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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1255916 |
審判番号 | 不服2009-19174 |
総通号数 | 150 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-10-07 |
確定日 | 2012-04-26 |
事件の表示 | 平成11年特許願第182516号「情報処理システム、端末装置、端末装置の情報処理方法及びサーバ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月19日出願公開、特開2001- 14324〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成11年6月28日の出願であって、平成21年1月27日付けで拒絶理由通知がなされ、同年3月24日付けで手続補正がなされたが、同年7月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成21年10月7日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成21年10月7日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)を却下する。 [理由] (1)補正後の請求項6に係る発明 本件手続補正により、特許請求の範囲の請求項6は、 「端末装置の使用履歴を表す使用ログ情報及びユーザの嗜好傾向を表す過去のプロファイル情報の記録を残さずに複数の端末装置からネットワークを介して送信される上記複数の端末装置に蓄積されている上記使用ログ情報及び上記プロファイル情報に基づいてプロファイル解析処理することにより新たなプロファイル情報を生成するプロファイル生成手段と、 生成した上記新たなプロファイル情報を上記端末装置へ送信するプロファイル送信手段と を具えるサーバ装置。」 と補正された。 上記補正は、補正前の請求項6における「プロファイル生成手段」を「複数の端末装置からネットワークを介して送信される当該端末装置の使用履歴を表す使用ログ情報及びユーザの嗜好傾向を表すプロファイル情報に基づいてプロファイル解析処理により新たなプロファイル情報を生成する」ものから「端末装置の使用履歴を表す使用ログ情報及びユーザの嗜好傾向を表す過去のプロファイル情報の記録を残さずに複数の端末装置からネットワークを介して送信される上記複数の端末装置に蓄積されている上記使用ログ情報及び上記プロファイル情報に基づいてプロファイル解析処理することにより新たなプロファイル情報を生成する」ものに限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件手続補正後の上記請求項6に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (2)引用例及び周知例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-320413号公報(以下、「引用例1」という。)、及び前置審査において周知例として引用された特開平5-324526号公報(以下、「引用例2」という。)には、それぞれ、図面とともに次の事項が記載されている。 (引用例1) A.「【0014】次に本実施の形態によるユーザプロファイル情報管理システムの動作について説明する。・・・(中略)・・・ ユーザプロファイル情報処理手段10は情報読み出し書き込み手段11により可搬記憶媒体12から読み出されたユーザの年齢,性別,居住地域,好みの番組ジャンル等のユーザ情報や番組視聴履歴に基づいて求められたユーザの嗜好等で構成されるユーザプロファイル情報を情報処理手段7に出力し、情報処理手段7はこのユーザプロファイル情報と番組関連情報とを比較して、番組表等に表示する情報の検索,選択をする。また、ユーザプロファイル情報処理手段10は情報読み出し書き込み手段11により可搬記憶媒体12から読み出されたユーザプロファイル情報を、視聴履歴情報蓄積処理手段4からの情報や外部信号入力手段から入力される情報に基づいて、ユーザの嗜好等をより十分に示すものとなるように更新,付加等の処理を行ない、情報読み出し書き込み手段11はユーザプロファイル情報処理手段10で更新,付加等の処理がなされたユーザプロファイル情報を可搬記憶媒体12に書き込む。」 上記Aの記載及び関連する図面を参照すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。) 「可搬記憶媒体から読み出されたユーザの嗜好等で構成されるユーザプロファイル情報を、視聴履歴情報蓄積処理手段からの情報に基づいて、ユーザの嗜好等をより十分に示すものとなるように更新,付加等の処理を行うユーザプロファイル情報処理手段と、 更新,付加等の処理がなされた前記ユーザプロファイル情報を可搬記憶媒体に書き込む情報読み出し書き込み手段と を具えるユーザプロファイル情報管理システム。」 (引用例2) B.「【0025】処理の依頼後、プログラムの処理が終了すると、サーバ側依頼処理制御部18の処理結果・状況通知手段INFが起動され、処理結果保持手段HLDの動作と共に、図7のフローチャートに示される処理が実行される。まず、図9の処理状況管理情報により依頼元のユーザIDを取り出し、そのユーザの操作状態をチェックし(S51)、サーバに対して操作中であるならば、図8の(f)に示すような処理結果をクライアント装置CLTへ通信制御部17により送信し(S52)、受取完了通知待ちとなる(S53)。正常に受け取られれば、処理結果を消去し(S54)、図9の処理状況管理情報から削除する(S55)。」 上記Bの記載及び関連する図面を参照すると、引用例2には、次の技術が記載されているものと認められる。(以下、「引用例2記載の技術」という。) 「サーバにおいて、処理が終了すると、処理結果をクライアント装置に送信した後に、処理結果や処理状況管理情報を削除すること。」 (3)対比 本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比すると、次のことがいえる。 (あ)引用例1記載の発明における「ユーザの嗜好等で構成されるユーザプロファイル情報」のうち、「可搬記憶媒体から読み出された」「ユーザプロファイル情報」は、「更新,付加等」がなされる前の「ユーザプロファイル情報」であるから、本願補正発明における「ユーザの嗜好傾向を表す過去のプロファイル情報」に相当し、「更新,付加等の処理がなされたユーザプロファイル情報」は、本願補正発明における「新たなプロファイル情報」に相当するものである。 (い)引用例1記載の発明における「視聴履歴情報蓄積処理手段の情報」は、本願補正発明における「使用履歴を表す使用ログ情報」に相当するものである。 (う)引用例1記載の発明において、「ユーザプロファイル情報」を「ユーザの嗜好等をより十分に示すものとなるように」するという処理は、プロファイルを解析するという処理を含むものである。そして、このような処理を行うことにより、「ユーザプロファイル情報」に対して「更新,付加等」をすることは、「更新,付加等の処理がなされたユーザプロファイル情報」を生成する処理であるといえる。 そうすると、引用例1記載の発明において、「ユーザプロファイル情報」を、「視聴履歴情報蓄積処理手段からの情報」に基づいて、ユーザの嗜好等をより十分に示すものとなるように「更新,付加等」をするというのは、「ユーザプロファイル情報」と「視聴履歴情報蓄積処理手段からの情報」に基づいて、プロファイル解析処理することにより、「更新,付加等の処理がなされたユーザプロファイル情報」を「生成」することを意味するものであるといえる。 よって、引用例1記載の発明において「可搬記憶媒体から読み出されたユーザの嗜好等で構成されるユーザプロファイル情報を、視聴履歴情報蓄積処理手段からの情報に基づいて、ユーザの嗜好等をより十分に示すものとなるように更新,付加等の処理を行う」ことと、本願補正発明において「複数の端末装置からネットワークを介して送信される上記複数の端末装置に蓄積されている上記使用ログ情報及び上記プロファイル情報に基づいてプロファイル解析処理することにより新たなプロファイル情報を生成する」こととは、ともに、「使用履歴を表す使用ログ情報及びユーザの嗜好傾向を表す過去のプロファイル情報に基づいてプロファイル解析処理することにより新たなプロファイル情報を生成する」ことである点で共通するものである。 (え)引用例1記載の発明における「ユーザプロファイル情報処理手段」は、上記(う)で検討したように、ユーザプロファイル情報を生成する手段であるから、「プロファイル生成手段」と呼び得るものである。 (お)本願補正発明において、「生成した上記新たなプロファイル情報を上記端末装置へ送信する」処理は、「生成した上記新たなプロファイル情報」を「端末装置」へ「出力する」処理であるといえる。 一方、引用例1記載の発明において、「更新,付加等の処理がなされた前記ユーザプロファイル情報を可搬記憶媒体に書き込む」処理は、「更新,付加等の処理がなされた前記ユーザプロファイル情報」を「可搬記憶媒体」に「出力する」処理であるといえるから、引用例1記載の発明における「更新,付加等の処理がなされたユーザプロファイル情報を可搬記憶媒体に書き込む情報読み出し書き込み手段」と、本願補正発明における「生成した新たなプロファイル情報を端末装置へ送信するプロファイル送信手段」とは、ともに、「生成した新たなプロファイル情報を出力するプロファイル出力手段」である点で共通するものである。 (か)引用例1記載の発明における「ユーザプロファイル情報管理システム」と、本願補正発明における「サーバ装置」とは、ともに、「装置」である点で共通するものである。 上記(あ)?(か)の事項を踏まえると、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、次の点で一致し、また、相違するものと認められる。 (一致点) 本願補正発明と引用例1記載の発明とは、ともに、 「使用履歴を表す使用ログ情報及びユーザの嗜好傾向を表す過去のプロファイル情報に基づいてプロファイル解析処理することにより新たなプロファイル情報を生成するプロファイル生成手段と、 生成した上記新たなプロファイル情報を出力するプロファイル出力手段と を具える装置。」 である点。 (相違点) 相違点1:「装置」が、本願補正発明においては、「サーバ装置」であるのに対し、引用例1記載の発明は、そのようなものではない点。 相違点2:「使用ログ情報」及び「プロファイル情報」が、本願補正発明においては、「複数の端末装置に蓄積されている端末装置の使用履歴を表す使用ログ情報及びプロファイル情報」であり、「複数の端末装置からネットワークを介して送信される」ものであるのに対し、引用例1記載の発明は、そのようなものではない点。 相違点3:「プロファイル出力手段」が、本願補正発明においては、「新たなプロファイル情報を端末装置へ送信するプロファイル送信手段」であるのに対し、引用例1記載の発明は、そのようなものではない点。 相違点4:「プロファイル生成手段」において、本願補正発明においては、「使用ログ情報及び過去のプロファイル情報の記録を残さずに」処理を行うものであるのに対し、引用例1記載の発明は、そのようなものとは限らない点。 (4)判断 そこで、上記相違点1?4について検討する。 (相違点1について) 一般に、ネットワークを介して接続された、複数のクライアント端末装置とサーバ装置は周知のシステム構成であるところ、該構成により実行される複数の機能を該構成要素である複数のクライアント端末装置とサーバ装置とに分担して行わせることは、ごく普通に行なわれていることであるから、引用例1記載の発明における「ユーザプロファイル情報管理システム」においても、「視聴履歴情報蓄積処理手段からの情報」と「ユーザプロファイル情報」とを蓄積する機能を、他の複数の端末装置に分担させるようにして、「ユーザプロファイル情報」に対して「更新,付加等」を行う機能(ユーザプロファイル情報処理手段)を具える残りの構成を「サーバ装置」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (相違点2について) 上記(相違点1について)で検討したように、引用例1記載の発明における「視聴履歴情報蓄積処理手段からの情報」と「ユーザプロファイル情報」を他の複数の端末装置に蓄積するようにしたならば、引用例1記載の発明における「ユーザプロファイル情報処理手段」で用いる「視聴履歴情報蓄積処理手段からの情報」と「ユーザプロファイル情報」は、複数の端末装置からネットワークを介して送信されるものとなるのは明らかであるから、引用例1記載の発明において、「使用ログ情報」及び「プロファイル情報」を「複数の端末装置に蓄積されている端末装置の使用履歴を表す使用ログ情報及びプロファイル情報」とするとともに、「複数の端末装置からネットワークを介して送信される」ものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (相違点3について) 上記(相違点1について)で検討したように、引用例1記載の発明における「ユーザプロファイル情報」を他の複数の端末装置に蓄積するようにしたならば、「更新,付加等の処理がなされたユーザプロファイル情報」を上記端末装置へ送信するようになるのは明らかであるから、引用例1記載の発明において、「プロファイル出力手段」を「新たなプロファイル情報を端末装置へ送信するプロファイル送信手段」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (相違点4について) 一般に、処理を終了した後に、既に不要となった処理済の情報をどのようにするのかは必要に応じて適宜決定し得るものであり、引用例2記載の技術にみられるように、それを消去するようにすることは、ごく普通に行なわれていることにすぎない。 そして、引用例1記載の発明においても、ユーザプロファイル情報に更新,付加等の処理をした後に、不要となった視聴履歴情報蓄積処理手段からの情報等をどうするのかは適宜決定し得る程度のものにすぎないことから、上記引用例2記載の技術を適用することにより「使用ログ情報及び過去のプロファイル情報の記録を残さずに」新たなプロファイル情報を生成するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (本願補正発明の作用効果について) そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1記載の発明及び上記引用例2記載の技術から当業者が容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願補正発明は、引用例1記載の発明及び上記引用例2記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび よって、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.補正却下の決定を踏まえた検討 (1)本願発明 平成21年10月7日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項6に係る発明は、平成21年3月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項6に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「複数の端末装置からネットワークを介して送信される当該端末装置の使用履歴を表す使用ログ情報及びユーザの嗜好傾向を表すプロファイル情報に基づいてプロファイル解析処理により新たなプロファイル情報を生成するプロファイル生成手段と、 生成した上記新たなプロファイル情報を上記端末装置へ送信するプロファイル送信手段と を具えるサーバ装置。」 (2)引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例1、及び前置審査において周知例として引用された引用例2とその記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。 (3)対比・判断 本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明における「プロファイル生成手段」について、「端末装置の使用履歴を表す使用ログ情報及びユーザの嗜好傾向を表す過去のプロファイル情報の記録を残さずに複数の端末装置からネットワークを介して送信される上記複数の端末装置に蓄積されている上記使用ログ情報及び上記プロファイル情報に基づいてプロファイル解析処理することにより新たなプロファイル情報を生成する」との限定を省いて、「複数の端末装置からネットワークを介して送信される当該端末装置の使用履歴を表す使用ログ情報及びユーザの嗜好傾向を表すプロファイル情報に基づいてプロファイル解析処理により新たなプロファイル情報を生成する」としたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用例1記載の発明及び上記引用例2記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記特定の限定を省いた本願発明は、上記特定の限定について参照した上記引用例2記載の技術を参酌するまでもなく、引用例1記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-22 |
結審通知日 | 2012-02-28 |
審決日 | 2012-03-12 |
出願番号 | 特願平11-182516 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今村 剛 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
長島 孝志 久保 正典 |
発明の名称 | 情報処理システム、端末装置、端末装置の情報処理方法及びサーバ装置 |
代理人 | 田辺 恵基 |