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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1255878 |
審判番号 | 不服2010-17009 |
総通号数 | 150 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-07-29 |
確定日 | 2012-04-27 |
事件の表示 | 特願2006-286400「業務処理システム、WWWサーバ、業務処理方法、および記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月 8日出願公開、特開2007- 35069〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯・本願発明 本願は、平成10年10月20日に出願された特願平10-298648号の一部を分割して、平成18年10月20日に出願されたものであって、平成21年7月7日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、同年9月14日に意見書が提出されると同時に手続補正がなされたが、平成22年4月23日付けで拒絶査定がされ(発送日同年5月11日)、これに対し、同年7月29日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。そして、本願の請求項4に係る発明は、平成21年9月14日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。 「WWWサーバから画面生成・表示制御機能と画面遷移制御機能とを実行する業務処理プログラムをWWWクライアントにダウンロードし、ネットワークを介してWWWサーバと連携して業務を行うWWWクライアントが、 利用者より該当する業務処理が選択された場合に、当該選択された業務処理に対応する画面情報が記憶されているときには前記WWWサーバより取得せず、一方、記憶されていないときには前記WWWサーバより取得して記憶すると共に、当該WWWクライアントに記憶されている他の業務処理に対応する画面情報を所定のタイミングで削除する画面情報記憶制御機能、および該画面情報記憶制御機能により記憶された画面情報を参照して画面を表示する画面生成・表示制御機能、および画面の表示を削除する画面遷移制御を行う画面遷移制御機能を、業務処理ごとに実行することを特徴とする業務処理方法。」 2 引用刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前である平成10年4月24日に公開された特開平10-105499号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。(下線は当審付与。) (1) 請求項5 「【請求項5】 ビューモジュールがクライアント側に配置されるプログラムであり、コントロールモジュールがサーバ側に配置されるプログラムであることを特徴とする請求項4のプログラムを記録した記録媒体。」 (2) 段落【0014】-【0017】 「【0014】 【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理図であり、本発明においては同図に示すように従来の3階層システムにおけるプレゼンテーション層を、ビューモジュールとコントロールモジュールに分離する。同図において、1はクライアント、1aはビューモジュール、W1?Wnはウィンドウ(ビュー)、2はサーバ、2aはコントロールモジュール、3はファンクション層、4はデータ層である。 【0015】同図において、ビューモジュール1aは画面上の各ウィンドウW1?Wnに対応しており、画面上の操作に従って、コマンドや文字列をコントロールモジュール2aに渡す。ここで、各ウィンドウW1?Wnはそこでの操作が何を意味しており、どのように使われるのか一切知らなくてよい。このため、ビューモジュール1aはアプリケーションに依存せずに作成することができる。また各ウィンドウW1?Wnは自分自身の動作のみについて知っていればよく、ウィンドウ間の遷移などについては知る必要はない。また、コントロールモジュール2aは、各ウィンドウW1?Wnから送られてきたコマンドや文字列を解釈して、必要に応じてファンクション層3のサービスを起動する。また、コントロールモジュール2aはウィンドウW1?Wnを束ねてその遷移の管理を行う。 【0016】このような構成とすることにより、クライアント1上のビューモジュール1aは完全にアプリケーションから独立になるので、システムの設計が容易となり、また、変更に対しても容易に対応できる。なお、図1においては、コントロールモジュール2aをサーバ2側に置いているが、コントロールモジュール2aをクライアント1側においても、上記と同様な効果が得られる。一方、JAVA等を用いてインターネット上でクライアント1にプログラムを送る場合にも、クライアント1側はアプリケーションから独立しているため、容易に対応することができる。 【0017】さらに、図1に示すように、WWW(World Wide Web)ブラウザ5のようなインターネット等のネットワークを介してクライアント1側にプログラムを転送する機能を利用することにより、インターネット等を介してサーバ6(サーバ2と同じサーバでもよい)等から、クライアント1側にビューモジュール1aを転送することもできる。このようにすることにより、クライアント1側に予めビューモジュール1aが用意されていなくても、実行時、ビューモジュール1aをクライアント1に転送できるので、本発明のシステムの適用範囲を一層拡大することができる。」 (3) 段落【0023】-【0026】 「【0023】図4、図5は本実施例のシステムにおいてクライアント側の表示装置に表示される画面の一例を示す図、図6はそのときのクライアントおよびサーバの動作を説明する図であり、図4、図5、図6により本発明の実施例のシステムの適用例を説明する。なお、図4、図5における(a)?(d)は図6の(a)?(d)にそれぞれ対応する。 【0024】システムを立ち上げると、まず、クライアント10の表示装置10に図4(a)に示すトップウィンドウが表示され、これに応じて、図6に示すようにサーバ20にはトップウィンドウに対応したコントロールが創成される。トップウィンドウの上部には図4(a)に示すようにメニューが表示され、該メニューの「ウィンドウ」の中から「ログイン」を選択しパスワード等を入力すると、図6に示すようにサーバ20のトップウィンドウのコントロールによりワークリストのビューが生成されるとともに、ワークリストに対応したコントロールが創成される。 【0025】それに応じて、クライアント10の表示装置には、図4(a)に示すように現在作業者に割り当てられている作業内容を示すワークリストが表示される。ここで、上記ワークリストに表示された作業を実行するため、図4(b)に示すようにプルダウンメニューの「開始」を選択すると、「開始」という文字列がサーバ20に送られる。これに応じて、サーバ20には、作業ウィンドウのコントロールが創成され、また、サーバ20の作業ウィンドウのコントロールが作業ウィンドウのビューをクライアントに転送する(図6)。これに応じて、クライアント10の表示装置には図5(c)に示すように、作業ウィンドウが表示される。 【0026】作業者は、上記作業ウィンドウ上の必要な項目に入力し編集作業等を行う。この処理はクライアント10の作業ウィンドウ上で行われ、この間クライアント、サーバ間で通信は行われない。作業ウィンドウ上での作業が終了し、図5(d)に示すように作業者がプルダウンメニューの「終了」を選択すると、図6に示すように作業ウィンドウ上の編集結果がサーバ20に転送される。これに応じて、サーバ20の作業ウィンドウのコントロールは編集結果を処理し、必要に応じてファンクション層のサービスを起動する。また、作業ウィンドウのコントロールがクライアント10の作業ウィンドウを閉じ、ついで、サーバ20のトップウィンドウのコントロールが作業ウィンドウのコントロールを消去する。」 (4) 段落【0029】-【0031】 「【0029】図7は本発明の他の実施例を示す図であり、同図はインターネットを介してクライアント側にビューモジュールを転送する実施例を示している。同図において、10はクライアントであり、クライアント10はWWWブラウザのようなインターネットを介してプログラムの転送を依頼する手段を備えている。20はサーバであり、サーバ20は前記したように、コントロール層、ファンクション層、データ層を備えている。30はWWWサーバであり、WWWサーバにはトップウィンドウのビューモジュール1aが置かれている。 【0030】同図において、クライアント10の表示画面上にウィンドウを開くには、まずWWWブラウザにより、WWWサーバ30にアクセスし(同図(1)(審決注:「丸数字1」等は、(1)等と表記した。))、WWWサーバからクライアント10にJAVAアプレット(上記ビューモジュール)を送信する(同図(2))。クライアント10に上記ビューモジュール(トップウィンドウに対応するビューモジュール)が送られると、送信されたビューモジュールにより、クライアント10とサーバ20との通信路が確立するとともに、クライアント10の表示画面上にトップウィンドウが表示される。 【0031】作業者が上記トップウィンドウの作業メニューを選択すると、サーバ20のコントロールモジュール21と接続が行われ、前記したようにクライアント10の表示画面上に作業ウィンドウが開くとともに、コントロールモジュール21には対応したコントロール21aが創成される。以下、クライアント10とサーバ20間で前記したような手順で処理が行われ所望の作業が実行される。上記構成とすることにより、クライアント10側にトップビューが置かれていなくても、クライアント10がインターネット等のネットワークを介してプログラムの転送を依頼する機能(例えばWWW2ブラウザ等)を備えていれば、本発明のシステムを利用することができ、本システムの適用範囲を拡大することができる。」 これらの引用例の記載から、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ビューモジュールがクライアント側に配置されるプログラムであり、コントロールモジュールがサーバ側に配置されるプログラムであり、 ビューモジュールは画面上の各ウィンドウW1?Wnに対応しており、画面上の操作に従って、コマンドや文字列をコントロールモジュールに渡し、 コントロールモジュールは、各ウィンドウW1?Wnから送られてきたコマンドや文字列を解釈して、必要に応じてファンクション層のサービスを起動し、また、ウィンドウW1?Wnを束ねてその遷移の管理を行うものであり、 コントロールモジュールをクライアント側においても、同様な効果が得られるものであり、 クライアント10はWWWブラウザのようなインターネットを介してプログラムの転送を依頼する手段を備えており、 サーバ20は、コントロール層、ファンクション層、データ層を備えており、 WWWサーバ30にはトップウィンドウのビューモジュール1aが置かれており、 クライアント10の表示画面上にウィンドウを開くには、まずWWWブラウザにより、WWWサーバ30にアクセスし、 WWWサーバからクライアント10にJAVAアプレット(上記ビューモジュール)を送信し、 クライアント10に上記ビューモジュール(トップウィンドウに対応するビューモジュール)が送られると、送信されたビューモジュールにより、クライアント10とサーバ20との通信路が確立するとともに、クライアント10の表示画面上にトップウィンドウが表示され、 作業者が上記トップウィンドウの作業メニューを選択すると、サーバ20のコントロールモジュール21と接続が行われ、クライアント10の表示画面上に作業ウィンドウが開くとともに、コントロールモジュール21には対応したコントロール21aが創成され、 以下、クライアント10とサーバ20間で、処理が行われ所望の作業が実行される、方法。」 3 対比 (1) 引用発明の「ビューモジュール」は、「画面上の各ウィンドウW1?Wnに対応し」、「トップウィンドウに対応するビューモジュール」であるJAVAアプレットが、クライアントに送られることで、「クライアント10の表示画面上にトップウィンドウが表示され」るから、本願発明の「画面生成・表示制御機能」に相当する。 引用発明の「コントロールモジュール」は、「ウィンドウW1?Wnを束ねてその遷移の管理を行う」から、本願発明の「画面遷移制御機能」に相当する。 引用発明の「ビューモジュール」と「コントロールモジュール」は、いずれも「プログラム」であって、引用発明において「作業者」により「クライアント10とサーバ20間で、処理が行われ所望の作業が実行され」ることは「業務処理」といえるから、本願発明の「画面生成・表示制御機能と画面遷移制御機能とを実行する業務処理プログラム」に相当する。 よって、引用発明において、「クライアント10の表示画面上にウィンドウを開くには、まずWWWブラウザにより、WWWサーバ30にアクセスし、WWWサーバからクライアント10にJAVAアプレット(上記ビューモジュール)を送信し」ていることは、本願発明の「WWWサーバから画面生成・表示制御機能と画面遷移制御機能とを実行する業務処理プログラムをWWWクライアントにダウンロードし」と、「WWWサーバから画面生成・表示制御機能を実行する業務処理プログラムをWWWクライアントにダウンロードし」ている点で一致する。 (2) 引用発明の「クライアント10」は、「WWWブラウザのようなインターネットを介してプログラムの転送を依頼する手段」を備えており、WWWサーバからJAVAアプレット(ビューモジュール)を送信されるから、本願発明の「ネットワークを介してWWWサーバと連携して業務を行うWWWクライアント」に相当する。 (3) 引用発明において、クライアント10の表示画面上にウィンドウを開くために、「まずWWWブラウザにより、WWWサーバ30にアクセス」することは、本願発明の「利用者より該当する業務処理が選択された場合」に相当する。 (4) 引用発明のクライアント10において、WWWサーバからJAVAアプレット(トップウィンドウに対応するビューモジュール)が送信されてから、表示画面上にトップウィンドウが表示されるまでに、トップウィンドウの表示画面の情報が「記憶」されているものと認められる。 よって、引用発明のクライアント10は、本願発明の「当該選択された業務処理に対応する画面情報が記憶されているときには前記WWWサーバより取得せず、一方、記憶されていないときには前記WWWサーバより取得して記憶すると共に、当該WWWクライアントに記憶されている他の業務処理に対応する画面情報を所定のタイミングで削除する画面情報記憶制御機能」と、「当該選択された業務処理に対応する画面情報を記憶する」、「画面情報記憶制御機能」を備える点で一致するといえる。 (5) 上記(1)記載のとおり、引用発明の「ビューモジュール」は、本願発明の「画面生成・表示制御機能」に相当する。 上記(4)記載のとおり、引用発明のクライアント10において、トップウィンドウの表示画面の情報が「記憶」されているものと認められる。 引用発明のクライアント10において、「送信されたビューモジュールにより」、表示画面上にトップウィンドウが表示されるから、引用発明の「ビューモジュール」は、本願発明の「該画面情報記憶制御機能により記憶された画面情報を参照して画面を表示する画面生成・表示制御機能」に相当するといえる。 したがって、本願発明と引用発明の一致点、相違点は、以下のとおりである。 [一致点] 「WWWサーバから画面生成・表示制御機能、を実行する業務処理プログラムをWWWクライアントにダウンロードし、ネットワークを介してWWWサーバと連携して業務を行うWWWクライアントが、 利用者より該当する業務処理が選択された場合に、当該選択された業務処理に対応する画面情報を記憶する、画面情報記憶制御機能、および該画面情報記憶制御機能により記憶された画面情報を参照して画面を表示する画面生成・表示制御機能を、実行することを特徴とする業務処理方法。」 [相違点1] 本願発明は、「WWWサーバから画面生成・表示制御機能と画面遷移制御機能とを実行する業務処理プログラムをWWWクライアントにダウンロードし」ているのに対して、引用発明は、「ビューモジュール」をクライアントに送信(ダウンロード)することは記載があるものの、「コントロールモジュール」(本願発明の「画面遷移制御機能を実行する業務処理プログラム」に相当。)をダウンロードすることは記載がない点。 [相違点2] 本願発明は、利用者より該当する業務処理が選択された場合に、「当該選択された業務処理に対応する画面情報が記憶されているときには前記WWWサーバより取得せず、一方、記憶されていないときには前記WWWサーバより取得して記憶する」画面情報記憶制御機能を実行するのに対して、引用発明は、「送信されたビューモジュールにより」、画面表示上にトップウィンドウが表示されることは記載があるものの、個々の画面情報を、どのような場合にどこから取得して記憶するかについて記載がない点。 [相違点3] 本願発明の「画面情報記憶制御機能」は、「当該WWWクライアントに記憶されている他の業務処理に対応する画面情報を所定のタイミングで削除する」のに対して、引用発明は、画面情報の削除について記載がない点。 [相違点4] 本願発明のWWWクライアントは、「画面の表示を削除する画面遷移制御を行う画面遷移制御機能」を実行するのに対して、引用発明は、「コントロールモジュール」(本願発明の「画面遷移制御機能を実行する業務処理プログラム」に相当。)をクライアントが実行することについても、画面の表示の削除についても、記載がない点。 [相違点5] 本願発明は、「業務処理ごとに実行することを特徴とする業務処理方法」であるのに対して、引用発明は、クライアントが、「業務処理ごとに」各機能を実行することが明記されていない点。 4 当審の判断 [相違点1について] 一般に、端末が、プログラムをサーバ(ホスト)からの、ダウンロードによって取得することは、周知技術である(特開平10-240647号公報の段落【0004】「また、Webブラウザを使用してWebサーバの持っているJavaプログラムをパソコン側にダウンロードし、パソコンでダウンロードされたJavaプログラムを実行することも行われている。」の記載、特開平6-149707号公報の段落【0024】「また、画面データや画面ハンドリングプログラムは、ホストシステム211と通信する回線を使用し、・・・と言う形式でダウンロードすることができ」の記載を参照。)。 引用発明は、「ビューモジュール」をクライアントに送信(ダウンロード)している。また、「コントロールモジュールをクライアント側においても、同様な効果が得られるものである」から、「コントロールモジュール」をクライアント側に設ける示唆があると認められる。 よって、引用発明において、「コントロールモジュール」をクライアント側に設けると共に、この際、「コントロールモジュール」についても、端末が、プログラムを、ダウンロードによって取得する周知技術を採用することによって、WWWサーバから画面生成・表示制御機能と画面遷移制御機能とを実行する業務処理プログラムをWWWクライアントにダウンロードする、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に推考し得ることである。 [相違点2について] 一般に、端末が、画面に表示する情報を、必要に応じてサーバから取得することは、周知技術である(特開平10-240647号公報の段落【0014】-【0018】の「…文字表示性能を向上させるために、通常使用する文字フォント(起動時ダウンロード用フォント)はあらかじめドット・イメージでフォント・デーモン14からクランアント6(審決注:「クライアント6」の誤記と認める。)にダウンロードする。・・・(中略)・・・通常使用しない文字のフォント(必要時ダウンロード用フォント)については、フォント要求発生時にダウンロードし、表示キャンパスに張りつける。」の記載、特開平6-149707号公報の段落【0024】「また、画面データや画面ハンドリングプログラムは、ホストシステム211と通信する回線を使用し、・・・と言う形式でダウンロードすることができ…」の記載、特開平3-130862号公報の3ページ右上欄11行-左下欄1行「まず、通常モードの場合に、・・・(中略)・・・画面情報102-iは、通信回線3を介して端末装置2中の入出力制御部21に転送され、さらに、画面展開プログラム23に渡される。画面情報102-iは、画面展開プログラム23によって解析されたのちに、画面制御部201によって表示部30に表示され…」の記載を参照。)。 また、一般に、端末が情報を取得する際、端末が既に持っている情報は、外部から取得しないことは、普通に行われている(上記特開平10-240647号公報の段落【0014】-【0018】の「…通常使用しない文字のフォント(必要時ダウンロード用フォント)については、フォント要求発生時にダウンロードし、表示キャンパスに張りつける。・・・(中略)・・・ダウンロードされたフォント・データを表示パッケージのキャッシュに保持する。その後、再び同様の文字要求があれば、キャッシュから取り出して展開する。」の記載を参照。)。 さらに、引用発明は、クライアントに送られた「JAVAアプレット」(トップウィンドウに対応するビューモジュール)により、クライアント10の表示画面上にトップウィンドウが表示されるから、引用発明の「JAVAアプレット」には、プログラムの一部として、トップウィンドウの表示情報も含まれていると解するのが自然である。 よって、引用発明において、端末が、画面に表示する情報を、必要に応じてサーバから取得する周知技術を採用し、この際、端末が既に持っている情報は、サーバから取得しないようにすることで、当該選択された業務処理に対応する画面情報が記憶されているときには前記WWWサーバより取得せず、一方、記憶されていないときには前記WWWサーバより取得して記憶する、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に推考し得ることである。 [相違点3、相違点4について] 一般に、画面の表示や画面に関するデータを、不要となったタイミングなどで消去することは、普通に行われている(引用例の上記摘記箇所(3)(段落【0026】「図5(d)に示すように作業者がプルダウンメニューの「終了」を選択すると、・・・(中略)・・・クライアント10の作業ウィンドウを閉じ、ついで、サーバ20のトップウィンドウのコントロールが作業ウィンドウのコントロールを消去する。」の記載を参照。)。 よって、引用発明において、画面の表示や画面に関するデータを、不要となったタイミングなどで消去することで、「当該WWWクライアントに記憶されている他の業務処理に対応する画面情報を所定のタイミングで削除する画面情報記憶制御機能」、「画面の表示を削除する画面遷移制御を行う画面遷移制御機能」を設けることによって、相違点3、相違点4に係る構成とすることは、当業者が適宜採用すべき設計的事項と認められる。 [相違点5について] 作業者が上記トップウィンドウの作業メニューを選択すると、以下、クライアント10とサーバ20間で所望の作業が実行される引用発明において、作業の各段階ごとに、すなわち、業務処理ごとに、各機能を実行することで、相違点5に係る構成とすることは、当業者が適宜採用すべき設計的事項と認められる。 そして、本願発明のように構成したことによる効果も引用発明、及び、周知技術から予測できる程度のものである。 5 むすび したがって、本願発明は、引用発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-22 |
結審通知日 | 2012-02-28 |
審決日 | 2012-03-12 |
出願番号 | 特願2006-286400(P2006-286400) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | ▲はま▼中 信行 |
特許庁審判長 |
江口 能弘 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 鈴木 重幸 |
発明の名称 | 業務処理システム、WWWサーバ、業務処理方法、および記録媒体 |
代理人 | 岡田 守弘 |