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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C09J
管理番号 1256648
審判番号 不服2008-13881  
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-03 
確定日 2012-05-10 
事件の表示 特願2002-371772「両面粘着テープ又はシート」拒絶査定不服審判事件〔平成16年7月22日出願公開、特開2004-203938〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、平成14年12月24日の出願であって、平成20年2月12日付けの拒絶理由通知に対して、同年4月14日に意見書及び手続補正書が提出され、その後、平成20年5月1日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年6月3日に審判請求がされるとともに同日付けで手続補正書が提出され、平成22年9月24日付けの審尋に対して、同年11月22日付けで回答書が提出されたものである。
その後、平成23年7月19日付けで、平成20年6月3日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶理由が通知され、平成23年9月20日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月30日付けで拒絶理由が通知され、平成24年2月2日に意見書が提出されている。

第2 本願発明
この出願の発明は、平成20年4月14日付け及び平成23年9月20日付けの手続補正により補正された明細書(以下、「本願明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「剥離ライナーに、剥離ライナーのリサイクル関連情報に関する表記が明示されている両面粘着テープであって、該両面粘着テープの一方の粘着面のみに剥離ライナーが積層されており、前記剥離ライナーは、剥離ライナー用基材の表面にリサイクル関連情報の印刷が施され、その上に剥離処理剤からなる剥離処理剤層が形成され、且つ両面が剥離面となっている剥離ライナーであり、前記リサイクル関連情報に関する表記が、再利用可能であるとの表記、又は廃棄若しくは焼却に関する情報の表記である、ロール状に巻回された両面粘着テープ。」
(以下、「本願発明」という。)

第3 当審が通知した拒絶の理由
当審が平成23年11月30日付けで通知した拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物1(実願平3-107641号(実開平5-56937号)のマイクロフィルム)、刊行物2(特開平11-286659号公報)及び刊行物3(特開平11-277697号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

第4 当審の判断
当審は、当審が通知した拒絶の理由のとおり、本願発明は、上記刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないと判断する。
その理由は、以下のとおりである。

1 刊行物に記載された事項

(1)刊行物1:実願平3-107641号(実開平5-56937号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を記録したCD-ROM(審決注:拒絶理由通知書ではマイクロフィルムとしたが、正しくはCD-ROMである。)
(1a)「【請求項1】粘着剤層の両面に剥離層を形成し、その少なくとも一方の剥離層表面に切断用マークを付したことを特徴とする印刷回路基板固定用粘着シート。」(実用新案登録請求の範囲)
(1b)「【0001】【産業上の利用分野】本考案は、FPC(Flexible print circuit:印刷回路)基板を固定するために用いる粘着シートに関する。」
(1c)「【0002】【従来の技術】FPCは、FPC基板に感光剤塗布、露光、エッチング等の種々の操作を施して製造する。これらのFPC製造作業を円滑に行うには、FPC基板を作業用基盤に固定して作業する。
【0003】従来、このFPC基板の固定には、両面粘着テープが使用される。両面粘着テープは、粘着剤層の片面に、両面に剥離剤を塗布した両面剥離紙をあてがい、捲回したものである。この両面粘着を使用してFPC基板を固定するには次のように行う。すなわち、両面粘着テープを巻戻し、粘着面に剥離材料を貼付して粘着面を保護し、次いでこれをFPC基板の寸法に合わせて裁断し、その後前記剥離材料を剥がし粘着面を露出させ、この露出させた粘着面にFPC基板の裏側を貼着し、最後に両面剥離紙を剥離して粘着面を露出させ、作業用基盤にFPC基板を貼着固定している。
【0004】【考案が解決しようとする課題】このように従来の方法では、巻戻した両面粘着テ-プの粘着面に、裁断のみのためにわざわざ剥離材料を貼付して保護する必要があり、作業が煩雑になるという問題点があった。またこの粘着面に剥離材料を貼付する作業自体にも手間がかかり、また裁断後剥がして破棄してしまう剥離材料を必要とするため無駄があり、コスト高になるという問題点、更にFPC基板の寸法に合わせて裁断する作業もいちいち定規を用いて行うため煩雑であるという問題点があった。
本考案は、上記の問題点を解消し、簡単に且つ低コストでFPC基板を作業用基盤に固定することのできるFPC基板固定用粘着シートを提供することを目的とする。」
(1d)「【0005】【課題を解決するための手段】すなわち本考案は、粘着剤層の両面に剥離層を形成し、その少なくとも一方の剥離層表面に切断用マークを付したことを特徴とするFPC基板固定用粘着シートである。
図1は、本考案のFPC基板用粘着シートの斜視図である。1は粘着剤層、2及び3は粘着剤層1の両面にそれぞれ設けられた剥離層であり、その一方の剥離層2の表面には裁断マーク4が付されている。
【0006】本考案のFPC基板用粘着シートは、例えば、剥離層3の上に粘着剤層1を形成させ、この粘着剤層1の上に剥離層3を貼付して作る。剥離層2、3の粘着剤層1と接する面には後述する離型性物質の被膜が施されている。
粘着剤層1としては、種々の粘着剤が用いられる。例えば、アクリル樹脂系接着剤、天然又は合成ゴム系接着剤などである。
【0007】剥離層2、3は、例えばクラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙などを基材として、その片面にシリコン樹脂や弗素樹脂などの離型性物質の被膜を形成したものが用いられる。この際、剥離層2に形成させる離型性物質被膜と剥離層3に形成させる離型性物質被膜の種類を変えて、一方の剥離層を他方の剥離層より小さな剥離力で剥離できるようにしてもよい。
【0008】剥離層の表面(離型性物質の被膜が施されていない面)に付される切断マーク4は、例えば10mm間隔で格子状に付された線で、FPC基板の形状に応じ任意のマークにすることができる。切断マーク4は、印刷さらにはその上に切り込みをいれるなどして剥離層に予め施しておくとよい。この切断マーク4は剥離層2又は剥離層3のみに施してもよいし、剥離層2と剥離層3の両方に施してもよい。また、剥離層2と剥離層3との切断マークを同じにしても、異なるものにしてもよい。切断マークを付しておくことによって、裁断作業が容易になり、切断ロスをなくすことができる。
【0009】本考案のFPC基板用粘着シートは、捲回状にしてもよいし、単に平坦なシート状であってもよい。いずれの場合も、粘着剤層1の両面が剥離層2、3で保護されているので取扱いが容易である。使用に当たっては、固定しようとするFPC基板の大きさにしたがって、裁断マーク4を利用して裁断し、一方の剥離層例えば剥離層2を剥がし粘着剤層1を露出させ、この粘着剤層1にFPC基板を貼着させる。次いで、剥離層3を剥がして粘着剤層1を露出させ、FPC基板を作業用基盤に貼着固定させる。」
(1e)「【0010】【考案の効果】本考案のFPC基板用粘着シートは、粘着剤層の両面に剥離層を設けたので、これを使用すると、従来法のように両面粘着テープの粘着面に、裁断のみのためにわざわざ剥離材料を貼付する必要がなく、また裁断後剥がして破棄してしまう剥離材料を必要とすることがないため、FPC基板を簡単に且つ低コストで作業用基盤に固定することができる。更に剥離層の表面に裁断マークを付したので、FPC基板の大きさに合わせて裁断する裁断作業が容易になり、また切断ロスをなくすことができる。」(考案の詳細な説明)
(1f)「【図1】本考案のFPC基板用粘着シートの1例を示す斜視図
【符号の説明】1 粘着剤層、 2,3 剥離層、 4 裁断マーク
【図1】

」(図面の簡単な説明、図面)

(2)刊行物2:特開平11-286659号公報
(2a)「【請求項1】基材の一方の面に貼付物側粘着剤層が設けられ、他方の面に被貼付物側粘着剤層が設けられた両面粘着テープであって、上記両粘着剤層のうち、少なくとも被貼付物側粘着剤層が水溶性の粘着剤でなることを特徴とする両面粘着テープ。」(特許請求の範囲)
(2b)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、基材の両面にそれぞれ粘着剤層が設けられた両面粘着テープに関する。
【0002】【従来の技術】例えば、カーペットやタイルあるいは襖紙やポスター等の貼付物を床や壁等の被貼付物に貼り付ける際に用いられる両面粘着テープは、貼付後の美的外観を損ねることなく貼付物を被貼付物に貼り付けることができるため、建築材料や文房具等として様々な分野で利用されている。
【0003】一般に、該両面粘着テープは、例えば、不織布やポリエチレンフラットヤーン等でなる基材の両面に、アクリルエマルジョン系粘着剤、SBR(styrene-butadiene rubber)ラテックス粘着剤や溶剤型エポキシ系粘着剤等からなる粘着剤層が設けられており、この両面粘着テープを用いて貼付物を被貼付物に貼り付けする場合には、一方の粘着剤層を被貼付物に粘着して該テープを固定したのち、該テープの他方の粘着剤層における反基材側の面に設けられた剥離紙を剥離してから上記反基材側の面に貼付物の貼付面を粘着させることにより、貼付物が被貼付物の所定位置に貼り付けされるようになっている。
【0004】【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のように、従来から用いられている両面粘着テープで被貼付物に貼り付けられた貼付物を剥離する際、両面粘着テープの粘着剤が硬化しているため、非常に剥しにくく、また、剥離した後の被貼付物の表面に硬化した粘着剤が残って汚れ、これを除去するのに別途道具や溶剤等が必要となると共に、手間や時間がかかり、さらには除去する際に被貼付面を物理的、化学的に痛める場合も生じていた。
【0005】また、例えば、襖紙を襖本体に貼り付ける場合、従来においては、襖紙自体に粘着剤が付着されているから、襖本体を構成する芯材からはみ出した部分の粘着剤が外枠に移って見栄えを悪化させ、また、襖紙を芯材に貼り付けた後に芯材との間に閉じ込められた空気を追い出す空気抜きの作業が必要とされるのであるが、襖紙の全面にわたって粘着剤が付着されていることから、空気抜きの際に慎重に作業を進めなければならず、多大の作業時間を要するばかりでなく、ある程度の熟練さも要求されることになる。さらに、下地がひどく汚損している場合には、乾燥前の粘着剤層を経由していわゆる「あく」が襖紙の表側に浮き出す可能性があり、この場合も見栄えを悪化させることになる。
【0006】そこで、本発明では、貼り付けされた貼付物の剥離作業を行なう際、貼付物が簡単に剥れ、また、貼付物を剥した後に粘着剤が残った場合でも被貼付面を痛めることなく簡単に、速やかに、かつ、奇麗に除去することのでき、また、襖紙等の表装材を見栄えを悪化させることなく、しかもプロ・アマの区別なく簡便かつ迅速に貼り付けることのできる両面粘着テープの提供を課題とする。」
(2c)「【0013】本実施の形態に係る両面粘着テープ1は、図1に示すように、ロールに巻かれた帯状テープとなっている。
【0014】そして、図2に示すように、上記両面粘着テープ1は、不織布やポリエチレンフラットヤーン等でなる基材2の両面に粘着剤層3,4が設けられており、そのうち被貼付物の表面に粘着される側の粘着剤層4が、水溶性の粘着剤で構成されている。・・・
【0015】・・・上記粘着剤層3の貼付物の貼付面に粘着される側の面には、紙等で構成された剥離紙5が上記粘着剤層3から剥離可能に設けられている。」
(2d)「【0021】なお、両面粘着テープ11を、図4に示すように、剥離紙15を、粘着剤層13の貼付物の貼付面に粘着される側の面に加えて、被貼付物に粘着する側の水溶性粘着材層14における反基材側の面にも、上記粘着剤層13から剥離可能に設けてもよい。その際、両面粘着テープ11の使用時に先に剥離する側の剥離紙に、先に剥離する側の剥離紙であるという表示をするのが好ましい。これにより、上述したようなロール状に限らず、シート状等とすることも可能となる。」
(2e)「


(2f)「


(2g)「



(3)刊行物3:特開平11-277697号公報
(3a)「【0002】【従来の技術】粘着シートはラベル、シール、ステッカー、ワッペン等として、商業用、事務用、家庭用等広範囲な用途に使用されている。この粘着シートは一般的に表面基材、粘着剤層、剥離紙の順に積層して構成したものである。表面基材は紙、フィルム、金属フォイル等が用いられ、剥離紙はグラシン紙のような高密度紙、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙等の剥離原紙にシリコーン化合物やフッ素化合物等の剥離剤を塗布したものが使用されている。また、粘着剤には溶剤型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤等が使用されている。
・・・・・・・・・・
【0004】・・・近年粘着シートに対する要望が多様化しており、剥離紙の剥離剤層を設ける面と反対の面(以後剥離紙裏面と表現する)に粘着シートに関する注意事項や使用方法が印刷される場合があり、・・・」

2 刊行物に記載された発明
刊行物1には、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案として、
「粘着剤層の両面に剥離層を形成し、その少なくとも一方の剥離層表面に切断用マークを付したことを特徴とする印刷回路基板固定用粘着シート」
の発明が記載されるとともに(摘示(1a))、従来の技術として、「FPC(Flexible print circuit:印刷回路)基板」(摘示(1b))の固定に「両面粘着テープが使用される」こと、及びこの両面粘着テープは「粘着剤層の片面に、両面に剥離剤を塗布した両面剥離紙をあてがい、捲回したもの」であることが記載されている(摘示(1c))。したがって、刊行物1には、従来の技術として、
「印刷回路基板の固定に使用される両面粘着テープであって、粘着剤層の片面に、両面に剥離剤を塗布した両面剥離紙をあてがい、捲回したものである、両面粘着テープ」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているということができる。

3 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明と本願発明は、いずれも「両面粘着テープ」に関するものである。
引用発明の「剥離剤」は、本願発明の「剥離処理剤」に相当し、
引用発明の「両面粘着テープ」における「両面に剥離剤を塗布した両面剥離紙」は、本願発明の「剥離ライナー用基材・・・に剥離処理剤からなる剥離処理剤層が形成され、且つ両面が剥離面となっている剥離ライナー」に相当し、
引用発明の「両面粘着テープ」における「粘着剤層の片面に、両面に剥離剤を塗布した両面剥離紙をあてがい、捲回したものである」は、本願発明の「両面粘着テープの一方の粘着面のみに剥離ライナーが積層されており、前記剥離ライナーは、剥離ライナー用基材・・・に剥離処理剤からなる剥離処理剤層が形成され、且つ両面が剥離面となっている剥離ライナーであり、・・・ロール状に巻回された両面粘着テープ」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、
「両面粘着テープであって、該両面粘着テープの一方の粘着面のみに剥離ライナーが積層されており、前記剥離ライナーは、剥離ライナー用基材に剥離処理剤からなる剥離処理剤層が形成され、且つ両面が剥離面となっている剥離ライナーであり、ロール状に巻回された両面粘着テープ」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
本願発明は、上記剥離ライナーが、
剥離ライナーに剥離ライナーのリサイクル関連情報に関する表記が明示されているものであり、
剥離ライナー用基材の表面にリサイクル関連情報の印刷が施され、その上に剥離処理剤からなる剥離処理剤層が形成されており、
前記リサイクル関連情報に関する表記が、再利用可能であるとの表記、又は廃棄若しくは焼却に関する情報の表記である、
のに対し、引用発明においては、上記両面剥離紙は、その両面剥離紙のリサイクル関連情報に関する表記をしたものではない点

4 相違点についての判断

(1)相違点について

ア 我が国においては、循環型社会の形成に向けて、「資源の有効な利用の促進に関する法律」(平成3年4月26日法律第48号「再生資源の利用の促進に関する法律」を一部改正したもの。平成13年4月施行。以下、「資源有効利用促進法」という。)が定められ、以下のように、事業者等に、指定表示製品に分別回収のための表示をすることが義務付けられている。そして、牛乳パック、菓子の包装袋、レジ袋等に、「紙」や「プラ」の文字と循環する矢印を組合せた、次のような所定の識別マークが表示されていることは、事業者のみならず、ゴミを捨てるときに日常的に分別を行う一般国民にも、周知の事項である。



(以下、法律及び政令の抜粋)
「この法律において「指定表示製品」とは、それが一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄された後その全部又は一部を再生資源として利用することを目的として分別回収(類似の物品と分別して回収することをいう。以下同じ。)をするための表示をすることが当該再生資源の有効な利用を図る上で特に必要なものとして政令で定める製品をいう。」(資源有効利用促進法第2条第11項)
「主務大臣は、指定表示製品に係る再生資源の利用を促進するため、主務省令で、指定表示製品ごとに、次に掲げる事項につき表示の標準となるべき事項を定めるものとする。
一 材質又は成分その他の分別回収に関し表示すべき事項
二 表示の方法その他前号に掲げる事項の表示に際して指定表示製品の製造、加工又は販売の事業を行う者(その事業の用に供するために指定表示製品の製造を発注する事業者を含む。以下「指定表示事業者」という。)が遵守すべき事項」(同法第24条第1項)
「主務大臣は、前条第1項の主務省令で定める同項第1号に掲げる事項(以下「表示事項」という。)を表示せず、又は同項の主務省令で定める同項第2号に掲げる事項(以下「遵守事項」という。)を遵守しない指定表示事業者(中小企業基本法・・・に該当するものを除く。)があるときは、当該指定表示事業者に対し、表示事項を表示し、又は遵守事項を遵守すべき旨の勧告をすることができる。
2 主務大臣は、前項に規定する勧告を受けた指定表示事業者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
3 主務大臣は、第1項に規定する勧告を受けた指定表示事業者が、前項の規定によりその勧告に従わなかった旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、当該指定表示製品に係る再生資源の利用の促進を著しく害すると認めるときは、審議会等で政令で定めるものの意見を聴いて、当該指定表示事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命じることができる。」(同法第25条第1項?第3項)
「法第2条第11項の政令で定める製品は、別表第5の上欄に掲げるとおりとする。」(同法施行令第5条)
「法第25条第3項の審議会等で政令で定めるものは、別表第5の上欄に掲げる指定表示製品に係る同表の中欄に掲げる指定表示事業者ごとにそれぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。」(同施行令第18条)
「特定容器包装(容器包装(商品の容器及び包装であって、当該商品が費消され、又は当該商品と分離された場合に不要になるものをいう。)のうち、主として紙製のもの又は主としてプラスチック製のものをいい、飲料、しょうゆ又は酒類を充てんするためのポリエチレンテレフタレート製容器その他主務省令で定めるものを除く。以下この項において同じ。)」(同施行令別表第5の上欄第6項)
「一 特定容器包装(商品の容器であるものとして経済産業省令で定めるものに限る。)を製造する事業者
二 その事業(たばこ事業又は塩事業に限る。以下この号において同じ。)の用に供するために特定容器包装の製造を発注する事業者及び特定容器包装に入れられ、又は特定容器包装で包まれた商品であって自ら輸入したものを販売する事業者
三 その事業(酒類業に限る。以下この号において同じ。)の用に供するために特定容器包装の製造を発注する事業者及び特定容器包装に入れられ、又は特定容器包装で包まれた商品であって自ら輸入したものを販売する事業者
四 その事業(厚生労働大臣の所管に属する事業に限る。以下この号において同じ。)の用に供するために特定容器包装の製造を発注する事業者及び特定容器包装に入れられ、又は特定容器包装で包まれた商品であって自ら輸入したものを販売する事業者
五 その事業(農林水産大臣の所管に属する事業に限る。以下この号において同じ。)の用に供するために特定容器包装の製造を発注する事業者及び特定容器包装に入れられ、又は特定容器包装で包まれた商品であって自ら輸入したものを販売する事業者
六 その事業(経済産業大臣の所管に属する事業に限る。以下この号において同じ。)の用に供するために特定容器包装の製造を発注する事業者及び特定容器包装に入れられ、又は特定容器包装で包まれた商品であって自ら輸入したものを販売する事業者」(同表の上記上欄第6項に係る中欄)

イ 両面粘着テープ又はシートの剥離ライナーは、上記アの法律で分別回収するための表示が義務付けられたものではない。しかし、平成14年当時には、循環型社会の形成に向けて、法律も整備され、再利用できる資材の分別回収の機運が、事業者及び一般国民の間で高まってきている状況を考慮する必要がある。両面粘着テープ又はシートの剥離ライナーは、製品が使用に供される時までは必要であるが使用と同時に不要になるものである点や、素材の点で、多くの包装と共通するものであるからである。

ウ 引用発明において、剥離ライナーに相当する、両面粘着テープにおける両面剥離紙は、その基材が具体的に何であるかは、刊行物1には記載されてはいないが、「剥離紙」といわれることから、何らかの「紙」が想定される。そして、刊行物1には、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案として、上記2でみたとおり、引用発明を改良したものに相当する、
「粘着剤層の両面に剥離層を形成し、その少なくとも一方の剥離層表面に切断用マークを付したことを特徴とする印刷回路基板固定用粘着シート」
の発明(以下、「引用発明’」という。)が記載されているところ、刊行物1には、引用発明’に関し、剥離ライナーに相当する上記「剥離層」は、「例えばクラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙などを基材として、その片面にシリコン樹脂や弗素樹脂などの離型性物質の被膜を形成したもの」が用いられると記載されており(摘示(1d))、引用発明における両面剥離紙の基材も、同様の紙であると解される。
そして、引用発明’において、上記の、紙を基材とした剥離層(剥離ライナー)は、切断用マークが印刷され、印刷による表示が可能なものなのであるから(摘示(1d))、引用発明においても、紙を基材とした両面剥離紙は、少なくとも剥離剤を塗布する前の段階のものは、切断用マークその他の印刷による表示が可能なものであるといえる。
引用発明’においては、上記の「例えばクラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙などを基材として、その片面にシリコン樹脂や弗素樹脂などの離型性物質の被膜を形成したもの」である「剥離層」が用いられ、切断用マークは、離型性物質の被膜を形成する面の反対の面に印刷されるが、引用発明のように「両面に剥離剤を塗布した両面剥離紙」を用いようとする場合は、まず印刷をしてから剥離剤を塗布すれば、切断用マークその他の適宜の印刷がされた両面剥離紙が得られることは、当業者には、明らかである。
このことは、剥離剤を塗布した層が、その剥離性という性質から印刷インクを受け入れにくい場合があると考えられることや、印刷層が剥離剤層で覆われれば、印刷インクが剥離剤層の剥離性を損なったり印刷インクが脱落したりする心配がないことからも、当業者には明らかな事項である。
このことが当業者に明らかなことは、従来、裏面に粘着剤層が形成されロール状に巻かれている粘着テープ又は粘着シートにおいては、巻かれた状態で粘着剤層と接触することになるテープ又はシートの表面側には剥離剤層が形成されており、そして該テープ又はシートが図柄や情報の印刷がされたものである場合には、その印刷は剥離剤層を形成する前にされることが普通であることとも、符合する。例えば、
特開平6-340190号公報には、「帯状ベースシートの一方の面に粘着剤層を設け、他方の面に印刷層とこの印刷層の上部に高剥離効果を有する剥離剤層を設け、粘着剤層と剥離剤層を対接させてロール状に巻き止めてなることを特徴とする印字用接着シート」が記載され(特許請求の範囲の請求項1)、この接着シートは、剥離剤層上への情報の印字も静電印刷機器やインパクトプリンタによって可能なものであるが、図柄やタイトルなどの固定情報は、印刷層を予め設けておき、これを覆って剥離剤層を形成したものであり(段落【0009】?【0010】);
登録実用新案第3055008号公報(原審における引用文献4)には、両面粘着テープを貼付したガスケットロールであって、このガスケットロールによりガスケットが施工されたときに最上面になるところの「表面側がシリコン処理され裏面側に粘着剤を有するフィルム」を備えたガスケットロールが記載され(実用新案登録請求の範囲の請求項3、図1?図3)、この「表面側がシリコン処理され裏面側に粘着剤を有するフィルム」は、文字又は図形が施されているものでよく、「予めフィルム7に文字または図形を施しておくことによりPR効果を高めることができる」もので、その「フィルム7」は、「下面に粘着剤8を有し上面にシリコン処理層6を有するフィルム7」であるから(同請求項4、段落【0011】及び【0009】、図3)、フィルム基材に文字や図形を施してから剥離剤を塗布したものであり;
特開平10-140115号公報には、「シート状の支持体(1)と、該支持体(1)の一方の面に積層された剥離剤(4)と、前記支持体(1)の他方の面に積層された粘着剤(5)で主要部が形成される粘着テープにおいて、前記剥離剤(4)と支持体(1)の間にインキ(3)が介装され、該インキ(3)には、イソシアネート系硬化剤が固形分比でその主剤樹脂100重量部に対し10?50重量部含有されていることを特徴とする粘着テープ」が記載され(特許請求の範囲の請求項1)、この粘着テープは、背面に粘着剤が設けられ、表面に印刷が施され剥離剤が塗工されてロール状に巻かれた粘着テープを前提に、剥離剤塗工時の溶剤により印刷インキが滲まないように、インキに工夫をしたものであり(段落【0001】?【0004】)、前提技術の粘着テープも、請求項1に記載される粘着テープも、テープ基材に印刷をしてから剥離剤を塗工したものである。
このように、剥離剤層を有する基材と印刷層との関係は、剥離剤層の上に印刷するものもあるものの、基材に印刷してから剥離剤層を形成したものが普通であることは、粘着テープ又はシートの技術分野の当業者の、技術常識である。剥離剤層を有する基材だからといって、印刷ができないものと当業者が考えるような事情はない。

エ また、粘着テープ又はシートの技術分野では、剥離ライナーに印刷を施すことは、よく知られている。
例えば、上記ウで見たとおり、刊行物1には、両面粘着シートの発明である引用発明’に関し、剥離層(剥離ライナー)に切断用マークを印刷することが記載されている。
刊行物2には、両面粘着テープ又はシートの両側の粘着剤層に剥離紙を設けたものについてではあるが、剥離紙(剥離ライナー)に、「使用時に先に剥離する側の剥離紙に、先に剥離する側の剥離紙であるという表示をする」ことが記載されている(摘示(2d))。
刊行物3には、表面基材、粘着材層、剥離紙の順に積層して構成した粘着シートについてではあるが、剥離紙(剥離ライナー)に、「剥離剤層を設ける面と反対の面(以後剥離紙裏面と表現する)に粘着シートに関する注意事項や使用方法が印刷される場合があり」と記載されている(摘示(3a))。
このように、粘着テープ又はシートの剥離ライナーに、印刷を施すことは、よく知られており、文字情報を含む印刷を施すことも、普通に知られていたことである。

オ 上記アの、包装のリサイクルに関する社会の状況、上記イの、粘着テープ又はシートの剥離ライナーと包装との共通する点、上記ウの、引用発明’の剥離層(剥離ライナー)及び引用発明の両面剥離紙(剥離ライナー)の材質・構造と印刷可能なこと、及び、上記エの、粘着テープ又はシートの剥離ライナーに文字情報を含む印刷を施すことが普通に知られていたこと、を考慮すると、まず、引用発明’の粘着シートにおいて、その剥離層(剥離ライナー)に、資源リサイクルの観点から、紙又はプラスチックとしての分別回収の対象になるものにはその旨の表記を、分別回収の対象にならないものには、燃やすゴミとしてよいのか、燃やさないゴミとするのかの表記を、追加的に印刷して表示することは、当業者が容易に着想し得るといえる。加えて、引用発明の両面粘着テープについても、同様に、資源リサイクルの観点から、その両面剥離紙(剥離ライナー)に、紙又はプラスチックとしての分別回収の対象になるものにはその旨の表記を、分別回収の対象にならないものには、燃やすゴミとしてよいのか、燃やさないゴミとするのかの表記を、印刷して表示することとし、そしてその際、基材に印刷をしてから剥離剤を塗布するようにすることも、当業者が容易に着想し得るといえる。

カ したがって、引用発明において、相違点に係る本願発明の構成を備えたものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2)なお、請求人は、平成24年2月2日に提出した意見書において、以下の主張をしている。
(i)「要約すれば、刊行物1に記載の発明(引用発明’)は、粘着剤層の片面に両面剥離紙を設けた従来の両面粘着テープ(引用発明)から、作業性及びコストの問題を解消するため、剥離紙の種類(片面剥離紙又は両面剥離紙)及び該剥離紙を設ける面の数(両面又片面は)をどちらも一挙に変えて、粘着剤層の両面に片面剥離紙を設けた両面粘着テープとしたものです。
粘着剤層の両面に剥離紙を設ける場合には、剥離紙の粘着剤層とは反対側の面に剥離剤層を設ける必要がないので、片面剥離紙を使用しています。
従って、刊行物1からは、従来技術である引用発明における両面剥離紙に切断用マークを付そうという発想は生じません。そのような発想が生じる動機付けがないからです。
しかも、刊行物1には、引用発明’について、切断マークは剥離処理層のない側に設けると殊更明記されています(段落0008)。この点からも、刊行物1から剥離処理層のある側に切断用マークを付すという考えは生まれません。
よって、上記『引用発明においても、紙を基材とした両面剥離紙は、少なくとも剥離剤を塗布する前の段階のものは、切断用マークその他の印刷による表示が可能なものであるといえる。』という判断は、本願発明を見た後の分析結果より初めて導かれるものであると考えます。」(上記意見書4頁下から12行?5頁4行)
(ii)「上述しましたように、『両面に剥離剤を塗布した両面剥離紙』に切断用マークを付すこと自体が刊行物1からは想起されないので、『まず印刷をしてから剥離剤を塗布すれば、切断用マークその他の適宜の印刷がされた両面剥離紙が得られることは、当業者には、明らかである』という認定も、本願発明を見た後の事後的分析に基づくものであると考えます。」(同5頁12?16行)
(iii)「上述しましたように、刊行物1には片面剥離紙に切断用マークを付すことは記載されていますが、両面剥離紙に切断マークを付すことを示唆するような記載はありません。
しかも、刊行物1には剥離ライナーに剥離ライナー自体のリサイクル関連情報に関する表示を付すことについては一切記載もなく示唆もありません。
刊行物2には、粘着材層の両面に剥離紙を設ける場合、先に剥離する側の剥離紙に、先に剥離する側の剥離紙であるという表示をするのが好ましいとの記載はあります(段落0021)。しかし、剥離紙にそのような表示の印刷をした後に、剥離剤を塗布することは記載も示唆もありません。
審判官殿も認めておられるように、刊行物2には粘着剤層の両側に剥離紙を設けた両面粘着シートしか言及がありません。このような両面粘着シートでは、前述のように、剥離紙の粘着材とは反対側の面に剥離剤層を設ける必要がないので、剥離紙にその表示の印刷をした後に剥離剤を塗布するという発想は生まれません。
しかも、刊行物2には剥離ライナーに剥離ライナー自体のリサイクル関連情報に関する表示を付すことについては一切記載もなく示唆もありません。
刊行物3には、剥離紙裏面に粘着シートに関する注意事項や使用方法が印刷される場合があると記載されています(段落0004)。しかし、刊行物3では、印刷した側に剥離剤層を設けることは記載も示唆もありません。
また、審判官殿も認めておられるように、刊行物3に記載の発明は表面基材を有する片面粘着シート(基材付き片面粘着シート)に関する発明であって、両面粘着シートの発明ではありません。このような基材付き片面粘着シートでは、表面基材を有するので、剥離紙の剥離剤層を設ける面とは反対の面に剥離剤層を設ける必要性がありません。従って、剥離紙裏面において、印刷した後に剥離剤を塗布するという発想は生じません。
しかも、刊行物3には剥離ライナーに剥離ライナー自体のリサイクル関連情報に関する表示を付すことについては一切記載もなく示唆もありません。
以上のように、粘着剤層の片面のみに、両面に剥離剤を塗布した剥離ライナーを有する両面粘着テープにおいて、該剥離ライナーの基材の表面にまず印刷をしてから剥離処理層を設けるという技術事項は、刊行物1?3のいずれにも記載がなく、また示唆もありません。しかも、刊行物1?3には剥離ライナーのリサイクルについては全く言及されていません。従って、これらの文献を組み合わせたとしても、剥離ライナーの基材表面に該剥離ライナー自体の特定のリサイクル関連情報の印刷が施され、その上に剥離処理剤層が形成された、両面が剥離面となっている剥離ライナーを有するロール状に巻回された両面粘着ープという本願発明の主構成を想起することは困難であります。」(同5頁31行?6頁15行)
しかし、以下のとおり、いずれの主張も、採用できるものではない。

ア (i)及び(ii)の主張について検討する。
刊行物1には、従来技術の、両面剥離紙をあてがい捲回した両面粘着テープ(引用発明)について、これを使用して「FPC基板を固定するには・・・両面粘着テ-プを巻戻し、粘着面に剥離材料を貼付して粘着面を保護し、次いでこれをFPC基板の寸法に合わせて裁断し、その後前記剥離材料を剥がし粘着面を露出させ、この露出させた粘着面にFPC基板の裏側を貼着し、最後に両面剥離紙を剥離して粘着面を露出させ、作業用基盤にFPC基板を貼着固定している」ので(摘示(1c)の段落【0003】)、「巻戻した両面粘着テ-プの粘着面に、裁断のみのためにわざわざ剥離材料を貼付して保護する必要があり、作業が煩雑になるという問題点があった。またこの粘着面に剥離材料を貼付する作業自体にも手間がかかり、また裁断後剥がして破棄してしまう剥離材料を必要とするため無駄があり、コスト高になるという問題点、更にFPC基板の寸法に合わせて裁断する作業もいちいち定規を用いて行うため煩雑であるという問題点があった」と、複数の問題点が指摘されている(同段落【0004】)。そして、これらの問題点を解消したものとして、その実用新案請求の範囲の請求項1に「粘着剤層の両面に剥離層を形成し、その少なくとも一方の剥離層表面に切断用マークを付したことを特徴とする印刷回路基板固定用粘着シート」の考案(引用発明’)が記載されており、これを使用すると「従来法のように両面粘着テ-プの粘着面に、裁断のみのためにわざわざ剥離材料を貼付する必要がなく、また裁断後剥がして破棄してしまう剥離材料を必要とすることがないため、FPC基板を簡単に且つ低コストで作業用基盤に固定することができる。更に剥離層の表面に裁断マ-クを付したので、FPC基板の大きさに合わせて裁断する裁断作業が容易になり、また切断ロスをなくすことができる」と記載されている(摘示(1e))。
これらの記載によれば、引用発明’は、引用発明の問題点のうち、「裁断のみのためにわざわざ剥離材料を貼付して保護する必要があり、作業が煩雑になる」、「粘着面に剥離材料を貼付する作業自体にも手間がかか」る、及び「裁断後剥がして破棄してしまう剥離材料を必要とするため無駄があり、コスト高になる」との問題点を解決するために、「粘着剤層の両面に剥離層を形成」することとしたものであり、「FPC基板の寸法に合わせて裁断する作業もいちいち定規を用いて行うため煩雑である」との問題点を解決するために、「少なくとも一方の剥離層表面に切断用マークを付した」ものである。
前者の問題点とその解決手段と、後者の問題点とその解決手段とは、それぞれ独立したものであって、一方を採用するときに、他方も採用しなければならないものではないから、刊行物1に従来技術として記載された、両面剥離紙をあてがい捲回した両面粘着テープである引用発明を出発点としたときに、当業者は、その一方の解決手段だけを採用することも、自由に試み得るといえる。すなわち、両面剥離紙をあてがい捲回した構造を維持したまま剥離層(剥離ライナー)に切断用マークを付すことも、両面剥離紙をあてがい捲回した構造をやめて粘着剤層の両面に剥離層(剥離ライナー)を形成した構造にすることも、自由に試み得る。引用発明における両面剥離紙に、切断用マークを付そうという発想が生じないとはいえない。
そして、上記(1)ウでも検討したとおり、剥離剤層を有する基材だからといって、印刷ができないものと当業者が考えるような事情もない。
したがって、請求人の、「従来技術である引用発明における両面剥離紙に切断用マークを付そうという発想は生じません。そのような発想が生じる動機付けがないからです」との主張、「『両面に剥離剤を塗布した両面剥離紙』に切断用マークを付すこと自体が刊行物1からは想起されない」との主張、及びこれらを根拠とする(i)及び(ii)のその余の主張は、いずれも採用できない。

イ 次に、(iii)の主張について検討する。
請求人の主張は、要するに、刊行物1?3のいずれにも、粘着剤層の片面のみに両面に剥離剤を塗布した剥離ライナーを有する両面粘着テープにおいて、該剥離ライナーの基材の表面にまず印刷をしてから剥離処理層を設けるという技術事項は、記載も示唆もなく、しかも、刊行物1?3には、剥離ライナーのリサイクルについては全く言及されていないから、刊行物1?3を組み合わせたとしても、剥離ライナーの基材表面に該剥離ライナー自体の特定のリサイクル関連情報の印刷が施され、その上に剥離処理剤層が形成された、両面が剥離面となっている剥離ライナーを有するロール状に巻回された両面粘着ープという本願発明の主構成を想起することは困難である、というものである。
しかし、剥離ライナーの基材の表面にまず印刷をしてから剥離処理層を設けるという技術事項を、刊行物1の記載から当業者が想起できることは、上記(1)ウ?オ及び上記(2)アで述べたとおりである。
また、印刷する内容を剥離ライナーのリサイクル関連情報とすることが容易想到であることは、上記(1)で述べたとおりである。
そして、本願発明の構成が容易想到であることは、上記(1)で述べたとおりである。請求人の(iii)の主張は、採用できない。

5 効果について
本願発明は、本願明細書の段落【0038】に記載された「使用者に、製品情報に関する表記を有効に明示でき」及び段落【0039】に記載された「焼却や資源リサイクルの可能又は不可能を、容易に判別することが可能であり、環境問題や資源リサイクルに大いに貢献することができる」という効果を奏すると認められる。しかし、この効果は、引用発明において、相違点に係る本願発明の構成を備えたものとすることに伴い、自ずと奏される効果にすぎず、格別のものとはいえない。

6 上記1?5においては、本願発明を、刊行物1に従来の技術として記載された発明であるところの引用発明と対比して判断したが、本願発明は、以下に示すように、刊行物2に記載された発明と対比して判断した場合も、当業者が容易に発明をすることができたものである。
両面粘着テープには、引用発明のように印刷回路基板の固定に使用されるものの他、汎用の各種のものがあることは周知であって、例えば刊行物2にも、「建築材料や文房具等として様々な分野で利用されている」と記載され(摘示(2b))、その構造も図示されている(摘示(2e)(2f))。これらについても、上記4(1)ア?ウ及び上記5で検討したのと同様のことがいえ、資源リサイクルの観点から、その剥離ライナーに、剥離ライナーのリサイクル関連情報の表記を同様に施すようにすることは、当業者が容易に想到し得ることであり、その効果も格別のものとはいえない。

7 まとめ
以上のとおり、本願発明は、本願出願前に頒布された刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許を受けることができないものであるから、この出願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-03-08 
結審通知日 2012-03-13 
審決日 2012-03-27 
出願番号 特願2002-371772(P2002-371772)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C09J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 泰之  
特許庁審判長 中田 とし子
特許庁審判官 木村 敏康
小出 直也
発明の名称 両面粘着テープ又はシート  
代理人 後藤 幸久  
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