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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1255713
審判番号 不服2010-23135  
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-13 
確定日 2012-04-20 
事件の表示 特願2007-501486「伝送装置および伝送方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 8月10日国際公開、WO2006/082652〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2005年2月4日を国際出願日とする出願であって、平成21年12月7日付けで拒絶理由が通知され、平成22年2月15日付けで手続補正がされたが、同年7月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月13日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされたものである。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年10月13日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は補正前の平成22年2月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された

「イーサネット(登録商標)をもちいてリング網を構成する伝送装置であって、
リング網の外部から受信したフレームに、当該フレームを前記リング網内に送出するリング網上の伝送装置である送信元伝送装置を示す情報と、当該フレームを前記リング網の外部に送出するリング網上の伝送装置である送信先伝送装置を示す情報とを示すラベルを付与するラベル付与手段と、
前記ラベル付与手段により付与されたラベルと記憶手段に保持された帯域制御情報とを照合し、前記フレームを予め登録された帯域の範囲内でリング網へ送出する帯域制御手段と
を備えたことを特徴とする伝送装置。」

という発明(以下、「本願発明」という。)を、

「イーサネット(登録商標)をもちいてリング網を構成する伝送装置であって、
リング網の外部から受信したフレームに、当該フレームを前記リング網内に送出するリング網上の伝送装置である送信元伝送装置を示す情報と、当該フレームを前記リング網の外部に送出するリング網上の伝送装置である送信先伝送装置を示す情報とを示すラベルを付与するラベル付与手段と、
前記ラベル付与手段により付与されたラベルと記憶手段に保持されたラベルごとに帯域が割当てられた帯域制御情報とを照合し、前記フレームを前記ラベルに対応付けて予め登録された帯域の範囲内でリング網へ送出する帯域制御手段と
を備えたことを特徴とする伝送装置。」

という発明(以下、「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。

2.新規事項の有無、補正の目的要件について
本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された、「帯域制御情報」に関し、「ラベルごとに帯域が割当てられた」と付加して限定し、また、「予め登録された帯域」に関し、「前記ラベルに対応付けて」と付加して限定して、特許請求の範囲を減縮するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項(新規事項)及び特許法第17条の2第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。

3.独立特許要件について
本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で補正後の発明として認定したとおりである。

(2)引用発明
A 原審の平成21年12月7日付け拒絶理由で引用された特開2002-374279号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はノード装置及びネットワークシステム並びに通信制御方法に関し、特に離れた場所に存在する各拠点に構築されているLAN(Local Area Network)を、一つのLANに統合する広域LANネットワーク構築方式に関するものである。」(3頁3欄)

ロ.「【0017】
【発明の実施の形態】以下に図面を用いて本発明の実施例を説明する。図1は本発明の実施例のシステム構築図であり、図8と同等部分は同一符号にて示している。図1を参照すると、LAN A-1?A-3と、LAN B-1?B-3とが設けられており、これ等各LAN対応にパケットスイッチノード1?6が設けられている。これ等パケットスイッチノードはリング状伝送路100により接続されているが、これは単に一例を示すものであってスター状接続でも可能である。
【0018】各パケットスイッチノード1?6は各拠点A-1?A-3、B-1?B-3のLANとそれぞれ接続されて、A-1?A-3とB-1?B-3のLANを透過的に接続し、A-1?A-3およびB-1?B-3の2つの広域LANを提供する例である。
【0019】パケットスイッチノード間には、広域LANとして接続したいLAN間にフルメッシュ状にパケットパス12や13が設定されているものとする。そして、LANの通信プロトコルとしては、イサーネット(Ethernet)またはIEEE802等のプロトコルが用いられる。これらイサーネットやIEEE802のプロトコルに準拠したパケットを、LANパケットと呼ぶものとする。このLANパケットには送信元と送信先とを示す2つのMACアドレスが付加されており、イサーネットやIEEE802.3プロトコルには、このMACアドレスをみて送り先を決定するブリッジ機能がある。従って、パケットスイッチノードのLANインタフェース部には、このブリッジ機能を有する構成としておき、パケットスイッチノードの各々は、LANからパケットスイッチノードに入力されたLANパケットは、送出先MACアドレスにより送信先が検索され、設定されているパケットパスのなかから送信すべきパケットパスを選択して送信する。
【0020】パケットパスに送信されたパケットはいくつかのパケットスイッチノードを経由して所望のLANが接続されているパケットスイッチノードへ到着し、パケットパスからパケットが取出されて所望のLANへと出力されることになる。
【0021】この様に、本発明による広域LANネットワークシステム10においては、パケットスイッチノード内に設けられた、LANとのインタフェースをなすLANインタフェース部に、LAN通信プロトコルのブリッジ機能を設けることで、広域LAN接続したいLAN間を、このパケットスイッチノードによりパケットパスを用いてフルメッシュ状に接続することができ、経済的な広域LANネットワーク10を構築できることになる。
【0022】図2を参照すると、図1におけるパケットスイッチノード1?6の構成が示されており、パケットスイッチノードは、複数のLANインタフェース部2-1と、パケットスイッチ部2-2と、複数のネットワークインタフェース部2-3とから構成されている。
【0023】LANインタフェース部2-1はLANとの接続インタフェースであり、ネットワークインタフェース部2-3はパケットスイッチノード間の接続インタフェースであり、パケットパスとの接続インタフェースでもある。また、LANインタフェース部2-1は、LANパケットをパケットスイッチノード間のパケットパスを流れるパケットフォーマット(以下、パスパケットと称す)に変換するパケット変換部2-1-1と、LANパケットのMACアドレスから送信すべきパケットパスを解決するMACアドレス解決部2-1-2とから構成されている。
【0024】このLANパケットのフォーマット例が図3の上側に示されており、ヘッダ部にはMACアドレス(送信元と送信先の各アドレス)が示されている。なお、FCSはフレームチェシーケンスを示している。
【0025】また、パケットスイッチ部2-2は、LANインタフェース部2-1およびネットワークインタフェース部2-3からのパスパケットをスイッチングするためのスイッチ部2-2-1と、スイッチグする際に参照するパスラベルテーブル2-2-2とを有している。このパスパケットのフォーマット例が図3の下側に示されており、LANパケットにさらにパスラベルが付加されたものであり、このパスラベルは、このパスパケットがどのパケットパスを通るものかを示す情報であり、これ等LANパケットとパスパケットの変換に関しては、後述する。
【0026】パスラベルテーブル2-2-2は、パスパケットに付加されたパスラベルの値と出力するインタフェース部の対応表であり、図5に示すものである。
【0027】スイッチ部2-2-1は、このパスラベルテーブル2-2-2に設定された対応表に従って、LANインタフェース部2-1およびネットワークインタフェース部2-3からのパケットをスイッチングするものである。
【0028】次に、本発明の実施例の動作について、図6,7のフローチャートを参照しつつ説明する。図1に示した各LANはパケットスイッチノード1?6に接続されており、別のLANへのパケットはこれ等パケットスイッチノードを介して転送される。
【0029】LANからのパケットは、まずLANインタフェース部2-1で受け取られる(ステップS1)。LANインタフェース部2-1で受け取られたLANパケットは、MACアドレス解決部2-1-2においてLANパケットの送信先MACアドレスから送出すべきパケットパスが決定される(ステップS2)。この場合、MACアドレス解決部2-1-2は、図4に示す送出先MACアドレスと送出先パケットパスを示すパスレベルとの対応表を持っており、この対応表に従って送出すべきパッケトパスを決定するのである。
【0030】そして、パケット変換部2-1-1において、図3の上側に示すLANパケットに対して、対応するパスラベルが付加されて、図3の下側に示すパスパケットに変換され(ステップS3)、パケットスイッチ部2-2へ送られる。パケットスイッチ部2-2では、パスパケットのパスラベルから、図5に示したラベルテーブル2-2-2を参照して、転送すべき出力インタフェース部(ネットワークインタフェース部2-3またはLANインタフェース部2-1)を決定する(ステップS4)する。この決定されたインタフェース部へ出力される(ステップS5)。
【0031】ネットワークインタフェース部2-3に転送されたパスパケットは、ネットワークインタフェース部2-3より外部へ出力される。ネットワークインタフェース部2-3は次のパケットスイッチノードのネットワークインタフェースに接続されており、ネットワークインタフェース部2-3から出力されたパスパケットは次のパケットスイッチノードのネットワークインタフェース部2-3へ入力される。
【0032】ネットワークインタフェース部2-3に入力されたパスパケットは(ステップS11)、パケットスイッチ部2-2へ出力され、パケットスイッチ部2-2で、同様にパスラベルの値に従って出力インタフェースへ転送される(ステップS12)。パケットスイッチ部2-2からLANインタフェース部2-1へ転送されたパスパケットは(ステップS13,S15)、パケット変換部2-1-1でパスパケットのパスラベルを削除したLANパケットに変換され(ステップS16)、接続されているLANへLANパケットとして出力される(ステップS17)。
【0033】ステップS13で、パスパケットがネットワークインタフェース部へ送出すべきものと決定された場合には、決定されたネットワークインタフェース部へ、そのままパスパケットとして出力される(ステップS14)。
【0034】図1において、パケットパスがパケットスイッチノード1→2→3→4と設定されているLAN A-1からA-3へのパケット転送は、パケットスイッチノード1でLANパケットに対応したパスラベルが付加されたパスパケットに変換され、パケットスイッチノード1→2→3→4と転送され、パケットスイッチ4でパスラベルが除かれたLANパケットに戻されて、A-3のLANへ出力されることになる。」(4頁6欄?6頁9欄)

上記引用例1の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記摘記事項ロ.の【0017】における「LAN A-1?A-3と、LAN B-1?B-3とが設けられており、これ等各LAN対応にパケットスイッチノード1?6が設けられている。これ等パケットスイッチノードはリング状伝送路100により接続されている」との記載、及び図1によれば、パケットスイッチノード(1?6)は、リング状伝送路(100)により接続されている。すなわち、パケットスイッチノード(1?6)は、リング網を構成するものということができる。
また、上記摘記事項ロ.の【0019】における「パケットスイッチノード間には、広域LANとして接続したいLAN間にフルメッシュ状にパケットパス12や13が設定されているものとする。そして、LANの通信プロトコルとしては、イサーネット(Ethernet)またはIEEE802等のプロトコルが用いられる。」との記載によれば、前述のパケットスイッチノード(1?6)は、イサーネット(Ethernet)を用いるものである。
また、上記摘記事項ロ.の【0029】における「LANからのパケットは、まずLANインタフェース部2-1で受け取られる(ステップS1)。LANインタフェース部2-1で受け取られたLANパケットは、MACアドレス解決部2-1-2においてLANパケットの送信先MACアドレスから送出すべきパケットパスが決定される(ステップS2)。」との記載、ロ.の【0030】における「パケット変換部2-1-1において、図3の上側に示すLANパケットに対して、対応するパスラベルが付加されて、図3の下側に示すパスパケットに変換され(ステップS3)、パケットスイッチ部2-2へ送られる。」との記載、図3及び図6によれば、パケットスイッチノード(1?6)のパケット変換部(2-1-1)は、LAN(A-1?A-3,B-1?B-3)から受け取ったパケットに、パスラベルを付加している。

したがって、上記引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されている。

「イサーネット(Ethernet)を用いてリング網を構成するパケットスイッチノード(1?6)であって、
LAN(A-1?A-3,B-1?B-3)から受け取ったパケットに、パスラベルを付加するパケット変換部(2-1-1)、
を備えたパケットスイッチノード(1?6)。」

B 当審で新たに引用する国際公開第2004/051942号(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ハ.「技術分野
本発明は、通信装置および帯域管理方法に係り、特にネットワーク上の一部の情報機器で仮想的なグループを構築する通信装置およびその通信装置の帯域管理方法に関する。」(1頁5?8行)

ニ.「図5は、本発明の通信装置を用いた実施例であり、特にブリッジ装置を用いたイーサネット網の一実施例の構成図である。なお、本実施例では、東京本店,名古屋支店および大阪支店に拠点を持つユーザAが、東京本店と名古屋支店との間を20Mb/s,東京本店と大阪支店との間を80Mb/sで接続した例について説明する。
ユーザAが東京本店,名古屋支店,大阪支店の3拠点でイーサネットサービスを契約した場合、東京本店に設置されたステーション3aと,名古屋支店に設置されたステーション3bと,大阪支店に設置されたステーション3cとは仮想的なグループを作成する。
ステーション3aは、ブリッジ装置1aに接続されている。ステーション3bは、ブリッジ装置1bに接続されている。また、ステーション3cはブリッジ装置1cに接続されている。ブリッジ装置1a?1cは、ブリッジ装置2を介して互いに接続されている。
ブリッジ1a?1c,2間を転送されるフレームは、ユーザのグループを識別する1段目のVLANタグV1と,方路を識別する2段目のVLANタグV2とが付与されている。図5では、ユーザAのグループにVLANタグV1=1,東京本店と名古屋支店との間の方路にVLANタグV2=3,東京本店と大阪支店との間の方路にVLANタグV2=5を割り当てた例を表している。なお、図5ではブリッジ1a?1c,2間を転送されるフレームのVLANタグV1およびV2のみが記載されており、他の部分を省略している。」(7頁6?25行)

ホ.「図6は、ブリッジ装置1aの一例の構成図である。ブリッジ装置1aは、VLANタグV1付与部10,MAC検索部11,キュー制御部12,1つ以上のキュー13,書込み制御部14,読出し制御部15,MACテーブル16を含むように構成されている。なお、図5ではブリッジ1aを通過するフレームのVLANタグV1,VLANタグV2,DA(Destination Address)およびSA(Source Address)のみが記載されており、他の部分を省略している。
例えば図5のようにステーション3aが直接接続されている場合、ポートVLANであるので、ブリッジ装置1aのVLANタグV1付与部10はステーション3aから受信したフレームにVLANタグV1を付与してMAC検索部11に送信する。
一方、ステーション3aが直接接続されていない場合、タグVLANであるので、前段の装置でVLANタグV1を付与されたフレームがMAC検索部11に送信される。
MAC検索部11は、受信したフレームからDAおよびVLANタグV1を読み出し、そのDAおよびVLANタグV1をキー情報としてMACテーブル16からVLANタグV2および出力すべきポートを検索する。なお、MACテーブル16はDAおよびVLANタグV1とポートおよびVLANタグV2とを関連付けたものである。そして、MAC検索部11は検索したVLANタグV2をフレームに付与し、そのフレームをキュー制御部12に送信する。
キュー制御部12の書込み制御部14は、受信したフレームからVLANタグV1およびV2を読み出し、そのVLANタグV1およびV2を用いて後述するようにフレームを蓄積すべきキュー13を検索する。そして、キュー制御部12は検索したキュー13にフレームを蓄積する。
キュー制御部12の読出し制御部15は、キュー13毎に設定されている読み出しレートを後述するように検索し、その読み出しレートとなるようにキュー13からフレームを読み出す。したがって、キュー制御部12はフレームの読み出しレートをキュー毎に制御することができる。
ここで、キュー制御部12の動作について詳しく説明する。図7は、キュー制御部12の第1実施例の構成図である。図7のキュー制御部12は、1つ以上のキュー13,書込み制御部14,読出し制御部15,キュー振分けテーブル17およびシェーピングテーブル18を含むように構成される。
キュー制御部12の書込み制御部14は、受信したフレームからVLANタグV1およびV2を読み出し、そのVLANタグV1およびV2をキー情報としてキュー振分けテーブル17を検索する。なお、キュー振分けテーブル17はVLANタグV1およびV2とキューとを関連付けたものである。そして、書込み制御部14は検索したキュー13にフレームを蓄積する。
つまり、図7のキュー13はVLANタグV1およびV2の組み合わせ毎に分割されている。したがって、キュー制御部12は受信したフレームをVLANタグV1およびV2に応じて振り分ける。
キュー制御部12の読出し制御部15は、キュー13毎に設定されている読み出しレートをシェーピングテーブル18から検索し、その読み出しレートとなるようにキュー13からフレームを読み出す。したがって、キュー制御部12はフレームの読み出しレートをキュー毎に制御することができる。」(9頁7行?10頁21行)

上記引用例2の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記摘記事項ホ.における「キュー制御部12の書込み制御部14は、受信したフレームからVLANタグV1およびV2を読み出し、そのVLANタグV1およびV2をキー情報としてキュー振分けテーブル17を検索する。なお、キュー振分けテーブル17はVLANタグV1およびV2とキューとを関連付けたものである。そして、書込み制御部14は検索したキュー13にフレームを蓄積する。つまり、図7のキュー13はVLANタグV1およびV2の組み合わせ毎に分割されている。したがって、キュー制御部12は受信したフレームをVLANタグV1およびV2に応じて振り分ける。キュー制御部12の読出し制御部15は、キュー13毎に設定されている読み出しレートをシェーピングテーブル18から検索し、その読み出しレートとなるようにキュー13からフレームを読み出す。したがって、キュー制御部12はフレームの読み出しレートをキュー毎に制御することができる。」との記載、FIG.5乃至FIG.7によれば、ブリッジ装置(1a)のキュー制御部(12)は、VLANタグV1及びV2の組み合わせを、VLANタグV1及びV2の組み合わせ毎に帯域が割り当てられたシェーピングテーブル(18)から検索していることが読み取れる。そして、FIG.7によれば、シェーピングテーブル(18)には、読み出しレートとして、20M、30M、10M・・・が設定されていることが見て取れるから、キュー制御部(12)は、フレームをVLANタグV1及びV2の組み合わせに対応付けて予め設定された帯域の範囲でイーサネット(Ethernet)網へ送出しているということができる。
また、前述のシェーピングテーブル(18)は、記憶手段に保持されていることは自明である。

したがって、上記引用例2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されている。

「VLANタグV1及びV2の組み合わせを、記憶手段に保持されたVLANタグV1及びV2の組み合わせ毎に帯域が割り当てられたシェーピングテーブル(18)から検索し、フレームを前記VLANタグV1及びV2の組み合わせに対応付けて予め設定された帯域の範囲でイーサネット(Ethernet)網へ送出するキュー制御部(12)、
を備えたブリッジ装置(1a)。」

(3)対比・判断
補正後の発明と引用発明1とを対比する。
a.引用発明1の「LAN(A-1?A-3,B-1?B-3)」及び「パケット」は、補正後の発明の「リング網の外部」及び「フレーム」にそれぞれ相当する。
b.引用発明1の「受け取った」は、「受信した」と同義である。
c.引用発明1の「パスラベル」と、補正後の発明の「当該フレームを前記リング網内に送出するリング網上の伝送装置である送信元伝送装置を示す情報と、当該フレームを前記リング網の外部に送出するリング網上の伝送装置である送信先伝送装置を示す情報とを示すラベル」とは、いずれも、「特定の識別子」という点で一致する。
d.引用発明1の「パケット変換部(2-1-1)」と、補正後の発明の「ラベル付与手段」とは、上記c.の対比を考慮すれば、引用発明1の「パケット変換部(2-1-1)」は、パスラベル(特定の識別子)を付加(付与)しているから、いずれも、「識別子付与手段」という点で一致する。
e.引用発明1の「パケットスイッチノード(1?6)」は、「伝送装置」の一種である。

したがって、補正後の発明と引用発明1は、以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「イーサネット(登録商標)をもちいてリング網を構成する伝送装置であって、
リング網の外部から受信したフレームに、特定の識別子を付与する識別子付与手段、
を備えた伝送装置。」

(相違点1)
「特定の識別子」に関し、
補正後の発明は、「当該フレームを前記リング網内に送出するリング網上の伝送装置である送信元伝送装置を示す情報と、当該フレームを前記リング網の外部に送出するリング網上の伝送装置である送信先伝送装置を示す情報とを示すラベル」であるのに対し、引用発明1は、「パスラベル」である点。

(相違点2)
「識別子付与手段」に関し、
補正後の発明は、「ラベル付与手段」であるのに対し、引用発明1は、「パケット変換部(2-1-1)」である点。

(相違点3)
補正後の発明は、「前記ラベル付与手段により付与されたラベルと記憶手段に保持されたラベルごとに帯域が割当てられた帯域制御情報とを照合し、前記フレームを前記ラベルに対応付けて予め登録された帯域の範囲内でリング網へ送出する帯域制御手段」を備えるのに対し、引用発明1は、その様な帯域制御に係る構成を備えていない点。

そこで、まず、上記相違点1及び2について検討する。
引用発明1は、「パスラベル」であるところ、上記引用例1の上記摘記事項ロ.の【0034】における「図1において、パケットパスがパケットスイッチノード1→2→3→4と設定されているLAN A-1からA-3へのパケット転送は、パケットスイッチノード1でLANパケットに対応したパスラベルが付加されたパスパケットに変換され、パケットスイッチノード1→2→3→4と転送され・・・」との記載によれば、パケットパス(1→2→3→4)は、パケット(フレーム)をリング網内に送出するリング網上のパケットスイッチノード(伝送装置)である「1」(送信元伝送装置を示す情報)と、当該パケット(フレーム)をリング網の外部に送出するリング網上のパケットスイッチノード(伝送装置)である「4」(送信先伝送装置を示す情報)を含むものであり、また、リング網を伝送するための識別子として、フレームをリング網内に送出するリング網上の伝送装置である送信元伝送装置を示す情報と、当該フレームをリング網の外部に送出するリング網上の伝送装置である送信先伝送装置を示す情報とを用いることは、例えば、原審の拒絶査定で引用された特開昭64-60125号公報(2頁左上欄1?8行、第3図)に開示されるように周知であるから、引用発明1の「パスラベル」を、補正後の発明のように「当該フレームを前記リング網内に送出するリング網上の伝送装置である送信元伝送装置を示す情報と、当該フレームを前記リング網の外部に送出するリング網上の伝送装置である送信先伝送装置を示す情報とを示すラベル」とすることは当業者が容易に成し得ることである。また、その際、「識別子付与手段」に関し、引用発明1の「パケット変換部(2-1-1)」を、補正後の発明のように「ラベル付与手段」と称することができることは当然である。

次に、上記相違点3について検討する。
伝送装置において、帯域制御をすることは、例えば、引用発明2にもあるように一般的な課題であるところ、上記相違点1及び2についての検討を踏まえると、引用発明1に引用発明2を適用して、補正後の発明のように「前記ラベル付与手段により付与されたラベルと記憶手段に保持されたラベルごとに帯域が割当てられた帯域制御情報とを照合し、前記フレームを前記ラベルに対応付けて予め登録された帯域の範囲内でリング網へ送出する帯域制御手段」を設けることは当業者が容易に成し得ることである。

そして、補正後の発明の作用効果も、引用発明1、2及び周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。

以上のとおり、補正後の発明は引用発明1、2及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.結語
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成22年10月13日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2 補正却下の決定 1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明
C 引用発明1は、上記「第2 補正却下の決定 3.独立特許要件について (2)引用発明 A」の項で、「引用発明1」として認定したとおりである。

D 原審の平成21年12月7日付け拒絶理由で引用された特開2001-77856号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ヘ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信装置および通信方法、並びに記録媒体に関し、特に、例えば、イーサネット(Ethernet)(商標)等において、QoS(Quality of Service)保証された通信を行うことができるようにする通信装置および通信方法、並びに記録媒体に関する。」(2頁2欄)

ト.「【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の通信装置は、パケットに対するサービス品質と、パケットのタイプフィールドの値とを対応付けた、パケットに対するサービス品質を管理するための管理テーブルを設定する設定手段と、パケットを、そのタイプフィールドの値に対応付けられているサービス品質で受信または送信するための制御を行う通信制御手段とを含むことを特徴とする。」(4頁5欄)

チ.「【0038】次に、図3は、図2の通信端末1A乃至1Cやイーサネットスイッチ2で扱われるパケットを示している。
【0039】図3のパケットは、前述の図1(A)に示した従来のパケットと同一構成となっている。但し、図1(A)では、タイプのフィールド(タイプフィールド)には、ペイロードに配置されるデータのプロトコルタイプ、またはパケット長が配置されるようになっていたが、図3では、タイプフィールドには、フロー(一連のパケット)の識別子(フロー識別子)が配置されるようになっている。」(5頁7欄)

リ.「【0049】次に、図5は、図2のイーサネットスイッチ2や、図4のイーサネット通信端末1Aで設定されるQoS管理テーブルを示している。
【0050】QoS管理テーブルには、図3のパケットに配置される宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、およびタイプフィールドの値(タイプ値)と、そのパケットに対するQoSの内容(種類)とが対応付けて登録される。なお、図5の実施の形態では、パケットが送信または受信されるポートのポート番号も、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、およびタイプ値に対応付けられて登録されている。
【0051】ここで、図5のQoS管理テーブルにおいて、例えば、エントリ#1(上から1行目のエントリ)には、宛先MACアドレスが00-00-00-00-00-01、送信元MACアドレスが00-00-00-00-00-02、タイプ値が0xABCDのパケットが、ポート番号が5のポートから送信または受信されることが設定されている。さらに、エントリ#1には、宛先MACアドレスが00-00-00-00-00-01、送信元MACアドレスが00-00-00-00-00-02、タイプ値が0xABCDのパケットに保証するQoSとして、UBR(Unabailable Bit Rate)によること、遅延時間が最大で10マイクロ秒であること、揺らぎが最大で10マイクロ秒であること、優先順位が20番目であることが設定されている。
【0052】また、例えば、エントリ#3には、宛先MACアドレスが00-00-00-00-00-03、送信元MACアドレスが00-00-00-00-00-01、タイプ値が0xABCEのパケットが、ポート番号が1のポートから送信または受信されることが設定されている。さらに、エントリ#2には、宛先MACアドレスが00-00-00-00-00-03、送信元MACアドレスが00-00-00-00-00-01、タイプ値が0xABCEのパケットに保証するQoSとして、最大で10Mbps(bit per second)のUBR(Constant Bit Rate)によること、遅延時間が最大で20マイクロ秒であること、揺らぎが最大で30マイクロ秒であること、優先順位が20番目であることが設定されている。」(6頁9?10欄)

ヌ.「【0093】次に、図8は、図2のイーサネットスイッチ2の機能的構成例を示している。
【0094】送信されてきたパケットは、入力ポート#i(図2の入出力ポート15iに相当する)で受信され、ルーティング/交換ブロック41に供給される。ルーティング/交換ブロック41は、そこに入力されるパケットの宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプ値を、QoS管理テーブルを必要に応じて参照して変換し、適切な出力ポート#j(図2の入出力ポート15jに相当する)に接続されているQoS保証器42jに振り分ける。
【0095】ここで、ルーティング/交換ブロック41は、タイプ値の変換を除けば、従来のイーサネットスイッチにおけるルーティング/変換処理と同様の処理(スイッチング処理)を行う。
【0096】また、ルーティング/交換ブロック41は、そこに入力されるパケットに対するQoSを阻害しないような、十分な速度で、入力されたパケットを、QoS保証器42jに出力することができるようになっている。即ち、ルーティング/交換ブロック41は、少なくとも、入力ポートの回線速度の、入力ポート数倍(従って、ここでは、N倍)であるN倍の速度で、入力されたパケットを出力(スイッチング)するようになっている。
【0097】QoS保証器42jでは、ルーティング/交換ブロック41からのパケットに対して、そのパケットに指定されたQoSを保証するための処理が施され、出力ポート#jから出力される。
【0098】次に、図9は、図8のQoS保証器42jの構成例を示している。なお、図9においては、図が煩雑になるのを避けるため、図示していないが、図9のQoS保証器42jを構成する所定のブロックは、必要に応じて、QoS管理テーブルにアクセスすることができるようになっている。
【0099】ルーティング/交換ブロック41(図8)から出力されたパケットは、識別子分離器51に供給される。識別子分離器51は、そこに入力されるパケットから、フローの識別子としての宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、およびタイプ値と、ペイロードとを分離し、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、およびタイプ値(以下、適宜、これらをまとめて、フロー識別子という)を、フロー識別器52に出力するとともに、ペイロードを演算器54に出力する。
【0100】フロー識別器52は、識別子分離器51からのフロー識別子に応じて、そのフロー識別子によって識別されるフローを構成するパケットのペイロードを格納すべき送信用キュー53kに対して、書き込み信号を出力する。
【0101】一方、演算器54は、識別子分離器51からのペイロードに対して、そのペイロードが配置されたパケットの到着時刻等を付加し、送信キュー531乃至53Kすべてに出力する。
【0102】そして、送信キュー531乃至53Kのうち、フロー識別器52から書き込み信号を受信した送信キュー53kでは、演算器54からのペイロードが格納される。
【0103】なお、演算器54においてペイロードに付加されるパケットの到着時刻は、ジッタや遅延時間を制限するためのQoSに使用される。
【0104】また、図9の実施の形態では、K個の送信キュー531乃至53Kが設けられているが、このK個の送信キュー531乃至53Kのうちのいずれに、パケットのペイロードが格納されるかは、そのパケットの優先順位に基づいて決定される。即ち、フロー識別器52は、QoS管理テーブルを参照することで、パケットのフロー識別子から、パケットの優先順位を判定し、その判定結果に基づいて、K個の送信キュー531乃至53Kのうちのいずれかに、書き込み信号を出力するようになっている。
【0105】送信キュー531乃至53Kそれぞれは、スケジューラ57に対して、自身が保持しているペイロードの出力の要求を、その出力しようとしているペイロードが配置されていたパケットのQoS識別子等とともに出力する。
【0106】ここで、QoS識別子は、パケットに対して、どのようなQoS保証を行うべきかを識別するための、QoS管理テーブルに設定されたQoSの内容に対する、いわゆるポインタで、ペイロードが、送信キュー53kに格納されるときに、そのペイロードに付加されるようになっている。従って、ここでは、送信キュー53kが出力しようとしているペイロードが配置されていたパケットに対して保証すべきQoSは、そのペイロードに付加されているQoS識別子から、QoS管理テーブルを参照することで認識することができるようになっている。
【0107】スケジューラ57は、送信キュー53kから、ペイロードの出力の要求を受信すると、その要求とともに送信キュー53kから供給されるQoS識別子、および後述するようにしてフロー情報保持器56が保持する情報に基づいて、送信キュー531乃至53Kのうちのいずれが保持しているペイロードを出力すべきかを決定するスケジューリングを行う。ここで、スケジューリングの方式としては、様々なものがあるが、スケジューラ57には、必要なスケジューリングを行うためのソフトウェアやハードウェアを実装されている。
【0108】スケジューラ57は、スケジューリングの結果、ペイロードを出力させる送信キュー53kを決定すると、そのペイロードを出力するように、MUX(マルチプレクサ)55を制御する。
【0109】MUX55は、スケジューラ57の制御にしたがい、送信キュー53kからペイロードを受信し、さらに、QoS管理テーブルを参照することで、そのペイロードに、宛先MACアドレスや送信元MACアドレス等を付加することにより、イーサネットパケット(図3)を構成し、出力ポート#j(図8)に出力する。」(9頁16欄?10頁18欄)

上記引用例3の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記摘記事項ヌ.の【0098】?【0100】、【0104】?【0106】、【0109】の記載、図5、図8及び図9によれば、イーサネットスイッチのQoS保証器は、フロー識別子から、QoS管理テーブルを参照していることが読み取れる。そして、図5によれば、QoS管理テーブルには、保証する帯域として、CBR(Constant Bit Rate)bandwidth(帯域)が設定されていることが見て取れるから、パケットを予め設定された帯域の範囲内で出力ポートへ出力しているということができる。
また、前述のQoS管理テーブルは、記憶手段に保持されていることは自明である。
また、前述の出力ポートの後段には、イーサネット(Ethernet)ネットワークがあることは自明である。

したがって、上記引用例3には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が開示されている。

「フロー識別子から、QoS管理テーブルを参照し、パケットを予め設定された帯域の範囲内でイーサネット(Ethernet)ネットワークへ送出するQoS保証器、
を備えたイーサネットスイッチ。」

3.対比・判断
本願発明と引用発明1とを対比する。
f.引用発明1の「LAN(A-1?A-3,B-1?B-3)」及び「パケット」は、本願発明の「リング網の外部」及び「フレーム」にそれぞれ相当する。
g.引用発明1の「受け取った」は、「受信した」と同義である。
h.引用発明1の「パスラベル」と、本願発明の「当該フレームを前記リング網内に送出するリング網上の伝送装置である送信元伝送装置を示す情報と、当該フレームを前記リング網の外部に送出するリング網上の伝送装置である送信先伝送装置を示す情報とを示すラベル」とは、いずれも、「特定の識別子」という点で一致する。
i.引用発明1の「パケット変換部(2-1-1)」と、本願発明の「ラベル付与手段」とは、上記c.の対比を考慮すれば、引用発明1の「パケット変換部(2-1-1)」は、パスラベル(特定の識別子)を付加(付与)しているから、いずれも、「識別子付与手段」という点で一致する。
j.引用発明1の「パケットスイッチノード(1?6)」は、「伝送装置」の一種である。

したがって、本願発明と引用発明1は、以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「イーサネット(登録商標)をもちいてリング網を構成する伝送装置であって、
リング網の外部から受信したフレームに、特定の識別子を付与する識別子付与手段、
を備えた伝送装置。」

(相違点1)
「特定の識別子」に関し、
本願発明は、「当該フレームを前記リング網内に送出するリング網上の伝送装置である送信元伝送装置を示す情報と、当該フレームを前記リング網の外部に送出するリング網上の伝送装置である送信先伝送装置を示す情報とを示すラベル」であるのに対し、引用発明1は、「パスラベル」である点。

(相違点2)
「識別子付与手段」に関し、
補正後の発明は、「ラベル付与手段」であるのに対し、引用発明1は、「パケット変換部(2-1-1)」である点。

(相違点3)
本願発明は、「前記ラベル付与手段により付与されたラベルと記憶手段に保持された帯域制御情報とを照合し、前記フレームを予め登録された帯域の範囲内でリング網へ送出する帯域制御手段」を備えるのに対し、引用発明1は、その様な帯域制御に係る構成を備えていない点。

そこで、まず、上記相違点1及び2について検討する。
引用発明1は、「パスラベル」であるところ、上記引用例1の上記摘記事項ロ.の【0034】における「図1において、パケットパスがパケットスイッチノード1→2→3→4と設定されているLAN A-1からA-3へのパケット転送は、パケットスイッチノード1でLANパケットに対応したパスラベルが付加されたパスパケットに変換され、パケットスイッチノード1→2→3→4と転送され・・・」との記載によれば、パケットパス(1→2→3→4)は、パケット(フレーム)をリング網内に送出するリング網上のパケットスイッチノード(伝送装置)である「1」(送信元伝送装置を示す情報)と、当該パケット(フレーム)をリング網の外部に送出するリング網上のパケットスイッチノード(伝送装置)である「4」(送信先伝送装置を示す情報)を含むものであり、また、リング網を伝送するための識別子として、フレームをリング網内に送出するリング網上の伝送装置である送信元伝送装置を示す情報と、当該フレームをリング網の外部に送出するリング網上の伝送装置である送信先伝送装置を示す情報とを用いることは、例えば、原審の拒絶査定で引用された特開昭64-60125号公報(2頁左上欄1?8行、第3図)に開示されるように周知であるから、引用発明1の「パスラベル」を、本願発明のように「当該フレームを前記リング網内に送出するリング網上の伝送装置である送信元伝送装置を示す情報と、当該フレームを前記リング網の外部に送出するリング網上の伝送装置である送信先伝送装置を示す情報とを示すラベル」とすることは当業者が容易に成し得ることである。また、その際、「識別子付与手段」に関し、引用発明1の「パケット変換部(2-1-1)」を、本願発明のように「ラベル付与手段」と称することができることは当然である。

次に、上記相違点3について検討する。
伝送装置において、帯域制御をすることは、例えば、引用発明3にもあるように一般的な課題であるところ、上記相違点1及び2についての検討を踏まえると、引用発明1に引用発明3を適用して、本願発明のように「前記ラベル付与手段により付与されたラベルと記憶手段に保持された帯域制御情報とを照合し、前記フレームを予め登録された帯域の範囲内でリング網へ送出する帯域制御手段」を設けることは当業者が容易に成し得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明1、3及び周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、3及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-02-15 
結審通知日 2012-02-21 
審決日 2012-03-06 
出願番号 特願2007-501486(P2007-501486)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04L)
P 1 8・ 575- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中木 努  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 神谷 健一
萩原 義則
発明の名称 伝送装置および伝送方法  
代理人 酒井 宏明  

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