いられていた。・・・
【0005】ホルダ6は、全体として板状をなしており、外部電極形成工程を能率的に進めることができるようにするため、電子部品チップ1を保持するための貫通孔をもって形成された保持部7が多数分布された構造を有している。
【0006】ホルダ6の断面が、図12に示されている。ホルダ6は、芯体8が弾性体9で覆われた構造を有していて、上述した保持部7は、弾性体9を貫通するように設けられた貫通孔によって与えられている。したがって、電子部品チップ1は、保持部7に挿入されたとき、弾性体9の弾性によって保持される。
・・・・・・・・・・
【0014】【発明が解決しようとする課題】このようなホルダ6は、小型の電子部品チップを多数取扱うために用いられるものであるが、近年の電子部品チップの小型化の進行は、ときとして、このようなホルダ6の使用さえ困難にしている。すなわち、ホルダ6の保持部7の内径は、電子部品チップの寸法が小さくされるに従って小さくされなければならず、ホルダ6の製作自身が困難になる。また、ホルダ6の保持部7への電子部品チップの挿入および移し替えにおいて使用するプッシャの作用部の径は、保持部7より小さくしなければならず、そのため、プッシャの作用部の強度が不足し、これを適正に使用することが困難になる。また、電子部品チップが保持部7に挿入される深さも短くなり、そのために電子部品チップをホルダ6によって保持することが困難になる。
【0015】なお、上述の説明は、電子部品チップに外部電極を形成する工程に関連していたが、同様の問題が、電子部品チップに外部電極形成以外の処理を施す場合においても遭遇し得る。
【0016】それゆえに、この発明の目的は、電子部品チップが小型化された場合であっても、それを適正に保持することができる電子部品チップ用ホルダを提供しようとすることである。
【0017】この発明の他の目的は、上述の電子部品チップ用ホルダを用いて電子部品チップを取扱う方法を提供しようとすることである。」
(3b)「【0018】【課題を解決するための手段】この発明にかかる電子部品チップ用ホルダは、互いに対向する第1および第2の端面を有する電子部品チップを保持するためのものであって、次のような構成を採用することによって、上述した技術的課題を解決している。
【0019】すなわち、この発明にかかる電子部品チップ用ホルダは、前記電子部品チップの前記第1の端面に粘着して前記電子部品チップを保持する粘着面を備えることを特徴としている。
【0020】この発明にかかる電子部品チップの取扱方法は、互いに対向する第1および第2の端面を有する電子部品チップの、前記第1の端面を含む第1の端部および前記第2の端面を含む第2の端部にそれぞれ所定の処理を施すために適用されるものであって、前述のような技術的課題を解決するため、次のようなステップを備えることを特徴としている。
【0021】すなわち、(1)前記電子部品チップの所定の面に粘着して前記電子部品チップを保持する、第1の粘着面を備える第1の電子部品チップ用ホルダ、および第1の粘着面が与える粘着力より強い粘着力を与える第2の粘着面を備える第2の電子部品チップ用ホルダを準備するステップと、(2)前記第1の電子部品チップ用ホルダの第1の粘着面に前記電子部品チップの第1の端面を粘着させて、前記電子部品チップを前記第1の電子部品チップ用ホルダで保持するステップと、(3)前記第1の電子部品チップ用ホルダに保持された状態で前記電子部品チップの前記第2の端部に所定の処理を施すステップと、(4)前記電子部品チップを保持した前記第1の電子部品チップ用ホルダと前記第2の電子部品チップ用ホルダとを互いに近づけ、前記電子部品チップの前記第2の端面に前記第2の粘着面を粘着させるステップと、(5)前記第1の電子部品チップ用ホルダと前記第2の電子部品チップ用ホルダとを互いに離し、前記電子部品チップを前記第2の電子部品チップ用ホルダで保持するステップと、(6)前記第2の電子部品チップ用ホルダに保持された状態で前記電子部品チップの前記第1の端部に所定の処理を施すステップと、を備えていることを特徴とする。」
(3c)「【0023】【発明の作用および効果】この発明にかかる電子部品チップ用ホルダは、粘着面が与える粘着力によって電子部品チップを保持する。したがって、電子部品チップ用ホルダは、粘着面を設けるだけでよいので、その構造が極めて簡単になる。
【0024】また、この電子部品チップ用ホルダは、電子部品チップを、その大きさに関係なく、保持することができる。また、電子部品チップを粘着面に粘着させるだけで電子部品チップ用ホルダが電子部品チップを保持した状態とすることができるので、電子部品チップを保持させるための操作が極めて簡単である。
【0025】また、電子部品チップは、電子部品チップ用ホルダによって、第1の端面が粘着されることによって保持される。したがって、電子部品チップの第2の端面は、開放端とされるので、この第2の端面を含む端部に外部電極を形成するなどの所定の処理を施す工程を支障なく適用することができる。
【0026】また、この発明による電子部品チップ用ホルダは、電子部品チップを保持するために、たとえば貫通孔のような特定的な構造を必要とせず、粘着面全体をもって電子部品チップを保持するための場所として利用することができる。したがって、異なる寸法の電子部品チップに対しても、1種類の電子部品チップ用ホルダで対応することができる。また、たとえば複数個の電子部品チップを保持する場合、保持状態における電子部品チップの分布状態を任意に選ぶことができる。」
(3d)「【0027】次に、この発明にかかる電子部品チップの取扱方法では、上述したような電子部品チップ用ホルダが用いられる。したがって、この電子部品チップ用ホルダによって奏された作用効果は、そのまま、この発明にかかる取扱方法においても保有される。
【0028】また、この発明にかかる取扱方法では、第1および第2の電子部品チップ用ホルダが用いられる。第1の電子部品チップ用ホルダは、第1の粘着面を備え、他方、第2の電子部品チップ用ホルダは、第2の粘着面を備える。ここで、第2の粘着面は、第1の粘着面より、強い粘着力を与えるように設定される。したがって、電子部品チップの各端部に所定の処理を順次施すあたっては、電子部品チップは、まず、第1の電子部品チップ用ホルダに保持された状態とされる。この状態で、一方の端部に対して所定の処理が施された後、他方の端部に対して所定の処理を施すため、電子部品チップは、第2の電子部品チップ用ホルダに保持された状態とされる。このような第1の電子部品チップ用ホルダから第2の電子部品チップ用ホルダへの電子部品チップの移し替えは、上述した粘着力の差に基づいて、能率的に進めることができる。すなわち、第1の電子部品チップ用ホルダに保持されている電子部品チップに対して、第2の電子部品チップ用ホルダに備える第2の粘着面を粘着させた後、第2の電子部品チップ用ホルダを第1の電子部品チップ用ホルダから離せば、電子部品チップは、第2の電子部品チップ用ホルダに保持された状態とすることができる。したがって、たとえば複数個の電子部品チップを取扱っている場合、これら電子部品チップは、第1の電子部品チップ用ホルダ上での配列状態をそのまま維持しながら、一挙に、第2の電子部品チップ用ホルダに移し替えることができる。」
(3e)「【0029】【実施例】図1は、、この発明の一実施例による電子部品チップ用ホルダ21を示す斜視図である。ホルダ21は、たとえば金属または樹脂のような材料からなる板状の本体22を備える。本体22上には、粘着膜23が形成され、それによって、この粘着膜23の表面に粘着面24が与えられる。
【0030】この実施例では、上述した粘着膜23は、たとえばゴムのような弾性を有するものから構成される。この場合、ゴムのような弾性体自身が有する粘着性によって粘着面24を与えるようにしても、ゴムのような弾性体上に、別の粘着剤をコートすることによって、粘着面24を与えるようにしてもよい。
【0031】また、粘着膜23は、別の場所で成形されたものを本体22上に貼付けることによって形成されても、本体22上で成形されることによって形成されてもよい。」
(3f)「【0032】また、上述のように、粘着膜23が弾性体で構成されているときには、後で説明するように、電子部品チップを粘着するため、これを粘着面24に向かって押圧したとき、粘着膜23はそれ自身が有する弾性に抗して変形し、複数個の電子部品チップ間の寸法誤差を有利に吸収しながら、各電子部品チップに対して粘着面24を確実に接触させることができる。したがって、粘着面24による電子部品チップの粘着の信頼性が高められる。しかしながら、このような利点を望まないのであれば、粘着面は、剛体の表面上に、たとえば接着剤をコートしたり、両面粘着テープを貼付けることなどによって形成されてもよい。」
(3g)「【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例による電子部品チップ用ホルダ21を示す斜視図である。
・・・・・・・・・・
【図11】従来の電子部品チップ用ホルダ6を示す斜視図である。」(5頁)
(3h)「

」(6頁)
(3i)「

」(6頁)
(3j)「

」(6頁)

(4)刊行物4:特開2000-36651号公報
(4a)「【0002】【従来の技術】フレキシブルプリント回路基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)は、ポリイミド樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の樹脂フィルムを用い、プリントによるエッチングや導線のラミネートによって回路を形成するものであって、ガラス繊維補強エポキシ板やフェノール樹脂板等をベースとした従来のリジッドな基板に比して、屈曲性に富み、形を変えて狭隘な筐体内にコンパクトにマウントし得るものであるので、携帯電話やデジタルカメラ等の電子機器の小型化に大いに貢献してきた。
【0003】FPCやFFCは、形成された回路に部品を半田付けしたり、部品をコネクターに接続したりする必要がある。ところが、これらのFPCやFFCは、コンパクトなマウントが可能であるという利点と裏腹にその柔軟性が災いし、上記半田付け工程等における高密度に実装された電子部品の位置決めを困難にすることになるため、半田付けに際してリジッドな板状体からなる補強板でFPCやFFCをサポートしてやる必要があった。更に、これら補強板は、電子機器への装填に際し屈曲性を制限するものであるので、不要になった補強板を剥離して除去する必要が生じる。
【0004】従来、これらの工程では、例えば、FPCやFFCの端部に露出された複数の導体をリジッドな補強板で固定して半田付け等がなされてきたが、補強板の剥離の際にこれらのFPCやFFCに損傷を与えたり、残存するワックスや接着剤の除去に多くの工数を要する等の問題を有するものであった。
・・・・・・・・・・
【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明は叙上の事実に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、半田付け工程ではFPCやFFCの端部に貼着して、これらをしっかり補強し、同工程終了後にはFPCやFFCから容易に剥離でき、安価であり、且つ、FPCやFFCに搭載されている電子部品に影響を及ぼすことのないFPCやFFCを構成するポリイミド基板の補強方法を提供することにある。
【0008】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、光照射直後は粘着性を保持してポリイミド基板に貼着でき、貼着後に硬化して高い耐熱性と再剥離性とを有する粘着層を形成し、半田付け工程ではFPCやFFCに何らの悪影響を及ぼすことなく、工程終了後FPCやFFCに何らの損傷を与えることなく容易に剥離することができる光硬化型粘接着剤組成物及び該組成物の特異な硬化挙動を見出し本発明を完成するに至ったのである。」
(4b)「【0009】【課題を解決するための手段】本発明のポリイミド基板の補強方法は、粘着性ポリマー10?70重量%、カチオン重合性化合物90?30重量%からなる組成に有効量の光カチオン重合開始剤を配合してなる組成物の、カチオン重合性化合物が有するカチオン重合性官能基1molを含む重量(以下、カチオン重合性官能基当量と略称する)が500g以下である光硬化型粘接着剤組成物から形成した光硬化型粘接着シートに光を照射して、その粘着性が、JIS Z 0237に定めるボールタック値で6以下(傾斜角30°)となったときにポリイミド基板に仮着することを特徴とする。
【0010】本発明におけるポリイミド基板とは、繰返し単位にイミド結合を有する耐熱性に優れたポリイミド系樹脂からなるFPCやFFC等の電子部品をいい、ポリイミド基板の補強方法とは、該ポリイミド基板からなる電子部品の作製工程における一時的ポリイミド基板の補強をいう。」
(4c)「【0027】本発明において用いられる上記光硬化型粘接着剤組成物は、シート化される。上記光硬化型粘接着剤組成物から形成される粘接着シートの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは50μm?10mm、より好ましくは200μm?5mm程度の粘接着シートとして、それ自体がポリイミド基板の補強板となされてもよく、又、数μm?0.5mm程度の粘接着シートを後述する非粘接着性の補強板の一面もしくは両面に形成し、該補強板の粘接着層となされてもよい。」
(4d)「【0031】上記補強板に光硬化型粘接着剤組成物から光硬化型粘接着シートを形成する手段は、特に限定されるものではないが、例えば、前記するように、補強板の一面もしくは両面にロールコート法、グラビアコート法、押出ラミネート法等によって直接光硬化型粘接着シートが形成されてもよいが、前記する離型処理された支持体上に形成された光硬化型粘接着シートを、補強板の一面もしくは両面に転写法によって転写形成させてもよい。」
(4e)「【0032】上記補強板としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の合成樹脂、紙、布、不織布、木材、ゴム等の有機高分子材料、ガラス、金属、セラミックス等の無機材料、及びこれら各種補強板材料を複合化した板状体等が挙げられる。中でも、ガラス繊維で補強されたエポキシ樹脂板や紙にフェノール樹脂が含浸された紙フェノール樹脂板は、安価で高耐熱性であるので好適に用いられる。」
(4f)「【0033】上記粘接着シートを含む厚さは、前記するように好ましくは50μm?10mm、より好ましくは200μm?5mmである。上記粘接着シートを含む厚さが50μm未満であると、補強効果が低下し、半田付けの際にポリイミド基板が撓んだり、部品が位置ずれを惹き起こしたりし、補強板自体が光硬化型粘接着剤組成物から形成された光硬化型粘接着性シートからなり、単体からなる粘接着シートの厚さが10mmを超えると、後述する光硬化のバラツキが大きくなり、耐熱性が低下したり、ポリイミド基板に貼着する際に変形したり、気泡を巻き込んだりして部品を所定位置に支持固定することができなくなるおそれがあり、更に、ポリイミド基板に貼着後、切断、穿孔、その他の機械加工の適性が低下するおそれがある。」
(4g)「【0040】本発明のポリイミド基板の補強方法によって補強されたポリイミド基板の加工の一例を半田付け工程で説明する。補強されたポリイミド基板は、リフロー、ディップ等の方法で半田付けされる。半田付け温度は、通常300℃程度であるが、上記のようにして得られた補強板の粘接着層は、半田付け工程中、上記高温度においても、発泡したり、剥離したりすることなく、十分な補強効果を示すものである。」
(4h)「【0041】このように半田付けされ不要となった補強板は、ポリイミド基板の仮着面から剥離されるが、該剥離手段は特に限定されるものではなく、例えば、手剥がし、機械剥がし等適宜方法が採られる。又、不要となった補強板は、ポリイミド基板の仮着面において界面剥離され、剥離面に糊残り等の汚染はない。」

(5)刊行物5:特開2003-77772号公報
(5a)「【請求項4】支持体と支持体の一面に形成された粘着層とを有する電子部品保持具の該粘着層に複数の電子部品を粘着により保持する工程と、
前記粘着層に保持されている電子部品に所定の処理を施す工程と、
前記ブレードの先端により粘着層を凹ませ、その状態でブレードを粘着層表面方向に相対的に移動させることにより電子部品を粘着層から離脱させる工程とを備える、電子部品の取扱い方法。」(特許請求の範囲の請求項4)
(5b)「【0016】【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0017】図1は本発明の第1の実施例に係る電子部品の取扱い装置を説明するための略図的正面図である。本実施例の電子部品取扱い装置1は、多数の電子部品を保持するための電子部品保持具3を備える。電子部品保持具3は、電磁石が埋設された本体4を備える。なお、本体4には、電磁石が埋設されている必要は必ずしもないが、電磁石が埋設されているため、強磁性材料からなる保持プレート5を固定することができる。また、本体4を構成する材料は特に限定されない。
【0018】本体4の下面には、保持プレート5が磁力により固定されており、該保持プレート5の下面に粘着層6が一体に形成されている。なお、本体4及び保持プレート5が、粘着層6を支持する支持体を構成している。
【0019】本実施例では、粘着層6は、粘着性ゴムにより構成されている。もっとも、粘着層6は、下面6aが電子部品に粘着・保持し得る粘着力を有する限り、他の材料で構成されていてもよい。
【0020】粘着層6の下面6aに、複数の電子部品2が粘着により保持されている。」
(5c)「【0021】他方、上記電子部品保持具3の本体4の上面には、ボールネジナット部7が取付けられている。ボールネジナット部7には、長尺状のボールネジ8が螺合するネジ穴が形成されている。そして、長尺状のボールネジ8をモーター9により回転することにより、電子部品保持具4が図示の矢印B方向及びB方向と反対方向に移動され得るように構成されている。すなわち、モーター9を正転または逆転することにより、電子部品保持具3が上記矢印B方向と、B方向と反対方向に移動され得る。上記ボールネジ8及びモーター9が、本発明における第2の駆動装置を構成している。
【0022】他方、電子部品保持具3の下方には、ブレード10が配置されている。ブレード10は、先端10aに行くほど、その厚みが薄くなるように形成されている。図1では明瞭ではないが、ブレード10は、図1の紙面-紙背方向に延びる略プレート状の形状を有している。
【0023】ブレード10を構成する材料は特に限定されず、ステンレスなどの金属、あるいはMCナイロンなどの合成樹脂により構成することができる。ブレード10は、シリンダー11のシリンダーロッド11aの先端に連結されている。シリンダー11を駆動することにより、ブレード10が図1の矢印C方向、すなわち上下方向に移動され得る。シリンダー11が、本発明における第1の駆動装置を構成する。」
(5d)「【0024】また、ブレード10の先端10aの下方に電子部品回収容器12が配置されている。電子部品回収容器12は上方開口を有し、粘着層6から取り外された電子部品2が落下し、納められるように配置されている。」
(5e)「【0025】本実施例の電子部品取扱い装置1を用いた電子部品2の取扱い方法を説明する。まず、電子部品保持具3の粘着層6の下面6aに、複数の電子部品2を粘着させる。この状態で、電子部品2に所定の処理を施す。この所定の処理とは、特に限定されず、前述した先行技術に記載のような導電ペーストの付与による外部電極の形成、あるいは電子部品2のマーキングを施す処理などの様々な処理が挙げられる。
【0026】上記処理が施された後、粘着層6に保持されている電子部品2が電子部品保持具3から取り外される。この電子部品保持具3の取り外しは、ブレード10を、粘着層6の表面すなわち下面6a方向に沿って相対的に移動させることにより行われる。本実施例では、まず、シリンダー11を駆動し、ブレード10の先端10aが粘着層6の下面6aに接触される。この状態を図2(a)に拡大して示す。しかる後、モーター9を回転させ、電子部品保持具3を図1の矢印B方向に移動させる。」
(5f)「【0027】ところで、図2(a)に示されているように、電子部品2の稜線部が丸みを帯びている場合には、上記のようにブレード10の先端10aを粘着層6の下面6aに接触させた状態で移動させることにより、ブレード10の先端10aが電子部品10と粘着層6の下面6aとの粘着部分の端部に生じている隙間に入り込み、電子部品6や外部電極にほとんど損傷を与えることなく電子部品2が取り外される。」
(5g)「【0028】取り外された電子部品は落下し、ブレード10の先端10aの下方に開口が位置している電子部品回収容器12内に回収される。従って、本実施例によれば、電子部品2に損傷を与えることなく電子部品2が粘着層6から取り外され、かつ電子部品回収容器12内に確実に電子部品2が回収されるので、全ての電子部品を確実に回収することができる。」
(5h)「【0029】上記実施例では、ブレード10の先端10aが粘着層6の下面6aに接触した状態で、ブレード10が粘着層6の下面6aに沿って粘着層6に対して相対的に移動されていたが、図2(b)に示すように、ブレード10の先端10aが粘着層6を凹ませるように配置され、その状態でブレード10が粘着層6の下面6aに矢印B方向に相対的に移動されてもよい。
【0030】すなわち、シリンダー11の駆動に際し、ブレード10の先端10aが粘着層6の下面6aを上方に押し上げ、凹部6bが形成されるように位置させる。この状態で、電子部品保持具3を図1の矢印B方向に移動させる。その結果、ブレード10の先端10aが粘着層6を凹ませた状態のまま粘着層6の下面6aの面方向に平行な方向に相対的に移動される。従って、図3に示すように、電子部品2の粘着層6の下面6aと粘着している部分が押し広げられ、それによって電子部品2がブレード10にほとんど接触することなく粘着層6の下面6aから下方に落下する。」
(5i)「【0031】好ましくは、図4に示すように、ブレード10の粘着層6の下面6aに対する傾斜角度θaを5°程度、並びにブレード10の先端10a近傍における傾斜面10bと傾斜面10cとの間の角度θbを10°程度とし、さらに粘着層6を凹ませる場合の凹部6bの深さxを約0.1mm程度とすることが望ましく、それによって電子部品2を粘着層6から容易にこの方法にしたがって取り外すことができる。」
(5j)「【0032】図2(b)及び図3に示した変形例の方法では、粘着層6に凹部6bが形成され、該凹部6bがブレード10の移動に伴って移動し、電子部品2と粘着層6の下面6aとの粘着部分が徐々に押し広げられて電子部品2が取り外される。従って、この場合には、電子部品2はコーナー部分が丸められている必要は必ずしもない。すなわち、コーナー部分が丸められていない直方体状などの電子部品にこの変形例の方法を好適に用いることができる。」
(5k)「【0041】【発明の効果】第1の発明に係る電子部品の取扱い装置及び第3の発明に係る取扱い方法では、駆動装置により、粘着層表面がブレードの先端により凹まされた状態でブレードが粘着層表面に沿って相対的に移動されるので、電子部品と粘着層との粘着部分が徐々に剥離し、電子部品が粘着層から容易に離脱される。従って、電子部品に損傷を与えることなく電子部品を電子部品保持具の粘着層から容易に取り外すことができる。」
(5L)「

」(6頁)

2 刊行物1に記載された発明
刊行物1の実施の形態2には、「電子部品チップ用ホルダ」のより具体的な例として、図1を参照して、「粘着膜23がシリコンゴムで形成されている」ものが例示されている(摘示(1i)(1L))。この粘着膜23の表面は「粘着面24」である(摘示(1i))。
図1には、「電子部品チップ用ホルダ20」が図示されている(摘示(1e)(1i)(1L))。図1の「電子部品チップ用ホルダ20」は、「ホルダ体21aとホルダ体21cとの2つの部分を備える」ものであり、ホルダ体21a,21cは、「それぞれたとえば金属または樹脂のような材料からなる板状の基材22a,22cを備える」ものであり、「基材22a,22cのそれぞれ一方の面には、粘着膜23a,23cが形成され、それによって、この粘着膜23a,23cの表面に粘着面24a,24cが与えられる」ものである(摘示(1e))。
刊行物1の実施の形態2に記載の、シリコンゴムで形成した粘着膜23を備える「電子部品チップ用ホルダ」は、「粘着面24には凹みなどの凹凸は何ら設けられていない」もので、「少なくとも粘着面24に粘着性を有しているため、小型部品をその上に置くだけで、その粘着力により確実に保持できる」ものである(摘示(1i))。
そして、「電気的特性を測定するために小型部品を測定端子などで押さえ付けると、その荷重は粘着膜23によって吸収され、小型部品には衝撃が加わらない」ので、「小型部品に割れや欠けが発生しない」(摘示(1i))。
刊行物1の実施の形態2の「電子部品チップ用ホルダ」は、「シリコンゴムのような弾性率の低いゴム材料の場合、反発弾性が低くなると同時に粘性が生じる」結果、「この粘性はそのゴム材料の表面において物体を粘着させる性質を発揮する」ものである(摘示(1j))。このため、刊行物1の実施の形態2の「電子部品チップ用ホルダ」は、「振動を受けたり、小型部品を逆さに保持した場合でも、小型部品は電子部品チップ用ホルダから脱落することなく、安定に保持することができる」し、「作業を終了し、小型部品を粘着面から外したときには、小型部品には粘着物が全く付かないので、小型部品の性能を損なうこともない」(摘示事項(1j))。
そして、この「粘着膜」は、「何回でも繰返し利用することができる」ものである(摘示(1j))。
そうすると、刊行物1には、実施の形態2として、
「粘着膜23の粘着面24の粘着力により小型部品を確実に保持でき、作業を終了後小型部品を粘着面から外したときには、小型部品には粘着物が全く付かない、電子部品チップ用ホルダ20であって、
板状の基材22の一方の面に粘着膜23が形成されている、電子部品チップ用ホルダ20であり、
板状の基材22は、金属又は樹脂のような材料からなるものであり、
粘着膜23は、シリコンゴムで形成されており、
粘着面24には凹みなどの凹凸は何ら設けられておらず、
粘着面24の粘着力により保持された小型部品に荷重が加わると、その荷重は粘着膜23によって吸収されるものである、
電子部品チップ用ホルダ20」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているということができる。

3 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「板状の基材22」、「粘着膜23」、「電子部品チップ用ホルダ20」、「小型部品」は、それぞれ、本願発明の「基材」、「粘着層」、「粘着性支持体」、「被支持体」に相当する。
引用発明の「粘着膜23の粘着面24の粘着力により小型部品を確実に保持でき、作業を終了後小型部品を粘着面から外したときには、小型部品には粘着物が全く付かない、電子部品チップ用ホルダ20であって、板状の基材22の一方の面に粘着膜23が形成されている、電子部品チップ用ホルダ20」は、本願発明の「粘着層の表面の粘着力により被支持体を着脱可能に支持するように基材上に前記粘着層が設けられた粘着性支持体」に相当する。
引用発明の「板状の基材22」が、「金属又は樹脂のような材料」からなるものであることは、本願発明の「基材」が「金属、樹脂、又は、セラミックスからなる硬質部材」であることに相当する。
引用発明の「粘着膜23」と、本願発明の「粘着層」とは、引用発明の「シリコンゴム」は「シリコーンゴム」と同義であるから、ともに、シリコーンゴムであることで共通する(以下、引用発明についても「シリコーンゴム」ということがある。)。しかしながら、引用発明の「粘着膜23」がどのような組成のシリコーンゴムなのか、刊行物1には記載されていない。
引用発明の「粘着面24には凹みなどの凹凸は何ら設けられておらず」は、図1にも示されているとおりであり、本願発明の「粘着層の前記被支持体に接する少なくとも一部の表面からなる粘着面が平面である」に相当する。しかしながら、その平面度と表面粗度(Ra)は、刊行物1には記載されていない。
引用発明の「粘着膜23」について、その厚みについての言及は、刊行物1にはない。
そうすると、両者は、
「粘着層の表面の粘着力により被支持体を着脱可能に支持するように基材上に前記粘着層が設けられた粘着性支持体において、
前記基材が、金属、樹脂、又は、セラミックスからなる硬質部材であり、
前記粘着層が、シリコーンゴムからなり、
前記粘着層の前記被支持体に接する少なくとも一部の表面からなる粘着面が平面である、
粘着性支持体」
において一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明においては、粘着層を構成するシリコーンゴムが、
「(a)付加反応により架橋可能なアルケニル基を有するポリオルガノシロキサンからなるシリコーン生ゴムと、(b)架橋成分と、(c)R^(2)_(3)SiO_(0.5) 単位及びSiO_(2) 単位及び/又はR^(2)_(3)SiO_(2/3) 単位(但し、R^(2) は脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基である。)を含有するポリオルガノシロキサンからなる粘着成分と、(d)白金化合物と、(e)50m^(2)/g以上の比表面積を有するシリカとを含む粘着剤組成物の硬化物」
であるのに対して、引用発明においては、どのような組成のシリコーンゴムなのかについて言及されていない点
(相違点2)
本願発明においては、粘着層の厚みが、
「粘着剤組成物を前記基材の表面に1.5mm以上の厚みに成形し、かつ硬化させることで、硬化後の厚みを10mmまでにしており」
と特定されているのに対して、引用発明においては、硬化前の厚みについても、硬化後の厚みについても、言及されていない点
(相違点3)
本願発明においては、粘着層の被支持体に接する少なくとも一部の表面からなる粘着面が、
「平面度が50μm以下、かつ、表面粗度(Ra)が1μm以下の平面である」
と特定されているのに対し、引用発明においては、「平面である」ものの、その平面度と表面粗度(Ra)について言及されていない点

4 相違点についての判断

(1)相違点1について
刊行物2には、次のようにして引張り接着力が試験される、PSA(感圧性接着剤)が記載されている(摘示(2b)(2g))。
「25℃又は180℃に維持したコーニングPC-35ホットプレート上に試料を取付けた。試験試料は、先ずシリコーン組成物をフルオロシリコーン剥離裏打上に0.13mmの厚さに注型することにより調製した。その材料を強制空気炉中で150℃で1時間硬化した。ホットプレートは試験のための希望の温度へ予熱し、±2℃の誤差でその温度を維持するように保持した。剥離裏打をPSAから除去し、大略13mm×13mmの大きさを持つ正方形の試料を試験装置に固定し、ホットプレートに密着させて保持した。39.6mm^(2) 珪素ダイを直ちに接着剤の表面に、2mm/秒の速度、2g力の接触圧力、及び60秒の抑え時間で接触させた。次にダイを1mm/秒の速度で引張り、接着剤からその面を剥がすのに必要な最大力を決定した。gの単位で表した引張り接着力についての値は、同じ試料の異なった部分で行なった3つの測定値の平均を表す。」
このPSA(感圧性接着剤)としては、刊行物2の例1において、以下のものが示されている(摘示(2n))。この例1は、刊行物2の請求項1に係る発明(摘示(2a))の実施例である。
「樹脂/重合体混合物A(100部)を、流動性になるまで約30分130℃に加熱した。シリカ充填剤A(12.82部)及び顔料B1.71部を、ヘラを用いて手で混合物を混合しながら、ゆっくり樹脂/重合体混合物に添加した。その混合物に、1.08部のオルガノ水素ポリシロキサンA、0.61部のオルガノ水素ポリシロキサンC及び0.01部の抑制剤からなる混合物を添加した。混合物をヘラを用いて手で混合し、次に室温へ冷却した。触媒(0.10部)を混合物に添加し、それを次にAM-501ハウスチャイルド(Hauschild)デンタル(dental)混合機を用いて10秒間混合した。混合物をヘラを用いて手で混合し、更にデンタル混合機を用いて10秒間混合した。得られた組成物は2.05のチキソトロピー指数を持っていた。組成物を150℃で1時間硬化し、25℃で1574gの引張り接着力を有するシリコーン感圧性接着剤を形成した。」
ここで、
「樹脂/重合体混合物A」は、「(CH_(3))_(3)SiO_(1/2) シロキサン単位及びSiO_(4/2) シロキサン単位から本質的になるオルガノポリシロキサン樹脂で、2,600の数平均分子量、0.9:1の(CH_(3))_(3)SiO_(1/2) 単位対SiO_(4/2) 単位のモル比を有し、珪素結合ヒドロキシル基の含有量が1重量%より低いオルガノポリシロキサン樹脂53.13重量%;25℃で0.3?0.6Pa・sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン21.87重量%;及びキシレン25重量%」であり(摘示(2h))、
「シリカ充填剤A」は、「キャボット・コーポレーションにより商標名キャブ・オ・シルTS-720として販売されている処理されたヒュームドシリカ。この処理されたヒュームドシリカは、ジメチルシリコーン流体で処理された高純度シリカである。この処理済ヒュームドシリカは、100±20m^(2)/gの比表面積(BET)、5.4±0.6重量%の炭素含有量、及び1.8g/cm^(3) の比重を有する」というものであり(摘示(2j))、
「顔料B」は「二酸化チタン」であり(摘示(2k))、
「オルガノ水素ポリシロキサンA」は「1分子当たり平均5つのメチル水素シロキサン単位及び3つのジメチルシロキサン単位を有し、0.7?0.8重量%の珪素結合水素原子含有量を有するトリメチルシロキシ末端メチル水素ジメチルシロキサン」であり(摘示(2i))、
「オルガノ水素ポリシロキサンC」は「平均式、HMe_(2)SiO(Me_(2)SiO)_(15)SiMe_(2)Hを有し、0.15?0.21重量%の珪素結合水素原子含有量を有するオルガノ水素ポリシロキサン」であり(摘示(2i))、
「抑制剤」は、「2-フェニル-3-ブチン-2-オール」であり(摘示(2m))、
「触媒」は、「78モル%のモノフェニルシロキサン単位と、22モル%のジメチルシロキサン単位とからなり、且つ60℃のガラス転移温度及び90℃の軟化温度を有するシリコーン樹脂でカプセル化した1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体を含有するマイクロカプセル化白金触媒。このマイクロカプセル化触媒は、1.8μmの平均粒径及び0.4重量%の白金含有量を持っていた」というものであるから(摘示(2L))、この例1のPSA(感圧性接着剤)の成分は、シリコーン化合物が先に来るように並べ替えて示すと、
(CH_(3))_(3)SiO_(1/2) シロキサン単位及びSiO_(4/2) シロキサン単位から本質的になるオルガノポリシロキサン樹脂で、2,600の数平均分子量、0.9:1の(CH_(3))_(3)SiO_(1/2) 単位対SiO_(4/2) 単位のモル比を有し、珪素結合ヒドロキシル基の含有量が1重量%より低いオルガノポリシロキサン樹脂
53.13部
25℃で0.3?0.6Pa・sの粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン
21.87部
オルガノ水素ポリシロキサンA(1分子当たり平均5つのメチル水素シロキサン単位及び3つのジメチルシロキサン単位を有し、0.7?0.8重量%の珪素結合水素原子含有量を有するトリメチルシロキシ末端メチル水素ジメチルシロキサン)
1.08部
オルガノ水素ポリシロキサンC(平均式、HMe_(2)SiO(Me_(2)SiO)_(15)SiMe_(2)Hを有し、0.15?0.21重量%の珪素結合水素原子含有量を有するオルガノ水素ポリシロキサン)
0.61部
触媒(78モル%のモノフェニルシロキサン単位と、22モル%のジメチルシロキサン単位とからなり、且つ60℃のガラス転移温度及び90℃の軟化温度を有するシリコーン樹脂でカプセル化した1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体を含有するマイクロカプセル化白金触媒。このマイクロカプセル化触媒は、1.8μmの平均粒径及び0.4重量%の白金含有量を持っていた)
0.10部
抑制剤(2-フェニル-3-ブチン-2-オール) 0.01部
シリカ充填剤A(キャボット・コーポレーションにより商標名キャブ・オ・シルTS-720として販売されている処理されたヒュームドシリカ。この処理されたヒュームドシリカは、ジメチルシリコーン流体で処理された高純度シリカである。この処理済ヒュームドシリカは、100±20m^(2)/gの比表面積(BET)、5.4±0.6重量%の炭素含有量、及び1.8g/cm^(3) の比重を有する)
12.82部
顔料B(二酸化チタン) 1.71部
キシレン 25 部
からなる。
上記において、
「・・・ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン」は、本願発明の「(a)付加反応により架橋可能なアルケニル基を有するポリオルガノシロキサンからなるシリコーン生ゴム」に相当し、
「オルガノ水素ポリシロキサンA(・・・メチル水素ジメチルシロキサン)」及び「オルガノ水素ポリシロキサンC(・・・オルガノ水素ポリシロキサン)」は、本願発明の「(b)架橋成分」に相当し、
「(CH_(3))_(3)SiO_(1/2) シロキサン単位及びSiO_(4/2) シロキサン単位から本質的になるオルガノポリシロキサン樹脂で、2,600の数平均分子量、0.9:1の(CH_(3))_(3)SiO_(1/2) 単位対SiO_(4/2) 単位のモル比を有し、珪素結合ヒドロキシル基の含有量が1重量%より低いオルガノポリシロキサン樹脂」は、本願発明の「(c)R^(2)_(3)SiO_(0.5) 単位及びSiO_(2) 単位及び/又はR^(2)_(3)SiO_(2/3) 単位(但し、R^(2) は脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基である。)を含有するポリオルガノシロキサン」に相当し、
「触媒(・・・マイクロカプセル化白金触媒・・・)」は、本願発明の「(d)白金化合物」に相当し、
「シリカ充填剤A(・・・100±20m^(2)/gの比表面積(BET)・・・)」は、本願発明の「(e)50m^(2)/g以上の比表面積を有するシリカ」に相当する。
そして、上記の、刊行物2の例1に記載のPSA(感圧性接着剤)は、「組成物を150℃で1時間硬化し、25℃で1574gの引張り接着力を有するシリコーン感圧性接着剤を形成」するものである(摘示(2n))。
また、刊行物2には、その請求項1に係る発明の実施例として、例2?24に、さらに多数の感圧性接着剤が記載されている(摘示(2o))。
そして、刊行物2には、「本発明のシリコーンPSAは、種々の材料、特に電子部品を可撓性を有する又は固い基体に結合するのにも有用である」、「そのような接着剤は、表面に取り残される接着剤が微量より多くなることなく、滑らかな表面から除去することもできる」というものである(摘示(2c))。
そうすると、引用発明において、その粘着膜を形成するシリコーンゴムに代えて、適度な接着力を有する、刊行物2の例1に記載のPSA(感圧性接着剤)に代表される刊行物2の請求項1に係る発明の感圧性接着剤を使用することにより、相違点1に係る本願発明の構成を備えたものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2)相違点2について
引用発明においては、硬化前の厚みについても、硬化後の厚みについても、言及されていない。
しかしながら、刊行物1において、「粘着膜23a,23cが弾性体で構成されているときには・・・電子部品チップを粘着面24a,24cに向かって押圧したとき、粘着膜23a,23cはそれ自身が有する弾性に抗して変形し、複数個の電子部品チップ間の寸法誤差を有利に吸収」することができることが開示されている(摘示(1f))。そして、引用発明と同じ技術分野に属する電子部品チップ用ホルダの発明について記載した刊行物3においても、「粘着膜23が弾性体で構成されているときには・・・電子部品チップを粘着するため、これを粘着面24に向かって押圧したとき、粘着膜23はそれ自身が有する弾性に抗して変形し、複数個の電子部品チップ間の寸法誤差を有利に吸収」することができることが開示されている(摘示(3f))。
これらの記載事項からみて、引用発明の粘着膜23は、相当の厚みを有するものである。
そして、刊行物4に開示されているように、電子部品を着脱可能に保持する粘接着シートにおいて(摘示(4a)(4b))、粘接着シートの厚さを「例えば、好ましくは50μm?10mm、より好ましくは200μm?5mm」とすることが知られている(摘示(4c))。
そうすると、引用発明において、その「粘着層23」の厚みを、刊行物4に例示されている「好ましくは50μm?10mm」という程度の厚みの中から適宜な範囲を設定し、相違点2に係る本願発明の構成を備えたものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(3)相違点3について

ア 引用発明においては、粘着面の平面度と表面粗度(Ra)については、言及されていない。
しかしながら、引用発明においては、「粘着面24には凹みなどの凹凸は何ら設けられておらず」、「粘着面24の粘着力により小型部品を確実に保持でき」るものである。
粘着の現象は、粘着面の分子と、被着物(引用発明では「小型部品」又は「電子部品チップ」、本願発明では「被支持体」)の表面の分子との、分子間相互作用(分子間力、ファンデルワールス力)に基づくものであるから、引用発明において「粘着面24の粘着力により小型部品を確実に保持でき」るためには、粘着面の分子と、被着物である小型部品の表面の分子が、より多くの面積にわたって、十分に近づけるように、粘着面と被着物が接触することが必要なことは、当業者には明らかであり、そのためには、粘着面は、できる限り平面度が高く表面粗度が小さいことが望ましいことも、当業者には明らかである。
そうすると、引用発明においても、相応に、平面度が高く表面粗度が小さいと解される。
したがって、引用発明に、刊行物2の請求項1に係る発明の感圧性接着剤を適用して、適宜の厚みの粘着層を形成するに際しても、このことは、同様であって、当業者は、できる限り平面度が高く表面粗度が小さくなるように考慮するといえる。

イ 一方、本願発明は、粘着面について、「平面度が50μm以下、かつ、表面粗度(Ra)が1μm以下の平面である」と特定しているが、以下のとおり、そのような平面度と表面粗度にするために、当業者が通常考慮する範囲を超えて特別の考慮をし特別の手段を採用したというものとは、認められない。
上記平面度と表面粗度に関しては、平成20年6月16日付け及び平成23年11月28日付けの手続補正により補正されたこの出願の明細書(以下、「本願明細書」という。)には、段落【0020】に、「ここでは、粘着層14の粘着面の平面度が50μm以下であるのが好ましく、また、表面粗度(Ra)が1μm以下であることが好ましい。粘着面の電子部品16との接触面積を確保し易いからである」と記載されるだけであり、実施例には、粘着層の粘着面の平面度と表面粗度の数値は、記載されていない。
粘着層の形成方法にしても、本願明細書の段落【0070】?【0071】に、「これらの基材12に前記のようなシリコーン系粘着剤組成物を塗工して硬化させるには、基材12の一方の面に粘着性組成物を積層して金型等にてプレス成形したり、金型内に基材12をインサートして粘着性組成物を金型内に注入して成形等する方法などにより行うことが可能である。このような塗工方法では、硬化後の粘着層14の厚みを0.2mm?10mm程度とすることが可能である。その際、硬化条件としては、80?130℃で3分?40分とすることができるが、適宜調整可能である」と記載されるだけであり、実施例においても、段落【0082】?【0083】に、「・・・粘着性組成物を調製した。その後、ステンレス鋼製の板状の基材12に1.5mm厚で均一に塗布し、120℃で15分硬化させ、図1に示すような粘着性支持体10を作製した」と記載されるだけである。
実施例は、通常、「特許出願人が最良と思うものものを少なくとも一つ掲げて記載する」ものであるから(特許法施行規則様式第29〔備考〕参照)、本願発明の「平面度が50μm以下、かつ、表面粗度(Ra)が1μm以下の平面である」を満足する蓋然性が高いところ、上記のように、実施例において、通常の手段が開示されるに過ぎず、特別の手段を採用したものとは認められない。

ウ 上記ア、イを前提に検討する。

a まず、引用発明における粘着層の形成方法は、刊行物1の摘示(1e)の、
「(実施の形態1)(電子部品チップ用ホルダ)図1は・・・電子部品チップ用ホルダ20を示す斜視図である。・・・粘着膜23a,23cは、たとえばゴムのような弾性を有するものから構成される。・・・粘着膜23a,23cは、別の場所で成形されたものを基材22a,22c上に貼り付けることによって形成されても、基材22a,22c上で成形されることによって形成されてもよい。一例としては、上述した粘着膜23a,23cは、シリコンゴムで構成することができる」
との記載及び摘示(1i)の、
「(実施の形態2)(電子部品チップ用ホルダのより具体的な例)図1を参照して電子部品チップ用ホルダのより具体的な例を説明する。粘着膜23はシリコンゴムで形成されている。粘着膜23の表面である粘着面24には凹みなどの凹凸は何ら設けられていない」
との記載によれば、別の場所で成形された粘着膜を基材上に貼り付けるか、粘着膜を基材上で成形して、形成するものである。

b 刊行物2の請求項1に係る発明の感圧性接着剤は、上記(1)で検討したとおり、本願発明で用いる粘着剤組成物と同様のものである。
また、本願発明における粘着層の形成方法は、上記イでみたとおり、「基材12の一方の面に粘着性組成物を積層して金型等にてプレス成形」したり、「金型内に基材12をインサートして粘着性組成物を金型内に注入して成形」する方法であるところ、引用発明における粘着層の形成方法は、上記aでみたとおり、「別の場所で成形された粘着膜を基材上に貼り付ける」ことや「粘着膜を基材上で成形」することで形成するものであり、両者は、実質的に変わりはない。
したがって、当業者が、引用発明に刊行物2の請求項1に係る発明の感圧性接着剤を適用し、上記aの、適宜の厚みの粘着層を、できる限り平面度が高く表面粗度が小さくなるように考慮しつつ通常の手段で形成すれば、得られる粘着膜は、本願発明におけるのと同様に、「平面度が50μm以下、かつ、表面粗度(Ra)が1μm以下の平面である」を満足する蓋然性が高いといえる。

c 刊行物2の請求項1に係る発明の感圧性接着剤の性質を具体的に検討しても同じ結論になる。
刊行物2の請求項1に係る発明の感圧性接着剤の、流動性と塗工性は、摘示(2c)の、
「本発明のシリコーン組成物は、「チキソトロピー性」を持ち、即ち「チキソトロピー」を示し、これは、組成物が、剪断作用を適用すると粘度の減少を示し、次に静止すると粘度の増大を示すことを意味する」
との記載、摘示(2e)の、
「本発明のシリコーン組成物は、ロール被覆、ナイフ被覆、ブレード被覆、ロール上ナイフ被覆、グラビア被覆、浸漬、刷毛塗り、又は噴霧のような適当な手段により基体上に適用することができる。更に、本発明のシリコーン組成物は、ステンシルプリント法により基体上に適用することができる」
との記載、摘示(2g)の
「試験試料は、先ずシリコーン組成物をフルオロシリコーン剥離裏打上に0.13mmの厚さに注型することにより調製した。その材料を強制空気炉中で150℃で1時間硬化した。ホットプレートは試験のための希望の温度へ予熱し、±2℃の誤差でその温度を維持するように保持した。剥離裏打をPSAから除去し、大略13mm×13mmの大きさを持つ正方形の試料を試験装置に固定し、ホットプレートに密着させて保持した」
との記載によれば、周知の適当な塗工又は注型により適宜の厚みの感圧性接着剤の層を形成することができるもので、塗工又は注型時には粘度が低く、厚さ0.13mmの試験試料を作成することができる、というものである。
厚さ0.13mm(130μm)の試験試料が作成できるということからすると、この層の平面度が50μmを超えることは、まず考えられないことである。より大きい適宜の厚みの粘着剤層を形成するときも、同程度の平面度が得られると解される。
また、表面粗度については、上記のとおり平面度が高いと考えられることに加えて、塗工又は注型時には粘度が低いことから塗工又は注型された感圧接着剤の層の表面は平坦になると考えられること、そのチキソトロピー性に基づきその平坦性が保たれると考えられること、その硬化時に平坦性を劣化させる要因も特に考えられないこと、からすると、その表面は相当に平坦であると考えるのが自然である。
したがって、当業者が、引用発明に刊行物2の請求項1に係る発明の感圧性接着剤を適用し、上記aの、適宜の厚みの粘着層を、できる限り平面度が高く表面粗度が小さくなるように考慮しつつ通常の手段で形成すれば、得られる粘着膜は、本願発明におけるのと同様に、「平面度が50μm以下、かつ、表面粗度(Ra)が1μm以下の平面である」を満足する蓋然性が高いといえる。
上記イのとおり、本願発明において特別の手段を採用するものでもないことを併せ考えれば、なおさらである。

エ 以上によれば、引用発明において、刊行物2の請求項1に係る発明の感圧性接着剤を適用して、適宜の厚みの粘着層を形成するに際して、できる限り平面度が高く表面粗度が小さくなるように考慮しつつ通常の手段で形成することにより、相違点3に係る本願発明の構成を備えたものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

5 効果について
本願明細書の段落【0013】及び【0015】には、本願発明の効果について、それぞれ、以下のように記載されている。
「粘着層が50m^(2)/g以上の比表面積を有するシリカを含んだ所定の粘着性組成物の硬化物からなるので、粘着層を構成する成分を粘着層に保持する効果を十分に向上することができ、その結果、使用時に粘着層の表面に被支持体を着脱させる際、表面が被支持体や被支持体を着脱するための部材などで擦られても、その摩擦により粘着層を構成する成分からなる削れかす、特に、粘着層の粘着性を付与する(c)成分からなる削れかすやのり残りが発生し難い粘着性支持体を提供することができる。」
「粘着層の被支持体に接する少なくとも一部の表面からなる粘着面が平面であるので、使用時に粘着層に支持された被支持体を着脱させる際、被支持体に粘着層の表面に沿う方向に移動させたり、粘着層の表面に沿う方向の力を負荷させて被支持体を着脱させることが容易である。そして、このような使用においても、粘着層を構成する成分を粘着層に保持する効果が高いため、削れかすやのり残りが発生し難く、好適に使用することができる。」
しかしながら、引用発明のシリコーンゴムに代えて、刊行物2の例1に記載のPSA(感圧性接着剤)を使用する場合、刊行物2のPSAのシリカ充填剤Aは100±20m^(2)/gの比表面積(BET)を有するものであり、50m^(2)/g以上の比表面積を有するシリカに相当するものである。
その添加量も、本願発明では、段落【0061】によれば「上記(a)成分と(c)成分の合計量100質量部に対して、1?30質量部とするのが好ましい。より好ましくは5?20質量部である。配合割合が小さいと、粘着層14の強度が低下して、十分な効果が得られ難くなり、また、使用時にのり残りが発生しやすくなり、一方、配合割合が大きいと、粘着力が低下することがあるからである」ものであるところ、刊行物2の例1は、上記4(1)でみたとおり、それぞれ本願発明の(a)成分及び(c)成分に相当するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンの21.87部及びオルガノポリシロキサン樹脂の53.13部に対し、上記シリカ充填剤Aを12.82部用いており、上記シリコーン化合物の合計量100質量部に対する量は17.09質量部と計算され、両者は重複している。
また、引用発明に刊行物2の請求項1に係る発明の感圧性接着剤を適用して適宜の厚みの粘着層を形成したものにおいて、粘着面は平面であるといえる。
そして、引用発明に刊行物2の請求項1に係る発明の感圧性接着剤を適用して適宜の厚みの粘着層を形成したものにおいて、使用時に粘着層の表面に被支持体を着脱させる際、「表面が被支持体や被支持体を着脱するための部材などで擦られ」る態様や、「被支持体に粘着層の表面に沿う方向に移動させたり、粘着層の表面に沿う方向の力を負荷させて被支持体を着脱させる」態様で、使用することは、刊行物5に、「支持体と支持体の一面に形成された粘着層とを有する電子部品保持具の該粘着層に複数の電子部品を粘着により保持する工程と、前記粘着層に保持されている電子部品に所定の処理を施す工程と、・・・ブレードの先端により粘着層を凹ませ、その状態でブレードを粘着層表面方向に相対的に移動させることにより電子部品を粘着層から離脱させる工程とを備える、電子部品の取扱い方法」に関し(摘示(5a))、「ブレード10の先端10aを粘着層6の下面6aに接触させた状態で移動させることにより、ブレード10の先端10aが電子部品10と粘着層6の下面6aとの粘着部分の端部に生じている隙間に入り込み、電子部品6や外部電極にほとんど損傷を与えることなく電子部品2が取り外される」ことが記載されている(摘示(5f))ことから、当業者が当然に想定する事項であるといえる。
そうすると、本願発明の「使用時に粘着層の表面に被支持体を着脱させる際、表面が被支持体や被支持体を着脱するための部材などで擦られても、その摩擦により粘着層を構成する成分からなる削れかす・・・やのり残りが発生し難い」及び「使用時に粘着層に支持された被支持体を着脱させる際、被支持体に粘着層の表面に沿う方向に移動させたり、粘着層の表面に沿う方向の力を負荷させて被支持体を着脱させることが容易である」という効果は、引用発明に、刊行物2の請求項1に係る発明の感圧性接着剤を適用して、適宜の厚みの粘着層を形成すれば、当然に奏している効果に過ぎず、格別のものであるとすることはできない。

6 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1?4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができるものではない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許を受けることができないものであるから、その余について検討するまでもなく、この出願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-15 
結審通知日 2012-02-21 
審決日 2012-03-06 
出願番号 特願2004-199969(P2004-199969)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C09J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 庸子松原 宜史  
特許庁審判長 中田 とし子
特許庁審判官 橋本 栄和
東 裕子
発明の名称 粘着性支持体  
代理人 佐野 弘  
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