• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1255707
審判番号 不服2010-10249  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-05-13 
確定日 2012-04-20 
事件の表示 特願2007-136341「臨床検査システム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 9月 6日出願公開、特開2007-226833〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成14年5月9日に出願した特願2002-134756号の一部を平成19年5月23日に新たな特許出願としたものであって、平成21年11月12日付けで拒絶理由が通知され、平成22年1月15日付けで手続補正がなされたが、同年2月8日付けで拒絶査定がされ、これに対し同年5月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成22年5月13日付けの手続補正についての補正却下の決定
[結論]
平成22年5月13日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正内容
平成22年5月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1のとおりに補正する補正事項を含むものである。

<本件補正前の特許請求の範囲の請求項1>
「【請求項1】
検査オーダーの受付から検査結果の報告に至る臨床検査業務を管理する臨床検査システムであって、所定の画面を表示するための表示手段と、管理対象とする検査に関する情報を入力するための検査情報入力手段と、検査情報入力手段により入力された検査情報を記憶するための検査情報記憶手段と、進捗管理用画面出力機能が実行されると検査情報の範囲を操作者が選択するための範囲選択画面を表示手段に自動的に表示させる範囲選択手段と、検査情報記憶手段が記憶している検査情報の中から、表示手段に表示された範囲選択画面により選択された検査情報の範囲で臨床検査業務の進捗に関する所定の抽出条件に該当する検査情報を抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された検査情報を表示するための進捗管理用画面を作成し表示手段に表示させる画面作成手段と、を備えた臨床検査システム。」

<本件補正後の特許請求の範囲の請求項1>
「【請求項1】
検査オーダーの受付から検査結果の報告に至る臨床検査業務を管理する臨床検査システムであって、所定の画面を表示するための表示手段と、管理対象とする検査に関する情報を入力するための検査情報入力手段と、検査情報入力手段により入力された検査情報を記憶するための検査情報記憶手段と、進捗管理用画面出力機能が実行されると検査情報の範囲を操作者が選択するための範囲選択画面を表示手段に自動的に表示させる範囲選択手段と、検査情報記憶手段が記憶している検査情報の中から、表示手段に表示された範囲選択画面を介して選択された検査情報の範囲で臨床検査業務の進捗に関する所定の抽出条件に該当する検査情報を抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された検査情報を表示するための進捗管理用画面を作成し表示手段に表示させる画面作成手段と、を備えた臨床検査システム。」

2.本件補正に対する判断
本件補正のうちの上記補正事項は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「選択された検査情報」を、「範囲選択画面により」選択されたものから「範囲選択画面を介して」選択されたものに限定したものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(上記改正前の特許法第17条の2第5項において読み替えて準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2-1.本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」の<本件補正後の特許請求の範囲の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。

2-2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-51942号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

あ.「【請求項1】コンピュータ及び周辺入出力装置で構成される臨床検査システムにおいて、
検査業務を分割した複数の業務プロセスの各プロセスの機能毎にその進捗度、各情報のチェック条件を管理する為の定義情報を設定する定義ファイルと、
各業務プロセスにおいて発生したイベント情報を保存しておくイベント管理ファイルと、
該イベント管理ファイルに対してイベント情報の保存・管理を行うイベント管理手段と、
前記定義ファイルを参照し、前記イベント管理ファイルから複数の業務プロセスの進捗状況を抽出し進捗状況の概況一覧表示画面として表示または帳票出力する手段と、
を備えたことを特徴とする臨床検査システム。
・・・中略・・・
【請求項4】前記定義ファイルをユーザの操作により登録・変更する手段を有する請求項1記載の臨床検査システム。」

い.「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の解決手段としては、検査業務を幾つかの各業務プロセスに大別し、更にその各業務プロセスを運用形態による機能別に細分化する。本発明の臨床検査システムは、このように検査業務を分割した複数の業務プロセスの各プロセスの機能毎にその進捗度、各情報のチェック条件を管理する為の定義情報を設定する定義ファイルと、各業務プロセスにおいて発生したイベント情報を保存しておくイベント管理ファイルと、該イベント管理ファイルに対してイベント情報の保存・管理を行うイベント管理手段と、前記定義ファイルを参照し、前記イベント管理ファイルから複数の業務プロセスの進捗状況を抽出し進捗状況の概況一覧表示画面として表示または帳票出力する手段とを備える。
【0009】ここで、「検査業務」とは、検査受付から始まり、前処理、検体の測定、測定結果の確認、依頼元への検査結果報告までの一連の業務である。
【0010】このシステムにおいて、好ましくは、前記表示された進捗状況の概況一覧表示画面において、ユーザによる特定の業務プロセスの項目の指示に応じて、前記イベント管理ファイルから対応する詳細状況を読み出し、その詳細状況表示画面として表示または帳票出力する手段を有する。
【0011】前記定義情報を参照して、前記イベント管理ファイル内の少なくとも特定のプロセスの機能の進捗状況をチェックし、前記定義情報に照らして警告が必要な場合にアラーム出力を行う手段を有してもよい。
【0012】さらに、前記定義ファイルをユーザの操作により登録・変更する手段を設けることが好ましい。」

う.「【0033】本システムは、検査業務を複数の業務プロセスに分割した各プロセス毎の対象となる処理(機能)を登録し、その状況を表現する為の定義等を設定する検査状況対象定義ファイル13と、本ファイル13に対し登録・変更を行う検査状況対象定義ファイルメンテナンス機能12と、各業務プロセス機能で発生したイベント情報を保存しておくイベント管理ファイル16と、イベント情報を保存・管理を行うイベント管理機能15と、検査状況を検査状況対象定義ファイル13およびイベント管理ファイル16を参照し、クライアントの画面19に表示および、プリンタ20に印刷(帳票出力)する検査状況出力機能17と、同様に検査状況の管理・統計データを出力する検査状況管理統計出力機能18とにより構成している。」

え.「【0039】なお、検査状況対象定義ファイル13は処理対象の有無が設定出来る為、処理対象外のものは除外することができ、ユーザ毎にチェック範囲や、各プロセス名称や機能名称及び、状況の表現内容や表示色等の状況判定基準をユーザでカスタマイズすることが出来る。」

ここで、上記各記載事項を関連図面及び各種常識に照らせば、以下のことがいえる。

(ア)上記記載事項中の「臨床検査システム」は、検査業務を分割した各業務プロセス機能で発生したイベント情報を保存・管理するための手段を有しているから、該「臨床検査システム」は当然に、検査業務プロセスに関するイベント情報を入力するための「イベント情報入力手段」とも呼び得る手段を有している。
(イ)上記記載事項中の「定義ファイルをユーザの操作により登録・変更する手段」は、「チェック範囲」を「ユーザでカスタマイズ」できるようにするための手段、すなわちチェック範囲をユーザが選択できるようにするための手段であるから、該「定義ファイルをユーザの操作により登録・変更する手段」は、イベント情報のチェック範囲を操作者が選択するための「選択手段」とも呼び得るものである。
(ウ)上記記載事項中の「定義ファイルを参照し、前記イベント管理ファイルから複数の業務プロセスの進捗状況を抽出し進捗状況の概況一覧表示画面として表示する手段」は、その一部に、上記「選択手段」とも呼び得る手段によってチェック範囲を選択された「定義ファイルを参照し、イベント管理ファイルから複数の業務プロセスの進捗状況を抽出」する機能部分を有しているから、該「定義ファイルを参照し、前記イベント管理ファイルから複数の業務プロセスの進捗状況を抽出し進捗状況の概況一覧表示画面として表示する手段」は、イベント管理ファイルが記憶しているイベント情報の中から、選択されたチェック範囲で検査業務プロセスの進捗に関する所定の抽出条件に該当するイベント情報を抽出する「抽出手段」とも呼び得る機能手段と、該「抽出手段」とも呼び得る機能手段が抽出したイベント情報を表示するための概況一覧表示画面を作成し表示させる「表示画面作成手段」とも呼び得る機能手段と、を有している。

したがって、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「検査受付から始まり検査結果報告までの一連の業務を管理する臨床検査システムであって、
所定の画面を表示するクライアントの画面と、
検査業務プロセスに関するイベント情報を入力するためのイベント情報入力手段と、
イベント情報入力手段により入力されたイベント情報を記憶するためのイベント管理ファイルと、
イベント情報のチェック範囲を操作者が選択するための選択手段と、
イベント管理ファイルが記憶しているイベント情報の中から、選択されたチェック範囲で検査業務プロセスの進捗に関する所定の抽出条件に該当するイベント情報を抽出する抽出手段と、
抽出手段が抽出したイベント情報を表示するための概況一覧表示画面を作成しクライアントの画面に表示させる表示画面作成手段と、を備えた臨床検査システム。」

2-3.本願補正発明と引用発明との対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
(1)引用発明の「クライアントの画面」、「イベント情報入力手段」、「イベント情報」、「イベント管理ファイル」、「概況一覧表示画面」、および「表示画面作成手段」はそれぞれ、本願補正発明の「表示手段」、「検査情報入力手段」、「検査情報」、「検査情報記憶手段」、「進捗管理用画面」、および「画面作成手段」に相当する。
(2)引用発明の「選択手段」と本願補正発明の「範囲選択手段」とは、「検査情報(イベント情報)の範囲」を操作者が選択するための「範囲選択手段」である点で共通する。
(3)引用発明の「抽出手段」は、「範囲選択手段(選択手段)」によって選択されたチェック範囲での抽出を行うから、引用発明の「抽出手段」と本願補正発明の「抽出手段」とは、「検査情報記憶手段(イベント管理ファイル)」が記憶している「検査情報(イベント情報)」の中から、「範囲選択手段」によって選択された検査情報の範囲で臨床検査業務の進捗に関する所定の抽出条件に該当する検査情報を抽出する抽出手段である点で共通する。

したがって、本願補正発明と引用発明との間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「検査オーダーの受付から検査結果の報告に至る臨床検査業務を管理する臨床検査システムであって、
所定の画面を表示するための表示手段と、
管理対象とする検査に関する情報を入力するための検査情報入力手段と、
検査情報入力手段により入力された検査情報を記憶するための検査情報記憶手段と、
検査情報の範囲を操作者が選択するための範囲選択手段と、
検査情報記憶手段が記憶している検査情報の中から、範囲選択手段によって選択された検査情報の範囲で臨床検査業務の進捗に関する所定の抽出条件に該当する検査情報を抽出する抽出手段と、
抽出手段により抽出された検査情報を表示するための進捗管理用画面を作成し表示手段に表示させる画面作成手段と、
を備えた臨床検査システム。」である点。

(相違点)
本願補正発明の「範囲選択手段」は、「進捗管理用画面出力機能が実行されると検査情報の範囲を操作者が選択するための範囲選択画面を表示手段に自動的に表示させる」機能を有する手段であって、それに伴い、「抽出手段」は、「範囲選択手段」が「表示手段に表示」した「範囲選択画面」を介して選択された検査情報の範囲で抽出を行うのに対し、引用発明の「範囲選択手段」(選択手段)は、「進捗管理用画面出力機能が実行されると検査情報の範囲を操作者が選択するための範囲選択画面を表示手段に自動的に表示させる」機能を有さず、それに伴い、「抽出手段」は、「範囲選択手段」が「表示手段に表示」した「範囲選択画面」を介して選択された検査情報の範囲で抽出を行うものではない点。(引用例には、チェック範囲の選択をいつどのように行うかについての具体的な記載がない点。)

2-4.判断
上記相違点について検討する。

以下の事情を勘案すると、引用発明の「範囲選択手段」(選択手段)を「進捗管理用画面出力機能が実行されると検査情報の範囲を操作者が選択するための範囲選択画面を表示手段に自動的に表示させる」機能を有する手段とし、それに伴い、「抽出手段」を、「範囲選択手段」が「表示手段に表示」した「範囲選択画面」を介して選択された検査情報の範囲で抽出を行うものとすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(あ)コンピュータ及び周辺入出力装置で構成されるシステム一般において、操作者が何らかの処理に対する選択設定を行う際の手法として、選択設定を行うための選択画面を表示画面上に表示し、該表示された選択画面を介して選択された設定に基づいて実際の処理を行うことは、本願出願前から通常よく行われている事項である(なおもし必要であれば、例えば原査定の拒絶の理由に周知技術として引用された特開2001-142895号公報等を参照されたい)。
(い)引用発明の臨床検査システムもコンピュータ及び周辺入出力装置で構成されるシステムであるから、該システムが有する「範囲選択手段」(選択手段)を用いた選択設定の手法として、上記(あ)のような、選択画面を表示画面上に表示し、該表示された選択画面を介して選択設定を行うよう構成することは、当業者が通常考慮することである(なお、その際の選択画面の表示を自動的に行う(処理実行時の最初には必ず選択画面を表示し、毎回設定内容の確認や変更等を行わせるよう構成する)か、手動で行う(処理実行時の最初ではなく、任意のタイミングで選択画面を表示し、設定内容の確認や変更等を行えるよう構成する)かは、当業者が設計事項として適宜実施すべき事項にすぎない。)し、またそのようにできない理由もない。そして、この場合においては、引用発明の「抽出手段」は当然に、上記(あ)のような、「選択画面を介して」選択された設定内容に基づいた抽出処理を行うような構成となる。
(う)上記(あ)(い)のことは、取りも直さず、引用発明の「範囲選択手段」(選択手段)を、「進捗管理用画面出力機能が実行されると検査情報の範囲を操作者が選択するための範囲選択画面を表示手段に自動的に表示させる」機能を有する手段とし、それに伴い、「抽出手段」を、「範囲選択手段」が「表示手段に表示」した「範囲選択画面」を介して選択された検査情報の範囲で抽出を行うものとすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。

(本願補正発明の効果について)
本願補正発明の奏する効果は、引用発明及び周知の事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別なものということはできない。

(請求人の主張について)
なお、請求人は、審尋に対する平成24年1月13日付けの回答書において、(1)「引用文献1(審決注:本審決における「引用例」)および2(審決注:上記「2-4.」の「(あ)」で触れた特開2001-142895号公報)には、『管理対象となる検査の種類や検体の数が多い場合で、どの操作者が使用する場合であっても、使用する操作者が関係する検査情報の範囲を簡単に選択することができ、操作者の管理範囲内で進捗に問題がある検査のみの情報を簡単に表示させることができる臨床検査システムを提供する』という本願発明の技術的課題について全く記載がなく、これらを組合せる技術的な動機付けが」ないとの主張、および、(2)「引用文献2記載の発明は、主としてプラントが正常に稼働しているか否かを監視するための分散型制御システムであり、臨床検査業務の進捗管理を行うことを目的とした臨床検査システムとは全く異なる技術分野のものである」との主張をし、それを根拠に本願発明の進歩性が肯定されるべき旨主張しているが、以下の理由で採用することができない。

(1)について
(ア)本願請求項1の記載は「所定の抽出条件に該当する検査情報を抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された検査情報を表示するための進捗管理用画面」を表示させる臨床検査システムであって、「進捗に問題がある検査のみの情報を簡単に表示させる」ことに関する記載はなく、該請求項1の文言上、本願発明は所定の抽出条件として進捗に問題がない検査の抽出を含む場合も当然に含んでおり、そのようなものについては、上記請求人の主張は妥当しない。
(イ)仮に、本願発明を「進捗に問題がある検査のみの情報を簡単に表示させる」ものに限定解釈できたとしても、以下の事情に鑑みれば、引用発明をそのようなもの(進捗に問題がある検査のみの情報を簡単に表示させるもの)とすることも当業者が容易に推考し得たことというべきである。
a.上記引用例の第4,5,11,70段落等に記載されるように、進捗状況の管理をするそもそもの目的は、異常やトラブルが発生した場合、すなわち進捗に問題がある場合に、操作者に迅速な対応を行わせるためのものであり、そのような目的を達成するための表示手法として、管理画面上には普段問題がないものも含めて表示し、アラーム等で進捗に問題があることを気付かせようとするか、管理画面上には普段進捗に問題がないものを表示せず、画面上に表示があることで進捗に問題があることを気付かせようとするかは、当業者が設計事項として適宜実施すべき事項にすぎない。
b.上記a.のことは、取りも直さず、引用発明を「進捗に問題がある検査のみの情報を簡単に表示させる」ものとすることが当業者にとって容易であったことを意味している。

(2)について
(ア)請求人がいう引用文献2(特開2001-142895号公報)に記載された、「選択画面を表示画面上に表示し、該表示された選択画面を介して処理に対する選択設定を行う」という技術が、「プラントが正常に稼働しているか否かを監視するための分散型制御システム」でしか用いることのできない技術ではなく、コンピュータ及び周辺入出力装置で構成されるシステム一般で用いることのできる汎用的な技術であることは、その技術内容から明らかである。
(イ)仮に、上記引用文献2においては、「プラントが正常に稼働しているか否かを監視するための分散型制御システム」しか想定されていないとしても、上記「選択画面を表示画面上に表示し、該表示された選択画面を介して処理に対する選択設定を行う」という技術は、上記引用文献を待つまでもなく周知の技術である。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年1月15日付け手続補正書の請求項1に記載されたとおりのものである。
そして、その平成22年1月15日付け手続補正書の請求項1に記載された事項は、前記「第2」の「1.」の<本件補正前の特許請求の範囲の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2」の「2.」の「2-2.」の項に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2」の「2.」の項に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-15 
結審通知日 2012-02-21 
審決日 2012-03-06 
出願番号 特願2007-136341(P2007-136341)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮地 匡人  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 小曳 満昭
加内 慎也
発明の名称 臨床検査システム  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ